「ららぽーと」に隣接 坪単価230万円でも人気 シニア向けフージャース「柏の葉」
建築中の「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」(左後方が「ららぽーと柏の葉」、右後方が三井不動産レジデンシャルのマンション群)
フージャースコーポレーションが分譲中の所有権付きシニア向けマンション「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」を見学した。駅から徒歩5分、「ららぽーと柏の葉」に隣接する全266戸で、坪単価230万円ながらすでに約4割が分譲済み。好調な売れ行きを見せている。
物件は、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅から徒歩5分、柏市の柏北部中央地区一体型特定土地区画整理地内にある15階建て全270戸(住戸266戸、店舗4戸)。現在分譲中の第3期(40戸)の専有面積は54.00~80.06㎡、価格は3,378万~6,198万円(最多価格帯3600万円台)。竣工予定は平成29年2月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
入居条件は満50歳以上で、自身で身の回りのことができ、共同生活が可能な人(複数入居の場合、1名がこの条件を満たしていること)。管理費は39,040円~57,880円(入居者1名増加につき追加ライフサービス費23,000円)。食費代は1人当たり1日3食(朝食480円、昼食580円、夕食680円)・30日/52,200円(予定)。
現地は、駅前の「ららぽーと柏の葉」に道路を挟んで隣接。建物はロの字型で内廊下方式を採用。店舗や訪問介護事業所のほか、共用施設として天然温泉付き浴場、レストラン、ビリヤードラウンジ、プレイラウンジ、ブックラウンジ、カラオケルーム、カフェラウンジ、ゲストルームなどが整備される。
住戸は南向き中心に東向き、西向き、北向き。設備仕様は玄関ベンチ、ローリングトイレドア、全居室とも引き戸、緊急コールボタン、ライフセンサーなど。24時間の見守りサービスが受けられる。
昨年夏から分譲が始まっており、販売担当者は「シニア向けとしてはものすごい販売スピード。来場者は約700件。東葛エリアの方が中心だが、都内の方も多い。購入者は野田市、安孫子市の方の歩留まりが高い。売れ行きは3,000万円台がとくに人気で、4,000万円台のグロスの壁がややある」と話している。
完成予想図
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同社の所有権付きシニアマンションを見学するのは「みらい平」に次ぎ2回目だが、「みらい平」よりはるかに進化しているという実感がした。
何より立地条件がいい。「みらい平」はいかにも郊外型で、周辺に生活利便施設も乏しい。
一方の「柏の葉」は、公民学が連携して未来都市づくりを進めており、首都圏のなかでもっとも成長力が高い街だと記者は思っている。向こう数十年にわたって成長が約束されている都心立地とそん色ないエリアだ。
そして、何よりも〝施設〟の雰囲気が漂う民間有料老人ホームやサ高住と異なっているのがいいし、設備仕様も普通の分譲マンションと変わらない。ローリングドアは健常者が利用するのにも便利だ。
分譲坪単価もドンピシャリだった。つくば研究学園で他の取材があったためアポなしでモデルルームを訪ねたのだが、「坪単価は230万円でどうですか」という記者の問いに担当者は「その通り。230万円強」と話した。
普通のマンションより単価は高いかもしれないが、それでも売れるということは所有権付きシニアマンションがユーザーに支持されつつあるということだ。爆発的に供給が増えることにはならないだろうが、供給が増えて認知度が高まればしっかりと市場に根を下ろすのではないか。シニアの住まい方の選択肢がもう一つ増えるのはいいことだ。
天然温泉付き大浴場
熊本地震 マンション大破は1棟、中破は5棟 マンション管理協調査
マンション管理業協会は4月28日、会員会社が受託しているマンションの熊本地震による被災状況をまとめ発表した。
九州7県で7,610棟、熊本県では29社が572棟を受託しており、このうち九州全体で5,973棟、熊本で294棟の回答を受けた結果、大破は熊本県の1棟、中破は同県の5棟、小破は同県の113棟など151棟だった。
他の県の回答率は100%近くに達している一方で、熊本県は約51%にとどまっており、同協会も全容を把握しきれていないようだ。
同協会は、受託物件の被災度を調査する判定員を派遣する準備を進めている。また、被災者支援として義援金100万円を日本赤十字社に寄託する方針。
山手線 駅3分で坪単価は約315万円! 大成有楽不「オーベルアーバンツ日暮里」
「オーベルアーバンツ日暮里」完成予想図
大成有楽不動産が分譲中の「オーベルアーバンツ日暮里」を見学した。道路・舎人ライナーの騒音や近接するタワーマンションの日影の影響は受けるが、日暮里駅から徒歩3分と近く、坪単価315万円は相当な割安感がある。設備仕様レベルも高い。
物件は、JR・舎人ライナー・京成線「日暮里」駅から徒歩3分、東京メトロ千代田線「西日暮里」駅から徒歩5分、荒川区西日暮里二丁目に位置する14階建て全62戸(一般分譲住戸52戸)。第1期(25戸)の専有面積は42.21~70.26㎡、価格は3,698万〜6,968万円(最多価格帯3,900万円台)、坪単価は約315万円。竣工予定は平成29年3月下旬。設計・監理はアーバンライフ建築事務所。施工は南海辰村建設。
建物は南西向き3戸と北東向き2戸の1フロア5戸構成で、角住戸比率が80%。間口は約7.8~9.3mと広いのが特徴。逆梁工法を採用し、梁部分をカウンターとして利用できるようにしている。設備仕様は、フィオレストーンのキッチン天板、ホーロー底板、食洗機、ミストサウナ、二重サッシ(一部除く)、二重床・二重天井など。同社のオーベルオリジナル商品企画「O-range LABO」(オレンジ収納、オレンジキッチン、オレンジドレッサー)もフル装備されている。
モデルルーム リビング
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先日取材した京浜東北線「王子」駅から徒歩3分のマンションは坪320万円だった。そして今回の「日暮里」はそれと同じくらいかむしろ安い。
なぜそんなに安いのか。一つには立地条件がある。駅に近いけれど近接するタワーマンションの日影と、敷地東側の尾久橋通りとその上を走っている舎人ライナーの騒音の影響を受けるから、そのあたりは割引しなければならない。
もう一つは「荒川区」アドレスだ。周辺で分譲されているマンションも同じような単価になっているから、相場並みともいえるかもしれない。23区内で坪単価200万円以下でも取得できそうな舎人ライナーの始発駅というのが価格下げ圧力にもなっているのは否定できない。
山手線でこれほど低い〝評価〟を受けているのは、他では田端くらいしかない。鶯谷(北口)もあるが、ここは風俗街だからマンション分譲事例は極端に少ないので比較できない。交通利便性だけなら坪400万円くらいになっていいと思うが、これは如何ともしがたい。
坪単価300万円はもう少しすれば郊外型の駅近マンションの相場になるはずだ。
同業他社にも参考になる同社の「オレンジ収納」について。収納のハンガーは上下に移動させたり、あるいは手前と奥の2本にしたりしているところは少なくない。同社のそれは、多くの受け穴を設け、パイプの位置を上下・前後にアレンジできることで収納量を増やせるどころか、奥の壁面にもフックが付いており、鴨居に掛けるように洋服などが掛けられるようになっている。主婦、あるいは主夫はこのような細かな配慮に感動するのだ。同社の最近のマンションの売れ行きがいいのはこうした工夫もその要因の一つだ。
中古マンション 人気駅トップに湾岸「豊洲」が浮上 野村アーバン調査
野村不動産アーバンネットは4月26日、同社の不動産情報サイト 「ノムコム」に2015年度 中古マンション「人気の駅ランキング(首都圏)」を発表。
前年5位の「豊洲」が初めてトップに躍り出た。2位は「品川」(前年2位)、3位は「恵比寿」(同3位)。以下、4位「勝どき」(同9位)、5位「広尾」(同4位)、6位「麻布十番」(同1位)、7位「目黒」(同14位)、8位「白金高輪」(同7位)、9位「大崎」(同6位)、10位「武蔵小杉」(同12位)の順。
「豊洲」が首位に浮上し、「勝どき」もランクを上げ、「辰巳」も前年35位から17位へ上昇するなど湾岸エリア各駅の上昇が目立ったことについて同社は、東京五輪開催にむけての再開発への注目度の高まりを反映した結果としている。
このほか、11位「千歳船橋」(同24位)、22位「成城学園前」(同41位)、26位「千歳烏山」(同31位)、29位「経堂」(同50位外)など平均価格帯5,000万~6400万円の小田急線・京王線の駅がランクを上げた。
ランキングは2015年4月1日~2016年3月31日までの間に「ノムコム」に掲載された中古マンションへの問い合わせ数(資料請求数と現地見学予約数の合計)を駅ごとに集計したもの。
立地は「プラウド」「ブリリア」に負けない 西鉄「ブラントン日本橋小伝馬町」
「ブラントン日本橋小伝馬町」完成予想図
西日本鉄道が分譲中の「ブラントン日本橋小伝馬町」を見学した。同社が今後積極的に展開するという新ブランド〝ブラントン〟の第一弾だ。全22戸(分譲は18戸)の小規模ながら、駅から徒歩1分、全戸南向き、公園に隣接している立地は中央区内では得難い。首都圏進出の第一弾にふさわしい素晴らしいマンションだ。
物件は、東京メトロ日比谷線小伝馬町駅から徒歩1分、中央区日本橋小伝馬町に位置する12階建て全22戸。1期2次(5戸)の専有面積は66.79・80.78㎡、価格は8,190万~10,390万円。坪単価は420万円。登録受付は5月6日~5月16日。抽選は5月16日。竣工予定は平成29年11月上旬。施工は松井建設。設計・監理はフリークス一級建築事務所。販売代理は東京建物。売主は同社のほかアスコット(事業比率5%)。
現地は駅の改札を出て、隣接する十思公園を抜けて徒歩1分(測ったわけではないが、実際は50メートルくらいだから徒歩40秒くらいか)。敷地は東西に細長い約226㎡(68坪)。1階はエントランス、エレベータホール、トランクルーム、駐輪場などの共用部分で、住戸は2階からで1フロア2戸の構成。
敷地形状と南側のビューを最大限生かしたワイドスパンのプランが特徴。66㎡のタイプの間口は約10m、80㎡のタイプは約13m。南側の梁型を利用してリビングは高さ36㎝、奥行き1mの小上がりスペースとし、浴室はビューバスとしてその南側に室内物干システム付きのコンサバトリー(約2.2畳)を設置。廊下部分をほとんどなくし、北側に設置したバルコニー・避難口はキッチンとカウンター越しから眺められる坪庭のような空間提案を行っている。
設備仕様は、二重天井・二重床、玄関大理石、キッチンはユーティリティシンク、カウンタートップはフィオレストーン、食洗機、カップボード・吊戸棚、ミストサウナなどが標準装備。
販売を担当する東京建物受託販売部課長・綱島敏彦氏は、「用地はアスコットさんが手当てされた。当社が販売代理となったのは、西鉄さんと福岡で共同事業をさせていただいた縁と、この界隈での当社の6棟の実績が評価されたため。商品企画に当たってはアドバイスもさせていただいた。近接する当社と野村不動産さんの物件の〝いいとこどり〟をして、グレードも上げた。区内で南側に公園があるのは45年振りだから、ほとんど初めてに近い」と話している。
モデルルーム リビング
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西鉄は、記者が小学生から西鉄ライオンズ(現西武ライオンズ)ファンであり、20年くらい前に同社の素晴らしい戸建てやマンションを取材したことがあるので、新ブランドマンションがどのようなレベルなのかものすごく興味があった。
現地は綱島氏に案内していただき、モデルルームもしっかり見学した。土地の魅力を最大限に引き出した同社とアスコット、設計を担当したフリークス一級建築事務所、さらには商品企画アドバイスを行った東京建物の3社に拍手喝さいしたい。
マンションの価値はその敷地規模、共用施設なども重要であり、敷地がわずか68坪しかない物件なので総合的な評価は差し控えたいが、立地条件と各住戸の居住性は、昨年、ともに圧倒的な人気になった「プラウド日本橋三越前」と「Brillia日本橋三越前」に引けを取るどころかはるかに勝っている。
〝ブラントン〟というブランド名もなにやらホテルのようでもあるが、これまたいい。以前にも書いたが、大手デベロッパーのマンションブランドはほとんど「ハ行」だ。野村〝プラウド〟、東建「ブリリア」のほか、三井は〝パークシティ〟など、三菱は〝パークハウス〟(今は「ザ・」がつくが)、東急不動産の〝ブランズ〟。そして〝ブラントン〟だ。大手の一角に食い込もうとする意欲が感じられるではないか。用地取得競争は激烈を極めるが、今回のように大手が見向きもしない土地なら取得でき、商品企画でカバーすることは可能だと思う。
それにしても、昨年末から記者は〝パークビュー〟のマンション取材を立て続けに行っている、野村「木場公園」、三井「赤坂檜町」、住友「四谷」、三菱「国分寺」・「新宿御苑」、大和ハウス「白金台」、東建「上野池之端」などだ。今回の「日本橋小伝馬町」も加える。
モデルルーム コンサバトリー(左)とコリドー
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立地についてもう少し説明しよう。建設地は、隣接する十思公園も含めて江戸時代の伝馬町牢屋敷だったところだ。全体敷地は2,618坪あり、渡辺崋山、高野長英、吉田松陰、橋本佐内らの終焉の地となる。
綱島氏は「歴史好きにはたまらないマンション」とも言ったが、その通りだろう。それこそ毎日、渡辺崋山、高野長英、吉田松陰に思いをはせることができる。
その跡地に大正12(1923)年に起きた関東大震災後の復興事業の一環として、昭和3(1928)年に建てられた鉄筋コンクリート製の十思小学校の校舎を現在では再生活用しケアサポートセンターや保育園・銭湯・公園として中央区民の憩いの場として利用されている。
エントランスホール
驚!問い合わせ4500件突破 野村不動産「プラウド日本橋三越前」(2015/2/27)
“プラウド”に挑戦状 ほぼ同じ単価で「Brillia日本橋三越前」(2015/4/25)
三菱地所レジデンス マンション居住者向け「番町エリア探索ツアー」
「地元を知る番町エリア探索ツアー」(30分コース)
三菱地所レジデンスは4月23日、同社のマンション居住者などで構成されている「三菱地所のレジデンスクラブ」会員向けのイベント「地元を知る番町エリア探索ツアー」を行い、番町エリアに所在する8物件約40名が参加。参加者は30分、1時間のコースに分かれて番町エリアの歴史・文化人居住跡地を探索した。
探索ツアーに参加した「ザ・パークハウスグラン三番町」の男性も「ルクセンブルグハウス」の女性も「とても面白かった」と話していた。(双方のマンションともとてもレベルが高いマンション)
同社はこれまで千代田区で24物件2,436戸のマンションを供給している。三井不動産レジデンシャルも大規模再開発マンションを手掛けているので何とも言えないが、戸数は1、2位を争うのではないか。
後藤氏
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イベントは前半が千代田区立日比谷図書文化館の学芸員による「千代田区番町エリアの歴史・文化について」と、千代田区の危機管理課職員による「千代田区の防災対策について」のセミナー。後半が探索ツアーだった。
記者は30分コースに同行したのだが、日比谷図書文化館の文化財学芸員・後藤宏樹氏の話がとても面白かった。少ない時間ながら、江戸時代の「番町」がどのような場所で、どのような位置・意味を持っていたかを後藤氏は描き出した。
「番町」は幕府を警護する役割を担っており、一番から六番の組に分かれて警護していたことから今も地名に一番町から六番町まで残っているという。
一番から六番は単に便宜的に付けたわけではなく、もっとも重要な拠点から番号を付したものだそうで、つまり、現在の半蔵濠に面したイギリス大使館などかあるところが「一番町」で、「二番町」はその西隣で、それからまた北東方向に向かった千鳥ケ淵に面したあたりが「三番町」となり、また東側に向かい「四番町」「五番町」「六番町」となる。「六番町」の東側が「二番町」とつながっている。
各番町でも「表」と「裏」があり、表があるほうが高台、「裏」が谷に当たるそうだ。この方式に従えば「一番町」がもっとも〝格〟が高いということになる。
現在の住居表示はどのような方式で丁目・番・号がつけられているのか、何かルールがあるのだろうか。記者は多くの場合、左巻きに「丁目」が付けられているような気がしてならないのだが…。「号」は右回りのようだ。
と、ここまで書いて気がついた。千代田区に限ってだが、住居表示の丁目は右回りとか左回りとかではなく、皇居を基準にして表示されていることが分かる。皇居から西側のエリアは東から西に向かって1、2、3…と表示され、皇居から東のエリアでは東に向かって1、2、3…と表示されている。北と南も同様だ。皇居に近いほうが丁目の数字は少ない。
他の区は分からない。法則があるようでない。
第一部のセミナー
激増する千代田区人口 16年間で61%増 当分続くマンション供給ラッシュ(2016/4/20)
駅1分、外観デザインがいい 住友不動産「シティテラス杉並方南町」
「シティテラス杉並方南町」完成予想図(左がノース棟、右がサウス棟)
住友不動産が5月中旬に分譲する「シティテラス杉並方南町」のモデルルームを見学した。敷地面積約9,000㎡の公務員宿舎跡地に建設される駅1分の全298戸で、交通利便性が高いことから人気を集めそうだ。
物件は、東京メトロ丸ノ内線方南町駅から徒歩1分、杉並区方南二丁目に位置する6階建てノース棟と地下1階・地上10階建てサウス棟2棟の全298戸。専有面積は54.68~85.07㎡、価格は未定だが坪単価は300万円台の後半になる模様。竣工予定は平成29年10月下旬。設計・施工は三井住友建設。
現地は用途地域が第1種中高層住居専用地域(一部近商)で、公務員宿舎跡地。周辺は戸建て住宅が多いエリアの一角。
建物外観に特徴があり、全体は白と黒が基調でコンクリート打ち放し風の外壁や木調ルーバー、S-マルチコア、ガラス手すりのコントラストが美しい。コの字型の10階建てのサウス棟にあるエントランスホールは3層吹き抜け。南向きはシンメトリー。ノース棟には保育所、診療所が設置される予定。
主な設備仕様は、二重床・二重天井、キッチン天板は御影石、ディスポーザ、食洗機、ミストサウナなどが標準装備。間取りが変更できるフレキシブルプランも用意している。モデルルームは「シティテラス荻窪」「シティハウス笹塚レジデンス」と共通。
販売を担当する同社・白浜健志氏は、「『総合マンションギャラリー新宿館』でいま公開している5~6物件の中で人気は一番高い。交通利便性が評価されている。方南町駅はホームが短く、3両編成しか停まらなかったが、6両直通運行を可能にするため改良工事が行われている。2017年度には完成する。外観に力をいれているのが特徴。『荻窪』のお客さんとはあまり重ならない。わたしのお勧めは『笹塚』。こちらは新宿方面の眺望が抜群」と話している。
サウス棟
エントランス
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白浜氏が話しているように外観デザインが美しい。コンクリート打ち放し風の外壁は一部有孔コンクリが採用されており、風情がある。
坪単価は未定だが、ほぼ予想したとおりだ。坪400万円はないとみた。380万円くらいかと思うが、白浜氏はもっと高くてもうれそうな顔をしていた。
「シティハウス笹塚レジデンス」は広告キャッチフレーズに〝都心、圧観。〟と謳っているように西側に新宿新都心がひらける眺望のすばらしさは記者も保証する。
モデルルーム
隣接するUR賃貸と一体となった3ha超の低層 住友不「シティテラス荻窪」(2016/3/2)
明和地所 新ブランド〝ラベルヴィ〟 第2弾「王子」も好調スタート
「クリオラベルヴィ王子」完成予想図
明和地所が3月中旬に分譲開始した「クリオラベルヴィ王子」を見学した。同社の新ブランド〝ラベルヴィ〟の第2弾で、全36戸のうち21戸が分譲済みで、好調なスタートを切った。
物件は、JR京浜東北線王子駅から徒歩3分、北区栄町に位置する5階建て全36戸。専有面積は32.68~48.69㎡、坪単価は320万円。現在分譲中の住戸(6戸)の価格は3,398.7万 ~4,496.4万円(35.13 ~48.38㎡)。竣工予定は平成29年3月中旬。設計はいしばし設計。施工は坂田建設。
現地は準工地域で、建物は内廊下方式で住戸は南向きと北向きがほぼ半々。2重床・二重天井で、天井高は2400~2600ミリ。2LDKは食洗機付き。
3月19日から分譲が始まっており、これまでに1LDKを中心に21戸が分譲済み。9割が実需。
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年明けの真っ先に同社の新ブランド〝ラベルヴィ〟第1弾「ラベルヴィ市ヶ谷」を見学した。記者の好きな「ボレロ」の作曲家であるラヴェルと、これまた大好きな「四季」の作曲家ヴィヴァルディを足して割ったような名前にほれ込んだからだ。
明和地所といえば創業社長の故・原田利勝氏とその右腕だった高杉仁氏を思い出し、原田氏にそっくりの息子さんの現社長・原田英明氏も含め、その風貌からはとても繊細な名曲を連想できないのだが、その落差がまた面白く、喝さいを送りたくもなった。
もう時効だから書くが、原田氏を取材するのは本当に怖かった。何せ柔道家だ。石もて追われるように大京を去り同社を立ち上げたのだが、怒り出すと止まらないところがあった。一度、当時の大京社長だった横山修二氏との和解を勧めたことがある。そのとき、原田氏は烈火のごとく怒り「なんで俺が頭を下げなくちゃいかんのだ」と一喝された。
高杉氏は、マンションのイロハを教えていただいた恩人なので怖くはなかったが、容貌は原田氏をはるかに上回っていた。本人もそれを自覚していた。どこかの組長の肩書のほうが似合っていた。その鬼の形相が明和地所を立ち上げたとき、横浜駅前の喫茶店でホロホロと涙したのを今でも忘れない。しばらく会っていないが、すっかり好々爺になっているはずだ。
とにかくこの会社が好きなのだ。「国立」の問題が起きるまでは商品企画でも業界をリードした。今でこそディスポーザは当たり前だが、最初に100㎡マンションの「三鷹」で標準装備したのは同社だ。
話を元に戻す。おっとり刀で駆けつけた「市ヶ谷」の単価(坪単価400万円)を聞き、モデルルームを見て、記事にも「もう少し設備仕様〝ラヴェル〟を上げてもよかったかもしれない」と書いたように、〝果たして大丈夫か〟と思った。
ところが、何と「市ヶ谷」は3月末までに完売となった。今回の「王子」の販売を担当しているプロジェクトリーダー・車谷尚亮氏も「最初はやや高いとも思ったが、価格は全然問題なかった。もう少し高くても売れた。ほとんどが実需」と正直に語った。
今回の「王子」も「1LDKはよく売れた。グロスがやや張る2LDKが勝負」(車谷氏)のようだ。
モデルルームは「市ヶ谷」と同じで、記者は坪単価320万円の「王子」なら設備仕様は納得できる。京浜東北線で坪単価300万円以下はバス便か、隣の足立区や荒川超えの川口以遠でないと無理だと思う。
モリモト「ピアース千代田淡路町」 坪単価420万円でもほぼ1カ月で完売へ
「ピアース千代田淡路町」完成予想図
モリモトが分譲中のコンパクトマンション「ピアース千代田淡路町」を見学した。淡路町・新御茶ノ水・小川町駅から徒歩1分の全71戸で、3月末から第1期(45戸)・第1期2次(16戸)が供給されており、残り2期(10戸)を残すのみ。極めて好調な売れ行きを見せている。
物件は、東京メトロ丸ノ内線淡路町駅・同千代田線新御茶ノ水駅・都営新宿線小川町駅から徒歩1分、千代田区神田美土代町に位置する13階建て全71戸。専有面積は25.03~54.78㎡、2期(10戸)の予定価格は3,300万円台~7,200万円台。坪単価は約420万円。竣工予定は平成29年3月上旬。設計・監理は日本エーコン一級建築士事務所。デザイン監修はフレグライン建築設計(福田馨氏)。インテリアデザインはリエゾン(鬼倉めぐみ氏)。施工は森本組。第2期は4月29日から分譲される。
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この物件については、昨年末、他のマンションを取材したときから坪単価が400万円を突破することを聞いていたが、現地周辺は大中小のビルなどが建ち並んでおり、分譲マンションはほとんど皆無。1カ月くらいで完売する勢いにあるのに驚かされる。東急リバブル「ルジェンテ神田神保町」や明和地所「ラベルヴィ市ヶ谷」同様、区内のコンパクトマンションは実需のほかに投資需要が人気の要因の一つであるのは間違いない。そうでないと説明がつかない。
大手デベロッパーのマンションでは、野村不動産が昨年に分譲した坪単価400万円くらいの「プラウド千代田淡路町」(109 戸)が瞬く間に売れたし、三井不動産レジデンシャルも相当の規模のマンショ ンを分譲するそうだ。
この勢いは止まらない。このところ人口が激増している千代田区だが、今後も「麹町」を中心に大量のマンションが分譲される。そして、坪単価は最低で400万円というのが定着しそうだ。人気エリアでは700万円以上になるかもしれない。
バブル期は都心部の人口流失が相次ぎ、コミュニティの崩壊に危惧した行政はビルに「付置住宅」を義務付けるなど対応に追われたが、いまは逆だ。中小ビルがどんどんマンション化している。
モデルルーム
安否確認47%⇒64%に伸ばす 「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」防災訓練
市のはしご車も出動して行われた防災訓練
三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティは4月17日、千葉市習志野市の全721戸の大規模マンション「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」で管理組合と協同して防災訓練を実施した。昨年3月に続く第2回目で、昨年は安否確認率が約47%だったのが、今年は約64%まで飛躍的に伸ばすなど、取り組みが〝進化〟していることを示した。
防災訓練は、防災ルールを定めた「防災計画書」に従い、館内放送や安否確認マグネットを使って全住戸の居住者の安否確認を行ったほか、①習志野市危機管理監による講演会②防災ゲーム③防災セミナー④トイレ組み立て・凝固剤の使い方⑤バルコニー避難・蹴破り訓練⑥防災ビデオ上映会-など様々なイベントを任意参加で行った。
安否確認は、昨年は全721戸のうち338戸(47%)だったが、今年は目標に掲げた85%には及ばなかったが、64%に当たる458戸に伸ばした。イベント参加者は160組、約340名だった。マンションは2013年6月に竣工。
管理組合防災担当理事の安部修氏は、「昨年12月に落雷があり、火災報知器が鳴り出したのをヒントに安否確認の数を増やすことを考えた。結果として大きく増やすことができた。防災態勢は本部長-副本部長の下に情報・消火・救助・避難・生活担当を置き万全を期しているが、男性は仕事で昼間留守のケースも多いので、女性活用や街の防災力の拡充など点から面の展開を考えたい」と感想を語った。
また、防災訓練を見学した隣接する「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」(全869戸、2015年9月竣工)の管理組合理事長・横井正文氏は、「理事10人のうち8人が自分で手を挙げた。わたしも公認会計士の資格があるのでお手伝いできることをしたい。防災組織は1年間くらい検討して独自のものを作り、ここのマンションやエリア全体で取り組みたい」と、共同で防災訓練を行う意向を示した。
奏の杜のエリアマネジメントを推進する一般社団法人奏の杜パートナーズ理事長・織戸久雄氏(65)、同副理事長・五関清氏も顔を見せ、「一般社団は平成23年6月に設立した。居住者、事業者、地権者からなる組織で、会費は戸建てで月額800円、マンションは400円。会員は1,800戸で加入率は90%超。将来的には2,500戸、7,000~8,000人の街になる。街の価値を上げるべく、市や町内会などとも連携して街づくりを進めていく」と話した。
防災訓練に参加した居住者は「昨年は欠席したが、防災の意識を高めたい」「3.11で経験したが、マンホールトイレは使いづらい」「凝固剤を買う気になった」などと話していた。
午前9時30分 ブロックごとに避難場所に集合
マンホールトイレ
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収穫の多い取材だった。この防災訓練は昨年も取材しており、同じ内容だろうと思っていたが、はるかに進化を遂げていた。熊本地震のさ中だったこともあるのだろう。主催者も参加者も緊張感が漂っていた。
嬉しかったのは安部氏が声を掛けてくれたことで、元気な様子が何よりだった。防災体制は政府顔負けだと思った。防災ゲームでは、5年生の女の子を安否確認の〝戦力〟にしていた女性がいた。「エレベータを使わず、ちゃんと確認した」とその女の子は話した。花丸をあげたくなった。
エリアマネジメント組織「奏の杜パートナーズ」の存在にも驚いた。津田沼エリアにこのような組織があることを知らなかった。織戸氏は話しぶりから普通のサラリーマンに思えなかったので、「ひょっとしたら地権者? 」と聞いたらその通りだった。「わたしは地権者で居住者。マンション1棟では街の価値は上げられない」
エリアの地価が上昇し、「固定資産税が上がったが」と苦笑を浮かべたが、(「税金をたくさん払うのはいいこと」との記者の問いに)「その通り。税金を払うのは国民の義務」と話した。間違いなく街づくりの旗振り役として大きな力を発揮するに違いない。
三菱地所レジデンスのスタッフの奮闘も光った。そのリーダー的な存在である同社商品企画部商品企画業務室業務グループ長・岡崎新太郎氏は先日も記事にした「箱の間」の開発者で、「これは管理会社の仕事かもしれないが、〝おひとり様〟が中心の小規模から今回のような大規模マンションまで双方が連携して取り組んでいる。満足度調査などしない。むしろ〝不安〟〝課題〟を発掘するような取り組みにしたい」と、頼もしいことを話した。
マンホールトイレの設置・凝固剤の使い方などを説明した平澤龍一氏の本業は聞かなかったが、会社員より講釈師が似合っていた。「緊急時のテントは絶対足りなくなる。マンションも横管が外れる危険性がある。トイレを我慢しないほうがいい。水なしで用が足せる凝固剤は必需品。わたしはいつも持ち歩いているし、娘にも持たせている。お宝はわたしも経験していないが、消臭効果もあり、3カ月は(溶けないで)持つ。普通ごみとして捨てられる。100個入りで15,000円。普通の人で1日5~7回とすると、3人家族で15回。使用期限は10年。それと薬手帳。非常食も重要だが、いつも飲んでいる薬の名前などなかなか伝えられない。冷蔵庫の中にあるものは腐らいうち、自分が好きなものから食べたほうがいい」などと、1時間近く話し続けた。参加者を「わたしも買おうかしら。どこで売っているの? 」とその気にさせていた。
平澤氏は、約10万人と言われる「防災士」の資格も取得している。1カ月くらい勉強し、講習を受けないと合格しないそうだ。
「被災時にトイレは我慢できませんし、我慢しちゃいけない」平澤氏
「凝固剤は1個150円。3人家族で1日15個。考えたら安いもんです。普通ごみとして捨てられる。わたしは持ち歩いています」(記者は浦安の液状化取材で躊躇なく公園の隅っこで用を足したが、若い女性が歩いて10数分の駅まで歩いたと聞いた)
織戸氏(左)と五関氏
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余談だが、記者も非常時は〝人助け〟が必要なことを学んだ。この日、現地は海風も手伝って猛烈な風が吹いた。取材を終え、駅に向かって歩道を歩いていたときだ。風速30mはあったはずだ。若い女性がよろよろと記者に向かってきたかと思うと、ぶつかるようにして何やら耳元で囁いた。
ドキッ。この30年来、若い女性、しかも真っ昼間から言い寄られた経験などないから、恐怖を覚え、知らんぷりをして歩を進めた。5、6歩進んだとき〝待てよ、女性はメ・ガ・ネ…としゃべったような気がする。風でメガネが吹き飛ばされたのかも〟と考え直し、立ちすくんだままの女性のところに戻り、確かめたらその通りだった。目は宙を泳いでいた。相当視力の弱い人だ。
しかし、この風だ。道路に転がったら車にひかれるか、はるか彼方に吹き飛ばされるはずだ。どうしよう? まごまごしていたら看板か何かが飛んできて憤死するかもしれないと新たな恐怖と闘い、絶望的な気分に陥りながら探した。そのとたん、何と目と鼻の先の敷石の隅に、いかにも女性ものらしい赤い縁付きの眼鏡が転がっているではないか。
これほどうれしかったことはない。「これでしょ、よかったね」と一声かけて記者は近くのビルに駆け込んだ。
防災セミナー(左)と防災ゲーム
初の防災訓練に350人 「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」管理組合(2015/3/1)