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「ノブレス湘南藤沢センター スクエア」

 ナイス他が分譲中の「ノブレス湘南藤沢センター スクエア」を見学した。敷地南側が小学校、その先は約16.2haの藤沢市最大の公園が広がる免震マンションだ。

 物件は、JR東海道本線・小田急線藤沢駅から徒歩12分、藤沢市川名字新林に位置する14階建て全188戸。現在分譲中の住戸(76戸)の専有面積は64.78~75.15㎡、価格は3,390万~5,480万円(最多価格帯4,200万円台)、坪単価207万円。建物は平成29年1月に完成済み。売主は同社のほか大栄不動産、京急不動産、三信住建。販売代理はナイス。設計・監理は東鉄工業。施工は東鉄・第一建設特定企業体。一昨年春から分譲開始されており、現在、約7割が契約済み。

 現地は、新林小学校に隣接。その南には東京ドーム12.4個分の新林公園広がる。建物はナイスの免震構造。駐車場は100%(平置き割合は70%)。

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新林公園から

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 昨日は、三井不動産レジデンシャルが分譲開始から2年間で全690戸の「豊洲」をほぼ完売した記事を書いた。その伝からすればこの「藤沢」は〝不振〟物件のレッテルが貼れそうだが、ナイスは普通のモノサシでは測れないところがある。地域を熟知し、しっかり根を下ろしているからだろうし、今では希少の家族経営的なところを残している社風にもよるのだろう。売れ行きが悪かろうと全然動じない。悠然としている。

 この物件でも、免震で100%駐車場付き、大規模公園に隣接などを売りにじっくり販売する構えなのだろう。確かに子育てにこんな恵まれたマンションはそうない。

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13階バルコニーから

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 見学したのは、ナイスのマンション事業部部長で流通部門の東京川崎ブロック統括部長も兼ねる久保正人氏(46)のお誘いがあったからだ。

 久保氏とはRBA野球を通じてもう20年くらいのお付き合いか。エースでも主砲でもないが〝いぶし銀〟的な存在として〝不惑〟をとっくに越しても活躍中だ。投手がいなくて投げ、勝利投手になったこともある。

 久保氏は土曜、日曜はマンションの現場で指揮を揮い、平日は仲介店舗を回っているそうだ。竣工して3割も残しているのに焦りの表情などみじんも感じられなかった。〝slow and steady wins the race(急がば回れ)〟の言葉を思い出した。

 添付した記事もぜひ読んでいただきたい。先に書いたように久保氏も会社も普通でないことがよくわかるはずだ。

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かもめの水兵さん  並んだ水兵さん   白い帽子 白いシャツ 白い服 波にチャップチャップ 浮かんでる(近くの境川の欄干で)

ナイス 常識破りの「住まいるCafe」来館者は前年度比8倍増9.6万人(2014/4/3)

「ナイスシティアリーナ武蔵小杉」担当の久保選手 職住近接が大きな武器に(2010/7/2)

カテゴリ: 2016年度

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「パークホームズ豊洲 ザ レジデンス」

 三井不動産レジデンシャルは2月20日、江東区豊洲の大規模マンション「パークホームズ豊洲 ザ レジデンス」の竣工プレス見学会をおこなった。残りはわずか2戸。690戸を2年間で売る力はすごい。同社は第3四半期決算で完成在庫は185戸と発表したが、今期計上戸数5,450戸のうちわずか3.4%だ。同業他社と比べ群を抜いて少ない。

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 今日(2月21日)は、同社のとても美しい「パークコート一番町」の記事を書くのに全精力を注ぎ込み、精も根も尽き果てた。これ以上書くのはしんどいが、一昨年7月、「人気も納得のレベルの高さ」という見出しの記事が間違いでなかったことを確認した。共用施設が素晴らしい。われわれはもっと共用部分の価値を評価しなければならないと改めて思った。

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オーナーズラウンジ

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 もう2戸しかないので、あれこれ書かない。一昨年の記事を参照していただきたい。そのときの記事で「これから分譲されるある大手デベロッパーの物件は坪300万円をはるかに突破するはずだ」とある「坪300万円」は「坪400万円」の誤り。(文意からすれば坪400万円であることは理解されると思うが)。また、「坪単価320万円」と書いたのは「坪単価324万円」に訂正します。

 その時の記事で書かなかった共用部分について。感心したのは2階部分に喫煙室と+αルーム(リラックスとタタミの2つ)を設けていることだ。嫌煙運動の高まりの中で、マンションの共用部分(バルコニーも含めるケースもあり)での喫煙を禁止するデベロッパーがほとんどだが、同社は喫煙者も少なからずいることから大規模マンションにはきちんと設置する。これは同社くらいではないか。+αルームもなかなかいい提案だ。

 このほかゲストダイニングは広く、オーナーズラウンジには本物ではないが、暖炉のゆらぎを体験できる設備が設えてあった。

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ゲストダイニング

人気も納得のレベルの高さ 「パークホームズ豊洲ザ レジデンス」(2015/7/31)

 

 

カテゴリ: 2016年度

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「パークコート一番町」完成予想図

 三井不動産レジデンシャルが分譲中の免震「パークコート一番町」を見学した。モデルルームを見た瞬間、その美しさに声を失った。かつて10年くらい前、鹿島建設の「加賀ガーデンハイツ」を見たとき〝こんな美しいマンション見たことない〟と直截的な表現で記事を書き、それなりの反響があったのだが、二番煎じでは面白くないので今回は美人に例える。

 美人といえば三大美女としてクレオパトラ、楊貴妃、小野小町があげられるが、クレオパトラも楊貴妃もどこか男を狂わすイメージが強いし、小野小町を記者は知らない。

 なので、心が美しいという絶対条件付きで女優に例えるなら吉永小百合さんか八千草薫さんクラスだ。亡くなった原節子さんを加えてもいいかもしれない。デザインを担当したハシハラヒロコデザイン事務所の芦原弘子氏はもちろんだが、加えないと何かとさし障りがあるかみさんは除く。(吉永さんは美人じゃないという人もいるが)

 ここまで書けばもう説明などいらないのだが、とにかく美しい。一部の隙もない。全体を淡いベージュで統一し、余分な縦や横のラインをそぎ落とし、すっきりしたデザインに仕上げているのが特徴だ。絵画でいえば小磯良平の淡彩の美人画だ。

 床とキッチン・洗面カウンタートツプは同じ御影石を使用し、フルフラットの奥行き2mのバルコニーにまで同じ天然石を敷き詰めている。

 バスルームの演出がまたすごい(のかどうかわからないが)。外から見ると、奥の浴室のシャワーヘッドを中心に左右に向かい合うように洗面化粧台を配置。三面化粧台のガラスはスライド式として、クリニーク、ジョンマスター、シャネルなどの化粧品を見せるようにしている。クローゼットはガラス張りとして、こちらもまた見せるようにしている。

 このほか、収納やシステムキッチンの面材などは突板の鋸目仕上げにし、壁は漆喰調のクロス。天井は間接照明の折上げ仕上げ。ドアノブは握り球を使用。

 これまで芦原弘子氏のモデルルームをいくつか見ているが、今回の作品は完全に新境地を開いたといってよい。もう一つ、美人が登場する小説をあげるなら、映画は見ていないが中里恒子「時雨の記」の堀川多江だ。

 美しいのはモデルルームだけではない。外観・共用部デザインを担当したのは、あの「木材会館」や「パークコート千代田富士見ザタワー」などを担当された日建設計の山梨知彦氏で、これまた美しい。外観フォルムは黄金比を採用しており、シンメトリックで縦と横の線からなるグリットラインが印象的で端正な表情に仕上げている。外壁の一部にロートアイアン調のアルミ格子を張るなどお洒落心も盛り込んでいる。照明計画は数々の賞を受賞している富田泰行氏。

 もう一つ、パンフレットを見るまで気が付かなかったのだが、このマンションは調理器具を3つ口ガス、ガス2・ガス1、ガス1・IH2、IH2・IH2の4つの中からセレクトできるようにしている。これが素晴らしい。記者は10年くらい前からこの〝ハイブリッド〟システムをどこが採用するかずっと注目していたのだが、多分今回が初めてだ。さすが三井だ。

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 肝心の物件紹介が後になったが、物件は東京メトロ半蔵門線半蔵門駅から徒歩3分・麹町駅から徒歩5分、都営地下鉄新宿線市ヶ谷駅から徒歩8分、千代田区一番町に位置する15階建て全79戸(販売は60戸、事業協力者販売住戸19戸)。今週末に分譲される第2期(10戸)の専有面積は75.67~113.84㎡、予定価格は1億3,400万円~2億2,300万円(最多価格帯1億7,000万円台)。坪単価は630万円。施工は三井住友建設。入居予定は平成31年1月月下旬。

 昨年12月から事前案内会を実施しており、これまで第1期・第1期2次まで39戸が分譲済み。

 現地は、番町エリアでももっとも地位が高いとされる一番町中央通り〝表〟道路に面した一等地。ホーマットの跡地だ。

 販売を担当する同社都市開発一部営業室のパークコート一番町番町サロン所長・大栗裕樹氏は「番町エリアでの分譲は今回で5棟目。南向きは底堅い需要がある100㎡前後のプラントとし、北側住戸はこのエリアでは少なく、しかも潜在的な需要が多い75㎡としました。価格(単価)は安いと思われるかもしれませんが、我々は適正な価格だと考えています。虚飾を排したデザインが共感を呼んでいます」と語った。

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 もう何も言うまい。やはり高額マンションの商品企画№1は三井不動産レジデンシャルだ。ハイブリッド調理器具と芦原弘子氏、山梨知彦氏に拍手喝さい。

 ついでだ。もう時効だから書くが、記者は吉永小百合さんが昔買ったマンションを2つ知っている。そのうちの一つが三井不動産レジデンシャル(当時は三井不動産)のマンションだった。

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エントランス

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「Brillia Tower代々木公園CLASSY」完成予想図

 東京建物は2月17日、代々木公園駅と代々木八幡駅からそれぞれ徒歩2分の免震タワーマンション「Brillia Tower代々木公園CLASSY」のモデルルームを2月18日にオープンすると発表。報道陣に事前に公開した。これまでの資料請求件数は約4,500件にのぼっており、来場予定組数も900件を突破するなど高い反響を呼んでいる。この日、気象庁は関東地方で春一番が吹いたと発表しが、ここにきて〝弱気〟一色のマンション業界に〝代々木旋風〟を巻き起こすことができるか。この春一番の注目物件だ。

 物件は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩2分、小田急小田原線代々木八幡駅から徒歩2分、渋谷区富ヶ谷1丁目に位置する19階建て全195戸。専有面積は50.36~142.79㎡、予定価格は6,000万円台~3億円台、坪単価は500万円台の予定。竣工予定は平成31年1月下旬。施工は清水建設。売主は同社のほか住友商事。分譲開始は5月の予定。

 現地は、山手通りと井の頭通りの交差点に立地。代々木公園には徒歩5分、渋谷、原宿も歩こうと思えば20分圏。

 建物は免震構造を採用。東京都の総合設計制度の適用により、エリアの高さ制限は40mから60mへ、容積率は400%から620%へそれぞれ緩和されている。空地率は約50%。東側が代々木公園方面で、西側は遠く富士山が眺望できる。基準階は1フロア11~12戸。最上階の7戸はプレミアム仕様。建物中央部に設備を集約し、屋上に蓋をすることで内廊下方式に近い仕様となる。

 発表会に臨んだ同社執行役員住宅事業部長・菊池隆氏は、「渋谷、原宿も徒歩圏、代々木公園へ徒歩5分の都市と緑が融合した免震タワーマンション。3年前に用地を取得してから企画を練り、都の総合設計制度の適用も受けた。デザインには各専門家を起用した。当社のフラッグシップにする」と話した。

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屋上テラス

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 いま業界は〝弱音〟一色。そんな中、都心の高額物件でよく売れているのは三井不動産レジデンシャルの「パークコート浜離宮 ザ タワー」と「パークコート一番町」だ。「浜離宮」は浜離宮恩賜庭園がすぐそばで、「一番町」は皇居に近接。単価は前者が約600万円、後者も意外と安そうで600万円台か(来週見学予定)。

 この2物件に対抗できるかどうかがこの物件の見どころだ。皇居に近い「一番町」を超えるのは失礼だが、徳川将軍家の狩場だった「浜離宮」が相手なら、こちらは明治天皇を祀る明治神宮が徒歩圏だ。引けは取らない。

 そればかりか、同社はここ数年「多摩ニュータウン」「池袋」「目黒」「東京八重洲」「上野池之端」などで業界をリードしてきた。とくに「目黒」では一挙にマンション相場を引き上げた。その貢献度は大きい。今回の「代々木公園」は低迷市場に活を入れられるかどうかが注目されている。

 記者はとことん高値追及してほしいと思う。それだけの条件は揃っている。

 ただ、「浜離宮」に勝てるか(単価が600万円という意味だが)となると、自信がない。相手は再開発計画が目白押しの浜松町が徒歩圏で、汐留に隣接している強みがある。

 こちらも渋谷、原宿が徒歩圏で、表参道まで電車で数分という立地は負けないような気がするが、同社はそんな強気ではないような口ぶりだった。報道陣から当然のように単価がいくらかの質問が飛んだが、菊池氏は「何しろモデルルームオープンは明日から。お客さまの声を聞いてみないと…500万円台としかお答えできない」と言葉を濁した。

 500万円台ということは510万円もそうだし590万円もそうだ。これでは記事の書きようがない。なので、以下は記者の独断と偏見であることを承知で読んでいただきたい。

 ズバリ坪単価は550~580万円と読んだ。港区や中央区などでは軒並み坪400万円を突破しており、立地が恵まれているわけでないのに500万円を超えている物件も少なくない。並みの物件とは比べものにならないほどこちらのほうが価値は高い-これがその根拠だ。(「目黒」は大外れだった)

 しかし、「浜離宮」の600万円に届くかどうかは自信が持てない。限りなく600万円に近付けるためには、物件の総合的な価値をきちんと伝えることが求められる。

 その最大の価値、総合設計制度について少し触れたい。総合設計制度は、公開空地を確保し、住宅性能や環境性能が優れた建築物については高さ規制や容積率を緩和する制度だが、平成22年に大幅に改正されて以降の東京都の許可件数は激減している。

 改正前の平成20年は改正を前にした駆け込みもあり30件に上ったが、平成22年には10件に減り、その後は23年8件、24年5件、25年4件、26年10件、27年7件、28年3件で推移。この5年間で許可された29件のうち用途が住宅なのは13件しかない。この13件のうち2件が同社の「上野池之端」と「代々木公園」だ。希少価値は高い。

 もう一つデザイン・設備仕様レベルについて。ランドスケープデザインに塙ランドスケープデザイン、ファサードデザインに日建ハウジングシステム、アクアリウムアートに深田崇敬氏、共用部空間プロデュースに室賢治氏をそれぞれ起用しているように相当力が入っているのはよく理解できる。

 しかし、モデルルームの設備仕様は-これは最近のマンションすべてにいえることではあるが-それほど高いとは言えない。最上階の100㎡超はフルオーダータイプで、天井高が約2.9m、水回り部分が約2.7mあり、ふんだんに自然石、天然木が使用されている億ション仕様はともかく、他の住戸は天井高が約2.5mで柱や梁型が住戸内に出ているものも少なくない。これをユーザーがどう評価するか…。緩和を受けているとはいえ、建築物の絶対高さを抑える地区計画の弊害がここにもある。

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ランドスケープ

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ラウンジ

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「ジオ四谷荒木町」(左)と「ジオ四谷三栄町」完成予想図

 電鉄(系)会社の首都圏でのマンション事業拡大が目立っているが、関西の電鉄(系)会社では阪急不動産の攻勢が際立っている。

 同社は首都圏第一号「パークハウス ジオ六番町」(14戸)を2001年に竣工して以来、ここ数年は年間300~400戸を供給してきたが、今後は年間800戸程度まで増やす計画がある。最近の物件では、デザイン監修に隈研吾氏を起用した「ジオグランデ元麻布」をはじめ、設計が日建ハウジングシステムの「港区南青山計画」(25戸)、集合住宅としては初の新宿区総合設計制度を採用した「ジオ四谷荒木町」など意欲的な物件が目立つ。

 「ジオグランデ元麻布」は改めて取材することにして、四谷のツインプロジェクト「ジオ四谷荒木町」と「ジオ四谷三栄町」を紹介する。

 「ジオ四谷荒木町」は、丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩5分、新宿区荒木町に位置する13階建て全131戸(非分譲住戸32戸含む)。現在分譲中の9戸の専有面積は55.68~58.71㎡、価格は7,370万~8,100万円。平均坪単価は443万円。竣工予定は平成30年2月下旬。施工は淺沼組。設計・監理は日建ハウジングシステム。販売代理は野村不動産アーバンネット。昨年8月から販売を開始しており、現在、8割強が分譲済み。

 「ジオ四谷三栄町」は、丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩6分、新宿区三栄町に位置する13階建て全61戸。2月20日に分譲される第1期(11戸)の専有面積は48.91~78.74㎡、価格は6,690万~13,280万円、坪単価は460万円くらいになる模様。竣工予定は平成29年9月中旬。施工は共立建設。設計・監理は協立建築設計事務所(意匠・設備)、共立建設(構造)。販売代理は野村不動産アーバンネット。

 双方ともコンパクト・ファミリー混在型でプランがよく、設備仕様レベルが高い。

 いつも感心するのだが、キッチンと洗面のカウンターは三方立ち上がりにしている。これは同社だけだ。もう一つ、今回は化粧がしやすいスイングミラー三面鏡を採用しているのがいい。

 モデルルームは2タイプ。このうち95㎡のプレミアムタイプは、ナラ材の突板フローリング、大理石廊下、ウォールナット突板建具、シーザーストーンキッチンカウンター、陶器洗面ボウル、ハンズグローエ水栓などが標準。

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 四谷三丁目はよく知っている。住宅評論家の故・佐藤美紀雄先生とよく飲んだのだが、どこで飲んでも二次会、三次会は決まって四谷三丁目の店だった。すべて佐藤先生のおごりで、記者は一度もお金を出したことがない。いまでも申し訳ないと思っている。

 同社の2物件は、その行きつけの店に近かったので、そのルートから現場に向かった。柳新町通りの路地を入ったときは〝こんなところでよく分譲する。坪単価400万円でも厳しい〟と思ったのだが、津の守坂に面していることが分かり、上方修正した。〝これなら坪500万円は無理だが、400万円台の後半でも売れる〟と。

 価格は読み通りだった。「ジオ四谷荒木町」の現地は淺沼組の東京本店があったところで、新宿区の保存樹に指定されている高さ30m近い見事な大銀杏が植わっている。

 「ジオ四谷三栄町」の隣は住友不動産のマンションが建設中で、津の守坂では三井不動産レジデンシャルの物件もある。阪急の物件はいずれにも負けないと見た。

 

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「プラウド芝公園」完成予想図

 さすが〝プラウド〟というべきか。それほど立地に恵まれているわけでもなく、坪単価は500万円を突破し、ほとんどが億ションであるにも関わらず野村不動産「プラウド芝公園」が4,000件近い反響を集め、第1期23戸が先にほぼ完売した。近く第2期も分譲される。

 物件は、都営三田線芝公園駅から徒歩5分(他に三田、浜松町、田町、大門、赤羽橋が利用可能)、港区芝二丁目に位置する14階建て全51戸。専有面積は69.30~105.16㎡、平均坪単価は500万円を突破する。施工は木内建設。竣工予定は平成29年10月上旬。

 現地は、マンションやビル、商店、住宅などが混在する近隣商業地域。建物は1フロア4戸、2戸1エレベータ。全戸南向き。

 設備仕様は、他のプラウドと同様、天然木の突板仕様のドア、大理石の床、御影石のキッチン・洗面カウンター、コロンボ製のドアノブなど。

 これまでの反響は4,000件近く、来場者は300件を突破している。週刊ダイヤモンド別冊(2017年1月15日号)によると、戸数1戸に対する反響数は過去最高だそうだ。

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 反響数の多さに驚いた。なぜそんなに多いのか考えた。第一に再開発計画が目白押しの浜松町駅圏であること、供給が少ない芝公園が最寄り駅であること、三井不動産レジデンシャルの「浜離宮」も分譲中であること、「プラウド」であることなどが考えられる。

 これだけ反響があれば戸数は51戸だから売れるのだろうとは思うが、20坪で1億円だ。この売れ行きにもまた驚いた。余計なお世話だが、これは同社だからできる芸当だ。中堅だったらまず成功しない。

 しかし、2戸1エレベータのプランと設備仕様レベルは高い。ついに港区の住宅地は坪500万円以上に突入したか。そういえば、三田綱町のアパのマンションは坪800万円を間違いなく突破するはずだ。

 

 

カテゴリ: 2016年度

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「ピアース中野坂上」完成予想図

 モリモトが3月に分譲する「ピアース中野坂上」を見学した。中野坂上駅から徒歩3分のコンパクトマンションで、都市的デザインがいい。価格もリーズナブルで早期完売するはずだ。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線中野坂上駅から徒歩3分、中野区中央1丁目に位置する5階建て全47戸。専有面積は25.82~55.21㎡、価格は未定だが、坪単価は385万円くらいになる模様。竣工予定は平成30年2月上旬。設計・監理は庵都市建築設計事務所。デザイン監修はプランテック総合計画事務所(萩原浩氏)、インテリアデザイン担当はカン・デザイニングオフィス(鈴木ふじゑ氏)。施工は風越建設。

 現地は、駅からフラット、2方道路。周辺はレベルの高いマンションも多い。建物は内廊下方式で、住戸は東向き中心に南向き、西向き。住戸プランは20㎡台が6戸、30㎡台が10戸、40㎡台が16戸、50㎡が15戸。

 デザインは、基壇部に木目調のコンクリート打放しを用い、バルコニーにはハコ状のガラス・ルーバーを採用。各住戸のカラーリングは、白を基調にグレーの窓枠・巾木を採用して美しいコントラストを演出しているのが特徴。キッチン天板はシーザーストーン、食洗機、ミストサウナ、グローエ水栓、コロンボ製のドアノブが標準。

 これまで4週間の来場者は約150件。男性単身者の来場が多いという。担当者は早期完売を確信していた。

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エントランスホール

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 萩原氏の外観・共用部デザインもそうだが、鈴木氏のインテリアデザインが上品だ。床は白のタイル、建具・面材も白のピアノ塗装で、巾木・ドア枠に細いグレーを採用することできりりと締めている。

 分譲単価も坪400万円を切る模様で、価格的な競争力がある。

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 記事とは関係ないが、付き合っていただきたい。わが故郷・三重県の宣伝だ。

 取材を終え、販売事務所の隣にある新宿パークビルでコーヒーでも飲もうと立ち寄った。三重県と奈良県と滋賀県が共演するイベント「T・E・I・B・A・Nジャパンクラシコ」モノづくり展が1階アトリウムで行われていたので覗いてみた。

 皆さんは〝越中富山の反魂丹(はんごんたん)鼻くそ丸めて萬金丹(まんきんたん)それをのむ奴ぁあんぽんたん〟という俗謡をご存じか。記者が小さいころよく聞いた唄だ。

 「萬金丹」は伊勢の薬屋が開発した万能薬で創業は1570年。「ん」を省くと「牧田」になるのは全然関係ない。形状が〝鼻くそ〟に似ているのでそのように呼ばれた。「熊の胆」や富山の薬とともに常備薬としてどこの家庭でも重宝されていた。よく飲まされた記憶もある。少し仁丹の味がするがとても苦い。その萬金丹が出店していたのだ。5粒もらって飲んだら昔がよみがえった。

 萬金丹の建物は今も伊勢神宮外宮の近くに昔のままに残っている。伊勢に行ったら寄っていただきたい。

 もう一つ、伊賀市の馬場建具店が出店していた。馬場幸次代表が、組み立てると絶対に外れないヒノキでできた格子状のコースターをまるで忍者のように目の前で組み立ててみせた。すごい技だ。感心する記者にくれたからまた驚いた。

 ついでに隣の滋賀県のブースも覗き、甲賀市の「すごいえぇのう鮎河」という酒を飲ませてもらった。ご飯の香りがしたので聞いたら、酒米ではなく普通のコシヒカリで造ったのだそうだ。

 残念だったのは、出店スペースは奈良5、滋賀3、三重2とのことで、三重県が圧倒的に負けていたことだ。〝近江泥棒、伊勢乞食〟をここでも見せつけられた。忍者でもモノづくりでも滋賀や奈良に負けるはずがないのにどうしたことか。高校野球もサッカーも最近は分が悪い。

 三交不動産のようなデベロッパーは滋賀にも奈良にもないので、自ら慰めるほかなかった。

 「T・E・I・B・A・Nジャパンクラシコ」は12日まで。入場無料。

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馬場建具店の出店

カテゴリ: 2016年度

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「THE 千代田麹町TOWER」完成予想図

 サンヨーホームズ(事業比率50%)・NTT都市開発(同30%)・大林新星和不動産(同20)が分譲中の「THE 千代田麹町TOWER」を見学した。麹町駅直結の周辺のマンションとしては最高峰となる23階建てだ。

 物件は、東京メトロ有楽町線麹町駅から徒歩1分(直結)、千代田区麹町3丁目に位置する23階建て全83戸。第2期(7戸)の価格は9,570万~1億6,390万円、専有面積は50.90~75.31㎡登録受け付けは2月10日~12日(日)。竣工予定は2018年12月中旬。施工は安藤・間。販売代理は三菱地所レジデンス、東急リバブル。

 昨年9月から分譲が始まっており、これまで約半分が分譲済み。このうちコンパクトの41㎡台(8戸)は全て契約済み。50㎡台も22戸のうち14戸が契約済み。

 販売担当者は「千代田区で駅直結は15年ぶり。総合設計制度の適用を受けており、絶対高さは通常なら19階までだが、23階建てとなった。東京のど真ん中という立地が評価され、地方からの購入も1割強ある」と話している。

 現地は麹町駅に直結。建物は16階までは1フロア4~5戸で、17階以上はプレミアム仕様の1フロア2~3戸。

 モデルルームは112㎡の価格が3億円台の億ション。さすが億だけあって、設備仕様レベルは高い。玄関ドアはナグリ調仕上げで、建具・面材は突板が採用されている。

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エントランス(外観デザイン監修は田原桂一氏)

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リビング

カテゴリ: 2016年度

 多くの媒体が書き、専門家の方が話しているように「今年のマンション市場展望」に挑戦しようと思う。

 しかし、最初に断っておく。外的要因である市場を取り巻くあれやこれらの経済指標を借用したところで消費者には〝それがどうした〟と言われそうだし、内的要因であるデベロッパーの供給姿勢については年間100件くらいしか見ていない記者は分からないというほかない。

 なので、歯切れの悪い文章になってしまうのを許していただきたい。物件選好の役に立つかどうかも分からない。〝当たるも八卦、当たらぬも八卦〟というくらいの気持ちで読んでいただきたい。

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 長谷工総研は先に「2016年の首都圏全体の分譲単価は前年比1.8%アップの79.3千円/㎡、平均面積は69.22㎡で同比2.2%縮小し、平均価格は5,490万円と、同比0.5%ダウンとなった。分譲単価の上昇幅(前年9.6%アップ)が縮小したことに加え、平均面積の縮小もあって、平均価格は前年を下回った」と発表した。平均専有面積が70㎡を割るのは1996年の69.45㎡以来20年振りだ。

 「アップ」「縮小」「上昇」「ダウン」の単語が交互に出てくると目が回る。分かりやすく書き改めると、「2016年の首都圏マンションの平均像は価格が5,490万円(昨年比0.5%減)で、面積は69.22㎡(同2.2%減)、1㎡当たり単価は79.3千円(同1.8%増)だった」となる。

 これでも理解しづらいかもしれない。もっとわかりやすく言えば、建築費の上昇分を分譲価格にオンすれば売れないので、面積を狭くして、さらに基本性能、設備仕様レベルを下げて価格が上がっていないように〝見せかけた〟のが昨年の首都圏マンション市場だ。

 単価の上昇幅が縮小した理由について、長谷工総研は「山手エリアでの供給が低調であった」「その一方で、都内23区以外の地域の分譲単価は前年比6.5%アップ」「分譲単価・平均価格の上昇傾向は継続している」としている。

 これはこれでその通りだろうが、記者は実際の建築費はもっと上昇していると見ている。つまり、基本性能、設備仕様レベルを落としているからこの程度の上昇幅に収まっていると考えている。

 具体的にいえば、建築費、設備仕様を落とす手段として、間口を狭め同じパターンのプランにする、二重床を直床にする、キッチン、洗面の天板の質を落とす、階高(天井高)を下げる、逆梁は順梁にする、食洗機、バックカウンター・吊戸棚はオプションにする、床暖房をやめる、スロップシンクやミストサウナはつけない、建具・面材・クロスの質を落とす…あらゆることが行われているのが現実だ。都心であろうと郊外であろうと例外はない。

 ただ、過度の基本性能、設備仕様レベルダウンは逆効果になるので、市場動向や近隣物件の商品企画と天秤にかけながら各社は値付けに苦労しているのだ。

 このように、単に価格や面積だけで市場を測ることはできない。契約率も同様だ。例えば、専有面積66㎡の8,000万円(坪単価400万円)と専有面積75㎡の3,000万円(坪単価132万円)のマンションが分譲されたとする。平均価格は5,500万円、平均専有面積は70.5㎡、平均坪単266万円となる。一方が売れ、他方が売れないと仮定すると、平均契約率は50%となる。平均値は昨年の市場とほぼ同じだ。

 では、この平均契約率は市場を正確に反映しているかと問われれば、ほとんどの人はノーと答えるはずだ。母数字が大きければ大きいほど平均値は全体像を反映するという人がいるかもしれないが、現在のマンション市場はよく言われる二極化現象が顕著で、すべての供給物件を足してその数で割ったところで全体像は把握できない。

 売れ行きの格差は大手・中小、デベロッパー間でも顕著で、いくらマクロデータをいじくってみても市場を把握するのは難しい。

 ましてや、一国の大統領が発するツイッターに世界の政治家や経営者が右往左往、右顧左眄し、株価が乱高下する世の中だ。この先どうなるのか全く読めない。

 多少の景気変動など問題にしない富裕層や、比較的元気な単身者、DINKS層向けは堅調に推移しそうなことくらいは読める。価格調整が進むのも間違いない。(こんなことはユーザーのほうがよく知っていることだ)

 しかし、需要層の中心である子育てファミリー向けは不確定要素が多すぎる。雇用の改善は進んでいるが、実質賃金は底這いが続いている。これから3月末に向けて完成在庫の値引き販売が始まる。各社が堰を切ったように実施すれば、相場は崩れ、新規供給物件の価格下げ圧力はさらに強まる…などの不安要素はぬぐい切れない。

 一つだけ確かなのは、マンションは金融商品ではなく、購入者は買わざるを得ない切実な事情があるから買うということだ。

 その中心層は、分譲と比べ圧倒的に質が劣り、その割に賃料が高い賃貸居住者だ。これからも利回り優先の賃貸市場が変わらない限り、分譲マンションの優位性は保持される。市場規模が縮小するのは当たり前だ。いつの時代もデベロッパーの基本は商品企画だ。

 生鮮食品に例えるのは適当ではないかもしれないが、最近、家の者が〝ちくわの穴が大きくなった。その分キュウリがたくさん詰まる〟としゃべった。マンションも基本的には同じだ。景気は家庭の主婦に聞くのが一番いいかも。

カテゴリ: 2016年度

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「ザ・ パークハウス 国分寺四季の森」紅葉の小路(完成予想図)

 同業他社の近隣物件へ価格下げ圧力をかけるかもしれないが、三菱地所レジデンス他「ザ・ パークハウス 国分寺四季の森」(494戸)が低迷市場に活を入れる。

 坪単価は中央線沿線では信じられないような240~245万円。昨年圧倒的な人気を呼んだ北区王子の三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス他「ザ・ガーデンズ東京王子」(864戸)よりも20万円くらい安い。

 1月だけで来場者は300組に上り、同社城西事業部販売グループリーダー・佐久間亮氏は「西武線沿線では苦戦物件も多いが、うちは中央線の徒歩圏で、大きな森に隣接。再開発が進む国分寺駅まで4分で結ぶシャトルバスも好評。設備仕様は高くないが、共用部分やランドスケープには力を入れた。どこにも負けない」と自信満々に語った。

 3月の第1期分譲では約150戸を供給する勢いにある。

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◇      ◆     ◇

 物件概要は、同社がニュースリリースしたとき記事にしているのでそちらを参照していただきたい。事業比率は同社が85%、東京建物が10%、大栄不動産が5%。南向き住戸の総延長が250mで、南向き住戸が75%あり、〝森〟が眼前に広がる住戸も多数ある。

 40年近く記者をやっている。正攻法で攻めていいか、からめ手か下手がいいかぐらいは瞬時に判断できる。佐久間氏には単刀直入「いくらですか」と聞いた。佐久間氏は質問に躊躇するタイプではないと読んだからだ。

 すかさず佐久間氏は自信満々の顔(顔は少しあのAKB48の生みの親、秋元康氏に似ている)「240万円の前半。高くても245万円くらい。人気が出たからといって引き上げることはしない」と明言した。別荘のような日立の森に面している「南向き住戸は70㎡台で5,500万円台から6,000万円台中心。95㎡の東南角住戸は7,000万円台中盤前後。東向きの森に面したD棟で71㎡台4,000万円台後半から5,000万円台半ば中心。森に面さない住棟は70㎡くらいが中心で、4,200万円台から5,000万円くらいまでにしてグロスを抑える。設備仕様はさほど高くはないが、デザイン監修に三菱地所設計を起用して、共用部分などはしっかり造り込みをした」と舌滑らかに話した。

 リーダーたるものこうでなくてはならない。少しでも不安をのぞかせればスタッフに影響するし、お客さんにも伝わってしまう。「設備仕様は高くはない」というのも正直でいい。目が肥えたお客さんに「設備仕様は高いですよ」などと言ったら、間違いなくそっぽを向かれる。

 森に隣接する特性は、住友不動産「シティテラス小金井公園」(922戸)と激突するのではないかと思ったが、「競合はまったくありません」ときっぱり答えた。佐久間氏には他の物件は眼中にないようだ。

 「このように好調なのは最近聞いていないが」と水を向けたら、「当社と三井さんの『王子』が人気ですが、西側ではここ。沿線では見ていただいたうちの『中野タワー』が沿線では一番人気。9割まで進捗している。コンパクトの『ザ・パークハウス アーバンス 中野中央』もあと1割」と語った。

◇       ◆     ◇

 一つ、このマンションの大きな特徴でもある学童保育所の併設について。保育園は現地のすぐ北側に新設されるなど不足しないため、同社は絶対的に足りない学童保育所を設置することで、国分寺市の条例により15mの高さ規制を20mまで緩和措置を受け、容積の割り増しも受けている。

 確かに、保育所も必要だが学童保育所も子育て世帯にとっては欠かせない施設だ。

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サクラ・ガーデン

小金井カントリーを眼下 「シティテラス小金井公園」は坪215万円(2015/7/26)

三菱地所レジデンス他「ザ・ パークハウス 国分寺四季の森」モデルルームオープン(2017/1/26)

カテゴリ: 2016年度
 

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