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 三菱地所レジデンス、相鉄不動産、丸紅の3社JVマンション「ザ・パークハウス西新宿タワー60」(総戸数954戸)の事業協力者住戸を除く販売住戸全777戸が完売した。新宿区内のマンションとしては、昨年、「富久クロス」(全1,222戸)の分譲住戸992戸がわずか6カ月で完売して話題となったが、それに次ぐ早期完売だ。

 モデルルーム事前案内会を開始したのは2014年10月で、販売開始は2015年2月。これまで約3,500件の来場者を集めた。

 契約者の特性は、年齢が40歳代(30%)、50歳代(25%)、30歳代(20%)、居住地は最多が新宿区の15%で、23区内中心に幅広いエリアからの購入が目立っている。

 物件は、都営大江戸線西新宿五丁目駅から徒歩7分他、新宿区西新宿5丁目に位置する60階建て。専有面積は33.90~156.99㎡、価格は3,198万~3億5,000万円(最多価格帯6,100万円台)。施工はフジタ。デザイン監修は三菱地所設計。竣工予定は2017年7月下旬。60階建てはわが国最高階数マンション。

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 東京建物他の「目黒」が早期完売したのにも驚いたが、今回の「西新宿」が1年もたたずに完売するとは夢にも思わなかった。

 坪単価は最終的にどうなったかは分からないが、350万円はしていないはずだ。他の都心エリアと比べ割安感はあるものの、現在の街並みから判断して妥当な単価だろうと思う。最高階数60階建ては訴求力があるとは思っていなかった。

 街の将来性をどうアピールするかがプロジェクトの成否のカギを握っていると考えていた。購入検討者や契約者、地権者を巻き込んだワークショップをこれまで6回開催し、コミュニティ支援の取り組みを行ってきたのも評価されたのだろう。

 それにしても、どうして都心のマンションがこれほど売れるのか。ファミリー層もDINKSも熟年層も住むのなら価格が安く、その分居住面積が確保できて、緑が豊富な準都心・郊外のほうがはるかにいいと思う…かくいう記者もお金があったら都心に住みたいのだが…。

カテゴリ: 2015年度

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平口環境副大臣(左)から表彰を受ける三菱地所レジデンス興野敦郎副社長

 三菱地所レジデンスと三菱地所グループ会社のメックecoライフの低炭素社会に向けた新築マンションの環境配慮の取り組み「soleco」と「マンション家計簿」が、環境省の「平成27年度 地球温暖化防止活動環境大臣賞」を受賞し、12月2日、表彰を受けた。

 同表彰は、環境省が平成10年度から行っているもので、地球温暖化対策を推進するための一環として、地球温暖化防止に顕著な功績のあった個人や団体の活動を顕彰するもの。

 表彰部門は①技術開発・製品化部門②対策技術先進導入部門③対策活動実績・普及部門④環境教育活動部門⑤国際貢献部門-の5つで、平成27年度は173の応募に対して36件が受賞した。

 表彰式に参加した平口洋・環境副大臣は「わが国は13年度比で温暖化ガス排出量を2030年までに26%削減、2080年までに80%削減する目標を掲げている。長期にわたって大幅に削減する取り組みが必要で、国や地方自治体、民間企業、NPOはもちろん、国民一人ひとりができることを実践しなければならない。低炭素社会の構築のためみなさんは模範的な取り組みをされている」と祝辞を述べた。

 「soleco」は高圧一括受電と太陽光発電を組み合わせたハードの取り組みで、「マンション家計簿」は住戸ごとの冷暖房費、ガス、上下水道、家電の電気代、マンションの管理費やその他の費用を見える化したもので、マンション販売現場で累計60,000部を配布したことなどが評価された。

 授賞式に臨んだ三菱地所レジデンス経営企画部長・唐澤眞二氏は、「地道に取り組んできたことが評価されて大変うれしい」と話した。

 同表彰で三菱地所グループが受賞するのは平成16年度に続き2度目。ハウスメーカーではスウェーデンハウス、旭化成ホームズ(2度)、一条工務店、積水ハウス(2度)、東急ホームズ、大和ハウス工業(2度)などが受賞している。

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全受章者

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 同社が「マンション家計簿」を全マンション購入検討者に配布を開始した2013年だった。

 そのとき、記者は「ガソリンから上下水道、生ごみ、食品、酒・たばこ、耐久消費財、旅行・レジャー、医療、交通移動手段などすべての消費財・サービスも含めてCO2の排出量を提供できるようにし、低炭素社会を構築すべきだ」と書いた。当時の「マンション家計簿」には上下水道代やガソリン代は含まれていなかったはずだ。

 ところが、昨年だったか、マンションの販売現場でもらった「マンション家計簿」には上下水道代、マンション管理費、ガソリン代なども加わっており、その進化ぶりに驚いた。今年の「グッドデザイン賞ベスト100」に選ばれたのもうなずける。

 具体的な取り組みでは複層ガラス、節水型便器、エコジョーズ、食洗機(これは一部オプションかもしれないが)などは標準装備しているのではないか。

 今後の課題はやはり生ごみやその他のゴミ、耐久消費財、医療などのサービスを含めたCO2削減の見える化の取り組みだろうと思う。さらに言えば〝三菱地所のマンションを買ったら家計支出が減った、家事労働が少なくなった、みんな健康になった…〟というデータを公表してほしい。

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メックecoライフ・平野一博常務(左)と唐澤氏

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「ディアナコート文京本郷台」完成予想図

 モリモトが近く分譲開始する「ディアナコート文京本郷台」を見学した。デザイン監修がアーキサイトメビウス、インテリアデザインがリエゾン・鬼倉めぐみ氏でで、昨年分譲して人気になった「ディアナコート本郷弓町」と同じだ。文京区では久々の100戸超で、湯島天神がすぐ近くという立地も人気を呼びそうだ。

 物件は、東京メトロ千代田線湯島駅から徒歩2分、都営大江戸線本郷三丁目駅から徒歩8分、文京区湯島3丁目に位置する16階建て全127戸。専有面積は33.91~105.46㎡、価格は未定だが、坪単価は430万円くらいになる模様。竣工予定は平成29年9月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。デザイン監修はアーキサイトメビウス・今井敦氏。施工はフジタ。

 現地は、湯島天満宮のすぐ裏手。なだらかな南下がりの高台立地。建物の外観は、基壇部に天然石を張り巡らし、それより上は白を基調にしたタイル張り、上層の2層はガラス素材を採用。全体的には白と黒のコントラストが美しいマンションだ。

 住戸は南向きと北向きで、33~55㎡以下のコンパクトタイプが30%あるのが特徴。

 モデルルームの仕様レベルが高く、55㎡以上の住戸は床・建具・面材は全て無垢・突板仕上げ。キッチン・洗面、浴室のカウンタートップは天然御影石。サッシは2.3mのハイサッシ、天井高は14階までは2450ミリだが、15階・16階は2650ミリ。

 販売担当者は、「嬉しい悲鳴ですが、この前の土曜、日曜は10:00から、13:30分から、16:30から、19:00からモデルルーム来場者の対応に追われ、1組2時間として8時間くらい話しっぱなし。声が出ない」と話していた。

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 販売事務所は「ディアナコート本郷弓町」と一緒だった。入った途端、あのふかふかのジュータンと天然大理石の壁、カウンターに迎え入れられて、お金持ちになったような気分が再びよみがえった。同社のこれまでの販売事務所設営では間違いなくトップだ。

 モデルルームも抜群の出来だ。きりりとしたデザインが美しく、温かみのあるチェリーの面材が落ち着きを与えてくれる。照明などにたくさん用いられているバカラが全然嫌味ではない。品格がある…と言ってしまえばそれまでなのだが、いったい全体「品格」「品性」とは何かを具体的に表現するのは極めて難しい。実際を見ていただく以外ない。

 坪単価はどうか。担当者にいきなり「坪430万円でどうか」と聞いたら、「まだ正式には決まっていませんが、そんなところに落ち着きそうです」とのことだった。また、別の担当者に聞いたら、「上層階の2層はかなり高くなるので全体では430万円くらいですが、コンパクトタイプは抑え目になるはず」と話した。

 唯一の難点と言えば、道路を挟んだ目の前にラブホテルがあることだ。外観はよくある歓楽街のそれではなく、落ち着いた雰囲気があるのは救いか。

あっぱれ!モリモト 階数を2層分減らし天井高2.7m確保「本郷弓町」(2014/5/23)

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 東京建物は12月1日、先に発表した「Brillia Towers 目黒」の全戸完売プレスリリースの「1億円以上住戸は365戸となり、これまで販売されたマンションのうち最多戸数」の文言のデータを裏付ける注釈「1993年以降に販売された一都三県の物件として最多(2015年10月有限会社MRC調べ)」を、「1993年以降に販売された一都三県の物件(定期借地権付分譲マンションを除く)として最多(2015年10月有限会社MRC調べ)」に変更した。

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 記者は11月26日付の記事「億住戸がもっとも多いのは『目黒』ではなく『広尾ガーデンフォレスト』ではないか」で、「事実は事実として正確を期したい。…『分譲マンション』から定期借地権付きを除くかどうかは見解が異なるかもしれないが、記者は定借も『分譲 マンション』だと解釈している」と書いた。

 今回、同社が裏付け注釈に「(定期借地権付分譲マンションを除く)」を加えたのは正確を期すためのようだ。納得がいく変更だ。

億住戸がもっとも多いのは「目黒」ではなく「広尾ガーデンフォレスト」ではないか(2015/11/26)

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 東京建物が11月16日付で「Brillia Towers 目黒」全661戸が最高倍率43倍、平均4.1倍で完売したというニュースをリリースした。今年4月以降のモデルルーム来場者は約1万組に達し、平均1億1,434万円のマンションがわずか4カ月で完売したというのは前代未聞だ。

 しかし、このリリースが出たとき、記者は「1億円以上住戸は365戸となり、これまで販売されたマンションのうち最多戸数」という文言が引っかかった。そうではないという直観だ。

 その後、ずっとこのことが頭から離れなかった。同社がデータの根拠として挙げたのはMRCの1993年以降の調査だった。

 記者はそれより多いのではと真っ先に考えたのは「広尾ガーデンヒルズ」だった。昭和57年から分譲開始された全1,181戸の規模で、平均単価は350万円くらいだった。30坪で億ションになるので、ひょっとすると億住戸は300戸を超えるのではないかと思った。

 もう一つは、2007年から分譲された定期借地権付きの三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス「広尾ガーデンフォレスト」だ。全630戸で単価は坪533万円。こちらも過半は億ションだったはずだ。

 そこで、MRCと他の民間調査会社、「広尾」の売主の1社である三井不動産に問い合わせた。その結果、三井不動産からは「詳しいデータはなく、担当者が一つ一つ調べた結果、『広尾ガーデンヒルズ』は億住戸が百数十戸しかないが、『広尾ガーデンフォレスト』は400戸以上あるようだ」との回答が得られた。

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 記者は東建のリリースに異議を申し立てるつもりは全くない。「目黒」の驚異的な売れ行きは今後もずっとマンションの歴史のなかに刻み込まれることだろう。

 しかし、事実は事実として正確を期したい。現時点で億住戸がもっとも多い分譲マンションは「Brillia Towers 目黒」ではなくて「広尾ガーデンフォレスト」ではないか。この点についてMRCにも問い合わせた。同社は「『広尾ガーデンフォレスト』は定期借地権付きなので、データから除外している」とのことだった。「分譲マンション」から定期借地権付きを除くかどうかは見解が異なるかもしれないが、記者は定借も「分譲マンション」だと解釈している。

 「広尾ガーデンフォレスト」は分譲開始時に「究極の億ション」と記事にしたが、いまでもそれは変わらないと思う。設備仕様はこのマンションを上回る物件は後にも先にも供給されていない。記者がもっとも好きな億ションは三井不動産「麻布霞町パークマンション」だと思っているが…。

究極の億ション 三井&三菱「広尾ガーデンフォレスト」(2007/2/23)

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 野村不動産は11月24日、「金町六丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」の市街地再開発組合の設立認可を受けて、参加組合員として事業参画すると発表した。

 計画地は、JR常磐線金町駅・京成線京成金町駅前の敷地面積約2,650㎡。建物は21階建て延べ床面積約約25,085㎡。施工は戸田建設。

 同事業は、2006年6月に「金町六丁目3・5番街区市街地再開発準備組合」が設立されてスタート。同社は2008年7月に事業協力者として選定されて以降、本再開発事業に関わってきた。組合設立認可を受け住宅保留床を取得。マンション約180戸を整備する。

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「キッズマンションまなび隊」(「ザ・ステージオ」で)

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植栽枡へ花の植え付けを終えたあとの記念写真

 野村不動産は11 月23日(月・祝)、野村不動産パートナーズと共同して親子向けのワークショップ「キッズマンションまなび隊」を首都圏の8物件で同時開催した。

 「キッズマンションまなび隊」は、同社が分譲したマンションに居住する親子を対象に、子どもたちが住まいに愛着を持ち、気持ちよく暮らすためのルールを考えるきっかけづくりを目的として開催するもの。

 同社が報道陣に公開した「ザ・ステージオ(足立区西新井栄町/550戸)では、小学1~3年生中心の子どもたちは紙芝居でマンション管理業務を学んだあと、共用部分への花の植え付け体験から清掃作業や受水槽の点検・防災倉庫見学などを2時間掛けて行なった。

 イベント後、子どもたちは「ゴミを捨てない」「あと片づけをする」「危ないところへいかない」「挨拶をする」ことなど感想の声を上げた。

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植栽枡にパンジーなどを植えつける子どもたち

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受水槽を見学する参加者

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防災倉庫でナマハゲ(野村不動産パートナーズ)から飲料水の説明を受けるチュータ(子どもたち)

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 子どもたちにとっては理解するにはやや難しすぎたように感じたが、勤労感謝の日にマンションをきれいに保つために働いている人や、飲む水がどこから各家庭に給水されるのかを学ぶのは意義のあることだ。親にとっても、交流するきっかけにもなったのではないか。

 「ザ・ステージオ」が分譲されたのは2005年。価格上昇が顕在化する前で坪単価は180万円だった。その2年後の2007年には隣接地でオリックス不動産が坪単価220~230万円で「レコシティ」を分譲開始した。その翌年、リーマン・ショックに見舞われた。

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「ザ・ステージオ」

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「ルピアージュ天王台」

 ポラスグループの戸建てやマンション事業を展開する中央住宅マインドスクェア事業部は11月19日、同社初の一棟リノベーションマンション「ルピアージュ天王台」の記者見学会をおこなった。バブルの絶頂期、平成2年に竣工した三井住友海上の社宅で、施工は清水建設。PC工法のため躯体はいじられていないが、専有面積は約90㎡、中住戸にはすべてライトコートが付いており、当時の質の高さがうかがわれるマンションだ。6つのプラン提案もいい。

 物件は、JR常磐線天王台駅から徒歩10分、千葉県我孫子市柴崎台3丁目の第一種低層住居専用地域に位置する3階建て全24戸。竣工は平成2年3月。施工は清水建設。三井住友海上の社宅として建設された。第1期(8戸)の専有面積は89.99㎡、価格は2,690万円~3,090万円、坪単価は105万円。リノベの施工は川村工営。入居時期は平成28年3月末。

 14日から販売を開始しており、14、15日の2日間で来場者は約60組。契約・申込は5件。

 現地は、クスノキの街路樹が美しい表通りから少し入った閑静な区画整理事業によって街づくりが進められた住宅街。敷地南側は窓先から約7mあり、6m道路に面している。

 建物は今年6月、6社の入札により同社が取得。PC造のため躯体とサッシは従前のものを使用しているが、設備仕様は同社のマンションブランド〝ルピアコート〟と同じものを採用。食洗機、ソフトクローズ機能付き引き戸は標準装備。断熱材は従前の15ミリ厚から25ミリ厚にしている。

 発表会で挨拶した同社取締役・金児正治氏は「2年前から戸建てだけでなくマンション事業も担当するようになったが、当初掲げた①分譲マンション②再開発事業③複合開発④建て替え⑤リノベーションのうち、複合開発と建て替えを除き動き出してきた。リノベマンションは初めてだが、〝オールポラス〟のプロジェクトだ。販売を自社で行うものその一つだが、当社の組織に横串をいれて、それぞれがクォリティを高められるようにした。モデルルームは6タイプを擁したが、それぞれ別の部門が競い合うように企画を任せた。来年春には全50戸の『田無』も見ていただける」と話した。

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「ホビーブースのある家」(ポラスのリフォーム)

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「素材を味わう家」(ポラス暮し科学研究所)

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廊下はメーターモジュールで段差部分をライティングしている「素材を味わう家」(ポラス暮し科学研究所)

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 いつも通り、単価予想を立てた。最初に考えたのは坪単価100万円だった。駅からの素敵な街路樹を眺め、6つのモデルルームを見学して上方修正した。坪120万円をつける自信はなかった。やはり天井高が2400ミリで、トイレ、バスには段差があること、サッシは単板ガラスだったからだ。

 見学後、105万円という単価を聞いて、同社がこの物件の良さをアピールできれば「3カ月で売れる」という確信を持った。

 従前の建物の基本性能がまず素晴らしい。読者の皆さんは平成2年のマンションの相場などご存じないだろうが、この社宅を分譲していれば間違いなく坪200万円どころか250万円くらいしても売れははずだ。

 居住面積が90㎡で、中住戸にライトコート付き、施工は清水というのは大企業の社宅しかできないレベルの高さだ。廊下幅はメーターモジュールを採用している。今回のリノベはその建物の価値をはるかに高めている。同社はいい物件を仕入れたものだ。目利き力もあると見た。

 天王台というエリアで、これだけの集客、申込みが出来たのは、地域に根ざした事業展開をしてきたからこそだろう。エリアの顧客特性を熟知し、仕入れ、企画、設計、施工、販売までを市場ニーズに合わせて提供できたことが支持を得ているのだ。来場者の91%が我孫子市内からで、物件のある芝崎台からが56%という数字に、地域を知り尽くしていることがうかがわれる。

 販売を担当する同社ソリューション事業部千葉営業部部長・鈴木健一郎氏が「来場者の方から絶妙な値付けと言われた」と話した。これも地域を熟知しているからこそ、目利き力があるからこその言葉だ。

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「カフェ・リビングの家」(住宅資材センター リフォーム部)

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「猫かわいがりの家」(ポラスグランテック)

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 用意されたモデルルームの優劣を自分なりに採点してみた。最初に見た3階の天井高が最大3m近くある「ホビーブースのある家」(ポラスのリフォーム)を100点とした。

 2つ目に見た、これも3階の「素材を味わう家」(ポラス暮し科学研究所)は、水回り部分に段差があるのを逆手にとって、その段差部分のところをライティングする演出を行っていた。さらにオプションだが本物のスギの羽目板を壁に採用していた。とっさに「これが最高」と思い130点とした。

 3つ目の「カフェ・リビングの家」(住宅資材センター リフォーム部)と4つ目の「猫かわいがりの家」(ポラスグランテック)はコンセプトはいいが、記者の好みではない。「猫」は猫のトイレもないし、住居を出入りするところもない。1階で提案すべきだった。よって「猫」は95点、「カフェ」は93点とした。

 5つ目の「mama’sコーナーのある家」(マインドスクウェア事業部マンションDv)は、共働きのファミリーをターゲットにしたプランで、壁にエコカラットを採用し、物干しポールも設置していた。プレゼンを行ったのは2歳のお子さんを抱える西牟田奈津子氏で、これも抜群によかったので、「暮し科学」に次ぐ105点とした。

 最後に見た「モダン和室のある家」(マインドスクェア事業部女性チーム)は、はっきり言えばよく見なかった(質疑応答の時間が迫っているようで、早く見学を終えろというプレッシャーを感じた)。畳コーナーの提案はいいが、キッチンのほぽ中央の壁に洗面、バスに通じる開き戸があったのはいかがなものか。引き戸にできたはずだし、せめてドアは壁と一緒の白にすべきだと思った。なので、こちらは95とする。

 ところがだ。質疑応答で、来場者の一番人気はなんと「モダン和室」で、2番目が「mama’sコーナー」であることを知らされた。記者に見る目がないのか、自信が揺らいできたが、やはり「暮し科学」が最高だ。同社は戸建てがメインだから、段差の部分にライトを当てることなど朝飯前なのだろう。

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「mama’sコーナーのある家」(マインドスクウェア事業部マンションDv)

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「モダン和室のある家」(マインドスクェア事業部女性チーム)

 

 

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 長谷工グループは11月13日、マンションの事業企画から開発推進、設計、施工、販売、インテリア内装、管理までのすべての業務に女性社員が携わる「浦和駒場プロジェクト」を始動したと発表。同時に、プロジェクトの開始に合わせて、「長谷工グループで活躍する女性社員」(“ハセジョ”)を紹介する専用WEBサイト「フレー!フレー!ハセジョ!」を開設する。

 「フレー!フレー!ハセジョ!」サイトでは、「浦和駒場プロジェクト」の各担当セクションで活躍する女性や、建設作業所で活躍する女性工事チーム(“ハセジョ工事チーム”)の取組みなどを紹介する。

 「浦和駒場プロジェクト」は、長谷工コーポレーションが事業主の「ブランシエラ浦和駒場」で、JR京浜東北線浦和駅から徒歩18分、さいたま市浦和区駒場一丁目に位置する7階建て全146戸。売主は同社のほか大成有楽不動産。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。販売開始は2016年2月上旬予定。

 

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13日に行われた旭化成の会見(200人近くの報道陣が詰めかけた)

 横浜傾斜マンション問題で旭化成は11月13日、国土交通省に現時点での調査結果を報告。過去10年の3,040物件のうち調査が完了したのは2,376件で、このうち266件でデータ流用などが行われたことを明らかにした。流用に関わった「現場代理人」は50人以上で、すべてが下請け会社からの出向であり、このうちヒアリングが完了しているのは16人であることが分かった。

 高い専門的技術とコンプライアンスが求められる現場責任者が下請け業者に任せられ、工事を監督すべき建築士による監理がずさんなことが浮き彫りになった。

 この日、杭打ち大手のジャパンパイルが18件のデータ流用が行われていたと発表した。

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 旭化成は国交省に報告書を提出した13日の夕、記者会見を行った。過去10年に施工を行った3,040件のうち当日までに調査を終えたのは2,376件で、このうち266件にデータの流用などが行われたという。データ流用に関わったのは50人以上の同社の下請け会社からの出向社員だった。施工データが存在しない不明物件は118件だった。

 国交省から要請され、優先的に調査した学校、医療・福祉施設の602件は63件でデータの流用などが行われていたことが分かった。

 データ流用が行われた物件については、今後、元請や事業主による建物の安全確認に協力していく。

 今後はデータ流用の有無を確認中の546件については11月24日までに国交省へ報告し、不明の118件についても引き続き調査を継続していく。

 データの流用が行われた背景、動機などについては社内の調査委員会が外部調査委員会の指導や助言に基づいて徹底究明していく。

 データ流用が行われた266件の都道府県別の内訳は東京都51件、神奈川県30件、埼玉県と北海道26件、千葉県23件、愛知県21件。用途別では集合住宅がもっとも多く61件で、都道府県別の内訳は東京都16件、神奈川県12件、埼玉県10件、愛知県8件など。

データ流用に関わった50人以上の「現場代理人」

全て下請けからの出向社員

 会見に臨んだ平居正仁・同社調査委員長は「真相を解明すべく調査中なので、外部調査委員会などへの予見を与えたくない」とデータ流用が行われた背景、原因などについて核心に触れる発言はしなかったが、建設業界の多重下請け構造の暗部が浮き彫りになった会見だった。

 10年間で確認ができた2,376件のうちデータ流用があったのは11.2%に当たる266件だ。これが多いか少ないか判断材料はないが、建物の「安心・安全」に関わる工事で10件に1件以上の割合で〝不正〟があったというのは衝撃的だ。

 同社の報告に対して、石井啓一・国交相は「これほど多くのデータ流用が行われていたことは、極めて遺憾」とコメントした。

 「現場代理人」というのも不可解な存在だ。現場の最高責任者である人が、どうして下請けからの出向社員でいいのか。

 この現場代理人は、国家資格である施工管理技士と思われるが、施工管理技士は建築士や宅建士と異なり、業務上過失・規定違反を行っても法的な罰則規定がない。これも不思議だ。

 また、データ流用に関わった現場代理人からヒアリングが済んでいるのは50人以上のうち16人という数字にも驚いた。30人以上の人が所在不明などでヒアリングができていないという。

 ヒアリングは任意で法的な強制力はないにしろ、現場代理人には自ら進んで調査に応じるという倫理観はないのか。コンプライアンスの意識はないのか。職場を転々と渡り歩いている人なのか。深くかかわっていたのはごく少数のようだが、この人たちがいまも同じ仕事についていると思うと怖い。

 杭打ちデータを流用した理由は、データを計る機器のスイッチを入れ忘れた、雨に濡れてデータが消えてしまった、どこかに紛失したなどという。これまた信じられないお粗末なものだ。そんなミスを犯しても、きちんと報告・連絡・相談されていなかったことも明らかになった。

 このような実態は業界全体で常態化していることもうかがわせた。不具合を未然に防止する重要な任務を課されている設計・施工監理者がきちんとチェックしていない実態が浮かび上がった。

 この点について、平居委員長は「(今回の)監理は元請が行っている。この監理責任についてわれわれはコメントする立場にない」と明言を避けたが、国交省や横浜市からの要請を受けて資料を提出していることを明らかにした。

 横浜傾斜マンションについては、三井住友建設との不協和音も伝わっってきた。

 横浜の傾斜マンションでは、施工会社の三井住友建設が監理も担当しているが、三井住友は先の会見で自らの監理責任を否定した。

 今回の件では6本の基礎ぐいが支持層に未達とされているが、旭化成は「現場担当者は支持層に届いていると思っていると言っている。実際はどうなのか、施主の三井不動産レジデンシャルさんや三井住友建設さんに引き続きボーリング調査をお願いしていく」などと話した。

 なぜ、なぜ、なぜ-約2時間の記者会見で感じたのは「なぜ」ばかりだった。平居氏は何度も真相解明を口にした。闇の多重下請け構造にメスが入れられることを祈るばかりだ。

横浜傾斜マンション問題 どこも〝安全宣言〟を出せないのはなぜか(2015/11/16)

 

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