大和地所レジ マンション新ブランド「ヴェレーナグラン」 「鎌倉」と「浦和仲町」で
「ヴェレーナグラン鎌倉大船 瑞景」完成予想図
大和地所レジデンスは12月20日、マンションの新ブランド「ヴェレーナグラン」を立ち上げ、その第一弾の「ヴェレーナグラン鎌倉大船 瑞景」と「ヴェレーナグラン浦和仲町」のモデルルームをオープンしたと発表した。
「ヴェレーナグラン」は、GRAND =「偉大なる」の意味を込め、外観、空間、マテリアル、仕様の細部にこだわり、住まいとしての価値を求めたシリーズ。
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「ヴェレーナグラン浦和仲町」を明日(22日)取材するので、詳細は23日以降に紹介する。
三井不レジ コンパクト「白金高輪」「渋谷西原」 投資需要も取り込み絶好調
「パークリュクス渋谷西原」完成予想図
三井不動産レジデンシャルが分譲中のコンパクトマンション「パークリュクス白金高輪」と「パークリュクス渋谷西原」のモデルルームを見学した。ともに売れ行き好調。実需がメインの分譲仕様で、投資家需要も吸収しているのが人気の秘密だ。
「白金高輪」は、〝パークリュクス〟シリーズ最大規模。東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅から徒歩5分、港区三田5丁目に位置する19階建て全160戸(事業協力者住戸8戸含む)の規模。専有面積は23.56~56.53㎡、現在分譲中の住戸2戸の価格は4,068万円(25.50㎡)と8,388万円(56.53㎡)。全体の坪単価は450万円。竣工予定は平成29年3月下旬。施工は五洋建設。
ゴールデンウィークに契約を開始し、現在残りは3戸。23㎡、25㎡、26㎡の1Kタイプが100戸超で全体の約7割を占める。1Kの購入者は約6割が投資需要で、全体としては実需と投資が半々。
「渋谷西原」は、京王新線幡ヶ谷駅から徒歩1分、渋谷区西原1丁目に位置する7階建て全69戸。専有面積は28.41~67.86㎡、現在分譲中の3戸の価格は3,598万円(28.41㎡)・5,698万円(43.30㎡)・7,098万円(55.63㎡)。全体の坪単価は400万円。竣工予定は平成29年6月下旬。施工は京王建設。事業主は同社のほか大栄不動産。
今秋から分譲開始されており、約8割が契約済み。45戸が28~32㎡の1DKタイプで、こちらは投資需要も呼び込んでいるという。
「パークリュクス白金高輪」完成予想図
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「渋谷西原」の立地は駅には近いが、一等地ではない。噂では〝売れている〟と聞いていたが、単価が単価だから完売まではかなり時間がかかるのではないかと見ていた。好調な売れ行きにびっくりした。
なぜ、こんなに売れるのか。まずプランがいい。添付したGタイプ(36㎡)を見ていただきたい。この住戸は2階と3階のみで、開口部は南東と南西の2カ所。前建もあるので日照は分からないが採光・通風には問題ない。廊下スペースはないが、トイレは別で浴室は1216。リビングダイニングは床暖房付で11畳大確保されており、洋室は5畳大。
もう一つ、モデルルームタイプ(28㎡)は、北向きだがここも洋室は4.3畳大確保されており、ダイニングとつなぐドアは採光が取れるようにガラリ付き。5畳大のダイニングの壁は大型のフレキシブルクローゼットが標準装備。洗濯機置き場にはカウンターが付いている。洗面ボウルはおしゃれなスクエア陶器製で、水栓はグローエ。
このほか、2DKタイプ以上は食洗機、床暖房が標準装備。キッチン天板はラフィネストーンとあるので、フィオレストーンと同じような製品か。
「パークリュクス渋谷西原」の36㎡のGタイプ(この住戸は未分譲)
「白金高輪」は、上層階では坪単価は600万円近いというが、全体では450万円という単価の安さにまたびっくり。設備仕様は「渋谷西原」とほぼ同様。35㎡以上は床暖房付。
同社都市開発三部事業室目黒サロン副所長・田中勇祐氏によると、「コンパクトはここ3~4年、供給が少なかったが、『銀座』をきっかけに用地取得も順調に進んでおり、これから供給を増やす。単価が上昇してくると、投資家向けは利回りが低くなるのでどうなるか。そうなると、利回りが確保できるレベルの高い中古に向かうかもしれない」と話していた。
全体的には同社の〝パークホームズ〟仕様だと思う。これまでの〝パークリュクス〟シリーズはほとんどが二重床だ。
「銀座」については昨年取材し記事にもしているので、そちらを参照していただきたい。隣接地で予定されていたマンションは1棟で投資家に売却したという。
コンパクトマンション市場は、三菱地所レジデンスが参入するなど大手中小が入り乱れて販売合戦が激化している。都心の3区では坪単価はほとんど400万円を突破しつつある。
各社は実需向けには設備仕様レベルを落とし、専有面積を圧縮してグロスを抑えようとしている。他方、そうすることで利回り重視の投資需要も取り込もうと必死だ。しかし、過度の専有圧縮、ダウングレードはエンドユーザーの支持が得られなくなる。〝お客さん〟とは投資家かエンドユーザーか、悩ましい選択が迫られている。
「パークリュクス白金高輪」モデルルーム
バブルだ!中古が新築を上回る 三井レジ「パークリュクス銀座mono」(2015/2/23)
三井不動産レジデンシャル「パークリュクス本郷」納得の価格・商品企画(2008/6/20)
三菱地所レジデンス 資産形成用コンパクトマンション「ザ・パークワンズ」分譲へ
「ザ・パークワンズ千代田佐久間町」(左)と「ザ・パークワンズ品川戸越」完成予想図
三菱地所レジデンスは12月15日、資産形成用コンパクトマンション事業のブランド名を「ザ・パークワンズ」に決定し、本格展開を開始すると発表。千代田区丸の内に開設した常設販売ギャラリー「ザ・パークワンズ丸の内サロン」を報道陣に公開した。
同事業は、東京都への人口流入、単身世帯の増加、低金利の社会情勢を背景とした多様なニーズに応えるため、マンションへの投資・運用によるストック資金の有益活用や自己居住・セカンドハウス需要を取り込むのが狙い。
分譲マンション「ザ・パークハウス」や、賃貸マンション「パーク・ハビオ」シリーズで培ってきた入居者視線のノウハウを注ぎ込む。〝エリア№1の品質の賃貸レジデンス〟を目指す。
事業参入に伴い、物件情報の提供や優先販売を行う会員組織「ザ・パークワンズクラブ」を立ち上げ、今年6月に会員募集を開始しており、これまで約1,300名の会員登録がある。
第一弾の「ザ・パークワンズ千代田佐久間町」「ザ・パークワンズ品川戸越」の一般集客を2017年1月より開始する。エントランス部分に自然石を配するほか、内廊下方式を採用。全室にエアコン、複層ガラス、ピクチャーレールなどを標準装備し、一般的な賃貸仕様よりワンランク高い仕様とする。
今後は渋谷、港区などで供給するほか、都内近郊で年間200~300戸程度の供給を予定している。
「千代田佐久間町」は、東京メトロ日比谷線秋葉原駅から徒歩5分、千代田区神田佐久間町四丁目に位置する11階建て全27戸(事業協力者住戸7戸含む)。専有面積は25.10~50.22㎡。価格は未定だが、中心は25㎡より広いタイプで3,000万円台の半ばになる模様。施工は三菱地所ホーム。竣工予定は2017年12月中旬。
「品川戸越」は、都営地下鉄浅草線戸越駅から徒歩6分、東京急行電鉄池上線戸越銀座駅から徒歩6分、品川区平塚二丁目に位置する13階建て全84戸(事業協力者住戸17戸含む)。専有面積は25.01~40.77㎡、予定価格は25㎡で2,700万円台から。施工は木内建設。竣工予定は2017年9月上旬。
「ザ・パークワンズ」 丸の内サロン」エントランス(左)と商談ルーム
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ニュースリリースのトップに「資産形成コンパクトマンション」とあるように、どちらかといえば自己居住・セカンドハウス向けというよりは、賃貸投資向けに軸足を置いた事業だ。約1,300名の会員のうち約7割の人が投資向けを考えていることでもそのことがうかがえる。このため専有面積は25㎡台が中心で、設備仕様レベルも分譲よりは劣る。
ずっと単身者やDINKS向けのコンパクトマンションを取材してきた記者にとってやはり物足りないプランだった。単身者やDINKSの〝自ら居住〟のニーズに応えるのは「ザ・パークハウス」かもしれないが、「ザ・パークワンズ」も立地、環境などによっては分譲仕様としてもいいのではないか。自ら手を縛ることはないはずだ。
第一弾の価格はリーズナブルなものだと思う。「千代田佐久間町」も「品川戸越」も坪単価は400万円を超えないと見た。分譲仕様でも坪400万円を突破してくるようだと厳しいエリアだ。
参考までに。報道陣から「御社初のコンパクトか」という質問が飛んだが、添付したように旧藤和不動産は2008年に京浜急行本線戸部駅から徒歩3分で全199戸のコンパクトマンション「BELISTA横浜」を分譲している。これは自ら居住が主なターゲットだった。
モデルルーム キッチン
旭化成不動産レジデンス 品川区中延で密集法に基づくマンション195戸建設へ
「中延二丁目旧同潤会地区防災街区整備事業」完成予想図
旭化成不動産レジデンスは12月12日、関東大震災の復興住宅が数多く残る老朽木造住宅密集地域の「中延二丁目旧同潤会地区防災街区整備事業」の権利変換計画の認可を取得したと発表した。
首都圏不燃建築公社とともに中延二丁目旧同潤会地区防災街区整備事業組合の参加組合員として事業参画するもので、同地区は13階建て195戸のマンションに生まれ変わる。
該当地区は、関東大震災後の復興のために同潤会が建設した木造低層住宅地のうち戦争で焼け残った場所を含む老朽木造住宅密集地域で、入り組んだ路地に面する老朽家屋が多数存在するなど、現状では個別の建て替えが困難となっており、震災時の家屋倒壊や延焼火災などの恐れがあるため早急な不燃化対策が求められていた。
その一方で、該当地区が容積率200%の第一種住居地域に位置し、容積率・高さ規制などの制約が厳しいことに加え、関係権利者数140名に及ぶ規模であることなどから事業化が困難とされてきた。
しかし、同地区が東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」の不燃化特区の1つ「東中延一・二丁目、中延二・三丁目地区」の中にあり、不燃化特区のコア事業の1つに位置付けられており、防災街区整備事業として進められたことなどから、都市計画決定から約1年半の短い期間で権利変換計画を受けることができた。都内の防災街区整備事業(密集法による法定事業)として6件目の権利変換計画認可となる。
再開発後のマンションは、歩道状の空地を確保するとともに、北側に隣接する小学校側に避難広場や集会施設などを設ける。
建物は13階建て全195戸。施設計画コンサルタントは日建ハウジングシステム。竣工予定は2019年3月。
住友不動産 中央区晴海の「ドゥ・トゥール キャナル&スパ」SOHO分譲開始
「ドゥ・トゥール キャナル&スパ」
住友不動産は12月9日、中央区晴海の超高層免震ツインタワーマンション「ドゥ・トゥール キャナル&スパ」(52階建て、住宅1,450戸、SOHO216戸)のSOHOの契約を開始したと発表した。
物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩9分、中央区晴海三丁目に位置する52階建て2棟全1,450戸(住宅)とSOHO216区画。SOHOの専有面積は32.34~57.05㎡、最多価格帯は6,000万円台。建物は竣工済み。
第一期(25戸)は、EAST棟50~52階部分。サウナ付きスパやビューラウンジ&バーなどの施設が利用できる。
購入者の属性・動機は、①ドゥ・トゥールの住宅を保有しており、自宅とは別に株式投資の部屋(トレードルーム)として購入②地方在住の医療法人代表者が東京の拠点として購入③地方在住の弁護士が東京進出の拠点として購入④不動産鑑定士が住居を兼ねた事務所として購入⑤不動産を多数保有する人が投資と実用の両方の観点で購入-など。
来場者260組の属性は、中央区居住者29%を筆頭に23区内が69%、年齢は40歳代が44%、50歳代が25%、30歳代が18%、職業は経営者が43%、会社員が31%、会社役員が8%など。
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2020東京オリンピック開催が決まった2013年9月8日から2か月後の11月、同社がこのマンションを分譲すると発表した時点で、SOHOを盛り込むのは大正解だと思った。間違いなくSOHO需要はあると読んだ。
ニュースリリースではいま一つ分譲単価は分からないが、どうやら450万円くらいのようだ。単純比較は難しいが、最近の都心部のコンパクトマンションの分譲単価は軒並み400万円を突破してきている。売れ行きも堅調に推移している。銀座当たりの中古マンションの相場も450万円くらいではないか。リリースには「飲食店舗や不特定多数の人が出入りする業種などに制限があります」とある。
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住友不動産 晴海のツインタワー「ドゥ・トゥール」来春分譲へ(2013/11/22)
理解できない超高層マンションの価値割合による課税変更
政府与党による平成29年度の税制改正大綱がまとまった。マンションの固定資産税、都市計画税、不動産取得税はこれまで取得する階数に関係なく専有面積割合で課税されていたのを、高さ60m以上の超高層マンションについては階数が高くなるほど課税額を増や「価値割合」を盛り込むことが決まった。税制大綱の具体的な内容に沿って記者の考えを紹介する。
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高さを60m超としたことについて。この数値については合理的な理由はそれほどない。建築基準法では高さが60m以上の建物については構造計算上、政令による技術基準を満たすことが求められており、これに準じたものと思われる。1層を約3~3.2mとした場合、階数は18~20階建てとなる。
「価値割合」手法を採用するのであれば、超高層だけでなく低層、中層にも適用してもよかったのではないか。
その「価値割合」による専有部の評価額だが、各住戸の価格は階数だけで決まるものではない。一般的に階数が高くなるほど高く設定はされるが、過去の事例では、低・中層マンションでも1層当たり坪単価で数百万円の差があったものもあるし、その逆に武蔵小杉の超高層では階数によってほとんど差異がなかった事例もある。
なぜか。マンションの価格形成の大きな要因は眺望・日照・通風であり、その時々の市況も大きく影響する。低層マンションでも階数が異なれば眺望・日照条件が激変するケースは多く、その逆に、前面に高い建物が建てられないエリアでは眺望が担保されていることから、階層によって価格差を設ける意味がなくなるからだと思われる。
なので、今回のように「1階を100とし、階が一を増すごとに10を39で除した数を加えた」補正率は合理的な説得力を欠くと記者は考える。1層の補正率が10/39=0.26%という数値の理由も全然わからない。富裕層にとって20階建てで5%、40階建てで10%の増税など痛くもかゆくもないのではないか。そうでない層は税金が安い低層階を選好するようになり、上層階が売れないと困るデベロッパーは上層階の価格を下げる逆転現象が起きることはないのか。
もう一つ、価格を形成する大きな要因は専有部の広さであり、設備仕様、デザインなどだ。これを固定資産税評価額に反映させるのは至難の業だと思う。免震や制振構造をどう強化するのかも注目したい。
例えば天井高。具体的な事例を示すと、三井不動産レジデンシャルが2011年に分譲した「パークコート六本木ヒルトップ」では、標準階のリビング天井高は3,400~3,450ミリあり、廊下、キッチンでも2,350ミリ確保されていた。
一般的なマンションのリビング天井高は約2,500ミリであり、廊下、キッチンなどは約2,200ミリだ。この差を評価額に換算すれはいくらになるのか。記者は分からないが、とてつもなく高い評価点になるのではないか。
それでも当時の分譲坪単価は500万円だった。今なら坪800万円以上だろう。価格を形成する要因は、地価や建築費もあるが、その時の市況が大きく左右するという典型的な事例だ。
また、超高層のベントハウスなどの価格は通常階の単価の2~3倍するものが少なくないが、これは前述した眺望の価値に加え、虚栄心を満たす豪華な設備機器を設置し〝唯一無二〟の〝非日常〟を演出する企画を盛り込むからだ。デベロッパーの企画担当者はこの商品企画に力を注ぐ。
せっかく「価値割合」を採用するのなら、このデベロッパーの苦労もきちんと評価すべきだ。
これは失礼だが、固定資産評価額をはじき出す担当者は広さ、設備機器を定量的に測ることはできるかもしれないが、トータルなデザインを評価する目利き力は兼ね備えていないのではないか。
と、ここまで書いて大きな疑問が出てきた。いったい建物の評価は何を基準にするのかという問題だ。先に上げた「パークコート六本木ヒルトップ」は突出したレベルにあると思うが、仮にこのマンションの「質」を100とすれば、今売られている億ションのレベルはせいぜい70しかないと思う。全体の建物評価の整合性はどのようにして担保するのだろうか。
税制大綱では、「区分所有者全員による申出があった場合には、当該申し出た割合により当該居住用超高層建築物に係る固定資産税額をあん分することも可能とする」とあるが、多数決ではなく区分所有者全員というのはかなりハードルが高い。
個人的には、「価値割合」も結構だが、街の景観に配慮した総合設計制度の適用を受けた物件とかCASBEEで高い評価を得た物件などは固定資産税、都市計画税の思い切った減免措置を取るべきだとス考えている。さらに言えば、戸建ても含めて良質な住宅が市場できちんと評価される仕組みを構築してほしい。
モリモトの億ション「ディアナガーデン自由が丘」 モデルなし 会員だけで残り3/14戸
「ディアナガーデン自由が丘」完成予想図
モリモトの自由が丘駅圏の億ション「ディアナガーデン自由が丘」が会員優先分譲だけで、しかもモデルルームなしで全14戸のうち11戸が成約となった。
物件は、東急東横線・東急大井町線自由が丘駅から徒歩6分、目黒区自由が丘2丁目の第一種低層住居専用地域(建蔽率60%、容積率150%)に位置する地下1階地上3階建て全14戸。
全14戸のうち11戸は9月から開始した会員優先で分譲済みとなっており、残りは3戸の第一期(戸数未定)の専有面積は107.15~213.04㎡、価格は未定だが坪単価は550万円。販売予定は平成29年1月中旬。竣工予定は平成29年2月中旬。設計・監理はナチュラル設計企画。デザイン監修はアーキサイトメビウス。施工は東亜建設工業。
〝ディアナガーデン〟は同社の最高級ブランドで、バブル崩壊後の1996年(平成8年)竣工の第1弾「ディアナガーデン麻布」(29戸)、1997年(同9年)竣工の第2弾「ディアナガーデン恵比寿」(73戸)から2006年(同18年)竣工の「ディアナガーデン広尾」(108戸)まで5棟が供給されており、今回が6棟目。
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同社に見学をお願いしたら、「モデルルームはありません。9月から会員の中から約100人の方にお勧めしており、これまで11戸が成約済み」という答えが返ってきた。
だから、現地ももちろん観ていない。物件ホームページの今井敦氏の考えを紹介するほかない。
「『DIANA GARDEN』として、これからの邸宅の姿を指し示す提案性をもたすこと。緻密な設計、重厚な造形、素材のディテールなど、邸宅を形成するすべてにこだわりを尽くし、風格を放ちながらも、次代の邸宅像を予感させるモダンさとシャープさを持つ建築美を実現する」とある。
そしてインテリアデザインが南部昌亮氏だ。坪単価550万円は決して安くはないが、最強のコンビが揃って自由が丘の〝ディアナガーデン〟ならさもありなんと思ってしまう。
〝ディアナガーデン〟の第2弾「恵比寿」は、バブル崩壊の影響から中堅デベロッパーがばたばたと倒れる一方で、同社はいち早く〝デザイナーズマンション〟に特化して急回復-というよりバブル崩壊前の同社は数多くある中堅の1社にしか過ぎなかったのだが-しているころで、坪単価は400万円しなかったのではないか。森本浩義社長が自画自賛したのを覚えている。その3年前に竣工した「恵比寿ガーデンプレイス」は坪単価700万円だったが、設備仕様はそれほどでもなかった。
以下は今井氏の最近の作品の一つ
伊藤忠都市開発 「クレヴィア御茶ノ水」販売開始 好調スタート
、「クレヴィア御茶ノ水」完成予想図
伊藤忠都市開発は12月3日、「クレヴィア御茶ノ水」の第1期販売を開始した。第1期1次23戸、第1期2次2戸はともに登録完売し、好調なスタートを切った。
物件は、東京メトロ丸ノ内線御茶ノ水駅から徒歩7分、文京区湯島二丁目に位置する13階建て全53戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は36.41~72.56㎡、坪単価は400万円を切る模様。設計・監理はIAO竹田設計、デザイン監修はインテンショナリーズ。施工は南海辰村建設。竣工予定は平成30年2月下旬。
渋谷ヒカリエ「Sky Lobby」のフロアデザインを手がけた「インテンショナリーズ」による設計デザイン監修で、角住戸率約86%、内廊下設計などが特徴。
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所在地が千代田区ではなくて文京区湯島だったので、坪単価は400万円を突破するようだと完売まで時間がかかると思ったが、そこまでいかないようだ。第1期25戸が完売したのも納得だ。千代田区内では軒並み400万円を突破してきており、30坪でほぼ億ションとなる。
郊外マンション・戸建て不振 もう〝駅近〟を強調するのはよそうではないか
郊外マンションや一戸建ての売れ行きがいま一つだ。いろいろ理由はあるが、最大の理由は価格が高くなったことであり、子育て世代にとって保育所を確保するのはもちろん、子どもの送迎に時間が係るために、住環境などを犠牲にしてより勤務地に近い駅圏のマンションを選び、さらに〝駅近〟を選好する傾向が強まっているからだ。
専業主婦世帯と共働き世帯の数が逆転したのは1990年代に入ってからだ。バブル崩壊とほぼ一致する。バブル崩壊前は、結婚して退職する女性が多数派を占めていたのは、夫の収入だけでなんとかやりくりできたからだ。その図式がバブル崩壊で一挙に崩れた。その間隙をついて、新自由主義(ネオリベラリズム)が台頭し、世の中を支配するようになった。
その是非はともかく、〝駅近〟のマンションや戸建てしか売れないというのはどう考えてもおかしい。記者も〝駅近〟に加担したとは考えていないが、人気の要因に〝駅近〟を挙げたことはたくさんあるので、その責任の一端はある。反省の意味を込めて、〝駅近〟に反撃しようと思う。
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1日24時間。個人差もあるだろうが、このうち睡眠時間8時間、労働時間8時間、朝・昼・晩の食事時間1時間30分として、残り6時間30分をどう使うかだ。
残り時間のうちもっとも時間を要するのが通勤時間だろう。仮に片道1時間とすると、残り時間は4時間30分。主婦、あるいは主夫の家事労働も無視できない。食材などの買い物、調理時間、後片付け、掃除、洗濯などを2時間30分とすると、残りは2時間。
子どもがいる家庭の場合はさらに保育園の送り迎えがあり、さらにその世話も加えると、主婦、または主夫の可処分時間は限りなくゼロになる。読書をしたり音楽を聴いたり、テレビを観たりする余暇時間はいくらも残されない。
では、どうして時間を工面するかだが、やはり通勤時間を何とかしようという家庭が圧倒的に多いはずだから、より職場に近いところに住まいを定めようと考えるのは当然だ。
だから「駅近」のマンションや戸建てが選好されるのは当たり前で、郊外住宅地が敬遠されるのはよくわかる。
解決法はないのか。考えられるのはより住居に近いところに夫、又は妻が職場を変えるか、専業主婦、または専業主夫になるか、労働時間を削ることが可能なパート・アルバイト、フリーターに変わるか、あるいはまた自由業に転身するかだ。いずれも厳しい選択だ。
となると、残された道は働き方を変えるしかないのだが、残念ながらフレックスやみなし労働も進んでいない。
厚生労働省の平成27年就労条件総合調査結果のデータでは、「フレックスタイム制」を採用している企業は従業員が1,000人以上の企業では21.7%だが、全体では4.3%(不動産業・物品賃貸業は6.2%)しかない。フレックスタイム制の適用を受けている労働者割合も全体では6.7%(同8.5%)に過ぎない。
みなし労働時間制(裁量労働)を採用している企業割合は13.0%(同20.0%)となっており、その適用を受けている労働者は8.4%(同10.1%)だ。
このほか、所定労働時間、年次有給休暇取得率などあらゆる指標はこの5年間ほとんど変化がなく、改善はされていない。
こうなると、〝駅近〟に反撃を加えようにも突破口すら見つからない。あとはもう子どもを育てるには緑が豊かな郊外住宅のほうがいいというほかない。
私事で恐縮だが、記者はバブルの発生の頃、ある郊外マンションを購入した。契約も済ませ、引っ越しが直前に迫ったとき、小学低学年の長男から「お父さん、友だちと別れたくない。引っ越しイヤだ」と泣きつかれ、手付金を放棄して契約を解除した。その後、あれよあれよという間に価格が暴騰したことは経験者の方はご存じのはずだ。
あれから人生が狂ったかもしれないが、後悔はない。マンションは金融商品ではない。買わざるを得ない各家庭の事情がある。子ども育てるには、嫌悪・娯楽・遊興施設が全て揃う、交通事故の心配を絶えずしなければならない、寸詰まりの面積しか買えない都心部のマンションより郊外のほうがいいに決まっている。孟母三遷の教えだってあるではないか。
デベロッパー各社も、いい加減〝駅近〟を強調するのをやめようではないか。〝駅近〟だけを分譲できるデベロッパーは皆無だ。都合のいい時だけ〝駅近〟を謡うのは自殺行為にならないか。
行政も、流山市のように大規模マンションには保育施設を併設することを義務付けたり、駅前の保育ステーションサービスなどを導入したりするなど問題解決に当たってほしい。
物件購入を考えているユーザーの方もよく考えていただきたい。〝駅近〟の魅力はよくわかるが、それと同じくらいデメリットもあるはずだ。もう都心ではワンルームだって億ションの時代だ。〝保育園はどうする〟と詰め寄られれば返す言葉はないのだが、郊外なら30坪で5,000万円のエリアは探せばまだある。
あとは安倍総理にお願いだ。安倍総理が昨年9月27日、総理大臣官邸で開かれた第1回「働き方改革実現会議」で語った一部を紹介する。
「『働き方改革』は、第三の矢、構造改革の柱となる改革であります。大切なことは、スピードと実行であります。もはや、先送りは許されないわけでありまして…多くの人が『働き方改革』を進めていくということは、人々のワーク・ライフ・バランスにとっても、あるいは生産性にとってもいいと思いながらできなかったわけでありますが、いまこそ我々は必ずやり遂げるという強い意志を持って取り組んでいかなければならない」「『働き方改革』のポイントは、働く方に、より良い将来の展望を持っていただくことであります。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません」
定借マンションはなぜ増えないのか 定借推進協・日本型HOA推進協がシンポジウム
「私たちが考える これからの地域の活性化」シンポジウム(住友林業で)
定期借地権推進協議会・日本型HOA推進協議会は12月2日、「私たちが考える これからの地域の活性化-定期借地権とエリアマネジメントの活用-」と題するシンポジウムを開いた。関係者ら約120名が参加した。
定期借地権推進協議会は前身団体を含め24年前に設立された任意団体で、構成メンバーは旭化成不動産レジデンス、ミサワホーム、積水ハウス、大和ハウス工業、フージャースコーポレーション、パナホーム、都市農住センター、伊藤忠都市開発、住友林業。定期借地権制度の健全な発展を図ることが目的だ。大木祐悟氏(旭化成不動産レジデンス マンション建替え研究所主任研究員)が委員長を務める。
日本型HOA推進協議会は、アメリカの土地の「魅力」を所有し、管理し、コントロールするHOA(homeowners association、住宅所有者の組合)を日本型にしたもので、2009年5月に設立。横浜市立大学国際総合科学部教授・齊藤広子氏が代表を務める。構成メンバーは前記のハスウメーカーなど。
シンポジウムでは齊藤氏が基調講演を行い、大木氏、ミサワホーム分譲開発部部長・一宮康則氏、フージャースコーポレーション企画開発一部部長・須藤幸弘氏、両団体の事務局長・温井達也氏が講演・事例報告を行った。
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定借はもっと普及してほしいと思うのは主催者と同じだし、エリア(タウン)マネジメント手法が大事なのは同感だ。
しかし、正直に言えば、もう3時間(休憩は1度あったが)も机に座って、細かい字でびっしり書かれたパワーポイントの文字を読みながら、後援者の話を聞くのは耐えられなくなってきた。
盛りだくさんのシンポジウムの詳細を紹介することはできないので、記者が取材してきた事例を紹介する。
首都圏第1号の「グランビューあざみ野」(平成6年竣工、事業主:サミュエル、以下同じ)のほか、「銀座タワー」(平成15年、三菱地所レジデンス)「神楽坂アインスタワー」(平成15年、藤和不動産)「タンタタウン」(平成17年、伊藤忠都市開発他)「シティタワー品川」(平成20年、住友不動産)「パークコート神宮前」(平成22年、三井不動産レジデンシャル)「広尾ガーデンフォレスト」(平成25年、三井不レジ、三菱地所レジデンス)などだ。現在は東急不動産の「ブランズシティ世田谷中町」やスターツの「アルファグランデ千桜タワー」がある。
地主が東京都の案件では、「パークアクシス青山一丁目タワー」(平成19年、三井不レジ他)「パークコート神宮前」「むさしのiタウン」(平成19年、アキュラホーム他)などがあり、先の「原宿」は東京都、「品川」は品川区、「千桜」は千代田区の土地だ。
「グランビューあざみ野」は賃貸並みのレベルしかなかったのに失望し、8,000人もの来場者があった期間70年の長期定借を実現した「タンタタウン」や、圧倒的な人気を呼んだ「シティタワー品川」、「むさしのiタウン」には驚愕したのを覚えている。いくつか記事を添付したので参照していただきたい。
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いうまでもないことだが、定借で貸す側にとってはマンションや戸建ては低リスク低リターンである代わりに、固定資産税や都市計画税の軽減措置が取られ、買う側にとっては土地代が高いところほど所有権分譲より安い価格で購入・賃借できる特徴がある。
これまで取材してきて気になるのは、定借マンションの供給が先細りで、しかも所有権付きと比較して割安感が見えにくくなっている点だ。
その理由として考えられるのは、第一に建築費の高騰だ。平成17年に竣工した「タンタタウン」の分譲坪単価は110万円強だったと記憶しているが、今は最低でも売単価は130万円くらいになるのではないか。
地代、権利金、保証金も第一次取得層にとって負担が大きい。例えば「パークコート神宮前」。坪単価は318万円(所有権なら当時でも坪700万円はしたはずだし、現在なら900万円くらいか)と安く、デザイン監修が隈研吾氏だったこともあり、記者は購入まで考えたが、坪当たり地代は約4,000円、20坪で約8万円もするので断念した。「銀座タワー」も月額地代は10万円くらいした。
つまり、土地代が高いエリアのマンションも結局は〝高値〟の花にしか定借マンションはならない。郊外部でもユーザーの所有権のこだわりが強く、それを払しょくできるだけの商品企画を提供できていないように思う。
このように現在の定借システム・社会環境では一般的な会社員にとって魅力が乏しいと言わざるを得ない。あい路を解消するヒントは、齋藤氏が力説されたエリアマネジメント手法の採用が大きなヒントのような気がする。地代、権利金、保証金負担を軽減することも考える必要がある。定借物件が中古市場でどのように評価されているのかも発信してほしい。
そこで提案したい。国や地方自治体にとってローリスク、ローリターンは必ずしも魅力のない投資ではないはずだ。長期にわたって安定的収入が期待できるし、地代、権利金、保証金も低く設定できるはずだ。むしろ逆に、遊休農地に対しては課税を強化するのと同じように、不服申立制度を簡便化して国や自治体も含め合理的理由がない遊休地・低未利用地には〝特別課税〟を課すとか住民に開放するとかの措置を取ったらどうだろう。
こんなことを言えば、国や自治体に特別課税することは国民に課税するのと同じではないかという反論もあるだろうが、特別課税=議員歳費の引き下げならみんな納得するはずだ。
一つ付け加えれば、先に2020東京オリンピック選手村用地を1種(容積率100%あたり)8万円で売却したマンションはいったいいくらで分譲されるのか。記者はいまでも定借方式がよかったと思っている。
中堅所得層でも手が届く坪350万円 「アルファグランデ千桜タワー」(2016/9/5)
東急不動産の記念碑的マンション 定借「ブランズシティ世田谷中町」は坪308万円(2016/9/3)
究極の億ション 三井&三菱 「広尾ガーデンフォレスト」(2007/2/23)
住友不動産「シティタワー品川」最高378倍、平均17.65倍で即日完売(2008/9/5)
驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 「パークコート神宮前」(2008/11/19)