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山根理事長

 マンション管理業協会(管理協)は12月10日、マンションライフを豊かにしていく居住者や管理組合の様々な工夫や活動を応援するマンションライフ総合支援キャンペーンを27年1月14日から開始すると発表した。

 より良い管理やコミュニティ活動などを紹介するサイト「マンションのWa」を立ち上げる。

 マンション生活で遭遇した感動的な体験や管理・コミュニティの重要性を考えさせる体験「マンションいい話」を管理組合や居住者から募集し、顕彰するコンテストを実施する予定。

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 管理協は10日、恒例の年末記者懇親会を行ったが、「マンションのWa」を立ち上げた狙いは、冒頭に挨拶した山根弘美理事長の言葉にすべて込められていた。

 山根理事長は「先日の大橋先生のお話にあったように〝管理業が分かりづらい〟実態が明らかになった。これは我々の責任。管理業をよく知っている居住者の方々は満足度が高く、より高次の管理を求めている。管理業を分かっていただける、プレゼンスを高める努力をしないといけないし、世間に対してもプレゼンスを高める活動を来年は行っていく」と挨拶した。

 「大橋先生のお話」は別掲の記事を参照していただきたい。

将来展望に明かり灯る「マンション管理業の実態調査」報告 マンション管理協(2014/11/27)

カテゴリ: 2014年度

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「ザ・パークハウス追浜」(右下は駐輪場の屋根緑化)

 三菱地所レジデンスは12月9日、「ザ・パークハウス追浜」の全棟が完成したのに伴い完成披露内覧会を行なった。ランドスケープデザインが素晴らしいマンションで、現在分譲中の住戸の坪単価は120~130万円。土地代がただでも建たない安さだ。

 物件は、京浜急行線追浜駅から徒歩10分、横須賀市追浜東町2丁目に位置する第一街区(A・B棟)・第二街区(C・D棟)・第三街区(E棟)の7階建て709戸の規模。専有面積は71.40~95.39㎡。企画・建築・設計・監理は安宅設計。開発設計・監理はクレアリア。施工は第一街区が三井住友建設、第二・三街区がフジタ、開発土木・エレベータタワーがフジタ・大豊建設。

 2011年10月から第一街区のA棟(119戸)B棟(159戸)を分譲開始。2012年9月に建物は完成。引き続いて2013年3月から第二街区のC棟(128戸)D棟(207戸)を分譲開始。2014年1月にC棟が完成。同年6月にD棟が完成。同年7月から第三街区のE棟(96戸)を分譲開始。同年10月にE棟が完成。

 これまでに709戸のうちA、B、C棟の全戸を含め664戸が完売・申し込み済み。E棟は12月18日から入居が始まる。

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駐車場の上を緑化した中庭の庭園

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 同社は分譲開始時にも見学会を行なっているので、そのときの記事を参照していただきたい。

 完成した現地を見学してランドスケープデザインが優れているのに感心した。中庭に149台分の駐車場を設置しているのだが、その上約1,700㎡を緑化し庭園としていた。また、駐車場の壁面緑化をはじめ駐輪場や管理棟の屋根・屋上も緑化を図っている。 サクラ、メタセコイア、シラカシなどの樹木も成木を植えており、入居段階から街並みを整えている。

 さて、売れ行き。追浜では同社のほか総合地所も総戸数420戸の「ルネ追浜」をほぼ同時期に分譲開始しており、双方で約1,130戸の戸数になる。常識的に考えてこのエリアの年間の需要量は200戸多くても250戸くらいが限度だろうと思っていたので、大健闘だろうと思う。

 単価的にもここにきて相当の割安感がでてきた。完成したばかりのE棟は坪単価120万円だ。他の住棟が海や富士山、中庭など眺望がいいのに対して、E棟は南向きだが眺望が劣るので低い単価設定になっている。これから分譲されるマンションで、この単価より低い物件は首都圏では皆無だろう。D棟は残りわずかだが、単価は130万円。こちらは海の眺望が期待できるのでやや高い単価設定になっているようだ。

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横須賀市の公認キャラクター「スカリン」も応援に駆け付けた

全709戸の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス追浜」 先行工区の278戸を分譲開始へ(2011/7/28)

カテゴリ: 2014年度

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「ウェリス南流山」完成予想図

 NTT都市開発(事業比率55%)、大成有楽不動産(同40%)、長谷工コーポレーション(同5%)3社共同のマンション「ウェリス南流山(PROJECT D.N.A マンション街区)」(345戸)を見学した。7月の分譲開始からこれまで182戸を分譲済み。売れ行きは順調に推移している。

 物件は、つくばエクスプレス線・JR武蔵野線南流山駅から徒歩8分、流山都市計画事業木地区一体型特定土地区画整理事業地内に位置する14階建て全345戸。専有面積は70.15²~91.97㎡、現在分譲中の住戸の最多価格帯は3,500万円台。坪単価は170万円。街並監修は南條設計室。竣工予定は平成27年8月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は住友不動産販売。

 現地は約68.3haの区画整理事業地内の一角で、NTT都市開発が分譲することになっている分譲戸建て102区画との複合開発。戸建て街区にはマンションとの交流ができるクラブハウスを建設し、保育園を誘致する予定。

 敷地に隣接して大型スーパー、ホームセンター、家電量販店が出展予定。小・中学校は徒歩1~4分。流山市が行っている駅前送迎保育ステーションも利用できる。

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 売れ行きが気になっていた物件だ。つくばエクスプレス線では、三郷中央駅や流山おおたかの森駅、柏の葉キャンパスでは多くのマンションがこれまでも分譲されてきたが、この南流山駅圏ではほとんど見るべきものが供給されてこなかった。

 現地は、千葉県住宅供給公社がバブル崩壊の影響を受けて財政破たんしたのに伴って千葉県が肩代わりして区画整理事業を行ってきたもので、柏の葉や流山おおたかの森などと比べ駅からやや距離があったため開発が遅れていたが、ようやくマンションなどが建設されることになった。

 坪単価170万円というのはどんぴしゃり。もう少し着工が遅れていたらこの単価ではできないはずだ。おおたかの森とは単価差にして20万円はあり、その分価格が安く、広い住戸が買えるのが評価されているという。月に30戸のペースだから販売は極めて順調のようだ。

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 東京建物が来年のゴールデンウィークに分譲を開始するJR目黒駅前の再開発ツインタワーマンションはいったいいくらになるか-東京建物と東京建物不動産販売は12月3日、恒例の記者懇親会を開いた。記者の最大の関心事は「目黒」の坪単価がいくらになるかだったが、関係者は口をつぐみ言質を与えなかった。記者はアッパーで530万円くらいと見ているが、帰り際、何と業界紙の社長から「坪600万円で食事を賭けよう」と挑発された。賭けに勝ったためしはないが、ここで降りたら記者の沽券に係わる。賭けに乗った。坪600万円はありえないと思うが…。自信がなくなってきた。

 このマンションの単価予想は別掲の記事を参照していただきたい。同社などが今年8月に起工式を行ったときに書いたもので、「記者がはじき出した坪単価は最低でも500万円だ。550万円と聞いても驚かない。さすがに600万円はないと判断した」とした。当時、坪単価について触れたジャーナリストや業界紙はないはずだ。

 懇親会で記者は住宅担当の柴山久雄専務や花田務執行役員に正攻法では正解を引き出せないと判断し、からめ手から攻めた。しかし、両氏はにやにや笑うのみで一切ヒントになりそうな言葉は口にしなかった。

 ところがだ。会が終わりになるころ、ある不動産ジャーナリストは「俺はもともと550万円と読んでいた」と確信的に話した。そして、冒頭の業界紙社長の挑発だった。柴山氏か花田氏かあるいは別の幹部がリークしたのか。謎だ。

 資料請求受付から1週間で約7,000件に達しているというから、反響はものすごい。同社は八丁堀駅前の「Brilliaザタワー東京」も分譲する。「目黒」と「東京」で旋風を巻き起こすかもしれない。賭けに勝ったら最高級の酒を注文しよう。負けたら居酒屋で済まそう。

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 懇親会で東京建物・佐久間一社長も種橋牧夫社長も業績や不動産市況などについては全然触れなかった。

 佐久間氏は、ローレンス・クラウス著「宇宙が始まる前には何があったのか?」と、日本製紙の石巻工場が震災から操業再開までのドキュメンタリードラマ「紙つなげ!」しか話さなかったし、種橋氏は来年の干支「乙未(きのとひつじ)」について薀蓄を披露しただけだった。

東京建物 目黒駅前の再開発マンション坪単価は500万円超か(2014/8/22)

 

 

 

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「パークコート渋谷大山町ザプラネ」完成予想図

 三井不動産レジデンシャル(事業比率50%)と大林新星和不動産(同)JVマンション「パークコート渋谷大山町ザプラネ」を見学した。供給事例がほとんどない「渋谷区大山町」の第二種低層住居専用地域に位置する大規模マンションで、坪単価は470万円。アッパーミドル・富裕層の人気を集めるか。

 物件は、東京メトロ千代田線・小田急小田原線代々木上原駅から徒歩9分、または京王線幡ヶ谷駅から徒歩10分、渋谷区大山町に位置する敷地面積約6,000㎡の地下1階地上4階建て全131戸。専有面積は61.46~160.69㎡、予定価格は7,600万円台~3億6,900万円台。億ションは78戸。坪単価は470万円。入居予定は平成27年10月下旬。施工は大林組。デザイン監修は光井純&アソシエーツ建築設計事務所、植栽計画監修は愛植物設計事務所。敷地は日本生命の社宅跡地。12月6日から第1期1次の申し込みが始まる。

 最大の特徴は立地条件のよさ。松涛、神山町、南平台、広尾、西原など渋谷区内でも数少ない低層住宅街の一角で、代々木上原駅との比高差約15mのヒルトップに位置している。代々木大山公園に近接しており、消防庁やJICAなどの独立行政法人の施設に隣接。幡ヶ谷駅へのアクセスは桜並木の旧玉川上水緑道が利用できる。

 代々木上原駅圏でのマンション分譲はこの2年間で500~600戸くらいあるが、大山町では皆無。この20年間でも1~2棟しかなく、規模的には最大。

 第二の特徴は、規模とデザイン。「パークコート」シリーズとしては今回が初の低層大規模物件で、同社の記念碑的マンション「パークシティ浜田山」でもコンビを組んだ光井純氏がデザイン監修を、愛植物設計の山野秀規氏が植栽計画をそれぞれ担当。

 外壁には様々なオリジナル二丁掛タイルを貼り、植栽にはソメイヨシノや既存樹を取り込む。

 建物は3棟構成。「悠邸」は全51戸のうち50戸が億ション。インテリアを担当した三井デザインテック・小野京子氏の3億6,900万円のモデルルーム提案が圧巻。リビングドアなどはオークの名栗仕上げ。玄関エントランスとモダンな「Chashitsu」ドアには天然石をスライスし、金や銀の箔を挟み込んだものを採用。幽玄な世界を演出しているのが目を引く。その他建具・面材にも自然石や突き板を多用しており、設備仕様レベルは「パークマンション」とそん色ない。

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モデルルーム

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 代々木上原駅圏のマンションは結構見学しており、ここ数年では野村不動産「プラウド上原」と、モリモト「ディアナコート代々木上原」が極めて好調な売れ行きを見せた。今回の物件は規模といい坪単価といい比較にならないほど大きくて高い。
 これが懸念材料でもあるのだが、「パークコート」「パークマンション」は別格だ。「パークコート千代田富士見ザ・タワー」(505戸のうちうち分譲は425戸)は坪単価475万円で、平均は1億円だったにも関わらず瞬く間に売れたし、今年の「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(97戸)は坪単価725万円で、すべて億ションだったが、こちらも圧倒的な人気になった。
 今回のマンションも、代官山や松濤などと比較すれば坪で100~200万円は安い。「パークコート」のブランド力を測る物差しとしては絶好の物件だ。

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近くの旧玉川上水緑道

野村不動産「プラウド上原」垂涎の的の低層3階建て(2011/4/25)

モリモト「ディアナコート代々木上原」2カ月で完売(2011/5/23)

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「クリオ横浜セントラルマークス」完成予想図

 明和地所の「クリオ横浜セントラルマークス」を見学した。横浜市営地下鉄ブルーライン高島町駅から徒歩1分の全65戸で坪単価は260~280万円くらいになる模様だが、販売は好調に推移するか。

 物件は、高島町駅から徒歩1分、またはJR・みなとみらい線・京急線・ブルーライン線横浜駅から徒歩10分、横浜市西区戸部町7丁目に位置する10階建て全65戸(分譲は57戸)。専有面積は55.78~82.74㎡、価格は未定だが、坪単価は260~280万円になる模様。入居予定は平成28年3月下旬。施工は大勝。

 現地は駅から徒歩1分。敷地南東側にはマンションと同等の高さの建物が建っており、住戸プランは、南西向き、または北東向き。北東向き住戸は6階以上からはみなとみらいが展望できる。一部タイプはプレミアム仕様で、ミストサウナ、食洗機、食器棚が標準装備。キッチン天板はフィオレストーンを採用。

 販売開始は来年の1月上旬。来年はみなとみらいで坪単価にして380万円くらい(400万円はなさそう)の物件も分譲される。みなとみらいとの比較はできないが、みなとみらいより坪100万円も安い駅1分の利便性がどう評価されるか。岸谷か3年前に取材したオリックス不動産の近接マンションは坪単価230万円くらいだった。

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 リーマンショックの影響で業績が低迷していた同社がようやく負の資産処理を終えたようだ。同社は今年10月、平成27年3月期の業績予想を修正し、売上高は引き渡し物件が来期にずれ込むことから3.2%減の458億円となるが、マンションの販売が好調に推移していることなどから営業利益は5.9%増の36億円、経常利益は20.0%増の30億円、当期純利益は14.3%増の24億円に上方修正した。

 中間期決算でも、今期の不動産売上高目標に対する進捗率は95.7%を確保するとともに、翌期引き渡し物件の契約残高も149億円積み上げることができたと発表。最後まで残っていた負の資産であるビルの売却も高値で売却できたようだ。

 マンションの販売については、従来の全営業マンによる全物件の販売体制から各プロジェクトの販売体制に移項したことで、効率的な営業ができるようになってきたという。

 

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「ザ・パークハウス東銀座」完成予想図

 三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス東銀座」第1期31戸が最高5倍、平均1.9倍で即日完売した。東京メトロ有楽町線新富町駅から徒歩1分の13階建て全36戸。専有面積は70.82~81.77㎡、価格は7,400万~1億800万円。坪単価は400万円弱。抽選会は11月24日。購入者の居住地は中央区を中心に全国都道府県。

 評価された点は、新富町駅をはじめ徒歩8分圏内に6駅4路線が利用可能な交通利便性の高さ、全戸南向き、三方向角地、南面は前面建物まで約60mの距離が撮れていることなど。

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「マンション管理業の実態調査調査結果」報告会(霞が関ビル)

 マンション管理業協会(管理協)は11月26日、有識者への研究委託を進めている「マンション管理業の将来展望に関する研究」(代表研究者 大橋弘東京大学大学院経済学研究科教授)のうち、平成25年度に実施した「マンション管理業の実態調査 結果報告書№2」(A4判、94ページ)が刊行したのに伴い、その調査結果報告会を行った。会員会社から約100人が参加した。

 今回の報告書は、24年度に実施した「マンション管理業の実態調査」の結果を踏まえて、マンション居住者のマンション管理に対するニーズや満足度の現状を定性的・定量的に明らかにした。調査はアンケートを中心に行われ、会員の回答数はフロント業務担当者を含め2,463人、マンション居住者は3,670人。 

 調査結果について報告した大橋氏は、マンション管理の知識を豊富に持ち、管理に対して高い関心を持つ居住者ほど設備の保守点検、清掃業務、緊急時の対応のほか、「理事会・総会の運営支援」「組合資産の運用方法の提案」「コミュニティ形成支援」などの充実を望む傾向があることを指摘した。

 また、マンション管理業は労働集約的な業態であり、人的資本の塊であるフロント業務担当者の役割が重要とし、モチベーションをいかに高め、維持していくのか、居住者のサービスへの満足度の向上、中長期的な生産性の向上につながるような教育訓練が必要と述べた。

 報告を受けた後に行われたパネルディスカッションでは、コメンテーターを務めた明海大学不動産学部教授・齋藤広子氏は、「フロント業務担当者のモチベーションが高いほど居住者の満足度が上がる結果が出たのが一番うれしい。管理業務に詳しい入居者ほど多様なニーズがあることも分かった。勇気と感動をもらった」と話した。

 パネリストとしても参加した大橋氏は、「居住者のニーズは複雑。これがファイナルバージョンとは思えない。謎を残したままだ」「業の定義が難しい。パッケージがない。認証制度のようなものをつかってポジティブに見ればやりがいはもっと拡大する」「(管理とは何かの)見方を変えるいいチャンス。ハードのみならず、居住者との接点にもビジネスチャンスがある。従来の延長線ではできない。錘の置き方に期待したい」と語った。

 同じ調査研究者でパネリストの摂南大学経済学部講師・西川浩平氏は、「多様な企業が参入しているが、商品の質の違いが見えない。質の見える化を図らないと、価格競争から逃れられない」と話した。

 フロント業務担当者としてパネリストになった日本ハウズイング・若林達矩氏は「居住者のコミュニティ形成のきっかけを作るフロントの役割は重要」と話し、ダイワサービス・勝又由起子氏は「コミュニティが充実していると入居者トラブルも少ない」などと語った。

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大橋氏

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 腑に落ちるとはこのことを言うのだろう。報告とパネルディスカッションを聴いて、わだかまりが消えすとんと胃に収まったような満足感を覚えた。マンション管理業とマンション居住者の目指すべき方向性がはっきりわかった。

 大橋氏は、標準委託契約業務以外の緊急時対応、資産向上、コミュニティ形成などに居住者ニーズが高いことを定量的に明らかにした。齊藤氏が「ワクワクした」というのもこのことではないか。記者もこれに目を覚まされた。

 つまり、管理会社が行う日常業務は無難にこなして当たり前。居住者はもっと高次のサービスを期待していることが明らかになったということだ。ところが、委託契約業務以外だから当然そこにはフィーは存在しない。フロントがいかにサービスを提供しようが、顧客満足度を高めようが〝ただ働き〟の評価しか受けない。だから、組合の要求は「過剰要求」になり「業務の負担増」につながっていく。

 このギャップを埋めるのが業界の最大のテーマであるし、だからこそこの難問に解を見出せば、管理業は新たなステップに進める。大橋氏が「外から形を作っていくしかない」と言ったように、これまでの延長線上にはその解はない。高いサービスを提供してそれがきちんとフィーとして評価される仕組みをどこがつくるか楽しみだ。

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齊藤氏

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左から大橋氏、西川氏、若杉氏、勝又氏

主役は参加者 マンションコミュニティを考える 三井レジのシンポに340名(2014/11/27)

カテゴリ: 2014年度

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「Mirai Mansion Meeting」(COREDO室町 日本橋三井ホール)

 昨日11月26日、マンションの管理・コミュニティに関する極めて興味深い、示唆に富んだ催しが2つ行われた。一つは、マンション管理業協会(管理協)が主催した「マンション管理業の実態に関する調査」結果報告会で、もう一つは三井不動産レジデンシャルなどが主催した「コミュニティ」を切り口にマンションの未来像を語るシンポジウム「Mirai Mansion Meeting」だ。

 アプローチの方法は異なっているが、前者のパネルディスカッションでコメンテーターを務めた明海大学不動産学部教授・齋藤広子氏は「感動しました」「ワクワクしました」と何度も繰り返した。齊藤氏と申し合わせたわけではないだろうが、三井レジのイベントのテーマの一つは「私たちのワクワクするマンション」を探ることだった。記者もつられてワクワクし感動した。ぼんやりした未来像がくっきりと浮かび上がった。歳のせいか涙腺も緩んできているが、涙が出るほどうれしかった。是非、二つの記事を合わせ読んでいただきたい。

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左から岩田氏、藤林氏、藤村氏

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各テーブルに置かれていた謎のボックス

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 まずは三井レジのシンポジウムから。会場となった定員300名のCOREDO室町1の日本橋三井ホールには約340名の参加者で溢れかえっていた。圧倒的に多かったのは20~30歳代の若い人だった。

 シンポジウムは3部構成で、第1部では藤村龍至建築設計事務所代表・藤村龍至氏、同社・藤林清隆社長、三井不動産レジデンシャルサービス・岩田龍郎社長が、三井不動産グループが掲げる〝経年優化〟の原点である「サンシティ」と、3.11後のコミュニティを重視した「パークコート東雲」などを紹介しながら、「家族、入居者、地域の3つのコミュニティへの期待が高まっていることに対して、暮らしソフトをどう埋め込んでいくかが課題」(藤林氏)「マンションが変われば地域、日本が変わる」(岩田氏)などの意見が出された。

 第2部では、三井不動産・NPO日本橋フレンド代表・川路武氏がモデレーターとなり、enaAMICE代表・蛯原英里氏、チームラボ代表取締役・猪子寿之氏、issue+design代表・筧裕介氏がセッション形式で話し合った。

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 度肝を抜かされたのが第3部だ。参加者が6~7人のグループに分かれ、マンション管理組合の理事に選出された設定のもとで、未来のマンションについて冒頭の「ワクワクするマンション」像を語り合うもので、おにぎりとお菓子などを食べながら侃々諤々、1時間近く話し合った。見ず知らずの人とどうしてそんなにフランクに話せるのかとあ然とした。

 その結論がまたすごい。「私たちのワクワクするマンション」とは、「井戸端会議の生まれる場所がある」「カベのないマンション」「顔と名前が一致するマンション」「子どもをダシにするマンション」「ゆるいコミュニティ」「自給自足型」「SHAREするのが楽しい」「自分たちだけで完結しないマンション」「地球と共生するマンション」などだ。

 みんなドキリとさせられるものだった。「井戸端会議のある場所」を提案したグループのひとり20歳代の女性は「私は谷中の一戸建てに住んでいます。おばあちゃんとも仲がいい」と話した。井戸など都会ではまず見られなくなっているし、井戸端会議がどのようなものか知らないはずの若い人がそれを望んでいることに衝撃すら覚えた。

 「カベ」とはもちろん戸境壁を取っ払えという提案ではないだろうが、家族、入居者、地域のそれぞれに重く垂れこめている「壁」を取っ払おうとする強い意欲の表れだしメッセージだ。「地球との共生」を堂々と打ちだしたグループには声を失った。

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登壇者のフォトセッション

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 このシンポの大きな特徴の一つは、従来の型、殻を打ち破ったことだ。参加者が主役、中心にいることだ。最初から最後まで3時間くらいあったが、途中で退席する人も私語を交わす人も居眠りをする人もほとんどいなかった。

 なぜかを考えた。シンポを仕掛けたのが三井不動産レジデンシャル市場開発商品企画グループであることを知り、その謎が解けたような気がした。このグループは、女性が「住」について興味を持つ機会を提供する女性向けwebサイト「モチイエ女子web」を立ち上げた部署だ。このサイトは従来の男性中心の商品企画に対する反旗だと思う。今回のシンポも同様だ。既成の概念を打破しない限り新しいものは生まれない。いつの時代でも世の中を変えるのは若者だ。若者に依拠しようというこの商品企画グループに拍手喝采だ。参加者から寄せられた多くの声は宝の山だろう。藤林社長も「今後の商品企画に生かしたい」と語った。

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参加者がそれぞれの思いを書き込むカード

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カードを基に行われたミーティング

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 会場で面白いプロジェクトが紹介されていた。「Neighbors Next Project」だ。26歳以下のメンバーが理想のマンションを実現するため調査、研究、体験を通じて2020年までにマンションを建設しようというものだ。

 現在、会員は15名だそうで、三井レジが2011年に有識者などとともに立ち上げた、今回のシンポの主催者でもあるサステナブル・コミュニティ研究会が活動に協力している。

 これもいいプロジェクトだ。詳細はウェブhttp://u26.jpへ。

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「ミライ・マンション・ミーティング」後に各グループがコンセプトを発表しあった

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左から「Neighbors Next Project」の代表・江副生氏(24)、山本遼氏(24)。江副氏は「2016年には着工したい」と語った。来春、ある独立行政法人に入社が決まっている。山本氏は不動産会社勤務。「シェアハウスに興味がある」とのことだった。

将来展望に明かり灯る 「マンション管理業の実態調査」報告 マンション管理協(2014/11/27) 

「エコボイド」「ソラテラス」が圧巻 「パークタワー東雲」完成(2014/3/10)

三井不動産レジデンシャル サステナブル・コミュニティ研究会発足(2012/3/29)

カテゴリ: 2014年度

 

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「ヴェレーナ木場公園」完成予想図

 日本綜合地所が分譲を開始した「ヴェレーナ木場公園」を見学した。同社のマンション坪単価の最高値で、木場・東陽町駅圏でも少なくともバブル崩壊後では最高値と思われる坪単価280万円には心底驚いたが、商品企画は高値更新を納得させるもので、大手デベロッパーのそれをしのぐものだ。

 物件は、東京メトロ東西線木場駅から徒歩7分・東陽町駅から徒歩11分、江東区東陽五丁目に位置する13階建て全36戸。専有面積は61.00~75.60㎡、現在分譲中の住戸(2戸)の価格は4,968万円・4,988万円(60㎡)、坪単価は280万円。竣工予定は平成28年1月中旬。施工は大木建設。11月1日から1期1次20戸の販売が開始されており、これまでに18戸が販売済み。

 現地の用途地域は準工業地域(江東区は23区でもっとも工業系用途の多い区)だが、大通りから一歩入っており、マンション化が進んでいるエリア。徒歩2~3分に都立木場公園と豊住公園がある。

 住戸プランは1フロア3住戸ですべて角部屋タイプ。1住戸に7~8つの窓が付いており、通常の中住戸の開口率が10%くらいなのに対して、ここは約16~24%あるのが大きな特徴。

 モデルルームタイプは68㎡で、間口7.8mのワイドスパン。バスルームを含め窓は8カ所。北側のスカイツリー・豊住公園、西側の木場公園の眺望を確保している。リビング・ダイニングと一体利用ができる約5㎡のオープンエアスペースを設置している。設備仕様は、御影石のキッチンカウンタートップ、食洗機が標準装備。

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 木場、東陽町駅圏のマンションは結構見学しているが、「木場公園」と言えば、10年近く前に明豊エンタープライズが分譲して人気になった「シェルズ木場公園」(127戸)がすぐ思い出される。外断熱工法を採用し、東京都が始めたばかりの「マンション環境性能評価」制度で星3つの満点(12個、現在は15個)を獲得した第一号物件だった。坪単価は240万円だった。

 この単価がいかに高かったか。当時、東陽町駅すぐで分譲されていた物件の単価は210万円だった。これだけでも当時の相場と、「シェルズ」のレベルが高かったかが理解されると思う。

 今回、日本綜合地所が分譲する地域の立地条件と建築費の上昇を考慮して、記者は坪単価250万円とはじき出した。ここ10年間で木場・東陽町駅圏の最高値マンションは坪260万円だ。

 販売を担当する入社14年目の同社課長・大竹氏が正直に話してくれた。

 「物件情報を公開したら一挙に3週分の来場予約が入りました。手応えを感じましたが、楽観はできないと思いました。値段を公開していませんでしたし、当社の物件より駅に近いところでこれまで野村さん、三井さん、三菱さんなどが分譲している物件は坪230~260万円。さて、いざ値段をお伝えすると、皆さん、やはりどなたも『安い』とはおっしゃらない。だが、線路際でもない、大通りにも面していないオンリーワンの立地であることは納得していただきました。20戸供給して18戸が成約できたのも立地が評価され、プランが評価された結果。坪単価280万円というのは当社のこれまでの物件でもっとも高い単価です」

 大竹氏が「評価された」というプランはどうか。〝オープンエアスペース(バルコニー)〟と聞いてどのようなスペースのことが分かる方がどれくらいいるだろうか。記者は同社が業界に先駆けて第1号物件を供給したのをよく覚えている。17年くらい昔だ。南武線中野島駅圏で同社は全開口サッシを採用するとともにバルコニー側にウッドデッキを敷くことでリビングとバルコニーを一体利用できる提案を行った。

 興味深かったのは値付けだ。一般的に中高層マンションの値付けは1階部分がいちばん安く、上階に行くにつれ数十万円から数百万円上げていくのが常識だ。ところが、同社は1階部分を中層階より高く設定したのだ。それがものの見事に成功し、1階住戸から売れていった。値付けの常識を同社が打ち破ったのだ。それが今日まで同社の商品企画として生かされている。

 記者は1993年に同社が設立されてからずっと取材を続け、今日に至るまでその歴史を見守ってきた。今回、大手にも負けない商品企画が健在であることを確認し、木場・東陽町駅圏と同社のマンションの歴史を塗りかえる最高値を更新したのがなによりうれしい。

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オープンエアスペース

カテゴリ: 2014年度
 

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