驚天動地の「週刊住宅」「住宅新報」元編集長・顧問の本多氏のインタビュー記事
あ然、呆然、驚天動地-いかなる言葉でもってしても形容しがたい、もう絶句するしかない、あきれ果ててものも言えない(だから書くのだが)記事がわが業界紙の「週刊住宅」6月17日号に掲載された。8ページ建ての最終面(つまり裏表紙)の書籍紹介コーナートップに、競合紙の「住宅新報」の元編集長で顧問でもある本多信博氏の書籍「認知症にならない暮らし方 百歳住宅」(プラチナ出版社)のおためごかし※の紹介文だけならまだしも、何と全6段の4分の3くらいのスペースを割いて、本人のインタビュー記事を紹介しているのだ。
インタビーで語っている本多氏の発言も聞き捨てならない内容が含まれているのだが、これは後述するとして、よりにもよってお互いライバルと言ってよい業界紙が一方の元編集長・顧問が書いた本をインタビュー付きで、しかも題字下で紹介するなど常識的には考えられないことだ。さらにまた、住宅新報も本多氏も相手を〝格下〟と考えているのかもしれないが、そんな企画記事に無分別にも乗るなんて、狂っているとしか言いようがない。双方が痴呆状態に陥っているのではないか。
例えは適当でないかもしれないが、朝日新聞が読売新聞を、あるいはその逆をヨイショするようなもので、これはもうメディアの自殺行為だ。かつて、東急不動産の金指潔会長が「このままでは生き残れない業界紙」と苦言を呈したのを忘れたか。
こんな紙面を見ると、何だか負け犬がお互いの傷をなめあっている絵図そのものに思えてきて実に不愉快だ。ひょっとしたら両紙は持ちつ持たれつの兄弟紙か。そういえば、住宅新報の元編集長は現在、週刊住宅の記者として記事を書いている。私事だが、小生は同業の記者にはほとんどお友達がいないし、言葉もあまり交わさない。
※おためごかしとは、他人(ここでは本多氏)を持ち上げているように見せかけて実は自分(週刊住宅)の利益をもくろんでいるという意味。そのわけは、プラチナ出版は週刊住宅が破綻したあとに同社の社員らが2017年5月に立ち上げた会社であることからもこの言葉がぴったり。
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「聞き捨てならない」と書いたのは次の部分だ。
本多氏は、「住まいは生活習慣病の源」と持論を述べた後、「認知症を患いづらい住まいとは」という週刊住宅の記者の質問に対して「1年を通じて四季を感じられる住まいである…脳を活発に動かせる環境づくりが重要…その意味からマンションより戸建住宅のほうが認知症になりづらい家作りを実践しやすいと思っている」「認知症になりやすいのは独り暮らし」などと語っている。
さらにまた、積水化学の住宅カンパニーの「認知症の早期発見、重症化予防プロジェクト」を紹介し、「住友林業や東急不動産、東京建物などが高齢者向けの住まいに先導的に取り組んでいる」とも述べている。
「住まいは生活習慣病の源」なのかどうかはよくわからないが、小生の糖尿病は住まいと関係ない。言うまでもないことだが、食生活に問題がある。飲酒によって何かの病気を発症したとしても、やはり住まいとは関係ないはずだ。ただ、劣悪な住環境が生活習慣病を発症する要因になるかもしれないことについては否定しない。
しかし、認知症と住まいを関係づけるのは暴論だ。本人も話しているように認知症発症メカニズムは解明されていない。つまり、分からないのだ。分かっていないことについて勝手にしゃべるのもまた自由で、だからこそそう話しているのだろうが、マンションや戸建てを中心に約40年間取材している小生は承服しかねる。
「マンションより戸建てのほうが認知症になりづらい」とか「認知症になりやすいのは独り暮らし」などと、専門家の疫学的な調査研究を根拠に、したり顔で話すのはやめたほうがいい。
貴殿が「家庭内における役割分担と決まりごとに対する郷愁がシェアハウスの台頭の陰にある」(やや意味不明)と絶賛するシェアハウスはマンション形式が絶対的に多いはずで、だとすればシェアハウスは認知症の巣窟・予備軍にならないのか。圧倒的に独り暮らしが多いサ高住もまた認知症患者を発生させる「先導的役割」を果たすことになりはしないか。認知症発症率はマンションが少ない地方のほうが高いという研究も報告されている。
「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3//9)
欠けるのは「愛」 記者生活40年 業界紙に期待するものWebとの融合・連携 ④(2018/4/5)
住宅リフォーム 今年度からGDP統計に反映 規模は数兆円か
住宅リフォーム推進協議会(代表理事:國井総一郎・ノーリツ社長)の定時総会後の懇親会が6月14日行われ、初めて取材した。勝手が違うし、リフォームのことはよく分からないので早々に退散した。
唯一の成果は、住宅リフォーム統計が今年度からGDPの統計に反映されることだった。
現在、住宅リフォーム工事の着工届が必要な延べ床面積が10㎡以上のものは「建築物着工統計」に反映されており、住宅投資に含まれているが、着工届を必要としないものについては、計算が難しいためGDPには含まれていない。
このため、平成26年3月に閣議決定された「公的統計の整備に関する基本的な計画」に基づき、国土交通省は平成28年度から「建築物リフォーム・リニューアル統計」調査を開始し、今年度からGDP統計に含まれることになった。
建築物リフォーム・リニューアル調査によると、平成28年度の受注高は約10兆1,358億円、29年度は8兆6,578億円(住宅投資額は16.0兆円)だ。
住宅リフォームがGDP統計に反映されたらどれくらいの増額になるのかわからないが、数兆円はGDPを押し上げることになるのか。
しかし、国民生活センターに持ち込まれる住宅リフォームに関する相談件数はずっと年間1万件くらいで推移しているはずだ。GDP統計に反映されるのは結構なことだが、悪徳業者を排除する取り組みも必要だ。
ポラテック プレカット「名古屋工場」が稼働 全国で月産5,200棟体制へ
「名古屋工場」
ポラスグループでプレカット事業を展開しているポラテックは6月6日、100%子会社ポラテック西日本の新工場「名古屋工場」の稼働を5月21日から開始したと発表した。
名古屋工場は、臨海部に立地し、物流拠点としての役割を担っているのが特徴。愛知県海部郡飛島村木場1丁目に位置し、敷地面積約12,702㎡、延床面積約6,896㎡。月産能力は羽柄材/5,000坪、合板加工/3,000坪。社員数10名。配送エリアは愛知県、岐阜県。初期投資額は14億円。
同社のプレカット工場はこれで茨城県、滋賀県、宮城県、静岡県、佐賀県の5拠点、構造材生産能力は月産合計176,000坪(1棟34坪換算で約5,200棟分)となり、プレカット業界最大手。
五輪エンブレム制作者の野老氏も参加 日本橋の街と企業の暖簾制作 三井不がイベント
北斎の版画を背景に語る野老氏(日本橋室町三井タワーで)
野老氏
三井不動産は6月5日、東京2020 オリンピック・パラリンピックエンブレムを制作した美術家・美術家 野老(ところ)朝雄氏を迎えたデザイントークイベント「個と群と律~紋と文様の話~」を開催。野老氏がエンブレムに込めた思い、制作過程などについて語ったほか、野老氏も参加して日本橋をテーマに「街を表現する暖簾」と「企業を表現する暖簾」を制作・展示するイベントの講師陣によるトークセッションを行った。日本橋に所在する企業関係者約70名とクリエイター約30名が参加した。
「個と群と律」をテーマに語った野老氏は、エンブレムは三角定規とコンパスがあれば子どもでも制作できる「組市松紋」手法を用い、大・中・小の四角形3個を基本に45個のピースを回転させたりして円形にデザインしたもので、オリンピックとパラリンピックを同じ個数にしたのは「平等」を、多くのパターンを用いたのは「多様性」を表現し、組織委員会の要求に応えたことなどを話した。紋の生地にも使われる藍染めについても熱い思いを語った。数学者の計算によるとエンブレムのパターンは237億通り以上もあるそうだ。
「街を表現する暖簾」と「企業を表現する暖簾」のトークセッションでは、波戸場承龍氏が「麒麟」をモチーフにした暖簾を参考に、判じ絵や見立て紋などの紋の文化について語った。
また、中村新氏は「弥生時代を起原に江戸時代に完成した紋はいかにも日本らしい文化。無形の財産」と語り、戸田宏一郎氏は「〝広告は企業の窓〟暖簾はつくったことがないが、難しそうだが奥行きも感じる。内と外をつなぐ新しい装置に挑戦したい」と述べた。
矢後直規氏は「ラフォーレ原宿ではカラフルな広告を手掛けたが、いま、ものすごい量の日本橋に関する本を読んでいる。とてもやりがいを感じる」と意欲を見せた。
参加するデザイナーを一般公募することから講師陣は「既成概念をぶっ壊すような大胆な提案をしてほしい」(戸田氏)「別の視点、とっぴな発想に期待」(中村氏)「紋は白と黒と線が基本。その単色の世界を表現してくれると嬉しい」(波戸場耀次氏)「日本橋のイメージを塗り替え、次代の日本橋が見られるようなものがいい」(矢後氏)などとエールを送り、司会役を務めた朴正義氏は「昨年のイベントではクリエイターが企業と繋がることができた。野心をもってアイデアをぶつけてくれたら嬉しい」と呼び掛けた。
「企業を表現する暖簾」には約30社の企業が名乗りを上げている。
左から波戸場承龍氏、波戸場耀次氏、矢後氏
左から朴氏、戸田氏、中村氏
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記者は昨年の日本橋「未来ののれん展」を取材している。ものすごく面白かった。前回の参加企業は数社だったが、次回は30社にも達するという。どのような暖簾が出来上がるか、いまから楽しみだ。
野老氏は三角定規とコンパスがあればエンブレムは作図できると話したが、記者はとっさに正七角形を思い浮かべた。円周(360度)を7で割っても整数にならないではないか。となると、各辺の長さが同じで各頂点が正円に接する正七角形は出来ないと思う。
なのに車のホイールには七本の軸(線)があるのはなぜか。七福神、七色の虹、セブンイレブン、女性セブン、七人の侍、ラッキーセブン、七味唐辛子、七つの大罪、七宝、七曜日、七転び八起き、七つの子…小生は割り切れない。野老さんはこれをどう説明するか聞きたかったが…。
会場の室町三井ホール(手前は波戸場父子が制作した暖簾)
不動産流通経営協会(FRK)新理事長に山代裕彦氏(三井不動産リアルティ社長)
山代氏(ホテルオークラで)
不動産流通経営協会(FRK)は6月6日、定時総会を開き、新しい理事長に同協会副理事長の山代裕彦氏(三井不動産リアルティ代表取締役社長)を選任した。前理事長の榊真二氏(東急リバブル代表取締役社長)は副理事長に、前副理事長の田中俊和氏(住友不動産販売代表取締役社長)は顧問に就任した。
山代氏は次のように就任のあいさつをした。
不動産流通市場は、低金利政策の下支えの下、順調に推移しています。
レインズによりますと、平成30年度の首都圏の既存住宅市場としては、成約件数、取引金額ともに前年度を上回り、マーケットとしては底堅い動きで、総じて堅調な一年だったと言えるかと思います。
当協会は、社団法人としては昭和45年に不動産センターとして設立され、来年の令和2年5月29日には創立50周年という節目の年を迎えます。
この度、国土交通省の「不動産業ビジョン2030~令和時代の不動産最適活用に向けて~」に示されているように、当協会も不動産流通を担う一因として「ストック社会」の実現などビジョンに掲げられた目標の達成に向け、その貢献が強く求められているところです。
このような重要な時期に、わたしは理事長に就任することになりました。当協会が時代の流れを敏感に読み取りながら、新しい価値の創造と実現を目指し、令和時代の要請にしっかりと応えていくことが重要だと考えております。
このため、わたしとして、特に力を入れてまいりたいことを3点ほどお話ししたいと思います。
まず、一点目として、不動産流通市場の活性化、円滑化を進めるための「政策提言」と、その基となる「調査研究」、そして適時・適格な「情報発信」を重点活動として、これまで以上に努めてまいりたいと思います。
特に、当協会の長年の課題でもあります、既存住宅の入通促進のための税制改正です。
人生100年時代を迎え、ライフスタイルやライフステージに応じて多様化する住宅ニーズを支えるための税制改正要望については、関係諸団体と協力して、しっかりと活動してまいりたいと存じます。
次に、第二点目として、不動産の特性や需要に即して、柔軟かつ的確なビジネスが展開できるよう、新たな不動産流通制度・システムの構築に貢献してまいりたいと考えております。
次に、三点目として、お客さまの視点に立って、お客さまが抱えている問題を的確に解決できる仲介サービスを提供することが肝要であります。ネット時代を受け、不動産流通会社と消費者との情報格差が格段に縮小する中にあって、質の高いサービスを提供できる不動産会社が選択される時代となっています。
こうした時代だからこそ、人が主役の不動産流通業として、その果たす役割は、ますます重要になってくると思われます。
消費者の皆さまから信頼され、評価される不動産流通業たるべく、その担い手となる営業従事者への教育研修には、これまで以上に注力してまいりたいと考えております。
目の前には解決を要する課題が山積しております。来年4月には民法制定後、実質的に初めての債権法に関する改正民法の施行が目前に迫っております。不動産流通の現場で不安や混乱が生じることのないよう、万全を期したいと考えております。
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山代理事長には、三井不動産リアルティ社長としてお願いを一つした。「社長、(RBA野球の星の)志村さんを試合に出させてください」と。
山代氏は笑って「わかりました」と話した。
これで本日の取材の目的は達せられた。山代社長は、記者の話を了解されたのか、志村さんに試合に出るよう勧めるのかどうかは不明。記者は志村さんと、旭化成ホームズの北寒寺さん、野村不動産アーバンネットの中川さん、トラバースの梅田さんや木ノ内さんなどとの対決をみたい。生きているうちに実現してほしい。ストレートに弱くなった北寒寺さんはバントヒットを狙うような気がする。
全国住宅産業協会(全住協)会長に内田橋住宅社長・馬場研治氏 神山氏は名誉会長
昨日(6月5日)、全国住宅産業協会(全住協)の新会長に東海住宅産業協会理事長で内田橋住宅社長の馬場研治氏が就任し、18年間会長を務めた日神不動産会長兼最高経営責任者・神山和郎氏は名誉会長に就任したことを業界紙が報じた。
記者は訳あって十数年前に同協会とは縁を切った(正確には同協会事務局と)のだが、神山氏の次の会長は誰が就任するのだろうという関心はあった。同協会の会長は創業社長が就任するという不文律があった(と思い込んでいるだけかもしれないが)からだ。思い当たる人は何人かいたが、そうではなく、また東京以外の会社の社長が就任したのにやや驚いた。
しかし、これも時代の流れか。名古屋市が本拠の内田橋住宅の創業は昭和10年というではないか。三井不動産の創業は同16年(越後屋の創業は1673年)だからそれより長い。そして、東海圏の会社社長が同協会のトップに就任するのが何よりも嬉しい。
不動産流通研究所のWeb「R.E.port」に掲載された馬場氏と神山氏の挨拶文を以下に引用する。
馬場氏は「住宅や住生活サービス面で何をどう取り組んでいくかが大きな課題となっている。われわれの主要なターゲットは多様な庶民。首都圏と地域経済とのバランスを図りながら、社会の隅々まで光が当たるような協会活動、政策提言に全力を傾け取り組んでいきたい」と語った。
神山氏は、「理事長・会長を拝命して18年間、皆さまのご指導、ご協力により無事務め上げることができた」「組織は常に代替わりをして新しい血を入れていかないと長続きしない。令和の幕開けに、世代交代して新しい体制を発足することができた」と話した。
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同協会には少なからぬ縁があるので少し追加する。
小生は、同協会の前身、住宅産業開発協会(住産協)を立ち上げ、初代会長に就任した大京創業者の故・横山修二氏が活躍されていた頃からずっと取材を続けてきた。マンションのイロハを教わったのが大京であり、中堅デベロッパーを応援したい気持ちがあったからだ。
同協会のもう一つの前身、日本ハウスビルダー協会の会長を務めていた木下工務店の創業者で社長だった故・木下長志氏にも懇意にしていただいており、大手デベロッパーが中心の不動産協会や、マンションデベロッパーの団体だった日本高層住宅協会(後に不動産協会と統合)に負けない団体に成長することを願っていた。
実際、少なくともバブルが崩壊するまでは、マンションも分譲戸建ても〝中堅〟が主役だった。マンションは大京やダイア建設などの会員会社が市場の半分くらいを占めていたはずだ。当時の大京は首都圏だけでも年間1万戸くらい供給していた。分譲戸建て市場でも木下工務店、細田工務店、六建建設などが市場をリードしていた。
その後の経緯については省略する。同協会が住宅・不動産業界で存在感を示す団体になってほしい。
参考までに、横山氏と木下氏の追悼記事を添付する。
らしき建築物発見!住宅不可の151haの江東区・新木場に88人が住む不思議
空っぽの貯木場(新木場二丁目で)
前回は、「都市計画法ではありえない住宅不可の、駅前に行かないと飲食店はなく、フーゾクもない151haもの広いエリアに男女比71:17の88人の方はどのような生活をしているのか、職業は何か興味をそそられないわけではないが」と書いたが、やはりその興味というか誘惑には抗えなかった。早速取材に出かけた。
「(仮称)三井リビングラボ新木場」は駅から徒歩9分の表示だが、長丁場も予想し、スタミナを温存する意味もあり、また情報を仕入れる意図もありタクシーに乗った。「人? 住んでないですよ。飲食店? ありません」運転手はつれない返事。空振り。
建物が解体中の「(仮称)三井リビングラボ新木場」の前から取材開始。運よくバイクに乗っている郵便局員に出会えた。「住宅? 分かんない」またも空振り。なんのなんの、西武の山川のような気分だ。空振りを恐れて取材ができるか。
片っ端から営業している材木屋、倉庫などに声を掛けた。「10年位前からいるけど、そんな人知らないなあ」「歩き? 駅前にレンタル自転車あるけど。そんな恰好(スーツにネクタイ)して歩いたら、熱中症になって死にますよ」(ありがとう)「ここはそうじゃない。他を当たって」「ここは住んじゃいけないことになっている。知らない」「〇〇の息子さんが住んでいるという噂を聞いたが…まあ、どこだって事務所に住もうと思えば住めなくもないが…」
ここまで約1時間。10カ所くらい回ったが、全て空振り。汗が噴き出す。野球の試合の取材では6時間くらい平気だが、もう限界。空っぽの貯木場の写真を撮って帰りのタクシーを呼んだ。「住宅? それらしきもの知ってますよ」「えっ、それじゃ、そこ行ってください」
その現場に着いた。建物は鉄筋か木造か判別できないが、住宅といえば住宅だし、事務所のようでもある3階建てが建っていた。窓はあったが、男性も女性も子どもも下着は干されていなかった。表札には法人らしき名札が3つ4つかかっていた。業種までは分からない。フーゾクではなさそうだった。外観からは何屋さんか分からない。
小生は意外と無鉄砲なところがある。その筋の人が出てきたらどうしょうかとも考えないではなく、近くの貯木場に丸太ではなく、枯れ木の流木みたいな土左衛門として浮上し、カラスの餌にされるのではないかという恐怖も襲ってきたが、ええーいっ、ままよとばかり、郵便配達人のようにコツ、コツと二度ドアをノックした。
ものすごく長く感じたが、おそらく待つこと数秒。返事がないのに安堵した。小生はそれほど馬鹿でもない。写真を撮る勇気はなかったが、住所も法人名も控えた。もうこれ以上書かない。
ところで皆さんは建築基準法でいう「住宅」とは何かご存じか。第二条に「共同住宅」「居室」などはあり、建築物の細かな規定はあるが、「住宅」そのものの定義はない。
どうなっているのか。江東区の担当者は「法律をつくった国土交通省に聞いてほしい」といったし、国土交通省の担当者は「個々の案件は特定行政庁が判断する」とのことで、つまり、定義などは存在しないことのようだ。小生が「師匠」と仰ぐあるハウスメーカーの建築の専門家も「調べるから時間をください」としか答えてくれなかった。
ここでクエッション。そもそも法律ではっきりした定義がないものを地区計画で禁止する行為はいかがなものか。
参考までに、総務省の「住宅・土地統計調査」では「住宅」とは次のように定義している。
「一戸建の住宅やアパートのように完全に区画された建物の一部で、一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築又は改造されたものをいう」とし、「『完全に区画された』とは、コンクリート壁や板壁などの固定的な仕切りで、同じ建物の他の部分と完全に遮断されている状態をいう。また、『一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができる』とは、次の四つの設備要件を満たしていることをいう。①一つ以上の居住室②専用の炊事用流し(台所)③専用のトイレ④専用の出入口屋外に面している出入口又は居住者やその世帯への訪問者がいつでも通れる共用の廊下などに面している出入口」とある。
しかし、これも、バスもトイレもないわずか7㎡(2.1坪、4.2畳)の部屋を1戸とみなすセーフティネット住宅との整合性をどう説明するのか。
それにしても、このような地域にライフサイエンスの最先端ベンチャーを誘致する三井不動産はすごい!マンションではないから、RBA・話題のマンションベスト3には入れられないが、某媒体の今年のヒット商品番付で横綱になるのは間違いないと思うが、どうだろう。
「(仮称)三井リビングラボ新木場」の建築予定地
新木場2丁目の街並み
こちらの貯木場も空
駅前の看板(駅の南側が新木場1丁目、島の部分が新木場2丁目、下が新木場3丁目、辰巳3丁目は地図の左上の部分)
新木場駅前(左の建築物がホテル。今年8月に竣工予定)
33年連続全国トップの41,533件 2018年度仲介取扱件数 三井不リアルティ
三井不動産リアルティは5月31日、不動産仲介事業の売買仲介取扱件数が33年連続で全国No.1を達成したと発表した。
2018年度の売買仲介取扱件数は全国で41,533件(2017年度40,658件、前年度比2.1%増)となり、1986年度から2018年度まで33年連続の全国No.1となった。
取扱件数第2位の住友不動産販売の2018年度は37,058件。その差は縮まりそうで縮まらない。
「マンションいい話コンテスト」リニューアル 賞金も増額 マンション管理協
マンション管理業協会は6月3日、協会設立40周年を記念して、昨年まで実施してきた「マンションいい話コンテスト」をリニューアルし新たに住み心地や建物・設備などマンションにおけるバリューアップを図った事例や提案を募集する「マンション・バリューアップ・アワード(MVA)2019」を開催すると発表した。
募集テーマは、①マンションライフ部門(住み心地、居住価値向上)②工事部門(建物資産価値の向上)③防災部門(防災力の向上)④財政部門(組合財政の健全化)⑤高齢者対応部門(居住者の高齢化に伴う先進事例)。
応募資格はマンション管理組合、サークル等組織、マンション居住者、管理会社、管理員、マンション管理士、設計事務所関係など誰でも可能で、複数部門への応募も可能。応募期間は6月3日(月)~8月31日(土)。
賞及び賞品はグランプリ1点40万円(従来は30万円)、部門賞数点各10万円、特別賞数点ほか。
応募方法など詳細は「マンションのWa」サイト内で。
マンション管理協 いい話コンテスト「かわら版って、いいよ!」 高橋さんグランプリ(2018/12/4)
「働き甲斐のある業界に」 プレハブ建築協会・芳井敬一会長
芳井氏(如水会館で)
プレハブ建築協会は5月31日、通常総会後の記者会見を行い、芳井敬一会長(大和ハウス工業社長)は3つの重要課題として、災害に備える準備を行うこと、10月に予定されている消費増税後の反動減の有無を注視すること、住宅ストック向上に向け先導的な役割を果たすことを上げた。
また、「先日、事務局から報告を受けたデータを見て、会員会社の退職者の退職理由が〝自分の成長が感じられない〟というのが多いのに衝撃を受けた。働き甲斐が感じられるような業界にするための方策を検討していく」と語った。
平成30年度のプレハブ住宅の着工戸数が減少していることについては、「賃貸との併用などはカウントされていないものも少なくない。精査しないと分からない部分もある」と、業界全体として工業化住宅をさらに進めていくと話した。
平成30年度の住宅着工戸数は前年度比0.7%増の952,936戸だったが、建て方別でプレハブは同3.9%減の130,916戸で2年連続の減少、ツーバイフォーは同2.5%減の116,690戸で2年連続の減少となった。
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芳井会長が働き方改革に言及したのに注目したい。芳井氏は5月16日行われた大和ハウス工業の経営方針説明会でも「第6次中期経営計画」の最終年度2021年度までに「従業員の働きがい実感度」を現状の65%から80%へ、「取引先総合満足度」を現状の70%から90%へそれぞれ引き上げると語った。
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プレハブの着工戸数の減少はよくわからない(記者は木造ファンだが)。しかし、木造だって丸太のまま輸入されるケースは激減し、現場で大工さんが材木を切り、かんなを削る時代はとっくの昔になくなっている。〝プレカット〟が主流だ。分譲マンションもほとんどがprefabricatedだし、ケミカル製品だらけだ。
その一方で、洋服は「既製品」から「レディ―メード」「プレタポルテ」に、「中古住宅」は「既存住宅」「安心R住宅」に変わった。小生はもう40年も昔から「プレハブ」という呼称は改めたほうがいいとずっと思っている。