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「クレヴィア文京小石川」完成予想図

 伊藤忠都市開発は10月19日、「クレヴィア文京小石川」(総戸数38戸)の第1期22戸を10月3日に販売し、即日完売したと発表した。

 物件は、東京メトロ丸の内線・南北線後楽園駅から徒歩6分の地上5階建て。価格は6,690万~12,980万円(53.98㎡~89.40㎡)。今年3月のホームページ公開以降、1,800件超の反響があった。

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「木和美(きわみ)」イメージ

 アキュラホームは10月16日、日本の伝統的な「匠の技」を現代の住宅に採り入れた「木和美(きわみ)」の販売を開始した。

 「木和美(きわみ)」は、価格2,000万円(133㎡)台からで、普及価格帯でありながら匠と呼ばれる職人技を採り入れる仕組みを加えた業界でもこれまでに例のない住宅。

 組子細工による障子の骨組に和紙デザイナーの手漉きによる和紙を張ったオリジナル組子障子をはじめ、左官職人によるダイナミックなデザインと緻密で丹念な作業によって生まれる表情を活かした左官仕上げを、外壁はもちろん内壁にもアクセントとして採り入れるほか、数寄屋大工による手仕事や庭師による本格庭園から坪庭まで伝統技術を住空間に活かす。

 「木和美(きわみ)」に関わった職人は左官職人・久住有生、数寄屋大工・杉本広近、庭師・比地黒義男、和紙作家・堀木エリ子、建具職人・和田伊弘の5氏。

◇       ◆     ◇

 これは間違いなく売れると読んだ。今年8月、同社社長・宮沢俊哉氏が主宰する日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」の「第16回ジャーブネット全国大会」を取材したのだが、この5氏の共同作品が会場に展示されていたのを感動しながら見た。

 記事には「「いったいこの作品をお金に換算したらいくらになるのだろう。このままどこかに展示はできないのか」と率直に書いたほどだ。展示どころか実際に販売するというのもよく分かる。

 「木和美(きわみ)」には、その作品のエッセンスが盛り込まれるはずだ。「木」の肌触り、風合いが好まれるのは世界的な流れだ。同社はモデルハウスをどこかに建てないのか。

世界のメディアが匠の技に注目 第16回ジャーブネット全国大会(2015/8/9)

 

 

 

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「平成27年度 住生活月間シンポジウム」

 埼玉県住まいづくり協議会(風間健会長・高砂建設社長)は10月16日、「平成27年度 住生活月間シンポジウム」を開催。関係者ら244名が参加した。

 シンポジウムでは、第一部として国土交通省住宅局住宅総合整備課 住環境整備室企画専門官・細萱英也氏が「空き家問題の現状と取り組みについて」、第二部として防災・危機管理アドバイザー・山村武彦氏が「今日から取り組む災害対策(我が家と地域の安全)」についてそれぞれ講演した。

 また、同協議会が平成16年度から埼玉県警察本部の後援を得て取り組んでいる「住まいの防犯アドバイザー」の活動に尽力された川越市・星野文孝氏、越谷市・藤木正行氏、坂戸市・馬場雅樹氏の3人に感謝状が贈られた。

 同時開催として、「第11回埼玉住み心地の良いまち大賞」と「第2回埼玉県環境共生住宅賞」の入選作が展示された。

 埼玉県住まいづくり協議会は、「埼玉を創る!埼玉で頑張る!」をスローガンに、県内の民間住宅産業関連企業と行政・公共団体とが一体となり、優良な住宅供給を行うことで、県民の生活基盤の安定とその住環境の向上を図ることを目的に平成8年10月に設立された。

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左から藤木氏、風間氏、星野氏(馬場氏は欠席)

 「パークシティLaLa横浜」が傾いた問題で、三井不動産レジデンシャルがマンション全体の建て替えを住民側に提案したというニュースが流れた。

 問題の住棟だけでなく他の住棟にも不具合が判明したための決断だと思われるが、記者も賛成だ。専門的なことは分からないが、改修には建物をジャッキで持ち上げてコンクリを流して済むとは思えない。

 早く決断したほうがいい。とりあえず問題となっている住棟を建て替えるため区分所有法69条により、その棟の5分の4の同意で決議し、団地全体の4分の3の承認決議を得られれば建て替えることができる。

 その際の借り移転、買い取り希望者の買い取りなどの問題も、三井不動産レジデンシャルが適切に対応するのではないか。

 もちろん同法70条の一括建て替えも視野に入れていい。これには区分所有者全体の5分の4の議決と、各棟の3分の2の決議が必要だ。

 これまでたくさんのマンション建て替えを取材してきた。「時は金なり」を実感した。合意形成には大きな負担(エネルギー)がかかるが、とにかく急いだほうがいい。いま決断すれば全体建て替えに5年はかからないのではないか。

 10年前は坪160万円くらいだった。いまなら200万円は微妙だが、少なくとも坪180万円の価値はある。当時と比べ設備仕様もはるかによくなるはずだ。

 「災い転じて福となす」-入居者の方々にはお気の毒としかいいようがないが、三井不動産レジデンシャルも三井住友建設も旭化成も信頼を回復するために力を尽くすはずだ。建て替えの成功事例もたくさんある。知恵を絞れば妙案も生まれる。

同業も必見 三井不動産「パークシティLaLa横浜」(2006/5/9)

姉歯に懲りたはずなのに 建設業界を侵す宿痾か 

 三井不動産レジデンシャルが分譲した「パークシティLaLa横浜」が築10年にして傾いていることが判明し、大騒ぎになっているのにショックを受けた。

 というのも、このマンションが着工されたのは2005年11月下旬。あの構造計算書偽装問題(姉歯事件)が浮上した2005年11月の直後だ。姉歯事件は2007年の建築基準法改正にまで発展した。業界をあげて再発防止に取り組んだはずだ。なのに、その間に手抜き工事をしていたことになる。信じられない。人間の良心とかモラルなどが通用しない、底なしの根深い宿痾が建築業界を侵していると思わざるを得ない。

 そう思わざるをえない事件、施工不良問題が構造計算偽造問題以降もあとを絶たない。振り返りたくもないのだが、姉歯以降に発覚したマンションの施工不良をざっと紹介する。

 2008年年8月に発覚した「六会コンクリート事件」が記憶に新しい。幸い、構造問題には発展しなかったが、販売中断、工事中断を余儀なくされたマンションは10件くらいあったのではないか。

 大京は2011年8月、東亜建設工業が施工を担当した1997年竣工の「ライオンズマンション京町」で鉄筋不足などが判明して、建て替えることを発表している。

 住宅・都市整備公団(現・UR都市再生機構)がバブル期に分譲して人気になった多摩ニュータウンの「ベルコリーヌ南大沢5-6団地」(5棟146戸)でも施工不良がみつかり、2111年から2014年にかけて建て替えられている。

 この2つの事例は姉歯以前の問題だが、最近では、三菱地所レジデンスが2013年に分譲した「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」の工事不具合が2014年2月に発覚した。

 同社のフラッグシップマンションで、しかも施工が鹿島建設、設計・監理が三菱地所設計であったことから、天と地がひっくり返るような衝撃を受けた。マスコミも大騒ぎした。

 これだけでは収まらない。「南青山」の問題の直後、今度は清水建設などが施工した「I-linkタウンいちかわ ザタワーズ ウエストプレミアレジデンス」(売主は同社のほか三井不動産レジデンシャル、野村不動産、監理は日建設計)に鉄筋不足が見つかり、工事が中断された。

 時をおかずして、大成建設が設計・施工・監理を担当した積水ハウス「グランドメゾン白金の杜ザ・タワー」でも鉄筋不足が見つかり、工事をやり直した。

 まだある。12年8月に清水建設によって着工された三井不動産レジデンシャル「パークタワー新川崎」(設計・監理は松田平田設計)で工事の不具合がみつかった。

 デベロッパーは三井、三菱、野村、ゼネコンは鹿島に清水に大成、設計や監理は日建設計、三菱地所設計、松田平田-わが国を代表する大手ばかりがとうしてこんな不始末をするのか不思議に思っていたら、住友不動産も名がのぼった。

 2003年に分譲した熊谷組施工の「パークスクエア三ツ沢公園」が、建物を支える杭が支持基盤に到達していないことから傾き、建て替えることが昨年10月に報道された。

 これらの不祥事に追い討ちをかけるように今年3月、東洋ゴムによるマンションなどの建物の免震装置で不正が発覚した。「安心・安全」が売りのマンションも「安全」ではないことが分かって「暗然」としたのはしゃれにもならない。

◇     ◆   ◇

 記者は建築業界のことは全く分からない。信じられない事故がどうして起きるのか、その背景、理由について書くことはできない。

 一つ不思議に思うのは、「施工監理」についてだ。施工が設計図通りに進められているかどうかをチェックする重要な仕事だ。だから、単に「管理」ではなく、「見張る。取り締まる」意味を持つ「監理」が用いられているはずだ。

 どこが監理を担当するかは物件選考の重要ポイントだ。記者もマンションの記事を書く際、ニュースリリースに監理会社が記載されているときは極力盛り込むようにしている。「南青山高樹町」「市川」「白金」「新川崎」も全て書いた。

 この4物件については不幸中の幸いか、完成前に不具合が見つかり、是正措置が取られたという意味では「監理」機能は働いていたと理解できる。「LaLa横浜」について記者は記載していないが、リリースにも記載していなかったのではないか。不動産公取協の規約でも広告に監理会社を記載しなければならないという規定はないはずだ。

 不動産の広告に記載しなくてもいいということは、それだけ軽んじられているということにはならないか。昔から建築士業界の側からゼネコンが主張する設計・施工・監理一貫方式に対して、設計・施工・監理を分離すべきという主張がなされているが、流れとしては一貫方式にあるように思う。

 施工不良が後を絶たず、消費者の不安を増大させるようであれば、一定規模以上については分離方式を義務付けることが必要かもしれない。今回の「LaLa横浜」では監理会社の責任も問われるはずだ。旭化成建材と同罪といっては言いすぎか。

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「ルピアコート戸田公園」モデルルーム

 ポラスグループの中央住宅が分譲中の「ルピアコート戸田公園」を見学した。全36戸の小規模物件だが、実用新案を取得している「ピアキッチンカウンター」付きなどよく工夫されたプランだ。第1期15戸が即日完売したというのも納得だ。

 物件は、JR埼京線戸田公園駅から徒歩7分、戸田市本町一丁目に位置する13階建て全36戸。専有面積は59.26~71.08㎡、第2期(戸数未定)の予定価格は2,900万円台~4,800万円台。坪単価は220万円くらいと思われる。入居予定は平成28年11月下旬。施工は川村工営。販売代理は東京中央建物。

 現地は、商業地域で戸田中央総合病院に近接。建物は1フロア3戸の南向き。住戸プランは実用新案を取得しているピアキッチンカウンター付き、出窓付き、ワイドスパン、2重床・2重天井などか特徴。

 9月から分譲が始まっており、角住戸のタイプ15戸が即日完売した。

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模型(北側)

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 同社のマンションはほとんど見学しており、今回も最近の物件と同様水準以上だと思う。ピアキッチンカウンター付きが今回も人気になっているようだ。

 いいのはワイドスパンを採用していることだ。住戸は3タイプあり、ピアキッチンカウンター付きの71㎡のタイプの間口は約6,700ミリで、廊下幅は1,250ミリ。3か所に出窓付きだ。もう一つの角住戸67㎡の間口は6,200ミリで、廊下幅は1,085ミリ。3か所に出窓付き。中住戸59㎡のタイプの間口は6,400ミリ。間口を広くしているからこそ廊下幅を確保することができている。出窓付きのマンションなど最近はほとんどなくなってきた。

 その他細かな配慮もなされている。食洗機、バックカウンター・戸棚、プッシュプルドア付き玄関収納、引き戸は開閉ともソフトクローズ機能付き、リモコンロックなどだ。

 坪単価もぴったりではないかと思う。埼京線のなかでは武蔵浦和の開発が先行し駅前のマンションが人気になっているが、戸田市は財政的に豊かだし、もっと注目されていいと記者は思っている。新宿へ30分圏という立地を考えれば、220万円というのはリーズナブルな単価だ。

 注文を付けるとすれば、同社は年間に2~3棟くらいしか供給しない。であるならば、物件力で圧倒的な差別化を図り訴求すべきだろう。

 最近、同社のTX南流山「オレンジプロジェクト99」の一戸建て住宅街を見学して、床から壁・建具にいたるまで無垢材が採用されていたのにびっくりしたのだが、戸建てでできることをどうしてマンションに採用しないのか。「戸田公園」は床も壁・建具も他社と同じ「木目調」のシート貼りだった。

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幅1250ミリの廊下(左)とリビングドア(親子ドアにできる幅があることが分かる)

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 今回のマンションの特徴の一つに、販売事務所を同業他社と同じような設営にして販売態勢を整えていることがあげられる。どういった企業であるか、立地の特徴、物件の基本性能、住戸プランなどをアピールしようという狙いのようだ。同社が「埼玉エリア戸建て住宅供給ナンバー1」の看板も掲げられていた。

 これはこれで結構なことだ。どんどんやったほうがいい。ただ、せっかく戸建て供給ナンバー1を謳うのであれば、いったい戸数は何戸なのか(分譲は約2,200戸)、第2位はどこか書くべきだろうし、1階の天井高2,700ミリを標準にしていることくらい訴えていい。

 同社にははなはだ失礼だが、自社物件のㇾベルの高さ・価値を十分にアピールできていない。価値の「見える化」「見せる化」をもっと研究したほうがいい。

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モデルルーム

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「ザ・パークハウス 金小金井ガーデン」完成予想図

 三菱地所レジデンスが12月上旬に分譲開始する「ザ・パークハウス 金小金井ガーデン」を見学した。駅から徒歩7分の、周囲を第一種低層住居専用地域が取り囲む6階建て全468戸の規模で、同社としては東京都市部最大規模のマンション。坪単価は220万円。リーズナブルな単価で人気を呼ぶか。

 物件は、西武新宿線花小金井駅から徒歩7分、小平市鈴木町2丁目に位置する6階建て全468戸(ほかに3階建て共用棟あり)。専有面積は55.98~91.23㎡。最多価格帯は4,300万円台・4,400万円台。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2016年7月上旬。

 最大の特徴は、駅から桜並木が美しい舗道から少し入った、周囲が第一種低層住居専用地域で、マンションの敷地のみが第一種中高層住居専用地域に立地している点だ。敷地は昭和36年に建設された4~5階建てのNTT社宅跡地で、用途地域が指定された昭和48年に、この社宅のみ建蔽率60%、容積率200%に指定された経緯がある。

 敷地は南北軸が約300mという細長いため、建物は東向きと西向きに配棟(全11棟)。建物の高さ規制は25mだが、18mに抑えているのも大きな特徴の一つ。

 コミュニティ活動を支援するため、東京学芸大こども未来研究所・鉄矢悦朗教授監修による「キッズルーム」、武蔵野美術大学・山中一宏准教授監修による「コミュニティルーム」などを共用部に配するほか、マンションとしては初めて日比谷花壇と植栽・装花でのコラボを実現。「街路庭園構想」をコンセプトに「四季の花壇」や街路、外構を整備する。

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「花とコニファーの散歩道」

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 シアターを見ながら「いったいいくらなら売れるか」を必死で考えた。花小金井はとにかく桜がきれいで、延々と続く舗道空間が素晴らしい。小金井公園、小金井カントリーも徒歩圏にある。西武新宿線のなかでもっとも好きな街の一つだ。

 しかし、都心へのアクセス、生活利便施設、分譲戸数の多さなど総合的に評価すると、坪単価は220万円くらいなら間違いなく人気になると読んだ。同じ駅圏で住友不動産が8年くらい前にやはりNTTの大規模社宅跡地を取得している。分譲はこれからだが、小金井公園に近接しており、坪230万円くらいになると考えている。一方で、地所は諸々のことを考えるとそこまでしないと判断したのだ。

 同社の担当者から220万円くらいになると聞いて、小躍りするくらい嬉しかった。高値追求もいいが、第一次取得者向けは価格を抑えられるだけ抑えるべきだ。

 住戸プランは、本日(15日)先に書いたようにショートスパンのプランが中心で、柱・梁型も出ていたのが気になったが、ディスポーザ、食洗機などは標準装備されている。

 ひとつ褒めたいのは「マンション家計簿」だ。これはなかなかよくできている。デベロッパーは数年前からエネルギーの「見える化」を進めているが、その多くは電気、ガスなどの光熱費に限られるものが多い。しかし、マンションに居住する場合、これだけでは不十分で、水道代、ゴミ処理費から車の維持管理費も含めるべきだとずっと思っていた。

 今回、同社のマンション家計簿には水道代や車の維持管理費なども書きこめるようになっている。今年のグッドデザイン賞ベスト100に選ばれただけのことはある。生ごみその他のゴミ処理費をどうカウントするかが課題だろう。さらに言えば、夫や妻の家事労働を金額に換算して表示できるようにすれば、「無償の愛」をどう評価するかという問題は残るが、いかに主婦(主夫)に過重な負担が掛かっているかが見えてくるはずだ。

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 図1は、不動産経済研究所が毎月発表するマンションの市場動向調査をもとに2010年から最近までの首都圏マンションの分譲有効率の推移を見たものだ。有効率とは、マンションの総建築延床面積に占める専有総面積の比率を示すもので、賃貸物件などはレンタブル比率と呼ばれるものだ。有効率(レンダブル比率)が高くなればなるほど投資効率が高くなる。

 どうしてこのような有効率の話を持ち出したか。それは、ここ最近、規模的に見て当たり前の施設だったゲストルーム、キッズルーム、フィットネスルームなどが削減されているのではないかと思うようになったからだ。建築費の上昇を表面化させないためにそのような手段が講じられているのではないかという仮説をたてたのが調べることにしたきっかけだ。

 一般的にマンションの有効率は80~85%とされており、不動産経済研究所のテータが70%台で推移している理由がよく分からないのだが、延べ床面積のうち容積率に算入されない共用廊下、エレベータホール、機械室などもあるいは含まれているからかもしれない。

 仮にそうだとしても、図からわかるようにじわじわと有効率が高くなっていることが分かる。2010年には75%前後で推移していたものが、昨年からは80%台になった月があり、この5年間で2ポイントくらい上昇していることが読み取れる。

 これは明らかにゲストルール、キッズルーム、その他コミュニティなどの施設を設けないことで、その分を分譲に回していることをうかがわせる。仮説は正しいことを裏付けるデータではないかと思う。

 一方で、2011年9月と2015年7月はそれぞれ67.6%、68.9%と極端に有効率が下がっている。これは、2011年9月には野村不動産の「相模大野」「武蔵浦和」合わせ455戸の大規模駅前再開発マンションが、そして2015年7月には東京建物の「目黒」第1期603戸が分譲されており、いずれも共用施設が充実しているために数字を引き下げた要因と考えられる。

 共用施設も当然に分譲価格に転嫁されるのだが、大規模になればなるほど1戸当たりの分譲単価の上げ幅は小さくなる。

 有効率を高めることは、一方では一戸当たりの価格や分譲単価を抑制する役割を果たす。その意味で有効率は調整弁的な働きもするが、当然、共用スペースの圧縮による居住性能の低下をもたらす。この先どうなるか。

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 図2は、首都圏マンションの分譲坪単価の推移をやはり不動産経済通信のデータをもとに示したものだ。

 これも明らかに上昇していることがわかる。2010年ころは平均200万円くらいで推移していた単価は2012年あたりから上昇が顕著になり、今年に入って都心の高額マンションが大量に供給されたこともあり、平均で270~280万円へと2010年比で3割から4割も上昇している。

 普通のサラリーマン世帯が無理なくマンションを取得できる坪単価のアッパーは250万円、グロスで言えば20坪(66㎡)で5,000万円、23坪(76㎡)で5,750万円くらいだろうと記者は見ている。今後、単価がどのように推移するか不明の部分も多いが、都心部の富裕層・アッパーミドル層向けはともかく、郊外の第一次取得層向けは取得限界に近づいている。

 だからこそ、先に見たようにデベロッパーは有効率を高めていると見ている。このほか、建築費の高騰を見せかけ状顕在化させないための手段も講じられている。

 もっとも手っ取り早いのが専有面積を圧縮し、設備仕様レベルを下げることだし、これは数年前から顕著になっている。さらに2重床・2重天井を直床にするとか、階高を下げるとか、逆梁ハイサッシを順梁にするとか、間口を狭めるとかなどが頻繁に行われるようになっている。

 間口で言えば、かつては70㎡台の3LDKといえば間口は6200ミリとか6300ミリ確保するのが当たり前だったのが、いまでは6000ミリくらいが圧倒的に多くなっている。

 いうまでもなくこれらの価格圧縮策は居住水準の低下をもたらす。この傾向がどこまで進むのか見守りたい。

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「2020年に向かう、新たな森づくりシンポジウム」(全国都市会館)

 先日(10月6日)、美しい森林づくり全国推進会議と林業復活・地域創生を推進する国民会議が主催して「2020年に向かう、新たな森づくりシンポジウム」が行われた。 

 いま成熟期にある国内の木材を活用した建材・部材の技術開発が進み、都市部のオフィスや商業施設、福祉・コミュニティ施設などでも木材の使用や木材製品の開発の動きが強まっており、この動きを東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を一つの区切りとして森づくりにつなげ、地域創生の方策を論議するのが趣旨だ。

 シンポジウムには今井敏・林野庁長官が来賓として挨拶し、涌井史郎・東京都市大学教授が「オリンピックレガシーとしての森と木を活かす持続的な社会」について、本郷浩二・林野庁森林整備部長が「森と木を活かす森林・林業施策の現状と今後」についてそれぞれ基調講演した。

 このほか、山本恵久・日経アーキテクチュア編集委員と網野禎昭・法政大学デザイン工学部教授がそれぞれの立場から木づかいの最前線について概要報告した。

 パネルディスカッションでは宮林茂幸・東京農大教授がモデレーターを務め、都市での木づかいをどうして地域創生につなげていくかを講演者・概要報告者が語り合った。

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涌井氏(左)と網野氏

◇       ◆     ◇

 記者が傍聴・取材したのは宮林氏が最後に「山が健康だからわれわれは元気でいることができる。このままでは日本列島がつぶれてしまう」語ったように、同じような危機感を抱いているからだ。

 シンポジウムの時間は3時間近く。一つひとつ紹介したいのだが、なにしろ最後尾に座ったので声が聞きづらく、加齢による書き取り力が加速度的に衰えてきたため正確にメモを取ることができなかった。なので、ここではエッセンスにとどめる。詳細は主催者の事務局から11月の半ばにはネットで公開されるので是非読んでいただきたい。

 深尾精一・首都大学東京名誉教授や村上周三・東大名誉教授らとともに新国立競技場整備事業の技術提案等審査委員を務める涌井氏は、オリンピックレガシーとは何かを先のイギリス・ロンドンオリンピックの成功例を引き合いにし、世界に例をみない超高齢社会をわが国がどのように乗り切るのか、災害リスクをどうやって克服するかなどポジティブな姿勢を発信することが重要と力説した。

 また、わが国の森林の公益的価値が70兆円にものぼり、巨大都市を支えているにもかかわらず危機的な状況にあるとし、「伐って、使って、植えるという分かりきったことを行うことが社会の疲弊から救う」「オリンピックに向けて木材利用の可能性を示し、自然と人が共生し、健康な森林を取り戻す絶好の機会」などと話した。

 網野氏は、オーストリアのスイス国境近くの「木造建築のメッカとしてヨーロッパで注目されている」山村をプロジェクター付きで紹介し、森の資源を大切にし、建物の長寿命化を図ることが極めて理にかなったことだと話した。

 さらに、「建築物の木質化を進めるには法規制などハードルが高いが、われわれは技術的なことに走りすぎて、なぜ木造が必要かという論議はされていない。木造と共生する人間社会にしないといけない」と語った。

 網野氏が話したオーストリアの山村については、別掲の記事を参照していただきたい。

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左から宮林氏、涌井氏、本郷氏、網野氏、丸川氏(林業復活・地域創生を推進する国民会議事務局)

◇       ◆     ◇

 涌井氏は講演の中で「育樹祭」について触れ、「今回は伐採を行う。画期的なこと」と話した。10月11日(日)に岐阜県で行われた「第39回全国育樹祭」のことで、臨席された皇太子さまがのこぎりを使って間伐材に切り込みを入れられたそうだ。

 植樹祭の模様はNHKで全国放映されるが、どうして育樹祭は放映されないのか。ラグビーワールドカップもプロ野球CSも観たいが、このような国家的国民的行事はきちんと報道すべきだ。

「RC、S、木造の垣根を越えよう」網野禎昭・法大教授 欧州の木造建築物を語る(2011/10/19)

 

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 大和ハウス工業、パナソニック、セブンドリーマーズの3社は10月7日、世界初の全自動洗濯物折り畳み機「laundroid(ランドロイド)」2016年度中の先行販売をめざし共同開発をスタートさせたと発表した。

 「laundroid(ランドロイド)」が完成すれば、洗濯物にかける手間から解放される。

◇       ◆     ◇

 これには驚いた。自動洗濯物折り畳み機を開発したセブンドリーマーズ広報によれば、専用機はシャツ、ズボン、スカート、タオルの4種を認識し、つかみ、広げて折りたたむことができる。2017年までに靴下なども認識できるようにし、さらに、アイロン掛けから収納までオールインワンモデルをパナソニック、大和ハウスと共に2019年に向け開発するそうだ。

 大きさは冷蔵庫くらいで、値段は「高級家電並み」としか公表していないが、「50万円から100万円」と報じたメディアがあるそうだ。 

 「laundroid(ランドロイド)」のコンセプトモデルが10月7日~10日に幕張メッセで行われた「CEATEC JAPAN 2015」で出展されており、実演の模様がネットなどで公開されている。

 夜寝るときに洗濯機に洗濯物を放り込んでおけば、朝起きたとききちんと折りたたまれ、収納されている時代がやってくる。

 ここまで技術が進歩するのなら、洗濯機のもののような中に数分入るだけで身体を洗ってくれて温まる全自動身体洗い・保温機は開発されないか。

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