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「ユトリシア」

 大成有楽不動産が同社など6社JVの習志野市郊外の大規模分譲マンション「ユトリシア」の最終街区が竣工いたのに伴い、報道関係者向けに完成お披露目会を行った。

 「ユトリシア」は壱番街から五番街で構成される全1,453戸、総開発面積約66,000㎡の大規模分譲マンション。2009年2月に壱番街が竣工して以降、既に1,100世帯が居住。ガーデンや本格的体育館をはじめとする30もの共用施設が集まる「センタープロムナード」、様々な菜園がある中庭など広大な敷地を利用したランドスケープデザインが特徴。共用施設を活用したコミュニティ活動は2014年度の「グッドデザイン賞」を受賞している。

 物件は、京成本線実籾駅から徒歩11分、習志野市東習志野2丁目に位置する14階建て全1,453戸。専有面積は71.34~123.26㎡。施工は長谷工・大成建設共同企業体。売主は同社のほか名鉄不動産、三交不動産、東レ建設、新日本建設、長谷工コーポレーション。

 分譲開始は7年前。当初は坪単価130万円で分譲されていたが、市況の変化を受けて現在は115万円。最終街区の「五番街」272戸のうち約130戸が分譲済み。住戸プランはディスポーザー、食洗機が標準装備、バルコニー奥行きは約2m。

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中庭

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中庭に設けられている菜園(手前はオクラ、その奥にはダイコン、サツマイモ、シソなどが植えられていた。オクラの実はどうして下ではなく上を向いているのか。そう言えば、どうして朝顔のツルや記者の頭は左巻きで、巻貝はほとんどが右巻きなのか)

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 現地を見学してランドスケープデザインが優れているのに目を奪われた。とくに敷地を南北に貫く「センタープロムナード」と、横軸に配した中庭がいい。提供公園には生け垣の迷路もあった。休日になると子どもたちで大賑わいになるそうだ。

 坪単価115万円というのは、新築の単価では考えられない安さだ。都心へのアクセスはいいとは言えないが、30坪で3,000万円台という価格は魅力だ。竣工を受けて販売スピードは加速するのではないか。

 ゲストルームなどを併設した体育館にも驚いた。2階建てで建坪は約100坪くらいではないか。公式のバスケットボールのコート(縦28m、横15m)も可能だという。同じようなものはこれまで「ガーデンアソシエ」(大船)と「コロンブスシティ」(千葉市)にも建設されたという。

 われわれはマンションの価値を坪単価でしか評価しない測れない習性がある。中小規模マンションにはこれが当てはまるのだが、大規模物件では共用施設とか緑の量と質を適正に評価する指標を持たないといけないことをつくづく感じた見学会だった。

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体育館

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 国土交通省は10月10日、省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトとなる住宅・建築プロジェクトを国が公募し、整備費等の一部を補助する「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」の平成27年度第1回採択プロジェクト9件を発表した。

 不動産業界からは、建築物(非住宅)として三井不動産レジデンシャルの「渋谷区スマートウェルネス新庁舎プロジェクト」が採択された。

 このプロジェクトは、渋谷区の新区庁舎・公会堂の建替計画で、庁舎に適した省CO2技術を結集するとともに、自然採光・自然換気・緑化ルーバーやゆらぎを生み出す空調システムなどによって、健康で快適な執務環境の実現を目指すもの。

 共同住宅は福岡県住宅供給公社の「ふくおか小笹賃貸共同住宅における燃料電池を利用したエネルギー融通プロジェクト」、戸建て住宅はアロック・サンワの「福井発『子育て応援・住教育』プロジェクト」が選ばれた。

 美しい森林づくり全国推進会議と林業復活・地域創生を推進する国民会議が10月6日(火)、「2020年に向かう、新たな森づくりシンポジウム~都市での木づかいから生まれる森と木の循環、そして地域創生へ~」と題するシンポジウムを全国都市会館「大ホール」(千代田区平河町)で開催する。

 都市での木づかいが、地域における森づくりにや地域創生につながっていく新たな循環を作りあげていくことが必要であることから、産業界、建築業界、林業・木材産業界、行政等の幅広い関係者が集い、オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を一つの区切りとして、木づかい・森づくり・地域創生の方策を議論する。

 涌井史郎氏(東京都市大学教授)、林野庁代表者、山本恵久氏(日経アーキテクチュア元編集長)、網野禎昭氏(法政大学教授)などが基調報告、概要報告、パネリストとして参加し、宮林茂幸氏(美しい森林づくり全国推進会議事務局長、東京農業大学教授)がパネルディスカッションのモデレーターを務める。

 参加費は無料。定員約300名になり次第申込を締め切る。

 詳細はhttp://mori-zukuri.jp/topics/2015/09/08/6029.htmlへ。

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山岸氏

 不動産業界で先駆的な「女性活躍」の取り組みを行っているのが大京だ。オリックス専務執行役だった田代正明氏が社長・グループCEOに就任した2005年あたりから急激に変わった。

 2006年、新しいシンボルマークを導入し、グループ全社員共通の「家族想い」を「Family First.」という言葉(ブランドタグライン)に込めた。2007年には「時短」「休日・休暇取得促進」「仕事と家庭の両立支援」を大幅に拡充し、2008年には大京、大京アステージ、大京リアルド(現大京穴吹不動産)が「仕事と子育ての両立支援に取り組む企業」として厚労省の認定マーク「くるみん」を不動産業界ではスターツに次いで2番目の早さで取得。現在、業界最多の3回目を取得している。

 2009年には「大京グループ子ども参観日」を開催し、2010年には育児休暇取得者のスムーズな職場復帰を支援する先輩ママ社員との「情報交換昼食会」を行っている。

 そして今年3月、グループのマンション管理会社・大京アステージが女性専門職による「お客さま係」を立ち上げ、2017年度までに全国24カ所の全支店に配置すると発表した。「お客さま係」は、従来の顧客対応では拾いきれなかった潜在的なマンション居住者の〝困りごと〟を女性ならではの気配りで掘り起し、大規模修繕や商品企画に反映させようというのが狙いだ。

 「女性活躍」第3弾は、「お客さま係」の育成・マネジメントに携わる「大京アステージ ライフサービス事業部CA推進室CA推進課(CAはカスタマーアドバイザーの略、「お客さま係」の社内呼称)課長代理」の山岸真樹氏(44)にお願いした。

 山岸氏にお会いするのは3年ぶりだ。初めて会ったのは、2011年に分譲された「ライオンズ志村坂上レジデンス」「ライオンズ多摩センター ステーションブライト」のモデルルームで、当時は「大京 商品企画部 リビングラボ課 課長代理」だった。エネルギッシュに東奔西走する行動力と説得力のある話し方、商品企画力の確かさなど、その活躍ぶりを目の当たりにして、彼女のバイタリティに惚れ込んだ思い出がある。

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 山岸氏は開口一番、「わたしたちは御用聞きではありません」と切り出し、次のように続けた。

 「わたしたちはマーケッターです。スタッフはアルバイトやパートではなく、いろいろな部署で働いてきた女性専門職ばかりです」

 「お客さまの声は各部署にフィードバックできるようにしています。たとえば、かつてわたしが商品開発に携わった『L's KITCHEN(エルズ キッチン)』が企画意図通りに使われているかどうか検証することで、わたしもすごく参考になりました」

 「マンションの排水管掃除などに立ち会って、入居者宅を訪問し、困りごとや設備の不具合をお聞きしていますが、作業する男性が部屋に入ってくるのを不安に感じていらっしゃる女性の方が多く、わたしたち女性がいることでその不安が解消されます」

 「細かいことですが、上層階に住んでいる方から『どうして清掃はいつも1階からなの。うちも午前中の早い時間にやってほしい』という声があがりますが、『上の階からやると下の階の排水管が詰まることがあります』と説明すると、納得していただけます。このようにお客さまに近い距離にいるから対応も敏速に行えます」

 同社は、「お客さま係」を立ち上げてからこれまで2,000戸以上の居宅訪問を行っているが、人員はまだまだ増やす考えのようだ。

 山岸氏は「スタッフは総勢14名。近い将来50名くらいに増やしたい。男性中心の職場と違うところは、とにかく時間厳守。保育園の迎えの時間は決まっていますので、だらだらと会議などしていられません」と語った。

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 大京の「L's KITCHEN(エルズ キッチン)」を知ったとき、記者はそのきめ細かな商品企画に驚嘆した。その後の業界全体の収納や水回りの設備仕様を劇的に変えたと思っている。

 「L's KITCHEN」の誕生は2005年。女性だけのスタッフ8名で構成するデザインインテリアチームが、座談会やヒアリング、アンケートなどを通じてライオンズマンションに居住する女性、仕事と家事を両立させている女性、専業主婦、子育て中の女性などライフスタイルの異なる女性の声を商品企画に反映させ、女性のため、家族のための使い勝手のよいキッチンが誕生した。

 2006年発売のライオンズマンションから採用され、その後、どんどん進化を遂げていった。例えば、2009年に見学した「ライオンズ石神井公園ステーションゲート」は次のような仕様になっていた。

 調理台には「LILカウンター」と名付けた補助調理台が付いており、三面鏡の裏側には化粧用の拡大鏡が付いていた。カウンタートップには、化粧グッズがたくさん入るボックスもあった。天井のライトは「キレイライト」と呼ぶ自然光、夜用、昼用の3種の調光ライトが付いていた。浴室は音楽が聞け、浴槽をライティングできるようになっていた。玄関のシューズボックスは奥行きを3 センチ広げることで、収納力を通常の1.5倍に広げる工夫もされていた。

 当時、水回り・収納で話題を集めた野村不動産の「Luxmore(ラクモア)」があるが、「ラクモア」の商品化は2008年。「リビングラボ」のほうが3年早い。

 山岸氏は「リビングラボ課」のメンバーの一人。商品企画の意図を理解してもらうため、「もういい。分かった。耳にタコができる」と言われるまで、全国の各支店を東奔西走した。

 その甲斐あって、「L's KITCHEN」は同社だけでなく業界に瞬く間に広まり、その後の商品企画競争に火をつけた。

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お客さま係 イメージ図

大輪が咲くはず 大京アステージ 「お客さま係」新設 将来60名体制(2015/3/17)

大京「ライオンズ志村坂上レジデンス」 浴室と和室の襖に新工夫(2011/10/27)

「量の王者」から「質の王者」へ 大京・ライオンズ(2011/10/28)

 国立市が明和地所のマンション建設をめぐる訴訟で、市が同社に支払った損害賠償金約3,120万円は当時市長だった上原公子氏が賠償すべきとした裁判(東京地裁平成26年9月25日判決言渡し)の控訴審弁論が9月10日、東京高裁で行われ、判決言い渡しは12月22日(火)と決まった。小林明彦裁判長が言い渡した。

 冒頭、控訴人(国立市)の代理人弁護士が民法422条に基づく技術的な問題をあげ、被控訴人(上原氏)の弁護士もこれを了承。裁判は約3分で終了した。

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 この問題については何度も書いてきたが、記者は東京地裁の判決を支持する。判決文次のようにある。

 「被告(上原氏)は、普通地方公共団体の長として行政目的を達成する上での中立性・公平性が要請される立場にありながら、建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として、少なくとも重大な過失により、自ら主体的かつ積極的に一連の本件違法行為に及び、これにより(明和地所)に損害を与えたことから、国立市らを相手とする(明和から)訴訟を提起され,国立市において(明和)に本件損害賠償金を支払わなければならない事態を招いたものであり、上記一連の行為により国立市が受けた経済的不利益は本件損害賠償金にとどまるものではないことに照らすと、国立市が(明和)から本件寄附を受けたことや国家賠償法1条2項が公務員に軽過失があるにとどまる場合に求償権の成立を認めない趣旨等を考慮しても、なお国立市が被告(上原氏)に対して本件求償権を行使することが信義則に反するとはいえないというべきである」

 「国立市長による本件求償権の不行使は、違法な怠る事実に当たるというべきである」

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「ブランズ品川勝島」のエントランス付近のケヤキの植栽

 

 東急不動産は9月8日、国土交通省の平成25年度(第2回) 住宅・建築物省CO2先導事業に採択され、同社の新しい暮らし方提案「シェア・デザイン」の第一号事例「ブランズ品川勝島」が竣工したのに伴い、記者見学会を行った。

 物件は、京浜急行鮫洲駅から徒歩11分(東京モノレール大井競馬場前駅から徒歩8分)、品川区勝島1丁目に位置する18階建て全356戸。引き渡しは2015年9月29日の予定。分譲開始は昨年の7月。これまで総戸数の約75%が供給ずみだ。

 この物件については、同社が分譲前に記者発表したときの記事を参照していただきたいが、当時〝世界初〟と言われた東京ガスのマンション向け「エネファーム」を全戸に搭載しているのが大きな特徴だ。

 マンション向け「エネファーム」はその後、10数物件で採用されており、今後の普及が期待される。縦約400ミリ×横約400~560ミリ×高さ約1800ミリとややかさばるのが課題だ。

 「シェア・デザイン」は、エネルギー、環境、コミュニティの3つのテーマをそれぞれシェアすることで、省エネ・省CO2の暮らしを進めようというもので、同社と東急コミュニティー、東急住生活研究所が共同して提案した「東急グループで取り組む省CO2推進プロジェクト」が国交省の先導事業に採択された。プロジェクトには石勝エクステリア、東急ホームズ、東京都市大学、東急ストアなどの東急グループも参画している。

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エントランス付近のケヤキの植栽

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エネファーム

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 販売開始から1年ちょっとで全戸数の75%が供給できたということは、後発の大成有楽不動産 「オーベルグランディオ品川勝島」(452戸)との競合を考えればよく売れていると評価できる。都心部のマンション価格相場は強含みで推移しているので、完成してからコンスタントに売れていくのではないか。

 ただ、率直に言えば、同社が力を入れている割には販売スピードはそれほどでもないという印象を受けた。

 それはなぜか。分譲前の記者発表時にも感じたことだが、省エネ、環境、コミュニティはそれぞれ喫緊の課題で、当然デベロッパーもこれらを重要なテーマに掲げている。ユーザーの意識も高まっており、これらが購買動機の上位を占める物件もある。

 しかし、記者はまた別の見方をしている。省エネ、環境、コミュニティは欠かせないものではあるが、デベロッパーが期待するほどユーザーは反応を示していないのではないかということだ。

 その理由として、エネファームは一次エネルギー利用率が85.8%で、火力発電の37%よりはるかに高く、年間の光熱費が約4.8万円節約できるとか地球環境にやさしいなど〝見える化〟が理解されやすいのだが、環境をシェアしたりコミュニティをシェアしたりすれば具体的にどのようなメリットがあるのかが分かりづらいので、購買動機につながらないのではと思っている。

 いい例が植栽だ。完成した建物の公開空地には鹿児島から取り寄せたケヤキの大木が16本も植わっていた。最近のマンションの外構に多く植えられるのは値段の安いシラカシだが、ケヤキとどれくらい差があるか、記者が販売担当者なら来場者にきちんと伝えるが、デベロッパーの販売担当者は知らない人のほうが多いのではないか。

 また、都の「マンション環境性能表示」でも満点の星15個に一つ欠けるだけの14個を獲得しているのだが、この価値をユーザーにきちんと伝えられているのか。記者はこれもまた高く評価している。

 これは同社だけの問題ではない。とくに電鉄(系)会社は、良くも悪くも鷹揚なところがある。各社が知恵を絞って〝見せる化〟をより一層進める必要がある。「コミュニティの価値」を価格に換算したら250万円というデベロッパーのアンケート調査結果もあるが、これはそのまま鵜呑みにできない。実際の消費行動はまた別ではないか。

 それと、やはり基本的には住戸プランの差別化というか魅力づけをしないと、立地条件に難のある物件は消費者の需要を喚起・創造することはできないと思っている。その点で、同社のプランはどうだったのか。

 例えば食洗機。記者は共働き世帯で食洗機は必需品だと思っているが、同社の物件はオプションだが、大成有楽の物件は標準装備されている。

 〝世界初〟が強調された割には、〝世界初〟に見合うメリットを具体的にユーザーにアピールできていないのではと感じた。

 かなり批判的なことを書いたが、東急不動産はユーザーから見たら東急電鉄グループだ。電鉄(系)会社の総合力は普通のデベロッパーより高いと思う。東急電鉄も毎日数百万人の足になっている。大学まで持っているデベロッパーなどない。それだけに歯がゆさを感じるのだ。

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エントランス部分

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シェアラウンジ

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「リサイクルシェアスペース」(コンシェルジュの了解を得て不用品を交換したり売買できるのだという)

安さだけではない、巧みな需要喚起策 「オーベルグランディオ品川勝島」(2015/1/27)

東急不動産の省CO2推進プロジェクト第1弾 「ブランズシティ品川勝島」(2014/3/9)

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「大崎ブライトタワー」商業エリア内観

 三井不動産は9月9日、今年5月に竣工したオフィス・住宅など7棟からなる「パークシティ大崎」の1~2階の低層部を中心に出店する商業ゾーン「パークシテシィ大崎 オリーブテラス」を11日(金)グランドオープンするのに先駆けプレス内覧会を開催した。

 出店するのは、日本の野菜フレンチの第一人者小峰敏宏氏が総料理長を務める「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」や名古屋が本拠の「若鯱家」の新業態「若鯱家-Beyond-」などの飲食店とショップ27店舗。

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 記者のお勧めは、わが三重県と親戚のような愛知県の名古屋本拠の「若鯱家-Beyond-」と「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」だ。

 「若鯱家」は、土鍋カレーシチューとワインが楽しめる名古屋めしダイニングで、愛知、三重、岐阜の東海三県の地酒なども楽しめる。

 「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」は、ワインの輸入が本業の「ヴィノラム」が出店するもの。梅原茂順社長は、「ウォークインセラーには常時1,200種を揃え、倉庫には60万本ある。レストランでは基本的に店頭で販売する価格にプラス1,000円で飲んでいただけるようにした」と、小峰氏は、「ディナーは5,000円から。ランチは10月からは3,500円だが、9月いっぱいは1,800円で提供する」とそれぞれ話した。

 店には全国から集めたオーガニック果実酒も600円から飲める。梅原氏によると「焼酎や砂糖ではなく、フルーツシュガーでじっくり時間をかけて漬け込んでいるので味は普通の果実酒と全く異なる。フルーツそのものの香りがする。このような果実酒はうちしかないのでは」ということだ。ワインは高額なものでは1本560万円もするものがあるそうだ。

 酒が店頭価格に1,000円プラスして飲めるというのはいかにも安い。飲食店は料理より酒で儲けるというが、梅原氏は「レストランだって値段は下げられるはず」と語った。

 ディナーは9月はほとんど満席だそうで、予約(電話03-6277-4108)したほうがよさそうだ。

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「若鯱家-Beyond-」

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「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」

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小峰氏

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キッチン

 三井不動産レジデンシャルは9月8日、ライフスタイルやライフステージに応じて住戸内のレイアウトを変えられる間取りフリープラン「Imagie(イマジエ)」を開発し、10月末に分譲するマンション「パークホームズ赤羽西」に採用すると発表した。キッチンをキャスター付きとして可動させるというもので、前代未聞の企画にユーザーがどのような反応を示すか興味津々の物件だ。

 物件は、都営地下鉄三田線本蓮沼駅から徒歩7分、北区赤羽西六丁目に位置する10階建て全160戸。専有面積は68.63~87.64㎡、価格は未定。竣工予定は2016年9月中旬。施工は長谷工コーポレーション。

 「Imagie」とは、「imagination(想像力)」と「ie(家)」を合わせた造語で、住む人が想像をふくらませることができる意を込めたという。   

 特徴は以下の6つ。①整形かつ天井・床面を完全フラットにした独自の空間設計②キャスターで可動するオリジナルキッチンユニット(Imagie kitchen)を新開発③専有部内の3カ所のキッチン接続ポートによって、キッチン移動工事の工程を大幅に削減④玄関前にゆとりあるウェルカムポーチを設けることで、バルコニーのような使い勝手を実現⑤プランに合わせて自由にグルーピングできる照明計画⑥主要な設備スイッチの集約で、空間レイアウトがさらに自由に-。

 記者発表会の冒頭挨拶した同社開発事業本部都市開発二部部長・各務徹氏は、「マンションのマーケットは都心部を中心に順調だが、外部環境は建築費が高止まりし、お客様の選別も厳しくなってきている。企業努力をしないといけない時代だ。今回の新商品も多様化しているニーズに応えたものの一つ。新商品は専有部分の8割を自由にプランニングでき、しかも安価でできるのが特徴。これからもどんどん付加価値をつけて進化させていきたい」と語った。

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キッチン下部キャスター(左)とキッチン接続ポート

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 「Imagie」を商品化できたのは、排煙ダクトがいらない循環式レンジフードを設置し、IHを利用することで排煙の問題(ガスでは具合が悪い)をクリアしたことがまず挙げられる。

 重さが400キロ近いキッチンをどう動かすかだが、これもキャスターを付けることで問題を解決した。キャスターを浮かせて床に固定する際の問題点も、京大防災研究所の実験で震度7相当でも強度は十分であることが確認できているという。

 さらに、接続ポート(電気・給排水・給湯設備)を3カ所に設置したことで、間取りの可変性をさらに高めた。しかも、工事は10万円以内で収まるという。階高(約3m)はそれほど変えずに、玄関に入る前からスロープ式にして住居内をフルフラットにし、給排水管の勾配もクリア。二重床・二重天井にし、妻側住戸6戸に限定したことで、音の問題も解消できたという。ただ、ディスポーザーには現段階では対応できないそうだ。

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「パークホームズ赤羽西」完成予想図

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 この嬉しさは何に例えたらいいのだろう。例えば、難しい方程式が解けたとき、囲碁・将棋、カルタ、チェスで劣勢を一挙に挽回したとき、ジグゾーパズルの最後のピースがはまったとき、知恵の輪を解いたとき、こんがらがった毛糸玉をほぐしたとき、小指のトゲが抜けたとき、生え変わりの歯が抜けたとき、〝そこそこそこ〟おばあちゃんの肩のつぼを探り当てたとき、贔屓チームの起死回生の逆転満塁サヨナラ本塁打のシーンに出会ったときect.…

 今回の発表会は、そんな嬉しさがこみ上げてきた。そして、ストンと胸に落ちるものがあった。同社の〝パークホームズ〟はたくさん見てきた。間取りプラン提案などは思い出せないくらい多く同社は熱心に取り組んできたし、可動間仕切りは他のデベロッパーも10年、20年前から取り組んできた。

 何が嬉しかったかと言えば、キッチンをキャスター付きで自由に動かせることだった。現場に居合わせた開発協力企業の一つ、タカラスタンダードの担当者によると、可動キッチンは商品としてはあったそうだが、マンションなどの住宅は給排水、換気扇などの問題があり、採用するところは皆無だったという。

 記者も可動キッチンなど考えたことがない。しかし、IHの普及と循環式レンジフードの開発によって、考えとしてはキッチンを自由に設置することは不可能ではないと思っていた。野村不動産と長谷工コーポレーション、ブリヂストンが共同開発した「サイホン排水システム」によって、マンションの間取りはそれこそ自由自在にできると考えていた。

 今回のシステムは「サイホン排水システム」ではないが、それを先取りしたものだ。よくぞ考え出したものだ。開発に当たっては日建ハウジングシステム、タカラスタンダード、富士工業販売、大塚家具、プロセブン、パナソニック、LIXIL、長谷工コーポが協力会社として関わっている。天晴れ、快哉を叫びたいくらいだ。

 嬉しいことはこれだけではない。冒頭挨拶した各務氏には、同社と伊藤忠都市開発が12年前、全701戸の平均専有面積が120㎡という、テーマが〝絆〟の「パークシティ東京ベイ新浦安」を3カ月で完売したときお会いしている。

 各務氏は当時、商品企画担当で、常識を超えた企画を「考え出すと夜も寝られず、悶々とする日もあった。『もっと小さくてもよかったのではないか』と考えたこともあった。気持ちがぐらついたとき、『経営陣も『面白い』といってくれた」と語っている。東日本大震災のあと〝絆〟は流行り言葉になったが、同社はそのころから〝絆〟をテーマにしていた。

 あの「新浦安」を手掛けた各務氏がまた、キッチンを可動式にするなど信じられないようなプランを開発し、責任者としてOKをよくぞ出したものだと思う。根っからの企画マンなのだろう。

 「Imagie」を説明したのは、各務氏の部下でもある同部開発室主任・長戸佐紀子氏だったが、長戸氏もまた嬉々として商品企画について記者団の質問に答えていたのが嬉しかった。

 いま記者は「女性活躍」をテーマに取材をしているのだが、同社はここ数年、ビッグプロジェクトも含め女性担当者が説明するケースが増えている。長戸氏は今回の商品開発に当たって、「キッチンを動かしたいという考えはかなり前から脈々と受け継がれてきた。キッチンを動かしたら楽しいじゃないですか。このプロジェクトにはすべて私も関わってきました」と話した。

 嬉しかったのはまだある。販売を担当する山際寛生氏とばったり出くわしたのだ。これは取材の趣旨とは離れるのだが、山際氏は第三企画が主催するRBA野球大会に平成12年にデビューした。

 愛知の名門・東邦-中大硬式野球部出身で、身長は185センチ。打席こそ4打席と少なかったが、3打数2安打5打点、本塁打も2本放った。投げては王者ケンコーポの小笠原から速球で三振を奪うなど、奪三振率は15.0をマークした。

 あの怪力ぶりはいまでも忘れられない。その後、仕事が忙しいのか野球大会にはほとんど出場しなくなったが、こうして現場で活躍されているのが何よりも嬉しい。山際氏のように販売現場ででも頑張っているRBA野球選手は何百人もいるはずだ。

 長々と書いてしまったが、連綿と引き継がれてきた同社の商品企画担当者の考え・夢がこうして実現したことに記者は感動を覚える。「Imagie」にユーザーがどのような反応を示すか、楽しみだ。人生に夢がある若年層ファミリーには大うけするかもしれない。その価値は「100万円高くても安い」と若い女性記者が語った。

 ウェルカムポーチがまた面白い。これに似たものは同社がもう20年も前にどこだったか忘れたが、提案したことがある。この提案も無限の可能性を秘めている。

 最後に坪単価について。同社は「価格は未定」としているので、以下はあくまでも予想だ。外れても責任は取らない。

 実は、同業の信頼できるある記者と行く途中で一緒になり、あれやこれや歓談し、二人で坪単価はいくらになるか話しあった。その記者は「坪250万円くらいか」と投げかけたので、わたしは「250万円でも驚かないが、三井さんはそこまで高値追求しないんじゃないか。230万円というのはあり得ないが、坪240万円くらいで分譲してくれたら拍手喝采したい」とかえした。分譲は10月末だが、もう少しすれば価格ははっきりする。坪240万円はいい線だろうと思う。

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ポーチ扉

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ウェルカムポーチ

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長戸氏

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山際氏

野村不・長谷工・ブリヂストン 画期的な排水システム開発、実用化(2015/5/22)

来場者9000組 3カ月で完売した「パークシティ東京ベイ新浦安」(2010/12/4)

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ポラスグループの「建築技術訓練校」

 国土交通省は9月4日、平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)の6つのプロジェクトを決定した。

 この事業は、木造・木質化による先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物のリーディングプロジェクトを公募の中から採択し、整備費などの一部を補助するもの。

 今回採択されたのは、埼玉県越谷市のポラスグループの「(仮称)ポラスグループ建築技術訓練校」事務所、大阪市豊中市の学校法人・森友学園の小学校校舎と体育館、江東区の太陽工業のスポーツ練習場、宮城県石巻市の中心市街地再生町家スタイル推進プロジェクトなど6件。

 「(仮称)ポラスグループ建築技術訓練校」は3階建ての事務所棟と平屋の実習棟で、延べ床面積1,371㎡。一般流通集成材を集束して形成する「合せ柱・合せ梁・重ね梁」を用い木造の準耐火建築物(60分耐火)として建築。実習棟内部に合板パネルを意匠的に配置するなど、内装を積極的に木質化したのが評価された。完成予定は来年3月。

 森友学園の校舎・体育館は3階建て延べ床面積は5,678㎡。防火地域で鉄骨造ではあるが、建物の内外部、また教室の床材に不燃化した杉材などの木質材料を使用しているのが特徴。

 太陽工業のスポーツ施設は延べ床面積1,745㎡。トップパラリンピア育成支援の拠点として計画するとともに、ランニングをテーマに地域コミュニティを形成する機能を持つ施設。工場加工によりユニット化した6角形架構を現場で組み上げ、アーチ形状の屋根を形成。接合部が簡易で、仮設建築にも応用可能。ユニークな外観も特徴。

 石巻市のプロジェクトは、5階建ての店舗・共同住宅・宿泊施設からなる延べ床面積は1,733㎡。1階をRC造、2~5階を木造軸組とし、特殊な技術によらない在来工法による耐火建築を実現した。

 このほか採択されたのは、新潟市の木造2階建て丸太組構法の「(仮称)セルフ片山・新潟屋団地店」と、三重県菰野町の縦ログ構法を採用した2階建て特別養護老人ホーム「(仮称)真菰の里」。

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 今回採択された6つのプロジェクトに対する補助金総額は約3.6億円。多いのか少ないのかの判断材料はないが、木造が好きで、わが国の森林・林業の再生を願う記者はものすごくいい制度だと思う。残念なのは応募したのは7件しかなかったことだ。補助金を増やせば応募が増えるのであれば、もっと増やしてもいい。国費は使うべきところに注いでほしい。

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森友学園の校舎と体育館

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太陽工業のスポーツ施設

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石巻市の中心市街地再生町家スタイル推進プロジェクト 

 

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「xevo Σ Grande(ジーヴォシグマグランデ)」

 大和ハウス工業は9月5日、戸建住宅最上位商品である「xevo Σ(ジーヴォシグマ)」に、更なる開放感を実現する空間提案や進化した省エネ仕様、高級感のある内外装アイテムを追加設定した「xevo Σ Grande(ジーヴォシグマグランデ)」仕様の販売を開始した。

 2014年1月に発売した「xevo Σ」は、繰り返しの巨大地震を受けても初期性能を維持できるエネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」や、天井高2m72cm・開口幅最大7m10cmの大空間・大開口が好評で、累計販売棟数が約3,000棟となった。

 また、2015年7月には月間販売棟数が当初目標の100棟を大きく上回る300棟以上の販売を達成、8月からは生産体制を強化し月産350棟体制とした。

 今回新規設定した仕様は、「xevo Σ」で好評だった大空間をさらに拡大。高い耐震性能は変えず、天井高2m72cmの床の高さに変化をつけることで最大3m8cmの天井高を可能にした空間提案「グランリビングモア」を開発した。

 

 

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