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「剛木造 超断熱の家 プレミアム」(左)「剛木造 超空間の平屋」

 AQ Groupは7月22日~8月17日まで、「45周年・夏の大感謝祭フェア」を開催し、新商品の断熱等級7をクリアした「剛木造 超断熱の家 プレミアム」とLDK30帖、天井高2.8mの「剛木造 超空間の平屋」を合計200棟限定で先行販売する。

 断熱等級7(地域区分6地域、UA値≦0.26)の「剛木造 超断熱の家 プレミアム」は、オリジナル耐力壁「8トン壁」などを使用することで実現したもので、価格は「AQ地震建替保証」付きで、3LDKの間取りを1,610万円(税抜)~。

 「超空間の平屋」は、同社オリジナル「剛木造」のS&I設計(スケルトンインフィル設計)によりLDK30帖の無柱・壁の大空間を天井高2.8mで実現。価格は、「AQ地震建替保証」付きで、3LDKの間取りで1,590万円~(税抜)。

 フェア期間中は、最大1,000万円の最新設備などが当たる抽選会を開催する。抽選日は8月19日(土)、当選本数は45本。

 

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 ケイアイスター不動産は7月7日、規格型平屋注文住宅「IKI(イキ)」に新たな太陽光発電プラン「IKIのいきいきソーラー」を搭載したプランを同日から開始したと発表した。

 グループ会社IKIがシャープのグループ会社シャープエネルギーソリューションの設備を導入することで、平屋のメリットを生かし、電気代の高騰、自然災害リスクに対応するもの。

 プランは、太陽光パネルのみを利用する初期費用・メンテナンス費用が0円、サービス料金(月額)ガス併用住宅:3,960円(税込)/オール電化住宅:4,950円(税込)のベーシックプラン「COCORO POWER ソーラープラン」(契約期間13年、期間終了後は太陽光発電システムを顧客に無償で譲渡)のほか、太陽光パネルと蓄電池がセットになったサブスクプラン「COCORO POWER ソーラー蓄電池プラン」、設備を購入し太陽光パネルのオーナーとして自家発電をスタートできるオーナープランを用意。

 電気代はこの2年間で5割近く上昇しており、2023年6月からさらに値上げされている。政府の激変緩和措置が終了する秋以降は電気代が家計を圧迫するのは必至とみられている。平屋は広い屋根が確保でき、大容量の太陽光パネルの搭載が可能なメリットがある。

 

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Make Full

 住協ホールディングスは71日、「住みこなせる家/住みこなせる町」をテーマに、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授・大月敏雄氏、東北工業大学講師・東京大学客員研究員でDOG一級建築士事務所代表取締役・齋藤隆太郎氏とコラボレーションして開発した実験住宅「Make Full」のメディア向け完成お披露目会を開催した。

 「Make Full」は、家族構成、年齢、働き方に応じて柔軟に対応できる変幻実在の家を実現したもので、〝make full use of(つかいこなす)〟の意が込められている。子育てを終えて居室が空いた場合などには自宅兼事務所、家庭文庫、レンタルスタジオ、音楽教室、アトリエ、ネイルサロン、レンタルスペース、自宅兼美容室、ホームシアターへの転用も可能だという。(1低層ではあるが50㎡以下であればこれらの用途利用も可能)

 お披露目会で同社取締役・宇野健一氏は「大月先生とは10年前かご縁があり、コロナ禍などの環境変化にも対応でき、住みこなし、使いこなせる住宅をテーマに昨年1月から共同研究を行ってきた。その成果として今回の建物を完成させた」と述べた。

 大月氏は「20年前から戸建て団地の研究を行ってきた。子育て世代が10年後、20年後、30年後も長期にわたって住みこなせ、街とつながっていける新しい戸建てが開発できないかと住協さんと共同研究してきた」と話した。

 設計など実務を担当した齋藤氏は「建築家の独り歩きではなく、デザインなど意匠も含めて住協さんのルールに基づいて設計した。大月先生、住協さんとは階段のカラーリングや屋上、断熱性、シャッターは必要か不必要化など細部まで徹底して論議した」と語った。

 物件は、西武池袋線「大泉学園」駅からバス11分バス停徒歩4分、都営大江戸線「光が丘」駅からバス10分バス停徒歩4分、練馬区大泉町1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全4戸。分譲対象は3戸(残り1戸は同社がモデルハウスとして当分利用する予定)で、土地面積は110.48111.42㎡、建物面積は88.0589.43㎡、価格は6,380万~6,580万円。建物は完成済み。

 全4棟のうちB号棟(土地面積110.48㎡、建物面積92.2㎡)がモデルハウスに充てられており、1階がLDK、トイレ、洗面、浴室など、2階が主寝室(7帖)、居室(5.25帖)、トイレ、スタディルーム、収納など。このほか主な特徴は屋内エレベーター(他の住戸は内階段方式)外階段2階にキッチンなど水回りを設置できる下地処理-など。

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左から齋藤氏、大月氏、宇野氏

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大月氏(左)と齋藤氏

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〝構造梁で懸垂ができるのではないか〟と話したら齋藤氏はやってのけた(2階の主寝室、天蓋もいいかも)

          

 同社の分譲戸建てを見学するのは「グランシア三芳」(364区画)以来約20年ぶりだ。現地に着いたとき、その外観を見て面食らった。分譲戸建てだろうということはすぐわかったが、4棟ともエントランスに外階段がついていた。そして、4棟とも2階建てでああるのに搭屋のようなものが突き出ていた。二世帯住宅か賃貸併用住宅かと思った。

 実際は上段に紹介したとおりだ。コンセプトが見事に具現化されている。建具・家具はドアノブを含めて白で統一、床のフローリングは挽板、外階段は金属音が響かないように下地にモルタルを使用し、色落ちしない仕上げにしているとか、搭屋は〝行燈〟をイメージして窓の形状を変えるなど細部にわたってこだわりがみられる。設備仕様面では、窓には敢えてシャッターを設けないなどコストの抑制も図っている。難点といえば、建ぺい率が50%であるからか、建物面積がやや狭く、窮屈な感じがすることだ。

 この種の戸建て住宅は他にあるか考えた。小田急バスとブルースタジオの賃貸コラボ施設「hocco(ホッコ)」を思い出した。

 さて、ここで同社と大月先生に提案だ。100年後も住み続けられる、住みこなせる「実験住宅」がコンセプトなのだから、これはもう大月先生が有償か無償かはともかく、13年はB号棟に住み、賃借人は社会人だろうが学生だろうが、何の制約も設けず応能家賃制にして賃借人と同居していただきたい。「セーフティネット住宅」の要件を満たすかどうかは分からないが、賃料を安くする代わりに執事、あるいは弟子(齋藤氏は教え子)、書生、家政婦として酷使し、たまには酒席を設け「住みこなし」について蘊蓄を垂れるというのはどうか。希望者が殺到するのではないか。そして、その顛末を論文として発表していただきたい。〝一石三鳥〟ではないか。

 大月先生は73日に行われる国土交通省などの「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(第1回)の座長を務める。「Make Full」については触れないと思うが

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現地の西側は神社に隣接

爛漫の春満喫 「hocco(ホッコ)」イベントに1000名超 小田急バス×ブルースタジオ(2022/4/2

出来すぎだ!焼杉! 見どころ多い小田急バス×ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」(2021/10/7

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 住友不動産、東京大学大学院新領域創成科学研究科(清家剛教授)、武蔵野大学工学部サステナビリティ学科(磯部孝行講師)の3者は6月15日、省資源・省CO2工事を施した住宅改修は、戸建ての新築建て替えよりもライフサイクル脱炭素を早く達成可能であるとする研究成果を発表した。

 研究は、2050年カーボンニュートラル達成、家庭部門における脱炭素実現のためには、新築より省エネ性能が劣る物件が大半を占める既存住宅の改修に伴う環境評価手法の確立が欠かせないとし、部分リフォームからまるごとリフォーム(全面改修)まで幅広い施工実績を有する同社の協力のもと、2021年12月から両大学が開始していた。

 2022年6月に発表した第1フェーズの研究成果では、戸建住宅の施工時資源投入量・廃棄物排出量に係るCO2排出量を、「建て替え」と「改修」で比較した場合、改修の排出量は47%削減されることを実証している。

 今回の発表した第2・3フェーズでは、断熱等級4、ZEH相当の設備性能太陽光パネル約7.5kWを積載した全面改修は、約35年でライフサイクル脱炭素を達成することが可能で、新築建て替えより約10年早いことを証明した。

◇        ◆     ◇

 古屋を壊すには解体コストは馬鹿にならず、建て替えより全面改修のほうがライフサイクル脱炭素を早く達成するというのはなんとなく理解できるが、今回はそれを科学的に実証したのが凄いではないか。

 記者はいま、それなりにZEH化が進んでいる持家の着工戸数が対前年同月比で17カ月も連続して減少し、一方でZEH比率は数%しかない、価格が圧倒的に安い分譲戸建てが市場を席巻しているのに複雑な気持ちを抱いている。一言でいえば、住宅購入検討者は良質住宅を選ぶ余裕がないのが現実だ。

 もう一つ、3者に聞きたいことがある。省エネ性を高め、ZEH化を図った全面改修のほうが脱炭素の面から有効であるのはよく分かった。ただ、敷地が狭く、猫の額ほどの庭(緑)もない狭小住宅などは改修しても居住環境は全然よくならないではないか。敷地の緑化・緑(庭木)の人体への影響も含む価値の可視化や、性能が劣る住宅が建設されることによる経済的損失も研究していただきたい。

「新築そっくりさん」建替えよりCO2排出量47%削減 東大×武蔵野大×住友不(2022/6/16)

 

 

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「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」

 ポラスグループのポラスタウン開発は6月14日、「防災」「環境」「自助」「共助」「コミュニティ」「環境」をテーマにした分譲戸建て「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」の記者見学会を行った。個別住宅のほか外構など区画割り、共用部に様々な工夫を凝らした〝意欲作〟だ。

 物件は、東武スカイツリーライン・東武日光線東武動物公園駅から徒歩10分、埼玉郡宮代町百間1丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全37戸。現在分譲中の1期(7戸)の土地面積は120.01~128.77㎡、建物面積は96.98~106.77㎡、価格は3,230万~4,180万円。建物は木造2階建て(在来工法)。設計はポラスタウン開発、施工はポラテック。2023年2月に完成済み。3月10日から分譲を開始し、これまで3棟を成約済み。

 街づくりでは、東京・横浜を中心に防災に関する様々な事業を展開しているNPO法人日本防災環境と、ガーデンエクステリアなどの外構事業を手掛るユニソンの意見を企画段階から取り入れているのが特徴。

 身の回りにあるモノを、日常時だけではなく非日常時にも役立てる「フェーズフリー」の考え方に基づき、災害時には公園が防災拠点になるようかまどベンチ、ソーラー付きLED街路灯、東屋、井戸、AED、収納ベンチを設置。

 住居内には在宅避難を想定した防災グッズの分散収納、保安灯、家具やテレビを固定するための下地、雨水タンク、感電ブレーカー、ポータブル電源、ポタジェ、ウッドデッキなどを施している。

 また、ソフト面では、「共助」「コミュニティ」の醸成を促すよう区画割りに工夫を凝らし、管理組合も組織化し様々なイベントなどを行っていく。

 住宅のプランは、「ファミリー」「ペット」「Dinks & Active Senior」の3つを提案している。

 見学会に臨んだ同社埼玉中央事業所部長・板倉秀樹氏は「当社は年間300戸弱を販売しているポラスグループ。『環境』『防災』『コミュニティ』をテーマにした当社初の物件。専門家と試行錯誤しながら作り上げた自信作でもある。使命として今後も展開していく」と話した。

 このほか、企画・設計担当の同社埼玉中央事業所設計課係長・内田里絵氏は「管理組合を設け、防災時に共助、自助が機能するよう企画した」、日本防災環境事務局長・加藤愛梨氏は「住宅は初の取り組みだが、この地の歴史、環境アセスなどあらゆる観点から調査し、安心・安全の仕様に仕上げた」、ユニソン広報企画部部長代理・鷲津智也氏は「外構に様々な仕掛け、イベントをすることで、顔が見える、万が一の助け合いができる環境づくりを進めたい」とそれぞれ語った。

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左から市川氏、内田氏、板倉氏、鷲津氏、加藤氏

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モデルハウス(ペット)

◇        ◆     ◇

 宮代町の分譲戸建ては、バブル前に大規模分譲地を取材したことがあるが、東武動物公園駅に降り立ったのは初めてだった。同社によると、いわゆるパワービルダーの分譲戸建ては2,000万円台で分譲されているということだった。マンションなら土地代がただでも坪単価は170万円以上、20坪で3,400万円の地域で、そんなに安い戸建てが分譲されているのに複雑な気持ちがした。

 同社の物件は3,000万~4,000万円台だから、相場からして高いのだろうが、基本性能・設備仕様レベルは、これまで見学・取材した同社グループの戸建てと比較してそん色ない。

 1階のリビング天井高は2700ミリ、挽き板フローリング、床暖房、食洗機、転倒防止の下地処理、ポタジェ、雨水タンク…4,000円もする消火器も1基プレゼントするというではないか。そればかりではない。階段のステップは15段、開き戸・引き戸は全てソフトクローズ機能付き。隣に古利根川が流れる現地の浸水ハザードマップは0.5mで、過去30年間被害は出ていないようだが、敷地のかさ上げを行っている。

 共有地「モミの木公園」にはかまどベンチ、井戸ポンプ。ソーラーライト2基、収納ベンチ、AED、リードフック、クリスマスツリー用のモミノキも設けている。

 不思議に思ったのは売れ行きだった。青田売りでもよく売れている同社グループの物件なのに、3月から分譲を開始して3戸成約はいかにも少ない。販売担当の同社埼玉中央事業所営業課主任・市川絢悟氏は「当社商圏のぎりぎりの立地で、当社の認知度は低い。根気強く販売していきたい」と語り、他の関係者も「防災」は販売促進になかなかつながらないと話した。

 小生もそう思う。「環境」「防災」「コミュニティ」はとても大事なことではあるが、これらを全面に打ち出しアピールしても消費者の心をつかむのは容易でないことをこれまでの取材でいやというほど経験してきた。言葉は悪いが〝のど元過ぎれば熱さ忘れる〟(〝羮に懲りて膾を吹く〟も困ったものだが、これが悲しい人間の性)。「環境」「防災」「コミュニティ」-これらを価格に換算したらいくらになるか。はじき出せる人は一人もいない。小生はこれらを付加価値として商品に反映させて消費者に納得させられるのは価格のせいぜい1%だと思う。

 市川氏が語ったように粘り強く売るほかない。(小生が販売担当だったら、エリアの戸建てを徹底して調べて、天井高2.7m、挽き板フローリング、ソフトクローズ開き戸、Low-Eガラス…などを標準装備している物件は他にないことを証明し、隣に流れる古利根川の環境も含めてアピールするし、かまどベンチは日常的に芋煮会などに利用できるようにし、焚火もOKにする)

 物の序で。記者は現地まで約2時間、往復で4時間。東京-名古屋と一緒だ。見学会では、いつものように必死でメモを取った。何を見るか、誰が何を話すかを記録し、記事にするのが記者のイロハだからだ。

 ところが、報道陣は10名ちょっと。中にはメモなど取らず聞くだけの人、眠っている人(目をつぶっているだけだろうが)もいた。今回に限らずいつもの風景だ。メモを取らない記者は記者じゃない。単なるリライターだ。

 記者はむしろこの方たちに「あなたたちは何者だ」と質問したかったが、沈黙に徹した。物言えば唇寒し利根の川風…(ヨシキリの、声が冷たく身を責める、これが浮世か、見てはいけない…三波春夫「大利根無情」)。

 この日(14日)のもう一つの収穫は、外構担当の同社埼玉中央事業所設計課・清水博子氏からドクダミには〝八重咲き〟もあると教わったことだ。

 そして本日(16日)、「コスパ」「タイパ」「せんべろ」「設楽りさ子」を学んだ。西武は6連敗。62試合にして10度目の完封負け。交流戦最下位確定か。「公助」も「共助」も期待できず、「自助」努力で浮上するしかない。

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ソーラー充電器

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モデルハウス(ファミリー)

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モデルハウス(Dinks & Active Senior)

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モデルハウス(ペット)

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そばを流れる古利根川(左側が物件)

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「那由他(なゆた)」

 ナイスグループの菊池建設は69日、京町家などの伝統的な日本建築のデザインを踏襲しつつ、ZEH仕様の注文住宅新商品「那由他(なゆた)」を開発し、首都圏と静岡県の1都4県で本格的な受注を開始したと発表した。

従来商品「檜の家」と同様、土台や柱だけでなく羽柄材にも檜を用い、横架材である梁・桁は杉と唐松を採用するなど国産材使用率100%。町家の通り土間を想起させる、玄関から続く土間空間、古民家の雰囲気を醸す、ろくろ丸太の通し柱を配置した吹き抜け空間、段差を生かし、調理する人と食事をする人が一体となる食空間「和厨」などを提案。また、断熱等性能等級の最上位等級である等級7を確保しているほか、太陽光発電システムをはじめ、省エネ・創エネ設備の導入によりZEHを可能にし、伝統と最先端技術とを融合した快適な現代の「和」の住まいを実現する。

52.5坪の場合、税別の建物本体価格は 7,090万円(坪単価135万円)。

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土間空間

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吹抜け空間

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「和厨」

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昨日は、文豪・志賀直哉の居宅跡地を見学した。床板にアオギリ、柱にサルスベリ、縁側の板には船材と同じ木、壁は杉皮貼り、天井は網代組…。

 菊池建設といえば、歩くと床が鳴く「鴬張り」、値段が付けられない「神代欅」のモデルハウスが忘れなれない。「現代数寄屋『檜の家』」も見学している。今回の商品は坪単価135万円。安くはないが、高くもないような気がする。木が好きな人はたくさんいるはず。

 同社の松本敏社長、取締役営業本部本部長・二瓶正裕氏には絶滅危惧種にならないうちに「和風住宅の伝道師」になっていただきたい。一級建築士の肩書を持つ上場会社・グループの社長・役員はどれほどいるのか。

「士」の矜持を見た 添え物のヒノキも本物 菊池建設のモデルハウス「檜の家」(2021/9/11

人が歩くと床が鳴く「鴬張り」体験 匠の技と現代技術を融合 菊池建設のモデルハウス(1017/1/19

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ifロゴ入り「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」

 ポラスグループの中央住宅は6月8日、世界3大デザイン賞の一つ「iF デザインアワード2023」(iF)の建築分野(住宅建築カテゴリー)で受賞した分譲戸建て「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」(全4棟)の街並みをメディアに公開した。iFを受賞するのはポラスグループもわが国の戸建て分譲も初の受賞。高いデザイン性(商品企画)が評価された。

 「iF デザインアワード(iF DESIGN AWARD)」は、1953年にドイツ・ハノーファーで誕生した世界で最も歴史の長いデザインアワードで、IDEA賞(アメリカ)、レッドドット・デザイン賞(ドイツ)と並び「世界3大デザイン賞」と呼ばれている。世界60か国から1万点を超える応募があり、iFロゴは優れたデザインの証として世界で広く認知されている。

 今年は1万件超の応募があり、約3,500件、うち建築分野では59件が受賞(わが国は27件)。住宅分野では、同社グループのほか永山祐子+永山祐子建築設計が受賞。昨年は隈研吾氏が受賞している。

 「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」は、JR我孫子駅から徒歩13分、千葉県我孫子市緑二丁目に位置する総開発面積約671㎡の全4戸。敷地面積140.31~196.90㎡、建物面積96.26~106.81㎡、価格は4,480万~4,980万円。販売開始は2021年7月で、同年10月に完売。竣工は2022年1月。地役権は、幅員6.1mの公道に面している1号棟は1.2㎡、敷地延長部分の2号棟は40.69㎡、3号棟は54.47㎡、4号棟は50.98㎡の合計147.34㎡。

 受賞した同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課参事・山下隆史氏、設計監理課主任・安川晃生氏、営業企画設計課係長・山﨑正吾氏はプレス・リリースで「我孫子市手賀沼周辺は、かつて『北の鎌倉』とも呼ばれる風光明媚な土地で、志賀直哉や武者小路実篤など数多くの文人が別荘を構えていました。この土地を取得した時、私たちが考えたのは、豊かな景観と文化性に富んだ土地の記憶を蘇らせ、この場所ならではの地域文化との関係に配慮した分譲地ができないかということです。区割りは、開発道路を囲んだ従来の区割りではなく、地役権を設定したうえで路地状部分の敷地を中央に集め、幅6mのコモン(庭小路)を創出しました。庭小路は、単なる車道ではなく住まい手の憩いの場所となる緑道空間であり、それを楽しむための縁側テラス・庭も設計し、それらが連なることで統一された我孫子の景観と一体となり、新しい風景を創り出しました」と語っている。

 山下氏は「以前から応募したいと思っていました。自信作ではありましたが、初の応募で受賞するとは思っていませんでした。Ifは差別性、デザイン性、影響力、アイデア、機能性の5角形のチャートで評価が数値化され、受賞・落選の理由が分かりやすくなっています。わが国のグッドデザイン賞のようなブラックボックスではないのがいい」と語った。

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ifロゴ入り「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」

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敷地境界を示す境界杭

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山下氏(左)と山崎氏

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 地役権を設定した分譲戸建てを同社グループはかなり供給している。先月見学した「NOEN KASHIWA SAKASAI-ノエン柏 逆井-」は素晴らしく、記者は「わが国の○○賞を総なめにする」と書いたほどだ。

 建築基準法第43条「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない」規定に適合させるためのコモンは珍しいことではないが、今回の「我孫子」のようにわずか4戸の規模で、公道に面していない3戸を接道させるため幅2m×3戸=6m×奥行き24.5m=約147㎡の公開空地が確保されているのに驚いた。地型など敷地条件に問題のある土地でも宅地化を可能にし、付加価値を創出できることを証明したといえる。

 山下氏が語ったわが国の「賞はブラックボックス」は改めないといけないと思う。ウッドデザイン協会は、今年度から落選作品についてもその理由を知らせ、プレゼンなどについてアドバイスするという。また、キッズデザイン協議会は昨年からifと連携することを決定している。

◇        ◆     ◇

 現地の裏山、徒歩で2分くらいのところに、「小説の神様」と称された文豪・志賀直哉が大正4~13年(1915~1924)に住み、「城の崎にて」「小僧の神様」「暗夜行路」などを著した居宅跡地があるというので見学した。

 道路幅員4mくらい、どこにでもある住宅街の一角にそれはあった。敷地面積は約3,700㎡(当時は約5,000㎡)、今は公園として公開されている。

 入口にはクスノキ、イチョウの巨木があり、敷地全体は樹齢100年超の樹木で覆われていた。道路から1~2m上がったところに母屋があったことを示す案内があり、端っこに書斎・茶室として使われた「離れ」が移築されていた。

 自らが設計し、地元の宮大工が建てたのだそうだ。大きさは6畳間のほかにトイレなどもあるので4坪くらいか。屋根や壁は杉皮葺き・貼り、柱はサルスベリ、垂木は虫食いの杉材、床柱はアオギリ(河東碧梧桐はこれから俳号をとったのか)、天井は舟形の網代組…志賀直哉は相当の風流人だったようだ。

 母屋の正面に名前の知らない年寄りのように幹が曲がった大木があった。丁度、地元の「長寿大学」の講師で我孫子市史研究センター副会長・荒井茂男氏が大勢の受講者を相手に説明されていたので聞いた。樹木は「エノキ」だそうで、志賀直哉はよく登ったのだそうだ。(登ったから腰が曲がったのではないだろう)。

 グリコのように2度おいしい取材ができた。

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志賀直哉が書斎・茶室として利用した「離れ」

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6畳間(床柱はアオギリ)

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虫食いの杉の垂木とこだわりのサルスベリの柱(と呼ぶのか、単なる意匠か)

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杉皮貼の壁

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志賀直哉が登ったエノキの巨木

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志賀直哉居宅跡地を観察する「長寿大学」の皆さん

初めて見た30%・50%×200㎡の分譲戸建て まるで別荘 ポラス「柏 逆井」(2023/5/2)

一石三鳥、四鳥 ビルトインガレージ採用 狭小地の課題解消 ポラス「BASE88」(2022/11/19)

日本一の街」完成祝う 中央住宅・高砂建設・アキュラ「浦和美園E-フォレスト」(2022/4/17)

邸宅跡地の樹齢100年 モミジの借景取り込む 歴史を紡ぐ企画奏功 ポラス「光が丘」(2020/12/4)

 

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「IZM(イズム)」モデルハウス

 三井ホームは6月7日、35歳~45歳の子育て世代をメインターゲットにした新商品「IZM(イズム)」のモデルハウスを「レジデンスサイト横浜町田」内にオープンしたのに伴うメディア向け見学会を行った。住宅の内と外を緩やかにつなぐ半戸外空間「ラナイ」の提案や、内外観に木をふんだんに用いた仕様、白を基調にしたアースカラーのデザインが素晴らしい。

 「IZM(イズム)」は、コロナ禍による消費者の住宅選好の変化に対応する新商品で、〝仕事も遊びも自分らしく〟をテーマに昨年4月に販売開始。シャープな切妻屋根の「ウィングルーフ」、外からの視線をさえぎる「プライバシーウォール」、建物の家と外を緩やかにつなげる半戸外空間「ラナイ」、信楽焼のオリジナルタイル壁「モダンブリック」などを装備し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たし、住宅性能表示制度の最高等級「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量等級6」に標準対応しているのが特徴。

 モデルハウスは4月29日オープン。3月26日に大阪箕面にオープンしたのに続く2棟目。敷地面積約241.92㎡(73.18坪)、建築面積約144.84㎡(43.81坪)、2階建て延床面積約187.64㎡(56.76坪)。価格は100万円/坪からで、提案段階では120万円/坪~150万円/坪が中心。

 昨年4月から今年3月末までの受注棟数は127棟で、50坪以上が33%、エリアは首都圏中心の関東が65%、関西が20%。顧客の年代は45歳以下が54%。

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1階LDK

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軒裏のレッドシダー

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「ダイニングラナイ」

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塚八幡宮の神木「ヒマラヤスギ」を採用したダイニングテーブル

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 見学会会場で配布された、マクロミル会員を対象にしたインターネット調査結果に注目した(有効回答1,317名)。調査は商品企画段階の2021年10月に実施されたもので、メインターゲット(以下、ターゲット層)の35歳~45歳の子育て世代が「環境問題や社会問題に配慮した商品を購入したい」という意向を示したのは75.8%(もっとも低いのは50~59歳の63.7%)、所有希望を含めた車所有が83.3%(同30~34歳の77.5%)、バーベキューが日常化しているのは44.7%(同50~59歳の27.1%)、多様な働き方が日常となっているのは75.8%(同50~59歳の52.9%)などの数値はなんとなく理解できる。

 家族で楽しめる中庭のニーズは26.9%で、「眺める庭」11.5%、「広めのバルコニー」15.2%、「屋外空間」10.6%、「庭は必要ない」8.6%などの回答は時代の変化か。

 驚いたのは、戸建てを購入すると想定した場合に購入したいデザインは「エレガント」「オーセンティック」「シンプル&スクエア」「ウッディ」のうちどれかという問いに対し、ターゲット層の52.8%は「シンプル&スクエア」を選んだことだ。他の年代の30%近くは「エレガント」+「オーセンティック」を選択したのに、ターゲット層は「エレガント」の9.4%、「オーセンティック」の11.3%を合わせ20.7%しかない。

 これをどのように解すべきか。小生などは三井ホームといえば「エレガント」+「オーセンティック」=吉永小百合さんで、「シンプル&スクエア」はパワービルダーの分譲戸建てしか思い描けないのだが、同社はコロナによる消費者の住宅選好の変化を取り込み、新たな顧客層の開拓に成功したとも受け止められる。

 とはいえ、前段の受注状況からして、「シンプル&スクエア」=低価格とみるのは早計だ。同業の記者の方が「ターゲットは富裕層が中心か」と質問したように、富裕層のニーズに十分応えられるものであり、ターゲット層のアッパーミドル、今風に言えばパワーカップルの潜在的なニーズを掘り起こし、受注単価増につなげた結果だと思う。

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「リフレッシュスタジオ」(天井には熊野ヒノキの木製ピーリング)

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 モデルハウスの「ダイニングラナイ」「オープンラナイ」「ガレージラナイ」などの容積不参入の「ラナイ」の提案が文句なしにいい。受注した127棟のうち50坪以上が33%で、同社の他の商品の受注棟数のうち50坪以上は22%であることからも「ラナイ」の提案がヒットしたことをうかがわせる。

 それと木の多用。1階の軒裏はレッドシダー、長さ約4m×幅約1mのダイニングテーブルは、2019年の台風19号で倒れた平塚八幡宮の神木「ヒマラヤスギ」、2階の「リフレッシュスタジオ」には、高級材とされているわが故郷・三重県の熊野産材のヒノキの木製ピーリングがそれぞれ採用されている。

 皆さんは熊野ヒノキをご存じか。年輪が密で強度が高いのが特徴で、急峻な山、土壌・地質、密植とも深い関係があるという。

 多雨地域で気候が温暖なことから木はよく育つと考えがちだが、肌理細やかで強かな建材にするには適度なストレスを与えることが必要だそうだ。(人間も同様だ)

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手前が2階の「リフレッシュスタジオ」、その奥がフラット床の裏ッと床の「スカイラナイ」

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左の壁が「プライバシーウォール」

 

カテゴリ: 2023年度

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「ルナつくば陣場 クルムフィールド」モデルハウス

 創建が分譲中の総区画195区画の土地・戸建て分譲地「ルナつくば陣場 クルムフィールド」を見学した。最寄り駅のつくばエクスプレス「みどりの」駅から徒歩26~29分の立地だが、1区画180㎡以上、戸建ては建物面積含めて3,500万~4,000万円台が中心。プラン&デザインのよさに感嘆した。

 物件は、つくばエクスプレス「みどりの」駅から徒歩26~29分・万博記念公園」駅から徒歩23分~26分、茨城県つくば市島名・福田坪一体型特定区画整理事業地内に位置する開発総面積約42,969㎡の全195区画。現在分譲中の停止条件付土地分譲(10区画)の土地面積は180.01~180.07㎡、価格は890万~1,590万円(最多価格帯1,500万円台)。分譲戸建て(3戸)は土地面積180.44~180.76㎡、建物面積119.20~142.79㎡、価格2,980万~3,670万円。建物は木造軸組み工法2階建て(外断熱工法)。施工は創建地所。

 区画整理事業の施行者は茨城県で、施行期間は平成12年度から令和11年度、施行面積は約242.9ha、総事業費は約481億円、減歩率は40.3%(うち公共減歩率は22.7%)、計画人口は約15,000人。同社のほかハウスメーカーなどの土地分譲・戸建て分譲が行われている。

 モデルハウスは、敷地面積約180㎡、建物面積約119㎡の2階建てと、敷地面積約181㎡、建物面積約140㎡の3階建て、敷地面積約180㎡、建物面積約142㎡の3階建ての3棟。建物面積が広く、設備仕様レベルも高いので価格は5,000万円超だが、一般住宅でも建物は全棟同社の外断熱工法「Kurumu」を採用するほか、51区画は次世代エネルギー基準値を上回るC値平均0.35㎠/㎡としたZEH対応とし、国産材を用いた高耐震・高耐久のハイブリッド工法・柱、窓は樹脂サッシのほか、床はウォールナット、チェリー、メイプル、オークなどの銘木単板、ガス乾燥機「乾太くん」を標準装備。

 事業地内には、敷地面積約241㎡、建物面積約129㎡の木造2階建てコミュニティハウス「人場テラス(ジンバテラス)」も設置。宅配ボックス、交流エリア、集会室、テレワークエリアなどを備える。

 今年2月から販売を開始しており、これまで約30区画を販売済み。順調な売れ行きとなっている。

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モデルハウス

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モデルハウス

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スカイバルコニー

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吹抜け空間と2階ホール

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 敷地が広く、建物も大きいからできることだが、プランがいい。2階建てモデルハウスは、1階は広いテラス付きでLDKは21.0帖、スキップフロアのスタディフロアは4.4帖、2階のセカンドリビングとしても利用が可能なホールと隣接する主寝室7.6帖を合わせると10帖以上だ。3階建てはさらに19帖分~24.7帖分のスカイバルコニーが付く。

 同社の取材は2020年2月の「災害被災神社再建・地域復興プロジェクト記者発表会&フォーラム」以来で、戸建て見学は2019年12月の「ルナ印西牧の原 クルム ザ クロス」以来実に3年半ぶりだが、カラーリングはさらに磨きがかかったという印象を強く受けた。好みはあるだろうが、今回のモデルハウスは内装は白と黒、グレーを中心にアースカラーを基調に、明るくて落ち着いた雰囲気をよく表現している。

 資料には、茨城エリアでは今回の物件を除き6物件645戸、千葉エリアは6物件1,630戸、埼玉エリアは4物件184戸、東京エリアは8物件176戸などを供給したとある。トータルすると24物件2,635戸だ。1物件平均約110戸。これほどまとまった規模を手掛けている首都圏ハウスメーカー・デベロッパーはまず他にない。郊外リスクを承知の上で郊外居住を希望する消費者のニーズをしっかり捉えているからできるのだろう。

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販売ギャラリー

千葉NT 印西牧の原の創建「INOCHI」(命)モデルハウス見学(2019/12/12)

「深く感謝」声詰まらせた閖上湊神社宮司 神社再建プロジェクト 第三弾発表 創建(2020/2/28)

 

カテゴリ: 2023年度

住宅・不動産企業の20233月期決算では過去最高の売上高、利益を計上する企業が続出し、株価は実に33年ぶりに最高値を更新した。新型コロナ感染症は、58日からインフルエンザ、淋病、梅毒と同じ「5類感染症」に移行し、マスクを外す人が増えているなど、街は明るさを取り戻しつつある(淋病、梅毒は死語かと思っていたら爆発的に増加しているという)。そんな中で、のどに魚の小骨が刺さったように気になるのは、住宅着工の持家が15か月連続して前年同月比で減少していることだ。復活するのか減り続けるのか、考えてみた。

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2022年の住宅着工総数は859,529戸で、構造別では木造が477,883戸(55.6%)、鉄骨鉄筋・鉄筋・鉄骨造が380,453戸(44.3%)。利用関係別では持家が253,287戸(29.5%)、貸家が345,080戸(40.1%)、分譲住宅が255,487戸(29.7%)。前年比では貸家が7.4%、分譲住宅が4.7%増加した一方で、持家は11.3%の2ケタ減少となり、16年ぶりに分譲住宅に抜かれた。ツーバイフォー工法による着工戸数は89,562戸(前年比5.1%減)、坪当たりの工事予定額は59.4万円(同増減なし)。プレハブ工法は106,680戸(同0.8%減)で、工事予定額は89.1万円(同3.8%増)となっている。

それぞれの木造戸数(比率)をみると、持家は221,324戸(87.4%)、貸家は112,260戸(32.5%)、分譲住宅が142,294戸(55.7%)となっている。

これを工事予定額(坪単価)でみると、全体では69.3万円で、前年の66.0万円から5.0%増加している。利用関係別の単価は、持家が69.3万円(前年比5.0%増)、貸家が75.9万円(同4.5%増)、分譲住宅が62.7万円(同増減なし)となっている。

分譲住宅を構造別・建て方別でみると、一戸建は52.8万円(同6.7%増)で、うち木造は49.5万円(同増減なし)、鉄骨造は92.4万円(同7.7%増)となっており、鉄筋コンクリート造共同住宅は89.1万円(同増減なし)だ。

分譲一戸建の単価を都道府県に見ると、もっとも高いのは島根県の59.4万円で、長野県、鳥取県、長崎県の56.1万円が続く。もっとも安いのは福島県の42.9万円で、他は46.2万円から52.8万円に収まっている。

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 これらの数値を眺めるといろいろなことが分かってくる。

 持家は前年比2ケタ減で、今年に入っても減少に歯止めがきかず3月まで15か月連続で減少となると、コロナ禍と関連づけざるを得ない。

 分譲戸建て市場はコロナ禍で意想外に沸き立ち、いまはその反動で勢いは減速気味だが、新築マンションや中古住宅市場動向からも、持家志向に大きな変化が起きているとは考えづらい。

 持家志向に変化はないものの、いまの経済社会状況を反映して住宅選好が多様化しているということは間違いない。持家か賃貸か、新築か中古か、マンションか一戸建てか、その選択の幅は広がっている-というよりは、富める者と貧しき者の格差が拡大し、二極化がどんどん進行しているとも読める。貧しき者はむしろ選択の余地が狭まっているのではないかと思わざるを得ない。

 富める者はどうか。分譲事業が絶好調の三井不動産の20233月期のマンション計上戸数3,196戸の平均価格は7,373万円(前期比931万円増)で、分譲戸建て420戸の平均価格は8,308万円(同717万円増)だ。完成在庫は戸建てはゼロで、マンションの55戸のみ。積水ハウスの20231月期の戸建(請負)の売上棟数は7,842戸(前期比6.1%減)となったが、1棟単価は4,619万円(前期比8.3%増)、坪単価は111万円(同6.4%増)で、戸建事業売上高は前期とほぼ同じ3,524億円を維持した。

 一方、全国491か所に営業拠点を置く〝分譲戸建ての雄〟飯田グループホールディングスはどうか。20233月期の売上高は14,397億円(前期比3.8%増)で、主力の戸建分譲住宅の計上戸数は40,826戸(同1.7%減)、1戸当たり単価は土地価格を含めて2,967万円(同2.7%増)だ。計上戸数は住宅着工戸数に換算するとシェアは27.9%を占め、沖縄県の55.4%を筆頭に東北は44.8%、北関東は34.9%、東海は32.2%、首都圏は30.5%に達するなど独走している。

 飯田グループの全国展開と関係があるかどうかは不明だが、分譲戸建ての単価がもっとも高い島根県には同社の営業所はなく、単価が次位の鳥取県と長崎県にはそれぞれ1か所、長野県は4か所だ。

 このほか、売上高1兆円超を目指すオープンハウスの20229月期の建売住宅計上戸数は5,907戸で、ケイアイスター不動産の20233月期の戸建ての計上戸数は6,226棟(土地販売含む)だ。この3社だけで戸数は約5.3万戸、市場の約4割を占める。

 前段で紹介したように、このところの用地の上昇、建築費・資材高で坪単価は全体で5.0%上昇しているにもかかわらず、分譲戸建てのみは前年と変わらない。圧倒的な市場占有率と価格競争力を持つ3社に対抗するには、アッパーミドル・富裕層にターゲットを絞るか、さらに価格を下げるほかなく、価格下げ圧力が強まっているからだと読める。記者は持家志向の相当数は価格が安い分譲戸建てに流れているのではないかと考えている。木造と鉄骨の単価差は倍近い。オーダーメイドかレディメイドか、選択できる人はどれだけいるのか。

        ◆     ◇

 上記のように、あれやこれや消費者の価値観・住宅取得意向について考えていたら、カーディフ生命が昨年12月に実施した「第4回 生活価値観・住まいに関する意識調査」がネットでヒットした。全国2,000人を対象に経済・社会活動の回復と、円安や物価上昇による将来不安の高まりが混在する中での人々の意識、行動、価値観の変化に焦点を当てたものだ。

 これによると、「老後資金が不安」は8割超で、主な理由として「年金額の減少」、「将来の物価上昇」、「医療費負担の増大」などを挙げている。

 住みたい家は「戸建て(持ち家)」が6割で、希望購入価格は平均2,846万円となった。「都心派」は49%、「郊外派」は51%と拮抗している。30代と40代では「郊外派」がそれぞれ55%、57%と優勢で、30代は「安価で広い住宅を購入できるから」(37%)、40代は「時間に縛られず、のんびりした生活を送りたいから」(31%)が郊外を選ぶ最大の理由としている。

 購入希望価格は飯田グループの分譲価格とほぼ一致する。これは偶然か。マンションなら土地代がただでも坪150万円以下はありえず、20坪で3,000万円だ。価格競争力のある〝建売り御三家〟はまだまだ伸びるということか。蚕食という言葉がぴったりだ。

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