東急不動産 東京ガス・資生堂と「自分を整えるBRANZのバスタイム」提案
「癒し」の効果を促すカラーコディネト イメージ
東急不動産は10月18日、分譲マンションBRANZ(ブランズ)の新たな商品企画に東京ガス、資生堂と連携し、各社の調査研究データをもとに“より美しくスマートな暮らし”を実現するための浴室空間と入浴方法、美容方法を加えた「自分を整えるBRANZのバスタイム」を提案すると発表。実際の提案をオリジナル商品企画「MEUP(ミアップ)」の一環として来春分譲する「ブランズ南荻窪」に採用する。
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東京ガスの「ミストサウナ」を採用したマンションは少なくない。その効用は記者も体験したのでいうまでもないが、今回の商品企画は資生堂が参画したのがみそだ。
ニュースリリースには「資生堂の研究結果によると、肌を温めることで細胞が活性化し、肌全体に美容成分が届きやすくなることが明らかになっています。資生堂のプレステージブランドベネフィークのスキンケアは、肌温に着目し、独自の『℃(ドシー)美容』で、ひとをあたためて美しくするブランドです。『温・冷・温』のサーマルギャップが“Nカーブ”で冷えた肌をほぐし、うるおい環境を整え、角層深く美容成分の効果をしっかりと受け止める肌へ導きます」とある。
結構なことだ。しかし、記者は風呂嫌いで、冬場は湯船に入り、寝込んでたたき起こされるまで時間を忘れるが、普段は5~6分のシャワーだけで済ませる。一般の人は15~30分入るようだ。
そこで、同社に提案。今回の提案もいいが、次は風呂代を浮かせ、浴室スペースも削減できる商品を開発してほしい。
ネット情報などによると電気、ガス、水道代、洗剤その他を合計すると1日当たり150円くらいで、入浴時間、掃除時間などを時間給1,000円として計算すると月に2万円くらいになる。
わが国は労働時間が長く、睡眠時間が少ないのが問題になっている。入浴時間を半分以下に減らせは、その分睡眠や余暇時間に充てられるので、月に1万円は節約できる計算になる。手っ取り早いのは、自動身体洗い機だと思う。洗濯機のように身体を入れれば数分で身体を洗い、乾燥もしてくれる機器を開発してはどうか。省スペースにもなるし大ヒットするはずだ。
非日常の極み 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」は坪単価950万円
「パークコート青山 ザ タワー」外観イメージ
三井不動産レジデンシャルは10月18日、〝AOYAMA FLARE〟をコンセプトにした曲線美を強調した世界基準のラグジュアリタワーマンション「パークコート青山 ザ タワー」の第1期分譲55戸の申し込み登録を10月15日から開始したと発表した。青山公園を眼下に見下ろす26階建て全163戸で、第1期分譲の坪単価は950万円。もっとも広い約300㎡の住戸(価格は未公表)も含め今回の最高価格15億円(234㎡)住戸にも申し込みが入っているという。登録締め切りは10月23日。来場者は約500組。
物件は、東京メトロ銀座・半蔵門線・都営大江戸線青山一丁目駅から徒歩3分、港区青山2丁目に位置する26階建て全163戸。第1期55戸の専有面積は70.07~234.04㎡、価格は1億7,880万円~15億円。坪単価は950万円。竣工予定は2018年3月下旬。施工は大林組。売主は同社のほかシンガポールのデベロッパーCITY DEVELOPMENTS LIMITEDがこの事業のために設立した特定目的会社Iconique。
現地は、道路を挟んだ東側に青山公園、南側に青山霊園が広がる繁華街から一歩入った比較的静かなエリアの一角。
建物の設計に当たっては、世界的に活躍するインテリアデザイナーであるブルーノ・モワナー氏、ガラス師のエマニュエル・パロワ氏、彫刻家の安田侃氏を起用。〝AOYAMA FLARE〟をコンセプトにし、外観から外装のディテールに至るまで曲線の美しさをデザインに取り込んでいるのが特徴。
1階部分は人工地盤とし、最高5メートルの高さの石垣で囲う。人工地盤上の2階レベルはプライベートガーデンとし、安田侃氏のアートが配置される。最上階には貸し切り(30分2,500円)も可能なインフィニティプールなど共用施設を設置するなどラグジュアリタワーマンションにふさわしい様々な共用施設・サービスを行う。
住戸デザインでは、床から天井までのフルハイサッシとガラス手すりを採用。ガラス手すりは眺望の妨げにならないよう笠木を設けず、住宅床よりサービススペース(建物外周のバルコニー)の床レベルを下げ、さらにサービススペースは避難経路と設備配置スペースに用途を限定する。
スカイラウンジ
インフィニティプール
サービススペース
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曲線美を強調したマンションはそこそこあるが、これほど徹底したマンションを初めて見た。シアターからしてそうだ。マンションの概観や共用部分を背景に背丈の3倍くらいありそうなドレスをまとったバレリーナが優美に舞うシーンが音楽と共に映し出される。ナレーションは一切なし。観る者を異次元の世界に誘い込む。非日常の極みのマンションだ。
モデルルームもしかり。115㎡と234㎡は角住戸タイプで、床、壁、天井、家具調度品に至るまでアール状のものばかり。ドアノブも握り玉にする凝りようだ。デザインを担当したブルーノ・モワナー氏が映像で紹介され、浮遊感を演出した旨のことを話したが、記者などはガラスの向こうから自分を見つめる醜悪な顔に愕然とし、眩暈を起こしそうになった。来場者の多くも「初めて見た」と驚くそうだ。
素材はコルキア(大理石)、シカモア、黒檀、オーク、本皮などがふんだんに用いられ、設備機器はジェシー、ガゲナウ、ミーレ、ジャクソン、ドンブラハなど外国製ばかりで、日本製はTOTOの便器くらい。ガラス製のオブジェでもあり腰掛は数百万円するそうだ。同社の最高級シリーズ〝パーク・マンション〟とほぼ同等のグレードと見た。
300㎡の最高価格住戸の価格は未公表だが、20億円を突破するのは間違いない。30億円と聞いても驚かない。
234㎡のモデルルーム
〝埼玉一儲かる〟!? マリモ「グラディスさいたま新都心」好調スタート
「グラディスさいたま新都心」
マリモが10月から竣工販売を開始した「グラディスさいたま新都心」を見学した。JR埼京線北与野駅から徒歩3分、京浜東北線・高崎線・宇都宮線さいたま新都心駅から徒歩11分の全36戸で、この半月で18戸を成約(申し込み含む)するなど好調なスタートを切った。
物件は、JR埼京線北与野駅から徒歩3分、JR京浜東北線・高崎線・宇都宮線さいたま新都心駅から徒歩11分、さいたま市中央区上落合2丁目の第二種住居地域に位置する7階建て全36戸。専有面積は65.51~70.00㎡、現在分譲中の住戸(9戸)の価格は4,740万~5,420万円(最多価格帯4,700万円台)、坪単価は250万円。建物は平成28年6月完成済み。設計・監理はイクス・アーク都市設計。施工は飛島建設。販売代理はアートランド。
現地の用途地域は第二種住居地域だが、敷地南側は第一種低層住居専用地域で2~3階建ての戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角。住戸は全戸南向きでのファミリータイプ。
10月から販売を開始しており、低層階住戸や角住戸、高層階住戸中心に第1期18戸が完売・申し込み済み。販売担当者は「スタートとしては順調。立地・アクセスのよさが評価された」と話している。
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初めてマリモのマンション「ポレスター飯能」を見学してから9年。その後、リーマン・ショックの打撃を受けながら経営の立て直しを図り、ここ数年はマンションデベロッパーから総合デベロッパーへの転換を図っている。
市街地再開発事業、戸建事業、戸建賃貸事業、インバウンド、アウトバウンド事業、収益不動産事業(流動化事業)に参入、さらに中国、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど南アジアへも進出した。
新しい事業が開花するのはこれからだろうが、「利他と感謝の精神」を経営理念に掲げるこうした中堅デベロッパーを応援したい。
「グラディスさいたま新都心」は、やはり建築費高騰の影響を受けているのだろう。植栽など外構には力を入れているが、設備仕様は普通で、専有面積も圧縮気味だ。坪単価も安くはないが、浦和・大宮駅圏は坪300万円を突破してきている現状を考えれば妥当な値段か。
モデルルーム
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見学する目的は他にもあった。「不動産ビッグデータでビジネス展開する」スタイルアクトが10月3日、「首都圏エリア別『沖式儲かる確率上位物件ランキング』2016年10月版」を発表したのだが、この「沖式儲かる確率上位物件」の首都圏エリア別トップマンションに埼玉県ではマリモのこの「新都心」が選ばれていたからだ。他のエリアは住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、新日鉄興和不動産など大手が並んでいる。
「沖式儲かる確率」とは、簡単に言えばマンション収益(家賃相当額+売却時損益)を新築時分譲価格で割って、「マンション利回り」を算出し、2%以上だと資産性が高く、1%台だと平均的、1%未満だと資産性が低いとするものだ。
投資用マンションならともかく、ファミリーマンションを収益面だけで「儲かる」「儲からない」などとする乱暴な手法にあ然とするほかないのだが、スタイルアクトが宅建業者であることには注目したい。同社もいわゆる「不動産テック」の部類に入るのだろうが、レインズのビッグデータは不動産業者のみが利用可能なもので、その優位性を武器に消費行動を左右させる情報を提供する商行為はいかがなものか。
「新都心」の販売担当者にこの件について聞いたが、「全然知らない。70㎡のモデルルームは家賃相当額18万円としているが、価格は5,300万円台。利回りは決して高くない」と戸惑っていた。他のデベロッパーも同じではないか。
マリモ「弊社の健全な経営状況について」公開(2008/11/30)
徒歩15分だが周辺は第一種低層 NTT都市開発他「ウエリス世田谷砧」
「ウエリス世田谷砧」中庭 完成予想図
NTT都市開発(事業比率50%)、三菱地所レジデンス(同25%)、東急不動産(同20%)、長谷工コーポレーション(同5%)の4社共同マンション「ウエリス世田谷砧」を見学した。最寄り駅の小田急線祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩15分とややあるが、周囲は住居系エリアで、坪単価が軒並み300万円を突破している世田谷区にあって290万円と300万円を切る。準都心部のマンションの今後を占う意味で一つのバロメータになる物件だ。
物件は、小田急線祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩15分、世田谷区砧1丁目に位置する10階建て全182戸。第1期(戸数未定)の専有面積は70.04~94.25㎡、予定価格は5,300万円台〜9,500万円台(最多価格帯6,500万円台)、坪単価は290万円。竣工予定は2017年12月中旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。共用部のインテリアデザイン監修は建築家の南部昌亮氏。販売予定は10月下旬。
現地は研修所の跡地で、敷地の用途地域は第2種住居地域(容積率198%)だが、敷地の東側、北側、西側は第一種低層住居専用地域。砧公園までは徒歩9分。
建物は南東・南西向きが中心で、別棟としてクラブハウスか建設され、ラウンジ、コミュニティルーム、ゲストルーム、ライブラリー、学童保育などが設置される。
住戸プランは6200ミリスパンの76㎡が中心で、二重床・二重天井、ディスポーザ、食洗機、天然御影石キッチン天板などが標準装備。
NTT都市開発住宅事業本部分譲事業部・中村舜氏は、「周辺物件は分譲単価が高くなっているので、グロスを抑えるために専有面積の圧縮を図っている物件が多いが、当社は76㎡が中心。広めの面積を求めているお客さんのニーズに応えたい。周辺が第一種低層住居の開放感もアピールできるはず」と話している。
リビング
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住宅の質は基本的には広さだ。その点でこのマンションは3LDKで76㎡を確保している。別棟の共用施設も充実しておりいい物件だと思う。
問題はやはり駅から徒歩15分というアクセスだ。これは如何ともしがたい。駅からは遠いが、76㎡の3LDKならどのような暮らし方ができるか、充実した共用施設の価値をしっかり伝える以外にない。
それにしても、新宿や渋谷までドアツードアで30分圏の城西エリアのマンションは坪単価250~300万円が相場だ。普通の会社員の取得限界を超えてきている。何とかならないのか。
ライブラリー
デザイン・プラン・仕様レベル高い モリモト「ディアナコート日本橋浜町」
「ディアナコート日本橋浜町」完成予想図
最後にモリモトの「ディアナコート日本橋浜町」。「クレヴィア日本橋浜町」にも「プレミスト日本橋浜町」にも立地は劣るかもしれないが、デザイン・設備仕様では負けない。好勝負とみた。
物件は、都営新宿線浜町駅から徒歩2分、中央区日本橋浜町2丁目に位置する10階建て全44戸。専有面積は54.42~101.46㎡、価格は未定だが坪単価は伊藤忠より安く、大和ハウスより高い430万~450万円くらいになる模様だ。竣工予定は平成30年1月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。デザイン監修はアーキサイトメビウス。施工は新日本建設。
現地は、表通りから一歩入った商業地で、三方道路。建物は西側道路に面したシンメトリックなデザインが特徴で、垂直と水平ラインを強調するとともに、基壇部には御影石、耐候性鋼板、大判タイルをリズミカルに配し風雅な表情を演出している。ペントハウスはフィンを庇のように際立たせ象徴的なデザインにしている。
住戸プランは角住戸比率を高めた1フロア4戸~5戸。ディスポーザ、食洗機、シーザーストーンキッチンカウンタートップ、グローエ水栓、ミストサウナなどが標準。壁・建具に大雪山のナラ材を、床はオーク材を採用しているのが特徴。
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立地条件は伊藤忠都市開発にも大和ハウスにも負ける。しかし、圧倒的なデザイン力と本物志向の設備仕様、ワイドスパンのプランで真っ向勝負できると記者は見た。デザイン監修は大和ハウスの物件と同じ今井敦氏だ。
完成予想図を見ていただきたい。似たようなデザインのマンションはあるかもしれないが、とにかく凛とした美しさがある。外観に配管などが出ないように、側面に配する工夫も施しているという。
建築士の横堀健一氏とデザイナーのコマタ トモコ氏が提案したモデルルームがまたいい。記者は同社のマンションをほとんど見学しているが、まず当たりはずれがない。今回も同様だ。ナラ材の突板仕上げが美しい。来場者は玄関に入って一様に驚きの声を上げるというが、さもありなん。
分譲開始は10月下旬の予定だ。大激戦のエリアでどのような売れ行きを見せるか見ものだ。同社が中央区で分譲するのは初めてではないか。
基壇部
浜町公園も浜町駅も15~23秒立地抜群の伊藤忠都市開発「クレヴィア日本橋浜町」(2016/10/11)
広さ=単価の安さと提案力で勝負 大和ハウス「プレミスト日本橋浜町公園」(2016/10/11)
広さ=単価の安さと提案力で勝負 大和ハウス「プレミスト日本橋浜町公園」
「プレミスト日本橋浜町公園」完成予想図
「クレヴィア日本橋浜町」の次に大和ハウス工業の「プレミスト日本橋浜町公園」。立地は伊藤忠都市開発の物件に劣るが、それだけ単価も低く億ションのプランはいい。
物件は、都営新宿線浜町駅から徒歩2分、中央区日本橋浜町2丁目に位置する14階建て全78戸。専有面積は65.10~83.17㎡、現在分譲中の住戸(17戸)の価格は6,790万~12,080万円(最多価格帯9,900万円台)、坪単価は410万円。竣工予定は平成29年12月上旬。施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修はアーキサイトメビウス・今井敦氏。
現地は、浜町駅A1出口から徒歩2分。敷地は南北に細長い四角形。敷地南側が道路を挟んで浜町運動場と浜町公園。
住戸は1フロア6戸で、公園側に面した73~82㎡の南向き住戸と北向きの65~70㎡の住戸が各3戸。ディスポーザ、食洗機、黒御影石のキッチン・洗面浴槽カウンター、ガラスクローゼットなどが特徴。これまで半分くらいが成約済み。
基壇部
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浜町駅に近い同社のマンションを見学するのはこれで2回目だ。最初はいまから10年前の「プレミスト日本橋浜町リデアル」で、立地条件はよくなかったが、デザインがよく圧倒的な人気になったのを記憶している。坪単価は250万円だった。
今回は立地もターゲットも単価も異なるが、共用部も含めて総じて設備仕様レベルは高い。デザイン監修に今を時めくアーキサイトメビウス・今井敦氏を起用していることでも力の入れ具合がうかがい知れる。
82㎡のモデルルームの出来もいい。まず玄関のシューズインクローク。扉がガラス製になっており、奥の壁もガラスだった。単に靴などを収納するだけでなく、観葉植物なども置かれていた。これには唸ってしまった。〝魅せる収納〟はこれまでたくさん見学したが、〝魅せる下駄箱〟は初めて見た。
ダイニング・キッチンカウンタートップとサイドは高級感のする黒御影石を使用しており、圧倒的な存在感がある。
とはいえ、20坪で億ションというのが相場になった浜町・人形町エリアには競合物件も多い。広さ=単価の安さと提案力で勝負できるか。
エントランス
浜町公園も浜町駅も15~23秒 立地抜群の伊藤忠都市開発「クレヴィア日本橋浜町」(2016/10/11)
浜町公園も浜町駅も15~23秒 立地抜群の伊藤忠都市開発「クレヴィア日本橋浜町」
「クレヴィア日本橋浜町」
伊藤忠都市開発「クレヴィア日本橋浜町」、大和ハウス工業「プレミスト日本橋浜町公園」、モリモト「ディアナコート日本橋浜町」を見学した。3物件とも徒歩数分圏内にあるが、立地条件、コンセプトがそれぞれ異なり、ユーザーはどれを選ぶか悩ましいに違いない。
まず、「クレヴィア日本橋浜町」から。物件は、都営新宿線浜町駅から徒歩1分、中央区日本橋浜町2丁目に位置する12階建て全45戸(非分譲住戸18戸含む)。専有面積は40.69~70.42㎡、予定価格は5,400万円台~11,000万円台(最多価格帯9,200万円台)、坪単価は470万円台の半ば。建物は平成28年7月竣工済み。設計・監理はエル設計事務所。デザイン監修はレーモンド設計事務所。施工は村本建設。
現地は、浜町駅A2出口から徒歩1分(30mだから約23秒)、中央区最大の浜町公園まで徒歩1分(20mだから15秒)の東南角地。マンションなどが建っていた敷地。明治座は一つ建物を隔てた同じ通り。
建物は逆梁を採用。デザイン監修にアントニン・レーモンドの志を継ぐ「レーモンド設計事務所」を起用しているのが特徴。住戸プランは40㎡、64㎡、66㎡、70㎡の4通り。キッチン・洗面カウンタートップは御影石、バックカウンター・吊戸棚、ディスポーザ、食洗機、ミストサウナが標準装備。
左後方のビルが明治座
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浜町、人形町駅圏でのマンション分譲はこの10数年間で10数物件を見学したが、このマンションほど立地条件に恵まれた物件はない。公園に近接・隣接したマンションもこの1年間で数物件見学したが、その近さ、開放感、規模などを総合的に評価して、ここが一番だ。このようなマンションは今後もまず供給されない。〝唯一無二〟とはこのような物件のことを言う。
この立地のよさが単価にも反映されているのだが、近隣物件との比較からすればむしろ安いと思えるくらいだ。10数年前に分譲され、人気になった東京建物のマンションでも坪単価は300数十万円だった。最近は軒並み400万円を突破してきており、500万円を突破する物件もあるからだ。
建物が建設される前から地元の人に話題になっていたそうで、同社が竣工売りをするのも勝算があってそう判断したと思われる。40~60㎡台は間違いなく売れると読んだ。この界隈は中央区の中でも突出して人口が増加しており、良し悪しはともかく賑やかな街になってきた。
問題は70㎡のプランだ。地権者との調整があったためか無理に3LDKにしており、収納などにその影響が現れている。価格は1億円くらいになりそうで、となると設備仕様レベルも含め他の浜町や人形町駅圏の物件と競合するのは必至だ。
モデルルーム
広さ=単価の安さと提案力で勝負 大和ハウス「プレミスト日本橋浜町公園」(2016/10/11)
デザイン・プラン・仕様レベル高い モリモト「ディアナコート日本橋浜町」(2016/10/11)
高級住宅街の一角に シニア向けフージャース他「デュオセーヌ緑山」
「デュオセーヌ緑山」
入居が始まったフージャースコーポレーション・ダイヤモンド地所のシニア向け所有権付きマンション「デュオセーヌ緑山」を見学した。天然温泉浴場、レストラン、その他の共用施設が充実しており、レベルの高いマンションだ。約7割が分譲済みというから売れ行きも好調だ。
物件は、小田急線鶴川駅からバス約9分、バス停徒歩2分、町田市三輪緑山1丁目に位置する地下1階地上4階建て全82戸。専有面積は40.23~76.20㎡、現在分譲中の第3期(9戸)の価格は2,898万円~6,498万円。坪単価は250万円。管理運営費(月額)は44,700円~84,600円。食費は自由だが、1日3食(朝食600円 昼食600円 夕食920円)・30日/63,600円。購入条件は満50歳以上(夫婦の場合はどちらかが満50歳以上)で、自身で身の回りの世話ができること。建物は平成28年7月29日竣工済み。施工はりんかい日産建設。管理は国土管理。
現地は、昭和60年代から平成の初期にかけて野村不動産が開発した高級住宅街「鶴川緑山」住宅地の一角で、敷地は大手企業の社員寮跡地。
地階の1フロアがほとんど共用部分に充てられており、天然温泉浴場、レストラン、多目的室、娯楽室、シアタールーム、ヘアサロン、囲碁・将棋ルーム、ビリヤードコーナーなどがある。
生活サポートとして365日24時間見守りサポートが受けられるほか、医療・看護サポート、介護サポートが受けられる。
約1年前から分譲されており、これまで約7割が契約済み。単身者と夫婦の購入割合は6:4。
エントランス
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フージャースコーポの所有権付きシニア専用マンションを見学・取材するのは今回で3物件4度目だ。このマンションは竣工時点で約7割が成約済みだから「所有権付き」がかなり浸透・理解されてきたようだ。高齢者の選択肢の幅が広がるのはとてもいいことだ。
住環境がよく、温泉が毎日利用でき、食事もレストランでできるというのは最高にいい。共用施設も充実している。
仮に購入条件から年齢制限を取り払えば一般のファミリーは購入しないだろうかを考えた。やはり管理運営費は高いと考えるだろうか。お年寄りと一緒に住みたくないと考えるだろうか。それとも豪華な共用施設が利用でき、至れり尽くせりのサービスを受けられることを可とし、管理運営費を妥当とするだろうか。
記者は逆にお金があっても年寄りだけのマンションには住みたくない。なんだか世間から疎外されているようで嫌だ。嫌われても若い女性のはつらつとした姿を毎日見ていたい。
エントランスホール(左)と2層吹き抜けラウンジ
前面道路(バブル期には戸建ては1億円をはるかに超えていた)
「モリモトのデザインコード」 2016年グッドデザイン賞を受賞
2016年グッドデザイン賞を受賞した「ディアナコート祐天寺翠景」
昨日と今日で6つのマンションを見学取材した。若いころは1日に3物件、4物件を見学していたが、さすがに最近は1、2件くらいだ。フットワークがなくなってきたのと、デベロッパーの対応も厳しくなってきたからだ(かつてはアポなしでも対応するところが多かった)。
6物件はいずれも特徴があり、今すぐに記事にしたいのだが、その前にモリモトが今年のグッドデザイン賞で受賞した3案件のうちの一つ「モリモトのデザインコード」について触れたい。
今年のグッドデザイン賞は応募4,085件の中から1,229件が受賞した。住宅・不動産業界からもその関連を含めると50社くらいが受賞した。記者にも各社からメールで受賞のリリースがたくさん送られてきた。
しかし、各社の受賞作を一つひとつ紹介するには1日かかっても紹介しきれないのですべて書かないことに決めた。この場を借りて、紹介できなかったことをお詫びしたい。(「グッドデザイン大賞」候補に小田急電鉄とブルースタジオの「ホシノタニ団地」がノミネートされたのを喜びたい。団地だけでなく、地域の再生・活性化につながるはずだし、それが評価された)
なのに、どうして「モリモトのデザインコード」だけを紹介するのか。答えはただ一つ、同社のマンションが好きなのだ。〝本物〟を追求する姿勢を応援したいからだ。大手と伍して戦えるマンションデベロッパーはここしかない。
グッドデザイン賞のエントリー概要には次のようにある。
「住まう人の人生を豊かにし、街の価値となっていく。私たちモリモトが創造するのは個人、そして社会の財産となる住まい。土地を厳選し、その場所の魅力を十二分に引き出すマンションをつくることです。物件ごとに、手づくりするように、緻密につくりあげていく。唯一であることが基本であり、だからこそ住まう人それぞれにとってかけがえのないものとなる」
具体的な仕様はこうだ。
「フレームを一から検討し、最適な間取りをひとつずつ計画し『快適な住環境を提供する』。その特徴として『ワイドスパン』『逆梁』『ハイサッシ』『内廊下』『多種多様な住戸プラン』などを採用し、都心の限られた敷地においても周辺環境への配慮をしながら『快適な住環境』を獲得できるマンションブランドを目指している」
この提案に対して、審査委員の評価は「快適な住環境を提供するために実践されてきた、応募企業のマンションのデザインコードをまとめたものである。デザインコードの一つ一つが理にかなったものであり、それがバリエーション豊かに実現されていることが伺える」とある。
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概要や仕様の一つひとつはモリモトの専売特許ではない。〝うちも同じ提案を行っている〟という声が聞こえそうだ。審査員の評価もまた実にそっけないものだ。グッドデザイン賞の第2次審査では現物を審査することもあるが、基本的には行っていない。実際にものを見ないで評価するのもどうかと思うが、やむをえない。
「モリモトのデザインコード」を理解するためには、完成したマンションやモデルルームでの提案を見るしかない。
グッドデザイン賞の概要には、不動産企画部企画グループの7名のデザイナー「想い」が寄せられている。そこには「もはや固定化されてしまったマンションのつくり方に対して風穴を開け、住まい手に対しても選択肢が広がればと考えています」とある。
昨日今日見た6物件の中の一つが、モリモトの「ディアナコート日本橋浜町」だ。記事は日を改めて書くが、極めてデザイン性が高く、モデルルームは間違いなく〝本物〟を志向するユーザーの望み・欲求を満たすはずだ。ここにも「マンションの常識を覆す、風穴を開けようとするデザイナーの「想い」が込められている。
神楽坂の路地空間を共用部に演出 三菱地所レジ「ザ・パークハウス山吹神楽坂」
「ザ・パークハウス山吹神楽坂」完成予想図
三菱地所レジデンスが10月8日(土)から分譲開始する「ザ・パークハウス山吹神楽坂」を見学した。神楽坂駅圏では希少の100戸超の大規模マンションで、「和」のテイストをふんだんに盛り込んだ物件だ。
物件は、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅から徒歩4分、東京メトロ東西線神楽坂駅から徒歩7分、新宿区山吹町に位置する13階建て全108戸(事業協力者22戸含む)の規模。専有面積は60.30~94.95㎡、第1期(38戸)の価格は6,540万~14,490万円(最多価格帯7,600万円台・7,900万円台)、坪単価は400万円。抽選日は10月16日(日)。竣工予定は2017年11月下旬。施工は熊谷組。
現地は、江戸川橋通りに面しており、道路に面した西向き住戸は商業地域、やや奥まった南向き住戸は準工業立地。
〝光の長屋門〟をイメージした建物エントランスは別棟になっており、竹林の中庭が垣間見えるように工夫しているのが特徴。前庭に竹をふんだんに配し、2層吹き抜け部分にはガラスウォールを、壁は杉板の質感を現したコンクリートや櫛引壁をそれぞれ採用している。
住戸プランは60~75㎡が中心で、キッチン・洗面カウンタートップは御影石、バックカウンター・吊戸棚、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナが標準装備。
エントランス
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大手マンションデベロッパーで構成されるマンションポータルサイト MAJOR7(メジャーセブン)が先に発表した第23回「住んでみたい街ランキング」首都圏ベスト20から「神楽坂」が消えた。2004年の第1回では13位で、昨年もかろうじて20位に入っていたのに、これはどういうことか。
ランキングはアンケートによるもので、その時々の大手デベロッパーの供給物件に左右される傾向があり、「神楽坂」では大規模物件はほとんど供給されなくなってきたことが影響しているのだろう。最近では丸紅とモリモトが昨年分譲した「グランスイート神楽坂ピアース」(118戸)以来だ。
とはいえ、「神楽坂」の人気が落ちてきているわけではないと思う。分譲単価は他のエリアに引っ張られたこともあるが400万円を突破する。今回はそのストライクゾーンの低めだ。専有面積も圧縮気味だ。第1期の38戸というのも今の市況を考えれば納得だ。エントランスは神楽坂の路地を入った高級料亭のようだ。
「住んでみたい街ランキング」といえば、今年、前年30位の「東京」が15位に、前年41位の「渋谷」が16位に浮上した。「東京」や「渋谷」がこれまでベスト20に入っていたかどうかは調べないとわからないが、おそらく初めてのランクインだろうと思う。三菱地所はその気がないようだが、記者は「東京」(丸の内)でマンションが分譲されれば坪3,000万円はすると読んでいる。
ラウンジと中庭の竹林