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「プレミスト白金台」完成予想図

 「地価公示日本一」の「プレミスト六番町」の陰に隠れてしまいそうだが、大和ハウス工業「プレミスト白金台」もまたなかなか意欲的な物件だ。

 物件は、東京メトロ南北線白金台駅から徒歩1分、港区白金台三丁目に位置する12階建て全33戸(非分譲住戸3戸含む)。普通借地権分譲で、専有面積は75.24~90.24㎡、価格は未定だが坪単価は600万円~700万円。竣工予定は平成29年3月上旬。施工はフジタ。販売代理は三井不動産レジデンシャル。デザイン監修は内井昭蔵建築設計事務所のアソシエイトであった向井裕氏と宮澤俊一氏のデザイン・ファーム合同会社。

 現地は、敷地南側に位置する345年の歴史を持つ土地所有者の瑞聖寺に隣接。眼下に瑞聖寺の緑が眺められる。

 建物は1フロア3戸構成で、プランは中住戸の75㎡と角住戸の90㎡のプランからもわかるようにシンメトリーなのが特徴。目黒通りに面した北側は、植栽ユニットを積み上げ、緑と調和する深みのあるせっき質タイルを採用。さらに建物のセンタラインとバルコニー手すりは樹木をモチーフにしたアルキャスト(鋳物パネル)で演出している。

 内外装は、近接する旧朝香宮邸(東京都庭園美術館)のアール・デコ建築様式を取り込んでいるのが大きな特徴。エントランス・ホールには高度な技術が必要で、できる職人がほとんどいないという左官仕上げの版築壁を採用。エントランス床には那須野石や樹齢70年のエノキのベンチアートを配置。専有部分もアール・デコの様式をふんだんに用いている。

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部屋からの眺望

「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)

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「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST)」会見(パナソニックセンター東京で)

 Tsunashima SST協議会(代表幹事:パナソニック、野村不動産)は3月28日、横浜市港北区綱島で開発を進めている「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST)」の「まちづくり構想書」をまとめ発表した。10団体が異業種協業の街づくりに向けてスマートシティとしての環境目標、安心・安全目標、景観や運営の規定などを策定した。報道陣の関心も高いのか、普通のデベロッパーの会見の2~3倍の約100人が駆けつけた。

 「Tsunashima SST」は、パナソニックの事業所跡地約3.8haに商業施設、技術開発施設、集合住宅、国際学生寮を整備し、エネルギー、ファシリティ、コミュニティ、セキュリティ、モビリティ、ウェルネスなどの街全体の情報を一元管理するタウンマネジメントを導入し、都市型スマートシティの構築を目指す。

 具体的な数値目標として、CO2排出量を2005年度比で40%削減し、廃熱利用・水素利用など新エネルギーの利用率30%以上を掲げている。

 パナソニックは、遊休地の財務価値と事業価値の向上、地域貢献によって空間価値のさらなる創出を目指す。

 野村不動産は、マンション94戸をMID都市開発(4月1日から関電不動産開発に社名変更)とともに建設するほか、近接する横浜市港北区箕輪町二丁目の「日吉複合開発計画」(約5.6ha)と広域連携を図り、サスティナブルな魅力あるまちづくりを目指す。

 東京ガスグループは、街に設置するタウンエネルギーセンターを通じてガスコージェネレーションシステムを導入するほか 、異用途施設へ電気や熱のエネルギー融通を行う。

 JXエネルギーは、次世代エネルギーとして注目の高い水素活用拠点の運営に携わり、燃料電池自動車への水素供給のほか、未来の水素社会に向けた各種取り組みを推進する。

 慶應義塾大学は、国際学生寮を開設し、学生の主体的活動や研究者の実践的取り組みを促す仕掛けにより活発な国際交流や地域とのコラボレーションを実現する。

 横浜市は、環境未来都市にふさわしい持続可能な魅力あるまちづくりを支援していく。

 会見に臨んだパナソニック・津賀一宏社長は、「『Tsunashima SST』は『FujisawaSST』に次ぐ第二弾。わたし自身も『藤沢』に何度も足を運んでいるが、行くたびに新しい発見がある。進化し続けている。『綱島』もコンセプトは同じだが、新たな都市型のスマートシティへの挑戦という点が異なる。都市ならではの問題点、社会課題を明確化し解決していくかがポイントになる。『綱島』で得た知見、ノウハウは世界各国で求められている都市型のスマートシティづくりに生かしていく。さらにその先を志向し、日本が世界に誇れる街づくりに貢献すべく、パナソニックが持つ知恵と技術を存分に発揮していく」と述べた。

 続いて登壇した横浜市長・林文子氏は「横浜の環境施策は世界の都市をリードしているという評価を得ている。『綱島』の業種・業際を超えた先進的な取り組みを全国に発信し、さらには隣接する『日吉』との広域的な街づくりとしても大きな一歩にしたい」と語った。

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左から林氏、井戸氏、宮嶋氏

◇       ◆     ◇

 会見が始まってから約1時間、8人目に登壇した慶應大学常任理事・岩波敦子氏が〝権力に媚びへつらうな〟と言ったらしい福澤諭吉の建学の精神を話したとき、芥かわくらばのように時の流れに身を任せ、流されるままに生きてきた記者は頭をどやされたような気になり、さらに先日のさいたま市の「スマートタウンさいたま」の会見のことも思い出され、目が覚めるどころか覚えていたことが全て吹っ飛んだ。

 「慶大はどうなのか」と言い返したくもなったのだが、堪えることにした。そんな質問をする時間も与えられなかった。

  それにしても、会見は盛沢山な内容で、記者は完全な消化不良を起こした。

 取材がいかに大変だったか、登壇順に列挙する。パナソニック社長・津賀一宏氏、横浜市長・林文子氏、パナソニック役員ビジネスソリューション本部本部長・井戸正弘氏、野村不動産社長・宮嶋誠一氏、ユニー常務取締役・吉田譲氏、Apple(司会者が代弁)、東京ガス・早川美穂氏、JXエネルギー取締役常務執行役員・西島弘也氏、慶應大学常任理事・岩波敦子氏、横浜市都市整備局長・平原俊英氏まで9人に達する。

 この方々が1時間15分の間に理念、哲学や難しい専門語を交えて話をされた。それぞれ記事になりそうな言葉を必死で書きとめていたのだが、岩波氏の言葉にショックを受け、記事の構成などを考える余裕がなくなり、結局、プレース・リリースをコピー&ペーストすることにした。リリースはよくまとまっていると思う。

 どうして行政が絡むとこのような会見になるのか。もっと時間をとって分かりやすいものにしていただきたい。聞く側の立場にもなってほしい。一人の人が3分間に話すとすれば、テーマを3つくらいに絞り、原稿用紙にしてせいぜい2枚(800字)くらいにとどめてほしい。

◇       ◆     ◇

 会見でもっとも注目したのは、野村不動産がマンションをいくらで分譲するかだ。分譲するのは来年あたりだから、宮嶋社長が話すわけが絶対ないとはわかっていたが、会見場に顔を見せていた野村不動産ホールディングス執行役員・山本成幸氏に「坪単価300万円でどうですか」と吹っかけてみた。山本氏は「それで売れますかね」と答えた。

 この言葉がヒントになる。同社は5年前、今回の「Tsunashima SST」のはす向かいで「CASBEE横浜」のSランクを取得した「プラウド綱島」(99戸)を坪200万円で即日完売している。その時もパナソニックの設備機器をフル装備していたので、パナソニックの工場再開発も同社が絡むと確信していた。

 あれから5年。時代は変わり、日吉、綱島は再開発、相鉄・東急直通線開通などでポテンシャルが高まり、「世界に誇れる」コンパクトスマートシティが実現するのだから、坪200万円から300万円へ50%も値上がりしても記者は驚かない。「CASBEE横浜」のSランクを取得し、新排水システムも導入するそうだ。

 しかし、綱島街道は道路が狭く、現地まで徒歩10分以上だから難点もないわけではない。さらに坪300万円(にならないかもしれないが)といえば、横浜市民の第一次取得層の取得限界をはるかに超える。

 そこで林市長にお願いしたいのは、マンション購入者に都市計画税を軽減するとか利子補給をするとかのインセンティブを与えてほしいということだ。CO2を40%も削減し、新エネルギー使用量を30%以上実現するというのなら、実施する合理性はあるはずだ。「世界に誇れる」スマートシティに普通の市民や市職員が住めないというのは悲しいではないか。

「CASBEE横浜」のSランクを取得した野村不動産「プラウド綱島」 全99戸一挙販売へ(2011/3/3)

「日本一の街」になるかは保留 「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」(2016/3/19)

 

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「東急プラザ銀座」

 東急不動産が開発を進めてきた銀座・数寄屋橋交差点の「東急プラザ銀座」が3月31日(木)オープンするが、開業に先立つ28日、関係者に公開された。

 開発コンセプトは、「Creative Japan~世界は、ここから、おもしろくなる。~」。伝統と革新が共存する銀座エリアの魅力を受け継いだ銀座の新たなランドマークを目指す。ターゲットは「GINZA Connoisseur(ギンザ コノシュア:目利き、玄人の意味)」。年齢に関わらず自分のライフスタイルと本質を見極める目を持ち、生活を楽しむ余裕がある「大人」をイメージしている。

 建物外観コンセプトは「光の器」。日本の伝統工芸の江戸切子をモチーフにしたガラス外装で「光の器」を表現。日没以降はライトアップする。

 店舗は、上質で多彩なファッション、雑貨、レストラン、カフェなど全125店舗のほか、東急百貨店の新セレクトストアや東急ハンズの新業態、都内最大となる市中空港型免税店「ロッテ免税店銀座」なども出店。6階と屋上にはパブリックスペースを設置する。

 施設は、東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅から徒歩1分。建物は地下5階地上11階建て、延べ床面積約50,000㎡。施設運営は東急不動産SCマネジメント。設計・監理は日建設計。施工は清水建設。

 同社は初年度売り上げ330億円、来館者1,000万人を目標に掲げている。東急不動産ホールディングスの平成27年3月期の商業ビルなど「都市」事業の売上高は2,610億円だから、この施設だけで約13%を占めることになる。

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外観(夜)

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「KIRIKO LOUNDE」

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 記者はもともとデパートが好きではないし商業施設、とりわけ高級店には縁がなくトレンドにも疎いので、指摘が正しいかどうかわからないが、共用部分の照明計画を含めたデザイン、アートが素晴らしいと思った。

 とくにエスカレータ・エレベータ周りの演出がいい。全体的に壁などは黒が基調で照明を落としているのが特徴だ。トンネルを抜けた先に店舗が見えるように工夫している。ドキドキワクワクするような気にさせられる。各フロアには切子をモチーフにしたアートウォールを採用しており、館内アートもいい。各フロアを見て回るだけでも楽しくなってくる。

 最近の商業施設では、三井不動産の「COREDO(コレド)」もいいが、どちらかといえば「COREDO(コレド)」は自然素材をふんだんに用い華やかな雰囲気を醸し出している。こちらはコンセプトそのもの、玄人の「大人」が対象なのがよく伝わってくる。

 マンションにしたら9層分もある高さ27mの切子をモチーフにした「KIRIKO LOUNGE」空間がまた圧巻だ。

 まだまだ書きたいことはあるのだが、とにかく写真を見ていただきたい。

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エスカレータ

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アートウォール

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切子デザインが印象的な柱のアートワーク(左)と3階のエレベータホール(左)

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エレベータのサイン 

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東急ハンズの新業態

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屋上「GREEN SIDE(グリーンサイド)」

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地下エントランス

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地下エントランス

 

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「Harappa(はらっぱ)」

 住友林業が設計施工を担当した宮城県東松島市の東松島地域活性化施設「Harappa(はらっぱ)」が4月2日オープンする。

 同施設は、農水産物直売所「yaoya(やおや)」とベーカリー「畑のパン屋さん」からなる施設で、東日本大震災からの復興と環境未来都市構想を推進するために設立され、官民学が参加する「一般社団法人東松島みらいとし機構」の活動のなかから生まれたもの。

 日立キャピタルが保有し、パシフィックコンサルタンツグループの東松島地域活性化合同会社が15 年間借り受け運営する。

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施設内

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「森林資源量解析システム」イメージ図

 住友林業は3月25日、京都府船井郡京丹波町からシステム構築と運用のコンサルティングを請け負っている「森林資源量解析システム」が3月から本格稼働すると発表した。

 京丹波町は林業全般の諸課題を解決する手段として、また地域の森林管理の効率化・高度化に資する重要な情報基盤の整備として「森林資源量解析システム化事業」を実施することになり、事業の一環として同システムが導入されるもの。同社が公募によって事業者として選定された。

 航空写真とレーザ測量を組み合わせた航空測量技術を用いて、精度の高い森林資源情報(樹種、樹高、立木本数、蓄積量等)を取得することが可能となり、それらのデータを分析・活用することにより、森林の資源量を的確に把握し、適正な森林管理に繋げることを目指す。

 また、京丹波町と京丹波森林組合を結ぶネットワークシステムの導入により、対象区域内の民有林、公有林の森林資源情報の共有が可能となり、実効性の高い伐採計画や林道開設計画の立案・実施に寄与する。

 住宅リフォーム推進協議会(リ推協)は3月25日、「平成27年度 第13回 住宅リフォーム実例調査」結果をまとめ発表した。

 ①リフォーム工事の契約金額の平均は626.2万円(前年度は756.7万円)②リフォームを実施した住宅の取得方法は、戸建てでは「親からの相続など」が前年から5.3ポイント増加③工事の内容は、〝内装の変更〟がトップで、前年度トップだった〝住宅設備の変更〟と入れ替わった④目的は、高年齢層では「老後の備え」、若年層では「中古住宅の購入」の割合が高い⑤契約金額が1,000万円を超えるリフォームのうち3割以上が資金の借り入れを行っている⑥事業規模が大きくなるほど人手が不足している割合が高くなる-などの結果が出た。

 調査は、平成26年9月~8月の施工完了物件が対象で、アンケートにより事業者が施主に代わり回答したA票(アンケート送付は9,522件で、有効回答数は2,119票)と、リフォーム事業者が税制優遇策について回答したB票(同6,516件で、有効回答数は1,066票)からなる。

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 各社が行うリフォーム、リノベーション、リファイニング見学会などは極力参加するようにしているが、「リフォーム」については素人だ。しかし、「実例調査」報告書を読むと素人だからこそ見えてくるものもある。以下、率直に疑問に思うことなどを記す。

 まず、「リフォーム業」とは何ぞやという疑問だ。そもそも「リフォーム業」の定義はなく、全体像はだれも把握していないようだ。国の統計基準として採用されている日本標準産業分類では建設業の中に「建築リフォーム工事業」があり、「主として各種建築物の改装又は軽微な増・改築工事を総合的に行う事業所をいう」とある。

 この分類に従った総務省の調査によると、「建築リフォーム工事業」は平成26年7月現在、21,226業者で、従事者数は112,430人、全体の売上高は約9,427億円だ。単純に割ると1業者当たり売上高は約4,441万円、従事者は約5.3人、従事者1人当たりの売上高は約838万円となる。

 では、これが正確な「リフォーム業」を捉えた数値かといえばそうではなさそうだ。一般的にリフォーム市場は数兆円とも10兆円ともいわれている。「建築リフォーム工事業」はその一部しか捕捉していないことになる。「建築リフォーム工事業」が「軽微な増・改築工事を総合的に行う事業所」ということであれば、大手の建設業やフォーム会社はこの範疇には入らないのかもしれない。

 リ推協や総務省のデータでもわかるとおり、リフォーム業は大手中小が入り乱れ、それこそ玉石混交の世界であることがうかがわれる。

 アンケート送付に対する有効回答率は高いほうではないかと思うが、圧倒的多数の無回答の業者を含めたリフォームの実態を反映しいるのかどうかはやや気になる。

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 リフォーム工事に関する税制優遇措置についてリ推協は尋ねているが、「あまりよく知らない」「知らない」は45.2%にも達する。税制優遇措置の活用状況でも、「活用するつもりはない」「わからない」が34.5%もある。税制優遇措置の効果については、「あまり効果はない」「わからない」が55.41%あり、その理由として「住宅ローンを利用する施主が少ない」が57.5%というのはともかく、「手続きが面倒で経費がかかるため、使いにくい」が37.4%、「内容が複雑で理解しにくい」が33.3%ある。

 いま流行りのインスペクションについては、国交省の「ガイドラインを知らない」業者が31.4%にものぼり、リフォーム瑕疵保険の利用が少ない理由として「施主からの要望がないため」が48.8%あり、「保険費用の負担軽減」を求める声が49.0%あった。

 この調査結果はリフォーム業の現状を如実に物語っていると思う。税制優遇措置を知らないとか、手続きが面倒などというのは業(と呼べばだが)ではない。「ガイドライン」の存在を知らずして、どうしてまっとうなリフォームが行えるのか。ユーザーが知らないからこそプロとして提案営業を行い、1件当たりの受注単価を引き上げようとするのが普通の業者だ。それがまたストックの質の向上にもつながる。住宅は社会財ということを業界の方々に考えてほしい。

 と、ここまで書いて、先日、優良ストック住宅協議会会長・和田勇氏(積水ハウス積水ハウス会長兼CEO)が「中古住宅という呼び名はイメージが悪い。もっと素敵な名前に変えようではないか」と呼び掛けたのを思い出した。呼称変更は「中古住宅」もそうだが、「リフォーム」こそ変えたほうがいいのではないか。

 

 野村不動産アーバンネットが「定年退職後の夫婦の生活」と題する意識調査結果をまとめ公表した。

 厚生労働省「2015年 高年齢者の雇用状況」集計では、60歳定年の企業の定年到達者のうち、継続雇用された者は82.1%に達している一方で、役職定年制を導入する企業も増えており、50代から働き方が大きく変わりつつある家庭に焦点を当て調査したもの。調査対象は首都圏、関西圏に在住するサラリーマン・元サラリーマン世帯の50代~60代の夫婦。有効回答数は2,060人。

 ①定年後のイメージについて、妻は夫よりも、定年退職後の生活にネガティブなイメージを持っている②夫婦円満の秘訣について、夫婦生活の幸福を実感できる3つの習慣は「できるだけ会話をする」「一緒にご飯を食べる」「相手を尊重する・思いやる」③定年準備について、退職準備の3つのお役立ちキーワードは「住まい」「趣味」「健康」④定年後の住まいについて、定年したからこそ住みかえたくなる3つの理由は「バリアフリー」「子供との近居」「今の家が広すぎる」-などが詳細に報告されている。

◇       ◆     ◇

 レポートは10ページに上るもので、まず、ポジティブな項目では14項目のうち13項目で夫の回答が妻よりも多い結果となったと報告。定年後「自分の趣味や楽しみを第一に生活を送れそう」は夫の48.5%がイメージしているのに対し、妻は27.7 %となり、「自分の夢や目標に思う存分チャレンジできそう」とイメージする夫が37.2%なのに対し、妻 は18.6%となっている。

 一方、ネガティブな項目では、16項目のうち14項目で夫より妻のほうが多くイメージしている。

 「親の介護など時間が増えそう」と妻の40.0%が答えたのに対し、夫は23.9%で、「病気や体力の衰えなど健康面での不 安が増えそう」は妻の71.2%がイメージするのに対し、夫は57.4%となった。

 レポートは、この差について「長いサラリーマン生活から一転、新たな生活への期待感を感じている男性に対し、女性は、より現実的な心配事が頭に浮かんでいる」としている。

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 ズバリ記者自身のわがまま、身勝手を突かれているようで読み進むのが結構つらいレポートだ。同床異夢とはこのことを言うのだろう。

 調査結果の詳細は、60歳からの住みかえサイト「ノムコム 60→」(http://www.nomu.com/60/survey/vol02_1.html)で紹介されているのでそちらをどうぞ。

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事業について説明する三木氏(ミッドタウン東京で)

 三井不動産は3月24日、新たなロジスティクス事業として5棟の開発を行うと発表。2014年に同事業に参入して以来、開発・運営する施設は稼働施設が10棟、開発中が今回の5棟と合わせ12棟になり、合計で22棟、総延べ床面積は約200万㎡となった。これまでの総投資額は約3,000億円に達する見込み。

 同社執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏は、「4年前は4人でスタートしたが、現在のスタッフは50名。竣工済みの施設は100%稼働している。 今後も年間3~4物件を目安に開発していく。業界では供給過多で空室率の上昇が懸念されているが、確かに4年前と比較して入札物件の土地代はほぼ倍増して いる印象を受けている。物件によっては空きが出てくると思われる。当社の物件は全て稼働率100%になっており、今後も利便性を重視した戦略エリアを絞り 込み、高値落札されるような入札には参加しない。わたしどものような空調設備付きエリアを用意(茨木)したり、デザインにこだわったりする施設は全体で 5%くらいしかない」と、他社との差別化をアピールした。

 昨年10月に竣工した「三井不動産ロジスティクスパーク日野」では、約20,000 ㎡の緑地を整備し、地域の皆さまがくつろげる広場や遊歩道を備えた開発を行い、今年4 月には敷地内に認証保育所を開園する予定。また、今年9月に竣工する「三井不動産ロジスティクスパーク船橋Ⅰ」では、JR 京葉線や東関東自動車道からの景観を意識し、海に面した船橋地域のダイナミックな「SKY(空)」をイメージしたデザインを壁面に採用する。

 ロジスティクス事業のあるべき姿や思いを表現するために、事業ステートメント「ともに、つなぐ。ともに、うみだす。」を策定した。

 

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「CUBE17~じゅうなな~(キューブジュウナナ)」

 コスモスイニシアは3月23日、同社がプロデュースした埼玉県新座市のコミュニティ形成支援付賃貸住宅「CUBE17~じゅうなな~(キューブジュウナナ)」のメディア向け竣工見学会を行なった。外構工事が遅れており、この街の最大の特徴であるランドスケープデザインは完成していなかったが、同じ形状の建物をランダムに配し、各住戸の垣根を取り払うことでオープンスペースにしたプランが素晴らしい。いまのところ入居が決まっているのは5戸だそうだ。

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リビング

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 この住宅については既報の記事をぜひ読んでいただきたい。

 まず、ランドスケープデザイン。敷地の形状はL型で、この形に添って幅6mの道路(中央側溝)を整備し、その周囲に全17棟の形状が同じ建物をランダムに配している。空いたオープンスペースにはシマトネリコなど40本以上の樹木を植え、300株以上の低木も採用する。電線は地中化し、建物の外壁はカラマツの下見板を、配管などのドレーンも同じカラマツを貼ることでアクセントとしている。

 建物の専用面積は全て約75㎡。1階の天井高を約2.8m確保し、天井と床のフローリングはヒノキの無垢材、天井は国産材の集成材のあらわしを採用している。

 前回は、四重奏(カルテット)、五重奏(クインテット)のかつてない賃貸戸建てと書いたが、敷地内の緑が成長する5年、10年先にどのような姿になっているか想像するだけで楽しくなってくる。同社はしっかりタクトを揮うはずだ。

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建物外壁

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周辺の畑

コスモスイニシア オーナー、建築家、施工、入居者と五重奏の賃貸戸建て「新座」(2016/12/6)

 

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「ファインコート等々力 桜景邸」

 三井不動産レジデンシャルは3月23日、建売住宅では首都圏初の〝ススマートウェルネス住宅〟プロジェクト「ファインコート等々力 桜景邸」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。現地の前の桜並木のソメイヨシノが開花し、オオシマザクラは5分咲き。美しい借景にふさわしい都市型戸建てだ。

 物件は、東急大井町線等々力駅から徒歩7分、世田谷区中町二丁目に位置する全5棟。土地面積は109.23~115.72㎡、建物面積は108.30~115.29㎡、価格は最低で1億円以上から最高は1億5,000万円台になる模様。構造は2×4工法2階建て。設計・施工は三井ホーム。4月に販売予定。

 現地は桜並木が美しい閑静な住宅街の一角。建物は周囲の住宅街にふさわしい石積みや石畳を施した高級感が漂う外構・外観が特徴。

 住宅の設備機器には樹脂製サッシ、高性能の断熱材(屋根は同社比2倍の厚さ)、天井設置型脱衣室暖房機、全熱交換換気システム、床暖房システム、家庭用燃料電池「エネファーム」とHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)、LED 照明、家庭用蓄電池などを搭載。

 〝スマートウェルネス住宅〟は、「健康(ウェルネス)」「省エネ(スマート)」「安心・安全」の3つの要素を重視し、最新の設備仕様を採用するだけでなく、間取りや内装、外構などにも工夫を凝らすことで、より快適な住まいを実現するもの。同社は第2弾の「ファインコート深沢 桜景邸(総戸数13 戸)」も分譲する予定で、今後、都心の高額物件を中心に供給していく。

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前面道路のオオシマザクラ

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外構

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 同社の地域開発事業部開発室主任・山家尚氏は物件の特徴として、①桜並木に寄り添う立地②南ひな壇の高台、駅から徒歩7分③ゆとりの敷地・建物④スマートウェルネス住宅-の4点を挙げた。

 記者は3点くらいが一番いいと思っているが、ちあきなおみさんの「4つのお願い」というヒット曲もあるから、4点は許容範囲としよう。

 山家氏が話した①~④を要約すると、美しい桜並木にふさわしい外観、外構にするために石積み、石畳に工夫を凝らし、どの住戸からもサクラが眺められるように窓は極力大きく、たくさん設け、通風・採光にも配慮し、敷地も3棟で35坪を確保したこと、国の定義も定まっていないスマートウェルネス住宅については、その中身が見えるよう分かりやすく説明するということだった。

 実際にモデルハウスを見学して、その企画意図は表現されていると思った。とくにスマートウェルネス住宅についてはほぼ完璧に「見える化」「見せる化」が図られていた。樹脂サッシが普通のアルミサッシと比べどれほど効果的であるかを模型で示しているほか、エコカラット、全熱交換換気システム、天井埋込型空気清浄機のよさがよく分かった。唯一疑問に感じたのは、どうしてフローリング、建具・家具を突板仕様にしなかったのかというくらいだ。天井高は2700ミリあった。

 スマートウェルネス住宅についてもう少し触れよう。同社は、スマートウェルネス仕様にした住宅と標準的な省エネ住宅とでは、温度や湿度、結露、快適性、省エネ性がどれくらい異なるのかの詳細な検証結果を15ページにわたる冊子にまとめて説明した。検証監修を行なった秋田県立大学・長谷川兼一教授のコメントも紹介している。

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モデルハウス リビング

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洗面室

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 今回の見学会で同社が用意した資料と、担当者の説明を聞きながら、先日さいたま市が行なった「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」記者発表会と比較してしまった。あらゆる点で雲泥の差があった。三井レジは「スマートウェルネス住宅」について10項目くらいの設備仕様・機能を上げ、根拠もしっかり示して「首都圏初」と謳った。プレス・リリース、資料に過不足はない。

 リリースには、慶大・伊香賀俊治教授、近大・岩前篤教授、秋田県立大・長谷川兼一教授のコメントが紹介されている。この種のコメントはこれまでもたくさんあるが、いかにもパブリシティの匂いがするものばかり。その点、3氏のコメントは同社の「スマートウェルネス住宅」や物件を〝推奨〟しているわけでもない。これが却って効果的だ。

 伊香賀教授は先日、スウェーデン大使館&スウェーデンハウスのセミナで「高断熱・高気密住宅」について講演された。その記事を添付するのでぜひ合わせて読んでいただきたい。

◇       ◆     ◇

 これはおまけです。記者は鶴瓶さんのように若い女性には声がかけられないが、同年配かそれ以上の女性には平気で声を掛ける。道行く人と喫茶店「浪漫」の店主との会話です。等々力がどのような街であるかよくわかるので紹介します。

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「浪漫」に飾られている粘土作品

「サクラがきれいですね」(記者)

「散った後の掃除も大変なのよ」(道行く女性)

「でも、サクラが街の価値を上げているんですよ。となりは三井不動産が分譲するんです。35坪で1億5,000万円です」

「そうですか、三井さんですか。うちの娘が○○で三井さんから土地を買って、三井ホームで家を建てました。わたし? すぐ近くです。土地? 120坪です」

「この絵は、ご本人が描かれたんですか」(喫茶店で)

「そうよ、でも絵はボケ防止のためのお遊び。本職はそのお人形さんよ」

「えっ、これは素晴らしい。粘土ですよね」

「そうよ、特殊な粘土。高いのよ。1400度で焼くんです。36年もやってるの。でもお金にならない。売らないから」(マンションや戸建ての値段は分かるが、お人形は全く分からない)

「近くで三井不動産が住宅を分譲するので取材に来たのですが、このお人形、写真に撮って記事にしていいですか」

「いいわよ。宣伝になるから。『浪漫』って言うの。そうー、三井さん。あそこはいいよわ。サクラがきれいで」(パンフレットを見せる)。いままでいたお客さんは○○の数千坪の土地を売る話をしていたわよ。ここには結構有名人が来るのよ。この前も〝さざんかの宿〟の歌手が来たわよ」

「そうですか。このカップ、なかなかいいですよね」(家にあるのとそっくりというか同じだった)

「それ? ミントン。これ作ったの、食べて」

「頂いていいんですか。おいしいですね。このオレンジゼリー」

「そのお客さんは最近、土地を売った方」(新しい女性客が入ってきた)

「えっ、どれくらいの広さですか」

「70坪」

「…」(35坪で〝ゆとりの敷地〟はここでは通用しないかも)

「そう、時間がないの? 今度来たらまた寄って」

「ぜひそうします。ありがとうございました」

(こんな会話を交わしていたので次の取材に遅刻した)

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建売分譲住宅で首都圏初の“スマートウェルネス住宅”プロジェクト

「ファインコート等々力 桜景邸」着工(2015/9/17)

「日本一の街」になるかは保留 「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」(2016/3/19)

内装木質化は熟睡長く、知的労働も向上 慶大・伊香賀教授が実証(2016/3/22)

 

 

 

 

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