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小林教授

旭化成ホームズ 第12回「くらしノベーションフォームラム」

 旭化成ホームズは1月21日、第12回「くらしノベーションフォームラム」を開き、千葉大学大学院教授・小林秀樹氏が「ナワバリ学で家族と住まいを読み解く」をテーマに講演を行った。

 小林氏は、「ナワバリ学は30年前、私が博士号を取ったテーマで、その後長らく空白期間があったが、もともと私の原点」と前置きし、「ナワバリ」とは「その場所を自分(たち)のものだと思い、そこをコントロール(支配)しようとする一定の空間」と定義づけた。そのナワバリを研究しようと思ったのは、外廊下が居住者の〝たまり場〟になっている団地は防犯性が高いことがきっかけだったという。

 そこからさらに「居心地の良い住まいとは何か」に発展させ、昔の封建家族(順位制)=個室のない住宅から居室と個室に分かれた平等家族(ナワバリ制)に移行した結果、家族は平等なナワバリを持つか、夫婦寝室はどうか、子どもは家にナワバリを持つか、親子のナワバリ争いはどう鎮めるかなどを研究。部屋の家具配置やしつらえを誰が決めるか、誰が管理するかがカギであることを突きとめた。

 マンションに多くみられるnLDK(n=居室の数)は母主導型であるとし、こどもが居間で意見を言う度合や子ども部屋を親が決定するのか子どもが決定するのかによって、「自立」「分離」「密着」「従属」の4つのカテゴリーに分類。調査研究の結果、都市住宅は「母主導型」であるとしている。また、人間集団を相互依存的(集団主義)か独立的(個人主義)か、権威を重視する垂直的関係か、契約を重視する水平的関係かを見た場合、わが国の家族は封建家族から順位制を残した温情家族へ、さらに子どもの成長とともに母子による友愛家族へと変化していると結論づけた。

 小林教授は、個室化の進展にもかかわらず家族温情主義が残るのは、玄関で靴を脱いで床上にあがる生活様式「床上文化」が影響していると指摘。日本の住まいの特徴は、①順位制の性格が根強く残る②夫婦平等のナワバリは少なく、夫婦別寝室も多い③親子の触れ合いを重視する「居間中心型」が急増④「床上文化」が家族温情主義を生み出す-とし、「理想の間取りは普通の間取り」とした。「居間と和室がつながる」形態は住みこなしやすい優れた間取りとも語った。

◇              ◆     ◇

 記者は社会・経済・家族の環境が人格形成にどのような影響を及ぼすかずっと考えてきた。家族の関係でいえば、昔の囲炉裏は今のLDKよりはるかに優れていると思っている。囲炉裏には家族だけでなく近所の人たちが集まり、農作業の出来不出来や政治の話、色恋沙汰までもあからさまに話し合っていた。子どもは父親が囲炉裏の灰に書く文字で漢字の書き順や足し算引き算も覚えた。読み書きそろばん(そろばんは経済の意味も含む)は囲炉裏で覚えた。

 今のマンションはどうか。田の字型の間取りは相変わらずだし、夫婦二人の主寝室と子ども部屋の大きさがほとんど変わらないマンションも多い。個室は孤独・孤立の「孤室」ではないかとも思う。「子育て」がテーマになればみんな右に倣えだ。似たような間取りのオンパレードとなる。

 そんな現状に飽き飽きしている記者は、小林教授が「理想の間取りは普通の間取り」と話したときは、肩透かしを食らったような気分になった。小林教授は自著「居場所としての住まい ナワバリ学が解き明かす家族と住まいの深層」(2013年、新曜社)で次のように述べている。

 「日本の家族の実態は、言論が示す以上に保守的であり、かつ健全だ。重要なことは、その先鋭的な例が、これからの趨勢になるものの先取りか、それとも、単なる特殊例にすぎないのか見きわめだ」(87ページ)「現実は、言論をあざ笑うようにnLDKの定着へと進んでいる。このような現実を踏まえると、私たちは言論に過剰に反応することなく、個室やLDKを当たり前のこととして受け入れるべきではないだろうか。むしろ、注目すべきはそれとは別の問題だ。具体的には、中廊下形式の見直しと、外部社会に対する住まいの閉鎖性の見直しだ」(88ページ)

 間取りも含め住居が人格形成にどのような影響を与えるかについては、建築学はもちろん社会学、教育学、心理学などの様々な分野からの分析・研究もなされている。この先どうなるか見極めたい。

 ひとつ、これからの住宅の商品化に参考になりそうな小林教授の考えを紹介する。小林教授は「これからの住まいの条件」のひとつとして「地域の人が気軽に訪問しやすいように玄関は引き戸にするとともに、LDKの窓を近くに配置する。引き戸であれば、全開や半開きにしておき、『暇だから、どうぞ入って』というサインとしても利用できる。逆に、プライバシーを大切にしたいときは、引き戸を閉じるとともに、窓のカーテンを閉めればよい」(101ページ)としていることだ。

 本日行われた積水ハウスの新商品発表会でもこの「玄関引き戸」が提案されていた。記者は分譲マンションにも採用できるのではないかと質問したが、同社は「分譲にも十分対応できる」と話した。

〝複合〟でつなぐ地域の暮らしと福祉「もう一つの住まい方推進協議会(AHLA)」フォーラム(2010/11/29)

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「BEREO PLUS(ベレオプラス)」完成予想図

 積水ハウスは1月22日自宅や賃貸住宅、店舗などの多様な用途に対応する4階建て複合型多目的マンション「BEREO PLUS(ベレオプラス)」を1月24日から発売すると発表した。

 国交省の住宅着工データによると、2011年を100とした場合、2013年の3階建ては108(40,500棟)で、4~5階建ては124(3,290棟)と伸び率が大きく、一般市場では3階建てが92%、4階建てが8%であるのに対し、同社の契約棟数は3階建て比率が98%で4階建ては2%にしか過ぎず、マーケットとして伸びが期待できるとして投入したもの。

 新商品は、躯体工事費がRC造より安く、工期も短くて済み、梁勝ちラーメン構法「βシステム構法」を採用することでフロアごとに異なるプランにフレキシブルに対応するとともに最大8mの大スパンを実現した。このほか石張りのエントランス、セキュリティシステム、高遮音床システムなどを採用して高級マンションのクオリティを追求しているのが特徴。

 このほか、レンタブル比が外階段方式では80%を下回るケースが多いのに対し、室内階段室を採用することで85%くらいに高めることができ、玄関引き戸、子どもを基準にした独自技術「空気環境配慮仕様・エアキス」などを採用することで差別化を図っている。

 構造は重量鉄骨造4階建て、販売地域は全国、価格は3.3㎡当たり70万円から(本体価格のみ。消費税込み)。販売棟数は240棟/年。

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室内と室外を心地よくつなぐ広々とした開放的な空間「スローリビング」(左)と大開口、大空間の店舗

 

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山根理事長            太田国交相

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新年賀詞交歓会(帝国ホテルで)

 マンション管理業協会(管理協)は1月14日、新年賀詞交歓会を開き、山根弘美理事長(ダイワサービス社長)は今年のテーマに「プレゼンス」と「友好団体・自治体との絆の強化」の2つを掲げると挨拶。そのキーワードとして「A・KA・RU・KU(明るく)」を掲げた。「明るくのア(A)は安全」「カ(KA)は快適」「RU(ル)はちょっとこじつけだがロングライフ」「ク(KU)はコミュニティ」と説明した。

 来賓としてあいさつした太田昭宏国交相は、「マンションは2つの高齢化、一つは入居者の高齢化、もう一つは建物の高齢化。双方とも極めて重要な課題で、国交省としても皆さんと協力して課題に対応していく」と述べた。

◇        ◆     ◇

 冒頭のあいさつで山根理事長は「プレゼンス」を強調した。それには次のような理由がある。

 山根理事長は、「年末年始のテレビで『うれしいCM』と『気になるCM』を見た。うれしいCMは長谷工コーポレーションさんのもので、気になるCMは缶コーヒーのものだった」と語った。

 缶コーヒーのCMには、マンション管理人役に扮した宇宙人が「この惑星はどんな仕事も誰かの役に立っている」と語るシーンがあり、山根氏はこの「どんな仕事でも」というフレーズに「カチンときた」そうだ。

 第三者からすればCMはコミカルなものに映るが、当事者からすればそうは映らないようだ。山根氏自身、マンションの管理人の仕事をしていただけに言葉には重みがある。言われてみると、マンション管理人が居住者のクレームなどこまごまとした仕事をこなしていることに対する慰め・同情・蔑みの意が込められていると取れなくもない。

 山根氏にしてみれば、全国で600万戸、1,500万人も居住するマンションの安心・安全を担っている仕事が「どんな仕事でも」と誰でもできる仕事と取られるのは心外であり、そうした世間の評価を変えるためにも「プレゼンス」が必要と感じたに違いない。

 賀詞交歓会に来賓として挨拶した公明党マンション問題議員懇話会・井上義久会長も「マンションの質と寿命はマンション管理にかかっている。いい管理をすれば価値は上がるし寿命も伸びる。山根理事長が仰ったプレゼンスはその通り。この言葉がキーポイントになる」と山根氏にエールを送った。

 管理協がどのような存在感を示すか、今年は注視したい。

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「グランドメゾン狛江」の中庭

 積水ハウスは1月10日、「3本は鳥のために、2本は蝶のために」のスローガンを掲げ2001年から取り組んできた住宅緑化プログラム「5本の樹計画」が2013年12月末で植栽本数が1000万本を達成したと発表した。

 「5本の樹計画」は、①自然の豊かさを楽しむ住まいづくり②資産価値の向上③生態系の保全-の3つの目的のために行なっているもの。

 庭に季節の移ろいが感じられる野鳥や蝶、虫が飛来する環境をつくり、室内と緑側空間や土間空間とつなげることで快適な住空間を実現。戸建てやマンション、賃貸住宅レベルでも生態系の復活を目指している。

 経年変化とともに樹木が育ち、美しい街並みや景観、良好なコミュニティ形成にも貢献することで、隣接エリアを上回る基準地地価を形成している「シーサイドももち」などの例も報告されている。

 生態系の保全では、同社は全国6カ所の大規模分譲地で「いきもの調査」を継続して行なっており、効果の著しい分譲地では1年前と比較して鳥類が3種から8種、昆虫が4種から32種に増えるなど、生態系の回復に効果があることが実証されている。

 同社は、エクステリア事業の売り上げが500億円規模となる日本一の造園会社。全国80社の植木生産者や造園会社とのネットワークを構築。社内資格として「グリーンエキスパート」を設けている。2006年に認定を開始して以来、68名がエキスパートとして認定されており、うち15名が「樹木医」の資格を持つ。

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プレハブ建築協会の新年賀詞交歓会(千代田区・如水会館)

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和田会長

 プレハブ建築協会は1月10日、恒例の新年賀詞交歓会を開いた。冒頭、挨拶に立った和田勇会長(積水ハウス会長兼CEO)は、「安倍政権のアベノミクス効果により円安・株高へ進み、デフレ脱却に向けて、日本経済は回復の兆しが見えてきた。懸念された消費増税は、住宅ローン控除の拡充・給付金措置などによる緩和効果も見られ、反動は限定的とみている。大きな課題である環境・エネルギー問題に取り組むためにも燃料電池への補助とか、家の資産価値を高める大型リフォームに対する建築基準法の緩和などをお願いしたい」と話した。

 来賓として壇上に上がった甘利明経済再生担当大臣は、「こうして立っておりますが、まだ滑舌がうまくいきません。先日、小池百合子議員にこのことを話しましたら『いいじゃない、二枚あるから』と言われまして」と会場を笑わせた後、「住宅は消費税が上がる前と上がってからも負担は同じということを、みなさんしっかり宣伝してください」と語った。

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甘利大臣

◇       ◆     ◇

 一昨日の不動産協会の賀詞交歓会と同様、会場からは消費増税の影響は小さいという声が圧倒的に多かった。

 記者も同じ考えだ。不動産協会やプレハブ協会などの会員会社がターゲットとする顧客はどちらかと言えば大手企業などに勤めるサラリーマンが多い。何とか乗り切れるのではないかとみている。

 和田会長も「うち社員の給与? 当然上がるでしょ」と言えば、副会長を務める樋口武男氏(大和ハウス工業会長)も「実質経済をよくするためにはサラリーマンの給与をあげないといけない。うち? うちはやりますよ」と話した。

 しかし、それ以上に心配なのは建築費の上昇、職人不足問題をどうするかだ。和田会長は「インフレ基調に進む。大丈夫」と話したが、樋口副会長は「いい知恵があったら教えて」と懸念した。

 仮にマンションの価格が10%上昇すれば、ローン減税・給付金の額が吹っ飛ぶ。増税による逆進性は第一次取得層の家計を直撃する。どこまで上昇分を吸収できるのか、目が離せない展開になってきた。

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樋口副会長

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 野村不動産アーバンネットは1月8日~2月28日、第2回「ありがとう、わたしの家」キャンペーンを開催する。期間中、「家と家族に関する思い出」のエピソードとそれに関連する写真を募集。応募者の中から入賞作品を選定、入賞エピソードをもとにショートムービーを制作し、YouTubeノムコム公式チャンネルにて公開する。入賞者にはグランプリ賞としてJCBギフトカード10万円分(1名)などが贈られる。

 また、キャンペーンサイトおよびYouTubeノムコム公式チャンネルでは、昨年実施した第1回キャンペーンのグランプリ受賞作品をもとに制作したショートムービー「最後のケーキ」(主演:馬渕英俚可)の放映を開始した。

 詳しくは次の第2回「ありがとう、わたしの家」キャンペーンサイト、YouTube ノムコム公式チャンネルへ。

 http://www.nomu.com/campaign/episode/

http://www.youtube.com/user/Channelnomucom

 

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不動産協会・不動産流通経営協会(FRK) 合同新年賀詞交歓会(ホテルオークラ東京で)

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木村氏              竹井氏

 不動産協会と不動産流通経営協会(FRK)は1月8日、恒例の合同新年賀詞交歓会を開いた。アベノミクス効果で経済が上げ潮にあることから参加者からは威勢のいい声ばかりで、消費税率のアップを懸念する声はほとんど聞かれなかった。

 冒頭挨拶に立った不動産協会理事長・木村惠司氏(三菱地所会長)は、「アベノミクス効果は雇用や株価、経済に波及し順調に推移している。消費税率が8%に上昇することは多少の懸念材料ではあるが、デフレを脱却し成長軌道を描く成長戦略を築かなければならない。マンション市況は好調だし、オフィスの空室率も下げ基調に向かう。建築費の上昇問題はあるが、ことに当たっては時に大胆に時に慎重に対応し、国民生活の向上と経済成長に貢献しよう」と呼びかけた。

 乾杯の音頭を取った不動産流通経営協会理事長・竹井英久氏(三井不動産リアルティ社長)は、「買い取り再販事業やローン減税など流通市場の活性化に力強い支援策が講じられた。今年は景気回復が実感できる年にしたい」「高度化、多様化、複雑化しているお客様のニーズに対応する流通システムを構築し、流通市場活性化政策に応え内需拡大につなげよう」と挨拶した。

 来賓としてあいさつした太田昭宏国交相は、「今年は心のデフレを打ち破り、景気回復が実感できる年にするとともに、2020年ではなくさらに先の2050年の未来を指向して街づくりを進める。皆さんと一緒になってそのエンジン役を果たしていく」と語った。

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左から木村氏、岩沙弘道会長(右端が杉山氏)、

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 以下、今年の抱負などについて参加者の声を紹介する。(順不同)

三菱地所社長・杉山博孝氏 年末年始の商業施設は大変な賑わいを見せた。今年は一言でいえば「イノベーション」。今までの停滞していた流れを突き破る勢いのある年にする

コスモスイニシア社長・高木嘉幸氏 生活者が経済成長を実感できる年にしなければならないし、持続可能な企業としての足がかりの年にしたい

ナイス社長・平田恒一郎氏 建築費の上昇、職人不足の問題はあるが、わくわくするような活気ある年にしたい

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ナイス・平田氏(左)とコスモスイニシア・高木氏

三井不動産顧問・松本光弘氏 失われた20年を取戻し、向こう20年に向けた成長戦略を描くためにも今年はもっとも重要な年になる

野村不動産ホールディングス社長・中井加明三氏 マーケットがよくなるのは間違いない。一方で建築費の上昇をどう抑え、企業努力で吸収するかが大きな課題だが、それを行うのが私に与えられたミッションだと思う

野村不動産ホールディングス副社長・松本聖二氏 ことしもガンガン行きますよ(松本氏が弱音を吐いたのを聞いたことがない)

総合地所専務・長谷川治氏 わが社の持ち味である商品企画力を生かし、大手のすき間を狙っていく

日神不動産会長(全国住宅産業協会理事長)・神山和郎氏 4月以降よくなるとみている。経団連もサラリーマンのベースアップを後押ししているように、所得が上がるとみているからだ。当社? 検討中だ(リーマンショック後、会員会社の破たんが相次ぎ、いつも慎重な構えの神山氏が久々に前向き発言をした)

三井不動産取締役・飯野健司氏 アップワード(upward)、つまり上昇あるのみ

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三井不・飯野氏

明和地所専務・藤縄利勝氏 前進あるのみ。マンションの売れ行きはいい。建築費の上昇懸念はあるが、ゼネコンと仲良くなるのがヒント

オープンハウス社長・荒井正昭氏 さらに成長する年にする。可能性? もちろん十分ある(東証上場2年目。真価が問われる)

オープンハウス・ディベロップメント社長・福岡良介氏 マンション、戸建てとも量的拡大を目指す。マンションは建築費の上昇で仕入れが難しくなってきたが、1~3月で巻き返す

山万常務・林新二郎氏 オリンピック開催の2020年に向け、日本の街づくりのプロトタイプを世界向け発信していくた第一歩としたい。今年は大学の誘致も実現しそう(ご存じ「ユーカリが丘」で〝奇跡の街〟を造りつつあるデベロッパー)

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山万・林氏

安田不動産常務・岡光真従氏 賃貸事業では賃料上昇に期待したいが、テナントさんに無理強いするようなことは避けなければならない。建築費は10年タームで考えることも必要

オークラヤ住宅会長・上田順三氏 リーマンショック後、かなりプレイヤーが減少したが戻りつつある。景気上昇の波に乗り裾野を広げたい。長期スパンで体制づくりを進める必要もある

住友林業執行役員・町野良治氏 今年は国産材の活用を図るのが喫緊の課題だし、森林・林業の再生のためにリーダーシップを取る。それが我々の使命だ。中長期的には世界に視野を広げて山林所有を増やし、わが国の山林王になるのが夢(わが国4番目の山持ち企業。トップの王子製紙の760万haに対して同社は約4.2万ha。かなり水をあけられているが目標は大きい)

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住林・町野氏

大京社長・山口陽氏 50周年を迎える今年は感謝の気持ちと誇りを胸に「お客さま第一主義」の精神を再認識し、様々な場面や事業で選び続けていただける「新しい大京グループ」をつくりあげていく

長谷工コーポレーション社長・大栗育夫氏 建築費? 上がますよ。施主さんと造り方などをよく相談して工事費を抑制するよう考えていきたい

長谷工コーポレーション副社長・辻範明氏 第一次取得層向けの低価格マンションの供給が難しくなってきた。地価と建築費が上昇し、売り値も上がってきた。(記者の出身県、三重の三交不動産さんをよろしく)うん、三交さんはずっと以前からのお付き合い(これからデベロッパーの長谷工詣でが激化するはず)

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長谷工・大栗氏

 

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 ケン・コーポレーションの創業者で代表取締役会長・田中健介氏が昨年12月25日、死去した。享年74歳。

 故人の遺志により通夜、葬儀は近親者のみで執り行われた。後日、「お別れの会」を行う予定。

 田中氏は1939年生まれ。愛媛県出身。1964年早稲田大学卒。1972年12月、ケン・コーポレーション設立。2013年9月、代表取締役会長就任。

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 田中氏はRBA野球大会の顧問を第1回大会から務められていた関係で、記者も20年間ぐらいお付き合いさせていただいてきた。「民間外交の役割を果たしてきたRBAは100人分ぐらいの外交官の価値がある」と話されたのが忘れられない。

 また、第13回大会の決勝戦で三井不動産に敗れたとき、自ら率先して「三井さん、ありがとう」とスタンドからエールを送られ、ドーム全体が大合唱に包まれたのも強烈な印象として残っている。礼儀正しい方だった。茶目っ気もあり、時には英語を流暢に操りいつも周囲の人を笑わせていた。

 本業については平成18年3月に取材したとき、次のように語った。

 「私は創業以来、信用、信頼、コンプライアンスを最重要視してきた。信用は無限の資本金だ。今日のグループ企業の発展やJリートへの参入、ホテル事業など多角的なビジネスが実現できたのもまさに信用のお蔭。規模でナンバーワンになるより、信用でのオンリーワンだよ」「KENのDNAはしっかりプリントされている。後継者に心配はない」

 今だから書くが、こんなエピソードもある。取材を終えてからゴルフ談義になり、社長室で田中氏はピッチングを持ち出し、6メートルぐらい離れた小さな的に当てるゲームを始めた。10打のうち半分ぐらいは的中しただろうか。田中社長は「普段はもっと入るんだ」と悔しがった。そんな姿を見て記者は「社長業は孤独なもんだなあ」と思った。

 心からご冥福をお祈りいたします。合掌

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丸の内オアゾ/鏡割り

 三菱地所の年末年始の商業施設がどこも記録的な賑わいとなった。

 「プレミアム・アウトレット」は、元日休業の仙台泉、昨年4月開業の酒々井を除く御殿場・りんくうをはじめ7施設の元日の売上げが歴代日商1位を記録。12/21~1/3までの年末年始の売上高は、2012年12月に増床を行った神戸三田を除き、前年比でおおむね二ケタ増。店舗の入れ替え効果が奏功した御殿場は前年比3割増。国内客の来場増に加え、インバウンド客としてインドネシア・タイ・中国からも多数来場した。

 丸ビル、新丸ビルなど5つの「丸の内」ビルは東京駅改装効果もあった前年を上回る売上げを記録。年始の2日の売上は新丸ビルで歴代2位、丸ビルが歴代4位となった。また、みなとみらいエリアの「MARK IS みなとみらい」の2日の初売りは開店待ちで約1500人が並び、グランドオープン翌日の6月22日に次ぐ開業来2番目の売上を記録した。

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 記者の年末年始は寝正月だったため街の賑わいは実感できなかったが、ここ5年間、渋谷オーチャードホールのニューイヤーコンサートを聴きにいっているわが社の女性社員は「全席満席だったため初めて大入り袋をもらった。新しい5円玉が入っていた。とてもうれしかった」と話していた。

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 独立行政法人のあり方について検討を重ねてきた行政改革推進本部が12月20日、基本方針をまとめた。都市再生機構については、東京都心部の約13,000戸あるタワーマンションなどの高額賃貸住は平成26年度からサブリース契約により運営を民間に委ね、財務構造の健全化に道筋をつた後は売却すべきとしている。

 賃貸住宅については、定期借家契約の活用などにより収益性が低い団地は統廃合を加速させるべきとし、急速な高齢化が見込まれる団地については、医療福祉施設を誘致すべきとした。

 また、ストックの老朽化などにより住宅管理コストは今後増加が見込まれるとし、確実にコストを下げる仕組みを構築すべきとした。

 さらに、適切な家賃収入の確保を図るため家賃の引き下げや引き上げを機動的に行い、低所得の高齢者に対する家賃減額措置は、他の供給主体の住宅との衡平性を考慮してコストは公費で負担すべきとしている。

 一方、都市再生事業については、開発型SPC(特別目的会社)の活用など民間との連携手法を多様化することで、リスクにみあった適正な収益の確保を促進すべきとした。

 ニュータウン事業は平成30年度までの土地の供給・処分完了に向けた取り組みを促進すべきとしている。

 人員規模については、東日本大震災に係る体制強化の必要性もあることから現在の水準を維持すべきとしながらも、関係会社は平成30年度までに数を半減すべきとしている。

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 方向は示されたが、前途は多難と言わざるを得ない。平成24年度末で資産が14兆4,624億円に対して有利子負債は12兆7,068億円だ。

 賃貸住宅の経営も苦しい。約75万戸ある賃貸住宅の空き家率は平成21年度に10%を超え、その後も上昇傾向にある。建物の老朽化にともなう維持・管理費コストが上昇すると思われるが、その一方で賃借人の高齢化・世帯収入減少の問題がある。家賃収入は平成20年度以降漸減を続けている。家賃を上げようにも、セーフティネットの一端を担うべきとする法律などが壁となっている。低所得者などを対象とした家賃の減額措置は約85,300世帯、減額総額は約156億円(うち国費85億円)にのほる。

 都市再生事業は黒字体制にはあるが、民間や地方自治体が行う都市再生や活性化事業を支援・補完することを目的とされており、時間とコストが掛かる地権者の権利調整などを担わされているのも収益確保の足かせとなっている。

 ニュータウン事業は、極めて厳しいと言わざるを得ない。大規模開発は地価が右肩上がりに推移するのを前提とした事業であり、バブル崩壊によって事業環環境が逆転した以降も開発を続けてきたのが今日の苦境をもたらした。新機構になった平成16年から土地の供給・処分を進めてきたが、いまなお3,000haを超える土地を抱えている。同機構がかかわった「多摩ニュータウン」(約1,400ha)と「つくばエクスプレスタウン」(約1,600ha)の合計以上だ。

 これを平成30年度までに完了するのは至難の技だろう。繰越欠損金は2,000億円を超える。今後の地価動向にもよるが、さらに膨らむ可能性もある。

 また、東日本大震災による復興市街地整備事業にも機構は全体59地区のうち27地区に関わっているが、この規模も1,000haは超えるはずだ。これも大丈夫かと疑問を挟まざるを得ない。

 国策に沿って進めてきた事業ではあるが、バブルが崩壊してもだらだらと事業を進めてきた罪は重い。

 

 

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