角住戸多くデザインが美しい 明和地所「クリオ杉並高井戸」
「クリオ杉並高井戸」完成予想図
明和地所が分譲を開始した「クリオ杉並高井戸」を見学した。全26戸の小規模マンションだが、同社のデザインに進化のあとがうかがえ、なかなかの好物件だ。
物件は、京王井の頭線高井戸駅から徒歩8分、杉並区高井戸東3丁目に位置する7階建て全26戸。第1期(6戸)の専有面積は47.21~~74.45㎡、価格は4,449.8万~6,706.4万円、坪単価は305万円。竣工予定は平成29年9月下旬。設計はアーキプラン。施工は南海辰村建設。
現地は近隣商業立地で2面接道。建物はモノトーンを基調にアースカラーのタイル、乳白色のガラス手すりを採用したお洒落な外観が特徴。エントランスホールにはアーティスト吉津信一氏による波紋をモチーフにしたアートが設置される。
住戸は1フロア2~5戸。内廊下方式を採用した南東、南西向き。26戸のうち18戸が角住戸で、2重床・2重天井、食洗機、ミストサウナが標準装備。キッチン天板はフィオレストーンかステンレスで、スクエアシンクを採用。好みに合わせて設備仕様が選べる同社の新しいセレクトシステム「conomi(コノミ)」も採用されている。
エントランスホール
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同社に限ったことではないが、大手デベロッパーの市場寡占率がどんどん高まっている現在、駅に近い大規模用地などの取得合戦で中堅デベロッパーはまず勝てない。大手と互角に戦うためにはトータルな商品企画で差別化する以外に道はない。一言でいえば、いかに〝素敵〟をたくさん盛り込むかだ。
マンション分譲単価は準都心部でも坪300万円を軒並み突破してきた。ユーザーは当然、価格に見合う質の高いものを期待する。地価や建築費をそのまま価格にオンして売れる市場ではない。
その点、このマンションのデザイン、その他の商品企画は水準以上だと思う。モノトーンを基調にした外観デザインが美しい。
モデルルームのデザインもいい。ステンレスの天板もすっきりしていて美しいのだが、リビングに面したカウンタートップ下と側板にはオプションだが天然石調のタイルが使用されていた。
窓ガラスには旭硝子の防音効果と高遮熱効果を併せ持つ複層ガラス「マイミュート」が採用されているようだ。これはガラスに額縁のようなデザインが施されており美しい。
販売担当者によると、モデルルームは女性の評価が高いそうだが、それは〝素敵〟をたくさん盛り込んだためではないかと思う。
リビングダイニング
商・公・住の複合再開発 野村不動産「プラウドタワー立川」が竣工
「プラウドタワー立川」
野村不動産は8月4日、JR中央線立川駅前の複合再開発プロジェクト「プラウドタワー立川」が竣工したのに伴い記者見学会を行った。
同プロジェクトは、平成7年の地権者有志による勉強会立ち上げから約21年の歳月を経て完成したもの。住宅、公共施設、商業施設のほか、立川駅西側新自由通路と立川駅北改札口(新設)直結の広場も整備される施行面積約6,800㎡、延べ床面積約58,000㎡の複合再開発事業。
施設は駅とペデストリアンデッキで直結され、3階から7階までは「ヤマダ電機」出店するほか、様々な店舗が出店される。
住宅は9階から32階で総戸数319戸。設計は松田平田設計・清水建設、施工は清水建設。平成26年に分譲され、坪単価が342万円という当時としては相当の高値であることから話題を呼んだが、圧倒的な人気で早期完売した。
公共・公益施設は1階に行政窓口が設置される。
24時間利用可能の2層のラウンジ・ライブラリー
4日行われたタウンネーミング「立川タクロス」の街びらきイベント
野村不動産「プラウドタワー立川」は坪単価342万円 早期完売必至(2004/7/10)
相互住宅 玉川上水旧水路緑道に面したレベル高い「ザ・グランツ代々木参宮橋」
「ザ・グランツ代々木参宮橋」完成予想図
相互住宅が分譲中の「ザ・グランツ代々木参宮橋」を見学した。渋谷区の玉川上水旧水路緑道に面した希少立地にふさわしい、グレードの高いマンションだ。
物件は、京王新線初台駅から徒歩5分、または小田急小田原線参宮橋駅から徒歩9分、渋谷区代々木4丁目に位置する地上5階地下1階建て全26戸。現在分譲中の住戸の専有面積は46.49~82.36㎡、価格は5,590万~10,590万円。竣工予定は平成29年2月下旬。設計・施工は新日本建設。販売代理は野村不動産アーバンネット。デザイン監修は建築家・吉井信幸氏。インテリアコーディネイトは三井デザインテック・黒須理枝氏。
現地は、京王新線の初台-幡ヶ谷-笹塚間の表通りから一歩入った住宅街に沿って、ケヤキやサクラの大木のほか四季折々の草花などが植えられている渋谷区立玉川上水旧水路緑道に隣接。
建物はL字型で、南東向きが3LDK、緑道に面した北西向きがコンパクトタイプ。敷地南東側にサルスベリ、坪庭に孟宗竹を配し、建物の基壇部には御影石の門構え、エントランスには漆和紙を挟み込んだ光壁を採用。
住戸は内廊下方式を採用。廊下側には窓を設けず、住戸間の隔壁はパネルでなくコンクリート壁にするなど独立性の高い仕様になっており、専有部は御影石、大理石、突板を多用しているのが特徴。
モデルルーム
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相互住宅と言えば「広尾ガーデンヒルズ」の売主の1社で、戸建てではレベルの高い「八王子・城山手」などを供給している第一生命住宅㈱として設立されたデベロッパーだ。
このマンションは、規模は小さいがきらりと光るいかにも同社の物件らしいハイグレードマンションだ。デザイン監修に吉井氏、インテリアコーディネイトに黒須氏を起用していることにそれは表れている。
玉川上水旧水路緑道の総延長は約2600m。端から端までゆっくり歩いて約1時間。絶好の散歩コースだ。
エントランスホール
ポラスグループ 埼玉高速沿線でマンション強化 200戸の「川口戸塚」分譲開始
「ルピアコート川口戸塚」完成予想図
ポラスグループの中央住宅が7月30日、同社の最大規模マンション「ルピアコート川口戸塚」の分譲を開始した。埼玉高速鉄道戸塚安行駅から徒歩2分の全200戸で、キッチンとダイニングカウンターを一体にした「ピアキッチン」を約4割の住戸に標準装備しており、坪単価158万円も割安感があるマンションだ。
物件は、埼玉高速鉄道戸塚安行駅から徒歩2分、埼玉県川口市石神西立野土地区画整理事業地内に位置する8階建て全200戸。第1期(70戸)の専有面積は61.21~89.64㎡、価格は2,590万~4,690万円(最多価格帯3,400万円台)、坪単価は158万円。竣工予定は平成29年1月下旬。施工は川村工営。販売代理は東京中央建物。
現地は、区画整理事業が進行中のエリアの一角にあり、4方道路に囲まれ、敷地東側に公園が整備される予定。
建物はコの字型で、南側の住棟は3つに分節されており、共用施設としてパーティルーム、ゲストルーム、キッズルーム、スタディルームなどが設置される。
住戸の商品企画では、二重床・二重天井、キッチンとダイニングカウンターが一体となった「ピアキッチン」が全住戸の4割を占め、リビングと続き間を窓で結んだ「見えroom」、壁を傷つけずに何でも飾れる「かざるウォール」の提案を行っている。食洗機、バックカウンター、吊戸棚も標準装備。ワイドスパンタイプも多い。
29日に行われたメディア向け見学会に臨んだ同社取締役事業部長・金児正治氏は、「この沿線はまだまだ伸びしろがある。今春、浦和美園で分譲開始した一戸建て91戸はすでに65戸が制約済みで急ピッチで売れている。都心に乗り入れている割には、戸建てもマンションも価格は手に届くエリア。マンションは、戸建てメーカーとして他のデベロッパーとは一線を画す、戸建ての木質感などを具現化した商品企画が評価されている。来年度には売上100億円に届くはずだ。戸建ての開発も積極的に行っていく」と語った。
第1期70戸のうちすでに52件が成約見込みであることも明らかにした。
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〝価格に見合う商品企画〟マンションだと思う。「ピアキッチン」の詳細は省くが、これは文句なしにいい。収納力があるバックカウンター・吊戸棚も標準装備だ。
60~70㎡台の住戸は6.0~6.1mのショートスパン住戸がないわけではないが、70㎡台後半以降の住戸は6.4m以上のワイドスパンとなっており、間取りも出窓付きなど24タイプと豊富だ。
問題は競合物件が少なくないことだ。同社は同じ沿線の「ルピアコート鳩ケ谷本町」(146戸)も分譲しており、浦和美園には全697戸の大規模物件も継続して分譲されている。これだけで1,000戸以上だ。勝敗のカギは、駅近でピアキッチンなどの商品企画、単価の割安感をどうアピールできるかだ。
ピアキッチン
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建築物の絶対高さ規制についてこれまで再三批判してきたが、このマンションでも訳が分からない規制がかかっているので少し触れたい。
現地は建築物の高さ規制が23mに定められており、同社は8階建てとするために約75㎝建物を地下化している。1フロアを3mとすると7階建てしか建てられないからだ。当然、その分は価格に転嫁されることになる。
川口市の景観計画では「現在の良好な景観や市街地環境の維持、保全と好ましくない景観整序のため、市全域を対象に、建築物の建築等の行為制限を定める景観形成基準等の運用・啓発を行います」とある。
しかし、「良好な景観」とは「好ましくない景観」とは何かについては具体的に示されていない。探すとすれば、「無秩序な広告物や路上の放置自転車などまち並みに調和しない景観や、地域の特性にそぐわない景観」くらいだ(放置自転車がどうして景観なのかはよくわからない。ほとんどなくなったキューポラは良好なのか好ましくないのか)。
ところが、景観形成基準では突如として建築物の絶対高さ規制や外壁のカラーが明示されている。高さ規制では、用途地域に応じて10m、16m、22m、38m、45mなどだ(例外として100mもある)。
この具体的な数値に対する合理的な説明は何も示されていない。一般的な建築物の1フロアを3mと仮定して、その倍数ならまだ少しは理解できるのだが、市の数値は10mを基準とすると+6m、+12m、+18mまでは3、または6の倍数となっており、45mは3×15(階)とも取れるようになっている。
そして、今回のマンションのエリアの高さ規制は23m(どうしてこの数値かはわからない)だそうだ。
こうなるともう支離滅裂だ。「周辺景観との調和」という大義名分さえあればどのような数値でもいいということになる。居住性能をどう引き上げるかの視点がまったくない。「居住環境」を犠牲にした「良好な景観」があってはならない。23mを24mに引き上げればどれほどの景観の悪化をもたらすか、行政は説明すべきだ。
記者は、建蔽率・容積率のほかに道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制があるのだから、建築物の絶対高さ規制は必要ないと思うし、むしろ公開空地を確保しているものや、居住性を高めるために1層の高さを高くしたマンションなどはその分だけ容積率の緩和を行うべきだと思う。そのほうが「良好な住環境」が確保される。建築物が低ければ景観がよくなるわけでは絶対ない。高さが同じであれば調和がとれているわけでもない。
モデルルーム
有孔ボード
新日鉄興和不 オーダーメードシステム開発 第一弾「中野坂上」で分譲
「リビオ中野坂上パークフロント」完成予想図
新日鉄興和不動産は7月30日、水回りの形状変更や収納の増設・拡張・撤去にも無償で対応するオーダーメードシステム「ONE MORE TAILORED(ワン・モア・テーラード)」を導入した第1弾「リビオ中野坂上パークフロント」のモデルルームをオープンする。
物件は、東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線中野坂上駅から徒歩8分、中野区中央2丁目に位置する9階建て全27戸(うち非分譲4戸)。専有面積は33.83~81.53㎡、予定価格は3,600万円台~8,900万円台(最多価格帯4,300万円台、6,700万円台)、坪単価は350万円。竣工予定は2017年9月上旬。施工は松井建設。販売代理は野村不動産アーバンネット。
オーダーメードシステムは三井デザインテックと共同で開発したもので、三井デザインテックが実施した直近3年における都心高額物件を対象とした設計変更データの分析では、約半数の住戸が既存のメニュープランに満足できず、基本プランに縛られない間取りを希望しており、特にキッチンスペースと収納に対する変更ニーズが高いことが分かった。
また、現在販売中の「リビオ目黒ザ・プレイス」(2016年11月竣工予定)の購入者に対して行った仕様設備に関する調査結果でも、多くの分譲マンションで標準装備されている仕様設備と購入者のニーズとの間に差が生じていることが浮き彫りになった。
同社は2011年に業界最多の500通り以上の間取り、100種類以上の設備を組み合わせたパターンオーダーシステム「ワンズシステム」を開発。これまで7物件で導入しており、システム未導入物件と比較して高い契約率を示している。
こうした経緯を踏まえ、従来の「ワンズシステム」で選べる組み合わせはそのままに、すべてのメニューを無償で自由に選択できるオーダーメードシステムとして新規開発した。
今後、同システムを導入したマンションの開発を継続的に行っていく。
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モデルルームを見学した。天然石の廊下の床、フィオレストーンのキッチン天板、食洗機など16カ所にわたってグレードアップ仕様となっており、最大50万円相当分をセレクトできるようになっていた。このほか、収納の増設や撤去、形状変更などは無償になっている。
坪単価は360万円くらいかと思っていたが、350万円に抑制されている。同じ中野坂上駅圏や近隣各区の物件と比べても20~30万円以上低い。敷地南側は道路を挟んで緑道と公園になっている。
東急不動産 大船駅前の再開発事業マンション253戸など権利変換計画が認可
「大船駅北第二地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
東急不動産は7月26日、同社が事業参画している大船駅北第二地区市街地再開発組合の「大船駅北第二地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画の認可を受けたと発表した。
同事業は1999年に再開発準備組合が設立され、商業施設や住宅、駅前広場を中心とした大船駅前の再開発の検討が進められてきた。計画では、2階にペデストリアンデッキを設けることで大船駅と徒歩1分で結ぶ。
施行区域は約1.7ha、敷地面積は約8,800㎡、21階建て延べ床面積は約6.5ha。住宅は253戸が計画されている。販売開始は2018年3月。竣工予定は2020年12月。
三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス大宮」第1期72戸が即日完売
「ザ・パークハウス大宮」完成予想図
三菱地所レジデンスは7月26日、「ザ・パークハウス大宮」(全89戸)の第一期72戸が7月24日抽選の結果、最高倍率4倍で即日完売したと発表した。
大宮駅西口から徒歩5分の土地区画整理地内に立地し、価格は4,668万~15,018万円(最多価格帯6,300万円台)、専有面積57.00~120.93㎡。坪単価は293万円。住戸内の二重床下地合板にFSC認証木材を採用し、地元ブランド建材「西川材」をラウンジ・ホワイエの天井・壁面・本棚に使用している。
2月21日の物件ホームページ開設以降、約1,300件の問い合わせがあり、5月21日からのモデルルーム来場者は約300件。
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場所はおおよそ見当がつく。もうずいぶん昔だが、かといってそんな昔でもない。あるデベロッパーが近くでマンションを分譲した。坪単価は200万円をはるかに下回る160万円くらいだったと記憶しているが、完売するまでずいぶん時間がかかった。それより坪単価は2倍近くだ。
先に同社が分譲した「ザ・パークハウス浦和タワー」は330万円台の半ばだった。大宮も300万円の大台に乗るということか。
ラウンジ
野村不動産「プラウド国分寺」 国分寺崖線の既存樹を残し市民に一部開放
「プラウド国分寺」完成予想図
野村不動産が分譲中の「プラウド国分寺」を見学した。駅から徒歩5分の駅近マンションもさることながら、現地は国分寺崖線区域内にあるため敷地のほぼ3分の1に当たるエリアを「保存林」として残し、一部を提供公園と共に一般に開放するマスタープランが素晴らしい。地域とのコミュニティにも配慮している計画が評価され、建物の絶対高さ制限24.56mが約1フロア分(4.5m)緩和されている。
物件は、中央線国分寺駅から徒歩5分、国分寺市南町1丁目に位置する敷地面積約8,000㎡の8階建て地下1階建て全125戸。9月分譲予定の第2期4次(戸数未定)の専有面積は71.13~87.66㎡。坪単価は320万円弱。竣工予定は平成28年9月下旬。施工は西武建設。デザイン監修は板倉建築研究所。
現地は、国分寺崖線区域に位置する敷地北側に中央線の線路があり、敷地南側の道路面まで比高差にして10mくらいある傾斜地。建物は4棟構成で、3階の共用廊下と「保存林」として残した緑地がブリッジでつながっている。
各住戸の設備仕様は、同社の他の〝プラウド〟仕様とほぼ同じで、キッチン・洗面カウンタートップは御影石、ディスポーザ、食洗機などが標準装備。全住戸がオープンポーチ付きで、専用庭付きタイプもある。
今回の生物多様性保全の取り組みが評価されて、「ABINC(一般社団法人いきもの共生事業推進協議会:エイビンク)」の「いきもの共生事業所認証」を取得している。
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このマンションの最大の特徴は、国分寺崖線区域内にあるため国分寺市のまちづくり条例をクリアしたうえで、敷地北側にある、面積としては約3分の1を占める「保存林」の高木既存樹約80本を残し、約670㎡の提供公園と共に地域住民に公開することだ。このため緑地率を約44%確保している。
記者は工事関係者の了解を得て「保存林」まで歩いた。道路との比高差にして10mくらいはあっただろうか。丘の上には見事なケヤキ、コナラ、シラカシ、クヌギなどの武蔵野をしのばせる高木が何本も植わっており、舗道も整備されていた。
計画によると「保存林」すべてが住民に公開されるわけではなく、セキュリティをかけて居住者専用のプライベートゾーンも設置するようだ。「保存林」とは居住棟の3階の共用廊下からブリッジでつながれており、3割くらいの住戸から北側の「保存林」を借景として取り込むことができるプランになっている。
「保存林」の管理は管理組合が行っていくことになるが、市の「保存樹林」として指定され、固定資産税と都市計画税の8割相当額を奨励金として交付されることになっている。
また、マンションの集会室は、一般も利用できるカフェスペースとして運営されることになっている。
細かな点だが、擁壁を緑化ブロックとし、バルコニー手すりは下部がアルミルーバーで上部はガラスを採用し、現地から採取した土を釉薬に配合したオリジナルタイルを用い、エントランス部分に有孔タイルを配したりしているデザインもいい。さすが野村、板倉建築というべきか。
「保存林」完成予想図
住友不 小金井カントリーを眼下 「シティテラス小金井公園」は坪215万円
「シティテラス小金井公園」完成予想図
住友不動産が9月に分譲する小平市の大規模マンション「シティテラス小金井公園」を見学した。NTT社宅跡地で敷地面積は約3.2ha、全922戸の規模。名門小金井カントリー倶楽部と都内有数の小金井公園に隣接・近接。単価設定は約215万円で割安感がある。消費者がどのような反応を見せるか。
物件は、JR中央本線武蔵小金井駅からバス6分徒歩4分(シャトルバスで約7分)、または西武鉄道新宿線花小金井駅から徒歩8分、小平市花小金井南町一丁目に位置する敷地面積約3.2haの9階建て全922戸。専有面積は63.71~88.51㎡、中心価格帯は4,200万円台(70.79㎡)の予定。竣工予定は平成30年1月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
現地はNTT社宅跡地。同社が取得したのは9年くらい前で、業界からずっと注目されていた物件。目の前に50haの名門小金井カントリークラブのコースが広がり、隣接して約80haの小金井公園がある。
建物は全8棟で、敷地南側と南東のゴルフ場・公園に面しているのはそのうちの3棟(もう1棟は近接)。17の共用施設が整備されるほか、武蔵小金井駅直行のシャトルバスが運行されるのが大きな特徴。
専有部の設備仕様は食洗機、ディスポーザ、ミストサウナなどが標準装備。バルコニー側だけでなく、共用廊下側もガラスが採用されているのは同社初。
これまで約1,600件の問い合わせがあり、うち5割以上が地元・隣接市以外からで広域からの反響も多い。
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いったいいくらで販売するのだろうと以前から注目していた。バス便だが中央線の武蔵小金井駅圏のマンションの相場からすれば坪単価215万円(ゴルフ場に面した住戸も230万円くらいだそうだ)は相当安いと言えそうだ。西武線花小金井駅圏の物件としては相場並みかもしれないが、小金井カントリーに隣接している立地条件を考慮すればやはり割安か。分譲開始の2カ月も前から予定価格を発表したのは、第一次取得層の需要を喚起しようという戦略だろう。
さて、この小金井カントリーだが、バブルの頃、ここでプレーしたことを自慢していた不動産業者は結構いた。もちろん記者はどのようなゴルフ場なのかは全然知らない。
ネットで調べたら、同倶楽部は昭和12年にオープン。ジャック・ニクラウス、アーノルド・パーマー、ゲーリー・プレーヤーなども訪れている。理事長には故・倉田主税氏、故・永野重雄氏などが務めている。現在の会員権相場は4,000万円(審査あり、女性は不可)。ゲストの利用料金は3~4万円だが、35歳未満の男性、20歳未満の女性は利用できず、色彩も含め倶楽部に相応しくない服装は不可、携帯電話はマナーモードに設定することが義務付けられている。
ゴルフ場に面した住戸からは望遠鏡があればプレーする著名人を見ることができるかもしれない、そんなマンションだ。
お金があっても審査があるのでゴルフ会員権は買えないだろうが、日常的に小金井公園が利用できる価値はいったいいくらになるか。相当の価値があるはずだ。公園を歩くと体感温度は2度くらい下がるのではないか。
週刊住宅「首都圏優秀マンション表彰」 応募が激減 評価方法にも一因
週刊住宅新聞社が2015年度「首都圏優秀マンション表彰」を発表した。最優秀賞に東京建物他「Brillia Towers目黒」が選ばれたほか、都心大規模、都心中規模、都心小規模、近郊・郊外大規模、近郊・郊外中規模、近郊・郊外小規模の6部門のそれぞれベスト3が発表された。
三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」も「目黒」と同じ評価点82点だったが、「マーケットをけん引」したことが評価されて「目黒」が最優秀賞を獲得した。
「目黒」が選ばれるのは予想されたことで、記者も異論はない。記者は「2015年ベスト3マンション」にこの2物件を選定している。(東建が2013年に分譲した「Brillia Tower池袋」がノミネートもされなかったのがいまだに不思議)
それより気になったのは応募数の少なさだ。今回の応募数は12社34物件だという。都心大規模、都心中規模、都心小規模、近郊・郊外大規模、近郊・郊外中規模、近郊・郊外小規模の6部門でそれぞれベスト3が発表されたが、企業数はほとんど大手ばかりの7社(JVは幹事のみ)しかない。
マンション市場が縮小する一方で、大手の寡占化が進行している結果ともいえるが、これはいかにも寂しい。2009年の第1回の応募数は92点だったので、ほぼ3分の1に減少した。
どうして応募数が激減し、大手の物件ばかりが並ぶのか。これは以前にも指摘したことがあるが、はっきり言えば選定方法に問題がある。
不動産の特性は代替えがないという唯一性にある。デベロッパーはその土地の価値をどう最大限に引き出すか、コンセプトを明確にし、ターゲットをどう絞り込むかどう需要を引き出すかが問われる。一言でいえば商品企画力だ。
だから、都心大規模、都心中規模、都心小規模、近郊・郊外大規模、近郊・郊外中規模、近郊・郊外小規模といった部門に分けるのはあまり意味がない。
部門分けもそうだし、基礎点の配分も問題がある。「立地」「構造」「共用部」「住環境」などが基本になっているが、これだと中小規模より大規模のほうが、駅から遠い物件より近い物件の評点が高くなる。偏差値教育と一緒だ。
そうなると資金力がある大手物件が上位にランクされ、中小デベロッパーの物件がノミネートされなくなるのは当然だ。
いかにこの評点主義に問題があるか。一例を挙げる。かつて、ヒューマンランドが東横線日吉で分譲した物件がある。バス便でしかも北傾斜。近接するマンションは竣工してから1年以上が経過しても売れなかったように〝必敗パターン〟のマンションだったが、ライトコートを多用することで居室に光と風を取り込む商品企画がヒットした。この物件を週刊住宅の評価方法で評価すれば、「立地」はゼロ点だろうが、事業性・商品企画は10点満点だ。それでも足して2で割れば総合点は5点にしかならない。
せっかくの表彰制度なのだから、中小デベロッパーの優れた物件を顕彰する意味で、別の視点から評価する方法もあるのではないかと思う。
今回でいえば、「週刊住宅新聞社賞」の総合地所「ルネ蘇我ディアパーク」なのかもしれないが、「蘇我」がどうして選ばれるのか理解できない。「蘇我」が劣っているという意味ではない。「蘇我」が選ばれるなら、同じように対象となる物件は少なくとも数十物件はある。
「評価委員特別賞」の大和ハウス他「プレミスト高尾サクラシティ」もよくわからない。「近郊・郊外大規模」でベスト3に選ばれた三井不動産レジデンシャル他「パークシティ武蔵小杉ザ ガーテン タワーズイースト」、住友不動産「シティタワー国分寺ザ。ツイン」、三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス千歳烏山グローリオ」より評点が少なかったともとれる。コンセプト、ターゲットが異なる物件を同じ土俵の上で戦わせるからこのような結果になる。
今回表彰された7社以外で意欲的な物件を供給している注目すべきデベロッパーを列挙すればコスモスイニシア、大成有楽不動産、モリモト、フージャースコーポレーション、伊藤忠都市開発、NTT都市開発、アパ(記者は「代官山」の取材を拒否されたが)などがあるし、最近では西鉄の「ブラントン日本橋小伝馬町」に驚愕した。
評点評価を改めれば表彰制度も広く認知され、ノミネートされる物件も増えるはずだ。
記者が選んだ2015年「話題のマンション33物件」(2015/12/28)