ロイヤルハウジング 軽井沢で4棟目リゾートマンション「プリンシパル軽井沢」分譲
木島社長
ロイヤルハウジングが、同社としては4棟目のリゾートマンション「プリンシパル軽井沢」を分譲する。JR軽井沢駅から徒歩約14分、軽井沢町軽井沢東に位置する全19戸。1戸当たり平均35坪前後、価格は1億円前後(坪単価300万円前後)の予定。
8月9日に軽井沢大賀ホールでパーティを開き、モデルルームを公開。一般分譲は行わず、これまで同社と取引があった顧客を優先して販売する。
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同社・木島寛社長(70)と久々にお会いし歓談した。木島社長には公私にわたりお世話になっており、記事にできないことのほうが圧倒的に多いのだが、その歓談の中で「軽井沢」の話が出た。とっさに「坪300万円でどうですか」と聞いたらその通りだった。
主力の不動産仲介業は堅調だ。平成29年3月期の仲介手数料収入は前期比 10%増の約40億円強、不動産売買が約35億円、インテリア部門が約14億円。
同社は今年3月、高齢者事業やリゾート事業に力を入れるため、フジテレビ「ニュースJAPAN」の金融経済アンカー、「日経CNBC」の経済キャスターなどの経歴を持つ谷本有香氏を上席執行役員として招へいした。
木島社長は古希を迎えた。それでも毎週、約30カ所ある店舗を隈なく回っている。視力は1.5だという。
インタビュー後、昼食をおごってもらったのだが、糖尿のためカロリーを抑えている記者はサンドウィッチ、木島社長はその数倍のカロリーがありそうなスフレドリアを注文した。元気が出るはずだ。
元気の源は「出しゃばらないこと。マイペース。人生はロマン」と語った。記者のモットーは「人生は愛」、木島社長は「ロマン」。「愛」も「ロマン」も似たようなものだが、生き方は真逆。視力からして世の中・経済を見る眼力や胆力は普通の人の数倍であることを付け加えておく。
一挙116戸供給の東建他「Brillia Tower代々木公園」の坪単価は520万円
東京建物他「Brillia Tower代々木公園」第1期分譲は全195戸のうち半分以上の116戸に達することは先日報じたが、坪単価は520万円であることが同社広報を通じて知らされた。
率直に言ってずいぶん安いと思う。だからこそ116戸も一挙に供給できたのだろう。この単価が今後の都心部や駅近マンションのメルクマークになるはずだ。
いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫
積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」モデルルーム(全てが本物の中低木)
ずっと以前から気になっている分譲マンション・一戸建てのモデルルームのインテリアについて書く。断っておくが、記者は素人だ。しかし、自分で油絵を描くし、少しは美醜を分ける素養があると思っている。
モデルルームではほとんどすべてをチェックするが、もっとも重視するのは設備仕様レベルとデザイン(単なる意匠ではなく、あえて言えば品格)だ。最近は、建築費の高騰でどんどん貧しくなってきている。大理石や御影石の天板などはともかく、突板仕様のドア・建具などすっかり影をひそめてしまった。ほとんどがケミカル製品だ。
これはやむをえないとしても、あまりにもひどいのが造花の氾濫だ。坪300万円だろうが400万円だろうが、グロスにして7,00万円も8,000万円もするモデルルームでも生花が飾ってあるものなどほとんど見たことがない。
なぜそうなるかは容易に想像できる。1年も2年も使用するモデルルームに高価な手入れも必要な生花など飾れないということだろう。それよりも手入れの必要がない本物そっくりの造花のほうが来場者に強いインパクトを与えるだろうとデベロッパーは考えているはずだ。
インテリアコーディネーターは、内心ではばかばかしいと感じながら、おそらくそのようなデベロッパーの意向を忖度して派手派手しく飾ることに専念するのだろう。
一カ所でも派手に飾ると、他もすべてそうせざるを得なくなる。収拾がつかなくなり、かの岡本太郎〝芸術は爆発だ〟状態になる(岡本太郎の作品がダメと言っているのではない。TPOを言っているのだ)。そうしないと釣り合いが取れなくなるからだ。
結果どうなるか。例えば食卓。たかだか20畳大のリビングダイニングに4人掛けのテーブルを置き、そこに皿などの食器類にワイングラスを並べ、さらにいかにも造花然とした訳の分からない造花が飾ってある-こんな光景を何度見たことか。
しかし、立派なホテルやレストランでテーブルに造花が飾られているのを見たことがあるだろうか(記者は外で摘んできた草花を店のグラスに活けて怒られたことがあるが、それでも懲りずに時々そうする)。和食でも洋食でもメインは料理であり食器類だ。食卓に造花を飾るのはご法度だ。おいしいものでもまずく感じる。ましてや大ぶりの花がそぐわないことなど素人でもわかる。
そのような愚を平気でおかす。〝うちは関係ない〟と言い切れるデベロッパーはどれだけいるだろうか。天然御影のカウンターと安っぽいカサブランカやアンスリウムの造花がどうして釣り合うのか。デベロッパーは〝来場が少ない〟〝歩留まりが低い〟などと嘆くが、ユーザーの心をつかむ努力を怠っていないか考える必要がある。一生に一度の大きな買い物になるかもしれない、人生を変えるかもしれないマンションや一戸建てのモデルルームを造花で飾り立てる神経が私は理解できない。〝simple is best〟-この言葉の意味をもう一度考えてほしい。
1階の提案(これもすべて本物の中低木)
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プロパストをご存じだろうか。リーマン・ショックのとき破たんしたが、それまではデザイナーズマンションの雄として一世を風靡したデベロッパーだ。もう20年くらい前だ。都心のあるマンションのモデルルームは玄関も廊下も壁もドアもすべて白。ところどころに黒がアクセントとして用いられていた。そして、リビングのテーブルに1本の赤いバラが活けてあった。
みなさん、その光景を思い浮かべていただきたい。すべて真っ白の空間に赤いバラ1本。当時の森俊一社長は何と言ったか。「都内の花屋を駆けずり回って探してきたバラです」と。
同社は徹底してデザインにこだわった。パンフレットを入れる紙袋もそうだ。つやつや光る黒の紙袋は手の汗などを付けると汚れたようになる。同社はそうならないように艶消し処理を施した紙袋にした。
そこまでするからユーザーは感動する。マンションは感動を売る商売でもある。記者が20年も昔のことでも思い出せるのも、それだけ強い印象を受けたからだ。
現在、そうしたこだわりのマンションを供給しているところはどれだけあるだろうか。生花に限ればフージャースコーポレーションがそうだ。同社には〝営業の神〟と呼ばれる人がいて、その人の指示でモデルルームは極力生花にしているそうだ。
積水ハウスもそうだ。いま売れ行きが極めていい「グランドメゾン品川シーサイドの杜」をぜひ見学していただきたい。戸数が多いからできる芸当だが、販売事務所そのものが「杜」になっている。
記者は取材先の道端などに咲いている草花を摘み取り、濡れたティシュでくるみ家や事務所に持ち帰って飾る。今はドクダミが美しい。
わが家の洗面(ドクダミは四谷で摘んできたもの)
東京建物他「Brillia Tower代々木公園」 第1期分譲は全195戸のうち116戸
今春の話題マンション東京建物他の「Brillia Tower代々木公園」の第1期販売概要・スケジュールが決まった。5月20日から登録申し込みを受け付けたのは全195戸の半分以上の116戸にも上る。分譲単価は問い合わせ中だが、最低で412万円、最高は809万円。
同社は2013年の「池袋」以来、「多摩ニュータウン」「目黒」「東京八重洲」「上野池之端」など毎年のように話題作を供給してきたが、今回の「代々木公園」もまた業界の話題をさらいそうだ。
第1期(116戸)は、価格6,290万~34,990万円(最多価格帯8,000万円台、9,100万円台)、専有面積50.36~142.79㎡。登録受付期間は平成29年5月20日~平成29年5月28日。29日が抽選日。
抑制気味の単価設定に納得 間違いなく売れる 大和地所レジデンス「東京イースト」
「ヴェレーナシティ 東京イーストガーデンズ」完成予想図
大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナシティ 東京イーストガーデンズ」を見学した。南砂町駅から徒歩12分だが、駅から南砂三丁目公園-イオンの商業施設-仙台堀川公園を通れるアクセスがよく、敷地南側は東高校のグラウンド、東北側は小学校という立地。価格も間違いなく割安感がある。
物件は、東京メトロ東西線南砂町駅から徒歩12分、江東区東砂7丁目に位置する13階建て全128戸。専有面積は66.00~83.42㎡。5月下旬に分譲する第1期1次(7戸)の予定価格は3,900万円台〜5,900万円台。坪単価は260万円前後。竣工予定は2018年7月中旬。設計・監理はスタイレックス。施工は風越建設。
現地は準工地域だが、敷地南側は東高校、東側は保育園、小学校がある。建物は南向きと東向きの配棟。壁面・屋上緑化などランドスケープに力を入れており、コーナーサッシ付き、奥行き4mのオープンエアリビング、専用庭付きが約30戸。
基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、メーターモジュールの廊下、御影石キッチンカウンター、食洗機、ミストサウナなど。
オープンエアリビング
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いつものように坪単価を考えた。かつては220~230万円が相場だが、今では最低で250万円、最高で300万円と読んだ。しかし、坪300万円では販売に苦労するだろうから280万円が妥当ではないかと考えた。
同社販売担当者から坪単価は260万円前後に落ち着きそうだと聞き、モデルルームの設備仕様レベルなどを見て、これは割安感があると判断した。南砂町駅圏は都心へ10数分の距離圏ではあるがマンションの供給は意外と少なく、この10年間で大規模なものは3棟くらいしかなく、公園や商業施設、教育施設が周辺に揃っていることなどもプラスに働くはずだ。間違いなく竣工までに完売するとみた。
エントランス
駅近&海側 こんなマンション見たことない 伊藤忠都市開発「クレヴィア金沢八景」
「クレヴィア金沢八景THE BAY」完成予想図
40年近くマンションを見続けてきているが、こんなマンション見たことがない。駅近&海側の伊藤忠都市開発「クレヴィア金沢八景THE BAY」だ。京急・金沢八景駅から徒歩3分で、敷地南側はすぐ平潟湾。バルコニーから竿を投げれば魚が釣れるような近さだ。海好きにはたまらないマンションだ。この価値をどう伝えるか。
物件は、京急本線・京急逗子線金沢八景駅から徒歩3分、金沢シーサイドライン金沢八景駅から徒歩1分、横浜市金沢区瀬戸に位置する10階建て全72戸(販売対象住戸69戸、事業協力者住戸3戸、他に事業協力者店舗2区画)。専有面積は56.41~89.88㎡、価格は未定だが、坪単価は270~280万円になる模様。竣工予定は平成30年7月中旬。設計・監理はIAO竹田設計。施工は若築建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。販売開始は7月下旬。
現地は、駅周辺で土地区画整理事業や金沢シーサイドラインの延伸工事が行われている金沢八景駅から徒歩3分。敷地南側がすぐ平潟湾、東側は横浜市の史跡・琵琶島神社参道に隣接。道路を挟んだ対面が瀬戸神社の森。物件のすぐ近くには立派な料亭・千代本があるが、ここ1年くらいは営業していないようだ。
建物は1フロア8戸で、1戸を除き平潟湾に面している。最上階の6戸は15.13~35.84㎡のオーシャンテラス付き。1階にベイフロントラウンジ、プライベートテラス、2階に「キッチンスタジオ(集会室)」が設置されている。
同社は、①街の情報発信②地域への貢献③マンション完成後の入居者同士のコミュニティ形成支援、地域とのつながりを育む取り組みとして、「金沢八景うみまちLABO」を発足し、活動を開始している。
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マンションの取材で金沢八景駅に着くと必ず立ち寄るのが琵琶島だ。北条政子が近江の竹生島から勧請した弁天が祀られており、300年前の延宝年間の高潮で立ち枯れた柏槇(びゃくしん)の枯木が時代を偲ばせてくれる。
この日も数十分間タバコを吸いながら海を眺めた。水面は穏やかで、護岸のそばでスズキらしき魚がたくさん泳いでおり、一羽のウミウが〝もぐり〟を繰り返していた。時間はゆったりと流れていた。
冒頭で「こんなマンション見たことない」と書いたが、駅近&海側マンションは今回の物件以外ないはずだ。
神奈川県の海に近いマンションでは、長谷工不動産が分譲した「モアクレストマリンシティ金沢文庫」を真っ先に思い出すが、海までは数分かかったはずだし、駅までは徒歩14分もあった。日神不動産の「日神パレステージ大津コスタミア」は海がすぐだったが、駅までは5分だった。
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現地を見て坪単価は250万円と読んだ。近接する東急不動産「ブランズ金沢八景」、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ金沢八景」よりはるかに立地が優れているからだ。しかし、価格はもっと高くなりそうで坪270~280万円くらいになる可能性が高い。確かに唯一無二のこの価値が分かる人には理解されるかもしれない。
施工が埋立・浚渫、護岸・防波堤工事を得意とするいわゆるマリコンの若築建設であることも物件の特殊性を物語っている。工事費は安くないはずだ。
マンション管理協 新理事長に岡本潮氏(東急コミュニティー会長) 山根氏は相談役
理事長就任の挨拶をする岡本氏(同協会で)
マンション管理業協会は5月18日、理事会を開き同日付で新しい理事長に岡本潮氏(東急コミュニティー会長)を選んだ。山根弘美理事長(大和ライフネクスト会長)は相談役に就任した。相談役の黒住昌昭氏は退任した。
岡本氏は昭和24年9月15日生まれ。同49年3月、東京大学農学部卒。同年4月、東急不動産入社。平成23年4月、同社副社長、同26年2月、東急コミュニティー取締役、同26年4月、同社社長、同28年4月、同社会長。同28年6月、同協会副理事長。
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記者は他の取材があり、恒例の記者懇親会に遅刻した。着いたときは岡本氏が起立して何か話されていた。机上の理事出席者名簿には「理事長 岡本潮(東急コミュニティー)」とあったので、理事長が交代したことを初めて知った。
懇親会後、山根氏は「社業が忙しく専念する」と退任の理由を語った。関係者などによると就任5年間で、マンション標準管理規約の改正、コミュニティ条項の明確化などが成し遂げられたことなどから区切りをつけた模様だ。(定款上は理事及び監事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までとし、再任を妨げないとある)
岡本氏は、記者団の質問に対して「言葉は適当ではないかもしれないが、マンション管理は階層でいえばデベロップメントの下支え的な位置にランクされている。一方で、約630万戸あるマンションストックで管理業はハード・ソフト両面でデベロッパーとの関係、コンプライアンス、ガバナンスも含め事業体としてきちんと整備しないといけない」などと業界の地位向上が急務であることを強調した。
また、マンションの建物と居住者の〝老い〟の問題、管理員の人手不足に対応するために、IT化が避けられないとし、私見として女性・高齢者・外国人をどう活用するかだと語った。協会の枠を超え行政などとの連携も不可欠とした。
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岡本新理事長が管理員を含む業界の地位向上に真剣に取り組む姿勢であることは最近の記者懇親会での発言でよくわかる。管理員の待遇改善は待ったなしだと思う。「マンション管理を魅力ある仕事にしないといけない」と岡本氏も語ったが、コミュニティなどというビジネスに馴染まないサービスをどう正当なフィーとして確立するのかも大きな課題だ。
マンション管理協 管理員の待遇改善を重要課題に 呼称も変えてほしい(2017/3/24)
並以下のチラシでも歩留まり29% 34戸が売れる ポラス「ルピアコート西大宮」
ポラスグループの中央住宅マインドスクェア事業部が5月12日、西大宮駅圏で初の分譲マンション「ルピアコート西大宮」の記者見学会を行った。
モデルルームを4月15日にオープンし、23日に優先分譲として18戸を供給し全て申し込み済み。引き続き29日に44戸を供給し、16戸に申し込みが入ったという。優先分譲と合わせ34戸が成約・申し込み済みだ。来場者は約120件だから、歩留まりは29%に達している。
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この物件については1カ月前に取材して記事にしているのでさちらを参照していただきたい。付け加えるのは販売状況と坪単価くらいだ。
最初に見学したとき「これほど魅力的なマンションであるにも関わらず、チラシは並以下だ。企画意図が全然表現できていない。記者なら『ルンバだけじゃない。働く主婦に嬉しいこれだけの魅力』とでも見出しにつけて、他社にない少なくとも50くらいのアイテムを盛り込んだチラシにする」と書いた。
そんな並以下のチラシでも120組の来場者があり、34戸の成約・申し込みがあるというのだから、来場者にその良さをアピールできたのだろう。来場者の約半数が分譲戸建ても検討しているというから価値がある。分譲戸建ても玉石混交だから、来場者がどのような戸建てと比較検討したかはわからないが、まちがいなくこのマンションは勝てる。何度もいうが、このマンションの価値をわかりやすくチラシに盛り込んで訴求する必要がある。
価格について。最初の記事では「坪180万円くらいが妥当とはじいたが、予定価格からするともっと低くなる。設備仕様レベルからすれば極めて割安感がある」と書いた。170万円という坪単価は納得だ。大宮以遠でどれだけのマンションが分譲されているかわからないが、このマンションのレベルを超える物件はまずないはずだ。他物件との比較をきちんとできるかどうか。販売力にかかっている。
もう一つ、「ピアキッチン」について。これがスグレモノであることは何度も書いた。標準装備のバックカウンター・収納を含めこれほどの機能をリビング・ダイニング・キッチンに収めようとしたらまず100㎡は必要だが、ここは70㎡台で提案できている。
物件名は出せないが、このピアキッチンとよく似た都心の億ションのモデルルームで見たことがある。
これほど働く主婦の目線に立ったマンションはないポラス「ルピアコート西大宮」(2017/4/12)
ポラス中央住宅・金児正治部長の描く「複合開発」 官との連携欠かせない(2017/5/13)
〝2Lで60㎡台〟新たな需要喚起するか 野村不「プラウド日本橋人形町パサージュ」
「プラウド日本橋人形町パサージュ」完成予想図
野村不動産が6月中旬に分譲する「プラウド日本橋人形町パサージュ」を見学した。同社初の共働き世帯に特化したマンションで、これまで周辺で分譲した顧客ニーズを商品企画に反映しているのが特徴。駅から徒歩2分、無駄を省いた2LDKで60~65㎡のプランが光る。圧倒的な人気を呼ぶ予感がする。
物件は、日比谷線人形町駅から徒歩2分(他に5駅が利用可)、中央区日本橋人形町三丁目に位置する敷地面積約364㎡の14階建て全39戸(非分譲3戸含む)。専有面積は60.43~65.76㎡、価格は未定だが、坪単価は430万円くらいになる模様。施工は新日本建設。入居予定は平成30年8月中旬。
現地は北側道路の100坪強の敷地。敷地南側は同社が分譲した14階建て「プラウド日本橋人形町ディアージュ」(38戸)が建設中。
建物は1フロア3住戸で、プランは60.43㎡、61.55㎡、65.76㎡。65㎡のタイプは主寝室を約7.3畳大、リビングダイニングキッチンは約15.2畳大確保しているほか、廊下幅は1280ミリ(約1.2
畳大)と広めで、収納も多くしているのが特徴。このほか、大理石の玄関、キッチンカウンター、洗面化粧室、浴槽のカウンターはインド産サファイアブラウンの御影石、食洗機、リビングドアは框ドア、ドア把手はコロンボ製、ガスコンロはショット社製、エアコンは2基、奥行き2mのバルコニーなどが標準装備。
販売担当者は、「周辺で分譲した当社のマンションのお客さまの声を企画に反映した物件。人形町界隈ではたくさん供給されているが、2LDKといえば50㎡台しかなかった。60㎡台にすると主寝室やリビングを広くし、収納も増やせることがお客さまによく伝わっている。設計をはじめとするトータルな評価がものすごく高く、お客さまの滞在時間も長い。朝から晩まで4名のスタッフはてんてこ舞い」と話している。
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モデルルームを見て企画意図がすぐ理解できた。細々と紹介しないが、主寝室を7.3畳大確保したこと、玄関・廊下を広くし、収納をきちんと確保していること、仕様レベルを落としていないことなどがストレートに伝わってきた。
もう一つは、単価とグロスの設定だ。同社がプレス・リリースしたとき、「坪単価は420万円でどうですか」と同社に尋ねた。答えは返ってこなかったが、ほぼ予想した通りだ。
同社が3年前、「プラウド日本橋三越前」(88戸)を分譲したとき問い合わせの多さとレベルの高さに驚いたが、その後、周辺物件の単価はどんどん上昇し、坪400万円どころか、東日本橋、馬喰横山あたりでも軒並み400万円を突破した。
その後市況が変化し、各社とも価格修正を余儀なくされた。プレス・リリースを読み、北側道路であること、狭小敷地であること、南側にマンションが建つことなどを考えて、「高値挑戦はしない。面積を圧縮し、グロスも抑える」と読み、坪420万円を導き出した。
予想より坪10万円高かったが、仕様レベルを考えたらこれは納得の価格だ。ローン金利がただ同然とはいえ、アッパーミドル層にとって〝20坪で1億円〟というのは購入に抵抗があるはずだ。同社はそうしたユーザー心理を巧みに読み企画に反映した。
いまのところ第2弾、3弾の具体的な物件は上がっていないが、〝プラウド〟がコンパクトマンション市場に参入すればそれこそ全員参加型の市場になる。広めの2Lで新たな需要を創造するかもしれない。
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同社は前期決算で654戸の完成在庫(うち402戸は未販売)を出し減益となった。遠い昔のことは分からないが、少なくとも〝プラウド〟では過去になかったことだ。
在庫が増えていることに対して、記者は絶対に同社はてこ入れをすると思っていた。今期は6,000戸を計上する予定だ。在庫を減らすのはもちろん新規物件も完全に売り切る策に出るはずだ。
今回の「プラウド日本橋人形町パサージュ」は同社の積極姿勢を示すマンションになるのは間違いない。「日本橋三越前」同様、瞬く間に売れるのではないか。一つだけ気になったのは浴室サイズが1317だったことだ。これはやむをえないのか。いずれにしろ、同社の今後の動きに注目したい。
野村不動産 共働きをターゲットにした「プラウド日本橋人形町パサージュ」分譲(2017/4/27)
驚!問い合わせ4500件突破 「プラウド日本橋三越前」(2015/2/27)
〝世界のトヨタ〟〝世界のTOKYO〟へ2駅12分の「アネシア東京尾久」
「アネシア東京尾久」完成予想図
トヨタホームとミサワホームが近く分譲するマンション「アネシア東京尾久」を見学した。首都圏での〝アネシア〟ブランドは初で、マイナーな「尾久」ではあるが、〝世界のトヨタ〟が〝世界のTOKYO〟へ2駅12分のアクセスのよさをどうアピールするか、分譲価格も気になるところだ。
物件は、JR上野東京ライン尾久駅から徒歩2分、北区昭和町二丁目に位置する14階建て全78戸。専有面積は65.79~70.78㎡、価格は未定。竣工予定は平成30年10月下旬。設計・監理は協立建築設計事務所。施工は埼玉建興。デザイン監修は建築家の船田徹夫氏、ランドスケープデザインは庄島正興氏。販売代理は住友不動産販売。
現地は東京駅から2駅目の尾久駅から徒歩2分。3方道路で全戸南向き。敷地北側が明治通り。
建物はマリオンとフィンによって端正な姿が強調されたシンメトリックな外観で、明治通りに面したエントランス部分に植栽をふんだんに採用しているのが特徴。
商品企画では、トヨタの車と一緒、鍵をかざすことなく玄関ドアを開くことができ、収納は全てソフトクローズ機能付きで、収納扉の裏も塗装されている。二重床・二重天井、御影石キッチン天板、食洗機、ディスポーザ、クリア網戸、スロップシンクが標準装備。標準階のリビング天井高は2450ミリだが、12~14階は2600ミリ。
現地の担当者によると、来場者は地元中心だが、中広域からも集客できているという。
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問題は価格がどうなるかだ。東京駅から12分、上野駅から5分のアクセスのよさだけなら坪400万円をはるかに突破しても不思議ではないが、「尾久」駅は特に用がなければだれも降りないマイナーな駅だ。駅前には喫茶店すらない。これまで中堅デベロッパーを中心に分譲されていたマンションのアッパーは坪単価270~280万円だ。
しかし、駅から徒歩2分の全戸南向きの立地と〝世界のトヨタ〟ブランドからして、坪単価は300万円台に乗るとみる。グレードも水準以上だ。
いったいどれだけの上積みがあるかだが、「晴海」や「有明」「品川シーサイド」の大規模物件は坪300万円を超えるが坪350万円どまり。「尾久」もこの単価を超えるのは難しいと読んだ。
東京駅では三菱地所の〝世界に誇れる〟常盤橋の再開発プロジェクトが着手された。〝世界のトヨタ〟だ。力は間違いなく入っている。安値では売らない。かといって「尾久」では高値追求も難しい。いくらに落ち着くか興味深い。
エントランス