都市、住宅、税制の三位一体の取り組み肝要 不動産協会・菰田理事長
菰田氏(帝国ホテルで)
不動産協会は5月16日、定時総会後の恒例の懇親会を行った。
冒頭、同協会理事長・菰田正信氏(三井不動産社長)は、わが国の経済はゆるやかな回復を続けているが、世界情勢は不透明感が増しているとし、「デフレからの脱却を確実なものとし、経済の好循環に向けて成長を加速させるため官民が総力を挙げて、都市と地方のさらなる活性化を図ることが重要。近年、人口減少、少子高齢化など社会構造が変化し、AI、IoTなど革新的な技術が急速に進行しており、街づくりに求められている役割も変化している。
多様な人々の社会参画、健康長寿、環境負荷の低減、新産業の創出など持続可能な社会の実現に向けて解決しなければならない諸課題を、街づくりを通して確実にし、強固な社会を実現することが求められている。そのため、人々が多様に暮らし、働き、憩える、世界に誇れる魅力的な街づくりを行い、豊かな市民生活ができるよう都市、住宅、税制の三位一体での取り組みが肝要」と述べた。
平成30年度の重要課題として①街づくり②豊かな住生活の実現③税制改正-の3点を挙げ、積極的に取り組んでいくと話した。10月に予定されている消費増税については、駆け込み需要とその反動減に各業界団体と連携して対応策を提言していくと語った。
乾杯の音頭を取った同協会会長・木村恵司氏(三菱地所特別顧問)は、「3分間だけ話させてください」とし、IoTをどう利用していくか、30年先、40年先を見据えて考えないといけない、われわれは普段競争しているが、団結しないといけないと話した。
木村氏
◇ ◆ ◇
日本小売業協会会長・清水信次氏(ライフコーポレーション会長CEO) 100歳時代というが、75歳で後期高齢者、85歳で末期高齢者。100歳まで生きると年金のこととか生活のことがあるから渋い(厳しい、財布のひもを締めるという意味か)。わたし? 100歳まで生きる。業績? 社長をはじめみんな頑張ってくれているからいいほうだろうね。日本は価格競争、サービス競争で世界一だ(上場会社最高年齢経営トップの92歳。わが三重県出身)
清水氏
不動産協会相談役・岩沙弘道氏(三井不動産会長) (先日、日本郵政不動産の岩崎社長にインタビューしました。岩崎さんは75歳、岩沙さんは76歳。岩崎さんにメッセージをお願いします)郵政不動産は、都市開発、地方再生に欠かせない資産を持っていらっしゃる。時代の変化に応じでその資産を有効に活用し、全体の事業の根幹を担うよう期待している。共同事業? フェアでオープンな形で協力させていただく
岩沙氏(左)と神山氏
不動産協会理事長・菰田正信氏(三井不動産社長) (三井不動産レジデンシャルがRBA野球大会総合優勝戦で旭化成ホームズと対決します。三井さんに一言)三井の力を十二分に発揮してほしい。(やや劣勢ですが)チャレンジスピリッツを発揮してほしい。(社長ご自身はプロ野球はどこのファン? )コメントを差し控えさせていただく
不動産協会副理事長・沓掛英二氏(野村不動産会長) (先日、日本郵政不動産の岩崎社長にインタビューしました。縁談話には全然関与していないということでした。復縁の話も出ませんでした)アハハハハ。(この前、川口のマンションを見ました。最高にいいですね。価格も安い)今はね…(意味深なコメント)
すてきナイスグループ取締役・木暮博雄氏 (RBA野球経験者としては上場企業3人目の社長誕生ですが)まだなっていないからね。(チームは低迷していますが)仕事も野球もちゃんとやってほしい。(Yの弟を補強するのはどうですか)いいね、しかし、わたしはまだ社長じゃないからね(6月28日の総会で社長に就任する予定。写真をお願いしたら「すっかり禿げちゃった」と拒否。昔から禿げていたのでは)
全国住宅産業協会会長・神山和郎氏(日神不動産会長) (横山修二さんが亡くなられました)業界(横山氏は全住協の前身、住宅産業開発協会の初代会長)のトップまで務められた方。(7月上旬予定の)お別れ会にはたくさん来ていただくように協力する(大京時代の部下。大京の山口陽社長と大京アステージ会長・栗原清氏は株主総会で退任されるので、横山氏を知る大京の役員は落合英治専務くらいになってしまった。落合氏も昭和59年入社だから、横山氏と直接話をしたことなどほとんどないのではないか)
東急不動産 全国25カ所で再生可能エネルギー事業を本格展開
東急不動産は5月15日、再生可能エネルギー事業を本格展開し、 風力発電所2カ所を含め北海道から九州・沖縄まで全国25カ所で事業推進すると発表した。
同社は2014年、香川県で太陽光発電事業に参入して以降、リニューアブル・ジャパンと資本業務提携し、国内最大級の蓄電池併設型発電所「(仮称)すずらん釧路町太陽光発電所」、岩手県一関市の太陽光発電と営農を両立する大規模ソーラーシェアリング事業の着手など、 再生可能エネルギー事業を推進してきた。
全国25カ所の事業推進による将来完成時の定格容量合計は一般家庭約12.9万世帯分の年間使用量に相当する約450MWとなり、CO2を年間約36万t-CO2 削減する。
横山修二氏が死去「スケールの大きい方だった 夢を語った」安倍徹夫氏が追悼文
元大京社長、会長の横山修二氏が死去したことに伴い、全盛時の部下で幹部だった安倍徹夫氏(アンビシャス社長)が「日刊不動産経済通信」に追悼文を寄せた。同紙の承諾を得たので、全文を紹介します。
◇ ◆ ◇
とにかくスケールの大きい方だった。どんな状況の時でも、正道を歩む経営をされていた。
大京が上場した頃、一番辛かったのはシベリアでの捕虜の時代とオイルショックだったと講話されたことがあった。
「戦時中、学徒動員で徴兵され、戦後シベリアに3年間捕虜として抑留された。厳寒の中、坑夫として過酷な労働を強いられ、毎日満足な食事も与えられず、地下の坑道を数百メートル往来し、周りには病死する若者が続出した。朝起きたら、戦友の堀内君が亡くなっていた」と述懐されていたことがあった。
35歳で独立し、会社を急成長させ、オイルショックの頃は何度も倒産しそうな状況にあったが、どんなときでも部下を信頼し、その家族を大切にされていた。
仕事をぬかるみの道に例え、小学校時代の恩師に教わった「土牛のごとき人生を歩む」を座右の銘にしていると、社員に話をされたことがあった。
大京の売上が7,000億円を超えた頃、常に言われていたのは、投資向け不動産を扱うな、投資向けは必ず崩れる。大京は実需の会社なんだと口癖のように言われていた。
マンション事業の他に海外、特にオーストラリアの開発に夢を抱いていた。
昭和40年代後半には、ゴールドコーストやケアンズに人を派遣し、リゾートエリアの開発やホテル建設に尽力された。部下を信頼し、いつも夢を語っておられた。
私も16年間の役員時代に稟議を却下されたことは1度もなかったと記憶している。
常に部下を信頼し、部下に任せ、事業を成長させ、逆に任せたことによって傷つくことがあっても、常に人を信頼していた。
様々な思い出が走馬灯のようにめぐってくるが、事業を通して正しい道の歩き方を多くの人達が教えられたと思う。海が大好きな方だった。
心から哀悼の意を表します。
巨星消える 木下長志氏に続き大京創業者、横山修二氏が死去 92歳
大京創業社長の横山修二氏が死去した。92歳。詳細は未定。
横山氏は1925年(大正14年)11月23日生まれ。1960年(昭和35年)大京商事、1964年(同39年)に大京観光を創業。1997年(同9年)代表取締役会長に就任。
◇ ◆ ◇
記者は14日の夜、業界紙の記者から訃報を知らされた。すぐ、大京創業時の幹部、記者が勝手に呼ぶ〝大京の7人の侍〟のうちの一人に電話した。亡くなられたのは事実のようだが、その侍は「また会いましょう」の言葉を残して電話を切った。もう一人の侍にも電話したが、コール音だけが鳴り響くだけだった。
◇ ◆ ◇
横山氏には2005年、大京がオリックスと資本提携し、事実上オリックス傘下になったとき、自宅を訪ねコメントを取ろうとしたが、家族の方から「もう経営にはタッチしておりませんのでコメントは差し控えさせていただきます」としか聞けなかった。これもご本人の意思かどうかも確認できなかった。
横山氏は、バブル崩壊後の経営悪化の責任を取り、平成4年に第一線から退いた。それでも当時の幹部からは「親父」と親しまれ、定期的に会合やゴルフなどをされていたようだ。馬主としても知られており、横山氏の所有馬から数点買って5万円の万馬券を的中したのは30年も昔か。
92歳といえば、今年2月に亡くなった木下工務店の創業社長、木下長志氏と同じ年齢だ。昭和-平成の激動期に活躍した2人の巨星が消えた。2007年、7人の侍のうちの一人、明和地所の創業社長、原田利勝氏が亡くなったとき、秘書を通じ「残念です」と間接的にコメントを聞いたのが最後となった。
土地を耕し、種を植え、花を咲かせた 木下長志氏(享年92歳)お別れの会(2018/2/28)
元大京専務 木原稔氏 マンションの顧客主義を語る(2009/12/10)
元明和地所会長の故原田利勝氏通夜に2500人(2007/6/19)
生物多様性保護などグリーン・インフラ取り組み ポラス「北越谷」分譲地でイベント
1時間半で約90㎡の芝生貼りを終えた参加者(指導した東邦レオのプロも絶賛した)
ポラスグループの中央グリーン開発は5月12日、同社が分譲中の「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」でポラス暮し科学研究所と合同してグリーン・インフラの取り組みの一環として「南荻島街づくり植栽&防災ワークショップ」を開催した。戸建て購入者や自治会員など多くが参加した。
グリーン・インフラは、自然環境が有する多様な機能を様々な社会課題の解決に役立てようとする考えで、同社は同じグループのポラス暮し科学研究所とともに、CFD(数値流体力学)を活用したヒートアイランド対策、生物多様性の保護、ワークショップを通じた地域貢献普及活動を行っている。
今回は、分譲地内に整備する提供公園の約90㎡の芝生貼り、一部の地域では絶滅危惧種に指定されている元荒川土手に自生するウマノスズクサを公園内に移植し、それを食草とするジャコウアゲハの保護活動を行ったほか、元荒川の河川敷の雑草を踏み固めるミステリーサークルづくりを楽しんだ。
芝生貼り(左)とウマノスズクサの移植作業
ウマノスズクサ
ミステリーサークル遊び
◇ ◆ ◇
この分譲地を取材するのは今回で3回目だ。記者は埼玉県の環境アドバイザーを務める松田好行氏(81)の博学のとりこになった。取材そっちのけで松田氏について回り、名前だけでなく食べられる雑草を教わり、「人間は人間を滅ぼす」などといった真理、哲学、生き方までも学んだ。
記者より一回りも年上の松田氏からは「草、木、土、虫、鳥の名前を覚えることが大事」「森は鳥がつくった」「風媒か鳥媒か」「環境教育は言葉が先走っているだけ」「イヌ、ネコ、ネズミなど人間が勝手に草に名前をつけた」「食べられる野草を囲って野菜となった」「人間の歴史はせいぜい3万年。植物は5億年昔」「毒があるから他は食べない」などの言葉が次から次へと発せられ、記者を魅了した。
松田氏は元出版社の経営者で、屋久島の樹木などに関する書物を自ら著し、その後、全国的に環境アドバイザーとして活動している。現在は分譲地の近くに住んでいる。地域の宝だ。
松田氏
◇ ◆ ◇
松田氏に教わった野草の名前を列挙する。イヌムギ、カラスムギ、セイタカアワダチソウ、ルービン、ギジギジ(先端の芽は食べられる)、スイバ、ヤブガラシ、カラスエンドウ、コヒルガオ、オオシバリ、ネズミムギ、ヤブガラシ(この芽も食べられる)、ヨメナ、スイバ、ススメノカタビラ…。
ギシギシ(左)とカラスムギ
左からオオジシバリ、カラスムギ、イヌムギ、ネズミムギ、ウマノスズクサ、ヤブガラシ、ギジギジ
◇ ◆ ◇
野草にはヒトリシズカ、フタリシズカ、ムラサキシキブ、イチニンソウ、ニニンソウ、ハハコグサ、チチコグサ、オドリコソウ、シラサギソウ、ワスレナグサ、ツキミソウ、ワスレナグサなど素敵な名前がついているものも多いが、言葉にするのもためらわれるようなオオイヌノフグリ、ヘクソカズラ、ハキダメギク、ドクダミ、ブタクサもあれば、(この草の名前? )シランなどと人を食った名前も、さらにまたオミナエシ(女郎花)、ボケのように考え込んでしまう雑草もある。松田さん、どうしてなのか教えてください。
元荒川土手の桜
今年3月の全国ホテル 稼働率は微減ながら稼働率指標は上昇 週刊ホテルレストラン
オータパブリケイションズが発行している「週刊ホテルレストラン」2018年5月11日号によると、2018年3月の全国のホテル平均客室稼働率は82.1%で対前年月比0.1ポイント減、定員稼働率は75.0%で対前年月比0.1ポイント減となった。
また、「全国客室平均単価(ADR)エリア分析速報」集計によると、ADRの全国平均は10,856円で対前年同月比0.9ポイント、RevPAR(室料売上÷客室総数)は8,989円で対前年同月比1.3ポイントそれぞれ上昇した。
2018年3月は、本州エリアでは軒並み稼働率は低迷傾向にあったが、北海道・九州・沖縄では稼働率は伸長した。特に北海道はインバウンド増加に伴う内容のコメントが多く寄せられており、稼働率・ADR・RevPARの3指標が伸びた。
野村不動産 「ノーガホテル上野」11月1日に開業
「NOHGA HOTELUENO」(ノーガホテル上野)レストラン・ラウンジ
野村不動産は5月10日、「NOHGA HOTELUENO」(ノーガホテル上野)を2018年11月1日に開業し、宿泊予約を5月10日(木)より開始すると発表した。
同ホテルは、「地域との深いつながりから生まれる素敵な経験」をコンセプトに、同社グループが商品開発、サービス提供をし、ホテルが立地する地域に応じたデザインとするほか、地域の職人やデザイナーと連携したオリジナルの家具・備品・アートなどを配置する。
物件は、JR山手線・京浜東北線上野駅から徒歩5分、台東区東上野2丁目に位置する延床面積約4,896㎡、全130室(18~60㎡、平均20㎡前半)。付帯施設はレストラン、フィットネス、ライブラリー、ギャラリーなど。朝食付ルームチャージはスーペリアダブル(20㎡)が25,400円、ツイン(24㎡)が34,500円。
スイート
テラス
明和地所 札幌・赤れんが庁舎のリニューアル事業に参画
赤れんが庁舎
明和地所は5月8日、2016年6月に北海道と締結した包括連携協定に基づき札幌市中央区の赤れんが庁舎のリニューアル事業に参画すると発表した。
赤れんが庁舎は1888年(明治21年)に建てられたアメリカ風ネオ・バロック様式の建築で、1969年(昭和44年)3月に国の重要文化財に指定されている。近年、建物の劣化が進んでいることから、耐震対策を含めた改修を行い、国内外に向けた歴史文化・観光情報発信拠点としてリニューアルする。平成31年度に着工し、同34年の完成を目指す。総事業費は78億円。
同社は1986年に創業した翌年の1987年に札幌市に支店を開設し、マンションの開発・分譲事業を展開している。
平成29年 外国資本による森林買収 東京ドーム32個分 農水省
農林水産省は4月27日、平成29年の外国資本による森林買収事例について、調査結果をまとめ発表。全国で44件、広さは東京ドーム約32個分の148haだった。
事例でもっとも多いのは北海道の39件(53ha)で、利用目的は「不明」がもっとも多く25件。1件当たり面積がもっとも広いのは福島県いわき市の90haで、アメリカの法人が太陽光発電事業用地として取得した。
このほか、国内の外資系企業と思われる者による森林の取得が40件、881haあった。
平成18年に調査を開始してから29年までの事例累計は188件、1,589haで、もっとも多いのは北海道の156件、1,364ha。
森林法では、面積にかかわらず、森林の土地の所有者となった場合に市町村へ届け出なければならず、違反した場合は過料10万円の罰則がある。
また、国土利用計画法では、一定面積以上(都市計画区域以外は10,000㎡)の土地売買について届け出義務を課しており、違反した場合は6カ月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
三井不・三菱地所 田町駅前「msb Tamachi(ムスブ田町)」オフィスは満室稼働へ
「msb Tamachi(ムスブ田町)」
三井不動産と三菱地所は4月27日、JR田町駅東口エリアで東京ガスと共同で開発を進めている「msb Tamachi(ムスブ田町)」街区内の「msb Tamachi 田町ステーションタワーS」「プルマン東京田町」が5月1日に竣工することに先がけて竣工式を行った。
「msb Tamachi」は、街区全体の延床面積が30万㎡を超える田町駅と歩行者デッキにより直結するオフィス、商業、ホテル、広場から構成されるミクストユースの街づくりで、東京ガスが所有する土地に東京ガスが「msb Tamachi 田町ステーションタワーN(スマートエネルギーセンター含む)」を、三井不動産と三菱地所が「msb Tamachi 田町ステーションタワーS」と「プルマン東京田町」をそれぞれ開発する。
今回竣工する「msb Tamachi 田町ステーションタワーS」は、31階建て延べ床面積約136,620㎡。世界的な建築設計事務所であるKPFデザインによるオフィスエントランスは天井高7.5mを確保。非常用発電およびスマートエネルギーセンターとの連携により、災害時には共用部だけでなく専有部へも72時間電力供給を可能にし、高いBCP機能を備える。商業ゾーンは、スーパーやドラッグストアなどの日用品を扱う店舗から様々な飲食専門店が揃う。オフィスは満室稼働する。
「プルマン東京田町」は、ヨーロッパを中心に展開するホテルチェーン「アコーホテルズ」が運営し日本初出店スカイバーやエグゼクティブラウンジなどを有する全143室ハイクラスホテル。一泊ルームチャージは3万円前後になる模様。
「msb Tamachi 田町ステーションタワーN」は、36階建て延べ床面積約152,800㎡。2020年春に竣工予定。
木調ルーバーが美しいオフィスエントランス
ホテル外観(イメージ図)
1階アプローチののクスノキ10本(左)と2階広場のナナミノキ、ヤマボウシなど数十本の中高木