全国90万人の「高所得層」のうち21%、19万人が東京23区に集中
平成27年度の市町村税課税標準額が1,000万円以上の「高所得者」は約90万人で、全納税者に占める割合は1.7%であることは先に紹介したが、この〝お金持ち〟が全国にまんべんなく存在しているわけではなく、東京23区、とりわけ港区や千代田区、渋谷区、世田谷区などに集中していることが分かる。
東京都23区の平成27年度納税者の課税標準額を段階別にみると、平均では200万円以下が54.6%、200万円超~700万円以下が37.8%、700万円超~1,000万円以下が3.5%、1,000万円超が4.1%となっている。「高所得者」は前年度と比べ9千人、4.5%増の約19.2万人となり、高い伸びを示した。全国約90万人の「高所得者」のうち21%が23区に集中している。
これを区ごとに見ると、「高所得者」がもっとも多いのは世田谷区の約3.0万人(構成比6.5%)で、以下、港区約1.9万人(同14.5%)、杉並区約1.3万人(4.5%)、渋谷区約1.2万人(同9.5%)の順。もっとも少ないのは荒川区の約1.9千人(1.9%)。
「高所得者」の比率がもっとも高いのは港区の14.5%(約1.9万人)で、以下、千代田区13.4%(約4.4千人)、渋谷区9.5%(1.2万人)、文京区8.0%(9千人)の順。もっとも比率が低いのは足立、葛飾区で1.5%。足立区は課税標準額が200万円以下の比率は63.6%に達している。
総所得などは約21兆円で、前年度比0.2%減となった。総所得、退職金所得などは前年度比3.4%増の約19.7兆円になったものの、株式譲渡に伴う軽減税率廃止による駆け込み需要がみられた平成26年度に対して、27年度はその反動による分離課税所得が前年度比34.5%減の約1.3兆円だったのが影響したため。
23区全体の一人当たり特別区民税額は9.9万円で、対前年度比1,000円増となった。10区で区平均を上回り、13区で下回った。
「高所得層」23年度と比べ9.8%増の90万人27年度 市町村税課税状況(2016/3/31)
住友不動産 武蔵小山再開発事業に参画 住宅約500戸建設
「武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
武蔵小山駅前通り地区市街地再開発組合と住友不動産は4月14日、「武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業」が平成28年4月13日付で再開発組合の設立認可を受けたと発表した。
事業地は、東急目黒町線武蔵小山駅東南側に位置し、細分化された敷地の統合と建物の共同化によって土地の高度利用を図り、区画道路や広場などを整備することで、市街地環境の改善と防災性の強化を図るもの。住友不動産は地権者、参加組合員として事業に参画する。
所在地は品川区小山三丁目、施行面積は約0.7ha、敷地面積は5,420㎡、延床面積は53,870㎡、建物は地上41階・地下2階建て。住宅は約500戸。竣工予定は平成32年度。総事業費は約321億円。
〝オールポラス〟の木造建築物先導モデル「ポラス建築技術訓練校」が竣工
事務所棟(左)と実習棟
ポラスグループは4月12日、企画-設計-施工まで〝オールポラス〟で取り組んだ「ポラス建築技術訓練校」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。建物は、国交省の再生可能な資源である木材を大量に使用する木造建築物の技術向上に資するとともに普及啓発を図ることを目的とした補助事業「平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されている。
建物は、一般に流通する安価な集成材を複数本集束させることで「合せ柱・合せ梁・重ね梁」として強度を高める技術を開発したのが特徴。
発表会に臨んだ同社経営企画室室長・江本昌央氏は、「2年前から取り組んできたプロジェクトで、ポラスグループの総合力を結集した。木造非住宅のモデルハウスとして今後の受注拡大に結びつけたい」と語った。
また、ポラスハウジング協同組合施工推進課マネージャー・成田超洋氏は、「訓練校の卒業生は697名。この中からたくさんの技能オリンピック受賞者を輩出してきた。今年の新入生は44名。立派な大工などに育てたい」と話した。
実習棟内部(天井高は6m)
◇ ◆ ◇
この建物については、1月に行われた「構造見学会」に参加して、記事も書いているのでそちらも参照していただきたい。
木造住宅の美しさについては何度も書いてきたが、完成した建物、特に事務所棟の内部は柱や梁が現しとなっており木造の建物であることが判るようになっている。
一方、実習棟の天井高は約6m。一般の木造住宅に使われている柱や梁の材料を使用しながらもこれだけの大きな建物を作り上げたポラスグループの総合力には関心をしたのだが、構造見学会で見惚れた天井部分などはパネルで覆われていたのは少し残念だった。
せっかくの木造建築物なのだから、その特徴が通りすがりの人にも気付くようなデザインをもっと取り入れてよかったのではないか。
「ポラス建築技術訓練校」は、建築大工、内装工などの若い技能者の育成を30年間にもわたって継続してきたことに価値がある。卒業生は697人もいるというではないか。
建築業界では技能者不足が叫ばれて久しいが、具体的な解決策は描けていないのが現状である。日本の未来を考えるならば今回のように技能者育成の学校を自ら設計、施工するような企業がもっと出てくるべきだろう。
実習棟 木造パネル
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見学会では、設計や施工を担当した同社グループのスタッフと懇親会を兼ねた食事会が催されたのだが、隣り合わせた鍋野友哉アトリエ/TMYA主宰・鍋野友哉氏が興味深いことを話した。「木は耐震性、耐久性、断熱性などそれぞれ個別の性能ではナンバーワンではないが、いずれの性能もそこそこよくバランスがとれている。そこを最大限に活かす設計ができれば良い木造建築が生まれるいずれもバランスがとてもいい」と。
森林・木材の価値は、地球環境保全、生物多様性保全、土壌保全・水資源涵養機能、快適空間形成機能、文化機能などそれこそ数え切れないほどある。
にもかかわらず、わが国の森林・林業は危機的状況にあることが指摘されている。地域コミュニティ、文化の崩壊も懸念されている。
どうして木材が鉄やコンクリに取って代わられたのかここでは書かないが、結局は、こうした森林・木材の価値に目をつぶり、「安いものがいいものだ」という経済合理性を最優先してきたことに尽きるのではないか。
鍋野氏が話したように、これからはバランスがいい木を基本として、足りないものを他の製品で補っていく-これは生き方にも通じるのではないか。
鍋野氏は1979年生まれの「東京大学大学院農学生命科学研究科木質材料学研究室」卒だ。農学から建築を設計・研究するというのがいい。いまどこの大学も「グローバリズム」を金科玉条のように掲げ、文科省からの補助金欲しさに理系を重視し、英語を共通語にしようとしている。入学式で式辞を英語で話した学長もいるくらいだ。「農本主義」は死語になったのか。鍋野氏のような農学者の反撃に期待したい。
ポラス サステナブル建築物等先導事業の構造見学会(2016/1/14)
三菱地所・鹿島建設 「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」完成・完売
三菱地所レジデンスと鹿島建設は4月13日、「ザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンス」の竣工により「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」全体が3月末までに完成し、全戸完売したと発表した。敷地面積約3.0ha、49階建タワーマンション2棟、総戸数1,744戸の大規模マンションプロジェクト。
「ザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンス」は、総戸数861戸。2013年7月第一期435戸を供給して以来、2014年10月に第二期220戸、2015年2月に第三期98戸、2015年5月に第四期88戸、2015年10月に最終期20戸を供給した。価格は3,638万~18,677万円、専有面積は43.33~127.79㎡。総問合せ件数は約8,000件、総来場件数は約5,000件。
◇ ◆ ◇
このマンションについては分譲開始時にも書いたが、ハード・ソフトとも現段階でのトップレベルのマンションだと思う。
販売開始時は期待された2016年の東京オリンピック・パラリンピックの招致に失敗し、イメージキャラクターのプロゴルファー石川遼氏がとたんに勝てなくなり(これが理由だとは思いたくないが)、3.11にも過剰反応した結果、分譲単価は信じられないくらい割安の坪270万円(記者は最低でも坪300万円で、330万円が妥当な単価だと思っていた)くらいに抑えていた。最終分譲の価格はどうなったかわからないが、坪330万円以上になったのではないか。
隣接地では三井不動産レジデンシャルの分譲が予定されているが、モデルルームオープンは予定より遅れているようだ。いったいいくらの値を付けるのか、興味津々だ。選手村に近接するエリアだから、世界に恥ずかしくない単価設定になるはずだ。
しかし、選手村にも大量のマンションが建設される。こちらの概要も発表されるのはそう遠くないはずだ。立地は異なるが、こちらも気になる。
三菱地所ホーム 富裕層向け注文・3階建て・戸建てリフォーム同時発売
「世界に一つを極める。」
三菱地所ホームは4月15日、都市型邸宅のフラッグシップモデルハウス「世界に一つを極める。」、全館空調システム搭載の3階建てゼロエネルギー住宅「WIZE-U(ワイズユー)」、戸建て向け新リフォームメニュー「三菱地所のリフォーム」をそれぞれ販売開始すると発表した。
「世界に一つを極める。」は、アッパーミドル・富裕層向けの商品で、重厚な石張りのファサードデザイン、アウトドアリビング、トレーニングルームなどを備えた室内空間、全館空調システム「エアロテック」を搭載し、世界的ブランド商品のショールームなどを展開する企業グループ「LWL」との連携によるハイグレード設備・インテリアが特徴。
構造・規模は2×NEXT構法、2階建て延べ床面積約246㎡。モデルハウスは4月23日、駒沢公園ハウジングギャラリー・ステージ2にオープンする。坪単価は120万円から。
「WIZE-U(ワイズユー)」は、都市部の狭小宅地に対応する商品で、「全館空調・ZEH・3階建て」を実現したのは業界初。ガレージ上部のデッドスペースに「ポケットルーム」と呼ぶ収納を設けているほか、ライフスタイルの変化に対応するためあらかじめエレベータの設置が可能なプランとし、可動間仕切りの提案を行っているのが特徴。プロトタイプは敷地面積約56㎡、延べ床面積約123㎡。本体価格は3,290万円(税別)。販売目標は年間30棟。4月14日から発売する。
「三菱地所のリフォーム」は、これまでのマンションリフォームに加え、戸建てのリフォームに対応する商品で、100棟を超える「エアロテック」採用実績を踏まえ、旧省エネ基準(昭和55年以前建築)は18万円~/坪、新省エネ基準(平成4年以降建築)は15万円~/坪、次世代省エネ(同11年以降建築)は11万円~/坪にするなど、パッケージ化して販売するのが特徴。4月14日から発売する。
発表会で、同社社長・加藤博文氏は、「当社は年間500~600棟の受注しかないが、マーケットニーズに対応した先進的な商品を提供していく」と話した。
「世界に一つを極める。」
◇ ◆ ◇
同社のモデルハウスを見学するのは、一昨年の「渋谷ホームギャラリー」以来だ。
先日、三井ホームが記者見学会を行ったモデルハウス「VENCE(ヴァンス)」とは同じアッパーミドル・富裕層がターゲットではあるが、商品コンセプトは真逆、対照的だ。
今回の「世界に一つを極める。」は、いかにも〝三菱地所〟らしい重厚感がある骨太のファサードデザインで、周囲の他社のモデルハウスと比べてもそん色ないばかりか、威圧するような雰囲気を醸し出している。
外壁には御影石の「バニラホワイト」と「白御影」を用いている。内装材にもウォールナットなどの自然無垢材をふんだんに用いている。
1階の天井高は約3mで、カーブを描いた階段は18段。インナーバルコニーもなかなかいい。2階に設置されている浴室と隣り合わせのトレーニングルームは、外から裸を見られるわけにいかないから、第一種低層住居専用地域しか建てられないという難点があるが、これがいいという層もいるはずだ。モデルハウスは坪150万円で、総額は1億3,000万円だそうだ。
「WIZE-U(ワイズユー)」も「三菱地所のリフォーム」も「エアロテック」を前面に押し出しているのはよく理解できた。
それにしても、どうして同社の年間受注棟数が500~600棟なのか。同社のホームページトップには「三菱地所ホームが選ばれる『5つの理由』」の中に、「三菱地所グループの総合力」が5番目に示されているが、その結果としての棟数というのは、年間数千戸の業界トップクラスの分譲マンションとはどうしても釣り合わない。どこに行ったら「三菱地所ホームを、見に行こう。」が体験できるのか。体制さえ整えれば、1,000戸くらいはすぐに伸ばせるのではないか。
「WIZE-U(ワイズユー)」
「三菱地所のリフォーム」
三井ホーム 究極のエレガントを追求 新商品「VENCE(ヴァンス)」(2016/4/6)
三菱地所ホーム、木造制震賃貸住宅「エム・アセット」発売(2014/3/14)
大成有楽不・長谷工コーポ「オーベルグランディオ品川勝島」452戸が完売
「オーベルグランディオ品川勝島」
大成有楽不動産と長谷工コーポレーションは4月13日、「オーベルグランディオ品川勝島」452戸が、入居開始1年前の3月末までに完売したと発表した。
物件は、京急本線立会川駅から徒歩11分、品川区勝島1丁目に位置する20階建て全452戸。専有面積は62.38~85.59㎡、価格は3,290万~6,090万円。問い合わせ件数は約5,000件、総来場者数は約2,500件。
購入者の居住地は品川区27.0%、大田区12.4%、港区5.8%、居住形態は賃貸が69.7%、持家が19.7%。
契約者アンケートでは、かつての倉庫街から住宅地として発展する「品川勝島エリア」の資産性・将来性を購入動機に上げる人が目立ち、早期完売につながったと両社はみている。
◇ ◆ ◇
早期完売に至ったのは、このほか価格(坪単価)が安かったからでもあるが、「勝島」を「品川エリア」の物件としてアピールした宣伝・広告が巧みだった。かなり広域から集客できたことが、そのことを物語っている。購入者の5割以上が品川、大田、港区外だ。地元・周辺区以外が過半数を占めたマンションはそうないはずだ。需要を喚起したというよりは、需要を創造した好例ではないか。商品企画とはこのようなものだ。
「カフェラウンジ」(この提案もよくできていた)
安さだけではない、巧みな需要喚起策 「オーベルグランディオ品川勝島」(2015/4/10)
環境先進企業が市場で評価される社会へ エコ・ファースト推進協が総会
丸川氏(左)と和田氏
環境先進企業として環境省から認定されている「エコ・ファースト企業」38社で構成される「エコ・ファースト推進協議会」(議長:和田勇・積水ハウス会長兼CEO)は4月11日、2016年度通常総会を開き、2015年度事業報告、同収支決算、2016年度事業計画などを承認し、和田氏を議長に再任するとともに新たに副議長として大成建設・村田誉之氏を選任。また、今年度から西松建設が加盟して38社になった。
総会後は、環境省環境事務次官・関荘一郎氏が「パリ協定から始めるアクション50-80」と題する講演を行った。
冒頭、和田議長は、「昨年開かれたCOP21の歴史的な『パリ協定』で、わが国は2030年度に(2013年度比)26%の温室効果ガス削減を公約した。今年は、G7の富山環境大臣会合や伊勢志摩サミットなど重要な会合が開催され、世界から注目が集まる。このような時期だからこそ環境問題解決と企業経営を両立できる、環境保全のトップランナーとしてのエコ・ファースト企業の役割が増大する。政府が昨年から展開している国民運動の『COOL CHOICE』にもエコ・ファースト企業が率先して活動し、低炭素社会の実現に向け貢献している。今後もわれわれが連携して環境保全の活動に取り組んでいきたい」とあいさつした。
来賓として出席した丸川珠代・環境大臣は「歴史的な『パリ協定』の締結は、先進国、途上国の差なく地球温暖化に対する危機感が暮らしの中で実感できる状況になってきており、この危機感こそが画期的な合意を実現させた。今年はこのパリ協定を踏まえて行動する元年。環境先進企業としての皆さんは社会を引っ張っていくリーダーであり、かけがえのない存在。皆さんの取り組みがマーケットで評価される社会、経済の仕組みを環境省として取り組んでいきたい」と語った。
◇ ◆ ◇
記者は、丸川大臣の「皆さんの取り組みがマーケットで評価される社会、経済の仕組みを環境省として取り組んでいきたい」という言葉に注目した。
この「エコ・ファースト企業」が(株式)市場で適正に評価されているとはいいがたい。
記者はかつて「なでしこ銘柄」として選定された企業の株価の推移を調べたことがある。他の複合的な要素もあるので判断は難しいのだが、ほとんど株価には反映されていないという結論に達した。「エコ・ファースト企業」も同様ではないか。だからこそ丸川大臣も話したのだと思う。
海外では環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して行う投資が急拡大しているというではないか。
わが国も企業価値を測る物差しとして環境や社会貢献活動、企業統治を重視する「ESG」手法を導入すべきだ。「CASBEE」と同じような評価をし、有価証券報告書などに記載することを義務付けるなど、一般投資家にも〝見える化〟を進めてほしい。環境への取り組みで成果を上げている企業・個人は固定資産税や住民税の減免措置があっていい。そうすればみんな一生懸命取り組むし、社会、株式市場でも評価されるのではないか。
総会会場(東京国際フォーラム)
大京穴吹不動産 中国語圏の顧客対応に中国人による専門チーム発足
対応する中国人のスタッフ
大京グループの不動産流通事業を手掛ける大京穴吹不動産は4月11日、リノベーション事業部・不動産ソリューション課に国際営業チームを発足させ、中国語圏(中国大陸・香港・台湾)の顧客に物件購入から引き渡しまでワンストップで対応するサービスを開始した。
法務省の統計によると、首都圏の在留外国人は年々増加し、東京都では約45 万人近くに達しており、国籍別では中国が約16.7 万人と約40%を占めている。同社にも中国語圏からの問い合わせは年間約2,000件にのぼっている。
今回、各店舗に配属していた中国人社員3名を本社内に集約し、店舗横断型の専門チームを組成し、中国語での問い合せ対応から物件の紹介、案内、契約、引渡しまでワンストップで対応することにした。3名の社員のうち1名は宅建士の資格を取得している。
住友林業 北野天満宮の〝北野桜〟の苗木の増殖に成功
一般土壌で育成中の苗木
住友林業は4月8日、京都・北野天満宮社務所前にあり、開花の進行とともに白から桃色へと花の色が変化する珍しい品種である御神木“北野桜”の苗木の増殖に成功したと発表した。
北野桜の推定樹齢は120年。樹高8m、直径2m。幹は根元から大人の胸の高さあたりまで芯が腐り空洞になっていることから、樹勢の衰えが危惧されている。
同社は2009年から保護と増殖を目的として研究開発を進めてきており、バイオテクノロジーのひとつである組織培養法によって増殖に成功した。
左から培養3カ月目、6カ月目、8カ月目
環境配慮型の地所レジ「ザ・パークハウス 東戸塚レジデンス」 「箱の間」にも注目
「ザ・パークハウス 東戸塚レジデンス」完成予想図
三菱地所が5月中旬に分譲する「ザ・パークハウス 東戸塚レジデンス」を見学した。駅から徒歩5分のヒルトップの傾斜地マンションで、「箱の間」提案にユーザーがどのような反応を見せるかも注目したい。
物件は、JR横須賀線・湘南新宿ライン東戸塚駅(西口)から徒歩5分、横浜市戸塚区品濃町な位置する11階建て全237戸。専有面積は64.86~90.05㎡、価格は4,700万円台~8,200万円台、坪単価は270万円前後になる模様。竣工予定は2018年3月下旬。売主は同社のほか京浜急行電鉄。施工はフジタ。
昨年10月からの資料請求は約1,800件で、2月からのモデルルーム来場者は約400組、うち地元戸塚区が約4割。
現地は比高差約15mの傾斜地で、同社が2015年2月に始動した生物多様性保全の取り組み「BIO NET INITIATIVE(ビオネットイニシアチブ)」の一つで、2015年度「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)[集合住宅版]」を取得している。
建物はコの字型で、住戸はヒルトップの南向きと、東向き、西向き。山梨県のスギ材を用いた空間「箱の間」も提案している。
ガーデン
◇ ◆ ◇
坪単価は記者の予想とぴったりだ。本当は250万円くらいなら瞬く間に売れるだろうと読んでいたが、建築費の上昇や周辺物件の値上がりを考えたらリーズナブルな値段だと思う。
入居後、3年間(12回)にわたって生物多様性保全の取り組みや環境配慮などについて居住者向けのイベントをおこなっていくというのがまたいい。
これはまったく知らなかったのだが、同社は「東戸塚」駅圏で約2,500戸の供給実績があるそうだ。
それで思い出したのだが、同社(当時藤和不動産)は、隣接する森と一体的に開発した環境共生型の「フォートンヒルズ」(2006年竣工、888戸)でもコミュニティ支援の活動を積極的に行った。素晴らしかったのは「ニューシティ東戸塚 パークヒルズ」(1987竣工、633戸)だった。ここの街路樹は見事だ。
コリドー
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このマンションで初めて提案した「箱の間」については、3月25日に行われた「3×3 Lab Future オープニングシンポジウム 第4回『国産材の活用を考える』」でも少し触れた。なかなか面白い提案だ。
特徴は、①「家具」よりも大きく「部屋」よりも小さな、およそ畳1畳程度のサイズ②仕切る、籠る、集まる、集中する、リラックスするといった様々な使い方、過ごし方を提案③家族構成の経年変化によるライフスタイルにも対応する-という点だ。
問題は価格だろうと思うが、住宅ローンに組み込めるようにすればヒットするかもしれない。そうではなくてオプションとして購入するとなれば、二の足を踏むお客さんもいると思う。クリノキでできた椅子は相当値段が張るだろうし、スギの箱を含めれば数十万円するのではないか。しかし、子どもから「パパ、ママ、これ買って」と言われたら拒めない夫婦もいそうだし、男は籠りたくなるものだし、どうなるかよくわからない。
先ほど、積水ハウスの組立式和室「障子結界庵」を紹介したが、こちらは2~3畳大の「和室」提案だ。両社ともなかなかよく考えていると思う。
三菱地所、“CSRからCSVへ”新たな価値創造「3×3 Lab Future」(2016/3/29)