埼玉県 緑被率最低0.04の蕨市とワースト4の0.18の戸田市で異なる街路樹の量と質
写真①(左側が「KITATODA SOLID」の建設現場)
タカラレーベンが分譲中の埼京線「北戸田駅」圏3物件を見学した。駅から徒歩12分「KITATODA ATOMOS」72戸、駅から徒歩9分「KITATODA LUMINOUS」33戸、駅から徒歩7分「KITATODA SOLID」36戸だ。いずれもよく売れているのだが、面白いことに、この3物件の所在地は「ATOMOS」がさいたま市、「LUMINOUS」が戸田市、「SOLID」が蕨市と全て異なる。行政界が異なることで価格、購入者にも微妙な影響を与えているのだが、3物件の現場を歩いて、街並みの違いにも気づいた。その量と質の違いから先に書く。
写真②(左の「KITATODA SOLID」側と道路を挟んだ対面の街路樹の樹種が異なるのか剪定前なのか)
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西武池袋線秋津駅は、駅そのものが東京都と埼玉県の都県またぎになっており、さらに東村山市、清瀬市、所沢市の3つの市境にもなっているのはよく知られているが、今回の「北戸田」駅もよく似ているのはまったく知らなかった。
3物件間の距離はそれぞれ歩いて10分前後か。道に何度も迷い、休憩を挟みながら歩いたために2時間くらいかかり、万歩計は1万歩を軽く超えた。
戸田市の「LUMINOUS」、さいたま市の「ATOMOS」の見学を終え、最後の「SOLID」に向かう途中、行政界が変わったためか、街路樹に明らかな変化が表れた。
写真①②③は、敷地東側と南側に都市計画道路が走っている「SOLID」の東側道路の南北に伸びる錦町富士見線の街路樹を写したものだ。コンクリートの植栽マスにサツキツツジとは異なる低木が植えられており、その上に丸く剪定されたサザンカが植えられていた。
冬場に美しい花を咲かせるサザンカは歩道や垣根などにはよく用いられるが、街路樹として植えられているのを見たことはない。垣根などで見る樹高はせいぜい2~3mだ。樹形も面白く、葉っぱは丸く剪定されていた。
このような街路樹もありかと不思議に思いながら、道路を右折した。「SOLID」の所在地は蕨市だが、敷地のすぐ裏に戸田市との市境が走っており、敷地南側は東西に伸びる蕨中央通り線だ。
これまた不思議なことに、錦町富士見線には先に紹介したサザンカの街路樹が植わっているのに、蕨中央通り線の蕨市の中心街に向かうところには最近植えられたような〝貧弱〟な街路樹しかないことだ。(写真④)
ところが、数十歩も歩かないうちに、だしぬけに立派なブルーパシフィックと思われる地を這う樹木とカツラの街路樹が目に飛び込んできたる。(写真⑤)
行政界が異なるといってしまえばそれまでだが、街並みの連続性は無視されていた。
写真③
写真④(蕨市側)
写真⑤(戸田市側)
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これまで埼玉県の貧しい「緑」環境については戸田市、三郷市、越谷市、八潮市、白岡市などを記事にしてきた。県の「緑の量と県民意識の相関関係の調査」の市町村別緑被率によると、前段で紹介した蕨市は0.04で圧倒的な最下位だ。以下、ワーストランキングは0.11の草加市、0.15の川口市、0.18の戸田市となっており、さいたま市も下から13番目の0.37となっている(県平均は0.67)。
緑被率の低さは住民の緑の満足度にもストレートに表れており、最低が八潮市で草加市-蕨市-桶川市-川口市-越谷市-戸田市-久喜市などとなっている。
ところが、不思議なもので、蕨市民のアンケート調査では環境に対する満足度は高く、「公園や街路樹等の緑が豊か」とする意見が176 件(有効回答573件)ともっとも多く、「公園や緑の不足」を指摘している人は15件しかない。
県と蕨市のアンケート調査結果がこれほども差が出るのかはともかく、市が行った事業者アンケートでは、環境に配慮した取り組みを実施する上での問題点として「手間や時間がかかる」が42.4%、「費用がかかる」が39.4%もあったのは残念だ。
「緑」に関する意識の差なのだろうが、蕨市、戸田市、北戸田が最寄り駅のさいたま市南区には第一種も第二種も低層住居専用地域は1か所もない。アルヒ「本当に住みやすい街大賞2020」第1位の川口にも、川口駅から徒歩圏には低層住居地域はない。逆に、これらの市には工業系用途地域はかなりの比率を占める。
住宅地として人気が高い東京都世田谷区と比べてみよう。同区の用途地域は、第一種低層住居専用地域が全体の51.3%を占め、第二種低層住居専用地域の1.5%を合わせ52.8%が低層住居専用地域で、その他の住居系を合わせ実に91.3%を占める。商業地域は7.7%で、工業系は1.0%にしか過ぎない。緑被率は平成28年度時点で23.56%。同市は2032年度までに33%を目指している。
区は2018年から都市緑地法に基づく緑化地域制度を導入しており、建ぺい率60%地区の敷地面積300㎡~500㎡には10%以上の緑化率を、敷地面積150㎡~200㎡未満には中木3本の植栽をそれぞれ求めている。
蕨市はどうか。同市の開発指導要綱では、500㎡以上の開発行為に対して事業区域の5%以上の緑化を求めている。つまり世田谷区の半分だ。
緑の多寡が街のポテンシャルを大きく左右する。埼玉県には県を挙げて緑化に取り組んでほしい。
〝都心に戸建てを〟オープンハウス 〝一家に1本の樹を〟プロジェクト始動(2021/6/15)
貧弱な戸田市の緑・街路樹 市民の満足度が上がらないのは行政の責任(2012/3/13)
街路樹比較 戸田市は35人に1本 多摩市は15人に1本の割合(2012/3/14)
続々「街路樹が泣いている~街と街路樹を考える」 支離滅裂の「新三郷」(2014/10/24)
続「街路樹が泣いている~街路樹と街を考える」流山と越谷、三郷の差(2014/10/17)
貧しい街路樹 低い緑被率 「緑」に対する市民の不満率44% 「八潮らしさ」を考える(2020/2/15)
樹齢30年以上 戸建てより低く〝伐採〟された「白岡ニュータウン」のケヤキの街路樹(2016/4/27)
コロナ感染経路不明6割超はなぜ/高齢者の感染割合低下くっきり
新型コロナの緊急事態宣言期限の6月20日まであと3日となった。政府は、沖縄を除く他の都府県の宣言を解除し、まん延防止等重点措置に切り替えると伝えられている。記者が気掛かりなのは、感染経路不明比率がこのところずっと6割を超えていることだ。
6月8日(火)から6月15日(火)の8日間の東京都の感染者は3,000人で、このうち感染経路不明者は1,927人、経路不明比率は64.2%に達している。国の基準では「感染者が急増」「医療供給体制に支障」段階のステージⅢに該当する。
経路不明比率は、大阪府が60%を超えるなど他の道府県でも上昇傾向にあり、気になる材料だ。その理由は、感染率が高いとされる変異株の影響なのか、あるいは感染症対策業務に追われている医療・介護現場や保健所が疲弊しているためか、積極的疫学的調査に限界があるのか、厚労省はきちんと説明すべきではないか。
この問題について考えるヒントを日本看護協会が与えている。同協会会長・福井トシ子氏は4月23日、国民と同協会会員向けに発信したメッセージの中で、医療・介護現場からの「悲痛な叫びに胸が締め付けられる」「(医療・介護現場は)限界に近付いている」と語っている。
また、同協会は令和4年度税制改正要望の中で、看護職員は2人にひとりの割合で何らかの暴力・ハラスメントを受けており、さらに労災支給決定事案のうち看護師の精神障害割合が高く、そのほとんどが女性で約半数は30代以下としており、ストレスの要因は患者からの暴力や悲惨な目撃が8割、発生時刻は深夜が多いと、深刻な勤務環境の改善を求めている。
経路不明比率が5割を割らないのは、このような保健所を含めた過酷な医療・介護現場の労働環境にもあると思わざるを得ない。
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高齢者のワクチン接種が進むにつれて感染者に占める高齢者の感染比率が低下傾向にあるなど、光明も見えてきた。
別表・グラフに70歳以上の感染者と感染比率を示した。これによると、5月下旬までの比率は10%前後で推移していたが、6月に入ってからは7%を割る日が多くなっている。今後は職域接種の効果も期待できそうだ。
大和ハウス 森林破壊ゼロに向けた4つの方針決定
大和ハウス工業は6月16日、同社の環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」の実現に向けた新たな取り組みとして、森林破壊ゼロの達成に向けた4つの木材調達の方針を策定したと発表した。
今回策定したのは、①森林破壊ゼロの方針を策定しないサプライヤーからの木材調達は原則禁止②人権問題に関する方針を策定しないサプライヤーからの木材調達は原則禁止③トレーサビリティが確保された木材のみを調達④これまで木材調達調査の対象としてきた構造材や下地面材、桟木、フロア材に加えて、型枠合板パネルや主要設備、建具、クロスも追加-の4項目。
同社は2010年10月、森林破壊ゼロに向けた木材調達の取り組みを開始。森林管理の国際機関による認証を受けた木材や再生木材などの利用を推進しており、同社グループの評価基準に基づくSランクの木材比率は2019年度には約94%まで向上している。
「Challenge ZERO 2055」では、創業100周年となる2055年までにグループ、グローバル、サプライチェーンを通じて「環境負荷ゼロ」の実現を目指しており、2030年までに建設する建物における木材の調達に伴う森林破壊をゼロにし、2055年までに全事業における材料調達による森林破壊を根絶することを目指している。
われわれはAIにひれ伏すのか SREのAI査定価格と成約価格比較レポートに疑問
ソニーグループ発のSREホールディングスが経済産業省と東京証券取引所の「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021」のグランプリに日立製作所とともに選定されたことを一昨日紹介した。名だたる大企業を抑えてわが業界からグランプリを獲得したのはとても嬉しいのだが、この会社のことはいま一つよくわからないところがある。
同社は選定発表の3日前の6月4日、「首都圏の駅別中古マンション価格騰落率を調査」と題するニュースリリースを発表しているが、これが実に不可解。なんだかAIに翻弄・嘲笑されているようで気分がよくない。不動産流通業は労働集約的な業種だと思っていたが、AIが幅を利かす時代に突入したのか。
調査は、駅から徒歩15分以内、築5~15年、専有面積50㎡以上、間取り1R以外という条件を設定し、2020年1~3月の中古マンション成約価格と2021年3月末時点での不動産価格推定エンジンを用いたAI査定価格を70㎡換算して比較し、その騰落率を算出したというものだ。
ランキングとして発表されているのは首都圏175駅圏で、調査は住宅評論家の櫻井幸雄氏と共同で企画し、調査結果の分析を同氏が行ったともある。
このレポートを読んで疑問に思ったことがある。レポートには「中古マンション成約価格」の元データに関する説明がないことだ。同社の企業規模からして首都圏175駅圏の成約価格を得ることは不可能なはずだし、同業から異端児扱いされている同社が他の大手不動産流通会社から成約価格の情報提供を受けることなどもありえない。成約価格の元データを明らかにしないのは調査レポートとして体をなさない。
記者は、成約価格はレインズ情報によると推測するのだが、レインズは「レインズから取得した成約情報は、購入や売却等を検討する顧客に対して取引価格を設定する場合の『意見の根拠』としてのみ明示することができる」としており、成約情報を広告・宣伝などに利用することを禁じている。レポートは広告・宣伝ではないにしろ、釈然としないものを感じる。
さらに腑に落ちないのは、成約価格とAI査定価格を比較することの可否だ。AIであろうと宅建士であろうと査定価格をいくらにするかは勝手だろうが、それと成約価格を比較することの意味はどこにあるのか。業界では成約価格より査定価格が1~2割高くなるのは常識だ。むしろ、中古市場が好転していることを考えれば、騰落率が100%以下の駅圏が47もあるのが不思議だ。
ランキングとして発表されている具体的な駅圏についても触れてみよう。
同調査によると、騰落率が139.9%でトップの西武池袋線ひばりケ丘の成約価格は3,376万円(坪単価159万円)で、AI査定価格は4,723万円(坪単価223万円)となっている。
ひばりケ丘駅圏の成約価格が坪159万円というのは〝安い〟と感じなくもない。同駅に限らず西武池袋線は新築も中古も他の沿線に比べ〝割り負け〟していると記者は思っている。
一つ例示する。2007年に分譲された駅前の西武不動産販売他「ひばりタワー」322戸だ。記者は当時、各地のタワーマンションが相次いで高値を更新していたのを考慮し、坪単価は300万円前後と予想したが、実際に分譲されたのは坪285万円くらいだったはずだ。高額住戸は完売までかなり時間がかかった。
いまこの「ひばりタワー」をAIに査定させたら坪250万円くらいではないか。しかし、平均坪単価223万円というのはありえない価格ではないか。
もう一つ、西武池袋線と同じように〝割り負け〟が著しいわが京王相模原線の京王多摩センター駅圏はどうか。レポートでは、成約価格は3,804万円(坪単価179万円)で、AI査定価格は3,701万円(坪単価174万円)となっており、ランキングでは156位だ。
駅近の免震「ザ・パークハウス 多摩センター」は「ひばりタワー」に負けない坪250万円くらいで、街のポテンシャルは多摩センターのほうが上だと思うが(もちろん異論もある)、AI査定価格はひばりケ丘駅が坪223万円で、京王多摩センターは49万円も安い174万円なのか。AIに〝根拠を示せ〟といえば答えてくれるのか。
ランキング2位の日暮里駅のAI査定手価格7,566万円(坪単価357万円)というのは新築並みの価格だ。これもあり得ない。
同社のホームページには「業界最高水準の精度を誇るAIが、人間では処理できないほどの大量なデータや様々な条件から売却の推定価格を算出します」とある。
その結果、今回の査定価格がはじき出されたとしたら、われわれには反論の余地はないのか。DX銘柄審査員は同社を「破壊的なビジネスモデル」と絶賛した。われわれはAIにひれ伏し、盲従していいのかというひねくれ根性が頭をもたげてくる。
そういえば、「DX注目企業2021」(カスタマーケア部門)に選定された東急不動産ホールディングスの東急リバブルは同社の「投資用区分マンションAIマッチングシステム」が「営業経験5年以上の担当者が行う物件選定と遜色ないレベルを実現したと発表した。同業他社も含めAI同士、さらに宅建士を交えて戦ったらどこが勝つのか、雌雄を決してほしい。小生が知るRBA野球関係者の宅建士はAIに絶対負けないと信じる。
DX銘柄2021グランプリ 日立製作所とともに不動産業のSREホールディングス(2021/6/8)
ヤフー&ソニー不 〝マンション流通革命、はじまる。〟サービス開始(2015/11/5)
東急リバブル 営業職5年以上と遜色ない物件選定AIマッチングシステム開発・稼働(2021/3/31)
「サ高住の最高峰 浜田山」を超える 三井不動産 36階建て421室「西麻布」着工
「(仮称)パークウェルステイト西麻布計画」
三井不動産レジデンシャルは6月7日、同社のサービス付き高齢者向け住宅シリーズ「パークウェルステイト」初の都心立地の最高峰フラッグシップ物件「(仮称)パークウェルステイト西麻布計画」を5月31日に着工したと発表した。2024年秋の開業を予定している。
物件は、港区西麻布4丁目の敷地面積約約7,018㎡、36階建て延べ床面積約45,977㎡。居室数は421室(一般居室361室、介護居室60室)、専用面積は約39~約142㎡台。着工は2021年5月、竣工予定は2024年夏。設計・施工は大林組。外観デザインは日建ハウジングシステム、ミサワアソシエイツ一級建築士事務所、インテリアデザインは日建スペースデザイン、外構デザインはSWA Group、照明デザインはシリウスライティングオフィス、介護・看護パートナーは東京海上日動ベターライフサービス、医療連携は医療法人社団慶永会。
計画では、港区西麻布四丁目の視認性高い立地に位置した36階建て総居室421室の大規模シニアレジデンスにふさわしい品格のあるデザインに加え、六本木通りに面して常緑樹を多く植栽するなど周辺環境にも配慮し、共用空間にはラグジュアリーホテルのようなロビーラウンジやライブラリーなどを配置、約2,200㎡のプライベートガーデンも整備する。
また、最上階の2層吹き抜けダイニングでは、有料老人ホームとしては初めて帝国ホテルに調理・サービス提供を委託する予定しているほか、慶應義塾大学病院と連携したクリニックの開設をはじめとする医療・介護サービスを行う。
再生可能エネルギー活用などのCO2 排出量削減対策や非接触型セキュリティなどを導入して感染症対策にも取り組む。
このほか、「パークウェルステイト」は、2019年に開業済みの「浜田山」(東京都杉並区)のほか、「鴨川」(千葉県鴨川市)「千里中央」(大阪府豊中市)「麻布計画」(千葉県千葉市)が2024年秋までに開業する予定。
水景
ダイニング
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同社のサービス付き高齢者向け住宅第一弾「パークウェルステイト浜田山」を見学している。見出しに〝サ高住の最高峰〟と書いたが、「西麻布」は立地条件やサービス内容からして賃料は「浜田山」を上回るのは間違いない。「最高峰」を超えるものにふさわしい見出しは見つからない。「雲上」しかないのか。
設備仕様レベルについては「浜田山」が参考になるはずで、そちらの記事を参照していただきたい。
サ高住の最高峰 月額賃料は約94万円(59㎡) 三井不レジ「浜田山」竣工(2019/5/29)
男1:女0.8 就労人口比と符合/70代の感染率低いのはなぜ 東京都のコロナ感染者
記者は昨年5月、新型コロナ感染者の経路不明が減らないのは〝闇社会〟〝二重就労〟が背景にあるのではないかと記事にした。さらに11月、経路不明が減らないことに関し、就労環境やジェンダー性差が浮かび上がっていると書いた。
双方にアクセスが殺到した。6月4日現在、前者は約6.5万件、後者は2件で約7,000件に達している。東京都のデータは大雑把すぎ、記事の成否はよくわからないが、それほど的を外していないという確信はある。
そして今回、〝就労〟の視点からもう一度眺めた。興味深い結果が得られた。
別表・グラフは、東京都の6月4日現在の累計感染者を年代別・性別にみたものだ。これによると、感染者は累計162,874人(性別・年代不明者除く)で、男性は約9.1万人、女性は約7.2万人だ。男性を1とすると女性は0.79となっている。海外の感染者の男女比データは少ないが、WHOは男女比をほぼ1:1と報告していたので、都の差異が際立っている。
なぜか。コロナは、性別はもちろん老いも若きも愚者も賢者も富者も貧者も〝平等〟に襲いかかるとすれば、「三密」のリスクの多少が数値に現れると仮説をたてた。つまり、就業構造の違いが反映されているのではないかと。
総務省の調査によると、わが国の2019年の生産年齢人口は11,057万人で、就業人口は男性が約3,700万人、女性が約2,967万人だ。男性のほうが約733万人多い。比率的には男性を1とすれば女性は0.80だ。この就労人口の差は感染者の比率と見事に一致する。
年代別での男女の比率では、10歳未満、20代、70代が1:0.90~0.92となっているのも、就労しているかどうかで説明することができそうだ。10歳未満は社会的性差が顕著に表れる以前なので男女比にそれほど差が出ないのは当然で、70代も一部の職業を除き退職している人が多数派を形成することから、男女比に差は生まれないという説明が出来そうだ。
逆に、20代に大きな差が見られないのは、男女とも学生か就労しているかのどちら同じ生活環境にあると考えれば説明は容易だ。
就労しているかどうかを重視すれば、20代の感染者が多い理由を〝夜の街〟だとか〝路上飲み〟だとか〝無軌道〟な若者の行動とコロナ感染を結びつけるのは早計に過ぎるのではないか。
記者は昨年11月、都のデータから年代別・性別の職業を調べたことがあるが、圧倒的に多い「不明」と会社員、学生を除けば、20代の職業は飲食業、医療従事者、接客業、サービス業が目立った。雇用形態を示すパート・アルバイトも少なくなかった。三密のリスクが高い職業やいわゆるエッセンシャルワーカーが多いということだ。
こうした現状を踏まえず、単に〝自粛〟を求めるだけでは若者の心に響かない。逆効果にもなりかねない。
30代から60代の男女比は1:0.61~0.70と女性の比率が低いも注目される。これは、結婚、育児、その他介護などで離職する女性が多数存在することと無関係ではないはずだ。(男性のようなばかな飲み方をせず、危険を察知する能力にたけ、手洗いなどをまめにする賢い女性が多いのも否定しないが)
もう一つ、興味深いのは70代の男女比の比率が20代とほぼ同じで、人口10万人当たり感染者(率)が649.7人と10歳未満の417.6人に次いで低いことだ。
これはなぜか。前述したように男女とも退職した人が多いからだろうが、果たしてそれだけだろうか。徹底してコロナから逃げてはいるが、社会からも逃避する生き方にどっぷりとつかっている小生のような団塊世代の特性を表してはいないか。
減らない感染者・経路不明 ジェンダー性差くっきり 都の新型コロナ動向データ(2020/11/5)
三菱地所レジ 「Reビル事業」初のホステルにコンバージョン「大濠公園」開業
リノベーション後の建物
三菱地所レジデンスは6月4日、中小ビルを再生して賃貸する「Reビル事業」初の宿泊施設へのコンバージョン物件「ザ・パークレックス大濠公園」のリノベーションを完了し、FIKAが西日本エリア初進出となるホステル「UNPLAN Fukuoka」として6月5日(土)にオープンすると発表した。
物件は、福岡市地下鉄空港線大濠公園駅から徒歩1分の敷地面積約417㎡、5階建て延べ床面積約1,667㎡。客室はドミトリー62床、POD72床、個室15室。設計監理はアンド・エー。ホステル運営はFIKA。
物件オーナーのブルーミング中西から三菱地所レジデンスが賃借し、リノベーションを施したのちFIKAに転貸。FIKAが運営するもの。建物の1階にホステルのフロントのほか、カフェや店舗を備えている。
2階から5階に客室としてドミトリー、シングルPOD、個室(ツイン、ダブル、和室、4人部屋)を設置。3階・4階には男女別々のシャワー・洗面室を用意。5階には宿泊客が利用できるラウンジを設けている。
ドミトリー
2ベッドルーム
コモンルーム
◇ ◆ ◇
オフィスをホテルにコンバージョンする例はこれまでもかなりあるようだが、記者はこの前、逆にホテルをオフィスに転換したサンフロンティアスペースマネジメントの「Order Made Space 西新宿」を見学した。
ワクチン接種の効果歴然 直近1週間の70歳以上の感染者 昨年末より半減
東京都の新型コロナワクチン接種が本格的に始まってからほぼ半月が経過した。メディアによると約311万人の65歳以上の接種率は約20%の段階ではあるが、感染者の推移からはその効果が表れていることが分かる。
別表・グラフは、昨年12月8日から12月14日と、今年5月28日から6月3日までのそれぞれ1週間の感染者の数値を比較したものだ。これによると、昨年12月の1週間の感染者は3,532人で、70歳以上の感染者は402人で、全体に占める割合は11.4%となっている。
一方、直近1週間の感染者数は3,327人で、70歳以上の感染者は7.2%に当たる238人となっている。12月と比べ感染者は約200人少なく、単純比較はできないにしろ、ほぼ半減している。とくに90歳以上は12月の55人から18人へと大幅に減少している。
ワクチン接種が加速すれば、感染者は確実に減少するはずだ。オリンピックが始まるころには感染者が激減することを期待したい。
東急不・京急電鉄 泉岳寺駅直結の再開発で東京都と基本協定
東急不動産(代表企業)と京浜急行電鉄で構成されるコンソーシアムは6月3日、泉岳寺駅前の東京都施行の「東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業」の特定建築者として東京都から選定され、基本協定書を締結したと発表した。
事業地は、都営地下鉄浅草線・京急本線泉岳寺駅直結、港区高輪二丁目に位置する敷地面積約5,124㎡。建物は30階建て延べ床面積約110,644㎡。主要用途は住宅(約350戸)、業務施設、商業施設、駅舎、駐車場など。2023 年4 月頃 建築工事着手は2023年4月ころ、工事完了は2028年3月ころ。
計画では、JR 山手線・京浜東北線高輪ゲートウェイ駅への歩行者デッキに接続する予定で、エキマチ一体の街づくりを進める。住宅は分譲か賃貸かは未定。
新オフィスブランド「クロスシービル」第一弾「東日本橋」 コスモスイニシア
「クロスシー東日本橋ビル」
コスモスイニシアは6月3日、働き方・暮らし方の「多様性」と建物の「機能性」・「快適性」を追求した中規模の新築オフィス・商業ビルの新ブランド「cross-c bldg.(クロスシービル)」の第一弾「クロスシー東日本橋ビル」の報道陣向け案内会・内覧会を行った。
物件は、都営浅草線東日本橋駅から徒歩4分、JR総武線快速馬喰町駅から徒歩4分、中央区東日本橋二丁目の商業地域に位置する敷地面積約455㎡、8階建て延べ床面積約2,438㎡。オフィス区画数は8区画、面積は約160~278㎡。竣工は2021年4月。設計・施工は大豊建設。
現地は、オフィスやマンションなどが建ち並ぶエリアの一角で、隅田川に近接していることから、中層階以上は東側方面にスカイツリーなどの眺望が望める。
「cross-c bldg.(クロスシービル)」は、つながる〝場〟をコンセプトに、Kenmaデザイン監修のもと「多様性」「機能性」「快適性」を追求した空間デザインとしているのが特徴。奥行約3m×8mの多目的に利用できる大型テラスを設置し、屋上はアクティブレスト仕様のフィットネス空間としている。
1~3階の天井高を約3.4m確保し(4階以上は2.7m)、天井には型枠材と仕上げ材を兼ねたトドマツ(1階)カラマツ(2階)スギ(3階)を採用。廃材を減らし、環境負荷低減も実現している。
このほか、非接触式エレベーターボタン、共用部の円形ファブリック素材、ポッティング加工のピクトサイン、立てかけ式のDAIKEN製自転車置き場(7台)などを採用・設置している。
「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費するエネルギーをゼロにすることを目指した建物に認証される環境省「ZEB Ready」を取得している。
「cross-c bldg.(クロスシービル)」ロゴとエントランス
テラス
屋上テラスと案内図
ぶら下がって見せる同社担当者(逃げ出したサルではありません)
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1~3階の天井に本物の木を採用しているのがいい。マスク越しでも木の香りをかぐことができた。スギやカラマツはこれまでもたくさん見学しているが、トドマツは初めてだった。
ネットで調べたら分布は北海道に限られており、加工は容易で住宅では柱や板に使用されているとある。色調は、赤みがかっているアカマツと異なり白褐色だった(使用する部位にもよるのか)。
24㎡(7.3坪)の木調デッキを敷き詰めたテラスがまたいい。季節にもよるが、このような空間で仕事をすれば能率も上がるのではないか。
上層階の眺望がいいので、オフィスとマンションの混合はどうかと質問したら、建築基準法や消防法の規制が多く、コスト的に難しいとのことだった。下層階で仕事をし、上層階に住むというのは最高に素晴らしのではないか。
3階の天井(使用されているのはスギ)
立てかけ式の自転車置き場(奥行きが狭くても置けるのがミソか)