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「オハナ蕨錦町」完成予想図

 野村不動産が12月に分譲する「オハナ蕨錦町」を見学した。埼京線戸田駅から徒歩14分とややあるが、坪単価は180万円を切る可能性があり、圧倒的な価格の安さが周辺物件や郊外物件に影響を与えるかもしれない。

 物件は、埼京線戸田駅から徒歩14分、または京浜東北線蕨駅から徒歩19分、蕨市錦町2丁目に位置する11階建て全129戸。専有面積は68.87~82.54㎡、予定価格は3,400万円台~4,900万円台、坪単価は調整中で180万円を切る可能性もありそうだ。竣工予定は平成30年2月。施工は長谷工コーポレーション。

 現地は用途地域が工業地域。大日本インキの元社宅跡地で、従前は「やまとの湯」として地元に親しまれていたスーパー銭湯。

 建物は南向きで、専有面積は68㎡、72㎡、75㎡、82㎡の4タイプ。設備仕様はこれまでの〝オハナ〟とほぼ同じ。キッチンシンク下は可変ニースペース付きで、スロップシンクが標準装備。

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エントランス

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 これまで同社の「オハナ」シリーズは2011年の第一弾「八坂萩山町」から「平塚」「茅ヶ崎」「八王子」「淵野辺」「ふじみ野」「北戸田」「北習志野」など郊外ばかりだったが、最寄駅から都心へのアクセスでは今回の「蕨錦町」がもっとも近いのが特徴だ。池袋、新宿、渋谷、東京へ30分圏内だ。これがユーザーにどう評価されるか。

 ただ、徒歩10分圏内に蕨市役所、保育園、幼稚園、中学校、図書館、スーパー、公園などの生活施設は整っているが、用途地域が工業地域であることからも分かるように、住環境はお世辞にもいいとは言えない。これがまたユーザーにどう評価されるか。

 記者も読めない。従前がスーパー銭湯だったのを利用して「温泉付き」にしたら早期完売できたと思うが、維持・管理が大変なのでそうならなかったのだろう。

 ちなみに2013年に分譲された「オハナ北戸田ガーデニア」(277戸)の第1期第1次分譲は145戸で、坪単価は142万円だった。ここも住環境はあまりよくなかったが瞬く間に売れた。この3年間で市場は激変した。坪単価は2~3割も上昇したのに実質賃金が下落し続けている-ここにすべての問題がある。

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テラスガーデン

埼京線・戸田市のマンション大激戦 新規・継続含めて1000戸超(1)

野村不動産「北戸田」は1期一挙に145戸供給(2013/5/28)

埼京線・戸田市のマンション大激戦 新規・継続含めて1000戸超(2)(2013/5/28)

カテゴリ: 2016年度

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建て替え後の「メゾンドール早稲田」完成予想図

 三菱地所レジデンスは11月29日、同社が事業参画中の「メゾンドール早稲田」マンション建替事業が「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に基づくマンション建替組合の設立が認可されたと発表した。民間マンションと国有地の一体敷地の建て替え事業は国内初となる。

 物件は、東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩6分の地上7 階建て35 戸の民間分譲マンション「メゾンドール早稲田」(昭和46年竣工)と、隣接する7階建て35戸の「国家公務員宿舎」(昭和45年竣工)を一体敷地として建て替えるもの。建て替え後は地上10 階地下1 階建て全115 戸のマンションになる。竣工は2020 年6 月の予定。

 「メゾンドール早稲田」では10 年以上前から建て替えが管理組合内で検討されてきており、同社は2009 年6 月に事業協力者に選定された。土地買収が困難な管理組合に代わり同社が2015 年12 月、隣接の国家公務員宿舎の土地を取得。2016 年2 月に一体敷地での建替え決議が成立した。

カテゴリ: 2016年度

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「グランアルト越谷レイクタウン」(左)と「ザ・シーズンズ グランアルト越谷レイクタウン」

 大京と住友不動産が共同で開発分譲した埼玉県越谷市の「グランアルト越谷レイクタウン」(381戸、2014年1月竣工)と「ザ・シーズンズ グランアルト越谷レイクタウン」(435戸、2015年3月竣工)の2物件が、第8 回「彩の国みどりのプラン賞」を受賞した。

 ①中庭と一般開放された遊歩道を中心に、利用者が緑に親しめるように緑地が配置されている②隣接し合うマンションと敷地を共有して遊歩道を整備するなど、独創的な設計となっている-ことが評価された。

 埼玉県は、一定面積以上の敷地で建築物を新築・改築などを行う場合、緑化の計画を作成し届け出る「緑化計画届出制度」を2005 年10 月から行っており、「彩の国みどりのプラン賞」は、特に優れた緑化を行い、維持管理が良好な施設を表彰するもの。制度開始の2005 年10 月から2015 年3 月までに完了報告を提出した中で、緑化基準を満たしている1,287 計画(既に優良認定を受けている141 計画を除く)の中から7計画が受賞した。

 マンション関係では、「オハナふじみ野上野台ブロッサム管理組合」(分譲:野村不動産)、「パークホームズLaLa新三郷管理組合」(分譲:三井不動産レジデンシャル)などが受賞した。

 

カテゴリ: 2016年度

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全景(手前が「パークタワー新川崎」。奥は三井不動産のビル)

 地権者の三井不動産レジデンシャルや川崎市などが出資している鹿島田駅西部地区再開発株式会社が11月27日、商・住一体開発の「鹿島田駅西部地区第一種市街地再開発事業」の事業全体の竣工を記念して「鹿島田駅西部地区まちびらきフェスタ」を開催した。三井不動産専務・北原義一氏、川崎市長・福田紀彦氏、三井不動産レジデンシャル社長・藤林清隆氏など関係者約110人が式典に参加、竣工を祝った。フェスタには約10,000人(主催者発表)が集まった。

 冒頭挨拶した北原氏は、「駅と駅、人と人、街と街をつなぐコンセプトのもと、再開発計画段階を含めると四半世紀にもわたるプロジェクト。670戸のマンション『パークタワー新川崎』は施工段階で『手戻り』(作業工程の途中で大きな問題が発見され、前の段階に戻ってやり直すこと)があったため、竣工が約1年半延びたことを深くお詫びします。関係者のみなさんのご尽力に感謝いたします。設計監理の松田平田さん、施工の清水建設さんにも理解していただいたことを感謝いたします(この間、10人くらいの関係者の名を挙げ謝意を示した)。ハードは完成しました。最新鋭のスペックを備えています。これからソフトの部分、魂を入れるコンテンツの充実に総力を結集します」と述べた。

 福田市長は、「(新川崎)駅と(鹿島田)駅がペデストリアンデッキでつながり、ワクワクする街が完成した。今後、平成30年には新たな交流施設も計画している。武蔵小杉同様、街に欠かせない施設が揃うことになる」と話した。

 また、来賓としてあいさつした地元選出の田中和徳・衆議院議員は、「一時は大変な事態になりそうになったが、今日の竣工を迎えることができた。これからは南武線の踏切をなくし連続一体化を図るべく前進しよう」と語った。

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街びらきの鏡割り

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左端から北原氏、田中衆議院議員、福田市長、右端が藤林氏

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 「パークタワー新川崎」については別掲の分譲開始時の2013年に書いた記事を参照していただきたい。北原氏が述べたように最先端の技術が採用されている。免震工法を採用し、マンション全住戸に蓄電池を搭載しHENS連携システムをわが国で初めて導入したほか、当時としては3例目の「CASBEE川崎」の最高ランク「S」を取得。再開発を株式会社方式で行うのも全国的に珍しいことから話題となった。

 ところが、契約がかなり進んでいた2014年3月、施工中のコンクリートにひび割れや剥離が見つかり、工事をやり直すことになった。

 当時、三菱地所レジデンスの「南青山」(施工は鹿島)や積水ハウスの「白金」(施工は清水)なども不具合が見つかり、「南青山」は建て替える事態に追い込まれた。

 今回の「新川崎」では新た分譲することになったため工期が1年半も伸びたが、今年11月の竣工まで全て完売となっている。

 関係者によると、「中古」段階では新築時の価格を上回る可能性が高いという。価格が当初分譲開始した2013年当時のままで据え置かれ、その後の建築費の高騰を織り込んでいないためのようだ。

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ペデストリアンデッキ(左)と「パークタワー新川崎」

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三井不動産グループの出店「住まいモール」(施設には三井不動産リアルティと東急リバブルが店舗を構えている)

商・住一体の三井不レジ「パークタワー新川崎」(2013/10/3)

カテゴリ: 2016年度


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「蘆花公園 ザ・レジデンス」完成予想図

 三菱地所レジデンス・野村不動産・セコムホームライフ(事業比率は非公開)が共同して12月に分譲する「蘆花公園 ザ・レジデンス」を見学した。敷地面積約15,000㎡のゴルフ練習場跡地に建設される全389戸の大規模マンションで、ランドスケープデザインに力が注がれている物件だ。

 物件は、京王線芦花公園駅から徒歩6分、千歳烏山駅から徒歩10分、世田谷区粕谷2丁目に位置する8階建て109戸と9階建て280戸の合計389戸の規模。専有面積は57.59~114.87㎡、価格は未定。竣工予定は平成30年1月上旬。設計・監理・施工は長谷工・不二建設共同企業体。

 現地はケヤキ並木が美しい、ゴルフ練習場「芦花パークゴルフ」跡地。敷地南側は第一種低層住居専用地域が広がる。

 敷地の約半分以上を空地としたランドスケープに力が入れられており、地域の自然植生や在来種を積極的に植樹し、いきもの共生事業所認証(ABINC認証)を取得するなど街との調和を図っている。また、「ロイヤルパークホテルズ」や「カッシーナ・イクスシー」とコラボレーションしたゲストルームやプライベートラウンジなど共用部分の充実を図っている。

 平均専有面積は75㎡超。全体的に広めのプランが多い。現段階で2,000件以上の問い合わせがある。

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 芦花公園駅はマンションの取材で度々訪れているが、アクセス、住環境は申し分ない。すぐ近くの対面には東急不動産の高級マンションシリーズ〝プレスティージュ〟の初期の頃の「プレスティージュ芦花公園」(158戸)がある。記憶は定かではないが、分譲されたのは昭和60年代初め。坪単価が300万円超で〝億ション〟もたくさん含まれていた。京王線での億ションの先駆けのような存在だった。その後、市場は狂乱時代に突入する。調布あたりで坪単価は500万円を突破した。

 もう一つ、芦花公園には記念碑的なマンションがある。セコムホームライフの「グローリオ蘆花公園」(373戸)だ。分譲開始は2008年、当初の坪単価は338万円。建築家・芦原太郎氏がデザイン監修した最高のマンションだった。しかし、時期が悪かった。リーマンショックの直撃を受けた。その後、完売まで数年かかり、最終的に坪単価は300万円以下だったはずだ。

 さて、今回の物件はいくらになるか。関係者は「未定」と口を閉ざすが、記者は坪単価330万円くらいに収まるのではないかと読んだ。明らかに最近のやや変調をきたした市況を踏まえたものだろうと思う。

 考えてみればこの30年間、「芦花公園」は市場の波に翻弄されてきた。いったいいくらで分譲されるのか、ユーザーはどう評価するのか。今後の京王線だけでなく、坪単価300万円前後のエリアの動向を探る意味でも試金石、指標となる物件であるのは間違いない。

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ランドスケープ

分棟配置と雁行設計が優れたセコムホームライフ「グローリオ蘆花公園」(2008/10/15)

 

 

 

カテゴリ: 2016年度

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「宮崎台ブラザビル」リビング

 コスモスイニシアは11月18日、子育てを終えた50~60歳代の夫婦ふたり世帯をターゲットにしたリノベーション済マンションの新シリーズ「INITIA WiZ(イニシア ウィズ)」を立ち上げ、3物件のリノベーション工事が完了したのに伴い分譲を開始したと発表した。同日、完成済みの住戸をメディア向けに公開した。

 「INITIA WiZ」は、利便性と環境に恵まれた沿線・駅の徒歩5分以内を目安に物件を選定。"寛ぎ"を実現できる陽当たりを確保した物件を厳選。間取りはふたり暮らしにちょうどいい距離感を実現する間取りとし、リビング・ダイニングには床暖房を設置し、天然木のフローリングを使用する。また、趣味を愉しむための空間や、飾る・見せるを愉しむ収納、なかなか手放せないものをしまえる大型収納を確保する。

 今回、分譲を開始したのは東急田園都市線の「宮前平ガーデンハウス」(駅徒歩2分、全73戸、1995年竣工、専有面積65.50㎡、価格5.380万円)、「宮崎台プラザビル」(駅徒歩1分、全136戸、1981年竣工、専有面積68.33㎡、価格4,980万円)、「梶ヶ谷プラザビル」(駅徒歩3分、全147戸、1982年竣工、専有面積70.04㎡、価格4,480万円)の3物件。

 今後、他の沿線でも展開し、分譲棟内の居住者のリフォーム・リノベーション要望にも応える体制を整える。同社は9月にリノベーションに特化した「&Renovation渋谷青山営業所」を設置しており、リノベーション事業の一層の拡大を図る。

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「宮崎台ブラザビル」

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 この「INITIA WiZ」シリーズのコンセプトがいい。人気沿線の後背地には分譲価格にして数千万円以上の戸建てに住んでいる高齢者がたくさんいる。ローンも終え、世帯分離で独立する子世帯も多いはずだ。そのような層をターゲットにするのは大正解。同社と大和ハウスが共同で分譲した「高尾」のマンションでも、周辺の戸建て居住者の買い替え・買い増しがたくさんあったことでも証明されている。

 見学したのは「宮前平」と「宮崎台」の2物件。「宮前平」は住友不動産が売主で、築年月からしてバブル崩壊直後の分譲だ。当時のデータは手元にないが分譲単価は坪400万円くらいしたのではないか。二重床にすることで段差の解消を図り、オーク材の挽き板フローリングがよく、ソフトクローズ機能付きの引き戸を多用しているのが特徴。

 ちょっと価格が高い(坪単価271万円)気がするが、解体費用を含めて約800万円の改修費をかけているというからこんなものか。新築なら坪単価は300万円をはるかに突破する立地だ。

 「宮崎台」は竣工からして旧耐震マンションだ。デザインもいかにも昭和50年代に流行した外壁で、レンガ調のタイル、アーチが多用されている。耐震診断は受けていないようだが、当時の売主は東急電鉄で、「宮崎台」だから地盤はしっかりしていそうだ。

 リノベ住戸は、遮熱性に劣り高さも低いサッシ、旧式の玄関ドアそのままだが、内装のデザインは最近の新築物件とそん色ない。壁一面のカウンターラック、ホールの上部収納付きカウンターの提案がいい。リノベ後の坪単価240万円は安いのではないか。

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「宮前平ガーデンハウス」

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「梶ヶ谷ブラザビル」
 


 

 

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「プレイズ三郷中央」完成予想図

 三交不動産が12月に分譲する「プレイズ三郷中央」を見学した。郊外の激戦地ではあるが、駅から徒歩2分、良好な景観を担保するため定められた市の「三郷中央地区センターゾーン」に位置する全104戸。坪単価180万円台も割安感がある。

 物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩2分、埼玉県三郷市中央1丁目に位置する14階建て全104戸。専有面積は62.75〜83.66㎡、予定価格は3,300万円台〜4,900万円台(最多価格帯3,900万円台)、坪単価は180万円台。竣工予定は平成30年2月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は大京。

 現地は商業地域立地だが、駅からほとんど車が通らない舗道を利用できるのが特徴。敷地南側にはこのマンションと同レベルの賃貸マンションが建っているので、日影の影響は受けるが、市の条例により約4~6mセットバックして建物が建てられている。

 建物はほとんどが東向きで、幅員10mの道路とセットバック部分を含め、全面建物とは約15m離れている。1階部分は、これも市の条例により住戸はなく、約100㎡のエントランスホールラウンジ、ライブラリー風集会室、駐車場、自転車置き場などとなる。

 住戸プランは、一部の住戸を除き天井高は2500ミリで最大2600ミリ。相鉄ピュアウォーター製の1棟丸ごとの「良水工房」、食洗機が標準装備。

 販売を担当する大京販売受託室プロジェクトリーダー・大友武彦氏は「センターゾーン内のマンションは7棟目。市の景観条例により無電柱化が図られ、建物は道路から4mセットバックしなければならないとか、住戸は2階以上などの規制があるため良好な住環境が担保されているエリア。価格もお客さんが買える価格に抑えられている。三交さんとは名古屋で共同事業を行った実績があり、また当社が三郷中央駅前で430戸のマンションを早期完売した実績などが評価され、コンペで販売代理に選んでいただいた」と話した。

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エントランス

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 三交不動産をご存じない方も多いかもしれないが、わが故郷・三重を代表する、いや唯一の総合デベロッパーだ。首都圏や関西圏の電鉄系デベロッパーには事業規模では負けるが、質の高い住宅供給では引けを取らないと記者は思う。今回のシンメトリーの外観はとても美しい。

 今回のマンションの特徴は、施工が長谷工コーポレーションでありながら販売代理は長谷工アーベストではない点だ。

 大京がコンペで選ばれたのは前述の通りだ。大京の販売受託室は2011年に新設された部署で、戸建て事業も兼ねるという。

 その大京がオリックス不動産とともに三郷中央で分譲した「ザ・ライオンズ三郷中央」は記憶に残るマンションだ。「申し込み殺到か」と書いたが、その通りになった。そのときの記事を添付したのでぜひ読んでいただきたい。

 あれから6年。大京のマンションは中古でも坪160~180万円で取引されているようだ。「プレイズ三郷中央」とは時代が異なるので単純な比較はできないが、このマンションが完売まで時間がかかるようだと、周辺の物件への影響は少なくない。かつて販売力では右に出る会社がなかった大京の販売力が試される。

 ついでながら、三交不動産の親会社について。三重交通を「サンジュウ交通」と読まないでいただきたい。「ミエ交通」ですから。念のため。山梨県には「山交」があるが、こちらは「サンコウ」ではなく「ヤマコウ」です。

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ライブラリーラウンジ

申込殺到も 大京「ザ・ライオンズ三郷中央」(2010/11/18)

 

 

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 三井不動産リアルティは11月17日、「三井のリハウス」WEBサイト上で、マンション成約価格を即時に推定・表示するシステム「Smart Analyzer for Owners」を開発し、同日から提供すると発表した。

 同システムは、WEB上で売却を検討しているマンション情報を入力すると、専用ページ上で、実際に取引された成約事例をもとに自動で推定成約価格を提示するとともに、購入検討者数を即時に表示するシステム。

 算出される推定成約価格は、〝売り希望価格〟ではなく、同社で取引された延べ80万件超の豊富な成約データに紐づく住戸情報をビッグデータ化し、マンション棟別に住戸の特徴、実際に取引に携わった担当者の目を通じて数値化して算出しているのが特徴。

 同社は「エリアの最新情報と不動産マーケットに精通した店舗の担当者が最終的に確認することで、統計解析では捉えることができない事象を補い、よりリアルな推定成約価格の算出、提供を実現させた」という。

 当面は注目度が高い東京ベイエリアの86棟のマンションが対象で、将来的には対象エリアを拡大し、対象物件を増やしていく予定。

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 不動産流通のことはよくわからないが、同社のようなデベロッパー系不動産流通会社では初の試みのようだ。異業種から参入した会社もやはりビッグデータを活用したサービスの提供を行っているが、基本的には〝売り希望価格〟のようだ。レインズのビッグデータは各会社の〝販促〟には利用できない規定があるという。

 

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「デュオヒルズ旧軽井沢 ザ・ヴィラ」完成予想図

 フージャースコーポレーションの軽井沢での2棟目のリゾートマンション「デュオヒルズ旧軽井沢 ザ・ヴィラ」が好調なスタートを切った。正式な契約はこれからだが、全19戸のうち10戸に申し込みが入っている。

 物件は、JR北陸新幹線・しなの鉄道線軽井沢駅から徒歩27分(車約4分)、長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢字西屋敷裏向に位置する2階建て全19戸。価格は5,000万円台から7,000万円台が中心。坪単価は280万円。竣工予定は平成29年12月上旬。施工は北野建設。

 今年8月に竣工し、全19戸のうち18戸を完売した「デュオヒルズ旧軽井沢ザ・フォレスト」の隣接地。残りの1戸は同社が保養所として所有し、今回の「ザ・ヴィラ」のモデルルームとして使用している。「ザ・フォレスト」の坪単価は260万円だった。

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 この情報はもちろん同社の広報にも確認したのだが、ついさっき、同社企画開発部企画開発一課課長代理・市川譲氏と企画開発部企画開発二課・北村和樹氏から仕入れたものだ。

 種明かしをする。2人には記者が勤務する南青山のビルの喫煙室で1時間近く前にばったり出くわした。2人は商談に行く途中で、記者はいつものように記事の一段落がついたので一服するために地階まで降りていったのだ。市川氏と喫煙室で会うのは2回目だった。

 「それでは」とタバコを1本吸って別れ、また記事を書き、一段落したのでまた喫煙室に行ったらまたまた2人に出くわした。「わたしのタバコは記事を書くために必要。あなたたちは仕事しているのか」と問いただしたら、「軽井沢のマンションを売ってきた」というのだ。「坪単価300万円? 」と聞いたら280万円という次第だ。

 記者は1時間に1本の記事を書き、市川氏らは坪単価280万円のマンション1戸を売ってきた。(記事にそんな価値はないが)

 これでも嫌煙家たちはタバコを嫌悪するか。タバコは音楽でいえばブレス、息継ぎだ。息が継げなければ歌は歌えない。記事も書けない。

 軽井沢にはバブルの頃、リゾートマンションの取材で頻繁に訪れている。最盛期には坪単価は500万円くらいしたのではないか。「坪単価300万円? 」と聞いたのはあてずっぽうだが、相場観としてそんなに外れていないはずだ。再びブームが来るとは思えないが、箱根などとともに一定の需要は確実にあると思う。

カテゴリ: 2016年度

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 不動産上場会社の平成29年3月期第2四半期決算がほぼ出揃った。各社のマンション事業は、空前の低金利を背景に総じて好調を維持しているが、用地・建築費上昇による分譲価格の高騰や、消費者の交通利便性を重視した物件選好の影響を受けて完成在庫が増える傾向にある。在庫増が直ちに収益を圧迫する状況にはないが、価格高騰を吸収する消費力も弱く、デフレ脱却も遠のいた。市場は踊り場を迎えたといえそうだ。各社の決算データから現在のマンション市場を概観した。

 メジャー7(業界では三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産、野村不動産、東急不動産、東京建物、大京の7社をこう呼ぶ)の中で〝絶好調〟を維持しているのが三井不動産レジデンシャルだ。

 今期計上予定戸数5,450戸に対する四半期末の契約進捗率は91%に達している。完成在庫も111戸で、計上予定戸数の2%にしか過ぎない。超都心の高額とアッパーミドル向き、DINKS、コンパクトマンションのバランスがいいのが好決算につながっている。

 営業利益率が突出して高い住友不動産も好調を維持している。一言でいえば、三井不動産レジデンシャルは波をつくるのにエネルギーを注ぐ。一方の住友不動産は波に乗る、在庫を〝宝庫〟にするのが巧みだ。この差が利益率の差だ。販売事業全体の2017年度通期売上高2,700億円を2,800億円に上方修正した。計上予定5,000戸に対する契約率は約95%に達している。完成在庫は微減にとどまった。

 三井不動産レジデンシャルと住友不動産以外は天気予報に例えれば〝快晴〟とはいいがたい。

 ここ数年、戸数、売上高とも漸減している三菱地所レジデンスは期初の計上予定戸数を4,000戸から3,800戸に変更した。最近はJV物件の比率が増えている。完成在庫も徐々に増えている。

 これまで完成在庫をほとんど出さなかった野村不動産にも異変が起こっている。2017年度計上予定戸数に対する契約進捗率は77.1%と高水準だが、2014年度、2015年度はそれぞれ26戸、25戸だった完成在庫は2016年度には一挙に209戸に増加し、今四半期末は602戸と3倍に増加した。依然として高い粗利益率を維持しているが、在庫増は気になる材料だ。

 東急不動産と大京は戸数、売上高とも減らしており、〝4強〟との差が開いている。今後、両社はそれぞれ独自路線を歩むはずだ。完成在庫は微妙な水準に達している。

 東京建物は「「Brillia Tower池袋」(分譲322戸、2015年度)「Brillia多摩ニュータウン」(分譲684戸、2015年度)など好調物件が続いたあとの〝中休み〟。来期は、すでに全戸完売している「Brillia Towers 目黒」(分譲661戸)「Brillia THE TOKYO YAESU AVENUE」(分譲387戸)が計上されるので戸数、売上高とも大幅に増やしそうだ。

 メジャー7の売り上げ、価格の推移について。メジャー7の2014年度の計上戸数はトータルで約31,000戸、売上高は約1.3兆円、1戸当たりの平均価格は4,513万円だった。2017年度の予定計上戸数は約24,000戸、予定売上高は約1.3兆円、平均価格は5,401万円。3年間で計上戸数は約7,000戸減らしたが、売上高はほぼ同じ水準で、平均価格は約900万円上昇したことになる。

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 メジャー7以外のデベロッパーの決算データも懸念材料がある。

 今期引き渡し予定戸数1,600戸に対して契約進捗率が79.3%と好調のタカラレーベンは、昨年同期は引き渡し予定戸数1,250戸に対して進捗率は86.1%だったので6.8ポイント下落している。

 平成26年3月末で330戸の完成在庫を抱えていた日神不動産は、その後販売が進み平成28年9月末で257戸に減少したが、平成26年4月以降の分譲戸数1,456戸に対する完成在庫率は17.7%で楽観できる数値ではない。

 NTT都市開発も利益率が悪化している。2015年9月末の利益率が18.5%だったのが、2016年9月末には6.5%へ低下。完成在庫は2015年9月末の271戸から2016年9月末には506戸へと増加している。

 2016年3月期末で693戸の完成在庫を抱えていた大和ハウスは半減以下の331戸に減らしたが、通期では2,250戸(前期2,972戸)、1,100億円(同1,313億円)に減らす計画。グループのコスモスイニシアも昨年同期の利益率が20.3%だったのが2016年9月末は17.9%へ落ち込み、完成在庫も49戸から111戸へ倍増している。

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 決算データは遅行指標だ。売り上げに計上されるのは主に1年前、2年前に分譲たれたマンションで、用地取得を含めれば数年前だ。ここ2~3年の上昇気流に乗って売上高、利益率を伸ばしてきた結果が今の数値に表れている。

 一方で、完成在庫は先行指標でもある。在庫の増加は一概に事業へ悪影響を及ぼすとは言えない。かつてマンションの雄だった大京の横山修二社長は「完成在庫は供給量の1カ月分くらいが適正」と話したことがある。在庫を抱えていたほうが、お客さんのニーズに応えられるメリットが大きいというのがその理由だ。しかし、資金力の乏しいマンションデベロッパーは、当然ながら極度に完成在庫を恐れた。

 当時と現在では借入金利が全然異なるので単純比較はできないが、金利が低くマンション市況が好調なときは在庫増が収益を圧迫することはないが、市況が右肩下がりになると価格の下げ圧力が強まり、利益が吹っ飛ぶ事態もありうるので、やはり供給量の10%くらいが適正在庫ではないかと記者は考えている。

 この先の景気・消費動向がどうなるか不透明だが、根強い需要がある富裕層や投資向けはともかく、第一次取得層・アッパーミドル向けマンションの価格(坪単価)は完全に取得限界を超えている。低金利を背景にまだまだ大丈夫という声がないわけではないが、若年層の将来不安は払しょくできていない。直近の消費動向テータも一進一退を繰り返している。トランプ氏が次期アメリカ大統領に就任することが決まり、政治・経済動向も不透明感を強めている。

 以上みたように、マンション市場はじわり在庫が増え、踊り場に差し掛かったといえる。景気が上に振れるのか下に振れるのか。アベノミクスの「新三本の矢」「一億総活躍社会」に夢を託せるのかどうかにかかっている。

カテゴリ: 2016年度
 

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