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〝フレー!フレー! ハセジョ〟(同社ホームページから)

 長谷工コーポレーションと大成有楽不動産が2月下旬に共同で分譲する「ブランシエラ浦和駒場」を見学した。マンションの事業企画から開発推進、設計、施工、販売、インテリア内装、管理まですべての業務に長谷工グループの女性社員が携わっている〝ハセジョプロジェクト〟だ。女性目線を生かした子育て・ファミリー世帯向け提案が随所に盛り込まれているのが特徴だ。

 物件は、JR京浜東北線浦和駅から徒歩18分、または同線北浦和駅から徒歩18分、さいたま市浦和区駒場一丁目に位置する7階建て全146戸。専有面積は68.11~83.51㎡、予定価格は2,900万円台~5,200万円台(最多価格帯3,800万円台)、坪単価は170万円前後の予定。竣工予定は2017年2月末。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。

 現地は、駅からはやや距離があるが、浦和駒場スタジアム、駒場緑地、浦和総合運動場、市立浦和高校などが揃う文教エリアの一角。敷地は「浦和ルーテル学院」の跡地。建物はL字型で、住戸は南向きと西南西向き。プランは約75㎡のものが中心。

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「ブランシエラ浦和駒場」完成予想図

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 見学の主な目的は、モデルルームに女性目線の提案がどこまで盛り込まれているか、どこまで差別化が図られているかを見るためだった。

 モデルルームは約83㎡。なるほど女性の企画だとすぐわかったのは、白を基調にしたシンプルなデザインであることだった。女性だから派手に飾り立てるだろうと考えるのは偏見。

 さすがだと思ったのは、基本プランでは5畳大の洋室となっているものを、約4.9畳大の「ファミリーユーティリティ」と呼ばれる多目的スペースにして提案しているものだった。キッチンと一体して使えるようにしていた。これに近い提案は他社も行っているが、なかなかいい提案だ。

 この提案とセットになっているもので、優れているのは1.2m×1mの下部収納付きのカウンターだ。これは親子が一緒に調理したり、忙しい時に軽いものを食べたりするのに便利なものだ。

 女性社員による商品企画「U’s-style」では、「ドレッサーⅢ」がいい。化粧しやすくするよう鏡の奥行きを違え、取り出しやすい収納棚を設けているものだ。これもなるほどと思った。

 販売を担当する長谷工アーベスト受託販売第三部門プロジェクトマネージャー・西谷美由貴氏は、「ドレッサーは進化形の第三弾。カラーリングも普段より多い流行りの色をそろえました。子ども部屋にマグネットを取り入れたのも提案の一つ。企画の責任者もモデルルームの責任者も女性部長です。販売も女性ばかり5人で対応しています。女性ばかり? もともと女性が中心のチーム。慣れていますから、そんなに男性を意識することはありません」と話した。顔には「女性だからと特別な目で見てほしくない」書いてあった。記者も同感。そんなに特別視しているわけではない。ただ、細かいところに気を配るのは女性のほうが優れているとは思う。

 圧倒的な価格の安さは武器にはなるが、駅から遠いハンディをどう克服するか。〝フレー!フレー! ハセジョ〟。

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手前が「ファミリーユーティリティ」。中央にあるのがカウンター

カテゴリ: 2015年度

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「宮益坂ビルディング」(左が現在、右が完成予想図)

  旭化成不動産レジデンスは2月9日、わが国初の分譲マンションと言われる「宮益坂ビルディング」(渋谷区)の建て替えの着工に向けた準備がほぼ終了したと発表した。

 宮益坂ビルディングは「渋谷ヒカリエ」に隣接する都心の一等地に位置し、区分所有法が制定(1962年・昭和37年)される以前の1953年(昭和28年)に東京都が分譲。わが国の分譲マンションの先駆けとも言える地上11階地下1階建ての建物。2基のエレベーター(当初はエレベーターガールが操作)、セントラル方式による暖房、ビル内の交換手による電話、ダストシュート、メールシュートなど当時の最先端設備を備えた超高級住宅として注目された。

 当初は1階が店舗、2~4階が事務所、5階以上が住宅として分譲されたが、住宅部分の事務所化・賃貸化が進み、近年は区分所有者がほとんど居住していない状況となっていた。

 建物の高経年化に伴い外壁や給排水管などの老朽化が深刻化する中、約25年前から「宮益坂ビルを考える会」などによる建て替えの検討が始まっていたが、合意形成活動の難しさ、借地権や共用部の名義残り問題など複雑な権利関係の整理などのため建替え決議成立までに長い年月を要した。

 2011年に同社が事業協力者に選定され、2012年に建替え決議が成立。今春には権利変換手続き後に解体着手する予定。2019年に竣工予定で、住宅は152戸が予定されている。

 

 

カテゴリ: 2015年度

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「ザ・パークハウス 千代田麹町」完成予想図

 三菱地所レジデンスは2月8日、JR四ツ谷駅から徒歩2分、上智大学キャンパスを借景にしたマンション「ザ・パークハウス 千代田麹町」の記者見学会を行った。12月にモデルルームをオープンして以来、これまで約400件の来場がある。分譲開始は2月中旬で、人気は必至だ。

 物件は、JR中央線四ツ谷駅から徒歩2分、千代田区麹町6丁目に位置する17階建て全77戸(事業協力者住戸18戸含む)。専有面積は41.98~133.42㎡、価格は未定。竣工予定は2017年11月上旬。施工は東急建設。従前敷地は事務所・住宅の複合。

 現地は、四ツ谷駅を降りてすぐの麹町大通りと番町文人通りが交差する角地。麹町通りを挟んだ南側は上智大のキャンパス。徒歩2分には雙葉学園、5分には番町小学校、9分には学習院初等科がある。藤田嗣治、島崎藤村の居住跡もすぐ近くにある。

 建物は等価交換方式で建てられ、地下1階から地上5階までは事務所・店舗、住居は6階以上。メインの南西向きが71㎡以上のファミリー向きで、北東、北西向きは40~50㎡台のコンパクトタイプ。内廊下方式を採用している。

 モデルルームは南西向きの100㎡のタイプ。一部オプション仕様もあるが、建具・面材に大理石・御影石の天然石、突板をふんだんに用いた高級仕上げ。

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ラウンジ

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 さて、問題の坪単価。同社は「未定」としており、四ツ谷駅圏のマンション分譲事例はほとんど皆無で難しいのだが、ズバリ「630万円。アッパーで650万円」と予想した。外れたら謝るほかないのだが、そんなに外れていないという自信はある。もちろん南西向きの高層階のプランは700万円、800万円になっても不思議ではない。

 借景が素晴らしいマンションは、つい最近、約20haの日立製作所中央研究所の森に隣接した三菱地所レジデンスの「国分寺」を見たばかりだが、今回は約4.7haの上智大四谷キャンパスだ。「国分寺」と比べれば面積・緑量は少ないが、千代田区民は調査・研究目的なら図書館の利用も可能だ。名門校もそろっており、文京エリアともいえる立地条件だ。

 プランもいい。南西向きの住戸は間口が約8~10mのワイドスパンだ。コンパクトタイプも間口が広く、採光も取れている。モデルルームの3m×1mのオープンシステムキッチンと突板キャビネットが最高に素晴らしい。システムキッチンに飾られていたカサブランカは造花だったが、リビングテーブルに置かれていた「GLENMORANGIE」のスコッチは173年ものだった。と、書いたのだが、いくら何でも173年ものヴィンテージウイスキーがあるはずがないと思い調べたら、173年前、つまり1843年に生まれたのが「GLENMORANGIE」社ということだった。

 来場者の数からして一挙販売もあるかもしれないと思ったが、2期以上に期分けして分譲するそうだ。

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エントランス

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「リシャール横濱元町」完成予想図

 リノベーションマンション最大手のインテリックスの自社分譲マンション「リシャール横濱元町」を見学した。先に書いた「クレヴィア豊洲」同様、実際に見学しないといけないことをつくづく感じた。なかなかいいマンションだ。

 物件は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩5分、又はJR京浜東北線・根岸線石川町駅から徒歩7分、横浜市中区元町3丁目に位置する地下1階地上8階建て全23戸。専有面積は24.51~53.89㎡、価格は2,497万~5,428万円、坪単価は330万円。竣工予定は平成28年4月末。基本設計はインテリックス空間設計。全体設計・監理は朝倉崇夫都市建築設計事務所、ファサードデザインはレーモンド設計事務所。施工は風越建設。

 1月上旬から分譲を開始しており、これまで約100組の来場があり、12戸が契約・申し込み済み。

 現地は横濱元町商店街の元町通りと元町仲通りの2方に面しており、建物ファサードデザインがレーモンド設計事務所というのが特徴。地下1階から3階までが店舗・事務所で、住戸は4階からというコンパクトマンション。

 住戸プランは、引き戸を多用して居住スペースを有効に使っているほか、お洒落な洗面室を採用するなど、単身者・DINKSを意識したカラーデザインとなっている。

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モデルルーム

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 同社の自社分譲マンションは「奥沢」「田園調布」「碑文谷」に次ぐ4棟目だ。記者は第一弾の「奥沢」を見学しており、今回は商品企画などに進歩はあるのか、「横濱元町」「レーモンド設計事務所」の看板に偽りがないかどうか確認をするために見学した。

 驚いたのは立地だ。見学する前に現地の地図を見たのだが、地図が小さく、建物は高速道路沿いに見えた。内心、最悪の立地かもしれないと思ったのだが、そうではなかった。高速道路から一歩入った「元町仲通り」の中心地だった。販売担当者に聞いたら、「元町アドレス」のマンション分譲は20年以上も遡らないとないという。

 さらに驚いたのは、元町商店街は地区計画で建築物の外観デザイン、店舗の用途、営業時間などの制限を設け、良好な環境を保全していることだ。いかがわしい店舗などは一切建てられない。自らの街は自らでつくる地区計画の見本のようなエリアにこのマンションは建つ。

 商品企画もいい。コンパクトマンションであるために居住スペースは限られているが、トイレを含めたソフトクローズ機能付きの引き戸の多用やお洒落なデザインの洗面室が採用されていた。

 レーモンド設計といっても一般の方は知らない人も多いだろうが、あの帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトとともに来日したアントニン・レーモンドのDNAを継承する設計事務所だ。端正なガラスデザインファサードが印象的だ。

 「単価が高い」という印象を受ける人もいるかもしれないが、それは「元町」を知らない人だ。販売担当者によると「価格が高いという方はほとんどいない。来場者の多くは元町エリアをよく知っている人」とのことだった。

 販売好調に味を占めて自社マンション事業を強化するのではないかと思ったが、同社はそれを否定した。これは正解。やみくもに拡大してもいいことはない。立地を厳選して、年間1棟くらいの供給がいいペースではないか。

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現地(合成写真)

インテリックス 同社初の分譲マンション「リシャール奥沢」出足好調(2011/12/6)

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「クレヴィア豊洲」完成予想図

 伊藤忠都市開発(事業比率65%)・セコムホームライフ(同30%)・三信住建(同5%)が2月下旬に分譲する「クレヴィア豊洲」を見学した。マンション業界初のオキュラスリフトを活用した体験型マンションギャラリーが話題となっているが、記者はコストパフォーマンスが高いマンションとして評価したい。

 物件は、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩11分、江東区東雲1丁目に位置する14階建て133戸。専有面積は56.37~83.44㎡、価格は未定だが坪単価は285万円前後の予定。竣工予定は2017年2月下旬。設計・施工は大末建設。

 現地は、豊洲駅と東雲駅のほぼ中間で、目の前に24時間営業のイオン東雲店があり、その背後に東雲のタワーマンション群がある。

 建物は全戸南向きで、ユーティリティシンク、食洗機、ディスポーザ、バックカウンター・吊戸棚、ミストサウナ、セコム・セキュリティ収納庫などが標準装備。メインの間取りは70㎡の3LDKだが、間口は6300ミリ以上。二重床・二重天井。

 マンションギャラリーでは、世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」が出迎えてくれるほか、オリジナルユニットセレクトシステム「TSUKURIE(作る+家)」によるプランセレクト、最新の3DヘッドマウントディスプレイOculus Rift(オキュラスリフト)を活用した体感型バーチャルモデルルームなどが用意されているのも特徴。

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 体感型マンションギャラリーについてはプレスリリースを参照していただきたい。記者はマンションのプレスリリースをそのまま記事にすることはほとんどない。記者の役割は、商品を提供する企業と消費者をつなぐことで、企業の意図とはまた違った視点、つまり消費者の視点が欠かせないと思っている。

 その観点からいえば、プレスリリースはあくまでプレス向きに発信するもので、直接消費者にアピールするものではない。どれだけ巧みな宣伝をしようが、それをコピー&ペーストして記事にしようが、肝心の商品企画が劣っていれば消費者の心をとらえることはできない。商品の良し悪しは現場に足を運ばないとわからない。

 今回の場合でいえば、285万円前後の坪単価と設備仕様レベルを秤にかけ、極めてコストパフォーマンスが高いことを発見した。商品価値が高いからこそ、世界初の体験型マンションギャラリーが生きてくる。

 記者は個人的には湾岸が好きになれないのだが、今回のマンションは若年層には受けるのではないか。通学区の有明小・中学連携も人気があるそうだ。豊洲駅のマンション相場は坪300万円をはるかに突破しており、これから分譲されるタワーマンションは400万円を超えるのは間違いない。

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世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」

「クレヴィア豊洲」のニュースリリース

 

 

 

カテゴリ: 2015年度

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「ザ・パークハウス桜坂サンリヤン」完成予想図

 三菱地所レジデンスと西日本鉄道は2月2日、福岡市中央区桜坂において開発を進めている「ザ・パークハウス桜坂サンリヤン」のモデルルームを2月6日(土)にグランドオープンすると発表した。

 同物件は、両社による九州初の共同プロジェクトで、福岡市地下鉄七隈線桜坂駅から徒歩3分、約28万㎡の森が広がる南公園に隣接する全322戸の大規模マンション。福岡市「南公園」に隣接し、単一物件として中央区最大となる13,000㎡超の敷地にて、大規模物件ならではの建物空間・屋外空間を活用し、多彩な共用施設を配置する。

 また、「都心で森と暮らす」という価値創出のために、南公園の森から連続する自然林を1,600㎡以上保存するのに加え、新たに樹木を植え再生する緑地を含めて敷地の40%以上となる緑地率を確保。生物多様性に関する外部機関認証「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)集合住宅版」を九州で初めて取得した。

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 三菱地所レジデンスの公園隣接マンションについては先日、約20haもの日立製作所中央研究所に隣接する「ザ・パークハウス国分寺緑邸」の記事を書いたが、今度は約28haの公園に隣接するという。

 西鉄の戸建てとマンションを10数年前に見学して、そのレベルの高いのに驚いたことがあるが、最近の九州圏のマンション市場は全く分からない。

 関係者によると福岡エリアはこの1年で都心供給が激増しており、今後予定の急激な供給増も見込まれているようだ。今回の322戸という戸数は、東京だと1,000戸くらいを供給する市場インパクトがあるようだ。販売単価は福岡の高額物件としての200~250万円くらいになるという。

 相当力が入っているマンションのようだ。売れ行きがどうなるか。長崎の市街地で坪単価180万円のマンションが売れているという話を同業の記者から最近聞いた。

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「ブランズシティ久が原」完成予想図

 東急不動産が2月下旬に分譲する「ブランズシティ久が原」を見学した。久が原駅と鵜の木駅のほぼ中間に位置する大規模マンションで、ランドスケープデザインが優れており、全体として設備仕様レベルが高いのが特徴だ。

 物件は、東急池上線久が原駅から徒歩4分、または東急多摩川線鵜の木駅から徒歩5分、大田区鵜の木一丁目に位置する12階建て全278戸の規模。専有面積は56.40~94.83㎡、価格は未定だが坪単価は320~330万円くらいになる模様。竣工予定は平成29年1月下旬。施工は大豊建設。設計・監理はデザインネットワークス。

 現地は、久が原駅からだと駅前の商店街を抜けた環八通りに面した一角。敷地面積は約8,400㎡。敷地全体を提供公園や「オークプロムナード」など緑で囲い、敷地中央には「ディライトガーデン」を配し、緩やかな傾斜を生かしせせらぎも設ける。既存樹の一部も残している。駐輪場の屋根の緑化も施している。

 建物はコの字型に配棟。外壁の一部にはハンドメイドタイルを貼り、ガラス手すりには和紙の文様が施されている。

 住戸プランの特徴は、全戸にマルチストレージを設置しているほか、キッチン・トイレ・洗面のカウンタートップは御影石。このほかユーティリティシンク、ディスポーザー、食洗機、ハンス・グローエの水栓などが標準装備。

 来場者の声としては、設備仕様についての評価が高いという。

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「ディライトガーデン」

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 現段階では価格が未定なので何とも言えないが、坪単価は320万~330万円くらいに収まると見た。仮にこの単価であれば、城南エリアでも駅近物件はことごとく坪300万円台の後半から400万円を突破してきている現状を考えると、環八に面しているのは割引だが割安感がある。

 ランドスケープデザインがよく、設備仕様レベルも高い。完成すれば素晴らしいものに仕上がるのではないか。パンフレットには日建ハウジングシステムの担当者が登場し、外構などについて語っているが、樹木移植工法に石勝エクステリアの「TPM工法」が採用されているので、日建がプランを担当し、石勝が施工したと思われる。

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「オークプロムナード」

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 このマンションについては、近隣住民の反対運動がマスコミに報道され、大田区が建築物の絶対高さ規制を検討中ということもありいろいろ論議もされているようだ。

 「緑を守れ」という運動は理解できる。しかし、企業も生き延びるためには事業活動を継続して行わなければならず、当然に産廃やCO2排出、環境悪化も伴う。だからこそ各デベロッパーは環境保全、生物多様性、CO2削減に取り組んでいる。個別の事案ではなく、トータルとしてデベロッパーを評価してほしい。

 絶対高さ規制については、区が昨年7月30日に開催した都市計画審議会で論議が紛糾し、継続審議することを決定。当初予定していた「平成27年度決定・告示予定」は延期となり、来年度以降に持ち越された。当初の計画通りだと254棟が既存不適格になることが区から報告されている。

 小西恭一・都市計画審議会会長はその日の会合で、「本日、18名の内11名出席ということで定足数を満たし、開会していただいたわけですが、専門的な見地から、都市計画の見地から本制度についてさまざまなご指摘、ご意見を伺って、専門的な内容を深めていくという審議会の本来の役割を発揮していただくためには、学識経験の皆様が4名ご欠席という状況は、私ども準備する側の立場といたしまして、非常に不十分な状況」と述べている。

 絶対高さ規制には記者は反対で、これまでも何度も触れてきたのであまり書かないが、次の区の規制の目的が理解できない。

 「街並みの急激な変化及び高い建物が建つと、日影、風害、眺望とか、圧迫感などいろいろな住環境への影響が考えられます。そうした中で、紛争を未然に防ぐという観点で、各地域においてあらかじめ絶対高さが示されることにより…制限される建築物の高さをイメージしていくことが容易になります。そういったことから、周辺住民間で共有することで…町並み、景観の保持、住環境の悪化を防ぐ」

 高さ規制を強化すればマンション紛争が少なくなるのか、そんなデータがあるなら示してほしい。高い建築物がダメというのであれば、どうして街のど真ん中のスカイツリーや東京タワー、五重塔がよくて、山上の仏像も許されるのか。

 規制をかけなくても建蔽率・容積率、斜線制限、日影規制などによりおのずと建物の絶対高さは決まってくるし、地区計画でも対応できる。

 絶対高さ規制は間違いなくマンションの居住性を低くし、景観も悪化させると思う。今回の同社のマンションでも総合設計制度を弾力的に運用すれば公開空地も生まれ、環境保全や地域のコミュニティにも貢献できると思うが、総合設計制度はどんどんハードルが高くなっている。

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和のテイストを盛り込んだラウンジ

カテゴリ: 2015年度

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「ザ・パークハウス 国分寺緑邸」完成予想図

 三菱地所レジデンスが分譲中の「ザ・パークハウス 国分寺緑邸」を見学した。約20.7haの「日立製作所 中央研究所」の森に隣接し、その借景が眺められる希少物件で、生物多様性の保全に配慮したマンションで、第1期販売も好調なスタートを切った。

 物件は、JR中央線国分寺駅北口から徒歩4分、国分寺市本町4丁目に位置する8階建て全82戸。専有面積は56.38~93.49㎡。現在分譲中の住戸(9戸)の価格は6,128万~1憶2,480万円。坪単価は350~360万円。竣工予定は2016年10月中旬。施工は南海辰村建設。デザイン監修は南條設計室(南條洋雄氏)。

 第1期45戸が1月24日までに分譲され、そのうち36戸に申し込みが入った。億ション4戸のうち3戸に申し込みが入ったように、価格の高い住戸の人気が高いという。

 敷地は、約20.7haのうち約45%が緑地を占める日立製作所中央研究所に隣接。日立製作所の役員用社宅跡地。

 研究所の森は「野川」の源流にもなっており、この環境を生かすため、三菱地所レジデンスが2015年2月に始動した生物多様性保全の取り組み「BIO NET INITIATIVE(ビオネットイニシアチブ)」の一環として、ランドスケープデザインに力を入れているのが大きな特徴だ。

 敷地南側の道路沿いの植栽帯「万葉の路」には「万葉集」に歌われた植物を和歌も添えて配置。敷地内の舗道は透水性とし、雨水を一時的に溜め、土に浸透させる「レインガーデン」を設ける。全居住者が隣接する森を享受できるようエントランスからホール-ラウンジ-フォレストテラスがほほ直線で、隣接の森の借景も眺められるようにする。

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◇       ◆     ◇

 共用施設・設備仕様レベルが高いのも特徴の一つだ。エレベータは3基で、エントランスホールには水琴窟(すいきんくつ)を設置する。各住戸はディスポーザー、食洗機、ミストサウナのほかキッチン御影石カウンター、洗面化粧台御影石カウンター、玄関御影石などが標準装備。オプション仕様だが93㎡のモデルルームタイプの出来が素晴らしい。売れるのも当然だろう。

 水琴窟をご存じない方もいるかもしれないので、少し説明しよう。水琴窟とは、「日本庭園の装飾の一つで、手水鉢の近くの地中に作りだした空洞の中に水滴を落下させ、その際に発せられる音を反響させ、手水鉢の排水を処理する機能をもつ」(ウィキペディア)仕掛けだ。

 仕掛けによって音色は様々だが、「キーン、コーン、カーン」というのが基本。立ち去るのが惜しくなるような美しい澄んだ音を出す。

 昔は、民家の離れのトイレにもよく用いられていた。今では寺や旅館・料亭、ホテルなどでは見かけるが、大手デベロッパーがマンションに設置したのは見たことがない。

 これほど商品企画に力を入れているのは、国分寺駅北口の再開発マンション、住友不動産「シティタワー国分寺 ザ・ツイン」(587戸)や南口の野村不動産「プラウド国分寺」(125戸)を意識しているからだと判断した。住友「国分寺」は坪400万円をはるかに突破し、420~430万円、ひょっとすると450万円くらいになるのではと見ている。野村は三菱地所レジより少し安くなるはずだ。

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ラウンジ

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 先日は、約50haの赤坂御用地の正門前に位置する住友不動産のマンションを見学したが、今回は規模こそ4分の1だが、国分寺崖線の段丘上にある森に隣接するという、これまたすごいマンションだ。森にはオオタカも生息するそうだ。

 森は立ち入り禁止であることは三菱地所レジデンス関係者から聞いていたが、ものは試し、当たって砕けろ、正門にある守衛所で単刀直入に「森を見せていただけないか」と頼んだ。

 やはりダメだった。日立グループの会社でも見学不可という。聞いたところでは、年2回の公開日は天候などにもよるが、多いときは1万人くらいが訪れるそうだ。

 どのような森か、日立製作所のホームページから引用する。

 「中央研究所の創設は、昭和17年にさかのぼります。…ここは、奈良時代に 聖武天皇が全国に建立した国分寺の一つ、武蔵国分寺の旧地に当たります。…

 この由緒ある地に研究所を創設するに際しましては、小平浪平創業社長の『よい立ち木は切らずによけて建てよ』という意志を受け、構内の樹木は極力守られました。その精神は現在も継承され、今日見る武蔵野の面影をとどめた美しい研究環境が保持・整備されてきました。 春夏秋冬、季節の移ろいのみごとさは、研究者達の心をなごませ、またそれは人と自然の一体感を生み、科学する心を育んできました。

…樹齢百年余の欅やヒマラヤ杉の大木。構内には約120種2万7千本の樹木が茂っていますが、中には化石期の植物といわれるメタセコイアなど珍しい植物もあります。南側の大池は、昭和33年に完成したものです。この池は、ハケと呼ばれる湧水を集めて流れる野川の源流の一つにあたり、大池も構内数ヶ所の湧水を利用して湿地に造られました。 池の白鳥、マガモをはじめ、林に群れる野鳥は、カワセミ、ヒヨドリ、カルガモなど40種を越えます」

 さすが日立だ。20haというのは約16haの日比谷公園より広く、これより広い緑がある敷地は明治神宮などの宗教法人か大学のキャンパス以外にないはずだ。何と中央研究所など同社の6事業所が「生物多様性保全につながる企業のみどり100選」に選ばれている。

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モデルルーム

 

カテゴリ: 2015年度

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「横浜MIDベース タワーレジデンス」完成予想図

 横浜市住宅供給公社が2月中旬~下旬に分譲する「横浜MIDベース タワーレジデンス」を見学した。商業・保育所・診療所・有料老人ホーム・地域交流施設を併設した複合大規模開発で、鹿島建設の免震・SI工法を採用。商品企画レベルが高く、申し込みが殺到しそうだ。資料請求は3,000件に達している。

 物件は、横浜市営地下鉄ブルーライン高島町駅から徒歩3分(京浜東北・根岸線横浜駅から徒歩13分)、横浜市西区花咲町6丁目に位置する18階建て全199戸(他に老人ホーム定員100名予定、保育所、診療所、物販店舗)。専有面積は56.73~87.70㎡、価格は未定。竣工予定は平成29年11月下旬。設計は鹿島建設、施工は鹿島・紅梅組建設工事共同企業体。販売代理は野村不動産アーバンネット。従前はJTの施設。

 現地の最寄り駅は高島駅だが、横浜駅、桜木町駅、みなとみらい駅も徒歩圏にあり、建物は鹿島の免震・SI工法を採用し、商業施設や保育所、有料老人ホーム、地域交流施設などが併設される複合開発であるのが最大の特徴。

 商品企画レベルも高く、「CASBEE横浜」Aランクを取得。長期優良住宅の認定を受ける予定だ。住戸は4階以上で、内廊下方式を採用。全18タイプ。フィオレストーンキッチンカウンター、グローエ水栓、食洗機、吊戸棚、トイレドア幅75センチなどが標準装備。

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 横浜公社のマンションといえば、最近では「横浜ポートサイド」「マークワンタワー長津田」が忘れられない。別掲の記事を参照していただきたいが、大手デベロッパーが供給するマンションとそん色ないどころか、ユニバーサルデザインなどは民間をしのぐレベルの高さだった。

 今回も同様だ。モデルルームは柱・梁型がややあったのが気にはなったが、折り上げ天井にするなどうまく処理していた。

 面白い取り組みでは、5階の屋上コミュニティ広場に「屋上養蜂」を行うことだ。年間30~50キログラムを採取し、地域交流の場でお年寄りや子どもたちが食べるのだそうだ。

 養蜂を取り巻く環境は生態系の崩壊などにより悪化の一途をたどっており、関係者は危機感を募らせている。ミツバチはどこに花を求めるのか心配だが、横浜のど真ん中で養蜂を行うというのがうれしいではないか。

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 さて、肝心の価格。坪単価は最低で300万円、高値追及するなら350万円と見たが、公社は極力価格を抑えると読んだ。320万円くらいでないか。

 三井デザインテックの遠藤瑠衣氏がコーディネートしている東南角の10~18階の87㎡のタイプは、億ション(坪400万円として)となりそうだ。「横浜ポートサイド」では4戸が億ションだった。

 公社が億ションなどと書くと批判される向きもあるかもしれないが、そういうプレッシャーをかけるからつまらない当たり障りのないプランになる。みなとみらいエリアは坪400万円をはるかに突破しているではないか。安売りは横浜市民のためにならない。地域のポテンシャルを高める役割も横浜公社は担っている。

 首都圏で分譲事業を継続して行っているのは横浜公社と川崎公社だけになってしまったが、これからも民間とは一味違った質の高いマンションを供給してほしい。

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87㎡のモデルルーム

「横浜ポートサイド」の再現なるか 横浜公社「マークワンタワー長津田」(2011/7/22)

横浜公社が全国初の億ション その英断に拍手喝采(2007/11/2)

カテゴリ: 2015年度

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「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」完成予想図

 住友不動産が分譲中の「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」を見学した。業界初の赤坂御用地隣接マンションだ。

 物件は、JR中央線四ツ谷駅から徒歩10分、信濃町駅から徒歩9分、新宿区南元町の第一種住居地域・第二種住居地域に位置する7階・地下2階建て全139戸。専有面積は55.84~154.87㎡。2期(戸数未定)の価格は未定。坪単価はA棟、B棟が600万円以上となり、未供給のC棟はそれを下回りそうだ。竣工予定は平成28年10月中旬。設計・施工は西松建設。

 現地は、四ツ谷駅と信濃町駅のほぼ中間。四ツ谷駅からだと、左手に若葉東公園、迎賓館正門を見つつ、右手の学習院初等科-みなみもと町公園を抜けたT字路の角。対面には東宮御所正門警備派出所がある。

 建物は、御用地の森に面したA棟、みなみもと町公園に面したB棟、北西向きのC棟の3棟構成で、A棟は前面道路の形状にそうような緩やかなカーブを描く雁行設計。総戸数の半数以上はA棟が占める。

 モデルルームはA棟の81㎡。バルコニーの奥行きは約3m。御用地の森が眺められる(東宮御所そのものは見えない配慮もされている)。隣戸との壁はコンクリート壁でほぼ完ぺきにプライバシーが保たれるようになっている。設備仕様は同社の他の〝ガーデンヒルズ〟と同様、最高級仕様。

 昨年12月に第1期34戸が分譲され、A棟の3階前後が人気になっているという。最上階の5戸はプレミアム仕様で、スカイルーフテラス付き。

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鳥の目線からしたら間違いなくこのように見える

◇       ◆     ◇

 すごいマンションだ。皇居が見渡せる三菱地所レジデンスの「千鳥ヶ淵」もすごかったが、こちらはほぼ正面に東宮御所の正門があり、こんもりとした御用地の森が眼前に広がる。よくぞ建ったと思った。従前は公立学校の共済組合の建物だったそうだ。

 通りの安鎮坂には街路樹のユリノキ、トチノキなどの巨木がそびえる。車も人通りも少なく、信じられないほど静か。

 「千鳥ヶ淵」では〝唯一無二〟の見出しを付けたが、赤坂御用地に面した分譲マンションもおそらく初だ。青山通り沿いにはひょっとしたらマンションはあるかもしれないが、御用地は北側だ。御用地を東側に見る外苑東通り、西側に見る外堀通りにはマンションはない。

 この立地条件に驚き、記者の相場観は壊れた磁石のように右に左に振れた。普通なら坪500万円だろうが、そんな価格では失礼だとも思った。A棟の81㎡のタイプで約14,000万円(坪600万円)と聞いて納得もした。最上階は坪1,000万円くらいになるのではないか。

 現地周辺のマンションの供給事例では、2011年分譲の大京のマンションがある。これもレベルは高かった。

 参考までに同社のパンフレットから「ロイヤルグリーンベルト」を紹介する。迎賓館が11ha、赤坂御用地が50ha、神宮外苑が27ha。これに隣接・近接する公園や明治記念館も含めれば、広さが約115haの皇居に匹敵する。

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7階相当からの眺望

圧倒的人気呼ぶか 大京「ライオンズ外苑の杜」(2011/7/11)

 

 

カテゴリ: 2015年度
 

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