「機略縦横」に業務推進 ポラスグループ・中内晃次郎代表 年頭所感
2016年 年頭所感
ポラスグループ代表・中内晃次郎
来年に予定されている消費税の増税の影響については、8%の時ほどの駆け込み需要はないと思われますが、反動減は来ると思いますので、落ち込みに対応できる筋肉質な体制を作ってまいります。
住宅業界の中長期的なトレンドとしては、少子高齢化の進展による住宅着工の減少と建築業界に従事する職人不足は切り離せません。こうした、市場が縮小していく中では、企業の買収や廃業等によるプレーヤーの減少により、大きな会社・強い会社がより力をつけていく傾向があります。また、米国で利上げが実施され、国内では来年の消費税のアップと相まって、受注金額や売買価格の振れ幅が大きくなる可能性があります。プレーヤーの減少や取引価格の変動は考え方によってはチャンスでもありますので、しっかりとした準備をして勝ち抜いて参りたいと思います。
本年は、わが社の事業においてもドメインやジャンルごとに、好不調異なる動きが出てくる、安定しない難しい年になると予想されますが、これまでのことを仕組化・効率化して、基本を大切にしながら「機略縦横」に業務に取り組みます。
また昨今、商品の品質に対する顧客の要求レベルが非常に高くなっております。当然ではありますが、ミスが許されない世界です。資格取得など自己研鑽に励み、個々を進化させ、競合とのギリギリの戦いで勝っていけるよう、環境を整備します。そして平成31年に迎える創業50周年に向け、強固な企業基盤を構築致します。
(見出し、改行などは記者が行いました)
各事業・エリアでナンバー1を奪取 大和ハウス・大野直竹社長 年頭所感
2016 年 年頭所感
大和ハウス工業・大野直竹社長
昨年はアベノミクス効果により、企業業績も回復し、消費マインドの持ち直しが見られました。住宅業界でも「住宅購入に対する贈与税非課税枠の拡充」や「省エネ住宅ポイント」などの各種施策により、回復の兆しが見られた年でもありました。
そのような中、当社グループ役職員全員の弛まぬ努力により、創業60周年を迎えた昨年、過去最高の業績を達成することができました。これも企業理念であるパイオニア精神のもと、常に挑戦者の立場で創意工夫を積み重ねてきた結果です。
しかし、好業績でも、決して慢心してはいけません。皆さんは、「大企業病」に陥らないよう、スピード感を持って、謙虚な気持ちで行動し、様々なリスクへの対処も怠らないでください。
本年は2017年4月に控える消費税再増税により、需要の増加が予想されます。一方で、2017年は増税後の反動が顕著に表れる可能性があり、経済情勢も先行き不透明な状況です。
そのため、2016年は「来るべき時に備え、築く年」と考えてください。将来開発可能な物件の購入や用地の仕入れはもとより、多くの方々の役に立ち、喜んでいただける商品開発やサービスの提供に取り組み、来たるべき時に備えてください。
また、売上高4兆円への歩みを着実なものとするためにも、コア事業である住宅事業が業界シェアナンバー1 になることはもちろん、全事業部で改革を推し進め、各事業・エリアでナンバー1を奪取してください。さらに、4月から始まる第5次中期経営計画では、失敗を恐れず、勇気とスピードを持って「プラス2、プラス3の事業」を創出するとともに、国内で培ってきた事業の海外展開を積極的に進めてください。
最後に、東日本大震災の発生から、多くの方が避難生活を余儀なくされています。当社グループは引き続き被災地の早期復興に向け、支援活動を続けていきましょう。
(見出し、改行などは記者が行いました)
ZEH・省エネ、女性活躍など強力に推進 積水ハウス・阿部俊則社長 年頭所感
2016年 年頭所感
積水ハウス代表取締役社長兼COO・阿部俊則
新年明けましておめでとうございます。
社会がめまぐるしく変化する中、住宅産業を取り巻く状況も日々、移り変わっています。
積水ハウスは現在、「請負型ビジネス」「ストック型ビジネス」「開発型ビジネス」の三つのビジネスモデルで事業を展開しています。リーマンショック以降の構造改革、グループ連携などにより、各事業の収益基盤が確立し、利益成長を三つのビジネスモデルでバランス良く支える体制が整ってきたことで、業績が好調に推移しています。
昨年、誕生から30年を超えた「イズ・シリーズ」にオリジナル外壁「ダインコンクリート」の新柄「シェードボーダー」を導入し、木造住宅「シャーウッド」では、天井高の自由度を高めることができる「20周年記念モデル」を発売しました。さらに好調な3・4階建て住宅では、業界最高水準の遮音性能を誇る「シャイド50」を用意するとともに、4階建ては型式認定を取得するなど、ブランドビジョン「SLOW & SMART」を機軸に、 付加価値の高い商品提案でブランドづくりに注力しています。 いずれも性能やデザインなどの付加価値向上というお客様に歓迎される変化、つまり進化です。
これからは施工力の確保がこの業界で勝ち抜く鍵を握ります。生産においては、ロボットやITを活用しながら生産から設計、施工まで全体で改革を進めています。一方で、工事店を含め、施工力向上に向けた人材育成にも注力しています。
また、積水ハウスの成長には、女性の活躍が欠かせません。女性管理職も増えるなど「ダイバーシティ推進室」設置の成果が随所に表れています。
COP21での日本の公約達成に向け、家庭部門のCO2排出量削減の推進のため、2020年に住宅メーカー等の新築の半数以上をゼロエネルギーハウス(ZEH)とし、省エネリフォームも倍増するという政府方針が打ち出されました。
積水ハウスのゼロエネルギーハウス「グリーンファースト ゼロ」の戸建住宅における比率は、2015年度上期で既に74%を占めますが、これまでの目標を上方修正して2020年までに80%に高めるとともに、省エネリノベーションを強力に推進します。
COP21の「建物及び建設部門における共同宣言」に、国内で唯一賛同・署名した企業としても率先してこれらの取り組みを進めて参ります。
「社会に必要とされる会社」であり続けるために、社会の変化に柔軟に対応し、社会課題を解決しながら、中期経営計画の最終年度の今年は、さらなる飛躍を目指します。
(見出し、改行などは記者が行いました)
記者が選んだ2015年「話題のマンション33物件」
三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザタワー」
東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Towers 目黒」
大成有楽不動産・長谷工コーポ「オーベルグランディオ品川勝島」
今年の最後の「こだわり記事」は恒例の「話題のマンション」。今年見学したマンションは約90件。昨年より若干減少した(その分、分譲戸建ての見学を増やした)。
その中から33物件を選んだ。いつものことだが、「話題性」を重視して選んだので、必ずしも物件の優劣で選んだわけではない。とはいえ、水準以下の物件は1物件も選んでいないつもりだ。物件はほぼ記事の掲載順に紹介する。
1年間を振り返ると、都心の高額マンションがバブル期を彷彿させるような爆発的な売れ行きを見せたのが印象深い。坪単価も山手線では400万円を突破し、都心部では800~1,000万円が相場となりつつある。
郊外部は、業界内では売れ行きがいま一つといった認識があるようだが、記者はそう思わない。
郊外部でも価格上昇が顕著で、坪単価150万円以下がほとんど姿を消した。グロスにすると70㎡で約3,200万円。中堅サラリーマン層の取得限界に近づいている。にもかかわらず、堅調に売れている。都心部が異常なだけだ。
残念なのは、基本性能、設備仕様レベルの低下だ。基本性能では70㎡台の郊外マンションは直床(ダメというのではないが)が当たり前となり、以前は6.2m以上あったスパンは6mが普通となった。
設備仕様も、バックカウンター・吊戸棚はオプションになり、食洗機やスロップシンクを設置しないところも増えてきた。床・建具・面材もみんな右に倣えなのかケミカル一色になった。
まあ愚痴を言ってもしようがない。来年に期待しよう。
住友不動産「シティテラス草加松原」
東武スカイライン松原団地駅圏の約6,000戸のUR「松原団地」建て替え事業の一環として分譲された全538戸の規模。
URと草加市が敷地売却の条件として敷地面積約2haに対して1戸当たり38㎡の土地を確保することを求めたため、坪単価180万円で、平均価格は4,000万円を突破した。これまで草加松原駅圏の坪単価は130~140万円で推移していた。単価は3割以上の上昇となった。
サンケイビル「ルフォンリブレ浜松町キャナルマークス」
これまで倉庫街としてしか知られていなかったゆりかもめ「日の出」駅から徒歩2分の港区海岸2丁目に立地。浜松町に徒歩10分というのも売れた要因か。
さすがサンケイビルか。フジテレビの朝番組「めざましテレビ」のセットそのままのモデルルームが設けられていたのには唖然とした。
大成有楽不動産「オーベルグランディオ吉祥寺II」
旧日本住宅公団「牟礼団地」の建て替え事業地の一環で、同社が2013年に分譲し人気になった「オーベルグランディオ吉祥寺Ⅰ」(177戸)に次ぐ第2弾。
今回はやや単価が上昇し、専有面積は最低でも72㎡台、平均で約78㎡と広くなった。最寄り駅の一つ京王線仙川駅圏や調布駅圏でも大規模マンションが分譲され、大激戦となったエリアで大健闘。
三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス西新宿タワー60」
第1期325戸 平均2.19倍で即日完売(2015/2/23)
総戸数954戸うちの事業協力者住戸を除く販売住戸全777戸が分譲開始からわずか10カ月で完売して話題となった。新宿区内のマンションとしては、昨年、「富久クロス」(全1,222戸)の分譲住戸992戸がわずか6カ月で完売して話題となったが、それに次ぐ早期完売。これまで約3,500件の来場者を集めた。
販売前からコミュニティ支援のイベントを定期的に行っているのを評価したい。
三井不動産レジデンシャル「パークリュクス銀座mono」
野村不動産「プラウド日本橋三越前」
NTT都市開発「ウエリス銀座二丁目」
東京建物「Brillia日本橋三越前」
日本橋・銀座エリアで4物件が供給されいずれも人気を呼んだ。
「パークリュクス銀座mono」は、銀座8丁目でそれほど立地条件に恵まれているわけではないが、実需というよりは投資向けに圧倒的な人気になった。坪単価415万円は中古より安かった。
「日本橋三越前」も問い合わせが4,500件にのぼり、圧倒的な人気を呼んだ。「日本橋三越前」が最寄り駅というのが最大の人気の要因。設備仕様レベルも高かった。
「銀座二丁目」は、「銀座アドレス」で所有権分譲としては10年ぶりで、初の80㎡台があるマンション。北は北海道から南は沖縄まで問い合わせは2,500件に達した。建物は2015年2月に竣工済み。全体的にグレードが高いのが目立った。
東建「Brillia日本橋三越前」は女性を中心とした商品企画プロジェクトチーム「Bloomoi(ブルーモア)」が企画に参画。全44戸を即日完売した。
コスモスイニシア「グランコスモ武蔵浦和」
またイニシアだ! アクティブシニア向け(2015/3/24)
現在分譲中のマンション「武蔵浦和SKY&GARDEN」などとともに一体開発されている再開発プロジェクトの一つ。購入者の年齢制限は設けてはいないが、60歳代以上のアクティブシニア層をターゲットにしたマンション。
これまでアクティブシニア向けは郊外部が中心だったが、同社は10年くらい前から企画を温めてきた。企画秀。
伊藤忠都市開発「クレヴィア大船」
親子隣居を可能にした「アウタールーム」採用(2015/4/17)
親子隣居を想定した「アウタールーム」付きを最上階タイプの6戸3組に採用。
「アウターフレーム」とは、一般的なマンションのバルコニーは奥行き約1.8~2.0mで、隣の住戸との間には隔て板を設けているのに対し、隣り合う住戸のバルコニーの隔て板を設置せず、双方の住戸をバルコニー空間でつなぐというもの。親子世代の「つかず、離れず」の関係が保たれるのがみそ。
東京建物ほか「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE」
基本性能・設備仕様レベルの高さが光った。キッチン天板はアフリカ・アンゴラの貴重な御影石「ステラブル」で、バックカウンターも標準装備。リビングドアなどは突板の浮造り仕上げ。天井高は2600㎜以上。
「Bloomoi」とキリンビールの女性社員とが「働く女性がもっと幸せになる住まい」グループインタビューを実施して編み出した「お酒が楽しめる空間」も提案。
フージャースコーポ「デュオヒルズつくばエンブレム」
つくば駅圏で実績豊富なフージャースコーポレーションの記念碑的物件。計画的に整備されたつくば駅周辺のセンター地区の一角にあり、オークラフロンティアホテル、常陽銀行、つくば中央警察署、大清水公園、筑波合同庁舎などが隣接・近接。周辺はペディストリアンデッキでつながれており、駅まで車道を通らず移動できる一等地に立地。同駅圏では初の免震工法を採用、デザイン監修は光井純氏。
東急不動産「ブランズタワーみなとみらい」
プラン・設備がいい、坪400万円は納得 (2015/5/13)
間違いなく同社の記念碑的なマンションだ。「みなとみらい」駅から徒歩2分、「クイーンズスクエア横浜」に隣接する免震の29階建てタワーマンション。坪単価は当初380万円くらいと見られていたが、人気が高いことから400万円以上に上方修正された。第1期150戸は440万円でも即日完売した。
近鉄不動産他「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」
東急不動産の「みなとみらい」より少し遅れて供給されたが、こちらも坪単価は400万円を突破か。両物件が競合というよりは相乗効果のほうが大きいと見た。
三菱地所レジデンスほか「ザ・パークハウス千歳烏山グローリオ」
「公団烏山第一団地」跡地に建設されるもで、お年寄り夫婦の入居を想定した「ユニバーサルプラン」がいい。面積は約59㎡。両面バルコニーで、南西側の玄関を入るとすぐにバルコニーに面したリビング・ダイニングがあり、その隣が半独立型のキッチン。居室2室は北西側に設置。廊下幅はメーターモジュールとし、トイレを含むすべてのドアは引き戸を採用。
大和ハウス工業「プレミスト高尾サクラシティ」
この5年間で2棟120戸しか供給されていない高尾駅圏の総戸数416戸の大規模マンション。約16,000㎡の沖電気の敷地跡地。敷地に隣接して複合商業施設と戸建て街区が予定されおり、保育所・小学校も隣接。「サクラシティ」は既存樹のサクラが市民にも開放され親しまれていたことから名づけられた。販売も順調のようだ。
三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウスグラン南青山」
同社の都心のフラッグシップ「ザ・パークハウスグラン」の第3弾。即日完売して話題を呼んだ。坪単価は800万円弱。全101戸のうち81戸が事業協力者住戸81戸で一般分譲は20戸のみだった。これまたすごい。
三井不動産レジデンシャル「パークシティ武蔵小杉ザガーデン」
総面積が約92haの再開発エリアの一角で、これから開発が進められる駅北口の第1弾プロジェクト。敷地は旧日本石油の社宅・独身寮跡地。
全592戸のうち第1期として409戸が供給された。坪単価は330万円。「小杉人気」は高まる一方だ。
伊藤忠都市開発「クレヴィアタワー池田山」
他の大規模都心マンションの人気に隠れてしまったが、この物件も全104戸がわずか5カ月で完売した。坪単価400万円。設備仕様レベルが高い。
野村不動産他「桜上水ガーデンズ」
分譲開始は2013年だったが、記者は「話題のマンション」に含めなかった。単価(330万円)が高すぎると判断したからだ。しかし、同社が竣工見学会を開き、その全体的なレベルの高さに驚愕した。なので、今年の「話題のマンション」として加える。建て替えマンションとしては同社の物件だけでなく、首都圏を代表する物件の一つ。
駐車場地下化、3~5戸1エレベーター、日建設計、既存樹180本などのランドスケープが素晴らしい。管理組合の〝いいものを作ろう〟という意思が伝わってくる。
三井不動産レジデンシャル「パークホームズ赤羽西」
キッチンを動かせる画期的商品「Imagie(イマジエ)」開発(2015/9/8)
同社は近年〝パークホームズ〟の商品レベルを飛躍的に上げているが、キッチンを簡単な工事で動かせる画期的商品「Imagie(イマジエ)」を開発、第一号としてこの物件に採用した。マンションの間取りが劇的に変わる可能性を秘める。
コスモスイニシア「イニシアクラウド二子玉川」
コスモスイニシア、新ブランド第1弾公開(2015/8/25)
同社の新ブランド「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)」第一弾。ライフスタイルやライフステージによって間取りが変えられるのが大きな特徴。各居室はスライドウォール・引き戸を開閉することで1LDKから3LDKまで自在にレイアウトできる。
間取りを自由自在に変更できるのも、木のぬくもり・優しさを感じさせる素材の採用も、ここ数年の時代の流れだ。ありきたりのプランでは満足しない層のニーズを取り込む企画が優れる。
小田急×コスモスイニシア「リノグラン東林間アリーナ/ブライト」
バブル仕様の素晴らしいリノベーション物件(2015/9/17)
ポラスグループ「ルピアージュ天王台」
“オールポラス”で初のリノベはバブル仕様(2015/11/19)
東急不動産「MAJES(マジェス)六本木」
都心立地に特化したリノベ事業に参入 第1弾は「六本木」(2015/10/9)
リノベーションマンションでは、小田急不動産・コスモスイニシア「リノグラン東林間アリーナ/ブライト」、ポラスグループの「ルピアージュ天王台」、東急不動産「MAJES(マジェス)六本木」を選んだ。
「東林間」は小田急の賃貸マンションで、外壁はもちろんバルコニー、階段はタイル張り。一部にはライトコート(吹き抜け)もある。住戸の天井高は2400ミリだが、2重床・2重天井で浴室の段差はほとんどない。平均で75㎡(アリーナ棟)、81㎡(ブライト棟)と広いのも特徴。
「天王台」は、バブルの絶頂期、平成2年に竣工した三井住友海上の社宅で、施工は清水建設。PC工法のため躯体はいじられていないが、専有面積は約90㎡、中住戸にはすべてライトコートが付いており、当時の質の高さがうかがわれるマンションだ。6つのプラン提案もいい。
「六本木」は、麻布、赤坂、青山、恵比寿、中目黒、代官山など都心3区を中心とした築浅の物件を再生して分譲する新しいブランド「MAJES(マジェス)」の第一弾。
三井不動産レジデンシャル「パークホームズ立川」
すまい(日常)の中にアウトドアライフ(非日常)を取りこむ住戸プラン「半ソト空間」をスノーピークと共同開発。採用するのは1階部分の住戸と共用部分だが、その他の住戸プランも工夫されており、坪単価も割安感がある。
三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス京都鴨川御所東」
12月6日抽選分譲した第1期1次26戸が最高5倍、平均1.69倍の競争倍率で即日完売。
登録者の年齢は30歳代が1割、40歳代が2割、50歳代が4割、その他が3割。居住地は東京都が3割、京都府が2割。これまでの問い合わせ件数は約1,700件、来場者数は約350件。
登録者の居住地が地元京都より東京都のほうが多いのは予想していた。なので「話題マンション」に含めた。
明和地所「クリオ駒沢公園」
全53戸のうち10戸は億ションかプレミアム仕様(2015/10/30)
再開発進む駅前一等地&公園に隣接明和地所「クリオ東小金井パークフロント」(2015/3/6)
同社が春先に坪単価が300万円前後の〝割安〟マンションを「東小金井」で分譲して驚いたが、「駒沢公園」は相場並みの400万円くらい。駒沢オリンピック公園に徒歩4分、国立東京医療センターに隣接する全53戸の中層マンションで、同社久々の100㎡の億ション10戸くらいが含まれる。意欲的な物件だ。
ナイス「ノブレス西馬込」
ナイス、分譲するマンション全てに免震構造を採用(2015/10/30)
ナイスは10月30日、今後同社が分譲するすべてのマンションを免震構造にすると発表。日建設計、および日建ハウジングシステムと共同でワークショップを実施し、これまで8階建て以上を免震としていたものを7階建て以下の中層でも採用が可能とみて踏み切ったもの。
免震の新ブランド「Noblesse(ノブレス)」を立ち上げ、その第1弾「ノブレス西馬込」の建築現場見学会を行い関係者に公開した。
同社は1997年に竣工した「ナイスアーバン砧公園」を皮切りに免震構造を積極的に採用しており、これまで計画中を含め70棟7,120戸に採用。首都圏での免震マンション供給棟数はナンバーワン。
モリモト「ディアナコート文京本郷台」
デザインは「本郷弓町」の今井氏&鬼倉氏(2015/12/1)
今年も同社のマンションをほとんど見学した。いつもデザインにはほれぼれする。「文京本郷台」もモデルルームの仕様レベルが高く、55㎡以上の住戸は床・建具・面材は全て無垢・突板仕上げ。キッチン・洗面、浴室のカウンタートップは天然御影石。サッシは2.3mのハイサッシ、天井高は14階までは2450ミリだが、15階・16階は2650ミリ。
野村不動産「プラウドタワー木場公園」
敷地は3方道路に囲まれており、建物は東側、西側、北側が木場公園と木場親水公園に隣接・近接しており、南側住戸は下層階を除き公園が見渡せる。
また、最近少なくなってきている都の総合設計制度の適用を受け27階建てを実現。単価323万円は、木場・門前仲町駅圏の最高単価をあっさり更新。
三菱地所レジ・大栄不「ザ・パークハウス浦和タワー」
バブル崩壊後の埼玉県のマンションでもっとも坪価格が高かったのは住友不動産「シティハウス浦和高砂」(95戸)の約290万円だが、同物件は330万円台の半ば。埼玉県の最高単価マンションの記録を更新した。この記録は当分破られないはずだ。売れ行きも絶好調。12戸は億ションで、これまた埼玉県の最多億住戸マンションになる。
日土地「武蔵野富士見ザ・レジデンス」
同社は今年、マンション供給を年間500戸くらいにし、近い将来には年間1,000戸くらいに拡大すると発表。
この物件は、「二重床・二重天井」「ディスポーザ」「食洗機」「バックカウンター・カップボード」「ミストサウナ」「平置き駐車場」で差別化を図る 。
ルール守れば再発防げる 杭打ちデータ流用 国交省・対策委員会
記者会見する深尾氏
業界自主ルールの徹底で再発は防げる-国土交通省・基礎ぐい工事問題に関する対策委員会(委員長・深尾精一首都大学東京名誉教授)は12月25日、横浜傾斜マンションに端を発した基礎杭データ流用問題に対する「中間とりまとめ報告書」をまとめ発表。横浜の事案を除き、データ流用は施工不良につながっていないという検証結果を踏まえ、建設業界が自主的に定めたルールを徹底すれば再発は防止できるとした。国交省は近く「告示」としてガイドラインを示す。
報告書はA4判で40ページにのぼるもので、問題の概要・経緯について触れた後、発注者、設計・工事監理者、元請、一次下請け、二次下請けのそれぞれの課題を指摘。それぞれ責任の所在が明確化されていなかったことに遠因があるとして、国交省が施工ルールを定め、業界が自主的に定める施工ルールを誠実に実行することを求めている。業界の構造的な課題については、施工技術の継承を含めて腰をすえて検討すべきとしている。
◇ ◆ ◇
「基本的なルールを業界が定め、それを業界全体で共有し守ればデータ流用はなくなる」-深尾委員長は石井国交相に報告書を提出したあとの会見で何度も繰り返した。
その通りだろうと思う。報告書は過不足なく問題点が指摘されており、極めて明快な方向性が示されている。
問題発覚からわずか2カ月で問題が収束の方向に向かっているのは、日建連を中心とする業界団体の自主規制が強く働いたからできないか。深尾委員長も「早期に方向性が示せたのは業界団体の真摯な取り組みがあったから」と否定しなかった。
しかし、全て問題が解決したわけではない。データ流用と横浜の傾斜マンション問題の関連性は低いとはいえ、国民の建設業界に対する安心・安全の不安は今回の報告書でもっても払拭できないばかりか増大した。深尾委員長も「サラカンの監理に関しては改善の余地がある」と話し、横浜の問題が年明けの再調査待ちになったことに対しても「残念」と不快感を示した。記者団から元請の責任を追及する質問がたくさん出たのは当然だろう。原因を徹底解明して欲しい。
◇ ◆ ◇
以下、深尾委員長に対する記者の質問と答え。
-わずか2カ月で明確な方向性を示したが、その感想は
業界団体が再発防止に真剣に取り組んだことが大きい
-新国立競技場選定で、先生はA案、それともB案を支持されたのか
ノーコメント。いろいろ言いたいことはあるがノーコメント。マスコミの姿勢も問題だ。僕のところに夜中に電話してきた(バカな)記者がいたし、伊東さんにあんなことをしゃべらしちゃいけない。デザインだけじゃないんだよ。ゼネコンなどとの共同提案なんだよ(先生、申し訳ない。われわれはつい建築家のデザインに目が行くんです。木造ファンの記者はA案)
-今日はクリスマス。先生はこれからどうされるのか
これからだよ。今年は業界の三大ニュースに全部関わったんだよ。大変だよ(深尾氏は今回の対策委員会委員長とJSCの技術提案等審査委員会委員、東洋ゴム工業のデータ改ざん問題に関する国土交通省の有識者委員会委員長を務めた)
杭打ちデータ流用問題 「信頼回復」のカギは監理機能の厳格運用(2015/12/13)
杭打ちデータ流用問題 結局は大山鳴動…早々に幕引きへ 国交省・対策委(2015/12/12)
今年のベスト3マンション 三井レジ「赤坂檜町」 東建「目黒」 大成有楽「品川勝島」
記者が選んだ 2015年 ベスト3マンション
三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Towers 目黒」
大成有楽不動産・長谷工コーポ「オーベルグランディオ品川勝島」
記者が選んだ「2015年 ベスト3マンション」は、三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」、東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Towers 目黒」、大成有楽不動産・長谷工コーポレーション「オーベルグランディオ品川勝島」とした。今年新規発売された物件のうち記者が見学・取材した85物件の中から選んだ。「赤坂檜町」と「目黒」は今年のマンション市場を象徴する「都心人気」のエポックマンションで、「品川勝島」は、知名度がないエリアでいかに需要を喚起・創造するかの解決法を見いだした販売戦略が光った。
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
新国立競技場だけでない 「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」は、2年半前に隈研吾氏がデザイン監修することを聞いて、ずっと注目していたマンションだ。
詳細は別掲の記事を参照していただきたいが、東京ミッドタウン・檜町公園に近接するという絶好の立地条件にふさわしいタワーマンションだ。
全322戸のうち一般分譲は163戸だが、地権者向け・事業協力者向け分譲住戸を価格に置き換えたら322戸すべてが1億円になるはずだ。億住戸の多さでは東建「目黒」の365戸には及ばないが、全住戸が1億円以上の物件としては、同社が一昨年に分譲した「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」の98戸を3倍も上回る。この記録を破る物件は出てくるのか。
設備仕様では、これを上回る物件はたくさんあるだろうが、いかにも「和の大家」隈氏らしいランドスケープ・外観・共用部分デザインが美しい。隈氏デザイン監修マンションはこれで「神宮前」「神楽坂」「池袋」に次ぎ4棟目になった。新国立競技場に選ばれたことで、隈氏の知名度は全国区になった。未分譲3戸は年明けに分譲されるが、申し込みが殺到するのではないか。価格は公表済みなので、オークションにはならないはずだ。
一般分譲163戸の販売総額は約432億円、一戸当たり平均価格は、東建「目黒」の倍近い2億6,493万円。坪単価は981万円。坪単価は都心のマンションの相場としてはほぼリーマンショック前の相場に戻したというところか。隈氏のプレミアと赤坂・六本木の将来性を考えれば、妥当な単価ではないか。それにしても9月のモデルルームオープンから半年で160戸の億ションが飛ぶように売れるとは…。都心人気は当分続くとみた。
「Brillia Towers 目黒」
「Brillia Towers 目黒」
東建、プレスリリース「目黒」の“億住戸が過去最多”に「定借除く」追加(2015/12/1)
今年前半の目玉マンション 「Brillia Towers 目黒」は坪600万円(2015/4/2)
「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE」は坪450万円(2015/4/24)
「Brillia Towers 目黒」も記録的な売れ行きを見せた。今年4月以降のモデルルーム来場者は約1万組に達し、全分譲661戸(平均1億1,434万円)に対して最高倍率43倍、平均4.1倍の競争倍率で、しかもわずか4カ月で完売した。バブル時を彷彿させる狂乱人気だ。1億円以上の住戸も365戸に達し、定期借地権付きを除くと最多記録だ。
記者がもっとも注目したのは価格設定だった。一昨年8月、同社が地鎮祭・記者発表会を行った。報道陣の関心事も価格がいくらになるかに集まった。同社担当者は口をつぐみ一切答えなかった。「400万円くらいではないか」という同業の記者もいた。記者はそんなに安くないとみて、坪500万円をはるかに突破すると読んだ。しかし、坪600万円はまったく予想できなかった。
同社の値付けの巧みさには感服する以外ない。わずか10カ月で777戸が完売するとは夢にも思わなかった。いまだに信じられない。価格は信じられないが、ランドスケープは都心マンションでは突出した出来になるのは間違いない。
「目黒」が坪600万円を付けたことで、都心マンション価格のメルクマールになった。都心人気に拍車をかけた、同社が果たした役割は大きい。
個人的には、三菱地所レジデンスと共同で分譲した「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE(ブリリア ザ・タワー 東京八重洲アベニュー)」の商品企画レベルの高さに驚いた。こちらは一級品のマンションだ。
同社はこれで2012年の「Brillia多摩ニュータウン」、2013年の「Brillia Tower池袋」に続き、近年では3度目の「ベスト3」入り。
「オーベルグランディオ品川勝島」
「オーベルグランディオ品川勝島」
大成有楽不・長谷工コーポ 「品川勝島」の契約者イベントに300名(2015/12/10)
安さだけではない、巧みな需要喚起策 「オーベルグランディオ品川勝島」(2015/4/10)
この2物件はすんなり決めたが、もう一つは選定に苦労した。都心の高額マンションばかりを選ぶのには抵抗を感じたし、話題性といえば、第1期の申し込みは地元より首都圏居住者のほうが多かった三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス京都鴨川御所東」もあるが、これも首都圏の物件でないので除外した。
そこで選んだのが、「オーベルグランディオ品川勝島」だ。
「品川勝島」を都心のマンションと見る業界関係者はまずいないはずだ。「勝島」がどこにあるかを知らない人も少なくないはずだ。記者は東京競馬場に近い倉庫街くらいの知識しかなかった。
ところが、同社は、品川がリニアの始発駅となり、隣には「アジアヘッドクォーター特区」があることを広告などで前面に打ち出し、「品川」の物件であることを強調した。記者はシアターに〝新品〟が頻繁に飛び交ったのに面食らった。「シンピンって何だ」とずっと考えていたのだが、「新品」は「シンシナ」と読ますことをあとで知った。イメージ戦略に舌を巻くしかなかった。
販売事務所の設営もいい。カフェスタイルにして入りやすくし、コーヒーは“コーヒーメーカーのフェラーリ”と呼ばれる「LA-CIMBALI(ラ・チンバリー)」製を採用していた。コミュニティ支援の取り組みもアピールしていた。
販売が好調に推移しているのは別掲の記事の通りだ。ここで強調しておきたいのは、同社は予定価格を早めに公開し、ユーザーが物件選びをしやすくしていることだ。価格を分譲間際まで伏せるのは詐欺行為とは言わないが、消費者を馬鹿にしていると思う。改めるべきだ。
さて、同社のこうした販売戦略は奏功したのかどうか。契約者の現居住地を見ると、ずばり的中したことがよくわかる。
もっとも多いのが地元品川区の20.3%で、以下大田区10.4%、港区4.1%、横浜市全体6.0%、川崎市全体4.0%、江東区2.2%となっている。地元品川区だけで20%、隣接の大田区を合わせても30%強で、70%はそれ以外だ。首都圏広域からまんべんなく集客し、契約もそのように推移している。これは、圧倒的な価格の安さという物件の力、武器があるからこそだが、トータルな営業戦略が奏功した結果だ。見事というほかない。
国立求償裁判 国立市が逆転勝訴 東京高裁、第一審判決を破棄
明和地所の国立マンション建設をめぐる訴訟で、国立市が同社に支払った損害賠償金約3,120万円は当時市長だった上原公子氏が賠償すべきとした裁判(東京地裁平成26年9月25日判決言渡し)の控訴審言い渡しが12月22日、東京高裁で行われ、小林明彦裁判長は東京地裁の原判決を取り消し、国立市の請求権を認める判決を言い渡した。
2014年9月25日の第一審判決では、東京地裁は「元市長への求償権行使は信義則に反し許されない」として、市の訴えを退けた。これに対して、市が控訴していた。
控訴審判決に対して上原氏は「とんでもない判決。年内に上告します」とコメント。国立市は「現段階で詳細を把握できておらず、コメントは差し控える」とした。
◇ ◆ ◇
42席ある法廷の傍聴席は裁判が始まる午後2時までに満席となった。上原氏はいつものように和服姿で登場した。この日は、濃紺の地に薄い笹の文様をあしらったもので、帯は鮮やかな沖縄の伝統的な染色技法の一つ紅型(びんがた)。時おり支持者に笑顔を見せていた。
判決言い渡しはきっかり2時に始まった。
「主文 原判決を取り消す。被告訴人は国立市に対して3,120万円と…」-小林裁判長が判決を言い渡した。すかさず上原氏の代理弁護士が「説明がない…」と異議を唱えたが、小林裁判長は「判決要旨は差し上げることになっているので、法廷では読み上げません。これで終了」ぴしゃりと、打ち切りを宣言した。この間、20~30秒。
傍聴席からは「ひどい!」「最低!」「悪代官」などの声が飛び交った。「わたしは皆さんと立場が逆で、国立市を支持するものですがコメントをいただけませんか」と声をかけたが、ほとんど無視され「お前は官憲か」とも言われた。(わたしは皆さんと考えが異なりますが、敵ではありません。聞く耳は持っています)
◇ ◆ ◇
判決後、国立市は次のように市の見解を発表した。
「本日平成27年12月22日、東京高裁にて国立市が上原元市長を被告として訴えていました損害賠償請求訴訟で、市の請求を認証する旨判決がありました。なお、現時点ではまだ判決の詳細を把握できておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます」
◇ ◆ ◇
上原氏と弁護団は判決後、記者会見を行い、次のような声明文を発表した。
「控訴審においては、2013年12月19日における法規決議が違法であるか否か、放棄決議があるにもかかわらず市長が求償権の放棄をしないことが首長の権限乱用になるか否かが問題であった。この点について、本判決は、2015年5月19日、国立市議会が上原公子元市長に対して『求償権を行使せよ』との決議を行ったことを取り上げて、理由も付さずに権限乱用を否定した。
…このような認定が横行すれば、地方自治・住民自治を委縮させ、発展を阻害することになる。
…控訴審では…何ら論争が行われず、全く事実の審理が行われなかったにもかかわらず、独断と偏見に基づいて(原判決とは)正反対の判断が行われた。
本事件は、住民自治のあるべき姿が根本的に問われている事件であり、このままでは、今後の地方自治をますます委縮させることになりかねない。
上原元市長と弁護団は、ただちに、上告する予定である」
上原元国立市長に対する求償裁判 12月22日(火)に東京高裁判決言い渡し(2015/9/10)
国立 市議会勢力図が逆転 どうなる上原氏への損害賠償請求(求償権)(2015/5/1)
新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
今年のマンション見学のおおとりはこの物件以外にない。三井不動産レジデンシャルの「パークコート赤坂檜町ザ タワー」だ。採用が決まった新国立競技場のA案を提案した建築家・隈研吾氏がデザイン監修した分譲全197戸が億ションで、しかもすさまじい勢いで売れた(未分譲は3戸のみ)、都心人気を象徴する今年の代表的物件だ。
物件は、都営地下鉄大江戸線六本木駅から徒歩7分、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩3分、港区赤坂9丁目に位置する44階建て全322戸(地権者住戸125戸含む、一般販売住戸163戸、事業協力者販売住戸34戸)。専有面積は57.61~203.96㎡、価格は1億4,920万~15億円。坪単価は1,000万円弱。入居予定は平成30年4月下旬。施工は大成建設。デザイン監修は隈研吾氏。
最終分譲3戸は平成28年1月下旬の予定。価格は1億5,220万(57.61㎡)~5憶8,000万円(136.83㎡)。
再開発手法による東京ミッドタウン・檜町公園に隣接した初のタワーマンションで、デザイン監修を隈研吾氏が担当しているのが最大の特徴。マンション南側からは眼下に公園が広がり、360度の都心の眺望が展開する。
ミッドタウンと地続きのデッキでマンション3階エントランスとつなぎ、赤坂通りとは1階サブエントランスとつながっている。
マンションを大きな1本の樹木に見立て、敷地内には竹林をはじめ四季折々の樹木、グリーンカスケードを配し、壁面緑化も図っている。エントランスは「土」がテーマ。挟土秀平氏のオブジェに水盤、土壁、天井和紙などで幽玄な世界を描いている。3階ラウンジにはいかにも隈氏らしい木調ルーバー天井に檜練り付け板とミラーの大和張り。
建物は免振と制振を組み合わせ、屋上にはAMD(制振装置)を設置。「地層」「石・水」「大地」から「枝」「幹」「道管」「洞」「雫」「樹皮」「樹冠」をイメージした装飾デザインが施されている。外観フィンにランダムに配した光のライティングは照明デザイナーの岡安泉氏が担当する。
モデルルームは、106㎡と157㎡の2つ。前者は同社の「千鳥ヶ淵」「麻布霞町」「千代田富士見」なども担当した鬼倉めぐみ氏が担当。天井高は2700ミリ、サッシ高は2400ミリ。自然石にガラス素材もふんだん用いている。R状のデザインをキッチンや織り上げ天井に採用しているのが特徴。
後者は、鬼倉氏と同じ「千代田富士見」を担当した押野見邦英氏。天井高は3150ミリ、サッシ高は2700ミリ。桧垣文様とヒッコリーと呼ばれる北米の堅い木が多用されている。壁は職人仕上げの塗り壁。リビングダイニングは約36.4畳大、キッチンは約9.3畳大、マスターベッドルームは約25.2畳大。浴室は10畳くらいか。
9月にモデルルームをオープンして以来これまで約1,100組の来場者を集め、11月から分譲開始。分譲163戸のうち160戸が分譲済みだ。
同社開発事業本部 都市開発第一部 営業室主査・大栗裕樹氏は、「来場者の方は、ミッドタウンの隣にタワーマンションが建つとは思っていなくて、みんな驚かれる。ミッドタウンとつながっているランドスケープデザイン、さらには赤坂・六本木はまだまだ伸びしろがあると評価されており、これと隈さんのデザインがマッチしたのが人気の要因」と話した。
屋上のグリーンキャノピー
外壁のヒノキフィン
◇ ◆ ◇
このマンションについては2年前、大和ハウスが東大に隈氏が設計した「ダイワユビキタス学術研究館」を寄贈したとき、隈氏から直接この「赤坂檜町」を担当することを聞いた。2年越しの恋が実ったような気分だ。このマンションを見学せずして年は越せないとも思っていた。
もう少し早く見学したかったのだが、取材を申し込んだときにはお客さんが殺到しており、今回になってしまった。残りはあと3戸のみ。1月末に抽選分譲されるが、倍率がつくかもしれない。
物件のすばらしさは言うまでもない。億ションは数え切れないほどたくさん見てきたが、これもまたいい。
隈氏がデザイン監修するのは首都圏では「原宿」「神楽坂」「東池袋」に次ぎ4物件目。タワーマンションではこれが初めてだ。外壁に木調フィンを張ったり、板を1枚おきに重ねて貼る大和張り、ランダムに貼るガラスや木調ルーバーはいかにも隈氏らしいデザインだ。
鬼倉氏が提案しているガラス製のアクセントウォールは黒か濃紺か得も言われぬ複雑な輝きがあった。照明類はバカラ、把手はスワロフスキー。
押野見が提案している桧垣文様がいい。ヒッコリーを張ったキッチンは300万円でも買えないだろう。10畳大もある浴室は海外のラグュアリーホテルでは当たり前だそうだが、どのように使うのだろうかと考えてしまった。IHはガゲナウ社製で、カウンターとまっ平らで、鍋を置く位置を示す丸い線が入っておらず、どこでも置けばいいとのことだった。
地権者住戸や事業協力者住戸を含め全322戸が1億円以上というのはわが国初だ。しかもわずか2カ月でほぼ完売というのもかつて例がない売れ行きだ。東京建物の「目黒」も霞んでしまうほど衝撃的なマンションだ。
同業や一般の方は、さぞや外国人の購入が多いのではと考えるだろうが、大栗氏による意外に少なく、1割もないという。
3階ラウンジ
1階ラウンジ
新国立競技場 隈氏のA案か伊東氏のB案か 木造ファンの記者はもちろんA案(2015/12/17)
屋上に里山とせせらぎ、格子デザインも美しい 豊島区新庁舎が完成(2015/3/26)
「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成 三井不動産レジデンシャルが見学会(2010/8/20)
驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 三井不動産・東電不動産「パークコート神宮前」(2008/11/19)
不動産鑑定士業界 「住宅」評価に注力 不動産価値にお墨付き
自民党の「中古住宅市場活性化に向けた提言-『中古市場に流通革命を』-」に日本不動産鑑定士協会連合会(JAREA)が開発した中古戸建て住宅の積算価格査定システム「JAREA HAS」と、重要事項説明書、建物診断(インスペクション)、シロアリ点検調査報告書をもとに中古住宅の適正価格を査定するワンストップサービス「住宅ファイル制度」が具体的に盛り込まれたことから、JAREAが中古住宅の評価に関与する動きが強まっている。
JAREAは平成23年6月、「不動産鑑定業将来ビジョン」を策定し、従来の鑑定評価「単一型ビジネスモデル」から「多様型ビジネスモデル」への転換を打ち出し、今後業務の拡大が期待される分野として「住宅」を掲げ、ビジネスモデルの研究・開発に取り組んできた。
そして平成25年11月に住宅ファイル制度を提言して以降、JAREAの活動は加速し、今秋から近畿を中心に不動産業界向けに活動を強化している。業界向けの説明会には1回当たり100名を超える参加者があるという。
活動を強化していることについて、JAREA住宅ファイル制度特別委員会副委員長・村木康弘氏は、「ポイントは民法の改正です。平成27年3月、民法改正要綱案が閣議決定され、次の国会で審議が始まると思いますが、現行では規範重視、つまり不動産慣行ルールが認められているのに対して、改正民法では欧米型の契約重視、契約内容や契約違反の有無を個々の契約文言によって判断するようになります。不動産売買では取引の対象となる住宅の仕様や維持管理の状態等についてきちんとした報告書を作成することがトラブルを防ぎ取引を円滑にすることにつながります」と話す。
戸建ての場合、建物の価値が築20年でゼロとなるような従来型の査定を改め、土地と建物をそれぞれ評価し、建築士(インスペクター)による建物診断、防蟻業者によるシロアリ点検保証と不動産鑑定士の住宅価格調査をセットにした住宅ファイルを添えて契約することをJAREAは提案している。
住宅ファイルが適切かどうかを買主がチェックし、相違がある場合は売主に対して修繕や減額を申込みことができるようにし、売主が応じない場合は契約を解除できる特約条項も盛り込むことを提言している。
「不動産の仲介の営業マンだって建物の評価はプロではありませんし、インスペクター、シロアリ業者などと私どもが一緒になって、どの場面でも使えるスキームにして将来価値を含めた不動産の価値のお墨付きを行おうというもの。JAREA HASの精度も高いと自負している」と村木氏はいう。
住宅ファイルはワンセットで約16万円を予定している。現段階では費用は売主が負担する形をとっている。
◇ ◆ ◇
不動産鑑定士とはどのような職種で、現状はどうなっているかを概観しよう。
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格で、不動産鑑定士試験に合格した者のみが一定の手続きを経て不動産の鑑定評価を行うことができる。法律に違反した場合は刑事罰の対象にもなる。
不動産鑑定士の試験範囲は多岐にわたり、40近くの法律法規と不動産の鑑定評価に関する理論の理解が求められる。試験は、マークシートの短答式(宅建は4肢択一だか鑑定士は5肢択一)のほか論文も課される。
難易度が高いためとバブル崩壊後のデフレ経済の進行により受験者は漸減しており、平成18年の約4,600人から27年度は約1,500人へと3分の1へ減少している。合格率は6%程度で推移しており、合格者の年齢はほとんどが30歳以上となっている。
国土交通省 土地・建設産業局の平成24年度「不動産鑑定士・不動産鑑定業の現状」によると、不動産鑑定業者のほとんど97.6%が都道府県知事登録で、業者数は10年前と比較して415業者(14.0%)増の3,375業者となっている。
不動産鑑定士は、10年前と比較して352名(7.5%)増の5,057名で、うち1,025名が大臣登録業者に所属している。
不動産鑑定業者の依頼先別報酬割合は民間法人が83.1%(平成12年は68.0%)、国・地方公共団体、公団などが15.7%((同9.6%)、個人は1.2%(同2.0%)。一方、知事登録業者は民間法人が53.3%(44.9%)国・地方公共団体・公団などが13.6%(同46.6%)となっている。
不動産鑑定業者1業者当たりの平均報酬額は、大臣登録業者は横ばい、知事登録業者は減少傾向にあり、知事登録業者の22年度報酬額は721万円(平成12年は1,053万円)。
不動産鑑定士1人当たり平均報酬額は、大臣登録業者は1,246万円(同1,342万円)、知事登録業者は589万円(同822万円)。
大臣登録業者の依頼目的は「売買」「担保」「資産評価」で約7割を占め、「証券化」が増える傾向にある。知事登録業者は「課税」が40.6%(24.8%)を占めている。
このように、何年も勉強し難しい試験に合格した割には厳しい罰則もあり、報酬は伸び悩んでいる-これが不動産鑑定士業界の現状だ。不動産鑑定士業界が、これまで携わってこなかった住宅分野に進出しようとしているのは、業界が掲げるスローガン「官から民へ」が象徴するように、住宅分野へ進出することによって停滞気味の現状を打破しようということのようだ。
一方、国は住宅のストックが量的に充足し、環境問題や資源・エネルギー問題が深刻化する中で、これまでの「住宅を作っては壊す」社会から「いいものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会へと移行することが重要であるとし、中古住宅流通・リフォーム市場規模を2010年の10兆円から2020年には20兆円へと倍増させようとしている。
そのための具体的な方策として、①消費者にとって必要な情報の整備・提供②不動産価格の透明性の向上③先進的な不動産流通ビジネスモデルの育成・支援④宅建業者と宅建士の資質の向上⑤住み替え支援とストックの流動化の促進-に取り組んでおり、不動産鑑定士業界もその流れに沿ってビジネスモデルの研究・開発に取り組んでいる。
◇ ◆ ◇
不動産鑑定士業界の不動産流通分野への進出が成功するかどうか。現状では不透明の部分もある。
報酬額もその一つだろう。建築士(インスペクター)による建物診断、防蟻業者によるシロアリ点検保証付きとはいえ、16万円という価格に消費者はどう反応するか。大手のハウスメーカー系やデベロッパー系は、似たようなサービスを無料で提供しているところもあるように、不動産鑑定士によるサービスは、全宅連系の「社会的信用力」を補完する役割にとどまることも予想される。
個人的な意見を言わせていただくなら、どうして中古住宅の売買で「宅建士」「建築士」「不動産鑑定士」の3つもの「士」が連携・協力しなければ「安心・安全」が担保されないのか、それだけ劣悪な戸建てがどんどんストックされ、今現在も再生産されているということなのだろうか。
細田工務店 「低炭素住宅」「環境共生」ダブル認定の「杉並成田西」
「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」
細田工務店は12月18日、「認定低炭素住宅」と「環境共生住宅(システム認証)」を取得した分譲戸建て「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」(全20区画) の記者見学会を行った。
「認定低炭素住宅」制度は、建築物の低炭素化を図ることで低炭素・循環型社会の構築を目指す制度で、2014年12月に施行された。一定の基準を満たせば住宅融資、税制面で優遇する措置が取られる。
創エネとしてエネファームを採用した「アクティブ・エコ」と、サッシ形状、雨水タンク、こもれびツリー、スルーウォールなどの「パッシブ・エコ」を組み合わせることで、省エネ法の省エネ基準に比べ一次エネルギー量が10%以上削減される。
配棟計画では、近くを流れる善福寺川の緑地からの風の流れを解析し、街全体のゾーニングや各住宅の窓形状と位置を検証してプランニングしているのも特徴。
物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩14分、杉並区成田西2丁目の建蔽率40%、容積率80%の地域に位置する全20棟。敷地面積は113.05~119.70㎡、建物面積は89.90~93.77㎡、価格は未定だが、6,000万円台から7,000万円台が中心になる模様。構造は軸組み工法で2階建て。竣工予定は平成27年12月から28年3月。販売開始は平成28年2月中旬。
玄関とは別の扉が付いた自転車置き場
◇ ◆ ◇
同社施工の他社分譲の戸建ては結構見学しているのだが、同社が分譲する戸建ては久々に見学した。なかなか意欲的な物件だ。
もちろん「認定低炭素住宅」「環境共生住宅」の認定を受けて、細かな点にも環境への配慮に取り組んでいることを強調したいのだが、一つ驚いた企画がある。
分譲戸建てを見学するたびに、自転車置き場がないことから敷地の外に置かれているのを見る。どうして自転車置き場を設けないのか不思議に思ってきた。
ところがどうだ。この物件には車庫スペースとは別に「自転車置き場」が設けられているではないか。畳3畳分くらいはあり、立派な門扉もついており、水道栓もセットになっている。
同社によると、お客さんの声を企画に反映させた結果で、全てではないが、敷地条件が整えば設置するようにしているという。
こうした細かな配慮がお客さんの感動を呼ぶ。もっとストレートにアピールすべきなのに、これも同社の社風なのか、同業他社と比べ控えめなのが正直に言えば歯がゆい。構造材などはほぼ100%国産材というのも他社にないアピールポイントだ。
植栽とスルーウォール(壁に穴が開いているのがわかる)