劇的に変化する経済社会に的確に対応 SDGsにも言及 不動産協会・菰田理事長
菰田理事長(ホテル・オークラで)
不動産協会は5月15日、定時総会後の懇親会を開催。菰田正信理事長(三井不動産取締役社長)は次のように挨拶した。
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今月1日に新天皇が即位されて元号が変わり、まさに新たな時代の幕開けとなりました。
新しい令和の時代は、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックや、2025年の大阪万博といった国家的イベントをはじめとする夢のある様々なプロジェクトが控える中、日本はますます世界からの注目を集め、世界へ開かれた国へと変わっていくのではないかと思われます。
一方、AI・IoT をはじめとするデジタル技術の飛躍的な発達、価値観の多様化、グローバル化の急速な進展等に伴い、これからの経済社会は かつて経験したことのないような速さで劇的に変化し、それとともに不動産を取り巻く環境や都市のあり方も大きく変わっていくものと思われます。
こうした変化や新しいニーズに的確に対応したまちづくりを行うことによって、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが、これからの不動産業界にとってますます重要となり、また期待される使命であると考えています。
こうした観点から、人口減少、少子高齢化の進展といった構造的な課題も踏まえ、今年度は次の活動に重点的に取り組んでまいります。
第1に、時代を先取りした魅力的なまちづくりの推進です。まちづくりに求められるものが、都市の国際競争力強化やイノベーションの創出等、新たな役割に変化していることに鑑み、都市の多様性を柔軟に受け入れられる時代に即した開発手法のあり方やまちの魅力・価値向上を担うエリアマネジメントへの支援方策等を検討します。
社会の様々な課題に対応できるよう、ICT 等の新技術の活用も踏まえ、スーパーシティ、スマートシティ推進の動きに積極的に対応するとともに、安全・快適かつユニバーサルなまちづくりのために必要な方策に、官民連携して取り組んでいきます。
第2に、豊かな住生活の実現です。 良好な住宅ストックの形成に向け、性能の不十分なストックの更新を図るために、団地再生をはじめマンション建替のさらなる円滑化の方策等、質の高い新規住宅の供給に必要な取組みを行います。
そうした新規住宅の供給に関する取り組みだけではなく、良好な住宅ストックの質を長期にわたり保ち続けるため、維持保全にかかる既存の政策の総合的な見直しに向けた働きかけを行います。
また、社会の変化や多様化するニーズに対応するべく、住戸の設備や規模の見直し、高齢者向け住宅の拡充、職住近接・二地域居住への対応など、住宅やサービスのあり方を今一度検討し、規制の見直しに取り組んでまいります。
第3に、税制改正に関する取組みです。2020年度税制改正については、長期保有土地等に係る事業用資産の買換特例などの重要な期限切れ項目に加え、経済社会の変化やそれに伴う課題に対応した都市、住宅、環境等の政策推進に関連して必要な税制の検討を行い、税制改正要望をとりまとめます。そのうえで、必要な調査を行い、的確に要望活動を行ってまいります。
そのほか、持続可能な社会の形成を目指すSDGsに掲げられた諸課題を解決するために、まちづくりを通して我々が貢献できることは何かを的確に捉え、活動を進めてまいります。また、環境への取組みを引き続き進めていくとともに、事業環境の整備について、幅広く必要な活動を行っていきたいと考えています。
不動産協会としては、これらの活動を通じ、魅力的なまちづくりや豊かな住生活を実現することで、我が国経済・社会の発展に貢献していきたいと思っております。
来賓の挨拶をする石井国交相
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懇親会では、前会長の木村惠司氏(三菱地所特別顧問)が相談役に、前副理事長の小野寺研一氏(住友不動産取締役副会長)と金指潔氏(東急不動産取締役会長)が相談役にそれぞれ就任したことも報告された。
乾杯の音頭に登壇した木村氏は「70代の副理事長はわたしと金指さん、小野寺さんの3人がいたが、若い人にバドンタッチする。6歳くらい若返る。菰田体制は盤石」などと語った。
新しい副理事長には吉田淳一氏(三菱地所取締役社長)、仁島浩順氏(住友不動産取締役社長)、大隈郁仁氏(東急不動産取締役社長)がそれぞれ就任した。
木村氏(左)と金指氏(小野寺氏は欠席)
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左から三交不動産マンション事業部東京支店部長・盛田哉氏、長谷工コーポレーション常務執行役員・岡田裕氏、長谷工リアルエステート代表取締役社長・平野富士雄氏、長谷工コーポレーション取締役社長・辻範明氏、三交不動産取締役社長・高林学氏
(わが故郷の三交不動産の首都圏マンションが絶好調。売りたくとも売る物件がないとか。盛田さん、わたしだったら週に1回、出来立ての赤福3個を持って辻社長の秘書の方に付け届けをする。いい土地が仕入れられるはず)
左からJR西日本プロパティーズ取締役社長・大久保憲一氏、高林氏、森田氏
(Jプロは首都圏の開発事業に力を入れる。大久保社長、三交不動産と組んでいただきたい。三交不は東急さんにもトヨタさんにもパナソニックさんにも負けない街づくりを行っている。野球は投手を補強すればベスト4が狙える)
日本初の寺院山門と一体となった「大阪エクセルホテル東急」11月開業 積水ハウス
「積和不動産関西南御堂ビル」
積水ハウスは5月14日、真宗大谷派難波別院(南御堂)の「御堂会館」の建て替え事業に開発事業者として積和不動産関西が建築中の「積和不動産関西南御堂ビル」が2019年11月1日にグランドオープンすると発表した。
同ビルは、難波別院(南御堂)の山門を兼ねた17階建て。山門北側1~4階は難波別院(南御堂)が「御堂会館」として貸会議室・店舗などを運営、山門南側1~4階は積和不動産関西が飲食・物販店舗・医療など 7テナントに賃貸し、5~17階は東急ホテルズによる日本初の寺院山門と一体となったホテル「大阪エクセルホテル東急」(全364室)を開業する。
ホテルの開業に先立ち5月15日からWEBサイトを公開し、宿泊予約を開始する。
フラット35悪用事件 もう幕引きか 組織的な犯罪ではないのか
朝日新聞が5月4日と5日に報じてかずっと気になっていたのだが、「フラット35」を悪用して返済能力のない人に住宅を購入させていた問題について、石井啓一・国土交通大臣が記者団の質問に対して「遺憾であり、住宅金融支援機構に対し不正融資の実態の解明と対応、再発防止に向け指導を行っていく」と語ったことを5月14日付の「住宅新報」が記事にしている。
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朝日の報道では、組織ぐるみではなく個人が行ったかのような書かれ方だったが、記者は十数年前から今回と同じような「貧困ビジネス」が行なわれていることを知っている。明らかに支払い能力がない人に対して勧誘している光景を駅頭で見たこともある。
記者が知っているわけだから、多くの業界関係者の中では周知の事実なのかもしれない。
新報の記事では、住宅金融支援機構は「結果を公表する予定はない」としているので、このまま幕引きするつもりなのか。朝日の記者も個人的な行為とみなしているのだろうか。
ポラスグループ社員の池田咲紀子さん なでしこジャパンの代表に選出
池田さん
ポラスグループの社員であり、浦和レッズレディースに所属する池田咲紀子さん(26)が、6月7日から行われるFIFA 女子ワールドカップ フランス2019に出場する女子日本代表(なでしこジャパン)メンバーに選出されたと、ポラスが5月13日発表した。
池田さんは「このたび、女子日本代表に選出していただき、大変光栄です。この機会に感謝し、日本代表の誇りを持ってW杯にのぞみたいと思います。所属する浦和レッズレディース、勤務先のポラスグループ、サポーターの皆様のあたたかい応援に感謝し、この気持ちを力に変え、精一杯がんばります。応援、宜しくお願いいたします」とコメントを寄せた。
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記者は、人間を人間たらしめるのは二足歩行が可能で、手を使い道具を作ることができるからだと小さいときに教わったので、人間を否定するような手を使うことを禁じ、下手をすると頭突きによって頭脳も壊れかねない野蛮で下品なサッカーは好きではなく興味もないが、どこかにそんな野蛮な獣性が残っているのか、国際試合は夜中でも観戦し応援する。しっかり応援しよう。池田さんのポジションはゴールキーパーで、背番号は「1」というからスタメンで出場するのか。なでしこジャパンは強いのか。
トヨタとパナソニックの住宅事業統合 デベロッパーを含めた業界再編の序章か
トヨタ自動車とパナソニックの住宅事業の統合が決まった。トヨタ自動車が進めるモビリティサービスへの取り組みとパナソニックが進める「くらし」のアップデートへの取り組みを融合させつつ、街全体での新たな価値の創出を目指すもので、新しい合弁会社プライム ライフ テクノロジーズを2020年1月7日(予定)に設立。社長にはパナソニック専務執行役員・北野亮氏が就任する。
合弁会社は、両社の連結の範囲外となる見込みで、傘下のトヨタホーム、ミサワホーム、パナソニックホームズの3ブランドは残す。3ブランドの戸建住宅供給戸数は約1万7千戸に上り、国内住宅業界でトップクラスの地位を獲得する。ミサワホームは上場廃止となる。
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事業統合により合弁会社の売上高は7,972億円(2018年3月期)、住宅供給戸数は約1万7千戸となり、戸数では供給トップの積水ハウスの11,636戸(2019年1月期)を上回る。
しかし、戸数だけを比較するのはほとんど意味がない。戸数だけで言えば飯田グループホールディングスは44,275戸(2018年3月期)で積水ハウスの約4倍もあるが、売上高は1兆3,353億円で、積水の2兆1,603億円にはるかに及ばない。
積水ハウスは、全体としてパイが縮小気味の戸建住宅を住宅関連事業で補い、拡大するという長期戦略が奏功している。売上高構成は戸建住宅より賃貸住宅、フィービジネスのほうが多く、国際事業やリフォームも大きな伸びを見せており、競争が激しい分譲ママンションや都市開発事業は抑制気味だ。
売上高で積水ハウスを大きく上回る大和ハウス工業も、全体の売上高に占める戸建住宅は10%強に過ぎず、賃貸住宅、商業施設、事業施設が成長ドライバーとなっている。多角化も進めており、その他の事業セグメントも約14%に上っており、戸建て住宅を上回っている。
他のハウスメーカーも同様に、それぞれの特色を生かした事業展開で地歩を築いている。
もちろん、両社の住宅事業統合も量的拡大だけが目的ではなく、「今後の成長の柱となる街づくり事業の展開を機動的に実施できる体制を整える」(ニュース・リリース)ことにある。
しかし、この分野でも同業のハウスメーカーやデベロッパーと肩を並べるのは容易なことではないと考える。別掲に示したように、ここ数年間に見学した3社の分譲戸建ては優れてはいたが、街づくりの実績では他社にかなわない。(パナソニックのスピーカ付きダウンライトは最高に素晴らしいが)
個人的には、潤沢な資金力を生かし、再開発などの街づくりで大手の一角に食い込めば面白い展開になるとみているのだが、この事業分野もまた大手デベロッパーの独壇場となっており、ハウスメーカーでは旭化成ホームズがマンション建て替え事業で健闘しているくらいだ。当面は〝ぶら下がり〟として共同事業に参画するしかないのではないか。
分譲マンション事業の強化も難しい。大手デベロッパーの寡占化が一層進み、もはや付け入るスキはない。〝すき間〟を埋めるしかないのではないか。不動産流通事業はほとんどゼロに等しいのもワンストップで顧客のニーズに応える際にネックとなる。
その一方で、可能性を秘めるのは海外事業ではないか。これまたわが国のハウスメーカー、デベロッパーがこぞって進出しており競争は激化するのが必至だが、世界の〝トヨタ〟〝パナソニック〟のブランド力をもってすれば、互角以上に戦えるのではないか。わが国のハウスメーカーやデベロッパーを知らなくとも〝トヨタ〟〝パナソニック〟を知らない外国の人はいないはずだ。圧倒的優位に立てるのではないか。
このように見ると、戸建て事業の量的拡大は難しく、現段階では街づくりのノウハウも他社と比較して特段優れていると思えない。その弱点を補うためにはデベロッパーと手を組むしかないと考える。三井物産が合弁会社に名乗りを上げていることからも分かるように、今回の両者の事業統合はデベロッパーを含めた業界再編の序章に過ぎないのではないか。〝嫁〟にはなりたくないだろうが、新会社と手を組みたいデベロッパーは数社はあるはずだ。
ミサワホーム・トヨタホーム 小学館女性誌とコラボした「セブンデイズヴィラ」(2016/11/4)
現段階でスマートシティ№1団地 ミサワホーム「エムスマートシティ熊谷」(2014/12/24)
アットホームHD・アットホーム会長、不動産流通研究所代表・松村文衞氏が死去
松村文衞氏
アットホームホールディングス・アットホーム代表取締役会長、不動産流通研究所代表取締役の松村文衞(まつむらぶんえい)氏が2019年4月28日、虚血性心不全のため死去した。享年82歳。
葬儀・告別式は5月3日、ご遺族の意向により近親者のみで執り行われた。詳細は未定だが、後日、「お別れの会」を行う予定。
松村氏は1938年8月9日生まれ。1967年12月、ヨコハマ物件配布センター 創業。1970年8月、ヨコハマ物件配布センターに改組、代表取締役に就任。1971年2月、不動産ニュース株式会社に社名変更。1981年6月、不動産流通研究所設立、代表取締役に就任。1987年11月、不動産ニュースをアットホームに社名変更。2008年6月、アットホームホールディングス設立、代表取締役に就任。
波瀾万丈の「平成」掉尾飾る〝中央線の不死鳥〟日新ハウジング・平山喜朗社長(71)
平山氏(手前の矢車草は自身が育てたもの)
「平成」の掉尾を飾り、「令和」に繋ぐ記念すべきインタビューは日新ハウジング社長・平山喜朗氏(71)にお願いし、快く承諾していただき実現した。
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「昭和」の時代を「激動」とすれば、平成の時代は「波瀾万丈」ではなかったか。平成元年(1989年)12月に東証株価が38,915円の高値を付けた直後、平成2年(1990年)9月、バブルがはじけた。不動産業界は奈落の底に突き落とされた。
その後、平成7年(1995年)あたりから緩やかな回復が見られたが、平成20年(2008年)のリーマン・ショックにより不動産業界は再び絶望の淵に立たされた。数えきれないほどの不動産会社が市場からの撤退を余儀なくされた。
一方でグローバリズムの進展とネオリベラリズムの台頭は、それまでのモノサシは通用しなくなり、加速度的に進む少子高齢社会はいよいよ優勝劣敗の社会の到来を告げている。
平山氏の人生そのものも波瀾万丈の平成ではなかったか。バブルの危機を乗り越えたかと思ったら、平成10年、4人の子どもを独りで育ててきた母親を亡くした。起業して毎月仕送りを欠かしたことがない母思いの平山氏には相当こたえた。
その痛手から立ち直ったかに見えた平成20年、自身の胃がんの発症とリーマン・ショックの直撃だ。
「よく覚えていますよ。平成19年の忘年会でゴルフの話をしたことを。そのあと胃がんで入院し、復帰したらリーマン・ショック。社有物件を50件抱え、銀行の借り入れも約10億円。すぐ決断したのは銀行依存体質からの脱却を目指したことです。仕入れのストップと社有物件の処理と借金返済、資金回収を行った結果、業績はV字回復。4~5年の間に借金を完済し、無借金経営ができる体質に改善しました」
「これまで41年間、ずっと物件を見てきました。見る目は肥える一方です。いまも1日10件は現場を見ます。これだけは誇りですね。わたしほど物件を見る人はいないんじゃないですかね」
「苦境を乗り切ってこられた原点ともいうべきポイントは3つです。一つは集客力、もう一つは営業力・接客力、3つ目は商品・サービス力です。これを徹底する教育力も大事です。退位? 息子(猛志氏)も入社して11年。いつかは決めていませんが、(社長を)譲れる準備を着々と進めています」と締めくくった。
本社
自身が似顔絵の看板(お迎えするお客さまの名前を書き込むのだろう。これこそが接客力)
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平成20年(2008年)1月7日付の「逆風にめげず今年も新卒13名採用 日新ハウジング」の記事を読んで頂きたい。前年の暮れに同社が関係者を呼んで行った忘年会の席上で、平山社長から聞いた〝50の手習い〟のゴルフの話などをまとめたものだ。記事は「波乱万丈の人生を送ってきた平山社長を〝中央線の奇跡〟と呼ぶ」と締めている。
その直後の5月、平山氏は胃がんで入院。退院したらリーマン・ショックだ。記者は〝もうダメだろう〟と思った。奇跡は何度も起きないだろうと。
ところがどうだ。10年ぶりにお会いした平山氏は年のせいか暴飲暴食ができなくなったお陰か、メタボは改善され血色もよく、名物の〝早朝の清掃〟も欠かさないというではないか。
奇跡はまた起きた。〝中央線の奇跡〟に〝中央線の不死鳥〟の称号を追加しよう。
創業時から欠かさない6時から6時半の早朝掃除(〝日新不乱〟に行うので汗がほとばしる)
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平山氏は昭和23年1月生まれ。鹿児島県出身。早稲田大学卒。昭和53年3月、中野区で同社を創業。
以来、同社は中野区・杉並区・新宿区・練馬区の4区のエリアを中心に中古マンションの仕入販売・仲介・賃貸・リフォーム業を展開。この間蓄積したデータは約24万件に達している。
事務所のエントランス周りに設けた花壇には「田舎の庭先に自生していた、いまは花屋にも売っていない」矢車草が植わっており、たくさん花を咲かせていた。ファンが10~15人くらいいるそうで配るのだそうだ。
三井不動産 物流事業で海外初進出 第一弾 タイ バンコクで2物件
三井不動産は4月26日、タイ三井不動産を通じ、タイ バンコクの2物件の物流施設事業に参画することを決定したと発表した。
共同事業者の「Frasers Property(Thailand)Public Company Limited(以下、Frasers)」の子会社「Frasers Property Industrial (Thailand)Company Limited」と事業契約を締結。2020年に第一期開業予定。
同社グループ初の海外における物流施設事業で、総事業費は2物件合計で53 億タイバーツ(約185億円、1バーツ=3.5円)。同社グループの事業シェアは49%。Frasers社ははタイ最大級の財閥の一つであるThai Charoen Corporation Groupのグループ会社。
同社は、物流事業を東南アジアでのオフィスビル、商業、住宅、ホテルに次ぐ新たなアセットとして位置づけており、事業展開を拡大する。
「平成の終焉」⇒「平成の時代から令和の時代」変更 国交省「不動産ビジョン2030」
こんな嬉しいことはない。記者は4月2日付記事で「国交省にはデリカシー、リテラシーに欠ける『平成の終焉』をやめていただきたい」と書いたが、昨日発表された問題の「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」の「おわりに」は「平成の終焉」の文言が消え、「平成の時代から令和の時代を迎えつつあるこの機をとらえて」とあるではないか。
まさか小生のような記者の声を聞き入れてくれたわけではないだろうが、当初の「平成の時代が終焉を迎えつつある」よりは数段勝っていると誰もが思うはずだ。
〝隠蔽文書〟具体的中身示さず 週刊文春 選手村記事は〝大山鳴動鼠一匹〟の類
「週刊文春」5月2日・9日ゴールデンウィーク特大号の記事
「週刊文春」5月2日・9日ゴールデンウィーク特大号が報じた「五輪選手村マンション1500億円値引き 小池百合子隠蔽文書を入手」という賑々しい見出しの記事を読んだ。
ノンフィクション作家・清武英利氏とライターの小野悠史氏と同誌取材班が6ページにわたってまとめたもので、これまで東京都が公表してこなかった選手村用地売却に関する不動産鑑定会社による「調査報告書」の全文119ページを独自入手したとある。入手先は「(大幅値引きに)強い疑問を感じた」選手村事業関係者だとしている。
つい一昨日(23日)、メディア向けの分譲概要発表会があったばかりのタイミングの良さだ。何が飛び出すか興味津々ではあったが、読む前は、不動産鑑定のプロが作成した「調査報告書」に瑕疵など一点もなく、同紙が指摘する〝のり弁〟の部分が公表されても、不動産鑑定手法に疑義を挟む余地などないという確信めいたものがあった。
記事は、〝のり弁〟部分について「デベロッパーが儲け過ぎだと疑われたり、マンション分譲の際に不利になりそうな点を隠している」と指摘はしているものの、それが何を指すのか具体的には書かれていない。
この核心があいまいにされているので、週刊紙の常とう手段の〝見出しで釣る〟〝大山鳴動して鼠一匹〟の類の記事そのものと言わざるを得ない。(第2弾、3弾があるのか)
記事を読んでも〝疑惑〟は深まるが、消化不良に終わる可能性のほうが高いのではないか。以下、記事を読んだ率直な感想・意見を述べる。
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まず、記事全体が下品であるということだ。ノンフィクション作家の清武英利氏の名前をどこかで聞いたような気がしたので調べたら、やはりあの読売巨人軍の球団代表だった。いつからノンフィクション作家に転向されたのか知らないが、ノンフィクションの〝巨人〟佐野眞一氏も下品な「週刊朝日」の記事と剽窃で糾弾されたのを思い出した。
かくいう記者も性格丸出しの下品な記事を書くが、〝記事はラブレター〟-〝愛〟を記事に込める。だから、多少ひどいことを書いても〝あのバカ記者が書いたのだから〟と目をつぶってもらえていると勝手に解釈している。でなければ年間数十万件のアクセスがあるわけがない。
記事中に頻繁に登場する事業関係者、不動産業者、告発者、都幹部は全て匿名だ。名前が公表されたら都合が悪いのだろうが、記事の影響度を考えれば堂々と名乗るべきだ。匿名を条件に不確かなことを公言するのは卑怯だ。何をしゃべってもいい自由はまだわが国にはあるはずだ。
極めて重大で、かつ悔しかったのは「素人には理解困難な開発法」の記事部分だった。
記者も取材中に「不動産鑑定書」ではなく「報告書」にどうしてなっているのか不思議に思った。
なぜそうなったのかは、開発規模が大きく、オリンピック選手村に利用されるなどの特殊要因があるために、「不動産鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができる」(国交省ガイドライン)に添ったものと思われるが、「報告書」は「意見を述べたもの」という解釈、つまり不動産鑑定士は法律に問われる責任はなく、報告書の内容を是とした都の「保留床等処分運営委員会」の決定こそが全てになるのかどうかということだ。記者も分からない。疑問のままだ。
そして、事業関係者が「数字的にいくらでも評価額を操作できて、かつ素人には理解困難な開発法というやり方だけで価格を決定しています」とコメントしている部分は、不動産鑑定の法律そのものを否定する重大発言だと思う。この事業関係者も〝素人〟と判断するが、〝評価額を操作〟できるのが鑑定士なら、そもそもそんな資格などないほうがいいではないか。
一つだけ、よくぞ書いてくれたという部分もある。「敷地譲渡契約締結後、東京都の事由により事業計画を変更する場合及び特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議するものとします」という譲渡契約書を引用し、この「特別条項」を行使すべきと書いている部分だ。
これには賛成だ。記者は記事にも書いたが、「HARUMI FLAG」はレガシーマンションにふさわしい基本性能・設備仕様の高さだと判断した。ありえないことだが、立地条件、土地値の安さ、戸数の多さなどを考慮せずそのレベルだけを評価すればいまの坪300万円台、400万円台の物件よりはるかに優れていると思う。しかし、土地代の安さを価格に反映しないのは納得できない。
文春記事にも出てくる鹿島建設「勝どき ザ・タワー」、住友不動産「ドゥ・トゥール」、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス晴海タワーズ」、三井不動産レジデンシャル「パーク・タワー晴海」なども記事を添付したので読んで頂きたい。これらのマンションと比較しても、今回の「HARUMI FLAG」は質では負けないと断言できる。
文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価300万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24)
「HARUMI FLAG」土地代の安さ 価格に反映を 坪250万円が妥当と考えるが…(2019/4/21)
三井レジ他「パークタワー晴海」「有明」と競合必至 価格はいくらになるか(2017/4/26)
「驚きの次元が異なる」鹿島建設他「勝どきザ・タワー」(2014/4/18)
住友不動産 晴海のツインタワー「ドゥ・トゥール」来春分譲へ(2013/11/22)