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 大和ハウス工業グループの大和ホームズオンラインは12月18日、中古マンション売買のWeb サイト“住まいのバトン”をリニューアルした情報サイト「中古マンSHOW」を2013 年12 月19日から開始すると発表した。

 売り手と買い手の情報量に圧倒的な差がある『情報の非対称性』を解消し、不動産に係わる情報や生活関連情報を誰もが容易に入手できるようなサイト運営を目指す。同社は「市場の信頼性が増し、参加者が拡大し、中古流通市場の活性化に貢献したい」としている。

 物件数はオープン時の物件数は約3,400 棟の既存マンションだが、月に約1,000 棟ずつ増やしていく。

 「中古マンSHOW」サイトは:https://www.sumainobaton.jp/library/

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 挑戦的で盛りたくさんなサイトだ。現行の仲介市場は、会員登録した仲介業者しか指定流通機構(レインズ)の不動産情報システムを利用できない情報の非対称性に問題があるとし、同サイトは「不動産業者に頼らざるを得ない」現状を打破するとしている。

 物件情報は、従来の一般的なサイトに掲載されている情報のほか、標準住戸の図面、相場・賃料相場・表面利回りなども提示する。施工会社で検索できることもできるようにした。地域の公共料金、各種助成、街の発展性、安心・安全の情報も盛り込む。

 さらに、駅ごとの新築価格・中古価格・家賃(70 ㎡換算過去3 年の平均)がわかるようにし、それらが上昇傾向なのか下降傾向なのかも表示する。あわせて、購入したマンションを賃貸に出した時、何年で元が取れるかを表した数値PERを表示する。

 また、最終的には首都圏約500 駅の物件を掲載する最大規模の中古マンション図書館(データサイト)を目指し、『このマンションから売りに出たら紹介して欲しい』など、販売中でない物件にもオファーを入れることができるようにするという。

 同業他社も中古マンションのWebには力を入れており、同社が挑戦的なWebを開設したことで競争は益々激化する。

カテゴリ: 2013年度

 

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「日土地虎ノ門ビル」

 日本土地建物が10月末に竣工した「日土地虎ノ門ビル」を見学した。同社の環境フラッグシップビルと位置づけ、国内の環境評価システムの最高ランクであるCASBEEの「S」、PAL:26%・ERR:43%により東京都の建築物環境計画書制度において、最高ランクの「段階3」、さらに国際的な環境評価であるLEED-CSの「ゴールド」を取得。同社の矜持が込められたビルだ。

 物件は、東京メトロ銀座線虎ノ門駅から徒歩3分、港区虎ノ門一丁目に位置する敷地面積約1,536.83 ㎡の鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階、地上11階建て、延べ床面積11,507. 82㎡。設計・監理は日本土地建物(設計統括)、日建設計(構造)、清水建設(設備)。施工は清水・坂田・日土地建設共同企業体。

 すべては紹介しきれないのでいくつかを紹介するが、おそらくこの中規模のビルでは最新の技術を導入したビルであることは間違いない。

 まず、屋上の太陽光パネルと屋上緑化。太陽光パネルは96枚を設置し、年間使用電力量の1%、20kwを出力。共用部の照明などに用いる。屋上緑化では11階ガーデンテラスにオリーブなどを植樹して日射負荷の低減を目指す。

 各フロアの共用部分には港区のみなとモデル二酸化炭素固定認証制度の認証取得を目指すため床には厚さ15ミリのクリ無垢材と厚さ12ミリの下地合板にはスギ材を、壁には再生土を含有させたタイルを採用している。

 窓にはエアフローウィンドウを採用。電動ブラインドは太陽光追尾センサーを設けることで昼光制御を行い、カーテンウォールに換気口を設置して、中間期の省エネと自然の風をビル内に取り込む。さらに、ゾーン別の空調、照明もワンタッチで調整できるようにしている。

 雨水の再利用では、雨水を地下のタンクに貯留し、ろ過した水を再生水として屋上・壁面緑化の自動灌水やトイレの洗浄水に使用する。トイレは断水した時でも利用できるトイレを一部に設置する。

 エネルギーの見える化では、1階のエレベータホールにデジタルサイネージを設けたり、入居者がパソコンで使用量を把握できるようにしており、省エネ対策に利用する。デジタルサイネージではニュース、天気予報なども見える。

 外構・壁面の緑化では、南側の壁面にプランター方式の緑化を図っている。プランターは各フロアで維持管理がしやすいよう工夫している。メイン道路に面した建物はピロティ方式とし、空地にはシマトネリコを植樹、ドライミストも設置する。

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太陽光パネル                             共用部分

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 記者はビルが専門ではないが、同社の矜持をみたような気がした。壁面緑化は今のビルやマンションでは当たり前と言えるかもしれないが、プランター方式にしていたのには驚いた。同じようなものは、森ビルの「元麻布ヒルズ」がマンションのバルコニーに自動灌水方式のプランターを設置していたのを見たことがある。

 階段室の照明にも驚いた。普段、照明はついていないが、ドアを開けると人の動きをセンターが感知してLEDの光を灯し、階段ステップには光を蓄える性能がある素材が採用されていた。

 トイレの水も手洗い水と洗浄を使い分け、断水のときでも手動で利用できるようにしている心配りが憎いではないか。

 CASBEE、LEEDについては省略するが、「S」ランクはまたまだ少ないし、LEEDはわが国でも認証を取得しているところが増えているが、「ゴールド」のもう一つランクが上の「プラチナ」は数えるほどしかない。

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敷地内緑化と壁面緑化

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 このような最先端の技術を採用したのが銀行系のデベロッパーというのも感慨深いものがある。バブル崩壊後、〝長銀系の優等生〟と呼ばれた日本ランディックを筆頭にたくさんの銀行・証券系と呼ばれたデベロッパーが破たんし、または会社清算などで市場から姿を消してしまったからなおさらだ。

 姿を消したデベロッパーをいくつか紹介する。ランディックとは対照的に〝長銀の劣等生〟と言われたエルカクエイ、三和銀行系の東洋不動産、三菱信託系の菱進不動産、日債銀系のアサヒ都市開発、東京相和系の朝日建物(朝日建物を銀行系にするには異論があるかもしれない)、大和証券系の大和土地建物、日興証券系の日興不動産などだ。

 金融系で生き延びたのは第一勧銀系の日本土地建物のほか、興銀系の興和不動産(現新日鉄興和不動産)と常和ホールディングス、富士銀行系のヒューリックぐらいしかない。

 日土地がバブルを乗り切ったのは、浮利を追わなかったのがその理由の一つだろうと思う。記者は「横浜白山」(430区画)「横浜あずま野」(547戸)「横浜戸塚台」(298戸)などの大型戸建て団地を取材してきたが、売れるからといってバブル期に大量供給することなく、そしてバブル後の苦しいときも街をつくりコンスタントに供給してきた。

 そして1999年。バブル崩壊後のどん底の経済状況の中からようやく立ち直りを見せたときだ。同社は法人営業部を立ち上げ、CRE(Corporate Real Estate=企業不動産)戦略支援ビジネスを始めた。「不動産は問題解決業」という視点だ。これが今日の伸張に繋がったのではないか。

 環境不動産のトップランナーだ。

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ドライミスト

カテゴリ: 2013年度

 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の「サービス」とは何か、その「お・も・て・な・し」を金額に換算したらいくらかについて考えてみた。

 そもそも、高齢者福祉行政については「特別擁護老人ホーム」「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」にも共通するように「特別」「有料」「サービス付き」などといった文言が枕詞として使用されているのかよく分からない。これは基本的には行政が高齢者の福祉や居住について「公的責任」を負い、行政の権限で「特別」に措置したり「有料」で住宅を供給したり、あるいは「サービス」を提供したりという権能を持つという意味が込められているように感じるのだが、この点はさて置くとする。

 サ高住の入居費用は「家賃」「共益費」「サービス費」の3つで構成されている。家賃は、一般的な賃貸住宅と同じようにいわゆる相場が基本となり、広さや設備仕様などによって異なってくる。高齢者住宅財団(財団)の調査研究によると、全国の全住戸(65,647 戸)の平均家賃額は64,178 円となっている。

 共益費は、主に賃貸住宅の食堂、ラウンジ、浴室など共用部分の維持・管理に充てられる費用で、財団によれば全国平均では18,470 円となっている。

 さて問題の「サービス」。サ高住について定めた「高齢者の居住の安定確保に関する法律」によれば、サ高住は、①状況把握サービス(入居者の心身の状況を把握し、その状況に応じた一時的な便宜を供与するサービス)②生活相談サービス(入居者が日常生活を支障なく営むことができるようにするために入居者からの相談に応じ必要な助言を行うサービス)③その他の高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供する-ことが必須要件となっている。

 財団によれば、状況把握・生活相談費用の全国平均額は19,479 円(0円を除く)で、「兼務が多く有資格も様々であるうえに、単体で収益をみるのではなく家賃や介護保険事業などを組み合わせて収益のバランスをとる場合があり、その費用の根拠は利用者からみると分かりにくいとの指摘がある」「費用が『0円』という物件も地方に行くに従い多くなる傾向がみられた」とある。

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 記者が注目したのは財団が指摘している「費用の根拠は利用者からみると分かりにくい」という一点だ。ホテル・旅館、飲食店などで「サービス料」として一律に10%徴収するのもよく分からないし、サービスが必須のサ高住でサービス料がゼロ円というのも解せない。

 サ高住における基礎的なサービスとは、状況把握・生活相談のほか、緊急時対応、アクティビティ、健康管理、フロントサービス、服薬管理、シャトル便・送迎、入浴、介護、洗濯・掃除、付き添い、配膳など多岐にわたっており、オプションとして食事、掃除・洗濯、付き添い、健康管理、買い物の代行、介護サービス保険外の自費支援サービスなどとしているところが多い。付き添いや健康管理などは基礎的サービスに含めたりオプションにしたりと事業主によりまちまちである実態も分かる。

 つまり、サービスとは何かを明快に示しているものはないということが分かる。

 しかし、それでいいのだろうか。例えが適当かどうか分からないが、「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」の単語に記者はリッツ・カールトンに反応する。2007年3月30日に「東京ミッドタウン」に開業した「ザ・リッツ・カールトン東京」で究極の「おもてなし」を体験したからだ。

 宿泊体験記には次のように書いた。「翌日昼ごろにも、感動的なもてなしを受けた。タバコを吸いたくなったので、ロビーで『タバコを吸う場所は外しかありませんか』と聞いたところ、『バーなら結構ですので、よろしかったらどうぞ』とスタッフが応えた。内心、真っ昼間から1杯2000円以上もするワインを飲まなきゃならないのかと思ったが、飲み物はオーダーしなくてもいいと言われた。こんなサービスをするホテル・旅館は日本中のどこを捜してもないだろうと思った(中略)ロビーからは生演奏のクラシック音楽が流れてきた」

 これが本物のおもてなしだ。富裕層なら間違いなくバーラウンジでビールなりワインなり飲んだはずだ。ホテルマンはプロだ。記者が富裕層でないのは一見して分かる。お金持ちにも貧乏人にも平等に対応してくれたスタッフに感動したのだ。タバコ1本吸うのに記者は数千円(もっとかも)の価値を見いだした。

 ホテルでは、リッツと対抗するマンダリン東京でも驚くべき対応を経験している。リッツが開業する約1カ月前だった。そのときの記事にはこう書いた。「宴もたけなわのころ、記者はワインを注文しようとカウンターに近寄った。そのとき、グラスが倒れ、ワインが記者のスーツにかかった。スタッフがすっ飛んできて『大丈夫ですか、失礼しました』とタオルでぬぐってくれた。むっとした記者は『大丈夫じゃない』と応えた。しかし、怒りは数秒で収まった。

 (中略)瞬時に考えたのは『マンダリンはこういうときどういう対応をするのだろうか』だった。ホスピタリティではリッツ・カールトンがライバルという同社の対応を体験するには絶好の機会だと思ったのだ。

 (中略)バンケットオペレーションズマネージャー氏がすぐ駆けつけてきて、丁重にお詫びを言ってくれた。ここまではどこのホテルでもやることだろう。次の言葉には、記者も驚いた。『「別室で着替えていただいても結構なのですが、着替えをお持ちでないでしょうから、ご自宅までうかがいます。クリーニングさせていただきます』とマネージャー氏が言ったのだ」

 この2つの世界的なホテルは、ホスピタリティはどうあるべきかを教えてくれる。サ高住だって基本的には同じだ。入居者が感動するようなザ―ビスを提供すれば、トラブルなど発生しないはずだし、室の高さは瞬く間に広がるはずだ。そうなれば高額のサービス料金も可能になる。

 質の高いサービスを提供するには大きな課題もあるように思う。サ高住を含めた医療・介護従事者の待遇改善だ。リッツ・カールトンは宿泊客を「淑女・紳士」と呼ぶ一方で、スタッフも「淑女・紳士」として処遇するようクレドで謳っている。医療・介護に従事するスタッフもまたそのように遇されないと高いホスピタリティは実現しないのではないか。現場のスタッフが「これは基礎のサービス」「これはオプション」などと説明することは大事だが、本来はそのような区別なしに入居者のために働くのがサービスではないか。

 サ高住の退去理由の4分の1は「入居者の死亡」だという。終の棲家で最高の「お・も・て・な・し」を受けられるようなサ高住を願うばかりだ。〝地獄の沙汰も金次第〟にならないよう国も支援すべきだ。

比類なきホスピタリティの高さリッツ・カールトン 記者も初体験(2007/4/2)

 

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「シノン青葉台」

 積水ハウスは12月12日、医療・介護事業報告会&「シノン青葉台」見学会を報道陣向けに行った。当日は同社専務取締役執行役員東京支店長兼コーポレート・コミュニケーション部長・平林文明氏ほか執行役員東京シャーメゾン事業本部長・堀内容介氏をはじめ医療・介護事業を担当する関係会社の幹部全員が揃い、同事業にかける意気込みを示した。報道陣も約40人が参加した。

 冒頭に挨拶した平林氏は、「医療・介護事業は、皆さん(報道陣)にはあまり認識されていないが、当社は大きな事業として位置づけ全国的にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を展開している。施設としてではなくあくまでもメーカーとしての住宅を深耕する方針、思いを見ていただきたい」と語った。

 同社は2011年11月にサ高住の登録が始まって以降、これまで東京、大阪圏を中心に全国で6,605戸(うち1,669戸が東京)の登録を行っている。主に自立型のアッパーを対象とした「グランドマスト」と、自立から要介護まで幅広い層を対象とした「Cアミーユ」で展開。住戸面積は全国の約7割が25㎡以下であるのに対し同社は25㎡以上を基本とし、施設ではなく住宅の延長として捉え、今後もグループ会社の積和不動産などと連携し、専用部材の開発、ユニバーサルデザインの深化などを進め他社との差別化を図っていく。年間売上高は250~300億円で、地方展開も視野に入れ近い将来1,000億円にする目標。

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ラウンジ

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 同社のサ高住を見学するのは昨年竣工した「マストライフ古河庭園」以来だが、今回の「シノン青葉台」(74戸)も募集開始2カ月で広い住居を中心に約5割の契約率というからかなり人気になっているようだ。

 注目したのは手すりだ。手すりは途切れないから機能が果たせるのだが、実際はほとんどの施設・住宅もそうはなっていない。今回の物件もすべてがつながっているわけではないが、機械室や防火扉、メーターボックスにも手すりがついていた。浴室には6カ所ぐらいについていた。どこよりも早くメーターモジュールを採用し、ユニバーサルデザインに取り組んできた同社だからできることだ。

 サ高住は今後も伸長が期待できる。全国に約215万戸もの住宅を建設してきた同社の実績がものをいうのだろう。

 物件は、東急田園都市線青葉台駅からバス7分徒歩6分の横浜市青葉区桂台2丁目に位置する3階建て。居室面積は27.28~62.20㎡。健常棟と介護棟に分かれているのが特徴で、将来的には介護棟は有料老人ホームとして利用できるようにしている。

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手すり(他社の物件ではこの消火設備の部分の手すりが途切れているものが多い)

子育て支援と高齢者向けの複合賃貸マンション「マストライフ古河庭園」(2012/3/1)

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、「住まいるCafe鶴見東」店舗内

 ナイスが東京都・神奈川県の17カ所で展開する「ナイス住まいの情報館~住まいるCafe~」の一つ、「住まいるCafe鶴見東」を見学した。

 「住まいるCafé」は、土地や中古マンション・戸建ての売買仲介にとどまらず、マンション・一戸建て、新築・中古、購入・売却・賃貸、住宅建築・リフォームなどあらゆる住まいに関してワンストップで対応するソリューション型店舗で、2010年から展開しているもの。店舗の外観には「レイヤードブラウン様式」を採用し、木質内装材を取り入れたサロン風の内装に仕上げ、無料でコーヒーを提供するなど気軽に入れるよう工夫を凝らしている。

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 記者はアポなしで訪ねたが、スタッフに「どうぞ、どうぞ」と気軽に応じてもらい店舗のつくりなどを見学した。貰ったチラシには中古マンション・戸建ての情報だけでなく、同社グループ以外の物件を含めた新築物件、賃貸物件も紹介されており、エリアの飲食店紹介、イベント情報も盛り込まれていた。

 約6畳大のサロンは無料で市民に提供されており、クリスマスツリーづくり教室、陶器キャンドル入れづくり、地震体験車体験会、出張サンタなどのイベントが予定されていた。無料の工具貸し出しサービスも開始していた。

 スタッフは「毎日、コーヒーだけを飲みにいらっしゃるのも大歓迎です」と笑った。

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イベントコーナー

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 一度は何らかの形で同社と取引した顧客でないとコーヒーだけを飲みに立ち寄るのは難しいと思ったが、CSR活動の一環と考えればこの取り組みは評価できる。さらに進めて生活相談・子育て・税金相談なども可能ではないか。「不動産仲介」のイメージを一変させるはずだ。

 かつて同社・平田恒一郎社長が「闇雲に首都圏全域で事業展開するつもりはない。地域のお客さんに評価される地域ナンバーワン企業を目指す」と語ったのを記憶している。本拠のある鶴見を中心に川崎エリアのマンション市場占有率は3割を越えないはずだ。地域の実情、顧客の志向を熟知しているからこそ、70㎡台で4LDKのプランが生まれる。当面は供給を増やしている戸建て事業に注目だ。

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コーヒーコーナー

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リファイニングについて講演する青木氏(ミッドタウン東京で)

 三井不動産と三井不動産レジデンシャルが12月8日に行なった「マンション再生セミナー」を取材した。セミナーでは、老朽化マンションの課題である①耐震性②設備の老朽化③設備・間取りの陳腐化に対して生命の危機、資産の危機をどう克服するかについてリファイニングによる長寿命化と建て替えによる再生の2通りの将来設計のプランを示した。リファイニングについては、青木茂建築工房・青木茂主宰(首都大学東京特任教授)が、建て替えの留意点についてはアークブレイン・田村誠邦社長(明治大学特任教授)がそれぞれ講演した。

 まず、青木氏の講演を紹介する。田村氏の講演は改めて紹介する。

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 青木氏は、リファイニング建築とは躯体構造を基本的にはいじらないリノベーションやリフォームとは異なり、徹底して耐震性、施工精度、コンクリートの中性化などを精査し、一度スケルトンに戻してから、用途に応じデザインや機能を一新することで新築並みの価値のある建築物に蘇らせるものと説明した。

 青木氏は建築確認書類や検査済証など一切ない建物の再生や、入居率の悪い賃貸住宅を居ながらにして再生して利回りの高いものに再生した事例、屋外廊下や階段室を室内化した事例、賃貸を分譲にした事例などを紹介。

 リファイニングに当たっては①建築確認を取得すること②検査済証を取得すること③家歴書を作成すること④コンクリートの中性化を確認すること-の4点が重要であることを説明した。また、既存-現在-将来の120年ぐらいの時間をどうデザインするかが重要で、それぞれ構造、意匠、用途について30~40年に1回ぐらい見直すべきと強調した。

 また、今後の課題として、①建築技術の伝承②雇用の促進③耐震診断のデータベース化④法の整備-の4点について話した。耐震診断をデータベース化すれば、診断スピードが飛躍的に高まり、再生しやすいよう条例の整備も必要と語った。また、建築物の再生に関する教育も必要とし、国交省や文科省には「再生建築学」の専門のコースを設置すべきと提案している。

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 青木氏は、「プランについてはいつも所員とけんかしている。ピンクや赤の壁などを提案する所員にグリーンを主張した私はことごとく敗れている」と会場を笑わし、「これまで500件以上の案件を手がけてきたが、実ったのは50件くらい。リファイニングがなかなか進まないのは、私の社会的評価が低いのだと判断して、思い切って築40年の古いビルを買ってリファイニングした。港区のYSビルがそれで、1、2階は賃貸とし、3~4階は自宅にした。『Y』は女房の『S』は私の名前」などと、自らが人体実験したことを紹介した。

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 黒川記章氏や磯崎新氏などが設計した建築物を青木氏が再生したのはリリースなどで知っていたが、これまでどのような仕事をされてきたのかよく分からなかった。そして驚いたのが、別掲の「千駄ヶ谷」の賃貸マンションを分譲に再生するプロジェクトの見学会だった。何と300人も見学者が集まった。「只者」ではないと思い、青木氏に失礼だとは思ったが、「失礼ですが、その道では知られた方なのでしょうか」とお聞きしたところ、「自分では判断に困ります」と返された。

 そこで青木氏の事務所のホームページをみた。「日経アーキテクチュア」(2013/10/10)の「発注したい設計者・施工者ランキング」の設計者好感度ランキングで何と17位にランクされているではないか。トップは日建設計、2位は日本設計、3位は三菱地所設計、4位は隈研吾氏、5位は伊藤豊雄氏、6位は山本理顕氏…11位に安藤忠雄氏と磯崎新氏、13位がNTTファシリティーズ、14位が久米設計…そして17位が青木氏だ。そのあとにはプランテック、松田平田、山下設計、石本建築設計、梓設計、アール・アイ・エー、東急設計など錚々たる建築家・設計会社が続く。

 ものを知らないことがこれほど恥ずかしいことだと改めて思い知らされた。取材をお願いしたのは、青木氏についてもっと知るためだった。「YSビル」の取材はさせていただけないだろうか。

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「マンション再生セミナー」

千駄ヶ谷のリファイニング建築に見学者300人(2013/11/12)

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」のモデルルームを見学して

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」全体外観

 大成有楽不動産、京浜急行電鉄、菱重エステート、長谷工コーポレーション、ナイスの5社が12月7日から分譲を開始する横浜市鶴見区の大規模マンション「オーベルグランディオ横浜鶴見」(全553戸)もモデルルームを見学した。

 千代田化工建設の本社・研究所跡地を再開発するもので、周辺にある企業や大学と協力して工場見学、スポーツ観戦、さらには子どもからシニアまで幅広い世代交流ができるプログラムが計画されているマンションだ。

 今回のマンションに限ったことではないが、高さが7階建てに制限されていることについて触れたい。

 横浜市では現在、地区計画や市街地環境設計制度などで緩和許可を受けたものを除きほぼ全域に用途地域や容積率によって建物の絶対高さが第1種高度地区から第7種高度地区まで7段階わたって規制されている。第1種が10m、第2種が12m、第3種が15m、第4種から第6種が20m(斜線制限もあり)、第7種が31mだ。

 今回のマンションが建つエリアは順工業地域で、高さ制限は20mなので7階建てになっている。

 この数値でも分かるように、10-15-20と5ないし10m刻みで規制がかけられている。31mというのは100尺(1尺は約30.3cm)で、尺貫法を用いていた時代の名残だ。つまり旧来の尺貫法をmに置き換えただけで、10mも20mも根拠はあいまいだ。

 記者は以前からこの建物の絶対高さ規制には反対してきた。建物は機能とともに美しさも大事だと思う。機能面で言えば、居住性能を考えれば階高は3mぐらい必要だし、最近では3.4mぐらい確保したマンションもある。つまり、高さ規制は3~3.3m刻みで行なうべきだし、居住性能の高いものについては、日影規制もあるだろうが、さらに高さ規制を緩和すべきだと思う。

 したがってこの20m規制は住宅のレベルを押し下げるものとして機能する。さらに言えば、戸数を抑制することから地価を押し下げるとともに、その逆に規制内で最大の利益を追求するならば分譲価格を絶えず押し上げる要因としても働く。

 美しさはどうか。建物のスカイラインが一定なのは美しいともいえるし、そうでもないといえる。難しい問題だ。街並みから突出したスカイツリーは本当に美しいのか、山頂に突き出た大仏像は美しいか。近くで見るのと遠くから眺めるのとではまた違ってくる。建物の高さと景観美は重要な要素ではあるが、絶対的な相関関係はないと思う。

 今回のマンションで言えば、高さ規制を守り、容積率をこなすため単調な板状の外壁が建ち並ぶことになる。それよりも、高さ規制を緩和して、公開空地、緑地を十分確保したほうが街並みとしては美しくなると確信する。

 建築物の高さ規制は居住性能と街並み景観の視点からもう一度見直すべきだと思う。

大成有楽不動産他「オーベルグランディオ横浜鶴見」販売開始へ(2013/12/5)

絶対高さ制限の背景にある100尺規制とは(2008/6/10)

 

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「(仮称)新日比谷プロジェクト」完成予想図

 三井不動産は12月6日、千代田区有楽町一丁目の「三信ビルディング」(昭和5年竣工)および「日比谷三井ビルディング」(昭和35年竣工)の跡地を一体開発する「(仮称)新日比谷プロジェクト」が同日、都市計画決定されたと発表した。

 計画地は、日比谷公園、日生劇場や宝塚劇場、スカラ座・みゆき座などの劇場・映画館、帝国ホテル東京などに隣接するとともに、国際的なビジネス拠点である大手町・丸の内・有楽町地区、官公庁が集積する霞が関地区などにも近接。
 同社は、この立地条件を最大限に活かし日比谷地区を日本橋地区に続く都心におけるスマートシティ第2 弾として進化させ、東京の都市再生に貢献できる街づくりを推進する。

 計画では最新のBCP 性能を備えたオフィス、都心の賑わいを醸成する商業施設などを主要用途とした大規模複合ビルを建設するとともに、計画地内のオープンスペースと隣接する千代田区の広場を一体的に整備することにより、まちの中心に約4,000 ㎡の広場空間「(仮称)日比谷ゲートプラザ」を創出する。

 敷地面積は約10,700 ㎡、建物は地上35階建て、地下4階。2014年度に着工し、2017年度に竣工予定。

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 「ECO ONE(エコワン)」など「エコプロダクツ2013」に初出展

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「ECO ONE(エコワン)」
 

 リンナイが12月12日(木)~14日(土)、東京ビッグサイトで開催される日本最大級の環境展示会である「エコプロダクツ2013」に初出展する。

 「HYBRID ECO LIFE(ハイブリッド・エコライフ)」がテーマで、電気とガスを利用する掃除用効果で環境性、経済性、快適性に優れた世界初のハイブリット給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」など3つの製品技術を紹介する。

 「ECO ONE(エコワン)」は2010年に発売した商品で、電気のヒートポンプで少ない電気量で効率よく湯を沸かし、ガスでいつでも利用できる十分な給湯を実現した。ヒートポンプと高効率給湯器を組み合わせた家庭用給湯・暖房システムは世界初。家庭で使われるエネルギー効率は、ラインナップを広げることで一次エネルギー効率は従来の107%から現在は業界最高レベルの125%を達成したという。一次エネルギーとは、石油・石炭・天然ガスなどの自然界にあるエネルギーのことで、この一次エネルギーを電気やガスに変えて利用している。投入した一次エネルギー量に対しどれだけのお湯を得られたかを比率で示したのが「給湯器における一次エネルギー効率」と呼ぶ。

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 この「ECO ONE(エコワン)」もいいが、記者は同社製のガスコンロとIHヒーターの両方が利用できるハイブリット調理台をトーヨーキッチンで見てから忘れられず、その後どうなっているのか聞きたくて問い合わせた。

 同社担当者によると、ガスも電気も利用できるハイブリット調理台は海外のメーカーが以前から発売しているが、わが国ではガスコンロは過熱防止や消し忘れ消化機能などを盛り込んだSIセンサーを平成20年4月から装備しなければならなくなり、海外製品はわが国から撤退したという。

 リンナイが開発したハイブリット調理台は、横幅が30㎝×3枚ユニット=90㎝とスペースも取り、それだけ価格も高くなるので一般にはなかなか普及しないのだという。また、もともとガス会社と連携してきたため、電気(IH)は扱いづらいという背景もあるようだ。

 しかし、ガスもIHも併用できたらいいと思うユーザーは相当いるはずだ。小型のハイブリット調理台が開発されたら大ヒットするのではないか。

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講義する鯉沼教授(帝京大で)

 三菱地所グループの三菱地所リアルエステートサービス(旧・三菱地所住宅販売)、三菱地所ホームの社長を務め、三菱地所顧問兼京葉土地開発社長を最後に2010年4月に退職し、2011年4月から帝京大学経済学部経営学科教授を務める鯉沼宏治氏(69)の講義を聴講し、歓談させていただく機会に恵まれた。

 不動産会社から大学の教授になったのは現在、テレビのコメンテーターとして活躍されている東京都市大学教授・涌井史郎氏しか記者は知らない。涌井教授は東急不動産グループの石勝エクステリアの社長を務めていた。

 なぜ大学教授になったのか。鯉沼氏は「リタイアしたら気ままに暮らそうと思っていたら、知人から「実業界で経験を積まれた方を求めている大学がある。社会の現場が求めている人材を育てるお手伝いをする気はないかと話を持ち掛けられた。女房に相談したら、『まだのんびり引退する歳でもないでしょ』と勧められ、これも何かの縁だと思って決断した」と教授を引き受ける経緯を語った。

 「自分が学生のときは、勉強より遊び優先の不真面目なほうだった。1回90分、年間90回も何を話せばいいんだろうかと正直不安でしたね。でも、やる以上はいい加減なことはできないので必死に準備しましたよ。これほど力を入れて勉強したのは初めての経験じゃないかなぁ。最初は戸惑ったが、そのうちに90分では足りなくなった。単に企業戦略の講義だけでなく、実社会では、あらかじめ決まった正解はないという事を前提にして、自立した人間として求められる教養的なものにも学生の関心を高めるために、その時々のニュースを話題にするようにもしたし、質疑応答やグループディスカッション形式の授業も増やし学生と双方向型の授業ができるようになった。この前は憲法改正と安全保障問題についても議論した」とこれまでの講義を振り返る。

 鯉沼氏は1944年生まれ。横浜国大を卒業後、1967年4月、三菱地所に入社。2000年6月に同社取締役兼三菱地所住宅販売(現・三菱地所リアルエステートサービス)社長、2003年4月、同社取締役常務執行役員兼三菱地所ホーム社長、2004年6月、同社取締役専務執行役員兼三菱地所ホーム社長、2008年、三菱地所顧問兼京葉土地開発社長に就任した。来年3月で帝京大学教授も定年で退職する。

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 16:30~18:00の鯉沼教授の「企業戦略」の講義を聴講した後、ロードサイドのレストランで話を聞いた。鯉沼教授は車を運転するのでノンアルコール、遠慮などしたことのない記者は日本酒。

 鯉沼教授は次のように思い出を語った。「大学を卒業して、就職するなら身近で夢があり形として残る不動産か建設に決めていた。最初に試験を受けたのが三菱地所。中田(乙一)専務(当時。のちに社長)から面接を受けたが、あの頃の就職試験はおおらかでしたね。当時の地所は発展途上にあり、知名度も今ほど高くありませんでしたが、株をやっている叔父から『いい会社に入った』と褒められた」 

 「戦後復興から高度成長期の丸の内の再開発は区分所有法などの法制度も萌芽期で、建設資金の調達もままならない時代。賃料とは別に地所で独自に発案した建設協力金を募って事業を進めていた」 

 「(1974年の)三菱重工ビル爆破事件では、重工ビルの担当責任者として、現場保全をかたくなに主張する捜査陣に対して『我々もお客さんの財産を守る責任がある』などと丁々発止のやりとりをして業務再開に取り組んだ。割れた2,700枚のガラスを旭硝子さんやゼネコンが協力して集めてくれたのはうれしかった」

 「再建を託された三菱地所ホームでは、『うちの売りは何だ』と徹底して社員と議論して、その後のエアロテックの商品戦略につなげた。なかでも一番重視したことは、住宅は『お客様の大切な人生をお預かりする仕事』との想いを、社員一人一人が共有することでCSR活動にも取り組んだこと」

 鯉沼教授の話がはずめばはずむほど記者の酒も進んだ。5杯は飲んだはずだ。取材メモの最後には「退職したら地球一周する…来年7月にピースボートに乗船、横浜から出港して10月に横浜に戻ってくる」「ハワイ-中米-南米-アフリカ-スペイン-黒海-トルコ-エジプト-スリランカ-東南アジア」

 「(奥さんに)お前、どうする? 」「3カ月も狭い船の中はいや」などと文字がのた打ち回っている。(つまり、奥さんには断られたのか、もっと広い部屋を取れと言われたのか…メモには○○○万円と料金も書いてあるので2人一緒なのは間違いない?)
 鯉沼教授の第3の人生にボン・ヴォヤージュ!

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カテゴリ: 2013年度
 

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