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「グッドデザイン賞特別賞」を受賞した三交不動産社長・森口文生氏(写真右)

 三交不動産の木造軸組構造「MSストラクチャー」が「グッドデザイン賞2014」の特別賞「グッドデザイン・地域づくりデザイン賞」を受賞した。作品は宮川森林組合、エム・エス・ピーとの共同受賞。

 「MSストラクチャー」は、三重県の宮川流域に位置する大台町の木材を積極的に用いた同社の構造体で、山を育てる宮川森林組合から良質な木を確保し、大台町との第三セクターでプレカット工場を設立することで地元に雇用を生み出し、加工まで品質を確保する一連の取り組み。グッドデザイン賞ベスト100に選出された際に「地場の林産業、木材産業、木材加工業から伝統工法を用いる住宅提供までをひとつのサイクルにまとめた総合的な木造住宅供給モデルとして、高く評価できる」「派生する端材や下等級材の二次利用などを含めた大きな構想に期待感がある。」という審査委員のコメントが付されていた。

 「グッドデザイン・地域づくりデザイン賞」は、くらしや産業、社会をさらに推し進め、未来を示唆するデザインと認められるものに贈られる特別賞のひとつ。昨年度は熊本県が応募した「キャラクターを活用した地域プロモーション[くまモン]」が受賞している。

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 わが故郷のデベロッパーが初めてのチャレンジで、グッドデザイン賞特別賞に輝いた。とても嬉しい。テーマがいい。森林・林業の再生・活性化はアベノミクスの肝だと思っている。いいビジネスモデルになってほしいと願う。首都圏のデベロッパーもハウスメーカーもどんどん三重県産の木材を使ってほしい。

 今回の特別賞には、野村不動産・三井不動産レジデンシャル・積水ハウス・阪急不動産4社共同の「オープンディスカッションによる住宅企画Tokyoイゴコチ論争」も受賞した。これはわずか6カ月で全戸が完売するという圧倒的な人気を呼んだ「Tomihisa Cross」(992戸)の街づくりについて、企業や団体、個人の声を取り入れていく取り組みだ。たしかにこの取り組みには驚かされた。

 それにしても、大手デベロッパーと同じ特別賞を受賞し、しかも「くまモン」も受賞している「地域づくりデザイン賞」というから、ひょっとしたら「MSストラクチャー」が全国的にヒットするのではないか。

三交不「グッドデザイン・ベスト100」に選出特別賞候補にノミネート(2014/10/27)

新宿・富久町「Comfort Tower」第1期482戸が即日完売(2013/9/26)

カテゴリ: 2014年度

 プレハブ建築協会は11月4日、同協会の住宅部会20社のうち部会内に設置された環境分科会参加の10社による環境行動計画「エコアクション2020」における2013年度の実績調査をまとめ発表した。

 10社の戸建て供給戸数70,437戸(前年比4.9%増)、低層集合住宅81,267戸(同22.4%増)が対象。

 これによると、新築戸建住宅の居住段階でのCO2削減量は、太陽光発電システムや燃料電池コージェネレーションシステムの普及などにより、2010年比17.6%減の1,924㎏-CO2/戸・年(前年比6.7%減)となった。

 低層集合住宅の居住段階のネットCO2排出量は2010年比14.8%減の1,551㎏-CO2/戸・年となり、順調に削減がすすんでいる。

 既存住宅の居住段階でのCO2削減が大きな課題になっているが、2013年の既存住宅の太陽光発電システム設置工事件数は21,116件(同17.0%減)で、再生可能エネルギー固定価格買取制度がスタートした前年の反動減と買取価格の引き下げの影響を受けた。

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 2020年までに数値目標を掲げ、低炭素社会の構築や循環型社会の実現を目指す「エコアクション2020」は、既存住宅を除いてはおおむね順調に推移しているようだ。

 ただ、記者の取材フィールドである分譲住宅の「地域の生態系の保全に配慮した住宅地の緑化率」については注文もある。数値の「見える化」を図り、ユーザーにも分かりやすいデータで公表すべきだと思う。

 2013年に会員各社が新規供給した建売住宅4,211戸(前年比443戸減)のうち、緑化面積率40%以上を確保した住宅は1,984戸(前年比49戸増)とのことだったが、この数値だけで「自然共生社会の構築」に貢献したのか、あるいは貢献していないのか分かる人はほとんどいないはずだ。

 緑化率を高めた住宅の価格はどうだったのか、ユーザーの反応はどうだったか、売れ行きはどうだったかなどはデータとして取り出せるはずだし、それらの住宅が地球温暖化防止や環境や人に対してどのような影響を及ぼすかも分かるはずだ。

 記者は環境や人に及ぼす緑の役割は極めて大きいと確信している。ぺんぺん草も生えないような建売住宅が淘汰されるよう、プレ協の会員会社は良好な住宅供給の先頭に立つべきだと思う。データもどんどん公開して啓蒙すべきだ。

 

カテゴリ: 2014年度

  設立から34年目にして「公益財団法人不動産流通近代化センター」の名称が変更される。11月4日、新名称募集を一般から募集するとホームページ上で発表した。募集期間は平成26年11月4日(火)~28日(金)まで。発表は平成27年4月。最優秀賞には3万円の商品券が贈られる。

 応募方法はWebまたはFAXで。詳細は不動産流通近代化センター TEL:03-5843-2070へ。

 同センターは昭和55年に設立された国土交通省が所管する特例民法法人で、不動産情報交換のためのコンピュータ・ネットワーク・オンラインシステム「レインズ(REINS)」の運営や不動産コンサルティング技能試験などを行っている。

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 ついに不動産流通センターの名称が変更される。結構なことだ。記者にとっても念願の名称変更だ。

 この呼称についてはもう30年も前から変更すべきという記事を書いてきたし、直接訪ねて呼称変更を〝お願い〟したことがある。

 なぜか。当時、記者はデベロッパーを取材していたのだが、不動産業界に「近代化」なる言葉が付けられた公益法人があるのに驚いた。「近代化」なる言葉は歴史の教科書に出てくる「戦前」のことだ。「もはや戦後ではない」と経済白書が謳ったのは昭和31年だ。どうして昭和の50年代にもなって「近代化」をわざわざつけなければならないのか不思議に思った。

 確かに「全国宅地建物取引業協会連合会」(全宅連)という会員数が約11万(当時約14万)を擁す、主に街の不動産会社などからなる業界団体があり、「前近代的」と思われる部分も少なくなかった。しかし、それでも大手デベロッパーや大手流通会社は良好な街づくりや住宅供給を行っており、他の業種を含めトップランナーだと記者は思っていた。「近代化」などと言われると、自分自身が時代遅れの俗物と言われているような気がした。

 そこで「近代化」が付された団体があるかどうか調べた。今でこそネットで検索できるが、当時は電話帳やらその他の刊行物を調べ、「近代化」が付いている団体は不動産流通近代化センターのほかには、昭和44年に設立された財団法人東京タクシー近代化センターしかないことを突き止めた。東京タクシー近代化センターは平成14年に「東京タクシーセンター」に呼称変更されているので、現在、「近代化」のついている団体は不動産流通近代化センターしかないはずだ。

 今回の呼称変更は、「より安全・安心な不動産取引を実現する不動産業の健全な発達に関する支援により、一般消費者の利益擁護を充実したい今、『近代化』の名称は、現在の事業内容に照らし、十分ふさわしいものと考えられません。私たちはもう一度、原点に立ち返り、皆様にとって、もっとわかりやすく、より身近で、信頼できる名称に変更したいと思います」(同センターホームページ)というのが理由のようだ。

 この業界にはもう一つ、取りようによっては不動産の「適正取引が行われていない」と誤認させるような「一般財団法人不動産適正取引推進機構」という宅建試験を行う団体もある。合併してもいいように消費者にも分かりやすい名称にしてほしいと願うのみだ。

カテゴリ: 2014年度

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「ミス・インターナショナル お披露目ショー&フォトセッション」(三越1階)

  「2014年ミス・インターナショナル世界大会」に出場する世界の美女ら78名が11月1日、日本橋に集結して街行く人々を楽しませた。イベントは、三井不動産などが協賛し「東京中央大通会」が主催するもの。11月11日に行なわれる 「2014年ミス・インターナショナル世界大会」出場者78名が3組に分かれ、「やかた船 船上ショー」「日本橋案内所」「三越本店寿司祭り」「高島屋」「日本橋西川」などのイベント「中央区日本橋世界文化交流プロジェクト」を行った。

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日本代表

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 きれいな女性は毎日のように見ているし、一番美しいのは伊勢神宮が奉っている天照大神と、その美しさを引き継ぐ「大和なでしこ」だと思っている記者にとって、ミス・インターナショナルなんて興味がない。水着姿も審査対象になっているイベントがフェミニストによって批判されるのも理解できる。

 それでも取材する気になったのは、世界の〝美女〟が日本橋川に架かっている高速道路をどう感じるかを聞くためだった。

 片っ端からインタビューしようと思ったが、外国語が話せないし取材の規制もあり、やむなく通訳を通じて聞くしかなかった。質問は「日本のど真ん中の川が高速道路によって覆われている、暗渠になっている景観、風景をあなたはどう思うか」だ。

 最初に聞いたスペイン語圏の女性は「大丈夫(No problem)」のひと言だった。日本語が通訳に通じていないのか、その彼女が何を勘違いしたのか分からないが、記者は唖然とした。ミス…などしょせんその程度のものか、知性は問われないのかと思った。

 しかし、これでは取材目的が達成できない。関係者にお願いして、パラグァイの代表に聞くことができた。彼女は「高速道路を外して、観光客が入りやすいようきれいにすべき」と、通訳を通じて話した。

 彼女は、すぐ「COREDO室町1」の地下「日本橋案内所」に備えられている「首都高速道路の撤去を求める」署名に記名した。ミス・インターナショナルの本大会は11月4日に行われるが、記者はパラグァイの女性に一票投じたい。

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「首都高速道路の撤去を求める」署名に記名するパラグァイ代表

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パラグァイ代表らの記念写真

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 「きやぁ、人形みたい」「おなじ人間と思えない」などのねたみやら感嘆の声が沿道から発せられた。メディアは金魚の糞のように美女軍団の後にくっついていく。記者はこの屈辱に耐えられなかった。

 列から離れようと思ったとき、三越店内でその一団を椅子に腰掛けて眺めている妙齢とはいいがたいが、若いときはミス彼女たちに負けないと確信させる凛とした女性を見つけた。総しぼりの羽織を着ていた。その女性は「みなさん、おきれいでいらっしゃる。でも、わたくし…よく見ていなかったわ」と話した。

 美女たちが帰ったあとで、もう一度、その女性に声をかけた。失礼だとは思ったが、「ずいぶん美しいお着物を召していらっしゃいますね」と話しかけたら「ありがとうございます。これ、結城ですのよ」と紬も見せてくれた。「ありがとうございます。お歳は70歳代でよろしいですか」「いえ、もう少し上でございます」

 やはり日本の女性は美しいと思いながら、三越本店の1階ホールで行なわれた「お披露目ショー&フォトセッション」を見ていた中年の女性にも声をかけた。「とてもきれい、目の保養になる。フェミニストの批判? 身体だけでないでしょ、総合的な美しさが評価の基準」と話した。彼女もさすがだ。

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「やかた船 船上ショー」

「日本橋架橋百年祭」に10万人来場 江戸の舟運が復活(2011/11/2)

これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街(2008/5/19)

カテゴリ: 2014年度

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「TRI-SEVEN ROPPONGI(トライセブンロッポンギ)」完成予想図

 米国ボストンに本社を置くペンブローク・リアルエステートの日本法人ペンブローク・リアルエステート・ジャパンは10月28日、ペンブローク日本初のオフィスビル「TRI-SEVEN ROPPONGI(トライセブン ロッポンギ)」の工事に着手したと発表した。

 「TRI-SEVEN ROPPONGI」はペンブロークが日本で手がける4件目のプロジェクトで、初の商業施設併設型のオフィスビル。東京ミッドタウンの向かい、外苑東通りに面したグレードA品質の14階建て延べ床面積約31,500㎡。竣工は2016年春の予定。

 設計施工は竹中工務店、外装コンセプトデザインに光井純&アソシエーツ建築設計事務所、マネージメントアドバイザーとして東京ミッドタウンマネジメントを起用。世界水準の技術とノウハウを有する開発チームを組成した。

カテゴリ: 2014年度

 積水ハウスが開発し、今年2月オープンした「ザ・リッツ・カールトン京都」が10月17日、香港で開催された「アジア・パシフィック・ホテル投資会議」(HICAP)でこの1年間に開業した最優秀のホテルに贈られる「Reggie Shiu Development of the Year」」に選ばれた。

 HICAPは、世界のホテル投資家や開発事業者、設計事務所、ホテル事業者、コンサルタントなどを対象とするホテル投資会議。「Reggie Shiu Development Of the Year」はアジア・パシフィックのホテルのパイオニアの一人であり、スマトラ沖地震により犠牲となったReggie Shiu氏にちなんだ賞。

 同賞には「マリーナ ベイ サンズ」(シンガポール、2010年)、「ザ・リッツ・カールトン香港」(2011年)、「パレスホテル東京」(2012年)、「パークロイヤル オン ピッカリング」(シンガポール、2013年)などが選ばれている。

積水ハウス、「ザ・リッツ・カールトン京都」完成 2月7日開業(2014/1/15)

 

 

 

カテゴリ: 2014年度

 日本の通勤時間が2年前と比べ9分伸びる-多様化する働き方を支援するワークプレイス・ソリューションプロバイダーのリージャス(本社:ルクセンブルク)がこんな調査結果をまとめ発表した。

 世界100カ国の2万2,000人以上の経営者や経営幹部から回答を得たもので、その結果、グローバルの片道通勤時間の平均が32分30秒に対して、日本は39分6秒であることが分かった。

 日本は、往復で1時間30分近くの時間を通勤に費やしており、片道通勤時間を2年前の調査と比較すると9分6秒増加している。

 グローバルで片道通勤時間の平均の最長はセネガル共和国の67分30秒、最短はキプロス共和国の12分12秒。

 日本人の通勤中の過ごし方は、スマートフォンやタブレットでニュースをチェックする(63%)やメールをチェックする(56%)、読書する(46%)が上位の回答を占めた。

 この結果についてリージャスの日本リージャス代表取締役・西岡真吾氏は「通勤時間を短縮することは、従業員の生産性やモチベーションを向上させることが立証されています。たとえば、リージャスのようなサービスオフィスの活用は、通勤時間を短縮するひとつの選択肢ではないでしょうか。毎日オフィスに出社することなく、必要に応じて自宅や取引先に程近いサービスオフィスを利用することは、通勤時間を短縮し、さらなるフレキシブル・ワーキングの実践につながるでしょう」とコメントしている。

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 日本の通勤時間が伸びたというのはやや理解に苦しむ。地方は知らないが、首都圏では分譲マンションも分譲戸建てもここ数年というかバブル崩壊後はほぼ一貫して都心回帰が進行しているはずだ。

 郊外の緑環境や子育て環境、居住面積より通勤や買い物などの利便性を重視しているのではないか。〝駅近〟なる言葉が流行っているくらいだ。

カテゴリ: 2014年度

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「新宿中村屋ビル」 

 昨日(10月27日)は、朝から記者が書いた街路樹の記事に対する賛意を示す嬉しい社員のコメントをもらい、昼は三井不動産がマネジメントした「新宿中村屋ビル」の記者見学会で中村彝(つね)などの名画を鑑賞させてもらい感動し、夕方は三井ホームの和モダンをテーマにした素晴らしい川越モデルハウスを見学できた。おまけに夜の懇親会では記者の出身高校の後輩女性記者に会うことができて舞い上がった。話すことに夢中になったおかげで深酔いもせず、興奮のあまりほとんど寝ていない割に頭は冴えている。楽しい記事が書けそうだ。 

 まず「新宿中村屋ビル」。完成した新しいビルは、三井不動産が事業主である中村屋から委託を受けて建物の開発計画の立案から設計・施工管理、テナント誘致などを行ったもので、東京メトロ丸ノ内線新宿駅と直結、地下2階地上8階建て延べ床面積約6,400㎡。中村屋がレストランなど4フロアを自社で利用し、他は「COACH」の日本初となる新コンセプト店など全12店舗が入居。10月29日にグランドオープンする。

 

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中村彝「小女」

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 「中村屋」と言えば印度カレーとパンやお菓子だろうが、是非お勧めしたいのが3階に設置された「中村屋サロン美術館」だ。「中村屋サロン」の言葉は知っており、中村彝の「小女」、鶴田吾郎の「盲目のエロシェンコ」、荻原守衛の「女」などは他の展覧会で見たことがあるが、ほかにも中村不折、高村光太郎、會津八一らの美術品約90点を所蔵していることを初めて知った。額にして数十億円に達するはずだ。

 10月29日から2015年2月15日までは、長野・碌山美術館の協力を得て特別展「中村屋サロン-ここで生まれた、ここから生まれた-」を開く。入場料は一般が300円。

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中村彝「小女」(部分)

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 中村屋のご厚意によりWebで一挙公開する。中村は印象派の影響を強く受けた画家で、ルノワールと同じ、普通の女性をモデルにした裸婦像も多く描いている。記者の好きな画家の一人。

 今回展示されてている「小女」(69.8㎝×65.3㎝)は、相馬家の長女俊子をモデルとして描いたものだ。作品に添えられている開設や館内に展示されている「中村屋サロン」の人物相関図を読むと明治末期から大正にかけての社会・政治状況などが絵を通じて伝わってくる。少し紹介する。

 中村は明治44年、中村屋の相馬愛蔵、黒光夫婦が愛蔵と同郷の荻原守衛ら芸術家・文化人を支援していたことから中村屋裏のアトリエに移り住む。そこで相馬一家と家族ぐるみの付き合いをしながら制作活動に励んだという。

 中村は俊子と結婚したかったそうで、俊子も裸体モデルになることをいとわなかったという。ところが大正3年、俊子の裸体像を展覧会に出品したところ、当時俊子が通っていた明治女学校の逆鱗に触れることとなり、相馬家と感情的な溝を作ってしまい、中村は肺を患っていたこともあり結婚はかなわず失意のうちに中村屋を去る。そして大正13年、肺結核により37歳の若さで生涯を閉じる。

 俊子は、思想家・頭山満や犬養毅からの勧めもありインド独立運動活動家・ラスビハリボースと結婚。イギリスから国外追放されていたボースをかくまうのは大変だったようで、俊子は過労のため夭折。ボースは恩返しのために印度カレーを振る舞ったことが縁となり、中村屋のインドカレーの開発につながったという。

 特別展には俊子の裸婦像習作も展示されている。浴衣から膨らみ始めた乳房が少し見え、俊子は温かいまなざしでまっすぐ中村を見つめている。小品だが静物画もいい。「小女」や「盲目のエロシェンコ」とともにこれらは必見。

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中村彝「牛乳瓶のある静物」

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中村彝「麦藁帽子の自画像」

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高村光太郎「自画像」

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中村不折「始制文字の下図」

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荻原守衛「女」

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荻原守衛「坑夫」

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會津八一「双幅:林下十年夢/湖辺一笑新」

カテゴリ: 2014年度

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第17回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式

 日本木造住宅産業協会(木住協)が主催する第17回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式が10月25日行われ、応募があった約24,000作品の中から入選した8作品を本人が朗読し、保護者らも感想を語った。

 作文コンクールは、小学生の1年から3年の低学年の部と、4年から6年までの高学年の部に分けそれぞれ「木の家や建物」をテーマに最大1200字以内に綴ってもらうもの。全国47都道府県と海外4カ国の日本人学校5校の1,636校から過去最多の24,079点の作品が寄せられた。

 審査の結果、国土交通大臣賞、農林水産大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞の大臣賞のほか住宅金融支援機構理事長賞、木住協会長賞、朝日小学生新聞賞、審査員特別賞、木住協支部長賞の全28点が発表された。

 冒頭挨拶した木住協・矢野龍会長は「私も皆さんの作品を読ませていただきましたが、木の家を通して、木のぬくもり、優しさ、頑丈さ、さらには将来の夢や、おじいさんおばあさんを思う優しい心、自然災害や環境問題、バリアフリーなど、どの作品も小学生らしい純粋な視点で書かれており、とても心を打たれました」と語った。

 来賓として参加した国交省住宅局住宅生産課長・林田康孝氏は「衣食住の中で住まいはもっとも大事な基盤。日本の住宅は森と木をつなぎながら独自の様式を築いてきた。日本が誇れる文化。みなさんがみずみずしい言葉で木の優しさ、香りなどを言葉にして表現されていることに驚きました。みんな素晴らしい作品」と祝辞を述べた。

 審査員を代表してイラストレーターの平松尚樹氏は「心ときめかせて審査しました。視点が広くなり太くなったのを感じました。畑に野菜の種をまくように感動の種を心に育てましょう」と講評した。

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矢野会長

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 約24,000作品も寄せられたというからすごい数だ。低学年は原稿用紙100字から1,200字、高学年は400字から1,200字が応募条件。1作品を400字原稿用紙2枚(800字)として48,000枚。小説なら世界最長、ギネスブックものだ。わが国の最長小説は中里介山の「大菩薩峠」で17,000枚といわれるから、その3倍近くだ。審査する人も大変だったはずだ。入選しなかった作品の中にも素晴らしい作品があるはずで、子どもたちはめげずにどんどん応募して欲しい。

 応募作品の多さは都道府県別で茨城県、群馬県、福島県の順。茨城県は3,226作品。入選作28作品のうち茨城県が4作品、鹿児島県が5作品、福島県が4作品で、上位3県で13作品を占めた。

 作文のテーマとして「家」というのは子どもにとってもっとも取り組みやすいはずだ。各県の教育委員会、学校が競えあえば子どもの書く力を向上させることができるのではないか。森林・林業県のわが三重県は44作品しかなかった。これは情けない。記者は小さい頃、囲炉裏で漢字や算数、村の経済・文化を学んだ。

 文科省、学校に注文するとすれば、もっと森林や樹木について教えるべきではないか。河川や草花は教科書に結構出てくるが、樹木は50種もないのではないか。われわれは木の名前を知らなすぎる。

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 表彰式は約2時間半。そのうちの過半は各賞の発表と受賞者による朗読、インタビューだった。みんな素晴らしい作品であることは、矢野氏や林田氏の話や、審査に関わった木住協担当者の「福島の作品にはもらい泣きした」という言葉からも伝わってきた。

 作文はプロジェクターでも映し出されたが、前方の人しか読めなかったのではないか。後方に設けられた記者席からは読めなかったし、子どもの朗読もほとんど聞き取れなかった。保護者の人も「内容は全然分からなかった」と話していた。

 作品は冊子としてまとめられるというが、入選作品くらいは会場で配布すればもっと理解は深まるはずだ。それにしても子どもたちは立派。途中騒ぐことも退席する子どもはほとんどいなかった。記者はいつも廊下に立たされていた。

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カテゴリ: 2014年度

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 【写真1】JR武蔵野線新三郷駅西口の街路樹(左がクスノキ、右がケヤキ)

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 【写真1】JR武蔵野線新三郷駅西口の街路樹(左がケヤキ、右がクスノキ)

 【写真1】は、JR武蔵野線新三郷駅西口の街路樹だ。右側と左側でかなり差が違うことが分かる。右は「ケヤキ」、左は「クスノキ」だ。「ららぽーと新三郷」が2009年にオープンした時にも植えられていたから、それから5年が経過する。当時、ずいぶん貧弱な街路樹だと思ったが、それでも5年経過して右のケヤキの樹高は10m近くになり、逆箒型に育っている。

 左のクスノキはどうか。樹高はせいぜい4mくらい。幹周りは20㎝くらいしかなかった。どうしてこんなに差が出るのか。市のみどり公園課によると「風通しが悪く生育がよくない」ということだった。

 成木は高さ20~30mにもなるのは同じだが、ケヤキは落葉樹でクスノキは常緑樹だし、樹形がまったく異なる。メインストリートの両側でそんな高木を植えるのは理解できない。これでは永遠に新三郷駅前のメインストリートの街路樹は非対称、不ぞろい。支離滅裂といっては失礼か。市が掲げる「きらりとひかる田園都市みさと~人にも企業にも選ばれる魅力的なまち~」の看板に偽りはないのか。

 しかしその一方で、写真のメインストリートの奥に左右対称の立派な円錐形をした高木が植わっているのが分かる。昭和48年に開校した市立桜小学校の敷地内に植えられているヒマラヤスギだ。樹高30mはあるはずだ。あまりにも市の街路樹とは対照的だ。

 読者の皆さんはあと20年、30年待てばケヤキもクスノキもそれくらいになるというのかもしれないが、街づくりはスピードも大事だ。せめてメインストリートくらいは街びらきの段階で立派な高木を植えてほしい。

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「LaLa新三郷」の「センペルセコイア」

 【写真2】は、三井不動産レジデンシャルの「LaLa新三郷」の敷地内のエントランス正面に植えられている高木「センペルセコイア」だ。樹高は優に10mを超えていた。ネットで調べたら、常緑樹で「世界一背の高いことで知られる」とあった。雌雄異株と理解されていたが、同じ葉っぱに雄花と雌花が咲く雌雄異花だそうだ。

 【写真3】は、「LaLa新三郷」のエントランスアプローチ部分に植えられている「セコイア」などの高木だ。セコイアも成木は数十メートルにもなる。こちらは落葉樹だ。見事な「ヤマザクラ」も植わっていた。

 さすが三井だと思った。エントランスに落葉樹ではなく常緑樹を植える-これはかつてのデベロッパーの常識だったが、同社はいまもその姿勢を貫いているのが嬉しいではないか。

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「LaLa新三郷」のエントランスアプローチ

続「街路樹が泣いている~街路樹と街を考える」流山と越谷、三郷の差(2014/10/17)

カテゴリ: 2014年度
 

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