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「シティタワー綾瀬」

 住友不動産が先月から分譲を開始した、綾瀬駅前の千代田線沿線のタワーマンションとしては1995年以降、千代田線を最寄りとする、かつ、徒歩1分の単独事業主の物件では、最高峰・最大規模の「シティタワー綾瀬」のモデルルーム同社の総合マンションギャラリー北千住館で見学した。販売担当から約1時間、一般のお客さん向けと同様の丁寧な説明を受けた。これまでこのような詳細な説明を受けたことはないので、デベロッパーは消費者に何をアピールするか、消費者の関心事は何かを知ることができた。

 物件は、東京メトロ千代田線綾瀬駅から徒歩1分(50m)、足立区綾瀬三丁目の商業地域(建ぺい率80%=防火地域内の耐火建築物による緩和あり、容積率500%=東京都総合設計制度による割増あり)に位置する敷地面積約3,643㎡、32階建て全422戸。これまで約50戸が成約済み。現在先着順で販売中の住戸(19戸)は17階以上で、専有面積は58.93~74.18㎡、価格は7,600万円~12,800万円(最多価格帯7,600万円・9,900万円)。坪単価は約450万円。完成予定は2025年11月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 現地は千代田線綾瀬駅東口から徒歩1分。道路を隔てて西側はイトーヨーカ―ドー、東側は東綾瀬公園と一体的な整備が行われる東口駅前交通広場。

 主な基本性能・設備仕様は、都の総合設計制度適用、制震構法、ダブルアウトフレーム、内廊下方式、二重床・二重天井、リビング天井高2650ミリ(一部住戸除く)、ディスポーザー、天然石キッチンカウンタートップ、食洗機、二重サッシ(南向き)など。共用施設はテレワークラウンジ、ハーティルーム、キッズルーム&ペアレンツスペース、ゲストルーム、フィットネスルームなど。モデルルームは約72㎡の2LDK。デザインは白が基調。

 また、同じギャラリーで顧客対応している、京成電鉄本線千住大橋駅から徒歩5分の42階建て「シティタワー千住大橋」(462戸)は60戸超が成約見込みで、現在先着順で分譲中の住戸(17戸)の専有面積は54.99~75.68㎡、価格は6,500万~12,800万円(最多価格帯7,300万円)。坪単価は390万円。

 単純比較はできないが、2013年分譲の「アクア ヴィスタ」の坪単価は182万円だった。10年間で倍増だ。

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エントランスホール(天井高は約7.8m)

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モデルルーム

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 担当者の説明で〝なるほど〟と感心したのは千代田線の利便性だ。大手町駅へ直通21分もさることながら、始発駅なので10分間くらい待てば座れる(※)ことと、朝7時台~8時台の電車の運行本数は49本(うち始発は9本)で、山手線の36本より多いことだった。

※2023年5月時点、状況によっては変更する場合あり

 市場の説明も、これは当然だが怠りなかった。大手町駅を起点とすると、綾瀬は代々木上原、池袋、押上、白金高輪と大手町直通21分以内の始発駅と言う意味では同じだ。価格相場は読者の皆さんもご存じだろうから省略するが、押上を除けばみんな坪単価は500万円をはるかに突破している。綾瀬駅北口ではいよいよ坪400万円超に突入したということか。担当者はまた、足立区は待機児童ゼロで、犯罪率も減少していることなども話した。

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 総合設計制度についてはもっと時間を割いてほしかった。

 同制度は1970年に創設されたもので、敷地内に一定割合以上の公開空地を設けた建築物の容積率制限や斜線制限、絶対高さ制限を緩和する制度。容積率はおおよそ1.5倍増となる。東京都では、これまで777件の建築物がこの制度により許可されている。

 説明する意義は、都の許可件数は激減しており、他方でこの制度の適用を受けた建築物の資産性と大きな関連があるからだ(同様の特定街区、再開発等促進地区計画、高度利用地区、都市再生特別地区などを活用するケースもあるが)。

 平成22年に許可要綱が改正され、許可要件が厳しくなったことにより、以前は年間数十件あった許可件数は、ここ10年間はもっとも多い年で11件にとどまっている。制度の許可を受けた共同住宅も減少しており、令和2年度は7件のうち1件、令和3年度は11件のうち6件、令和4年度は5件のうち4件だ。この制度の適用を受けた同社のマンションはデベロッパーのなかでトップクラスのはずだ。

 もう一つ、関連することだが、この物件は断熱性、省エネ性、再エネ設備・電気、維持管理・劣化対策、みどりの5項目を★の数(最大で15個)で評価する東京都の「マンション環境性能表示」制度の適用を受けている。★の数は12個だ。「みどり」は★1個なのは商業エリアなのでやむを得ないか。

 天井高ももっとアピールすべきではないか。いま供給されている首都圏マンションのうち天井高約2650ミリ以上は2割あるかどうかではないか(以前は4割くらいあったが)。マンション購入検討者は今も昔もいわゆる3K(交通便・価格・環境)、3P(PRICE・PLACE・PLAN)が物件選好の要素だろうが、記者はこれに3S-つまり将来の(S)、資産形成と生活スタイル(S)を見据えた総合設計力(S)が必要だと思う。

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 以下は蛇足。モデルルームは北千住駅の近く。取材を終え昼食をとった。牛ホルモン盛り合わせと冷やしトマト、ランチビール2杯で〆て1,474円。安い!コンロの炭は本物で、後の祭りだったが〝火に氷〟の威力も知った。〝住むなら北千住〟だ。

 牛ホルモンは、記者の故郷・三重県の松阪市が本場なので小さいころからよく食べたが、大人になっても自分で焼くようなことはしてこなかったので焼き方が分からず、一度に肉をコンロに架けた。すると、だしぬけに火の手が上がり、慌てて肉片を皿に取ったら、表は真黒、裏は生焼け。残りの2片は手遅れ。焦げ付いてはがすことができず、肉が炭化するのを茫然と眺めた。

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北千住の飲食型

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北千住の飲食街

大成有楽不動産が変わる 「OBER(オーベル)」リブランディングを具現化(2014/1/21)

駅近で坪182万円 23区で希少の低単価「アクア ヴィスタ」(2013/10/1)

 

カテゴリ: 2023年度

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中庭「翠園」から望む「ザ・パークハウス 板橋大山 大楠ノ杜」

 三菱地所レジデンスは11月13日、板橋区大山町の邸宅跡地マンション「ザ・パークハウス 板橋大山 大楠ノ杜」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を行った。敷地内に植わっていたクス(楠)の巨木やソメイヨシノをそのまま残した中庭をはじめ、築100年の母屋や蔵、井戸などの一部を再現した共用部に息を飲み、声を失った。同社の矜持をみた。

 物件は、東武東上線大山駅から徒歩7分、板橋区大山町に位置する14階建て全187戸(分譲は185戸)。専有面積は57.76~117.62㎡。価格は5,698万~15,990万円、坪単価350万円。竣工は2023年9月22日。売主は同社のほか三菱倉庫。施工は東亜建設工業。販売開始時期2021は年11月で、ほぼ1年間で完売。総問い合わせ件数は4,230件、総来場件数は1,290件。いきもの共生事業推進協議会(略称ABINC)の第3回ABINC賞「優秀賞」を受賞している。

 購入者の属性は、居住地は板橋区29.3%、豊島区10.3%、練馬区6.0%など。年齢層は30代41.9%、40代20.1%、20代14.1%、50代12.5%など。評価された点は①「再開発に対する資産性」「大山駅徒歩7分」「池袋3駅5分」など②中庭やジャグジー付ゲストルーム、地下駐車場、蔵など。

 最大の特徴は、同社の生物多様性の保全の取り組み「BIO NET INITIATIVE(ビオネット・イニシアチブ)」を導入し、敷地の約2割に当たる1,000㎡超の中庭「翠園」を設置していること。「翠園」には、小川を設け、敷地内にあった樹齢約90年、樹高10m超のクスの巨木2本や※ソメイヨシノ(樹高12m)をそのまま残し、カキ、ヤエザクラなども移植している。

 ※ソメイヨシノは2019年5月に行った樹木の精密診断の結果、根元に腐朽が見られたことから、接ぎ木から苗木をつくり、敷地内への植栽を行うことにしている。

 もう一つは、歴史の継承。巨木を残すこともそうだが、中庭に面して配置されている約30畳大のコモンハウス「和」は、築100年超の母屋の破れ障子や桐ダンスなどの家具、床・柱・壁材、欄間、天井板などを活用・リデザインしている。

 約10坪のマルチルーム「蔵」は、既存の房州石を外観に残し、多目的空間として利用できるよう防音工事を施し、プロジェクターやWi-Fiを完備している。室内の壁はスギの浮造り仕上げ。

 このほか、約130㎡の1階のゲストルーム「泉」は、庭園を眺めながら入浴できる大型ジャグジーバス付とするなど大胆な提案を行っている。

 内覧会に臨んだ同社プロジェクト開発部長・亀田正人氏は「当社のフラッグシップといえる物件。これまでのノウハウを最大限注ぎ込み、自然との共生を実験し、SDGsにも貢献した」と語った。

 施工を担当した東亜建設の技術者らしい方も「難しい部分が多かった分だけやりがいのあるプロジェクトだった」と話した。

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中庭「翠園」から望む「ザ・パークハウス 板橋大山 大楠ノ杜」

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小川

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既存樹のクスノキ

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クスノキ

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コモンルーム

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ゲストルーム

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ジャグジーバス

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 分譲開始時の記事を参照していただきたい。見出しに「ランドスケープ抜群」と書いたが、この種のマンションは珍しくはない。記憶に残っているものを列挙すると、同社物件では樹高約23mのケヤキなど40本以上の既存樹を保存した国分寺崖線エリアの「ザ・パークハウス二子玉川ガーデン」があり、徳川邸跡地に植わっていた松を避けるよう配棟したプロパスト「レゾンデパン大磯」、屋上に公園を再現した旧同潤会アパート建て替えの旭化成ホームズ「アトラス江戸川アパートメント」、既存樹約100本を残し「里山」を再現した積水ハウス「グランドメゾン狛江」、樹齢100年超のユリノキをエントランスに配した積水ハウス「江古田の杜プロジェクト」(同社の「東京テラス」「玉川上水」「杉並」「伊勢山」なども素晴らしい)、駐車場を地下化した三井不動産レジデンシャルの最高峰「パークシティ浜田山」…がある。

 分譲戸建てでは、江戸末期に建てられた蔵を残したポラス「ことのは 越ヶ谷」、オフィスなどの複合施設では、旧九段会館の一部を保存した東急不動産・鹿島建設「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」が記憶に新しい。

 しかし、敷地規模、単価(記者は納得したが)からして、列挙した物件レベルになるとは全然考えていなかった。完全に読み違えた。同社と読者のみなさんに謝るほかない。亀田氏が話した通りだ。

 中庭も素晴らしいが、130㎡のゲストルーム「泉」にも驚いた。この広さと設備仕様レベルから判断して1泊3万円の価値があるはずだ。無料(1家族3連泊まで)とのことなので、1家族につき年間2日は利用できる計算だ。ジャグジーバスは覗かれる心配はないとみたが…(東武東上線池袋駅の階段ステップには「盗撮される貴方、みんなが見ていますよ」とあった。ドキリとし、階段を踏み外しそうになった)

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マルチルーム「蔵」蔵

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天然スギの浮造り壁(床はシート貼り)

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エントランスホール

旧九段会館を保存・復原 最新鋭のオフィスとの融合 東急不・鹿島「九段会館テラス」(2022/9/9)

反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山 楠ノ杜」(2021/12/11)

緑の質量に圧倒 エントランスに樹齢100年巨木「江古田の杜」街びらきに千数百人(2018/9/23)

ポラス 蔵のある街づくりプロジェクト「ことのは 越ヶ谷」蔵の補修が完了(2015/8/6)

里山を見るような見事な植栽 積水ハウス「グランドメゾン狛江」竣工(2013/9/21)


 

 

 

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「ザ・パークハウス 上野毛テラス」

 三菱地所レジデンスは11月10日、同社初の全戸に天然無垢フローリングを採用した物件で、ZEH Oriented、低炭素建築物認定を受けた「ザ・パークハウス 上野毛テラス」の建物内モデルルーム見学会を11月18日(土)から開始すると発表した。10日、報道陣向け完成内覧会を行った。

 物件は、東急大井町線上野毛駅から徒歩8分、世田谷区中町4丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)・第一種住居地域(同60%、同200%)に位置する5階建て全29戸。専有面積は38.70~84.64㎡、価格は未定だが38㎡台で6,000万円台(坪600万円台)、52㎡で8,000万円台(同500万円台)、84㎡で17,000万円台(同600万円台)の予定。販売開始は2024年2月上旬の予定。建物は2023年10月完成済み。引渡予定は2024年5月上旬。施工は木内建設。デザイン監修はスターテック一級建築士事務所。

 現地は、閑静な住宅街の一角。敷地西側に幅員15.62m、南側に幅員6.23mの道路にそれぞれ接道。西側道路を挟んだ対面は公園。建物は内廊下方式を採用、住戸プランは南西向きが20戸、北西向きが9戸。

 全戸に玄関・洗面所・トイレを除く全居室に厚さ15ミリのチーク材天然無垢フローリングを採用しているほか、螺旋階段付きルーフテラス住戸(4戸)を提案しているのが特徴で、主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、食洗機、浴室タオル掛け2か所、Low-Eガラス、キッチンバックカウンター・収納、全戸防災倉庫付きなど。

 8月に物件ホームページを開設してからこれまで1,300件超のエントリーがあり、11月18日からの予約制物件案内会は12月まで満席。世田谷区居住者中心だが、目黒区、品川区、大田区や東急線沿線に住む川崎や横浜からの反響もあるという。

 内覧会で同社開発二部開発第三グループ グループマネージャー・布田求氏は、「当社のZEH Oriented認定としては都内で最初に竣工する物件だが、国分寺崖線上に立地する特性を生かし、当社初の全戸無垢材フローリングを採用したほか、螺旋階段付きルーフテラス付き、ワイドスパン、専用庭付きなど自然素材や自然環境の心地よさを感じていただける物件にした」などと商品企画意図について語った。

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モデルルーム

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無垢材フローリング

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ルーフテラス

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 記者は天然無垢のフローリングを採用したマンションをこれまで何度も見学している。直近では、三菱地所ホームの「KIGOCOCHI(キゴコチ)」ショールームを見学したばかりだし、最近では「サンウッド青山」、少し前では「グランド ミッド タワーズ大宮」があり、40年前にさかのぼると床も袖壁も厚さ20ミリの無垢材を用いた松戸市の賃貸マンションを思い出す。

 思い出といえば、現地に着いたとき既視感を覚えた。既視感ではなかった。現地の対面に建っている三井不動産レジデンシャル「パーク・ハイム上野毛」(71戸)と、近接する日本ランデッィク「上野毛コートハウス」(198戸)は約40年前分譲されたマンションで、見学取材している。惚れ込んだ物件で、当時、圧倒的な人気を呼んだ。現地取材は、過去の記憶を呼び覚ませてくれる楽しみもある。

 今回のマンション見学で、もっとも驚いたのは無垢材フローリングだった。モデルルームに入った途端、歓声を上げた。素晴らしい。この一語に尽きる。木は何度見てもいい。素足で歩きたくなったほどだ。本物の木のよさなど改めて書くまでもない。同社は、お客さまの反応をみながら今後採用するかどうか決めるとしているが、いい反応が得られるはずだ。

 マンション購入検討者にも一言。デベロッパーは、無垢材は傷がつきやすいとか、反りが生じるとか難癖をつけ、なんとか安く仕上げて高く売ろうと姑息な手段をとるところが圧倒的に多いが、そんなデマゴーグに惑わされてはいけない。皆さんがマンションの歴史を変えるかもしれない。そんな可能性を秘めた物件だ。

 記者の希望としては、床は国産材でもいいから、いっそやるなら洗面、トイレなどの水周り、さらには腰壁、巾木に至るまで本物の木を使っていただきたい。

 物のついで。メディアにも一言。昨日は野村不動産グループの記者懇と三菱地所の本社ワークスペース見学会が行われた。両方で100人くらいの記者の方が駆けつけていたはずだ。そして今日。見学者は小生を含めて6人だった。野村・新井社長はなんと話したか。「皆さんは大事なステークホルダー。ご質問もありがたいが、有益な意見交換の場にしたい」と。プレス・リリースをコピペして記事にしていては、いつまでたっても意見など交わせない。

 取材分担・分野を問わず、デベロッパーやハウスメーカーが声を掛けてくれる見学会は最優先して出席すべきだ。そうでないと、そのうちにAIに職を奪われる。小生は自慢などしたくないが、この種の見学会の誘いを断ったことはほとんどない。(きついことを書くからか、声を掛けてくれない会社があるが、これは名誉だと思っている)

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現地(対面の公園から写す)

木質化空間の〝匂い〟は心身にどのような影響をもたらすか 三井不×東大が共同研究(2023/10/29)

木質化PJ「KIGOCOCHI(キゴコチ)」マンションリフォーム提案 三菱地所ホーム(2023/10/14)

サンウッド 創業20周年の集大成 「青山」の全面ヘリンボーン床に驚愕(2017/12/8)

埼玉県の過去最高レベル 近鉄不動産他「グランド ミッド タワーズ大宮」(2010/6/2)

国分寺崖線に重なるランドスケープ秀逸 三菱地所レジデンス「二子玉川」(2014/11/25)

国分寺崖線に沿う高級住宅街の一角 三菱地所「パークハウス瀬田一丁目」(2009/2/23)

 

カテゴリ: 2023年度

 京王電鉄は11月6日、京王多摩センタービル(旧京王プラザホテル多摩)を建て替えると発表した。今年11月から建物の解体工事に着手し、駅前のランドマークトなる商業施設・地域貢献施設と高層マンションを建設する。2028 年度 竣工・開業は2028年度の予定。

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 同社に聞いても、プレス・リリース以外のことは話してくれないだろうから、以下は記者の推測。

 ホテルは今年1月に営業停止となった。お金のあるころは和食レストラン「あしび」を中心に記者もよく利用した。素晴らしいホテルだった。

 営業停止後は様々なうわさが飛び交った。某ホテルが入居すると聞いたときはかなりショックを受けた。街のポテンシャルは一段と下落とすると思ったからだ。

 今回、商業施設とマンションに建て替えるのは次善の策だと思う。現地は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩2分、完全歩車分離のペディストリアンデッキでつながっており、敷地面積は約5,500㎡。用途地域は商業地域、容積率は700%だ。総合設計を利用すれば容積は1000%くらいになるかもしれない。

 マンションはいったい何戸くらいで、価格はいくらになるかだ、戸数は400戸を超えると見た。京王電鉄の単独となるのか、グループの京王不動産やサンウッドが入るのか、それともいま京王聖蹟桜ヶ丘駅近くで共同してマンションを建設中の野村不動産と組むのか。

 価格は、立地・街の熟成度など総合的に判断して坪単価350万円なら大楽勝だろう。できれば、この前記事にした野村不動産「プラウドタワー相模大野クロス」(687戸)の坪単価400万円超に迫ってほしい。野村と組めばありうる価格だ。

立地、性能、地域共生など評価される 野村不「相模大野クロス」 坪単価400万円超か(2023/10/31)

ショック!ホテルに続き恵泉女学園大学も閉学へ 地盤沈下する多摩センター(2023/3/23)

 


 

 

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「ほの国百貨店跡地プロジェクト」

 総合地所、大和ハウス工業、阪急阪神不動産は11月2日、愛知県豊橋市の「ほの国百貨店跡地プロジェクト」マンション「HONOKUNI RESIDENCE」のメディア向けモデルルーム見学会を行った。地方都市のマンション市場を知るのが目的で、取材した。駅前の一等地で、坪単価は200万円を突破する模様だ。地方都市も坪200万円を突破する時代に突入したことを実感した。

 物件は、JR東海道本線・飯田線・JR東海道新幹線・名鉄名古屋本線豊橋駅から徒歩6分、豊橋市駅前大通二丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率600%)に位置する敷地面積約2,513㎡、15階建て全156戸。年内に販売開始する第1期(戸数未定)の専有面積は72.07~105.42㎡、価格は未定だが、坪単価は200万円を突破する模様。竣工は2024年10月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。管理は第三者管理者方式を採用する。

 現地は、地元の人によく知られている市内唯一の百貨店だった「ほのくに百官店」跡地。敷地南側は幅員約50mの駅前大通りに面しており、東側は幅員約15m、北側は幅員約6mの道路に接道。

 建物はL字型で、1フロア南向き8戸、東向き3戸の構成。主な基本性能・設備仕様は、市初のZEH-M Oriented認定、直床、リビング天井高2400~2500ミリ、フィオレストーン・人工大理石キッチン天板、食洗機、Low-E複層ガラスなど。長谷工オリジナルの「UGOCLO(ウゴクロ)」も提案する。共用施設はキッズスペース、コワーキングスペース、ランドリールーム、カフェラウンジ、ゲストルームなど。

 総合地所名古屋支店マンション開発部部長・有本光男氏は、「100戸強の物件が毎年1~2棟供給されている。これまでの物件の坪単価は180~200万円。今回は場所がいいので200万円を超える予定。これまでのエントリー数は600件超。11月11日から集客を開始する」と語った。

 「ほのくに」とは、かつて豊橋は「穂の国」と呼ばれたことに由来する。エントランス部分には市の伝統的な技術である組子デザイン、織物の技がモニュメントとして採用される。

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モデルルーム玄関サイドに置かれた飾り物(豊橋市の伝統的手筒花火を模したもののようだ)

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市の伝統的技術を紹介するコーナー

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 豊橋駅に着いたのは午後2時過ぎ。政令指定都市にしては人通りは少なく、広い道路の割には車の数も少ないと感じた。

 他の地方都市と同じように、加速度的に高齢化が進み、人口も減少しているのではないかと考え、市のデータで調べた。総人口は平成22年国勢調査の376,665人をピークに減少に転じ、令和5年10月1日現在は368,996人。この13年間で2.0%減少。「豊橋市人口ビジョン」(平成27年)によると、2030年の将来人口は359,000~364,000人と予測されている。高齢化率も高まっており、平成27年の24.1%から2030年には28.9%に上昇すると予測されている。

 市は令和3年、「豊橋市中心市街地活性化基本計画」を策定、豊橋駅周辺の約125haを「ストック活用ゾーン」として位置づけ、駅東口と西口周辺を重点整備エリアとし、民間による再開発を促すことを打ち出している。

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 モデルルームを見学してから現地を確認した。ここも大通リにしては人通りは少なく、通りを横切るには地下歩道を通らなければならないのに、典型的な車優先の街づくりの街を見た。

 すると突然、現地南側の真正面の建物に目を奪われた。白が基調の正統的デザインのその建物は不思議と古い街並みに溶け込んでいた。品格がある。

 この建物が何者であることを確認しないでは取材したことにはならないと、遠回りして現場を確認した。

 工事中の仮囲いのボックスにB3サイズのチラシが入っており、「『住・商・公』複合開発16階建、総戸数110戸の新築分譲マンション 第1期完売御礼 『ザ・ハウス豊橋WEST』第2期先着順受付開始 」と大書きされているではないか。小さな字に難儀しながら読んだ。

 物件概要には、建物は16階建て総戸数110戸。第2期の販売戸数は20戸、専有面積は56.01~98.60㎡、価格は2,770万円~6,370万円(最多価格帯2,800万円台)。竣工予定は2024年5月下旬。売主は中部ガス不動産。事業主は豊橋駅前大通二丁目地区市街地再開発組合。施工は鹿島建設。設計・監理は北山孝二郎+K計画事務所、アール・アイ・エー。竣工予定は2024年5月下旬とあった。隣接する建物は、2年前に竣工した5階までが公共広場、飲食店、図書館、オフィス&行政サービスなどが入居し、6階以上がマンション「THE HOUSE TOYOHASHI」(129戸)だ。

 早速、インフォメーションセンターに飛び込み、来意を伝えたのだが、「物件概要に書かれていること以外には答えられない。写真撮影も不可」と取材を断られた。仕方なく、専有面積と価格が照応するか分からないが、単価をはじいた。最低は163万で最高は213万円だ。

 施工が鹿島で2年前竣工といえば、RBA野球日曜ブロック屈指の好投手遠藤が名古屋勤務に異動になってからしばらくしたころだ。この物件を担当したに違いない。いい仕事をしたものだ。鹿島は今年の大会も決勝を逃し、3回連続の準決敗退となったが、遠藤は今年年末には東京に戻ると聞いている。チームの負担で、3年連続惜敗の厄払いを兼ねた遠藤復帰の歓迎会をやろうではないか。遠藤は不摂生が祟って、もう投げられる体じゃないかもしれないが…。

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現地

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左が現地、右が「THE HOUSE TOYOHASHI」

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駅前から現地を写す

三菱地所、社-柴田の継投決まる 鹿島建設は10残塁 再三再四の好機逸す(2023/10/22)

ケンコーポ 絶体絶命のピンチ3度凌ぐ 惜敗鹿島 一死3塁 3度生かせず(2019/10/27)

 

 

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「プラウドタワー相模大野クロス」

野村不動産の「プラウドタワー相模大野クロス」マンションギャラリーを見学した。伊勢丹相模原店跡地の小田急線最高峰の41階建て全687戸で、立地の良さに加え、基本性能・設備仕様レベルの高さ、環境配慮、地域共生などの商品企画が評価されており、6月下旬から開始したエントリー数は3,000件を突破している。人気を呼ぶのは必至だ。

物件は、小田急線相模大野駅から徒歩4分、相模原市南区相模大野四丁目の商業地域に位置する敷地面積約10,186㎡、地下3階・地上41階建て全687戸。専有面積は32.66125.48㎡。11月分譲予定の第1期(戸数未定)の予定価格は3,900万円台~26,900万円台(予定最多価格帯8,500万円台)、坪単価は未定。竣工予定は202511月上旬。施工は三井住友建設。デザイン監修は日建ハウジングシステム。

現地は、伊勢丹相模原店跡地。建物の高さ約152mは小田急線最高層。敷地内に公共広場と24時間開放の公共歩廊約3,600㎡を新設することなどで駅とグリーンホール、図書館、中央公園のアクセスを確保し、地域の賑わいを創出する。住戸プランは、1LDK67戸、2LDK148戸、3LDK434戸、4LDK38戸。

主な基本性能・設備仕様は、免震、ZEH-M Oriented&低炭素建築物認定、二重床・二重天井、食洗機、ディスポーザー、御影石キッチンカウンター、リビング天井高26002800ミリ、ミストサウナ、高効率エネファームなど。207台収容の平置き駐車場は、従前の百貨店の既存施設を活用するほか、グリーン電力の採用など環境にも配慮している。

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公共広場

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 坪単価は未定だが、記者は400万円を突破するとみている。駅とはアーケードでつながっており、約2.7haの「相模大野中央公園」に近接しているのがいい。小田急線最高層(京王線も西武線もそんな高いマンションはないはず)という価値はどうか知らないが、こんな立地に恵まれたマンションはそうないはずだ。

 物件案内をしていただいた同社住宅事業本部神奈川住宅営業部・安田航大氏によると、12年前に同社が分譲した相模大野駅前の坪230万円だった「プラウドタワー相模大野」の中古価格は坪350360万円だそうだ。

 坪350360万円といえば、新宿からの電車所要時間はほとんど同じのわが京王線聖蹟桜ヶ丘駅や多摩センター駅の一等地でもかなわない価格だ。どうしてそうなるか。参考になりそうな記事をいくつか添付するので読んでいただきたい。

伊勢丹相模原店跡地の沿線最高峰 野村不41階建て「相模大野」687戸分譲(2023/9/17)

野村不動産「プラウドタワー立川」は坪単価342万円 早期完売必至(2014/7/10)

野村不動産&再開発組合「bono(ボーノ)相模大野」15日オープン(2013/3/12)

ハイレベルの野村不動産「プラウドタワー相模大野」(2011/8/12)

「横浜ポートサイド」の再現なるか 横浜市住宅公社「長津田」(2011/7/22)
 

 

カテゴリ: 2023年度

 国土交通省は10月26日、第1回「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ」(座長:鎌野邦樹・早稲田大学法学学術院法務研究科教授)の会合を開催した。外部専門家などがマンション管理組合の管理者となるケースが増加している現状を踏まえ、「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ(2023 年8月)」にもとづき、管理形態における留意事項を示したガイドラインの整備などに向けた検討を行うのが目的で、来年3月までに5回の会合を開き、答申をまとめる予定。

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 会合について一つひとつ紹介する余裕はない。詳細は国交省のホームページに掲載されるので読んでいただきたい。以下、記者が気付いたことを書き記すことにする。

 まず、「第三者管理者」について。これまでメディアなどで「第三者管理」などの文言で紹介されるケースが多かったが、これだと管理組合や区分所有者が関わらなくともよいと理解される可能性もあるので、正確を期すため、今後は「第三者管理者」に統一すると同省から説明があった。

 これは賛成だが、記事は文字数の制約もあるので「第三者管理」とすることも許容していただきたい。

 次に、管理会社による「第三者管理者」について。この問題については10年前、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」でも激しいやり取りが行われた。マンション管理業協会などは「利益相反」を招く恐れがあることなどから導入には反対の立場を取っていた。

 記者も、区分所有者の高齢化、建物の老朽化・管理費滞納などを起因とする「管理不全マンション」を第三者が管理するのは現実的でないと書いた。第三者管理者に報酬を支払う余裕のある管理組合は10%あるかどうかだろう。富裕層向けや投資用、大規模複合などは有効だろうと考えていた。区分所有者の代理人を可能にするのも一考だ。

 「利益相反」の問題をどうクリアするかだが、区分所有者第一主義を基本にすれば、これは検討会でもまとまるのではないか。同省の資料にも「『マンション管理トレンド調査(マンション管理業協会)』によれば、2023年時点で管理者業務を『受託して いる』、もしくは『今後受託を検討している』と回答した管理業者は167社となっており、2020年と比べて約3割増加している」「また、管理者業務を受託する管理業者のうち、理事会を設置しない方式を採用している管理業者が約7割存在している」とあるように、これからの新築マンションでは劇的に増えるのではないか。

 同じようなことを、出口健敬委員(不動産協会事務局長代理)が話された。出口氏は、ガイドラインの対象とすべきマンションは、管理不全マンションもそうだが、専門知識が必要な大規模複合マンションとか、そもそも区分所有者が住まない投資用とかリゾートマンション、理事会などに入りたがらない高額マンションなど様々なケースがあるので、これらに対応するものにすべき旨の発言をされた。この通りだと思う。

 驚いたのは、齊藤広子委員(横浜市立大学国際教養学部教授)も「衝撃を受けた」と話された、管理業者と契約を結ばずに第三者管理者契約を結んでいる管理組合が半数以上あることだった。つまり〝丸投げ〟しているということだ。これは、ありえないことだ。管理会社はきちんと説明し、契約書を交わすべきだし、権限、義務、報酬などを明記すべきだ。それを怠っている管理会社に猛省を促したい。

 これに関連することだが、管理会社による第三者管理者は、マンション分譲時の原始規約に盛り込まれることになるのだろうが、購入者には管理会社を選ぶことも含めて選択の余地はない。主体はあくまでも区分所有者だし居住者だ。原始契約には選択できる仕組み(候補をいくつか列挙して、選べるようにしてはどうか)も必要だと思う。専用使用権があるバルコニーでの喫煙を原始規約などで禁ずるのは行き過ぎだ。

 気になった発言もあった。どなたかの委員の方が「大手の管理会社は任せて安心だが、中小業者は事故を起こす可能性がある」「管理会社はピンキリ」と話された。それはそうかもしれない。しかし、こうもあからさまに見も蓋もないことを仰るのはいかがなものか。

 そもそも、国交省担当者も話したように、区分所有マンションの主体は区分所有者であり、居住者だ。管理者(管理者とは何かという論議は必要だが)は区分所有者、居住者の味方であるべきで、大手管理会社は居住者の味方であり、中小業者はそうではないことを示唆する考え方はむしろ危険だ。

 この意見に対して、確か戎正晴委員(弁護士)だったと思うが、「それは間違っている。大手とか中小という問題でない。第三者管理者制度が当たり前になるようなガイドラインにしなければならない」と指摘されたのは正鵠を射ていると思う。戎委員は「権利能力なき社団」「管理組合法人」「管理者方式」「管理組合方式」など難しい話もされたが、法を担保しないといけないので、とても重要なことを話されたのだろう。区分所有法や適正化法などとの整合性を含め、しっかり論議していただきたい。

 最後に一言。同省の論点整理は8項目あったが、完璧だと思った。完璧のガイドラインになることに期待したい。

迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(2011/8/30)

 

 

カテゴリ: 2023年度

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「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」

 三菱地所レジデンスは10月25日、災害時に居住者同士が行動に迷わず助け合うための防災ツール「First Mission BoxⓇ(ファーストミッションボックス)」(FMB)」を設置した「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」の竣工記者見学会を開催し、担当者によるデモンストレーションも行った。同社を含めデベロッパーは分譲マンションの「防災」には力を入れているが、賃貸でこのような取り組みをするのは珍しいのではないか。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線中野富士見町駅から徒歩4分、中野区弥生町2丁目に位置する14階建て全115戸。専用面積は25.08~51.84㎡、賃料は100,000(25.92㎡)~227,000円(51.00㎡)、坪賃料は1.5~1.7万円。竣工予定は2023年8月。設計はIAO竹田設計。施工は村中建設。これまで52戸を募集し、80%に申し込みが入っている。

 「FMB」は、長野県飯田市と危機管理教育研究所により考案されたもので、災害時(震度5強以上の地震を想定)に共用部に設置されたボックスを開け、中に入った指示カードの通りに動くことで、自然とその場に集まった居住者同士で災害時の初期活動を実施することができる仕組み。

 指示カードには、「本部の設営」からマンション内の「安否確認」「救護活動」「トイレの設置や運用」「防犯対策」の対応をどのように行動すればいいか、専門知識や経験がなくても誰にでもできるような内容になっている。

 近所との関係が希薄になりがちな単身世帯や、居住者による組合組織がない賃貸マンションでも、万一の時に取るべき行動に迷うことなく、居住者同士で迅速に活動するための初動期のオペレーションを実行することができる。

 同社はまた、長引く被災生活を想定して「Second Mission Box(セカンドミッションボックス)」(SMB)を制作・導入。「FMB」と「SMB」を賃貸マンションに導入するのは初で、このほか屋上に設置した太陽光パネルで発電した電力を蓄電池に貯め、災害時に活用するシステムの構築、各住戸用の備蓄ロッカー(MY防災倉庫)を備えている。

 外観デザインには、外壁には天然の貝などから作られた自然の風合いのある塗材、西面の最上階軒天などには木目調塗装を採用するなど、周辺の並木道や敷地内の豊かな緑地帯と調和するシンボリックなものにしている。

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防災ツール デモンストレーション(左から同社賃貸住宅開発部開発第三グルーフ・日比剛史氏、同リーダー・最田真生子氏、同社経営企画部サステイナビリティ推進グループ サブチーフ・澤野由佳氏)

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「FMB」設置イメージ

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コワーキング

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 記者はこれまで、同社が分譲した大規模マンション「奏の杜(かなでのもり)」での三菱地所コミュニティとエリアマネジメント組織・奏の杜パートナーズと共同の防災訓練を何度か取材している。どこの集合住宅でも行っている、セレモニーのようなお茶を濁すイベントではなく、市や消防署とも連携した本格的なもので、半日がかりの取り組みだった。

 今回、賃貸マンションに「FMB」と「SMB」を導入するのは、エリア内にいくつかの分譲マンションを供給している背景があるようで、その本気度に感服した。何事にも真剣に取り組むのが三菱地所グループのいいところだ。2014年に立ち上げた同社と三菱地所コミュニティ社員有志によるボランティア組織「三菱地所グループの防災倶楽部」は約140名にのぼっているようだ。

 見学会では、各フロアに備蓄ロッカー(MY防災倉庫)を備えているのに驚いたが、居室はガスとIH設備をフロアごとに替え、半々にしているのもそれぞれの弱点を補うものだろうと理解した。

 デモンストレーションは約15分。実演者も記者連中(とくに小生)は緊迫度に欠けていたが、3.11のとき「新浦安」を取材しトイレに困ったことがある(仕方なく公園の隅っこで用を足したが、女性はそうもいかないだろう)のでその対策の重要性はよくわかる。

習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)

 


 

 

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「ルネ花小金井ザ・レジデンス」

 総合地所、積水化学工業、大栄不動産は10月25日、総合地所の〝ルネシリーズ〟として都内初のZEH-M Oriented基準を満たした「ルネ花小金井ザ・レジデンス」(162戸)の販売を開始したと発表した、同日、報道陣にモデルルームを公開した。坪単価310万円には驚いたが、第1期として供給した50戸のうち37戸が成約済みと聞き、これまた驚いた。

 物件は、西武新宿線花小金井駅から徒歩4分、小平市花小金井南町一丁目の商業地域・第一種中高層住居専用地域に位置する8階建て全162戸。専有面積は44.46~88.92㎡。2023年11月上旬に販売予定の1期4次(戸数未定)の価格は4,100万円台~8,500万円台(最多価格帯6,200万円台)、坪単価は310万円。着工は2023年5月。竣工予定は2025年2月。設計は長谷工コーポレーション。施工は長谷工コーポレーション・森組。販売代理は長谷工アーベスト。

 9月30日に販売を開始し、これまで供給した第1期50戸のうち37戸を成約。資料請求は約1,000件、来場者は約280件。来場者の属性は30歳代がもっとも多く約35%、40歳代が約20%。現居住地は小平市が約40%。予算額は今回の物件の最多価格帯6,000万円超は30%で、予算額との乖離は1,000万円以上の差がある。一方で、希望面積は70㎡以上が約50%、80㎡以上も約15%。

 従前土地は金融機関の施設で、主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、リビング天井高2500ミリ、直床、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス(共用廊下側窓)など。

 見学会で総合地所分譲事業部マンション開発部開発1課課長・石井大祐氏は、「駅から徒歩4分の得難い立地で、当社のZEHでは『南柏』『上尾』に次ぐ都内初のZEH対応のシンボリックな物件。また、花小金井は、当社社長・梅津が手掛けた2011年分譲の『ルネ花小金井』に次ぐ〝ゆかりの地〟であり、〝泣かせるシアター〟も思い出させる」と話した。

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左から石井氏、同社分譲事業部マンション開発部開発1課・根岸拓海氏、同・中村瑞輝氏

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エントランスホール

◇        ◆     ◇

 石井氏とは、RBA野球大会の選手として出場していたころだからもう20年くらいのお付き合いか。元気そうな様子だったので、とても嬉しくなった。そのお返しのつもりで、見学会に出席していた約10人の記者の方に〝泣かせるシアター〟のことを話したのだが、一人を除いて何の反応も示さなかった。その一人こそ〝家族の絆〟をテーマにしたシアターに映り出されたサラリーマンと自らをだぶらせて「ほろりとさせられた」と語った記者だ。当時、娘さんは小学生のころか。

 あれからまだ12年しか経っていないのに〝泣かせるシアター〟は通用しない。十年一昔、隔世の感がする。要するに、腰を落ち着けて継続してマンションを見学する記者はいないということだ。ものを見る目がなければ、見たことにはならず、その分だけ時間が無駄ということだ。

 さて、坪単価。前回は、駅から14分で坪155万円だった。今回は駅に近く、用地・資材・人件費の上昇が続いていることから、土地代がただでも坪200万円以下はありえないが、新宿まで似たような電車所要時間ではあるが、街の利便施設の集積度では問題にならないわが街多摩センターの坪250万円以下だろうと予想した。

 結果は大外れ。言い訳はしない。多摩センターと比較したのがいけなかった。私情を挟み過ぎた。冷静に考えたら坪310万円というのはありうる価格だ。工期も従前なら15か月くらいだろうが、今回の物件は21か月になっている。これも建築費を押し上げている要因の一つだ。

 いよいよ郊外部でもマンション坪単価は300万円の時代に突入したということだ。ユーザーの予算額、希望面積との隔たりをデベロッパーはどうして埋めるのだろうか。〝買いあがる〟余力のある人はいるのだろうか。

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建設現場

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 初めて知ったのだが、花小金井駅南口の駅前ロータリーには車道と歩道が交差しているにも拘わらず信号はなく、すぐ先の東京都道132号小川山田無線と交差する三叉路(幅員4mくらいの市道とも交差するのでほとんど四叉路)にも信号機はひとつもなかった。

 三叉路近くにいたお年寄り夫婦に聞いた。「こんな広い道路(幅員15mくらいか)に信号がなくて大丈夫ですか」と。すると、ご夫婦の方は「車が停まってくれるんですよ」と答えた。嘘だろうと思ったが、女子高校生らしき集団がこの三叉路を渡ろうとしていたとき、確かに車は停まった。全て世の中は車優先かと思っていたが、そうでもないところがあるのに驚いた(別の記者は「それだけ車が少ないということ」と冷たく言い放ったが)。

 ネットで調べた。面白いデータが見つかった。日本自動車連盟(JAF)の調査によると、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとした際に一時停止した車の都道府県別の割合は全国平均で21.3%、トップの長野県は72.4%、最低は宮城県の5.7%とある。なぜこんなに差があるのか、その理由は示されていない。

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駅近くの四叉路(左側が今回のマンション販売事務所)

「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ2024年問題からみ深刻化 大和ハウス(2023/9/15)

埼玉県初のZEHマンション 総合地所「ルネ上尾」 第1期45戸が即日完売(2021/6/29)

分譲一筋に30年 〝ルネ〟の総合地所 執行役員・梅津英司氏が語る(2018/4/16)

初めて見た 泣かせるマンション 総合地所「ルネ花小金井」(2011/5/17) 

 

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「PORT VILLAGE」C棟

 三井不動産レジデンシャルなど「HARUMI FLAG」の事業主10社は10月23日、賃貸街区「PORT VILLAGE」の一般賃貸住宅のメディア向け内覧会を実施し、一般向けの内覧会を10月27日(金)から開始すると発表した。

 「HARUMI FLAG」は、「東京オリンピック選手村」としても供用された、都心に近接する敷地面積が約18haに及ぶ分譲4,145戸、賃貸1,487戸、全体5,632戸の住宅開発。計画人口は約12,000人。晴海緑道公園、水素ステーション、ららテラスHARUMI、BRTを含むマルチモビリティステーションなどのほか、中央区認可保育園、小・中学校などが整備され、電柱・駐車場の地下化も図られている。

 「PORT VILLAGE」は、「まち」の持続性、多様性を担う街区として整備された全4棟で、デザインコンセプトは〝結(ゆい)〟。わが国の伝統工法である「ひだ」「もやい」「照り むくり」が外観その他のデザインに採用されている。

 約7,000㎡の中庭は、多世代との交流の場としても利用できるように計画されており、共用施設としてはイベントスペース、パーティルーム、ワークスペース、パブリックバス、フィットネスルームなどが設置されている。各種のコンシェルジュサービスも行う。

 物件は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩14~16分、中央区晴海五丁目に位置する敷地面積約2.6ha、15~17階階建て全4棟1,487戸で、総専用面積は約58,800㎡。内訳は一般賃貸住宅1,258戸、シニアレジデンス158戸(別途ケアレジデンス50室)、 シェアハウス(71戸/114室) 。専用面積は一般賃貸住宅が28.71~103.03㎡・159.20㎡・171.66㎡、シニアレジデンスが36.68~66.31㎡、ケアレジデンスが18.17~20.57㎡、シェアハウスが25.01~92.09㎡。設計は日建ハウジングシステム、東急建設。施工は東急建設。竣工予定は2024年1月15日。

 一般賃貸住宅の賃料は49.10㎡が188,000円(坪賃料12.6万円、11階)、71.14㎡が295,000円(坪賃料13.7万円、2階)など。159.20㎡・171.66㎡の賃料は未定。シェアハウスの賃料は25㎡が12~13万円台、4~5人用のユニット型が9万×4~5=36~45万円台。

 一般賃貸住宅を対象に8月29日からエントリーを受け付け、9月29日から申し込みを受け付けており、10月20日現在、募集160戸に対して、地元中央区や江東区居住者中心に100件超の申し込みがある。

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ホルトノキ

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中庭

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外観 B棟

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 賃貸街区のみだが、初めて完成間近の「HARUMI FLAG」を見た。マスターアーキテクトとして街全体のデザインを統括する光井純氏から「諸外国のどこの街にも負けないものをつくる」と聞いていたので、ランドスケープ・ファサードデザインにもっとも注目した。

 分譲街区も見ないと何ともいえないが、外構などは同じはずで、素晴しい、この一語に尽きる。光井氏が設計した「パークシティ浜田山」もそうだが、記者が最近の分譲・賃貸でもっとも感動した「桜上水ガーデンズ」に負けないはずだ。

 樹高10m近くありそうなシンボルツリーのホルトノキ、赤い実をたくさんつけていたナナミノキのほかシラカシ、クスノキなどの巨木になる樹木もたくさん植えられていた。光井氏が語ったように「地上は緑に覆われた」街になるのは間違いない。

 共用施設では、左官仕上げの塗り壁、木組みデザインが施された天井が印象的だった。ポピンズナーサリースクールが運営する保育園(定員:204名)の床はコルク材で天井高は約2.8m。園庭も広々としていてとてもいい。

 シニアレジデンス・ケアレジデンスの「グランクレール」は、いかにも運営する東急イーライデザインの造りだ。リビタが運営するシェアハウスは記者のような年寄りは理解できない。

 大浴場やワークスペースは、利用時間に制限はあるが、無料なのがいい。ただ、ワークスペースの内装には集成材が多用されているのに、そのよさを半減どころか無に帰すフェイクグリーンで覆われていたのには唖然とした。

 最後に賃料。坪賃料は1.3万円前後になるはずで、高くもなく安くもないと感じた。分譲の平均坪単価300万円強の利回りを5%と想定すれば年間15万円強、月額にすると1.3万円になる。リーズナブルな設定だろう。共用施設の充実ぶりを考慮したら〝超〟の字が付くほど割安か。

 ペントハウスの賃料は未定だが、159㎡の住戸は賃貸仕様だが、なかなかいい。記者は賃料100万円でどうかと思ったが、同業の記者の方は300万円を予想した。確かに、金に糸目をつけないお金持ちならありうるかもしれないが、月額賃料を300万円にしたら年額3,600万円、坪賃料は6万円だ。利回り5%として価格は7億2,000万円(坪単価1,494万円)だ。これはありえない。事業者はそんな暴利をむさぼるような高値には設定しないはずだ。せいぜい月額150万円とみたがどうだろう。

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床はコルク、天井の木組みデザインが美しい保育園

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エントランスホール B棟

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159㎡のペントハウス(下層階)

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シニアレジデンスクレールダイニング(左)とケアレジデンス内廊下

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シェアプレイス(完成予想図)

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左官仕上げの塗り壁

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大浴場(女性用)

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ワークスペース

「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を「結う」デザイン 「HARUMI」賃貸募集へ(2023/8/29)

「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい 光井純氏 建築美を語る(2023/1/30)

「類まれな」レベルの高さ 野村不・三井レジ「桜上水ガーデンズ」完成(2015/8/28)
 

 

カテゴリ: 2023年度
 

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