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「ザ・パークハウス ステージ 稲毛海岸ヴィラ」

 三菱地所レジデンスは10月21日、大規模一戸建て街区「美浜の杜シティⅡ」内に位置する「ザ・パークハウス ステージ 稲毛海岸ヴィラ」の事前案内会を10月26日から開始すると発表した。

 同社の戸建てで初めて「ZEH』を導入。ハイブリッド給湯・暖房システム「TESハイブリッド暖給(リンナイ製)」を設置するほか、創エネのためにIGNITURE ソーラー(フラットプラン)導入による太陽光発電システムを設置する。また、生物多様性保全への取り組み「BIO NETINITIATIVE(ビオ ネット イニシアチブ)」の戸建て版を採用している。

 稲毛海岸では、1960年代より、三菱地所レジデンスと三井不動産レジデンシャルが共同で街づくりを推進しており、一戸建て街区「美浜の杜シティ」と分譲マンション「ザ・ガーデンズ稲毛海岸」の完成を経て、今回が最終章となる「美浜の杜シティⅡ」では、全157区画のうち同社が90区画を分譲するもの。

 物件は、JR総武線稲毛駅から徒歩18分~19分(バス6分・徒歩4~5分)、千葉市美浜区稲毛海岸2丁目に位置する全90区画。建物面積は101.72~111.99 ㎡、価格は未定。販売開始は2025年1月上旬。建物完成予定は2024年11月中旬。構造・規模は木造枠組壁工法(2×4工法)・2階建て。施工は三菱地所ホーム。

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 2019年に分譲開始された全253区画の「稲毛海岸 美浜の杜シティ」は見学取材している。素晴らしい物件だった。問題の価格がいくらになるかだが、マンションほど自信がないので予想はやめておく。ヒントになるのは、前回は5,000万円前後が中心で、先日見学取材した野村不動産のマンション「プラウド新浦安パークマリーナ」は坪単価320万円で絶好調だ。2022年竣工した三菱地所レジデンスの新浦安のマンション「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」は坪222万円だった。

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街並み(完成予想図)

三井不レジ&三菱地所レジ初の戸建て〝共演〟全253区画の「稲毛海岸」分譲(2019/10/8)

カテゴリ: 2024年度

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右からAさん、Cさん、Bさんご家族

 ポラスグループのポラスガーデンヒルズは10月20日、市街化調整区域内での開発要件を満たした3戸全ての敷地面積が165㎡以上の広い庭とデッキ、中高木を配した松戸市の分譲戸建て見学会を実施した。分譲地は、2023年グッドデザイン賞、2023年キッズデザイン賞、子育て支援大賞2024の国内アワードと、LICC2023(The London International Creative Competition)とAMP2024(The annual Architecture MasterPrize)の海外アワードを受賞している。

 分譲地は、松戸市内の市街化調整区域内に立地する全3戸。2022年9月に分譲し、2戸は2か月で完売し、残りの1戸も翌春に完売している。価格は5,000万円台前半から中盤。

 敷地面積は開発要件である全戸165㎡以上を確保し、住戸の中央部には3戸が共同利用できるセントラルデッキを配置することで、井戸端会議やバーベキューなど多目的に楽しめるスペースとしている。

 各住戸のプライベートゾーンも他の家族にも開放し、コミュニティゾーンとプライベートゾーンを緩やかにつなぐことでコミュニティが醸成されるよう工夫している。紳士協定による「土地利用協定部分」を設け、デッキや樹木の維持管理も分担して行うことになっている。

 福岡県の田主丸緑地建設が監修した豊富な樹木を配しているのも特徴の一つで、シンボルツリーのサルスベリのほか、ハナミズキ、シマトネリコ、カツラ、モミジなどの中高木がたくさん植えられている。

 見学会には3家族のご夫婦と0歳~5歳のお子さん6人が参加。Aさん宅のご主人(37)は「ガチャ的なところがあったが、大丈夫だろうと。田舎育ちなので庭とデザイン、それと私は身長が185センチあるので、1階のリビング天井高が2700ミリ確保されていた空間が購入の決め手。いいご家族と巡り会えた」と語った。

 Bさん宅のご主人(35)は、「都内の社宅に住んでいたが、こういうのもいいのではないかと。人間関係がうまくいくか不安もあったが、とてもよかった」と話した。

 Cさん宅のご主人(27)は「子どもが走り回れるのがとてもいい。飲み会やバーベキューをやったりして楽しんでいる。道具の貸し借りなどもやっている」と語った。

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同社プレスリリース

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同社プレスリリース

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 調整区域での開発規制、ランドスケープデザイン、子育て、相隣関係(コミュニティ)…あらゆる視点からアプローチが可能な見学会だったが(ポラスは国内外のアワードに受賞した商品企画力をアピールしたかったのだろうが)、記者は、3家族のうちのAさん宅のご主人(37)がいきなり語った「ガチャ」に鋭く反応した。

 「ガチャ」とは、Weblio辞書によると「景品が入ったカプセルを購入する形式であり、株式会社タカラトミーアーツの登録商標。ガチャガチャなどともいう。カプセルの中身を選択することはできず、何が入っているかは取り出すまで分からない、という点が主な特徴となっている」とある。

 記者は一度も試したことはないが、昔の駄菓子屋のくじ、グリコのおまけみたいなものだろう。Aさんとほぼ同年代の二男にせがまれて何度も買わされたことがある。大きな段ボール箱いっぱいになったのではないか。

 そのガチャを住宅購入に例えたAさんの感性に驚いたのだ。考えてみればその通りだ。マンションも分譲戸建ても〝向こう三軒両隣〟に誰が住むか、住んでみないとわからないし、それぞれが退去するまでわからないケースも少なくないはずだ。分譲住宅の利点でもあるし難点だ。

 ポラスは、分譲時にコンセプトを示し、庭やデッキの管理を紳士協定によって維持することを条件にすることで、この「ガチャの不安」の解消を企図した。すべてのデベロッパーはこの住宅購入検討者の「ガチャの不安」に向き合わないといけない。くじ引きで人の人生が左右されてはならない。Aさんの言葉を肝に銘じたい。

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現地

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プライベートガーデン

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 市街化調整区域での分譲戸建て住宅の取材は、最近では4件目(うちポラスが3件)だ。市街化調整区域内で分譲戸建てが許可されたのは、都市計画法法第34条第11号の規定と「松戸市における宅地開発事業等に関する条例」に適合させたためで、1戸当たり敷地面積が165㎡以上となっているのもそのためだ。

 3家族ともご主人が地方出身(奥さんはどうかはわからない)というのにも納得だ。小さいときから街のコミュニティが機能していた恵まれた環境で育ったに違いない。薪炭時代に生まれ育った記者の田舎は、臨家との垣根などなく、数十メートルも離れているのに夫婦喧嘩、親子喧嘩などは筒抜けで、味噌や醤油の貸し借り、土産物のおすそ分けなども日常だった。酒乱の男などは長老の一喝でナメクジみたいに縮み上がったものだ。大人が道路端で囲む焚火で経済を学んだものだ。

 この3家族のお子さんがどんな大人に育つか。とても楽しみだ。ポラスを含めたすべてのハウスメーカー・デベロッパーにはアワードの受賞ニュースも結構だが、優れた住宅の商品企画によって人の暮らしはどうなったかの報告もしてほしい。 

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セントラルデッキ

駅距離と調整区域開発要件(165㎡)逆手に取った企画秀逸ポラス「八千代緑が丘」(2024/6/15)

敷地100坪建物30坪の平屋ミラースHDの戸建て「南栗橋」企画ヒット(2022/11/13)

調整区域の市民農園付き200㎡邸宅ポラス「ハナミズキ春日部・藤塚」企画秀逸(2020/7/3)

カテゴリ: 2024年度

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「リーフィア狛江〈蒼翠の街〉」

 キッズデザイン協議会「第18回キッズデザイン賞 子どもを産み育てやすいデザイン部門」の奨励賞「キッズデザイン協議会会長賞」を受賞した小田急不動産の分譲戸建て「リーフィア狛江〈蒼翠の街〉」を見学した。全8戸をZEH仕様(ZEH5戸、Nearly ZEH3戸)とし、開発地の中央にクルドサックを設け、各住戸が向き合うよう安全性にも配慮した企画が評価された。表彰式は9月25日に行われる。

 物件は、小田急線「狛江駅から徒歩9分、狛江市中和泉三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)位置する全8戸。全区画に地役権(4.36~8.50㎡)が設定されており、分譲中の住戸(1戸)の土地面積は106.36㎡(約32.17坪)、建物面積は84.96㎡(約25.70坪)、価格は7,950万円。構造は2×4工法2階建て、建物は2023年8月下旬に完成済み。施工は三井ホームエンジニアリング。

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 同社は、受賞が決まった時点でプレス・リリースを発表したが、コピペ記事を書きたくなく、自分の目で確認したかったので同社にお願いして、見学が実現した。物件を見て、各住戸に地役権を設定してクルドサックを設ける開発手法は珍しくないが、開発道路とクルドサックを居住者の交流の場にしようという企画意図がストレートに伝わってきた。残り1戸の価格は安いと思う。敷地面積は30坪強だが、クルドサックを含めれば50坪にも見える。

 23区で市域面積がもっとも小さい狛江市は、以前住んでいた調布市に隣接し、好きな作家・宮尾登美子さんが住んでいたところなので、とても好きな街の一つだ。今回の受賞物件がある駅北口は、すぐ緑が豊富な住宅地が広がるのもいい。

 あらゆる賞もそうだが、キッズデザイン協議会にはお願いが一つある。記者はこれまで同賞の受賞表彰式をリアルで取材してきたが、約2時間、黙って式の模様を眺めるのは苦痛だ(今年はオンライン参加にした)。

 コピペ記事も書きたくないので、受賞したハウスメーカーやデベロッパーにお願いして取材したことはあるが、建築物などの受賞作はほとんど完成済みで、供用開始されているものばかりだ。結構気も使う。

 発表から表彰式の間に、メディアや一般の人も参加できる審査員も参加した見学会を開催したら、同賞の意義や認知度が高まるのではないか。

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現地

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現地

残り1戸すこぶる好調小田急不動産の戸建て「世田谷喜多見」全10棟(2020/11/9)

建ぺい40%、容積80%の邸宅跡地に21区画売れ行き好調の小田急不「狛江」(2020/2/11)

 

カテゴリ: 2024年度

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6 HOUSES

 〝百聞は一見に如かず〟-積水ハウスは828日、顧客の感性を住まいに映し出すデザイン提案システム「life knit design」を体感できるリアルサイズの6棟からなる「6 HOUSES」のメディア向け見学会を「コモンステージみどりの」(茨城県つくば市)で行った。この良さは体感しないとわからない。「コモンステージみどりの」は824日にオープン、107日までの期間限定。すべての関係者に見ていただきたい。持家も賃貸も分譲も目指すべき方向性が見えてくるはずだ。

Life knit design」は、20236月に発売したもので、従来の「テイスト」によるデザイン提案から、空間における色や素材、カタチなどから受ける印象を言語化し導き出した独自の「6つの感性フィールド」(「静peaceful」「優tender」「凛spirit」「暖cozy」「艶luxe」「奏playful」)に基づき、顧客の感性に寄り添った住宅・暮らしを提案するもの。現在、感性に響くこだわりの住まいがデザインされる場として「life knit atelier」を全国84か所で展開している。顧客からは「家族間で異なる感性を、写真やコメントで共有しコミュニケーションをとりながら家づくりができる」「潜在的な感性を引き出してくれる」などの声が寄せられている。

6 HOUSES」は、これまで培ってきた同社のノウハウを注ぎ込み、リアルサイズ(約100㎡)の「6つの感性フィールド」すべてを同じ間取りで設計し、営業担当と顧客が最適解を導き出そうという試み。

 外観・外構は、同社の「5本の樹」計画に基づき、在来種を中心とした低木・中高木を配することで、四季の移ろいを感じることができるようにしているのが特徴。建物の構造は鉄骨と木造のシャーウッドが半々。

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奏 

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life knit design」については昨年6月の記事を読んでいただきたい。この日(828日)は、ほぼ同じ間取りのリアルサイズ(約100㎡)の「6つの陥穽(わがパソコンはどうしてこのような意地悪をするのか。もちろん感性)」を比較体感できるというのでワクワクしながら見学会に臨んだ。

1棟当たり見学時間は15分という制限が設けられていた。記者一人なら十分だが、同時に数人の記者が見学するのだから、こまごまとしたことは聞けず、自分が興味あるものに絞り、自分の〝見る目〟を信じて評価することにした。

最初に見たのは「静」だった。ネーミングからは嫌な予感がした。お医者さんごっこまでした幼馴染の「静子」さんが思い出されたのだ。静子さんは名前とは真逆のお転婆だったので大人になるまで好きになれなかった

そんな嫌な思い出を振り払い、ままよと玄関を開けた、そのとたん、「白」の世界が飛び込んできた。カラーリングはほとんど白だ。収納は天井まであり、地窓からは庭が眺められ、リビングサッシ窓の向こうからは同社の「5本の樹」計画の樹木が優しく迎え入れてくれた。

この段階で、記者は「6 HOUSES」の中でこれが一番好きだろうと確信した。〝シンプル・イズ・ベスト〟-17年も昔の「加賀レジデンス」がよみがえった。何といっても美しいのは「白」だし、さらに言えば、白はどのような感性も受け入れ、その感性を際立てる役割を果たす。白鳥は悲しいのではない。空の青にも海の青にも染まず悠然と泳ぐ姿は実に凛々しく清々しい。

ほれ込んだのはデザインだけではない。住宅の基本性能・設備仕様レベルも高い。1階リビング天井高もサッシ窓も収納扉も2700ミリ、階段はメーターモジュール、引き戸はソフトクローズ機能付き、建具・家具などは角をアール状にしたユニバーサルデザインが施されていた。床はメープル材で、フェンスも庭のデッキも本物の木が使われている。

「静」を見終わってから、「暖」「奏」「凛」「優」「艶」の順に見学した。企画意図はそれぞれ伝わってきた。

「暖」の床はウォルナットで、天井にも同じ素材の木を張るなど木の豊かさや素材感を演出している。

「奏」は字のごとく、楽しくなりそうな家具などの配置で、子育て世代にぴったりだと思った。

「凛」は「緊張感のある空気感」がテーマで、家具の面取りがシャープだったり、床材のセンはアトランダムに配されていたり、主寝室は触れればただでは済まなさそうなツインベッド(ほかはダブルベッドが多かった)。「凛」の字はとても好きだが、小生の性格にはあわない。

「優」はよくある重厚感のある建具・家具が配されており、床はオーク材。小生より誕生日が2日か3日早い同学年の〝優秀〟な住宅評論家・H氏が「これが一番」と話した。そうだろうと思った。好みには性格が反映する。

「艶」はなまめかしい艶子さんを連想したのだが、肩透かし。床材は濃い目のウォルナットで、これまた軽佻浮薄そのものの記者にはあわないと選外。結局、「静」が最後まで残った。

見学の事前も事後も気になったのは、夫婦の好みが一致するのはまれだろうから、夫婦喧嘩に発展しないかということだ。結局は腕力か金力がものをいうのだろうか。担当者に聞いたら「それがいいんです」と全然気にしていないようだった。

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エントランス

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窓からの庭

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静のドア

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H氏(艶の庭のデッキで)

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凛の床(見づらいが床材は幅も長さもいろいろ)

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 とてもうれしかったのは、やはり「5本の樹」計画が徹底されていたことだ。各住棟の敷地面積は54坪(180㎡)で、建築面積は20坪(66㎡)くらいだろう。敷地北側の道路を川に見立て、エントランス部分は入江=里山だ。2台駐車のガレージにはさざ波が打ち寄せる入り江をイメージしたデザインが施されており、地産地消の景石も配されている。敷地南側の庭は「山」をイメージし、起伏を設けて自然の山のように中高木をふんだんに配し、ウッドデッキで本を読んだり家族で楽しんだりできるよう演出されている。

 数えたわけではないが、敷地内には20本くらいの中高木が植えられていた。昭和の時代の建売住宅の敷地面積は4060坪が普通で、外構をしっかり造り込んだものも少なくはなかったが、20本もの中高木を植えたデベロッパーはほとんどいなかった(皆無ではなかった)。

 担当者に中高木・低木の主な樹種を聞いた。アオダモ、モミジ、ヤマボウシ、シラカシ、ナナミノキ、フェイジョア、オリーブ、ユズリハ、ヤマツツジ、ハクサンボク、セイヨウシャクナゲ、ナツハゼ、クロガネモチ、イヌシデ、ヒサカキ…。これらを植栽デザインの樹本である不等辺三角形の形で植えるのだそうだ。

 いま、地球温暖化防止対策として街路樹を含めた緑被率(樹冠被覆率)を高めるのが有効とされているが、この日見学した「6 HOUSES」の緑被率は50%近くあるのではないか。

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優のウッドデッキ

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顧客の“感性”を住まいに映し出す新デザイン「life knit design」始動 積水ハウス(2023/6/20)

これほど〝美しい〟マンション見たことない 鹿島建設「加賀レジデンス」(2007/5/18

 

 

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別表1

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月8日、2024年度の首都圏の不動産流通市場動向をまとめ発表した。

 中古マンション成約件数は36,595件(前年度比3.4%増)、成約坪単価は243.1万円(同7.5%増)、成約価格は4,700万円(同8.2%増)、専有面積は63.80㎡(同0.7%増)、築年数は23.83年(同0.23年増)となった。坪単価は2013年度から10年連続して上昇しており、築年数は1992年の11.19年から約10年増加している。

 中古戸建ての成約件数は18,109件(同3.5%増)、成約価格は3,928万円(同1.1%増)、土地面積は137.61㎡(同1.3%減)、建物面積は102.51㎡(同0.2%減)、築年数は21.74年(同0.22年増)となった。築年数は1992年の12.65年からほぼ一貫して増加している。

 別表1は、中古マンションの成約件数と成約価格の推移を見たものだ。件数は1992年の20,580件から2024年度は77.8%の増加。ただ、2019年の37,912件からここ5年間は頭打ちとなっている。坪単価は2012年の126.7万円を底に12年連続上昇、ほぼ倍増している。

 別表2は、中古マンションの坪単価と専有面積の関係を見たものだ。坪単価が上昇すると専有面積は減少しており、相関関係があることがわかる。

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別表2

 別表3は、中古マンションの駅からの交通別成約件数の推移を見たものだ。居住性能より通勤・通学・通院などの利便性や資産性を重視する消費者の物件選好の変化、デベロッパーの〝駅近〟戦略が奏功しているのか、駅から徒歩10分以内が60%台の後半で推移している。2023年度の成約件数24,741件のうち68.9%を占め、坪単価は284.2万円、成約価格は5,315万円、専有面積は61.86㎡となっている。

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別表3

 別表4は、中古戸建ての駅からの交通別成約件数の推移を見たものだ。マンションとは対照的に、駅から徒歩10分以内は30%を割っており、徒歩10分以内の成約物件の価格は全体の成約価格より約1,000万円高く、土地面積は117.31㎡で、全体の134.70㎡より、約17㎡(5.3坪)狭くなっている。

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別表4

 別表5は、中古のマンションと戸建てを合計した中古住宅の成約件数の推移を見たものだ。着工戸数はマンションと戸建てはほとんど変わらないか、むしろ戸建てのほうが多いのに、中古市場ではマンションが圧倒的多数派を占める。2023年度では、全体の成約件数53,447件のうちマンションは35,907件(67.18%)で、戸建ては17,540件(32.82%)だ。

これほどの差が出るのは、分譲マンションはそもそも二世帯同居を想定していないことと、戸建て居住の子世代が世帯分離によりマンションを購入し、親世代は引き続き戸建てに住み続けるからだと考えられる。一方で、ファミリー向け賃貸の質は低いままで、住宅総数は6,502万戸(2023年10月1日現在)で、うち空き家は900万戸に達している-このいびつな構造をどう理解すればいいのか。

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別表5

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「ヴェレーナガーデン浜田山」

 大和地所レジデンスは8月6日、分譲中の戸建て「ヴェレーナガーデン浜田山」をメディアに公開した。約4.3haの「柏の宮公園」と神田川に近接する第一種低層住居専用地域に位置する全8戸で、長期優良住宅認定を取得、価格は1億4,000万円台~1億7,000万円台。

 物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩10分(1~7号棟)~11分(8号棟)、杉並区浜田山二丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する在来工法2階建て全8戸。敷地面積は127.65~137.80㎡、建物面積は94.51~102.10㎡、第1期6戸の価格は14,990万~17,490万円。竣工は2024年6月~7月。施工は東栄住宅。

 これまでのエントリー数は370件、7月2日からオープンしたモデルハウス来場者は45組。第1期6戸を8月4日に分譲し、2戸に申し込みが入った。来場者の約3割が杉並区居住者で、年代は30~40代のパワーカップルが中心。

 全戸とも長期優良住宅認定を取得しており、太陽光発電システムを搭載し、TESハイブリッド暖給により一次消費エネルギー削減率は22%で、ZEH水準をクリア、ウルトラファインバブル熱源機を採用している。1階の天井高は2600ミリ。

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リビング

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 物件の特徴の一つは、建ぺい率40%、容積率80%1低層で、約4.3haの「柏の宮公園」に近接し、8号棟は神田川に隣接しているなど緑豊かな閑静な住宅街に位置していることだ。駅からの徒歩時間約10分の大半は公園と、「パークシティ浜田山」に沿ったケヤキの街路樹が見事な通りを利用できる。「三井の森公園」にも近い。参考までに、「パークシティ浜田山」について触れた、光井純氏のインタビュー記事を添付する。

 このアプローチの良さを加味したら、価格は2億円超もあるかと思ったが、安全策を選択したようだ。

 施工が東栄住宅というのにも注目したい。東栄住宅は飯田グループの中ではもっとも早くから長期優良住宅取得に取り組んできた。大和地所レジデンスが11月に分譲する「ヴェレーナガーデン横浜鴨居」(33区画)の施工も東栄住宅だ。

 飯田グループでは、一建設はこれから引き渡す自社分譲戸建ての8~9割を長期優良住宅認定とし、飯田産業は大和ハウス工業の分譲戸建ての設計・施工を埼玉の物件で担当する。飯田グループの動きから目が離せない。

「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい光井純氏建築美を語る(2023/1/30)

 

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 オープンハウスグループは8月1日、「これから家を買うなら注目しておきたい駅ランキング~共働き子育て世帯編~」を発表した。LIFULL(ライフル)の「『理想の住宅立地』に関する調査」と同社の独自データを掛け合わせ、通勤1時間以内、乗り換え1回+徒歩15分以内、家賃との差額は+3万以内などを条件に、夫婦と子ども1人の3人家族で75㎡の新築戸建てを購入するならどこがいいかをあぶりだしたもの。首都圏の東京、神奈川、埼玉、千葉のそれぞれのベスト3は、マンション価格が〝暴騰〟している〝コスパ&タイパの両立する穴場〟駅圏がランクインした。

 LIFULLの最新調査で判明した重視する(妥協できない)3大条件は、①通勤距離より駅からの近さ②理想の(許容できる)通勤電車時間は30分以上1時間未満③乗り換えの許容回数は1回-であることに着目し、同社の顧客が求める条件(2021年購入契約者9,516組アンケート調査)をかけ合わせ、共働き子育て世帯の求める住まい選びの3大条件は①通勤は1時間未満、乗り換え1回以内+徒歩15分未満(駅チカ)②現在の住まいから2㎞圏内③家賃との差額は+3万以内-とし独自ランキングを作成した。各都県の上位3駅は次の通り。75㎡換算で、住宅ローンは変動金利35年(金利:0.32%)、フルローン、ボーナス払いなし。

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 記者はこの種のランキングをあまり信用しない。住宅購入検討購入者のことなど全然考えていないと思えるからだ。SBIアルヒの「本当に住みやすい街大賞」がその典型だ。毎年のようにお笑いタレントを起用し、面白おかしく発表していたのに、昨年は何の説明もなしにやめてしまった。無責任そのものだ。

 さて、今回の同社ランキングはどうか。他のランキングと異なるのは、実際に同社が扱っている新築戸建てとローン支払い額、家賃相場を紹介しながら、駅圏を選んでいることだ。

 東京都の3駅については次のようにコメントしている。「1位は今大人気の綾瀬駅の隣駅、北綾瀬駅。駅周辺は、2025年に向けて再開発が完成し始め、高級タワマンも建築中と、ますます魅力があふれる街として人気になりそうです。始発駅なので出勤時に座れるのも大きなポイントです。2位の武蔵小金井、3位の東小金井は、乗り換えなしで東京駅に出られるという都心部への出やすさと教育施設や公園なども多く、暮らしやすさですでに人気が出ているものの、2027年完成に向けて再開発が進んでおり、今後も人気が上がり続けそうです。特に武蔵小金井は数が少ないものの、始発電車があるため通勤時に座れる可能性もあります」

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須藤氏

 

 一つ一つの駅圏について記者はコメントする立場にないが、記者発表会に登壇した同社開発事業部営業推進部長・須藤光輝氏の自分のケースを交えた説明がとても面白かった。記事化することの了解を得たので紹介する。

 須藤氏は2020年、西大井駅圏の同社の分譲マンションを坪単価420万円かで購入した。「(同社本社がある東京駅1分のJPタワーまで)ドア・ツー・ドアで35分。妻も働いており、神奈川県の馬車道まで1時間」と話した。また埼玉の「穴場」として紹介した「三郷中央」について、「千葉県トップの流山おおたかの森より都心に近い。街も美しい。私の部下が住んでおり、部下は『今の(静かな)環境がいいからあまり知られたくない』と話しています」と語った。

 〝いじわる爺さん〟そのものの記者はチクリと批判した。「『西大井』を選択したのは夫の須藤さんの希望を優先したということか。住むなら『馬車道』のほうが絶対いい。『三郷中央』を穴場とおっしゃったが、私は約30年、毎年RBA野球大会の取材で駅を利用しているが、飲食店など生活利便施設が貧弱」と。

 -まあ、しかし、住宅選好は何を重視するかで異なってくる。住めば都だ。この種のランキングは参考にとどめ、家族のライフスタイルしっかり見定め考えてほしい。

〝めっちゃ〟10連発井上咲楽さん LIFULL HOME'S「住みたい街ランキング」発表(2024/1/31)

越年しても発表されないSBIアルヒ「本当に住みやすい街大賞」なぜか(2024/1/13)

城東エリアも坪単価400万円超へ駅1分×沿線最大住友不「シティタワー綾瀬」(2023/11/14)

幸福とは何か人口0.6%のモニタにバイアスはないか「幸福度」1位の鳩山町(2022/9/8)

頂門の一針、蜂の一刺しにならないがアルヒ「本当に住みやすい街大賞」批判(2021/12/12)

三井不レジ馬車道駅直結の商業・文化施設「横浜北仲ノット」完成(2020/6/18)

全国5,000人の女性の声反映東武鉄道「ソライエ流山おおたかの森」大健闘(2018/8/9)

 


 

 

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鈴木氏(左)と茂庭氏

 飯田グループホールディングスの中核企業である一建設は8月1日、記者説明会を開催し、長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給(引渡し)を2024年8月から全国の営業エリアで順次開始すると発表した。対象となるのは、今年度供給目標戸数10,500棟の8~9割になる模様。飯田グループ全体で同様の対応をするかどうかは未定だが、標準仕様となるのは間違いなさそうだ。

 長期優良住宅認定制度は、2009年6月からスタートした「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定するもので、令和5年度末までの一戸建ての累計認定実績は約156万件。「長期優良住宅」として認定を受けるためには、8つの認定基準にクリアする必要がある。認定物件は地震保険料の割引、住宅ローン金利の優遇、不動産取得税、固定資産税などの特例措置が受けられる。

 同社は、2022年4月以降の「住宅性能評価」の5分野のうち「劣化対策等級3」「耐震等級3」「断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6」など7項目で最高等級を取得しており、長期優良住宅認定を受けるための条件をクリアしている。

 分譲戸建ての供給(引渡し)を行うのは、2024年4月1日以降の確認申請分で、群馬を中心とする北関東や埼玉県の物件が先行し、順次全国で開始する。対象となる住宅は、2025年3月期の供給目標10,500棟の8~9割になる模様。

 記者説明会に臨んだ同社執行役員東日本第3戸建事業本部本部長・鈴木里司氏は「2025年から施行される東京都の『太陽光パネル設置義務化条例』をにらんで検討を進めてきたもので、体制が整った。一部、3階建てや土砂災害警戒区域に指定されているエリアを除き、当社が供給する物件の8~9割が対象となる。物件を仲介する会社からは『売り』になると評価していただいている。トータルで供給増につなげたい」と語った。

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 長期優良住宅認定は間違いなく販売促進に結びつくと思う。飯田グループ全体で取り組むかどうかだが、同社経営企画部部長・江角大樹氏は「他社のことは現段階で何とも言えないが、TCFDレポートも発表しているのでグループ全体に広がるのではないか」と話した。同社グループでは東栄住宅は早くから長期優良住宅に取り組んでいる。

 もう一つ、ZEHについて。飯田グループHDが2023年7に公表したTCFDレポートでは「2025年の『ZEH水準比率100%』等の検討を始めております」としているように、現段階で同社グループの分譲戸建ては「ZEH水準」をほぼ満たしていると思われる。

 記者は「ZEH水準をZEHに引き上げる計画はないか」と質問した。一建設設計部次長・茂庭光広氏は「太陽光パネルを搭載して創エネに対応することは現段階では考えていない」と答えた。

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 皆さんは、全国47都道府県でただ一つ島根県には飯田グループHDの営業拠点がないことをご存じか。江角氏が明らかにした。理由を尋ねたら「島根県は私の出身ですが、注文住宅が中心でして…」と話した。ネットで調べた。大和ハウス工業は山形県には一つも事業所がなく、滋賀県は全国唯一の「ドトールコーヒーなし県」のようだ。

全住戸に7本の中高木設備はほとんど自前製品一建設の分譲戸建て「大泉学園」(2024/7/27)

 

カテゴリ: 2024年度

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「リーブルガーデンズ練馬区大泉町2丁目」(右から1、2、3号棟)

 飯田グループホールディングス一建設が分譲中の戸建て「リーブルガーデンズ練馬区大泉町2丁目」を見学した。駅からバス8分徒歩9分の全5棟現場で、敷地には7本の中高木が植えられており、設備はほとんど同社グループによる自前製品だったのに驚愕した。

 物件は、西武池袋線大泉学園駅バス8分、バス停徒歩9分、練馬区大泉町2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全5棟(うち2棟は成約済み)。分譲中の3棟の土地面積は101.81~119.89㎡、建物面積は90.91~106.11㎡、価格は5,080万円・5,380万円・5,780万円。建物は一棟を除き完成済み。販売開始は5月。

 現地は、練馬区景観条例による景観まちづくり地区に指定されており、道路沿いのみどりを育むみどりが映える色彩とする、緑豊かな外観となるようみどりを増やし、心地よいまちなみをつくるなどの条件を満たすため敷地内に中木のハイノキ、高木のエゴノキの合計7本が植えられているのが特徴。

 基本性能・設備仕様は、住宅性能表示制度5分野7項目最高等級取得(耐震等級3、劣化対策等級3、維持管理対策等級3、一次エネルギー消費量等級6など)、Low-Eガラス、食洗機、天井高2400ミリ、オリジナルキッチン・洗面・その他設備など。

主な生活利便施設は、練馬区立大泉第一小学校へ800m、練馬区立八坂中学校へ1500m、北大泉保育園へ600mなど。

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5号棟

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3号棟外構

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植栽

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リビング(18.75帖)

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キッチン

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トイレ

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玄関

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 記者は、飯田グループHD創業社長の故・飯田一男氏(2013年12月死去、享年75歳)が飯田建設工業社長として采配を揮っていたころ、〝記事にしない〟のを条件に毎年1~2度、インタビューしていた。約束の時間に現れることはまずなく、1時間以上待たされることもしばしばあった。そればかりか、「本音で話してやるのだから(新聞)購読料をただにしろ」とまで言い放った。カッとなったが、情報を得るのが目的だから、ぐっとこらえて話を聞いた。飯田氏は話し出すと止まらず、1時間も2時間も話した。いつも強気で通したが、リーマン・ショック後はさすがに弱音を吐いた。倒産も覚悟したようだった。ところが、メインバンクが商工中金からみずほ銀行に移ってから不死鳥のように蘇った。ホールディングス体制に移行したときは、自宅まで押しかけコメントを得ようとしたが、玄関払いされた。

 飯田氏が死去してから10年余。同社グループの分譲戸建てを見学するのも実に十数年ぶりだった。取材をセットしていただいた一建設広報担当者にまずお礼申し上げる。

 物件の良否はさておく。判断するのは記者でない。消費者だ。驚いたのは、梁や柱に使われている木材(プレカット材)はファーストウッド、床材はオリエント、キッチンはファーストプラス、窓はIGウインドウズなどほとんどすべての構造躯体・設備が飯田グルーフHD自前で調達していることだった。異なるのは食洗機は三菱電機、浴槽・便器はTOTO、玄関ドアはリクシル製くらいだった。圧倒的な価格の安さでシェアを拡大してきたのは、この自前による資材・設備の調達にあるのではないか。

 驚いたのは他にもあった。同社グループの最近の戸建ては〝ぺんぺん草〟も生えないものばかりだと思っていたが、この現場には〝5本の樹〟計画を上回る、中木のハイノキ、高木のエゴノキの合計7本(いずれも幼木だったが)か植えられていたことだ。同社の現場監督担当者によると、これは練馬区の景観条例による指導によるもので、同社が自主的に植えたものではないということだった。

 同社は8月1日、多分、創業以来初めてとなる記者発表会を行い、長期優良住宅制度に適用させる戸建て分譲にシフトすることを発表する。

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現場近くの白子川

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「杜和(とわ)」

ナイスグループの菊池建設は719日、長期優良住宅仕様のZEH平屋住宅「杜和(とわ)」の販売を開始したと発表した。

高性能グラスウール断熱材をはじめとした断熱性の高い建材を採用し、断熱等性能等級6の取得が可能で、和瓦葺きの屋根と調和する屋根材一体通気型の太陽光発電システムを採用。主要木材の国産材使用率を100%としている。

住戸プランは、延べ床面積52.17㎡(15.75坪)から79.49㎡(24坪)まで、5タイプを用意している。

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