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「北欧ハウスヴィレッジ川越~フレデリクスベア~」モデルハウス

 ケイアイスター不動産は11月21日、同社の戸建て分譲としては最大規模全98棟の「北欧ハウスヴィレッジ川越~フレデリクスベア~」街開きを開催した。23日までの3日間で約1,400人の来場者を見込む。

 物件は、東武東上線上福岡駅から徒歩20分、川越市大字下松原字鶴見野に位置する全98棟。1期1次(5棟)の土地面積は100.00~120.00㎡、建物面積は101.01~107.64㎡、予定価格は2,900万円台~3,700万円台。建物は木造在来工法2階建て。平成27年10月完成済み。

 現地は、尚美学園跡地。全体敷地は南東から北西方向へ緩やかな傾斜が掛かっており、北東-南西軸が長い長方形。

 商品企画について同社デザイン部・堀口幸昌氏は、「当初計画では117戸だったが、検討を重ね98戸に落ち着いた。安心・安全の商品コンセプトに集会所を設けることでコミュニティにも配慮した。住宅基本性能をあげるため樹脂サッシを採用。住宅の断熱性能を示すUA値は0.6にした。全体完成は来年7月で、来年度末までには完売したい」と話した。

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「塾」がテーマのモデルハウスのリビング

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 堀口氏が「来年度末までに(約1年4カ月)で完売したい」と強気な発言をしたのには驚いた。東武東上線の戸建て市場についてはよく分からないが、最寄駅から徒歩20分(現地のすぐ前にバス停があり、駅までは数分か)の立地では年間30~40戸販売が常識ではないかと思ったからだ。絶対的な価格の安さと基本性能の高さで差別化ができていると読んでいるのだろう。

 街づくりでは、提供公園に隣接して集会所を設け、自治会を設立して居住者が街の維持管理を行う仕組みをつくることがいいと思った。

 約6mのメイン道路が交差する部分と、道路につなぐ約2m幅の路地空間はインターロッキング舗装とし、路地にはLED照明を埋め込んでいる。路地の両端約50センチは居住者の敷地だが、その部分に植栽を施し、管理組合が管理するようにするという。

 モデルハウスは3棟。「北欧ハウス」のコンセプトはいまひとつよく分からないが、「塾」をテーマにした1棟はリビングの壁面が書棚になっており、寺子屋のような和室の提案があり面白い。階段ステッフは全て15段。

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提供公園と建設中の集会所

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 住宅地の目の前のバス停に近所の人らしい年配の方ががいたので、声を掛けた。「ヘーベルタウンは5,500万円でも売れた。ここ(ケイアイスター不動産の住宅地)は造成にお金がかかっているので、価格を抑えるのに苦労したはずだ。4,000万円以上じゃ売れないね」などとその方は話した。確かに対面の住宅地には旭化成ホームズの「へーベルハウス」らしい建物がたくさん建っていた。

 「ずいぶんお詳しいですね」と話したら、「僕は旭化成ホームズの社員だったんだ」ということだった。

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 提供公園について一言。公園のほぼ中央には樹高約5mのシラカシがシンボルツリーとして植えられている。堀口氏は、「市の指導では、落葉樹はダメで、シラカシも枯れやすく根が張るから難色を示した。ハナミズキはいいと言われた」と話した。

 提供公園は市が管理するから管理しやすい木や遊具にするよう指導するのはよく分かる。しかし、シラカシが枯れやすいというのは納得できない。落葉樹はダメなのに、落葉樹のハナミズキがどうしていいのかも理解不能だ。

 シラカシはほっといても高さ20mには育つ。逆にハナミズキは繊細な木で、枯れることもある。花はきれいだが、秋から春先までは落葉するから貧相な姿をさらけ出す。成木でも樹高は数mくらいにしかならない。シンボルツリーにはやや貧弱だ。

 ハナミズキといえば、最寄駅の上福岡駅西口からまっすぐ伸びる道路の街路樹はハナミズキだった。ほとんど落葉し、枯れてしまったのか植栽舛はところどころ黒く塗り込まれていた。

 先日、ポラスのリノベーションマンションを見学した我孫子市天王台の街路樹クスノキは青々と茂っていた。街路樹は街の価値を左右する。余計なことだが、埼玉県は総じて街路樹が貧しい。

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街びらきイベント

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ナイスホームの「パワーホーム」モデルハウス

 このところ一戸建て事業を強化しているナイスグループのナイスホームが11月21日、同社としては初めてのモデルハウスを住宅展示場「tvkハウジングプラザ横浜」にオープンした。横浜を中心とするエリアの戸建て派の需要を開拓するのが狙いで、同社グループが2010年に開発した長期優良住宅の基準を超える基本性能を持つ「パワーホーム」の高性能・健康配慮を売りにリーズナブルな価格設定で差別化を図っている。オープンに先立つ20日、報道陣向けに説明会・見学会を行った。

 「パワーホーム」は、住宅性能評価の「耐震等級」「断熱等性能等級」「一次エネルギー消費量等級」「劣化対策等級」「維持管理対策等級」で最高ランクの基準を満たし、国が定める「長期優良住宅」の認定基準を超える性能を持つ。

 施工も楽で工期が短くて済み、釘は一切使用せず、同社が独自に開発した強度と粘りを兼ね備えた接続金物のみを用いて組み立てる構法を採用。解体も接続金物を外せば簡単に解体できる特徴を持つ。

 説明会で挨拶した同社社長・勝間田清敏社長(ナイス取締役常務)は、「パワーホームはこれまで神奈川県の5カ所の『街かどモデルハウス』で紹介してきたが、今回、日本一の展示場に拠点をオープンすることができてワクワクしている。65年前に材木屋としてスタートしたDNAは生きており、トレーサビリティを含めて一気通貫、ワンストップでやれるところは当社以外ない。また、世界的な潮流として木材のよさが見直されてきており、エコで安心・安全、健康志向の流れを加速させる」などと話した。

 また、ナイス取締役執行役員住宅事業本部長・木暮博雄氏は、「これまでパワーホームは地方都市を中心に販売してきたが、これからは『健康』をテーマに加えて販売していく」と力を込めた。

 モデルハウスは、3階建てで、1階は同社が仲介店で行っている出入りが自由な〝オープンカフェ〟スタイルを採っており、自由に入ってコーヒーなどが飲めるほか、土地なしユーザーへは土地情報の提供も行う。モデルハウス部分は2階・3階で延べ床面積は126.69㎡。等身大の大きさと設備仕様が特徴。リビング天井は表しの梁、フローリングは2ミリの挽き板、外部デッキは無垢のウッドデッキを使用しているのが特徴。建物標準価格は2,180万円。

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勝間田氏(左)と木暮氏

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 同社の〝やる気〟度をアピールする説明会・見学会だった。報道陣には見学会後、パワーホームがいかに簡単に組み立てられるか、接合金具がどのようなものかを見せる「パワービルド工法の建て方実演」も行った。

 スカート、ハイヒール姿の女性2人を含む数人の同社社員がいとも簡単に組み立て、「素人でも組み立てられる」と木暮氏が話したことが嘘ではないことを証明した。

 使用されている接合金物は、EUの基準適合マークCE(日本のJISマークのようなもの)を取得したもので、雨にぬれてもさびにくいスグレモノのようだ。

 肝心の販売目標などについては、発言予定時間20分を6分もオーバーして熱弁をふるった勝間田氏も「まずは展示場の手ごたえを見てから」と明言を避けた。10棟なのか200棟なのか、それ以下なのかそれ以上なのか記者もさっぱり分からない。

 しかし、〝入りやすい〟〝等身大〟は効果を発揮するのではないか。「tvkハウジングプラザ横浜」には大手ハウスメーカーを中心に66棟のモデルハウスが展示されており、年間の来場者数は約12万人だ。

 取材の前後約1時間を使用してほとんどのモデルハウスの外観デザインを中心に見て回った。

 記者は木造ファンなので、明らかに鉄やコンクリートでできていると思わせる住宅の評価を低くし、木造の良さがよくアピールできているものを高く評価した。基準は単純、好きか嫌いかだ。

 その結果、もっともいいと思ったのは三井ホームの等身大モデル(64)だ。同社のデザイン力にはいつもだが惚れ惚れする。次が住友不動産(80)。これもシックで格子が美しい。3位がアキュラホーム(23)。広い間口で、落ち着きがある。ほかでは積水ハウスのシャーウッド(60)、スウェーデンハウス(67)、一条工務店(38)、イシカワ(33)、住友林業(51)などがよかった。ナイスホーム(29)もベスト10には入る。ミサワホームは鉄骨系(67)がよかった。

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 取材とは関係ないが、勝間田氏の挨拶を聞きながら記者は「へえっ、そんなこともあるのか」と、故・勝間田清一社会党委員長とよく似た名前に興味を持った。

 取材後、勝間田氏本人に確認した。勝間田氏は「住んでいるところが一緒だった。御殿場です。姻戚関係があるかどうかはわかりません」と答えた。しかし、「うちのスタッフは勝間田清一が誰なのかほとんど知る者はいない」とのことだった。

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パワービルド工法の建て方実演(耐力壁ジャパンカップに出場したら施工の簡単さ、解体の速度は間違いなくナンバー1)

ナイス、横浜市・慶大と連携して「スマートウェルネス体感パビリオン」(2015/10/20)

 

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「リストガーデン オーレリアン深沢」

 同社初の「セロエネルギー・ハウス(ZEH)」が「リストガーデン オーレリアン深沢」だ。

 物件は、東急大井町線等々力駅から徒歩18分、東急田園都市線桜新町駅から徒歩20分、世田谷区深沢5丁目に位置する全5戸。土地面積は94.79~100.48㎡、建物面積は85.28~93.57㎡、現在分譲中の住戸(3戸)は7,688万円・8,198万円・8,398万円。構造は2×6工法2階建て。建物は竣工済み。

 「セロエネルギー・ハウス(ZEH)」は、高気密・高断熱の建物に加え、太陽光発電システムで電力を創り、自分の家で消費するとともに余った電力を電力会社に売ったりして、年間の消費エネルギーより創った電力のほうが多いかあるいはゼロになる住宅のことだ。家の電力を賢く使う「エコハウス」をさらに一歩進めたもので、国は2020年までに新築住宅の平均でZEHを実現する目標を掲げている。

 同社は、そうした動きを先取りして建売住宅にも採用したもの。販売を担当する同社・杉山正樹氏は「気密性を測るC値は0.7~0.4で業界トップクラス。断熱性能も高く、住宅を丸ごと断熱材で覆っている。世田谷区はネットで検索すると600件近くもヒットする建売住宅の激戦地だが、こうした徹底した差別化で早期完売を目指す。値段の高い住戸から2戸売れており、販売は順調」と話していた。

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モデルハウス

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「ZEH」は時代の流れだ。これまで建売住宅にどれだけ採用されているか知らないが、世田谷区では初めてではないか。

周辺には1億どころか10億円もしそうな邸宅がたくさん建ち並んでいる。リストの物件は土地面積が30坪もないが、ZEHは大きな武器になるはずだ。

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「ルピアージュ天王台」

 ポラスグループの戸建てやマンション事業を展開する中央住宅マインドスクェア事業部は11月19日、同社初の一棟リノベーションマンション「ルピアージュ天王台」の記者見学会をおこなった。バブルの絶頂期、平成2年に竣工した三井住友海上の社宅で、施工は清水建設。PC工法のため躯体はいじられていないが、専有面積は約90㎡、中住戸にはすべてライトコートが付いており、当時の質の高さがうかがわれるマンションだ。6つのプラン提案もいい。

 物件は、JR常磐線天王台駅から徒歩10分、千葉県我孫子市柴崎台3丁目の第一種低層住居専用地域に位置する3階建て全24戸。竣工は平成2年3月。施工は清水建設。三井住友海上の社宅として建設された。第1期(8戸)の専有面積は89.99㎡、価格は2,690万円~3,090万円、坪単価は105万円。リノベの施工は川村工営。入居時期は平成28年3月末。

 14日から販売を開始しており、14、15日の2日間で来場者は約60組。契約・申込は5件。

 現地は、クスノキの街路樹が美しい表通りから少し入った閑静な区画整理事業によって街づくりが進められた住宅街。敷地南側は窓先から約7mあり、6m道路に面している。

 建物は今年6月、6社の入札により同社が取得。PC造のため躯体とサッシは従前のものを使用しているが、設備仕様は同社のマンションブランド〝ルピアコート〟と同じものを採用。食洗機、ソフトクローズ機能付き引き戸は標準装備。断熱材は従前の15ミリ厚から25ミリ厚にしている。

 発表会で挨拶した同社取締役・金児正治氏は「2年前から戸建てだけでなくマンション事業も担当するようになったが、当初掲げた①分譲マンション②再開発事業③複合開発④建て替え⑤リノベーションのうち、複合開発と建て替えを除き動き出してきた。リノベマンションは初めてだが、〝オールポラス〟のプロジェクトだ。販売を自社で行うものその一つだが、当社の組織に横串をいれて、それぞれがクォリティを高められるようにした。モデルルームは6タイプを擁したが、それぞれ別の部門が競い合うように企画を任せた。来年春には全50戸の『田無』も見ていただける」と話した。

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「ホビーブースのある家」(ポラスのリフォーム)

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「素材を味わう家」(ポラス暮し科学研究所)

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廊下はメーターモジュールで段差部分をライティングしている「素材を味わう家」(ポラス暮し科学研究所)

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 いつも通り、単価予想を立てた。最初に考えたのは坪単価100万円だった。駅からの素敵な街路樹を眺め、6つのモデルルームを見学して上方修正した。坪120万円をつける自信はなかった。やはり天井高が2400ミリで、トイレ、バスには段差があること、サッシは単板ガラスだったからだ。

 見学後、105万円という単価を聞いて、同社がこの物件の良さをアピールできれば「3カ月で売れる」という確信を持った。

 従前の建物の基本性能がまず素晴らしい。読者の皆さんは平成2年のマンションの相場などご存じないだろうが、この社宅を分譲していれば間違いなく坪200万円どころか250万円くらいしても売れははずだ。

 居住面積が90㎡で、中住戸にライトコート付き、施工は清水というのは大企業の社宅しかできないレベルの高さだ。廊下幅はメーターモジュールを採用している。今回のリノベはその建物の価値をはるかに高めている。同社はいい物件を仕入れたものだ。目利き力もあると見た。

 天王台というエリアで、これだけの集客、申込みが出来たのは、地域に根ざした事業展開をしてきたからこそだろう。エリアの顧客特性を熟知し、仕入れ、企画、設計、施工、販売までを市場ニーズに合わせて提供できたことが支持を得ているのだ。来場者の91%が我孫子市内からで、物件のある芝崎台からが56%という数字に、地域を知り尽くしていることがうかがわれる。

 販売を担当する同社ソリューション事業部千葉営業部部長・鈴木健一郎氏が「来場者の方から絶妙な値付けと言われた」と話した。これも地域を熟知しているからこそ、目利き力があるからこその言葉だ。

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「カフェ・リビングの家」(住宅資材センター リフォーム部)

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「猫かわいがりの家」(ポラスグランテック)

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 用意されたモデルルームの優劣を自分なりに採点してみた。最初に見た3階の天井高が最大3m近くある「ホビーブースのある家」(ポラスのリフォーム)を100点とした。

 2つ目に見た、これも3階の「素材を味わう家」(ポラス暮し科学研究所)は、水回り部分に段差があるのを逆手にとって、その段差部分のところをライティングする演出を行っていた。さらにオプションだが本物のスギの羽目板を壁に採用していた。とっさに「これが最高」と思い130点とした。

 3つ目の「カフェ・リビングの家」(住宅資材センター リフォーム部)と4つ目の「猫かわいがりの家」(ポラスグランテック)はコンセプトはいいが、記者の好みではない。「猫」は猫のトイレもないし、住居を出入りするところもない。1階で提案すべきだった。よって「猫」は95点、「カフェ」は93点とした。

 5つ目の「mama’sコーナーのある家」(マインドスクウェア事業部マンションDv)は、共働きのファミリーをターゲットにしたプランで、壁にエコカラットを採用し、物干しポールも設置していた。プレゼンを行ったのは2歳のお子さんを抱える西牟田奈津子氏で、これも抜群によかったので、「暮し科学」に次ぐ105点とした。

 最後に見た「モダン和室のある家」(マインドスクェア事業部女性チーム)は、はっきり言えばよく見なかった(質疑応答の時間が迫っているようで、早く見学を終えろというプレッシャーを感じた)。畳コーナーの提案はいいが、キッチンのほぽ中央の壁に洗面、バスに通じる開き戸があったのはいかがなものか。引き戸にできたはずだし、せめてドアは壁と一緒の白にすべきだと思った。なので、こちらは95とする。

 ところがだ。質疑応答で、来場者の一番人気はなんと「モダン和室」で、2番目が「mama’sコーナー」であることを知らされた。記者に見る目がないのか、自信が揺らいできたが、やはり「暮し科学」が最高だ。同社は戸建てがメインだから、段差の部分にライトを当てることなど朝飯前なのだろう。

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「mama’sコーナーのある家」(マインドスクウェア事業部マンションDv)

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「モダン和室のある家」(マインドスクェア事業部女性チーム)

 

 

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「リストガーデン鵠沼桜が丘」

 リストが分譲中の戸建て「リストガーデン鵠沼桜が丘」と「リストガーデン オーレリアン深沢」を見学した。前者は藤沢駅徒歩圏の全14棟の2×6工法の「エコハウス」、後者は高級住宅街に位置する同社初の全5棟の「ゼロエネルギー・エコハウス」だ。まず、前者から紹介する。

 物件は、JR東海道本線藤沢駅から徒歩15分、小田急江ノ島線本鵠沼駅から徒歩8分、藤沢市鵠沼桜が岡1丁目の風致地区に位置する全14棟。土地面積は125.38~150.71㎡、建物面積は96.15~99.96㎡、現在分譲中の住戸(2戸)の価格は5,458万円・6,148万円。構造は2×6工法2階建て。建物は全棟完成済み。

 現地の従前は邸宅。風致地区にふさわしく一戸当たりの敷地面積を125㎡以上とし、みどりをたくさん採り入れた外構と、建物外観デザインに木製のサイディングを施した同社の「リゾマーレ」スタイルを採用しているのが特徴。

 販売責任者の同社販売営業部課長・海藤義弘氏は、「高気密・高断熱で、やさしい家がコンセプト。風致地区なので日照・通風にも配慮した。出来栄えもいい」と話していた。

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外壁には本物の杉板が使用されていた

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 同社の戸建ては久々に見学したが、同社の戸建てはどんどん進化しているとみた。

 ランドスケープデザインが素晴らしい。各敷地にはカツラ、シラカシ、モミジ、コナラ、ヤマボウシ、ソヨゴ、コブシなどの中高木が数えきれないほど植わっていた。樹種にして20種ぐらいあったのではないか。

 建物の外観デザインもいい。全体は白が基調で、ほぼ1棟置きくらいにスギの羽目板をデザインした壁が印象的で、外壁には櫛引き文様の仕上げがされていたものもあった。

 設備仕様では、2階リビングタイプには1階の玄関サイドに手洗いシンクが設置されていた。子どもが泥んこになって帰ってきたときなど、ここで手を洗い、泥を落とすのに設置したようだ。これはなかなかいいい。

 周辺には立派な一戸建ても建っており、住環境としても申し分ない。11月下旬から第2期の分譲が開始される。

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街並み

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「竹本邸」

 青木茂建築工房は11月17日、同社が設計・監理し、このほど完成した多摩市一ノ宮の「竹本様邸リファイニング工事」完成見学会を行った。

 プロジェクトは、昭和44年に建てられた診療所併用住宅と、昭和50年に増築された建物を2世帯住宅へ用途変更・増築を行い、耐震補強をリファイニング手法で再生するもの。

 オーナーの意向を受け、既存2棟を一体化し、耐震・耐久性を確保したうえで、1階ピロティを室内化、2、3階のバルコニーの新設、内装外装の一新、床段差解消・エレベータ新設によるバリアフリー化、現行法令へ適合させるための各種工事などを行った。

 見学会で挨拶した青木茂・同社代表は、「オーナーご夫婦、オーナー長女ご夫妻とお子さん、そのご主人のお母さん、オーナーの次女の4家族が住む住宅で、建築費が上昇する中で予算が予定の約3割アップしているが、オーナーとの打ち合わせで予算を修正して再契約した。それからはほとんどオーバーすることなく完成してほっとしている。難しい法規制をクリアするようアクロバチックな手法をたくさん用いた」と話した。

 既存建物は検査済証が存在せず、建設時以降に施行された昭和50年の第二種高度地区指定による高度斜線制限、昭和52年の日影規制について既存不適格となっていたが、平成26年7月施行の「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に従い、建築基準法適合状況報告、12条5項報告、許可申請、建築確認申請などを約7.5カ月かけてクリアした。

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青木氏

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 青木氏が「アクロバチック」と

割りいう言葉で表現したように、難しい法規制を魔術師のように突破したことがすごい。改めて青木リファイニング建築物の真髄の凄さをみた。

 一言で言えば、更地にして建て替えた場合、クリアできない既存不適格部分(建ぺい率・容積率、斜線制限など)をそのまま残し、建物は耐震性・耐久性を確保し、新築よりコストを大幅に削減したことにより、建物の価値を従前よりはるかに上昇させたということだ。

 見込み違いもあったようだ。当初、確認申請まで4カ月で済むという計算が狂い、7.5カ月も掛かったことだ。建築費がどんどん上昇しているときだったので、青木氏も心配したそうだが、「オーナーに事情を説明し納得していただいた。追加工事費は仕様レベルを上げたにも関わらず約30万円で済んだ」という。

 既存建物を一体化させた痕跡はほとんど見当たらない。唯一発見したのは階段だった。1階から2階へ、2階から3階への階段のステップは14段だったが、3階から4階は15段だった。これは、階高の差によるものだ。

 唯一の難点だと思ったのは廊下・階段幅が尺モジュールになっていたことか。青木氏は「幅は広げられなかった」と語った。

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 青木氏は見学会で、「住宅は赤字になるのでやりたくないが、頼まれると断れない。新しい本も出版したが、みんな研究費に消える。僕は原稿料ももらっていない。」とこぼし、見学者を笑わせた。注文が殺到し青木氏がお手上げ状態になれば、行政も動き、継承者もどんどん育つのではないか。

 もう一つ。青木氏は「(建築)主事によって解釈がみんな異なるが、肝心なのはすべて考えを聞いて、それに沿うことだ」と語った。杭打ちのデータ流用が社会問題となっているいま、ものすごく貴重な言葉だ。

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 日本建設業連合会の「第56回BCS賞」の授賞式が11月16日に行われた。青木茂建築工房がリファイニングした「北九州市立戸畑図書館」も受賞作の一つで、「あべのハルカス」「JPタワー」「資生堂銀座ビル」など14作品が表彰された。

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バリアフリーになっているエントランス

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2階キッチン

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「春日部ザ・パークアソシエ パレットコート」(既分譲)

 ポラスグループの中央グリーン開発が11月14日、全190戸の大規模戸建て住宅「春日部ザ・パークアソシエ」の最終分譲となる「パレットコート」(40戸)の分譲を開始した。14、15日の2日間で第1期1次分譲12戸のうち11戸に申し込みが入るなど好調なスタートを切った。

 物件は、東武スカイツリーライン春日部駅から徒歩21分(バス便あり)、春日部市大沼4丁目に位置する開発面積約30,000㎡、全190戸の住宅地の一角。1期1次の土地面積は100.02~140.06㎡、建物面積は97.60~111.78㎡、価格は2,780万~3,990万円。構造は木造2階建て(在来工法)、施工はポラテック。入居予定は平成28年5月。

 「春日部ザ・パークアソシエ」は7年前に、東武鉄道とコスモスイニシアが分譲開始した住宅地。電柱を地下化し、幅員8m(舗道2m含む)の道路はインターロッキング舗装、街の出入り口に防犯カメラを設置し、全戸に「セコムホームセキュリティ」を標準装備。建築協定を締結し、管理組合によるコミュニティにも配慮しているのが特徴。

 中央グリーン開発は5年前に、コスモスイニシアから事業継承を受け、戸建て58戸を分譲し、そして今回、東武鉄道から事業継承を受けて更に40戸を分譲するもの。

 この間、管理組合と協議を重ね、既存の街並みと融合するように通りに面した住宅の外観を揃えるなどの工夫を凝らしている。

 14日から分譲を開始し、好調なスタートを切ったことから、同社は来年5月の入居開始まで全戸完売する目標。

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モデルハウス

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「ペニンシュラキッチン」

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 東武伊勢崎線に居住する方々には失礼だが、春日部にこんな立派な住宅街があるとは全然知らなかった。コスモスイニシアと東武鉄道がかなり力を入れていたことがうかがわれる。それなのになぜ、ポラスグループに事業継承したのかその理由は書かないが、受けたポラスも力があるということだろう。

 今回のテーマは「4つのカフェスタイル」。3つの外観に4つのこのカフェスタイル、2つのキッチンを提案しており、全部で24通りの手づくり感が込められているのが特徴だ。外構もよくできている。

モデルハウス2棟を見学したが、よくできている。1階の天井高は約2.7mというのは同社グループの戸建てと一緒で、階段のステップは15段。食洗機は標準装備、引き戸は全て開閉ともソフトクローズ機能付き。

「ペニンシュラキッチン」には、熱・汚れ・傷・衝撃に強い高圧メラミンワークトップが採用されていた。デザインもよく、グレード感もする。

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街なみ

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インターロッキング舗装と植栽

 

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第3回「JEG DESIGN CONTEST 2015」(新宿・四谷区民ホールで)

 住宅エクステリアガーデン研究会(JEG)は11月16日、第3回「JEG DESIGN CONTEST 2015」プレゼンテーション大会を開き、関係者ら約450人が参加した。

 JEGとは、旭化成ホームズ//旭化成住宅建設、ウィズガーデン、住友林業緑化、東京セキスイハイム/東京セキスイファミエス、積水ハウス/積和建設東東京/積和建設神奈川、ナテックス/パナホーム、三井ホームと、今年から参加した大和ハウス工業の8社が共同運営・活動する機関で、それぞれ情報交換・意見交換などを通し、エクステリア ・ガーデンの共同テーマをもとに社員の教育プログラムや住宅営業担当への知識普及促進、商材や施行品質向上のための勉強会などを行っている。

 プレゼンション大会は、応募総数992点の中から二次審査を通過したエクステリア大型、エクステリアベーシック、ガーデン、街づくり・集合住宅の各部門4作品ずつ16作品の各担当者が作品のプレゼン能力を競い合うもの。

 16作品の中からもっともいい作品を選ぶグランプリは、積水ハウス・田原征幸氏の「四季の移ろいを感じる住処」だった。

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 記者は他の取材が入っていたので、ガーデン、街づくり・集合住宅部門のプレゼンしか取材できなかったが、なかなか面白い大会だ。

 作品としては住友林業緑化・藤崎太朗氏の「山桜咲く優遊の庭」、積水ハウス・飯沼宏貴氏と積和建設神奈川・前原尚一氏の「プライムヒルズ」もよかったが、記者がもっとも優れていると思ったのは、積和建設神奈川・佐藤勘才氏の「湘南の雑木の庭」だった。

 作品に対する施主の評価だけでなく、近所の人や街を歩く人の評価を補強材料にして、「エクステリアは生きた広告媒体」という特徴をよくアピールできていた。

 

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 長谷工グループは11月13日、マンションの事業企画から開発推進、設計、施工、販売、インテリア内装、管理までのすべての業務に女性社員が携わる「浦和駒場プロジェクト」を始動したと発表。同時に、プロジェクトの開始に合わせて、「長谷工グループで活躍する女性社員」(“ハセジョ”)を紹介する専用WEBサイト「フレー!フレー!ハセジョ!」を開設する。

 「フレー!フレー!ハセジョ!」サイトでは、「浦和駒場プロジェクト」の各担当セクションで活躍する女性や、建設作業所で活躍する女性工事チーム(“ハセジョ工事チーム”)の取組みなどを紹介する。

 「浦和駒場プロジェクト」は、長谷工コーポレーションが事業主の「ブランシエラ浦和駒場」で、JR京浜東北線浦和駅から徒歩18分、さいたま市浦和区駒場一丁目に位置する7階建て全146戸。売主は同社のほか大成有楽不動産。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。販売開始は2016年2月上旬予定。

 

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13日に行われた旭化成の会見(200人近くの報道陣が詰めかけた)

 横浜傾斜マンション問題で旭化成は11月13日、国土交通省に現時点での調査結果を報告。過去10年の3,040物件のうち調査が完了したのは2,376件で、このうち266件でデータ流用などが行われたことを明らかにした。流用に関わった「現場代理人」は50人以上で、すべてが下請け会社からの出向であり、このうちヒアリングが完了しているのは16人であることが分かった。

 高い専門的技術とコンプライアンスが求められる現場責任者が下請け業者に任せられ、工事を監督すべき建築士による監理がずさんなことが浮き彫りになった。

 この日、杭打ち大手のジャパンパイルが18件のデータ流用が行われていたと発表した。

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 旭化成は国交省に報告書を提出した13日の夕、記者会見を行った。過去10年に施工を行った3,040件のうち当日までに調査を終えたのは2,376件で、このうち266件にデータの流用などが行われたという。データ流用に関わったのは50人以上の同社の下請け会社からの出向社員だった。施工データが存在しない不明物件は118件だった。

 国交省から要請され、優先的に調査した学校、医療・福祉施設の602件は63件でデータの流用などが行われていたことが分かった。

 データ流用が行われた物件については、今後、元請や事業主による建物の安全確認に協力していく。

 今後はデータ流用の有無を確認中の546件については11月24日までに国交省へ報告し、不明の118件についても引き続き調査を継続していく。

 データの流用が行われた背景、動機などについては社内の調査委員会が外部調査委員会の指導や助言に基づいて徹底究明していく。

 データ流用が行われた266件の都道府県別の内訳は東京都51件、神奈川県30件、埼玉県と北海道26件、千葉県23件、愛知県21件。用途別では集合住宅がもっとも多く61件で、都道府県別の内訳は東京都16件、神奈川県12件、埼玉県10件、愛知県8件など。

データ流用に関わった50人以上の「現場代理人」

全て下請けからの出向社員

 会見に臨んだ平居正仁・同社調査委員長は「真相を解明すべく調査中なので、外部調査委員会などへの予見を与えたくない」とデータ流用が行われた背景、原因などについて核心に触れる発言はしなかったが、建設業界の多重下請け構造の暗部が浮き彫りになった会見だった。

 10年間で確認ができた2,376件のうちデータ流用があったのは11.2%に当たる266件だ。これが多いか少ないか判断材料はないが、建物の「安心・安全」に関わる工事で10件に1件以上の割合で〝不正〟があったというのは衝撃的だ。

 同社の報告に対して、石井啓一・国交相は「これほど多くのデータ流用が行われていたことは、極めて遺憾」とコメントした。

 「現場代理人」というのも不可解な存在だ。現場の最高責任者である人が、どうして下請けからの出向社員でいいのか。

 この現場代理人は、国家資格である施工管理技士と思われるが、施工管理技士は建築士や宅建士と異なり、業務上過失・規定違反を行っても法的な罰則規定がない。これも不思議だ。

 また、データ流用に関わった現場代理人からヒアリングが済んでいるのは50人以上のうち16人という数字にも驚いた。30人以上の人が所在不明などでヒアリングができていないという。

 ヒアリングは任意で法的な強制力はないにしろ、現場代理人には自ら進んで調査に応じるという倫理観はないのか。コンプライアンスの意識はないのか。職場を転々と渡り歩いている人なのか。深くかかわっていたのはごく少数のようだが、この人たちがいまも同じ仕事についていると思うと怖い。

 杭打ちデータを流用した理由は、データを計る機器のスイッチを入れ忘れた、雨に濡れてデータが消えてしまった、どこかに紛失したなどという。これまた信じられないお粗末なものだ。そんなミスを犯しても、きちんと報告・連絡・相談されていなかったことも明らかになった。

 このような実態は業界全体で常態化していることもうかがわせた。不具合を未然に防止する重要な任務を課されている設計・施工監理者がきちんとチェックしていない実態が浮かび上がった。

 この点について、平居委員長は「(今回の)監理は元請が行っている。この監理責任についてわれわれはコメントする立場にない」と明言を避けたが、国交省や横浜市からの要請を受けて資料を提出していることを明らかにした。

 横浜傾斜マンションについては、三井住友建設との不協和音も伝わっってきた。

 横浜の傾斜マンションでは、施工会社の三井住友建設が監理も担当しているが、三井住友は先の会見で自らの監理責任を否定した。

 今回の件では6本の基礎ぐいが支持層に未達とされているが、旭化成は「現場担当者は支持層に届いていると思っていると言っている。実際はどうなのか、施主の三井不動産レジデンシャルさんや三井住友建設さんに引き続きボーリング調査をお願いしていく」などと話した。

 なぜ、なぜ、なぜ-約2時間の記者会見で感じたのは「なぜ」ばかりだった。平居氏は何度も真相解明を口にした。闇の多重下請け構造にメスが入れられることを祈るばかりだ。

横浜傾斜マンション問題 どこも〝安全宣言〟を出せないのはなぜか(2015/11/16)

 

 

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