キーワードは“不易流行” 長谷工コーポ・辻範明社長 年頭あいさつ
2016年年頭あいさつ
長谷工コーポレーション・辻範明社長
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、欧州問題や中国経済の下振れへの懸念、天候不順などの影響で国内の経済指標は低調でしたが、円安やインバウンドを含む内需に支えられて企業収益は概ね改善しました。雇用、個人所得などにも波及しつつあり、本格的な回復基調に結びつくことを期待したいと思います。
マンション市場については、いろいろな不安要素が重なるなか、特に首都圏の供給予測は年央に下方修正した4万3千戸をさらに下回る結果となりそうです。分譲価格の高止まりも続いており、今後の市場の動きについては注意深く見ていく必要があります。
このような状況下ではありましたが、長谷工グループは昨年一年間も、堅調に数字を伸ばすことが出来ました。建設関連事業は好調を維持することができ、中間期の決算発表では、今期の通期予想を上方修正し、連結の売上高、営業利益、経常利益そして先行指標となる受注高は過去最高を予想しています。サービス関連事業においても、課題を一つ一つ克服しながら徐々に上向いてきています。
今年の年頭に掲げるキーワードは“不易流行”とします。松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の間に会得した境地だと言われていますが、不易とは不変の真理を意味し、流行とは時代や環境により変化する様を意味しています。つまり変えてはいけない本質を守りながらも、時代の流れに合わせて新しく変化しなければならないと説いている言葉だと思います。
グループのそれぞれの会社として、また所属する各部署として、自分の業務の中で何をすることが本質なのか、原点に返ってもう一度見つめ直してみてください。そのうえで時代や市場の変化に対応して欲しいと思います。最良の品質と最善のサービスを提供する姿勢を貫き、お客様や事業主の信頼を勝ち取るために何をなすべきかを再度考えて実行することを、今年のテーマとして頂きたいと思います。
今年の4月から始まる17年3月期は、NBs計画の最終年度であると同時に創業80周年を迎える期でもあります。これまで進めてきたグループ連携を更に強化し、心を一つにして今年も頑張っていきましょう。
新たな取り組みへのチャレンジを 三井ホーム・市川俊英社長 年頭あいさつ
平成28年 年頭のご挨拶
三井ホーム・市川俊英社長
平成28年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
昨年のわが国経済は、企業業績が堅調に推移したことで雇用環境の改善も進み、景気は回復基調が維持されました。住宅市場については消費税増税による長期の低迷が続いていましたが、省エネ住宅ポイント等の各種政策支援もあり回復の兆しが見られるようになりました。
住宅展示場への来場者数も前年を上回り、低金利の継続など住宅取得環境は依然良好であることから、今年前半のマーケットは消費税の若干の駆け込み的な動きも含め、おおむね回復基調で推移するものと予想しています。しかしながら10月以降については消費税率引上の影響により、痛税感から前回以上のマインドの冷えこみが懸念されており、厳しい環境下での需要の取り込みが求められるものと考えています。
昨年は、当社の強みであるオーダーメイドの家づくりの魅力を「ニュースタイルコレクション」として発信し、「デザインや暮らし方から考える家づくり」を推進してまいりました。
同時に、優れた気密性・断熱性を備えた「プレミアム・モノコック構法」に高効率健康空調システム「スマートブリーズ」を組み合わせた「健康住宅」を訴求してまいりました。今年はそれに加え、温室効果ガスの排出量削減への我が国の取り組みの推進に向け、昨年末に発表しました新商品「WESTWOOD」のZEHバージョンを皮切りに、健康や地球環境に配慮したスマート&ウエルネス住宅への取り組みを加速してまいります。また施設系建築物を中心に木造への関心が高まる中、大規模木造建築物についても「木」の持つ魅力を最大限引き出しつつ、新たな技術の導入とあわせてその可能性を追求してまいります。
皆さまのご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
明和地所 コンパクトの新ブランド〝ラベルヴィ〟「市ヶ谷」で第一弾
「クリオラベルヴィ市ヶ谷」完成予想図
明和地所が分譲マンションの新ブランド〝クリオラベルヴィ〟を立ち上げ、その第一弾「クリオラベルヴィ市ヶ谷」を近く分譲開始する。
物件は、東京メトロ有楽町線・南北線市ケ谷駅から徒歩5分、新宿区払方町に位置する10階建て31戸。専有面積は33.54~48.01㎡、第1期(9戸)の予定価格は3900万円台~6000万円台。坪単価は約400万円になる模様。入居予定は平成29年3月下旬。分譲開始は1月下旬。施工は小柳建設。
全戸南向きで1フロア33.54㎡、42.00㎡、48.01㎡のコンパクト3タイプ。
◇ ◆ ◇
新ブランドを立ち上げるに際し社内で公募した結果〝クリオラベルヴィ〟に決定したようだが、なかなかいいネーミングだ。「ボレロ」や「展覧会の絵」などでよく知られた作曲家ラヴェルから採ったようでもあり、また「四季」の作曲家ヴィヴァルディから採ったようでもある。単身女性にはぴったりかもしれない。「La belle vie(ラベルヴィ)」はフランス語で「美しい生活」「美しい人生」という意味。
同社は2002年、コンパクトマンションシリーズ〝ラ・モード〟の供給を開始したが、その後立ち消えの格好になっていた。
今回の「市ヶ谷」のモデルルームも見学したが、もう少し設備仕様〝ラヴェル〟を上げてもよかったかもしれない。
既成概念にとらわれず「多様化」に対応 三井不動産・菰田正信社長 年頭所感
2016年 年頭所感
三井不動産・菰田正信社長
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
2015年の当社グループは、2020年以降を見据えて企業グループとしてどう成長し続けるかをテーマに中期経営計画「イノベーション2017ステージⅡ」を策定しました。また、国内外の各地で、我々の進める街づくりが開業を迎えるとともに、 新たな事業機会の獲得も順調に進捗させることができました。
一方、当社グループの分譲マンションで生じた杭工事の問題については、ご購入いただいたお客さまが、安心・安全なくらしを一刻も早く回復できるよう、引き続き誠心誠意対応してまいります。
2016年の見通しですが、地政学的リスクや米国の利上げの影響などから世界経 済は全体として不安定な状況が続くと思われますが、国内においては、企業業績 は好調を維持し、日本経済は底堅く推移すると考えられます。
ただし、来年4月に予定されている消費増税を考えると、経済をより力強い成長軌道に乗せていく必要があり、政府もさまざまな施策を講じていますが、経済の担い手である民間企業がマーケットや顧客の変化を見据え、自ら成長戦略を策定し、実行していくことが重要です。
当社グループにおきましては、「イノベーション2017ステージⅡ」の戦略に基づき、我々のビジネスモデルを2020年代に適合するものに革新させ、新しい需要やマーケットを創りだしていくための大事な1年となります。
日本の成熟化に伴って多様化、高度化するニーズ、社会のダイバーシティ化やICTの進化を含めて、お客さまがどのような空間、サービスを求められ、そこでどのような暮らし・ ビジネスライフをおくられたいのか、既成概念にとらわれずに踏み込んだ取り組みを行ってまいります。
そして、お客さまの価値観の多様化に応えていくためには、当社自身のなかに「多様性」を取り込んでいかなくてはなりません。それこそが会社の幅を広げ、会社のポテンシャルを高めるのであり、是非とも実現なければならないと考えています。
(見出し、改行などは記者が行いました)
特色ある総合デベとして邁進 野村不動産HD・沓掛英二社長 年頭所感
2016年 年頭所感
野村不動産ホールディングス・沓掛英二社長
昨年一年は、将来の成長に向けて布石を打ってきた年であった。新経営体制への移行にはじまり、監査等委員会設置会社への移行によるコーポレートガバナンス体制の強化を行った。
不動産デベロップメント事業に関しては住宅、賃貸部門とも開発案件が順調に進捗した。また、上場3リートの統合、NREG東芝不動産の保有比率を95%に拡大、メガロスのTOBなど将来のグループ経営拡大のための布石も打った。 昨年11月には2025年までの中長期経営計画を発表したが、本年は特色ある総合不動産デベロッパーとして、真価が問われる年であり、同時に長い道のりが始まる年でもある。
不動産を取り巻く経済環境はここ数年と比べるとかなり不透明感が強く、厳 しいと認識すべきである。しかし、様々な困難に直面しても確固たる信念を持 って邁進する姿勢が大切である。
我々は「人や街の未来が、もっと豊かであるために」という、目指すべき姿に向かって、環境に左右されることなく、野村不動産グループらしさを持ち、 社会に向けて新たな価値を創造し続けていきたい。
(見出し、改行などは記者が行いました)
「機略縦横」に業務推進 ポラスグループ・中内晃次郎代表 年頭所感
2016年 年頭所感
ポラスグループ代表・中内晃次郎
来年に予定されている消費税の増税の影響については、8%の時ほどの駆け込み需要はないと思われますが、反動減は来ると思いますので、落ち込みに対応できる筋肉質な体制を作ってまいります。
住宅業界の中長期的なトレンドとしては、少子高齢化の進展による住宅着工の減少と建築業界に従事する職人不足は切り離せません。こうした、市場が縮小していく中では、企業の買収や廃業等によるプレーヤーの減少により、大きな会社・強い会社がより力をつけていく傾向があります。また、米国で利上げが実施され、国内では来年の消費税のアップと相まって、受注金額や売買価格の振れ幅が大きくなる可能性があります。プレーヤーの減少や取引価格の変動は考え方によってはチャンスでもありますので、しっかりとした準備をして勝ち抜いて参りたいと思います。
本年は、わが社の事業においてもドメインやジャンルごとに、好不調異なる動きが出てくる、安定しない難しい年になると予想されますが、これまでのことを仕組化・効率化して、基本を大切にしながら「機略縦横」に業務に取り組みます。
また昨今、商品の品質に対する顧客の要求レベルが非常に高くなっております。当然ではありますが、ミスが許されない世界です。資格取得など自己研鑽に励み、個々を進化させ、競合とのギリギリの戦いで勝っていけるよう、環境を整備します。そして平成31年に迎える創業50周年に向け、強固な企業基盤を構築致します。
(見出し、改行などは記者が行いました)
各事業・エリアでナンバー1を奪取 大和ハウス・大野直竹社長 年頭所感
2016 年 年頭所感
大和ハウス工業・大野直竹社長
昨年はアベノミクス効果により、企業業績も回復し、消費マインドの持ち直しが見られました。住宅業界でも「住宅購入に対する贈与税非課税枠の拡充」や「省エネ住宅ポイント」などの各種施策により、回復の兆しが見られた年でもありました。
そのような中、当社グループ役職員全員の弛まぬ努力により、創業60周年を迎えた昨年、過去最高の業績を達成することができました。これも企業理念であるパイオニア精神のもと、常に挑戦者の立場で創意工夫を積み重ねてきた結果です。
しかし、好業績でも、決して慢心してはいけません。皆さんは、「大企業病」に陥らないよう、スピード感を持って、謙虚な気持ちで行動し、様々なリスクへの対処も怠らないでください。
本年は2017年4月に控える消費税再増税により、需要の増加が予想されます。一方で、2017年は増税後の反動が顕著に表れる可能性があり、経済情勢も先行き不透明な状況です。
そのため、2016年は「来るべき時に備え、築く年」と考えてください。将来開発可能な物件の購入や用地の仕入れはもとより、多くの方々の役に立ち、喜んでいただける商品開発やサービスの提供に取り組み、来たるべき時に備えてください。
また、売上高4兆円への歩みを着実なものとするためにも、コア事業である住宅事業が業界シェアナンバー1 になることはもちろん、全事業部で改革を推し進め、各事業・エリアでナンバー1を奪取してください。さらに、4月から始まる第5次中期経営計画では、失敗を恐れず、勇気とスピードを持って「プラス2、プラス3の事業」を創出するとともに、国内で培ってきた事業の海外展開を積極的に進めてください。
最後に、東日本大震災の発生から、多くの方が避難生活を余儀なくされています。当社グループは引き続き被災地の早期復興に向け、支援活動を続けていきましょう。
(見出し、改行などは記者が行いました)
ZEH・省エネ、女性活躍など強力に推進 積水ハウス・阿部俊則社長 年頭所感
2016年 年頭所感
積水ハウス代表取締役社長兼COO・阿部俊則
新年明けましておめでとうございます。
社会がめまぐるしく変化する中、住宅産業を取り巻く状況も日々、移り変わっています。
積水ハウスは現在、「請負型ビジネス」「ストック型ビジネス」「開発型ビジネス」の三つのビジネスモデルで事業を展開しています。リーマンショック以降の構造改革、グループ連携などにより、各事業の収益基盤が確立し、利益成長を三つのビジネスモデルでバランス良く支える体制が整ってきたことで、業績が好調に推移しています。
昨年、誕生から30年を超えた「イズ・シリーズ」にオリジナル外壁「ダインコンクリート」の新柄「シェードボーダー」を導入し、木造住宅「シャーウッド」では、天井高の自由度を高めることができる「20周年記念モデル」を発売しました。さらに好調な3・4階建て住宅では、業界最高水準の遮音性能を誇る「シャイド50」を用意するとともに、4階建ては型式認定を取得するなど、ブランドビジョン「SLOW & SMART」を機軸に、 付加価値の高い商品提案でブランドづくりに注力しています。 いずれも性能やデザインなどの付加価値向上というお客様に歓迎される変化、つまり進化です。
これからは施工力の確保がこの業界で勝ち抜く鍵を握ります。生産においては、ロボットやITを活用しながら生産から設計、施工まで全体で改革を進めています。一方で、工事店を含め、施工力向上に向けた人材育成にも注力しています。
また、積水ハウスの成長には、女性の活躍が欠かせません。女性管理職も増えるなど「ダイバーシティ推進室」設置の成果が随所に表れています。
COP21での日本の公約達成に向け、家庭部門のCO2排出量削減の推進のため、2020年に住宅メーカー等の新築の半数以上をゼロエネルギーハウス(ZEH)とし、省エネリフォームも倍増するという政府方針が打ち出されました。
積水ハウスのゼロエネルギーハウス「グリーンファースト ゼロ」の戸建住宅における比率は、2015年度上期で既に74%を占めますが、これまでの目標を上方修正して2020年までに80%に高めるとともに、省エネリノベーションを強力に推進します。
COP21の「建物及び建設部門における共同宣言」に、国内で唯一賛同・署名した企業としても率先してこれらの取り組みを進めて参ります。
「社会に必要とされる会社」であり続けるために、社会の変化に柔軟に対応し、社会課題を解決しながら、中期経営計画の最終年度の今年は、さらなる飛躍を目指します。
(見出し、改行などは記者が行いました)
記者が選んだ2015年「話題のマンション33物件」
三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザタワー」
東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Towers 目黒」
大成有楽不動産・長谷工コーポ「オーベルグランディオ品川勝島」
今年の最後の「こだわり記事」は恒例の「話題のマンション」。今年見学したマンションは約90件。昨年より若干減少した(その分、分譲戸建ての見学を増やした)。
その中から33物件を選んだ。いつものことだが、「話題性」を重視して選んだので、必ずしも物件の優劣で選んだわけではない。とはいえ、水準以下の物件は1物件も選んでいないつもりだ。物件はほぼ記事の掲載順に紹介する。
1年間を振り返ると、都心の高額マンションがバブル期を彷彿させるような爆発的な売れ行きを見せたのが印象深い。坪単価も山手線では400万円を突破し、都心部では800~1,000万円が相場となりつつある。
郊外部は、業界内では売れ行きがいま一つといった認識があるようだが、記者はそう思わない。
郊外部でも価格上昇が顕著で、坪単価150万円以下がほとんど姿を消した。グロスにすると70㎡で約3,200万円。中堅サラリーマン層の取得限界に近づいている。にもかかわらず、堅調に売れている。都心部が異常なだけだ。
残念なのは、基本性能、設備仕様レベルの低下だ。基本性能では70㎡台の郊外マンションは直床(ダメというのではないが)が当たり前となり、以前は6.2m以上あったスパンは6mが普通となった。
設備仕様も、バックカウンター・吊戸棚はオプションになり、食洗機やスロップシンクを設置しないところも増えてきた。床・建具・面材もみんな右に倣えなのかケミカル一色になった。
まあ愚痴を言ってもしようがない。来年に期待しよう。
住友不動産「シティテラス草加松原」
東武スカイライン松原団地駅圏の約6,000戸のUR「松原団地」建て替え事業の一環として分譲された全538戸の規模。
URと草加市が敷地売却の条件として敷地面積約2haに対して1戸当たり38㎡の土地を確保することを求めたため、坪単価180万円で、平均価格は4,000万円を突破した。これまで草加松原駅圏の坪単価は130~140万円で推移していた。単価は3割以上の上昇となった。
サンケイビル「ルフォンリブレ浜松町キャナルマークス」
これまで倉庫街としてしか知られていなかったゆりかもめ「日の出」駅から徒歩2分の港区海岸2丁目に立地。浜松町に徒歩10分というのも売れた要因か。
さすがサンケイビルか。フジテレビの朝番組「めざましテレビ」のセットそのままのモデルルームが設けられていたのには唖然とした。
大成有楽不動産「オーベルグランディオ吉祥寺II」
旧日本住宅公団「牟礼団地」の建て替え事業地の一環で、同社が2013年に分譲し人気になった「オーベルグランディオ吉祥寺Ⅰ」(177戸)に次ぐ第2弾。
今回はやや単価が上昇し、専有面積は最低でも72㎡台、平均で約78㎡と広くなった。最寄り駅の一つ京王線仙川駅圏や調布駅圏でも大規模マンションが分譲され、大激戦となったエリアで大健闘。
三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス西新宿タワー60」
第1期325戸 平均2.19倍で即日完売(2015/2/23)
総戸数954戸うちの事業協力者住戸を除く販売住戸全777戸が分譲開始からわずか10カ月で完売して話題となった。新宿区内のマンションとしては、昨年、「富久クロス」(全1,222戸)の分譲住戸992戸がわずか6カ月で完売して話題となったが、それに次ぐ早期完売。これまで約3,500件の来場者を集めた。
販売前からコミュニティ支援のイベントを定期的に行っているのを評価したい。
三井不動産レジデンシャル「パークリュクス銀座mono」
野村不動産「プラウド日本橋三越前」
NTT都市開発「ウエリス銀座二丁目」
東京建物「Brillia日本橋三越前」
日本橋・銀座エリアで4物件が供給されいずれも人気を呼んだ。
「パークリュクス銀座mono」は、銀座8丁目でそれほど立地条件に恵まれているわけではないが、実需というよりは投資向けに圧倒的な人気になった。坪単価415万円は中古より安かった。
「日本橋三越前」も問い合わせが4,500件にのぼり、圧倒的な人気を呼んだ。「日本橋三越前」が最寄り駅というのが最大の人気の要因。設備仕様レベルも高かった。
「銀座二丁目」は、「銀座アドレス」で所有権分譲としては10年ぶりで、初の80㎡台があるマンション。北は北海道から南は沖縄まで問い合わせは2,500件に達した。建物は2015年2月に竣工済み。全体的にグレードが高いのが目立った。
東建「Brillia日本橋三越前」は女性を中心とした商品企画プロジェクトチーム「Bloomoi(ブルーモア)」が企画に参画。全44戸を即日完売した。
コスモスイニシア「グランコスモ武蔵浦和」
またイニシアだ! アクティブシニア向け(2015/3/24)
現在分譲中のマンション「武蔵浦和SKY&GARDEN」などとともに一体開発されている再開発プロジェクトの一つ。購入者の年齢制限は設けてはいないが、60歳代以上のアクティブシニア層をターゲットにしたマンション。
これまでアクティブシニア向けは郊外部が中心だったが、同社は10年くらい前から企画を温めてきた。企画秀。
伊藤忠都市開発「クレヴィア大船」
親子隣居を可能にした「アウタールーム」採用(2015/4/17)
親子隣居を想定した「アウタールーム」付きを最上階タイプの6戸3組に採用。
「アウターフレーム」とは、一般的なマンションのバルコニーは奥行き約1.8~2.0mで、隣の住戸との間には隔て板を設けているのに対し、隣り合う住戸のバルコニーの隔て板を設置せず、双方の住戸をバルコニー空間でつなぐというもの。親子世代の「つかず、離れず」の関係が保たれるのがみそ。
東京建物ほか「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE」
基本性能・設備仕様レベルの高さが光った。キッチン天板はアフリカ・アンゴラの貴重な御影石「ステラブル」で、バックカウンターも標準装備。リビングドアなどは突板の浮造り仕上げ。天井高は2600㎜以上。
「Bloomoi」とキリンビールの女性社員とが「働く女性がもっと幸せになる住まい」グループインタビューを実施して編み出した「お酒が楽しめる空間」も提案。
フージャースコーポ「デュオヒルズつくばエンブレム」
つくば駅圏で実績豊富なフージャースコーポレーションの記念碑的物件。計画的に整備されたつくば駅周辺のセンター地区の一角にあり、オークラフロンティアホテル、常陽銀行、つくば中央警察署、大清水公園、筑波合同庁舎などが隣接・近接。周辺はペディストリアンデッキでつながれており、駅まで車道を通らず移動できる一等地に立地。同駅圏では初の免震工法を採用、デザイン監修は光井純氏。
東急不動産「ブランズタワーみなとみらい」
プラン・設備がいい、坪400万円は納得 (2015/5/13)
間違いなく同社の記念碑的なマンションだ。「みなとみらい」駅から徒歩2分、「クイーンズスクエア横浜」に隣接する免震の29階建てタワーマンション。坪単価は当初380万円くらいと見られていたが、人気が高いことから400万円以上に上方修正された。第1期150戸は440万円でも即日完売した。
近鉄不動産他「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」
東急不動産の「みなとみらい」より少し遅れて供給されたが、こちらも坪単価は400万円を突破か。両物件が競合というよりは相乗効果のほうが大きいと見た。
三菱地所レジデンスほか「ザ・パークハウス千歳烏山グローリオ」
「公団烏山第一団地」跡地に建設されるもで、お年寄り夫婦の入居を想定した「ユニバーサルプラン」がいい。面積は約59㎡。両面バルコニーで、南西側の玄関を入るとすぐにバルコニーに面したリビング・ダイニングがあり、その隣が半独立型のキッチン。居室2室は北西側に設置。廊下幅はメーターモジュールとし、トイレを含むすべてのドアは引き戸を採用。
大和ハウス工業「プレミスト高尾サクラシティ」
この5年間で2棟120戸しか供給されていない高尾駅圏の総戸数416戸の大規模マンション。約16,000㎡の沖電気の敷地跡地。敷地に隣接して複合商業施設と戸建て街区が予定されおり、保育所・小学校も隣接。「サクラシティ」は既存樹のサクラが市民にも開放され親しまれていたことから名づけられた。販売も順調のようだ。
三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウスグラン南青山」
同社の都心のフラッグシップ「ザ・パークハウスグラン」の第3弾。即日完売して話題を呼んだ。坪単価は800万円弱。全101戸のうち81戸が事業協力者住戸81戸で一般分譲は20戸のみだった。これまたすごい。
三井不動産レジデンシャル「パークシティ武蔵小杉ザガーデン」
総面積が約92haの再開発エリアの一角で、これから開発が進められる駅北口の第1弾プロジェクト。敷地は旧日本石油の社宅・独身寮跡地。
全592戸のうち第1期として409戸が供給された。坪単価は330万円。「小杉人気」は高まる一方だ。
伊藤忠都市開発「クレヴィアタワー池田山」
他の大規模都心マンションの人気に隠れてしまったが、この物件も全104戸がわずか5カ月で完売した。坪単価400万円。設備仕様レベルが高い。
野村不動産他「桜上水ガーデンズ」
分譲開始は2013年だったが、記者は「話題のマンション」に含めなかった。単価(330万円)が高すぎると判断したからだ。しかし、同社が竣工見学会を開き、その全体的なレベルの高さに驚愕した。なので、今年の「話題のマンション」として加える。建て替えマンションとしては同社の物件だけでなく、首都圏を代表する物件の一つ。
駐車場地下化、3~5戸1エレベーター、日建設計、既存樹180本などのランドスケープが素晴らしい。管理組合の〝いいものを作ろう〟という意思が伝わってくる。
三井不動産レジデンシャル「パークホームズ赤羽西」
キッチンを動かせる画期的商品「Imagie(イマジエ)」開発(2015/9/8)
同社は近年〝パークホームズ〟の商品レベルを飛躍的に上げているが、キッチンを簡単な工事で動かせる画期的商品「Imagie(イマジエ)」を開発、第一号としてこの物件に採用した。マンションの間取りが劇的に変わる可能性を秘める。
コスモスイニシア「イニシアクラウド二子玉川」
コスモスイニシア、新ブランド第1弾公開(2015/8/25)
同社の新ブランド「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)」第一弾。ライフスタイルやライフステージによって間取りが変えられるのが大きな特徴。各居室はスライドウォール・引き戸を開閉することで1LDKから3LDKまで自在にレイアウトできる。
間取りを自由自在に変更できるのも、木のぬくもり・優しさを感じさせる素材の採用も、ここ数年の時代の流れだ。ありきたりのプランでは満足しない層のニーズを取り込む企画が優れる。
小田急×コスモスイニシア「リノグラン東林間アリーナ/ブライト」
バブル仕様の素晴らしいリノベーション物件(2015/9/17)
ポラスグループ「ルピアージュ天王台」
“オールポラス”で初のリノベはバブル仕様(2015/11/19)
東急不動産「MAJES(マジェス)六本木」
都心立地に特化したリノベ事業に参入 第1弾は「六本木」(2015/10/9)
リノベーションマンションでは、小田急不動産・コスモスイニシア「リノグラン東林間アリーナ/ブライト」、ポラスグループの「ルピアージュ天王台」、東急不動産「MAJES(マジェス)六本木」を選んだ。
「東林間」は小田急の賃貸マンションで、外壁はもちろんバルコニー、階段はタイル張り。一部にはライトコート(吹き抜け)もある。住戸の天井高は2400ミリだが、2重床・2重天井で浴室の段差はほとんどない。平均で75㎡(アリーナ棟)、81㎡(ブライト棟)と広いのも特徴。
「天王台」は、バブルの絶頂期、平成2年に竣工した三井住友海上の社宅で、施工は清水建設。PC工法のため躯体はいじられていないが、専有面積は約90㎡、中住戸にはすべてライトコートが付いており、当時の質の高さがうかがわれるマンションだ。6つのプラン提案もいい。
「六本木」は、麻布、赤坂、青山、恵比寿、中目黒、代官山など都心3区を中心とした築浅の物件を再生して分譲する新しいブランド「MAJES(マジェス)」の第一弾。
三井不動産レジデンシャル「パークホームズ立川」
すまい(日常)の中にアウトドアライフ(非日常)を取りこむ住戸プラン「半ソト空間」をスノーピークと共同開発。採用するのは1階部分の住戸と共用部分だが、その他の住戸プランも工夫されており、坪単価も割安感がある。
三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス京都鴨川御所東」
12月6日抽選分譲した第1期1次26戸が最高5倍、平均1.69倍の競争倍率で即日完売。
登録者の年齢は30歳代が1割、40歳代が2割、50歳代が4割、その他が3割。居住地は東京都が3割、京都府が2割。これまでの問い合わせ件数は約1,700件、来場者数は約350件。
登録者の居住地が地元京都より東京都のほうが多いのは予想していた。なので「話題マンション」に含めた。
明和地所「クリオ駒沢公園」
全53戸のうち10戸は億ションかプレミアム仕様(2015/10/30)
再開発進む駅前一等地&公園に隣接明和地所「クリオ東小金井パークフロント」(2015/3/6)
同社が春先に坪単価が300万円前後の〝割安〟マンションを「東小金井」で分譲して驚いたが、「駒沢公園」は相場並みの400万円くらい。駒沢オリンピック公園に徒歩4分、国立東京医療センターに隣接する全53戸の中層マンションで、同社久々の100㎡の億ション10戸くらいが含まれる。意欲的な物件だ。
ナイス「ノブレス西馬込」
ナイス、分譲するマンション全てに免震構造を採用(2015/10/30)
ナイスは10月30日、今後同社が分譲するすべてのマンションを免震構造にすると発表。日建設計、および日建ハウジングシステムと共同でワークショップを実施し、これまで8階建て以上を免震としていたものを7階建て以下の中層でも採用が可能とみて踏み切ったもの。
免震の新ブランド「Noblesse(ノブレス)」を立ち上げ、その第1弾「ノブレス西馬込」の建築現場見学会を行い関係者に公開した。
同社は1997年に竣工した「ナイスアーバン砧公園」を皮切りに免震構造を積極的に採用しており、これまで計画中を含め70棟7,120戸に採用。首都圏での免震マンション供給棟数はナンバーワン。
モリモト「ディアナコート文京本郷台」
デザインは「本郷弓町」の今井氏&鬼倉氏(2015/12/1)
今年も同社のマンションをほとんど見学した。いつもデザインにはほれぼれする。「文京本郷台」もモデルルームの仕様レベルが高く、55㎡以上の住戸は床・建具・面材は全て無垢・突板仕上げ。キッチン・洗面、浴室のカウンタートップは天然御影石。サッシは2.3mのハイサッシ、天井高は14階までは2450ミリだが、15階・16階は2650ミリ。
野村不動産「プラウドタワー木場公園」
敷地は3方道路に囲まれており、建物は東側、西側、北側が木場公園と木場親水公園に隣接・近接しており、南側住戸は下層階を除き公園が見渡せる。
また、最近少なくなってきている都の総合設計制度の適用を受け27階建てを実現。単価323万円は、木場・門前仲町駅圏の最高単価をあっさり更新。
三菱地所レジ・大栄不「ザ・パークハウス浦和タワー」
バブル崩壊後の埼玉県のマンションでもっとも坪価格が高かったのは住友不動産「シティハウス浦和高砂」(95戸)の約290万円だが、同物件は330万円台の半ば。埼玉県の最高単価マンションの記録を更新した。この記録は当分破られないはずだ。売れ行きも絶好調。12戸は億ションで、これまた埼玉県の最多億住戸マンションになる。
日土地「武蔵野富士見ザ・レジデンス」
同社は今年、マンション供給を年間500戸くらいにし、近い将来には年間1,000戸くらいに拡大すると発表。
この物件は、「二重床・二重天井」「ディスポーザ」「食洗機」「バックカウンター・カップボード」「ミストサウナ」「平置き駐車場」で差別化を図る 。
ルール守れば再発防げる 杭打ちデータ流用 国交省・対策委員会
記者会見する深尾氏
業界自主ルールの徹底で再発は防げる-国土交通省・基礎ぐい工事問題に関する対策委員会(委員長・深尾精一首都大学東京名誉教授)は12月25日、横浜傾斜マンションに端を発した基礎杭データ流用問題に対する「中間とりまとめ報告書」をまとめ発表。横浜の事案を除き、データ流用は施工不良につながっていないという検証結果を踏まえ、建設業界が自主的に定めたルールを徹底すれば再発は防止できるとした。国交省は近く「告示」としてガイドラインを示す。
報告書はA4判で40ページにのぼるもので、問題の概要・経緯について触れた後、発注者、設計・工事監理者、元請、一次下請け、二次下請けのそれぞれの課題を指摘。それぞれ責任の所在が明確化されていなかったことに遠因があるとして、国交省が施工ルールを定め、業界が自主的に定める施工ルールを誠実に実行することを求めている。業界の構造的な課題については、施工技術の継承を含めて腰をすえて検討すべきとしている。
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「基本的なルールを業界が定め、それを業界全体で共有し守ればデータ流用はなくなる」-深尾委員長は石井国交相に報告書を提出したあとの会見で何度も繰り返した。
その通りだろうと思う。報告書は過不足なく問題点が指摘されており、極めて明快な方向性が示されている。
問題発覚からわずか2カ月で問題が収束の方向に向かっているのは、日建連を中心とする業界団体の自主規制が強く働いたからできないか。深尾委員長も「早期に方向性が示せたのは業界団体の真摯な取り組みがあったから」と否定しなかった。
しかし、全て問題が解決したわけではない。データ流用と横浜の傾斜マンション問題の関連性は低いとはいえ、国民の建設業界に対する安心・安全の不安は今回の報告書でもっても払拭できないばかりか増大した。深尾委員長も「サラカンの監理に関しては改善の余地がある」と話し、横浜の問題が年明けの再調査待ちになったことに対しても「残念」と不快感を示した。記者団から元請の責任を追及する質問がたくさん出たのは当然だろう。原因を徹底解明して欲しい。
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以下、深尾委員長に対する記者の質問と答え。
-わずか2カ月で明確な方向性を示したが、その感想は
業界団体が再発防止に真剣に取り組んだことが大きい
-新国立競技場選定で、先生はA案、それともB案を支持されたのか
ノーコメント。いろいろ言いたいことはあるがノーコメント。マスコミの姿勢も問題だ。僕のところに夜中に電話してきた(バカな)記者がいたし、伊東さんにあんなことをしゃべらしちゃいけない。デザインだけじゃないんだよ。ゼネコンなどとの共同提案なんだよ(先生、申し訳ない。われわれはつい建築家のデザインに目が行くんです。木造ファンの記者はA案)
-今日はクリスマス。先生はこれからどうされるのか
これからだよ。今年は業界の三大ニュースに全部関わったんだよ。大変だよ(深尾氏は今回の対策委員会委員長とJSCの技術提案等審査委員会委員、東洋ゴム工業のデータ改ざん問題に関する国土交通省の有識者委員会委員長を務めた)
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