「ハレとケ」を現在の住まいに再構築 コスモスイニシア 都立大との共同研究リノベ
「パレ・ドール六義園北」土間・ギャラリー(左)と茶室
コスモスイニシアが分譲を開始したリノベーションマンション「パレ・ドール六義園北」を見学した。床・建具・家具などに本物の木を使用したデザインが秀逸だ。
同社と東京都立大学システムデザイン学部インダストリアルアート学科インテリアデザインスタジオが2021年11月から共同して取り組んでいるプロジェクトの一つで、同社の2千戸超のリノベーションマンションの供給実績・ノウハウと、学生の自由な発想や大学での研究で得られた成果を融合させ、「多様性・変化する暮らしかた」を具現化し、提案するのが狙い。
今回の物件のテーマは「日本の感性」で、京町家などに見られるわが国の伝統的な住宅や古民家の調査研究を通して、「ハレとケ」を現代の住まい方へ再構築しているのが特徴で、障子や襖などの「可動建具」は、空気を通す布張りや板張りなどで仕上げ、春夏秋冬に応じて変化させることができるようにしている。
同大学のインダストリアルアート学科・学域は、「『デザイン』という専門分野だけにとどまらず、理工系から人文・社会系まで、プロダクト系からメディア系まで、幅広い領域に対する興味と知見を有し、それらを総動員して新しいタイプのデザインを創生する人材を育成している」「世界的にも非常にユニークな存在」(同大学ホームページ)で、同学部・学科教授の藤原敬介氏はISSEY MIYAKEの店舗デザインなども手掛ける著名な方のようだ。
物件は、JR山手線駒込駅から徒歩3分、北区中里1丁目の商業地域に位置する9階建て「パレ・ドール六義園北」の3階住戸で、専有面積は112.87㎡、価格は12,480万円(坪365万円)。建物は築34年。
リビング(正面奥は収納襖)
収納襖の布張り部分
ダイニングキッチン
土間・ギャラリーからの内観
プラン
◇ ◆ ◇
8月に見学取材した「代田橋」と同様、物件案内は同社流通事業部商品企画部建築一課課長・高橋晴彦氏にしていただいたのだが、住戸に入って絶句した。
「代田橋」より面積は3倍近く広いこともあるのだが、床・建具・家具などに本物のヒノキ材などを採用した、間口十数メートルもありそうな端正な佇まいに目を奪われたからだ。
障子や襖などの「可動建具」は寸法が同じなので、気分によって、四季によって自由に入れ替えたり取り払ったりすることができる。京町家などで日常的に行われていたことだ。布張りの布は市販されているものを使用しているとのことで、高価な素材でなくても工夫次第で美しく見せることができることを示している。
「パレ・ドール六義園北」について。立地、竣工時期、商品企画などからして、記者が分譲時に取材した物件であるのはほぼ間違いない。2戸1エレベーターの億ションだった。当時の坪単価は800万円くらいではなかったか。ある著名なプロ野球選手が購入したのをご本人に確認もしている。
「パレ・ドール六義園北」
マンションのカスタマーハラスメント、過剰要求なくせ
9月14日に行われたマンション管理業協会の記者懇談会で「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に関する質問があった。記者はどのようなやり取りが行われたのか聞き取れなかったのだが、教育・保育現場などを中心にコロナ禍でカスハラが増加傾向にあると聞いているのでハットさせられた。と同時に、同協会が平成25年に発刊した「マンション管理業の失態調査報告書」(代表研究者:大橋弘氏)にマンションフロント業務担当者への過剰要求が取り上げられていたことを思い出した。
同協会から報告書の一部をメールで送っていただいたので紹介する。フロント業務担当者の「やりがい」と「過剰要求」を箇条書きにしたものだ。
◇ ◆ ◇
フロント業務担当者としてのやりがい(集計:2,500人)
・理事会役員に信頼されていると感じる時 87.8%
・上司や同僚にフロントとしての実力を認められた時 55.7%
・理事会役員や居住者等からほめられた時 72.5%
・新たなサービスや建物、設備の改修工事等を提案して受注できた時 48.8%
・理事会と協力して管理上の課題に取り組み円滑に解決した時 65.6%
・理事会で自ら企画立案したことや提案したことが採用された時 49.0%
・理事会役員や自治会役員と企画したイベントが成功した時 29.7%
・アンケートのコメント等で間接的に居住者から褒められた時 45.0%
・理事会役員や居住者から信頼を回復できた時 52.2%
・理事会で適切なアドバイスができた時 56.4%
・管理員等の現場の職員から頼りにされたり褒められたりした時 42.6%
・理事会役員や居住者等との交流を楽しめた時 35.0%
・理事会役員や自治会主催の懇親会等にゲストとして呼ばれた時 21.7%
・管理組合から感謝状等の形で実績を認められた時 21.0%
これまで受けた過剰要求(集計:2,295人)
・長時間(4時間以上)にわたる理事会などへの出席 60.9%
・深夜(夜10時以降)に及ぶ理事会等への出席 55.7%
・頻繁(月2日以上)に開催される理事会などへの出席 47.3%
・深夜・休日に及ぶ理事会役員や居住者等からの頻繁な電話対応 60.1%
・理事会役員から届く頻繁・大量のメールへの対応 47.8%
・理事会役員からの休日や業務時間外の突然の呼び出し 45.1%
・膨大な資料を短時間で作成するような不当な要求 39.4%
・出席する必要のない会合への出席の強要 33.0%
・総会・理事会等における罵声、怒声による威圧 57.4%
・理事会役員や居住者等からのセクハラ 2.2%
・理事会役員や居住者等からの暴力 4.0%
・理事会役員や居住者等からのいやがらせ 16.7%
・業務時間外における共用部分の汚物処理などの清掃作業の要求 29.7%
・騒音問題における音の確認等、契約業務に含まれない立ち合い要求 70.0%
◇ ◆ ◇
フロント業務担当者は多くのことに「やりがい」を感じると同時に、理事会役員や居住者などからたくさん「過剰要求」を受けていることが分かる。同報告書のまとめでは、モチベーションの高いフロントほど将来もフロントとして働きたいと考える傾向にあるとし、教育訓練を受けたフロントはモチベーションが高く、全体的に業務範囲が狭いほどモチベーションは高い傾向にあるとし、不当要求を受けたフロントほど、モチベーションが低下する傾向にあると締めくくっている。
どうすれば不当要求は解消されるか。報告書が指摘する教育訓練も必要だろうが、記者は一番必要なのは「マンション標準管理委託契約書」を周知徹底させることだと思う。理事会への出席など契約業務以外の事項を管理組合は管理会社に求めず、管理会社は過剰な、サービス労働に繋がる要求を受けないことだ。
もう一つは、良好なコミュニティを形成するための管理組合の取り組みが不可欠だと思う。風通しをよくすれば、居住者間のトラブルは激減するはずだ。
その意味で、2016年に国土交通省が標準管理規約を改め、コミュニティ条項を削除したのは居住者同士を見えなくし、分断するもので、誤りだったと今でも考えている。どのようなマンションの管理を行うかは、居住者が決めることだ。国が決めることではない。(記事参照)カスハラが増えているとすれば、このコミュニティ条項の削除もその要因の一つではないか。
さらに言えば、管理会社もまたフロント業務担当者が日々行っている仕事がどのようなものかを居住者に伝え、アンタッチャブルとされてきた専有部へのサービスを強化すべきだと思う。記者は5年前、公共職業安定所(ハローワーク)の就職フォローアップ事業の一つ「マンション管理員業務講習会」を取材し、「掃除は科(化)学」「床は朝日新聞、窓ガラスは読売新聞」「ホコリは取るもの、誇りは持つもの」などという講師の話と手際よいスゴ技に目からうろこが落ちたのを鮮明に覚えている。フロント業務担当者はみんなリスペクトすべきプロだ。
最近、第三者管理方式を採用するマンションが増えているが、この方式が居住者間のトラブル防止に役立っているか、カスハラの解消につながっているか、とても興味がある。
大山鳴動…コミュニティ条項は玉虫色決着 国交省が大岡裁き(2016/3/15)
マンション「コミュニティ条項」削除に反対 首都圏など13の管理組合が意見書(2015/6/3)
標準規約からマンションコミュニティ条項が消える? 第10回「管理ルール検討会」(2015/2/27)
迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(2012/8/30)
「機能不全マンション」に第三者管理方式の導入は適当か(2012/8/3)
〝掃除は科学 床は朝日、窓は読売〟 マンション管理員のスゴ技を1日体験(2017/2/25)
マンション管理適正評価制度の〝見える化〟へ 個社データの公表にも期待
良好な管理が市場で適正に評価される仕組み「マンション管理適正評価制度」の〝見える化〟が実現しそうだ。9月14日行われたマンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)の記者懇談会で明らかになった。
同制度は、マンションの管理状況や管理組合の運営状態を6段階で評価し、インターネットを通じて情報を公開する仕組みで、2022年4月にスタート。2023年8月末で登録件数は1,503件となっている。同協会は2024年度末までに1万件の登録を目標に掲げている。
〝見える化〟は、同協会が委託したシンクタンクと学識経験者で検討されているもので、★の数によって仲介段階の査定価格はどうなるのか、売り出しから成約までの期間に影響はあるのかないのか、成約価格は近傍同種の物件と比較してどうなるかなどを定量的に分かるようにする。
同協会は「現段階ではデータ量が少なく、公開する段階ではないが、〝見える化〟を行う」としている。
記者は、管理会社別に登録件数や管理件数に占める登録件数比率を公表すべきではないかと質問したが、高松理事長は「内部データとしては収集しているが、公表する予定はない」と語った。
これは、同協会としては公表しないということだが、個社が公表することを縛るものではないと解釈できる。理事長会社として三井不動産レジデンシャルサービス(三井不動産レジデンシャル)は公表すべきだと思う。同社が公表したら、野村不動産パートナーズ(野村不動産)だって、伊藤忠アーバンコミュニティ(伊藤忠都市開発)だって負けていないはずで、各社が競いあえば、制度の普及スピードは加速する。消費者への認知度も飛躍的に高まる。
★5つは21% 会員間の競争を促すべき マンション管理協 マンション適正評価制度(2023/8/21)
星の数より件数2年後の適正管理評価1万件目指す マンション管理協 総会・懇親会(2023/6/14)
登録件数1000件突破 ★5つ最多は伊藤忠アーバン マンション管理適正評価(2023/4/2)
更なる環境配慮型 三井不レジ・三菱地所レジ「三田ガーデンヒルズ」二期販売へ
「WEST HILL棟」完成予想図
三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスは9月12日、旧逓信省簡易保険局庁舎跡地で開発を進めている「三田ガーデンヒルズ」の第二期事前案内会(完全予約制)を9月15日から開始すると発表した。
同物件は、持続可能な社会の実現に向けて既存建物と既存樹木の一部保存・再生、価値ある緑豊かな環境を維持するため約7,700㎡のランドスケープデザイン、太陽光発電設備や燃料電池の実装、全戸ZEH-Orientedの取得など、様々な環境配慮施策を実施しているが、第二期で販売予定の「WEST HILL棟」(8階建て)では、更なる環境配慮への工夫を取り入れたウェルビーイングの向上を目指した企画となっている。
特徴は、①より身近に“緑”を享受することが可能な本物件唯一の8階建て②ウェルビーイングの向上を目指した2つの「自然調和型プラン」③より快適なくらしを実現する「ライフスタイルサポート企画」の3つ。
①では、中庭のみならず、建物の西側にも豊富な植栽帯をレイアウトし、住戸面積約56㎡~約182㎡まで豊富なプランバリエーションを用意し、「大型テラス(平均面積約49㎡)」と「大型ルーフバルコニー(平均面積約44㎡)」を提案する。
②では、「カーボンニュートラルデザインプラン」と「バイオフィリックデザインプラン」の2つを用意。「カーボンニュートラルデザインプラン」では、一次エネルギー消費量削減率約53%を実現。日本家屋に見られるパッシブデザインの考え方を取り込んでいる。また、建築的なプランニングの工夫による省エネへの取り組みとして通風改善(スライドドア)、日射遮蔽(オーニング、ブラインド)、外気温中和(サーマルコンフォートスペース)、断熱強化(高断熱サッシ)、排熱利用(エネファーム)などを採用する。
「バイオフィリックデザインプラン」では、 三井不動産レジのブランドコンセプト「Life-styling × 経年優化」と三菱地所レジのブランドコンセプト「一生ものに、住む。」を元に、室内における植栽育成・配置の工夫、室内におけるインドアグリーンの視認性を高める工夫を行い、“五感”で自然を体感できる映像・環境音、照明、匂い・質感・味覚などの仕掛けを提案している。
③では、家事負荷軽減をサポートするハウスキーパー対応プラン、住戸内の簡易清掃・料理代行・食材買い物代行・洗濯、衣類整理・ネットオークションへの出品代行・コミュニケーションケアサポートなどを行う。
また、三井不動産グループの三井デザインテックと協働し、環境に配慮した建材・家具・小物などを提案する。
物件は、東京メトロ南北線・都営地下鉄大江戸線麻布十番駅から徒歩5分~7分、港区三田一丁目の第二種住居地域・第一種文教地区で建設中の敷地面積約25,246㎡、地下2階地上14階建て全1,002戸。専有面積は29.34~376.50㎡。第二期販売開始は2023年11月。竣工予定は2025年3月。設計・施工は大成建設。
「カーボンニュートラルデザインプラン」
「バイオフィリックデザインプラン」
「グリーンポケット・ハンギングプランター」
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上段は、プレス・リリースを引き写したもので、隔靴掻痒、もどかしさを覚えるが、リリースを読んだ限りでは現時点で基本性能・設備仕様レベルは最高峰だと思う(もう一つの物件もそうではないかとみているが取材は不可)。
9月20日にはプレス向けモデルルーム見学会が開催されるので、しっかり見学してレポートしたい。とくにインドアグリーン、五感で自然を感じる工夫をチェックしたい。これらは個々の物件や一つ二つくらい盛り込まれているものがあるが、全て採用されているものは過去にないはずだ。
単価について。昨年4月にプロジェクトの概要発表のリリースに対して、記者は無謀にも「坪単価は1,300万円でどうか」と書いた。アクセスが殺到し、瞬く間に1万件を突破した。いまのところどこからも苦情は届いていない。当たっているのか外れているのかも確認したい。
「LDK~コミュニケーションラウンジ」
「サーマルコンフォートスペース」
「窓型スマートディスプレイ」
坪1300万円でどうか 旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30)
「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(2014/7/4)
8月の中古マンション 成約件数は横ばいながら価格、単価は約10%上昇 レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月11日、首都圏の2023年8月度の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は2,367件(前年同月比0.9%増)、坪単価は244.5万円(同10.1%上昇)、成約価格は4,704万円(同9.9%上昇)、専有面積は63.50㎡(同0.2%減)、築後年数は24.19年(前年同月は23.87年)となり、成約件数は3か月連続で前年同月を上回り、坪単価は20年5月から40か月連続の上昇、成約価格は20年6月から39か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建住宅の成約件数は873件(同4.6%減)、成約価格は3,725万円(同1.4%減)、土地面積は138.36㎡(同9.1%減)、建物面積は102.68㎡(同2.4%減)、築後年数は22.62年(前年同月は22.62年)。成約件数は22年1月から20か月連続で前年同月を下回った。
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新築マンションと連動しているからだろう、中古マンションの価格(単価)上昇が続いている。成約価格は過去10年間で約85%上昇し、成約件数もほぼ毎月2,500件以上となっている。一方で、中古戸建住宅は、この10年間で約23%しか上昇しておらず、成約件数もマンションの半数以下だ。
いったいこの差は何か。マンションは、戸建てと比べ相対的に耐用年数が長く、交通便など利便性が高く、投資的価値も高いからだろうが、これほど大きな差が開くと、もっと中古戸建て市場が盛り上がっていいような気がするがどうだろう。
坪800万円をはるかに突破? 三菱地所レジ フラッグシップの「代々木大山」
「ザ・パークハウス 代々木大山レジデンス」
三菱地所レジデンスは9月8日、「ザ・パークハウス」のフラッグシップマンションと位置付ける「ザ・パークハウス 代々木大山レジデンス」のモデルルームを2023年10月7日にオープンすると発表。同日、メディア向け見学会を行った。坪単価は最寄り駅の代々木上原駅圏の最高値となる800万円を超える可能性が高い。
物件は、東京メトロ千代田線・小田急電鉄小田原線代々木上原駅から徒歩7分、京王新線幡ヶ谷駅から徒歩11分、渋谷区大山町の第2種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約8,002㎡、地下1階・地上4階建て全140戸(募集対象外住戸7戸含む)。専有面積は63.05~153.13㎡、価格は未定。販売予定は2023年11月中旬。竣工予定は2025年11月下旬。施工は東亜建設工業。デザイン監修はSKM設計計画事務所
現地は、駅からなだらかな坂を登った標高40mのヒルトップに位置。比高差約1.5層の西下がりの傾斜地。従前は企業社宅。敷地南側は道路を挟んで第一種低層住居専用地域、北側は代々木大山公園。
建物は、南向きのSouth Hillを中心に、東向きのEast Hill、南向き・北向きのNorth Hillの3棟構成。ガラスを多用した陰翳のあるファサードデザインを採用している。建物の絶対高さ規制12mを受けている。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-Oriented認定取得予定、全熱交換式換気システム、全33タイプ平均専有面積92㎡、リビング天井高2500ミリ、奥行き約3mバルコニー、奥行き3~7mテラス、食洗機、ディスポーザー、全戸戸別宅配ロッカー、スロップシンク、共用施設はワークスペース、パーティールーム、ホールドルーム、ルーフトップテラス、ゴルフレンジ、ゲストルームなど。
見学会に臨んだ同社執行役員・岡橋志郎氏は「直近のマンション市場は、当社はマイナーだが『三田』『WORLD TOWER(浜松町)』などが飛ぶように売れており、投資マインドが高まっている。今回の物件は『住む』をコンセプトに、長く住んでいただき、愛着を持っていただけるよう企画した。当社の代表的な物件になるのは間違いない。環境にも配慮しており、住み心地がよく、その先に資産価値がある」などと挨拶した。
物件概要について説明した同社プロジェクト開発部開発第四グループ リーダー・安達圭史郎氏は「希少性高い唯一無二のフラッグシップになりうる。デザイン監修にSKMさんを起用して、どのシーンをとっても象徴的なデザインになるよう企画した。オーダーメイドにも対応する」と語った。
販売概要について説明した同社販売二部販売第二グループ主幹・渡邊聡氏は「年内に南棟と東棟を分譲する。ターゲットは地元のオーナー経営者をはじめ港区や世田谷区居住の方など。多様なニーズに応える。6月27日にホームページを立ち上げてから反響は約2,800件。オンラインによる事前説明会を8月に行い、参加者は960件。近く3回目を実施するが申し込みは200件入っている。『大山』アドレス、100㎡超などに関心を持たれている方が多い」などと話した。
左から渡邊氏、安達氏、岡橋氏
センタースクエア
木調グランドエントランス
◇ ◆ ◇
3氏は〝フラッグシップ〟〝唯一無二〟を連発した。話を聴きながら相当力が入っていることは分かったのだが、105㎡のモデルルームを見学して、その力の入れようは半端でないことを確認した。
玄関を入っていきなり突板〝ナグリ〟仕上げ(一部はシート張り)のシューズインクロークや居室、リビングドアドア、壁が目に飛び込んで来た。織り上げ天井のLDKは約23.5畳大、奥行き3mのバルコニーに面したKは約4.9畳大、L型の約100畳大の主寝室・約8.7畳大もよくできている。食洗機はMiele、水栓はグローエ。家具・調度品・衣類などはエルメスで統一されていたようだ(記者は、あの鮮やかなオレンジの箱がエルメスであることを知ってはいるが、その価値はさっぱりわからない)。ガラスを多用したファサードデザインも秀逸だ。
坪単価について。記者は最高の立地であることから、代々木上原駅圏では最高値となる坪800万円と踏んでいた。記者からの質問に同社は、南棟3階住戸の85㎡住戸が2.3億~2.6億円台、南棟108㎡住戸が3.3億~3.6億円台の予定であるし説明した。ざっと計算すると坪1,000万円前後だ。
これらのほか、地階住戸や中庭に面した住戸の単価は低くなりそうだが、記者予想の坪800万円をはるかに突破する可能性が高い。完敗を認めざるを得ない。この前は、積水ハウスの坪700万円をはるかに突破し、グロスが2億、3億、5億の横浜・山手のモデルルームを見学したが、単価はバブル期のそれに限りなく近づきつつある。
モデルルーム
主寝室
〝ナグリ〟仕上げのドア
エルメスのコーヒーカップ
バルコニー
代々木上原の1低層 デザイン性高く借景見事 小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」(2021/3/11)
駅4分の1低層 息をのむほど美しいサペリの建具 三菱地所レジ「代々木上原」(2018/12/14)
三井レジ他「パークコート渋谷大山町」 低層住宅街の大規模 単価は470万円(2014/12/3)
〝先物買い〟になるか レベル高い 大和地所レジ・三菱地所レジ「鎌倉深沢」
「ヴェレーナシティ鎌倉深沢」
大和地所レジデンスと三菱地所レジデンスが近く分譲開始する「ヴェレーナシティ鎌倉深沢」モデルルームを見学した。2028年度の街開きを目指す、鎌倉市役所本庁の移転も計画されている約31haの大規模区画整理地内に隣接し、直線距離にして約1,200m先にはJR東海道線の新駅も計画されている。〝先物買い〟となるが、圧倒的な人気を呼ぶ可能性を秘めていると見た。
物件は、湘南モノレール湘南深沢駅から徒歩7分、鎌倉市寺分字上陣出の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する8階建て全158戸(他にパーティールーム&キッズスペース、オーナーズラウンジ・ワーキングスペースなど)。9月中旬に分譲する第1期1次(9戸)の予定価格は5,100万円台~8,400万円台。竣工予定は2024年11月中旬。設計・監理はプラスデコ 一級建築士事務所。施工は馬淵建設。デザイン監修はインターデザイン・小寺源太郎氏。
現地は確認していないが、街の将来性は担保されているようだ。隣接地には旧国鉄と市役所が所有する約31haの土地の大規模区画整理事業「深沢地区」が予定されており、市役所本庁舎のほか商業施設、業務施設、行政施設、住宅などが整備される。また、現地から直線距離にして約1,200m先には2032年開業を目指す東海道線の新駅も計画されている。
敷地は、比高差約3mの南傾斜地で、三菱電機の社宅跡地。建物は、高さ規制20mの地域にあるため8階建てに抑えられており、南向きを中心に東向き、西向きの3棟構成。オール3LDKで、平均専有面積は74㎡。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、BELS最高等級(エネルギー消費量36%削減)、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、ディススポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、ローシルエットトイレ(グロー自閉単水栓付き)、ミストサウナ、Low-Eガラス、リビングダイニング+居室床暖房、メーターモジュール廊下、スロップシンクなど。
販売担当の大和地所レジデンス課長・早川慶氏は、「7月に物件ホームページを開設してからエントリー数は400件。モデルルームオープンは8月28日で、これまで2週間の来場者は満席の90件。うち半数は鎌倉に縁のある方」と語った。
天井高2750ミリのスキップフロア住戸
オープンエアリビング&専用庭
◇ ◆ ◇
物件名でも分かるように、幹事会社は大和地所レジデンスだ。記者はマンションデベロッパーを「大手」と「中堅」に分けるのは好きではないが、仮に「大手」をいわゆるメジャー7とすれば、「中堅」のデベロッパーが幹事会社となる物件は極めて少ない。理由は言わずもがな。すぐに思い出せるのはモリモトくらいだ。同社はこれまで東急不動産、三菱地所レジデンス、丸紅などとのJVマンションを供給している。
大和地所レジデンスがメジャー7と組み、幹事会社となるのは今回が初めてという。同社が三菱地所レジに声を掛けたのではなく、従前の土地所有者が三菱電機だったためか、その逆のようだ。商品企画は、大和地所レジのそれで、間違いなく水準以上だ。
坪単価について。見学する前は坪250万円くらいではないかとはじいた。所在地は鎌倉市とはいえ、最寄り駅は湘南モノレール湘南深沢駅だからだ。
早川氏に話を聞くうちに上方修正した。比較検討したのは羽沢横浜国大駅から徒歩1分の、坪単価340万円でも好調の日鉄興和不動産「リビオタワー羽沢横浜国大」(357戸)だ。
「羽沢横浜」は駅に近く、商品企画レベルは高いが、駅周辺には小さな飲み屋が1軒あるだけで、他にはなにもない。それと比較したら、今回の「鎌倉深沢」の方がはるかに価値は高いと踏んだ。問題は、区画整理の街開きまで5年、JR新駅開業まで10年もあることだ。これをどう読むかだが、単価は記者が予想する範囲内に落ち着きそうだ。
参考までに紹介すると、大和地所レジデンスが昨年5月に分譲開始した湘南深沢駅から徒歩3分の「ヴェレーナ鎌倉深沢」(97戸)は坪単価250万円台で完売したという。
余談。早川氏から物件の説明を受けていたときだ。ウルトラファインバブルを生成する「キレイスト」を採用すると聞いた。いかにスグレモノであるかはくどくどと書かないが、その効果に記者は驚愕したことがある。これで手を洗うと(肌もそうだろう)、見違えるほどきれいになった。
早川氏もまた自宅をリフォームして「ウルトラファインバブル」を採用したというので、手の甲をさすってみた。老人斑か死斑かやけどの痕かは判然としない、骨と皮だけの、年を取ると静脈が浮き出る(ハンドペイン)が甚だしい小生の手とは比較にはならないだろうが、例えていえば搗き立てほやほやの餅、あるいは握手のし過ぎでふやけた政治家の手か。写真も添付する。(ただし、早川氏の手の甲が「ウルトラファインバブル」のお陰であることを証明するものではない。念のため)
モデルルームの組子格子のデザイン
汚い手をお見せして申し訳ない。左の写真の右手が「マイクロバブル」で洗った記者の手、右の写真の上が記者の手、下が早川氏の手
駅1分の利便性・資産性受けたか 県外が5割 日鉄興和「羽沢横浜国大」好調スタート(2022/6/25)
タカラレーベン 所在地が全て異なる「北戸田駅」3物件 立地よく販売好調(2021/6/29)
三井不動産グループ初 木造4階建てカーボンゼロの賃貸「北千束MOCXION」完成
「パークアクシス北千束MOCXION」
三井不動産レジデンシャルと三井ホームは9月5日、同社グループ初の木造4階建てカーボンゼロ賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION」が竣工したことに伴う記者見学会を行った。「木」を構造材に用いることで、鉄筋コンクリート(RC)造と比較して建築時のCO2排出量を約50%削減し、再生可能エネルギーの一括受電とオール電化によりCO2排出量を実質ゼロにする。
「北千束」は、三井不動産レジデンシャルが事業主で、設計・施工を担当した三井ホームの木造「MOCXION」技術により、全フロアの構造部材に木を採用し、RCと同様の高気密・高断熱を実現した。共用部の一部には三井不動産グループの保有林から採取した木材を使用している。三井不動産レジデンシャルリースが運営する。
再生可能エネルギーの一括受電×オール電化と「太陽光パネル」の設置によりCO2排出量実質ゼロと創エネを実現。「LEED®認証」のほかBELS に基づく評価「ZEH-M Ready」を取得。国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択されている。
物件は、東急大井町線北千束駅から徒歩4分、大田区北千束二丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率200%)に位置する木造(枠組壁工法)4階建て33戸。専用面積は28.12~54.95㎡。家賃は129,000円~313,000円。平均坪賃料は1.7万円。竣工は2023年8月31日。事業主は三井不動産レジデンシャル。設計・施工は三井ホーム。
耐火・断熱・遮音性能を高めるため界壁厚380ミリ、界床厚490ミリ確保しており、RC造以上の厚さとなっているのが課題のようだ。(柱・梁型はでないが)
見学会では、遮音性能LH55、LL45をクリアしている界床の性能を確認できるよう、実験装置を使って、子どもがバタバタと飛び跳ねる音と同じくらいの音を上階でたて、下階ではどのように聞こえるか体験できるコーナーが設けられていた。記者はまったく聞こえなかった(他の若い記者の方はかすかに聞こえているとのことだった)。
賃料設定は、近隣相場より1割増の坪賃料1.7万円。募集を開始したばかりだが、3戸に申し込みが入っている。
「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」で行っている全館空調の実証実験のデータは収集しているが、実用化にはまだ時間がかかることを明らかにした。
木調バルコニー、ルーバーデザインを施した外観
木調庇デザイン
本物のカバザクラを採用した共用部分の天井
〝三井の森〟から採取した木片を共用部分の壁に採用
◇ ◆ ◇
記者は、わが国で一番美しい女性は吉永小百合さんで、もっとも美しい木造住宅を建てるのは三井ホームだと信じて疑わないのだが、同社の「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」を取材したとき、同社技術研究所研究開発グループマネージャー・小松弘昭氏が「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と言い放ったアフォリズムがその後ずっと頭の片隅に棲みつき、ことあるごとに〝お前はまだその呪縛から解き放たれないのか〟という叱声がよみがえり、責め苦となっている。
今回も現しを期待はしていなかったが、やはり外観も内観もボードやらクロスなどケミカル製品にほとんどが覆われ、鉄やコンクリ造となんら変わらなかった。歌舞伎の女形は理解できるのだが、赤子の柔肌のように美しい木をなぜ覆い隠すのかさっぱり分からない。
気になったのは、にもかかわらず、プレス・リリース、説明資料にはCO2削減など木造が果たす経済的価値だけでなく、「1階の風除室からエントランスホール、共用部ラウンジの天井には、天然木である赤樺の仕上」「木調庇」「木目のバルコニースラブと縦ルーバーを外観デザインの軸として、『木』を強調するデザイン」「『木』ならではの安らぎを共用部で感じていただけるよう、共用ラウンジの壁面に三井不動産グループ保有林から採取した木材を使用」「木のぬくもりが心地よい」「木の香りに癒される」「室内の湿度を調整する」などと「木」(調を含めて)の効果を強調していることだ。
この建物に入居者は木のぬくもりや香りによって癒されるのか、「木調」デザインは「木」そのもののデザインと同じ効果をもたらすのか。家賃設定は相場の1割増と言うのは「木」の価値を価格に転嫁したためか。
小松さんは、あれ以来発表会には〝お現し〟にならない。もう一度、現しがもたらす効果・価値は経済的価値と比べれば低位なのか、しっかり説明してほしい。小生の呪縛を解いていただきたい。一日千秋の思いでお待ち申し上げております。(それでも小生を説き伏せることは無理だと思うが)
界壁(左)と界床
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)
外貌の呪縛を解き放つか 「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏(2021/12/9)
建ぺい率40%、容積率80%の1低層に全6棟 積水ハウス「The 山手プロジェクト」
「グランドメゾンThe山手118」
積水ハウスが先にオープンした「グランドメゾンThe山手118」(7戸)と「グランドメゾンThe山手249」(18戸)のコンセプトルームを見学した。高級住宅街として知られる横浜市中区山手台で展開する3階建て全6棟74戸の「The山手プロジェクト」のうちの2棟。神奈川県で初めて坪700万円を突破するだけでなく、中心プランは120~130㎡以上、価格は2~3億円以上という桁違いのプロジェクトだ。同社の矜持を見た。
同プロジェクトは全6棟74戸の規模で、用地は山手エリアに点在していたインターナショナルスクールが校舎の老朽化により本牧へ移転するのに伴い、同社が取得したもの。2023年6月に竣工した「グランドメゾンThe山手241」(11戸)と今回の2物件のほか、「グランドメゾンThe山手253」の「Garden」(14戸)「Marks」(14戸)「Hills」(10戸)を順次分譲する。
現地は、建ぺい率40%、容積率80%の第一種低層住居専用地域に指定されており、旧外国人居留地として形成された街の歴史や文化を継承するため設けられている「山手地区都市景観形成ガイドライン」によって色彩、建築物の絶対高さ、眺望の確保、樹木・緑地の保全、屋外広告物の禁止などの厳しい規制が設けられているエリアの一角。
「グランドメゾンThe山手118」は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩9分、横浜市中区山手町118番に位置する3階建て全7戸。専有面積87.64~164.56㎡。すでに4戸が分譲済みで、2023年9月15日から分譲される住戸(3戸)の価格は29,000万円(138㎡)~50,000万円(164㎡)、坪単価722万円。完成予定は2024年5月下旬。
「グランドメゾンThe山手249」は、同駅から徒歩6分の横浜市中区山手町249番に位置する3階建て全18戸。専有面積は76.06〜124.25㎡。すでに12戸が分譲済みで、2023年9月15日から分譲される住戸(6戸)の価格は12,800万円(79㎡)~22,000万円(124㎡)。坪単価572万円。完成予定は2024年6月中旬。全6棟のうち唯一90㎡以下の住戸が中心。
「グランドメゾンThe山手241」は、同駅から徒歩10分、横浜市中区山手町241番に位置する3階建て全11戸。9戸が分譲済みで、現在分譲中の住戸(2戸)の価格は28,000万円(130㎡)・32,000万円(133㎡)、坪単価753万円。建物は2023年5月竣工済。
3物件とも設計・監理は坂倉建築研究所。施工は佐藤秀。
ギャラリーは、元町・中華街駅から徒歩1分。大野幸子氏、守谷玲太氏、吉井こころ氏、大野愛氏の4氏のアーティストの19作品が展示されており、コンセプトルームは137㎡で、LD27.5畳大、K7.4畳大、主寝室14.5畳大、クローゼットルーム8.4畳大、玄関5畳大など。基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented対応、リビング・居室天井高2500ミリ(一部除く)、突板ドア・建具、挽板フローリング、食洗機、ディスポーザー、ハイサッシ、ミストサウナ、スロップシンクなど。オーダーメイドにも対応する。
同社東京マンション事業部販売部リーダースペシャリスト・長嶺伸之氏は、「プロジェクトは、街になじみ調和することをコンセプトに、山手エリアの歴史と文化を継承し街並みになじむよう、時代の流行を追わず、正統派を追求しました。平均専有面積が162㎡だった『伊勢山』ほどではありませんが、住戸は130㎡以上を中心に、駐車場は100~150%、緑被率を20%確保しました。来場者の皆さんには当社の考えに共感を頂いています」と語った。
「グランドメゾンThe山手249」
「グランドメゾンThe山手241」
◇ ◆ ◇
同社がアーティスト・星野源氏を起用してグランドメゾンのブランド広告をスタートし、コンセプトルームを公開すると発表したのは8月17日だった。〝これは見ないといけない〟と考え、見学をお願いし実現した。
ギャラリーに着いた途端、その造り込みの丁寧さに相当力の入っているプロジェクトだと直感した。その通りであることは前段の記事を読んでいただければ分かるはずだ。同社は最近、「5本の樹計画」をオープン化し、東大との生物多様性と健康に関する共同研究、さらには地域工務店と連携した「SI(エス・アイ)事業」の立ち上げなど、環境共生、地域共生の取り組みを強化している。今回のプロジェクトもその一環なのだろう。
長嶺氏とは「伊勢山」以来久々にお会いした。今回もまた桁違いの商品企画だ。長嶺氏は「グランドメゾンと街をつなぎ、価値を高めていく自負がある」とも語ったが、デベロッパーが分譲するタワーマンションの億ションとは一味も二味も異なるのは間違いない。
第一種低層住居専用地域(1低層)について補足する。建ぺい率40%、容積率80%の高級住宅街は今回の山手のほかでは芦屋市六麓荘、大田区田園調布、世田谷区成城、尾山台、等々力、上野毛など、千葉県の市川市国府台、菅野などがよく知られている。(埼玉県の都心寄り地域にはないはず)
この建ぺい率40%、容積率80%の1低層に位置するマンションとしては、三菱地所が2014年に分譲した「ザ・パークハウス上鷺宮」くらいしか思い出せない。(隈研吾氏が設計した建ぺい率40%、容積率60%の「プロスタイル札幌 宮の森」は別格)
マンションギャラリー外構
マンションギャラリーエントランス
吉井こころ氏のガラスアート
コンセプトルーム キッチン
コンセプトルーム リビング
コンセプトルーム 玄関
隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」(2022/9/23)
23区最大の第一種低層 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス上鷺宮」(2014/4/4)
億ションの歴史を変える積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(2011/5/13)
「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を「結う」デザイン 「HARUMI」賃貸募集へ
賃貸街区「PORT VILLAGE」
三井不動産を幹事会社とする「HARUMI FLAG」の賃貸街区事業主10社は8月29日(火)、賃貸街区「PORT VILLAGE」のオフィシャルサイトを開設したと発表した。賃貸街区は全4棟1,487戸で、2023年9月下旬に入居者の募集開始し、2024年1月下旬に入居開始を予定している。
「PORT VILLAGE」は、街区中央にサクラやケヤキなど62種約700本の植栽を施し、約7,000㎡の中庭空間を設け、噴水とともに水景を配置した「MINAMO GARDEN」、子ども用の遊具などを配置した「KODOMO PLAZA」を整備する。街区内には、保育園が開設されるほか、隣接地には中央区立小中学校が新設される予定。
建築物のスカイラインは「ダイナミックシンメトリー」を採用。日本の洗練された建築の伝統が感じられるスカイラインをデザイン。建物は3層の構成とし、分節手法による「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を外装の要素に取り入れ、それらの要素を「結」うランドスケープを創出する。
一般賃貸住宅は、単身者やDINKS、ファミリー、シニア層の入居を想定し、幅広いプランバリエーションを用意。共用部分には約350㎡の大浴場のほか、多目的に使用できるイベントスペース、キッチン付きのパーティルーム、フィットネスルーム、シアタールーム、ワークスペースや会議室を設置する。
シニア・ケアレジデンス、シェアハウス、保育施設の運営は東急イーライフデザイン、シェアハウスの運営はリビタ、保育施設の運営はポピンズ エデュケア。
物件は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩14~16分(新交通システム「BRT」により新橋駅や虎ノ門に直結予定)、中央区晴海五丁目に位置する敷地面積約26,300.㎡、15~17階建て4棟1,487戸(一般賃貸住宅1,258戸、シニアレジデンス158戸、シェアハウス(71戸/114室)、ケアレジデンス50室)。専用面積は一般賃貸住宅が28.71~103.03㎡・159.20㎡・171.66㎡、シニアレジデンスが36.68~66.31㎡、ケアレジデンスが18.17~20.57㎡、シェアハウスが25.01~92.09㎡。竣工予定は2024年1月15日。入居予定は2024年1月下旬。設計は日建ハウジングシステム、東急建設、施行は東急建設。
「HARUMI FLAG」は、約13haの東京都施行による晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業で、特定事業者11社による5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計24棟から構成される、人口約12,000人の街づくり計画。
全体敷地配置図
「PORT VILLAGE」配置図
中庭
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戸数規模だけなら、UR都市機構のほか民間賃貸でも今回の「PORT VILLAGE」より大きい物件はありそうだが、これほど多彩なプランを備えたものはまず他にないはずだ。
記者はランドスケープデザイン、建物のファサードに注目した。とくに建物の外観デザインは、超高層の「HARUMI FLAG SKY DUO」もそうだが、シンメトリーなのがいい。それに「ひだ」(プリーツ)「もやい」(結び方)「照り・むくり」(反り・起伏)「結う」(結合)などのわが国の伝統的な建築手法を用いているという。街区名に三井不動産のマンションブランド「Park」(公園)でも三菱地所の「Park」(駐車場)でもなく、「PORT」(港)にし、かつて東急不動産のブランド「VILLAGE」を用いたのは施工が東急建設で、シニア・ケアレジデンス、シェアハウスなどの運営を東急イーライフデザインが担当するからか。完成したらしっかり見学したい。
ファサードデザイン
メゾネット住戸
シェアハウス共用部分