今後の市場動向を測る試金石&ベンチマーク 1低層の大型 阪急阪神不「荻窪」99戸
「ジオ荻窪」
阪急阪神不動産が5月上旬に分譲する「ジオ荻窪」99戸の現地を見学した。駅からの商業エリアを抜けた1低層に位置する大規模物件で、善福寺川に隣接。意匠設計に著名な会社を起用するなど、首都圏初の常設総合マンションギャラリー開設の第一弾にふさわしい意欲的な物件だ。価格次第で圧倒的な人気を呼ぶ可能性があると見た。
物件は、JR荻窪駅から徒歩12分、杉並区荻窪二丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率41.69%、容積率99.98%)に位置する敷地面積約7,013㎡、4階建て全99戸。5月上旬に分譲する第1期(戸数未定)の専有面積は54.93~84.61㎡、価格は未定。竣工予定は2026年3月下旬。売主は同社のほか相鉄不動産。販売代理は阪急阪神不動産。施工はファーストコーポレーション。設計・監理・デザイン監修は長谷建築設計事務所。
現地の従前は企業社宅。敷地北側は善福寺川、南側は区立中学。三方に接道。建物はコの字型の3棟構成で、ZEH-M Orientedのほか「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)」を取得済み。
住戸棟から独立した木造のエントランス棟を設計した三井ホーム、地元産材のブナの木工家具などで知られる飛騨産業、業界に先駆け照明器具のLED化を実現した遠藤照明、わが国を代表するランドスケープ企業の石勝エクステリアなどとコラボしているのも特徴の一つ。
完成予想図
完成予想図
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この記事は、先日書いた同社の常設総合マンションギャラリー「ジオ ゲストサロン 新宿」の記事と一緒に読んでいただきたい。その記事では「ジオ荻窪」の分譲単価予想は坪700万円としたが、現地をみて同社はそこまで高値追及しないと読んだ。
駅からの大半は1低層の住宅街というのはいいのだが、一休みしてタバコを吸い、酒を飲んだりする飲食店やカフェなどがないのは難点だ。(都市計画法34条1号店舗と同様、1低層での用途規制は緩和すべき)
しかし、商品企画には相当力が入っており、同社の首都圏での記念碑的物件になると確信した。設計・監理・デザイン監修は長谷建築設計事務所のほか、それぞれの分野のプロを起用していることにそれが読み取れる。
長谷建築設計事務所のホームページに紹介されているマンションの作品の中で記者が見学取材したのはモリモト「ディアナコート浜田山」のみだが、素晴らしいマンションだ。記事を添付したので読んでいただきたい。
基本性能、設備仕様レベルも、サロンで見学した通りだろうから間違いなく水準以上だ。細かいことだが、トイレドアノブは壁面まで後退させており、浴室タオル掛けも2か所ある。住戸プランは平凡な田の字型でなく、横入り玄関タイプが多い。これも強調材料だ。
価格がいくらになるか、売れるか売れないか、今後の市場動向を測る試金石でもありベンチマークになる可能性を秘めたマンションだと思う。
現地
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同社は4月22日、これからの100年間も「お客様から真っ先に選ばれるサービスや体験」を提供し続けるデベロッパーとなることを目指す「DXビジョン」の具現化の一つとして、新たなプロジェクトチーム「FUTR LABO」を同日設立したと発表した。
今年度の主な取り組みは①ウェルビーイング×オフィスワーカーアプリの実装検討②ビッグデータ×不動産で未来を創る商業施設とオフィスのバリューアップへの挑戦③インバウンド×長期滞在 滞在価値を革新する次世代住環境プロジェクトの3つ。
あふれる本物の緑デジタル技術駆使した仕掛けも阪急阪神不新宿に常設モデル(2025/4/17)
自社社宅跡地公園借景取り込むプラン秀逸旭化成不レジ「荻窪大田黒公園」(2018/1/19)
三菱地所レジ他「武蔵小杉」反響1万件超 うち7割は都内 26日からモデルルーム案内会
「ザ・パークハウス武蔵小杉タワーズ」
三菱地所レジデンスは4月22日、東京建物、東急、東急不動産(事業比率は非公表)とともに開発を進めている武蔵小杉最大級の50階建て2棟1,438戸の免震タワーマンション「ザ・パークハウス武蔵小杉タワーズ」のメディア向け内覧会を行い、モデルルーム事前案内会を4月26日(土)から、販売は8月から開始すると発表した。建築家・隈研吾氏がデザイン監修を務め、「大地から生える二本の大樹」をコンセプトにした「まち一体型複合開発」として整備するのが特徴。物件エントリー数は10,000件を突破しており、人気を呼ぶのは必至だ。
物件は、JR・東急東横線武蔵小杉駅から徒歩3分~4分、川崎市中原区小杉町一丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約20,172㎡、50階建て〈サウス〉719戸と〈ノース〉719戸の合計2棟全1,438戸。〈サウス〉の専有面積は44.07~136.04㎡、価格は未定。販売開始は2025年8月下旬。竣工予定は2027年9月下旬。〈ノース〉の専有面積は44.07~133.64㎡、価格は未定。販売開始は2026年2月。竣工予定は2028年5月中旬。施工はフジタ。デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所。フューチャリティ、内原智史デザイン事務所なども参画している。
現地の従前は、日本医科歯科大学武蔵小杉キャンパスで、「小杉駅周辺まちづくり推進地域構想」に基づき再整備されるもの。全体をA・B・Cの3つの地区に分け、今回のマンションはC地区に該当する。
主な基本性能は免震構造、ZEH-M Oriented、BIO NET INITIATIVE(ビオネット イニシアチブ)、ABINC認証など。スーペリアタイプの主な設備仕様は、リビング天井高2650ミリ(50階のエグゼクティブは3000ミリ、44~49階のデラックスは2750ミリ)、ディスポーザー、食器棚、食洗機、シーザーストーンキッチン天板、タンクレストイレ、浴室タオル掛け2か所、ミストサウナ、戸別宅配ボックスなど。共用施設はスカイビューラウンジ、ゲストルーム、コワーキングスペースなど。
緑をふんだんにあしらったランドスケープデザイン、本物の木を多用しているのも特徴の一つで、エントランスの(サウス)には石川県能登産(予定)の杉集成材、(ノース)には茨城県産(予定)の杉無垢板を、共用部のデザインウォールに天然木をそれぞれ採用。スーペリアタイプのLDは突板フローリング。
昨年9月からのエントリー数は10,000件を突破しており、うち7割は都内居住者。
グランドエントランス(サウス)デザインウォールは天然木
完成予想図(公開空地)
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このマンションについては、同社が昨年9月に行った記者会見の記事を参照していただきたい。
武蔵小杉エリアには今回の2棟を含め14~15棟のタワーマンションが林立している(うち10棟は南口か)。ほとんどが商業地域立地なので日影は考慮されないし、お互い〝お見合い〟状態で、眺望が確保されているわけでもない。
今回の物件は、マンションのほか高齢者向け住宅、医療施設、保育所、スポーツジム、スーパー、ドラッグストアなど「まち一体型複合開発」として開発されており、他のタワーマンションとはやや異なる。まちに開かれた共用空間・コスギコミュニティパークやコスギプロムナードなどランドスケープデザインが素晴らしい。
さて、価格はいくらになるか。この日、取材前に周辺の街並み見て回り、2つのシアターを見終わった段階では、平均単価はひょっとすると坪700万円の大台に乗るかと思った。
しかし、物件説明、3つのモデルルームを見学し終わって、冷静に判断してそこまではいかないという結論に達した。第一の理由は自己日影だ。建物は一団地認定を受けているので、〈サウス〉の真北に位置する〈ノース〉の日照は考慮されず、日影の影響を受ける。さらに〈サウス〉もまた、駅北口で予定されている三井不動産レジデンシャルのタワーマンションの日影の影響を「少なからず受ける」(同社)のは評価を下げざるを得ない。〈サウス〉1棟なら坪700万円もあるかもしれないが、全体として均すと650万円くらいではないか。(記者は昨年9月、同社が記者発表会を行った時点で「坪単価はボトムで550万円とみた」と書いたが、ほぼその通りになるはずだ)
3つのモデルルームでは、ドアはカチッと閉まらなかったが白を基調にした73㎡のスーペリアタイプがとてもいいと思った(ターゲットにぴったり)。全体としてオプションはともかく、突出した仕様にはなっていない。これも坪650万円とはじいた理由だ。
マンションと関係ないが、取材の帰り、関係者から「下丸子が近い。三ちゃん食堂がある」と聞いたので立ち寄った。昭和の居酒屋だ。30坪くらいしかないのに、60人くらいの客で満席。昼間からみんな飲んでいた。席でタバコも吸えた。
73㎡のモデルルーム
103㎡のデラックスモデルルーム(このテーブルは100数十万円か)
シアタールーム
販売センターエントランス(〈サウス〉のエントランスもこのようなデザインウォールが採用される)
現地(敷地北側から)
コンセプトは大地に生える二本の大樹監修は隈研吾氏三菱地所レジ「武蔵小杉」(2024/9/28)
あふれる本物の緑 デジタル技術駆使した仕掛けも 阪急阪神不 新宿に常設モデル
「ジオ ゲストサロン 新宿」
阪急阪神不動産は4月16日、先に新宿アイランドタワーに開設した首都圏初の常設総合マンションギャラリー「ジオ ゲストサロン 新宿」を関係者・メディア向けに公開した。広さは約270坪で、首都圏で年間400~500戸をコンスタントに供給する販売拠点にする。本物の緑をふんだんに導入し、ゆったりくつろげる商談室や大型タッチパネル、3D=のグラム模型など最新のデジタル技術を駆使して〝ジオ〟の全てが分かる工夫・演出を行っている。素晴らしいギャラリーがまた誕生した。
同社グループは2001年から首都圏でのマンション分譲を展開しており、これまでに計89棟、5,400戸以上を供給してきた。サロンの開設は、〈ジオ〉ブランド35周年の節目の年でもあり、今後の首都圏での事業拡大を見据えたもの。
「あなたの未来、〈ジオ〉とここから。」をコンセプトワードに掲げ、本物の観葉植物をふんだんに盛り込んだ「ジオ ライブラリーフォレスト&商談室」と「ジオ ナレッジゾーン」では、緑の中に透明ディスプレイを設置し、リラックスして回遊できるように工夫を凝らしている。また、約9㎡の商談室(全11ブース)には特殊ガラスを採用し、スイッチ一つで透明⇔不透明の乳白色に切り替えることができるようにしている。
「ジオ ナレッジゾーン」にはタッチ式4面サイネージを設置。高精度センサーにより人の動きと連動したデジタルアートが楽しめ、同社の分譲実績、品質管理、商品企画などが全面で表示される。「ジオ ラボゾーン」ではパースやCGを立体的に視認できる3Dホログラム模型も設置し、従来の販売拠点では表現できなかったコンテンツを用意している。
コンセプトルームは約67㎡。「ジオ ナレッジゾーン」との壁を設けず、自由に出入りできるようにしている。バルコニーの壁にはORコードをかざすと、壁内部の鉄筋が見える仕掛けも施している。
サロン開設に伴う第一号物件は、荻窪駅から徒歩12分の第一種低層住居専用地域に位置する「ジオ荻窪」(99戸)。価格は未定で、記者は現地を見ていないが、駅から南側は良好な住宅街が多い。坪単価は700万円台とみた。
エントランス ウェディングゾーン(正面は6×2.6mの大型LEDモニター)
「ジオ ライブラリーフォレスト&商談室」(左)と「ジオ ナレッジゾーン」
特殊ガラスOFF(左)とON
4面サイネージ
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記者はこれまで、総合マンションギャラリーは20か所くらい見学している。各社ともそれぞれ趣向を凝らしており、優劣は付けづらいが、大きさでは住友不動産の「総合マンションギャラリー新橋館」がダントツの710坪だ。豪華さでは、5つ星クラスのホテルロビー・ラウンジを再現した伊藤忠都市開発の「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」と三井不動産レジデンシャル「三井グランディオーソ・クラブ」が双璧だ。
記者が好きな緑を中心としたデザインでは、積水ハウス「グランドメゾンギャラリー新宿」と野村不動産「プラウドギャラリー新宿」が素晴らしい。このほか、野村不動産「プラウドギャラリー武蔵小杉」、コスモスイニシア「イニシアラウンジ三田」が印象に残っている。
最近見たマンションギャラリーでは、東京建物「「Brillia Tower 堂島」、積水ハウス他「グラングリーン大阪 ザ ノースレジデンス」、日鉄興和不動産「リビオシティ文京小石川」がベスト3だ。
さて、今回の同社のギャラリーはどうか。新宿エリアでは三井不動産レジデンシャル、住友不動産、野村不動産、伊藤忠都市開発、積水ハウス、大京に続く7社目だが、他社に引けを取らないと見た。本物の緑をふんだんに採用しているのがなによりもいい。記者は10年以上前からマンション販売事務所などのフェイクグリーンをやめよと主張してきたが、本物を採用するところが増えている。結構なことだ。
「ジオ ライブラリーフォレスト」
商談室
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阪急阪神東宝グループについて。同社は、首都圏でのブランド力・認知度を向上させるため、阪急阪神東宝グループの歴史や住まいづくりへのこだわりなどの取り組みを映像で紹介するコーナーも設けている。
これは正解だろう。三重県出身で西武ライオンズファンの記者は阪急、阪神、近鉄、南海などは小さいころから知っていたが、野球ファンでない首都圏の方は同社グループがどのような事業を展開しているのか知らない人は多いはずだ。記者は2001年に同社が首都圏初のマンションを分譲したのも覚えているし、隈研吾氏が設計した2017年分譲の「ジオグランデ元麻布」も見学している。これまで取材してきて、商品企画はアピールしきれていないと思っていた。販売部隊も設けるべきだとも思う。
東宝宝塚はブランド力アップに大きな力を発揮するはずだ。記者は中学3年の修学旅行で東京に初めて行ったとき、日劇であられもないフレンチカンカンに目を白黒させた記憶がある。エンタメは三井不動産も力を入れているように無限の可能性を秘める。
ただ、プロ野球球団の阪神タイガースはよくわからない。野球ファンでない方の為に少し紹介すると、阪神の通算成績は.517で決して高くはない。リーグ優勝は6回、日本シリーズは2回しか優勝していないのに、2024年の観客動員数は巨人の約283万人を上回る約300万人で12球団トップだ。(わが西武の通算成績は.526で、リーグ優勝は23回、日本シリーズは13回も優勝しているのに、2024年の観客動員数は12球団最低の約156万人)
プロ球団を持つことやスポンサーになることが本業にどのような影響を与えるのか。最近の阪神はそうでもないが、ファンの方は何かにつけ東京に負け、チームも負け続けることに自虐的な喜びを感じる人が多いような気がするが…。ハイソなイメージが強い阪急とどうも一致しない。
徒歩10圏内で9駅13路線が利用可能 パークビュー売り 積水ハウス「御徒町公園」(2025/2/22)
見事な模型紹介コーナー 物件に込めた意気込みひしひし 日鉄興和不「文京小石川」(2025/1/25)
大阪の市場を劇的に変えた 東京建物&HPL「ONE DOJIMA PROJECT」竣工(2024/5/58)
〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない 「グラングリーン大阪」タワマンに絶句(2023/10/12)
まるで植物園 五感で体験できる 野村不動産 マンション総合ギャラリー「新宿」(2023/2/21)
5社ブランドとの連携がいい 野村不の常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」(2022/6/25)
目を見張る 710坪のマンションギャラリー 住友不「汐留」開設/第一弾は「虎ノ門」(2022/1/14)
木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)
これは凄い ホテルなら5つ星 伊藤忠都市 「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」(2020/9/10)
隈研吾氏がデザイン 〝グランデ〟首都圏第一号 阪急不動産(2017/3/6)
三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)
1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19)
いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)
全9戸 価格はすべて10億円超か 小田急不 代々木上原駅4分の南傾斜1低層
「(仮称)元代々木マンション」建築現場(右は三菱地所レジデンスのマンション)
建築主の小田急不動産は「ノーコメント」、つまりTesともNoとも言っていないので、以下の記事は、いわゆる建築計画のお知らせ看板の事実に基づいた記者の予想記事であることを断っておく。予想が外れても責任は取らないが、的中する確率は6割以上だと思う。同社の記念碑どころか、今後の新しいマンション事業のメニューになる可能性を秘めているので書くことにした。記事を書いたことで、同社が今後の取材を拒否する可能性はゼロではないが、まずないと見た。黙認するはずだ。
物件は、小田急線代々木上原駅から徒歩4分、渋谷区元代々木町の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する敷地面積約870㎡、建築面積約621㎡、地下2階地上5階建て延床面積約2,893㎡の全9戸。着工予定は2025年6月、竣工予定は2027年8月。事業主は小田急不動産。施工は竹中工務店。
現地は、比高差にして2層くらいありそうな南下がりの傾斜地。敷地は東、南、西側道路に接道。三菱地所レジデンスが2018年に分譲して圧倒的な人気を呼んだ「ザ・パークハウス代々木上原」47戸が道路を挟んだ東側に隣接。
情報はこれだけしかない。道路制限、日影規制、北側斜線などの法律がどうなっているのか、容積不算入の部分がどれくらいあるのかわからないが、有効率を80%と仮定すると、単純計算して1戸当たり平均専有面積は約257㎡(約78坪)になる。
坪単価はもちろんわからないが、立地条件からして最低坪1,300万円とみた。このままの好調市場が継続すれば坪1,500万円もありうる。グロス価格は最低でも約10億円、高値追及すれば約12億円だ。
この価格予想も間違っていないと思う。比較可能な前例もある。シーラ「THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」7戸と諸戸の家「代々木上原の邸宅」だ。前者は1フロア1戸の約30坪のマンションで、坪単価900万円、平均価格は2.7億円。後者は敷地面積242.12㎡(73.21坪)の戸建てで、価格は10億円超。いずれも竣工までにほぼ完売している。
今回の物件は、駅からの距離、1低層の南傾斜の住環境などからして価格はこれらを上回るのは間違いない。施工も竹中だ。レベルの低いマンションになるはずがない。
価格10億円超分譲戸建ての歴史を変えた諸戸の家「代々木上原」完売(2025/3/6)
1フロア1戸の全7戸 30坪で価格2.7億円シーラ初の「渋谷富ヶ谷」早期完売(2025/2/17)
代々木上原の一等地〝徳川山〟大京の最上位ブランド「リジェ」全12戸が人気(2024/1/12)
坪800万円をはるかに突破?三菱地所レジフラッグシップの「代々木大山」(2023/9/9)
マンション管理適正評価制度 2024年度末の登録件数は8,250件 満点の★5つは31%
マンション管理業協会は4月14日、2024年度第4四半期終了時点のマンション管理適正評価制度の登録状況をまとめ発表。2024年度末(2025年3月末)の登録件数は8,250件となり、目標としていた2024年度末で会員会社が管理する全物件の10ェに当たる10,000件は達成できなかった。大手デベロッパー系の管理会社は10%以上達成した模様だが、中堅以下の普及がいま一つのようだ。同協会は引き続き普及に努めていくとしている。
評価別登録数は、★5つが2,525件(30.6%)、★4つが3,494件(42.4%)、★3つが1,837件(22.3%)、★2つが390件(4.7%)となっている。
都県別では、東京都の2,540件(30.8%)が最多で、神奈川県1,108件(13.4%)、大阪府749件(9.1%)の順。竣工年別では1991年~2000年竣工が全体の29.5%を占めている。
★5つの戸数別分布では、400戸以上は77.3%がもっとも多く、50戸未満は24.6%となっており、戸数が多いほど割合が高くなっている。
管理評価項目別では、耐震性ポイント(平均:9.45点/10点満点)、管理体制ポイント(平均:18.29点/20点満点)が高い数値を示しているが、管理組合収支ポイント(平均:29.16点/40点満点)、生活関連ポイント(平均:4.27点/10点満点)が低い数値にとどまっている。
昭和記念公園が徒歩圏 設備仕様レベル高い トヨタホーム「ANESIA THE CENTRAL」
「ANESIA THE CENTRAL(アネシア ザ・セントラル)」
トヨタホームが5月中旬に分譲するマンション「ANESIA THE CENTRAL(アネシア ザ・セントラル)」 を見学した。国営昭和記念公園に隣接する区画整理事業地内の一角で、同社の首都圏初の戸建てとの大規模複合開発。共用施設、設備仕様は間違いなく水準以上だ。
物件は、JR中央・青梅線東中神駅から徒歩10分、昭島市もくせいの杜二丁目の第2種住居地域に位置する9階建て全68戸。専有面積は63.40~81.31㎡、価格は未定で、坪単価は300万円に乗るかどうか。竣工予定は2025年12月上旬。設計・監理はウィル・アーキテクツオフィス。デザイン監修はコトナ。施工は森組。販売開始は5月半ば。現在までのモデルルーム来場者は約50組。
現地は、都市再生機構施行による9.5haの「立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業地」内の一角にあり、開発面積は約3.0ha。同社としては全157区画の戸建て街区「トヨタホーム ザ・セントラル」との首都圏初の大規模複合開発。
街全体にヤシノキを数十本植樹しているほか、有孔ブロックを多用しデザインを統一。また、タウンセキュリティを導入、車の出入り口を3か所に限定し、防犯カメラも設置。街区内の道路は車のスピードを抑えるための植栽帯の設置、電線・電柱の地中化などを図っている。国営昭和記念公園入口までは徒歩12分。
建物は南向きと南西向き約6:4の割合。主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(最上階は3000ミリ)、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、ソフトクローズ機能付きリビングドア、木調へだて壁、水栓付きバルコニー奥行き2m、浴室タオル掛け2か所、パナソニックの浴槽美泡湯など。共用施設としてパーティルームと併用のゲストルーム(約60㎡)が設けられている。
同社はこれまでマンション販売は他社に委託してきたが、今回は自社で販売するという。力が入っている物件だ。
ランドスケープ
パーティルーム併用のゲストルーム(最上階の右端)
模型の駐車場はすべてトヨタのミニカー(1000万円超のレクサスもあるとか)
◇ ◆ ◇
同社のマンション見学は2017年の「アネシア築地ステーションレジデンス」以来久々だった。「築地」はミサワホームとのJVだったが、今回は単独。昭和記念公園に隣接した〝世界のトヨタ〟の商品企画を観るのが取材の目的だった。
取材の目的は、立川駅圏ではマンション坪単価は400万円をはるかに超え、JR青梅線昭島駅圏では大和ハウスの「プレミスト昭島」が圧倒的な人気を呼んでおり、物件レベルや価格などを確認することにあった。
立地は申し分ない。敷地南側は戸建て街区なので日照面で問題はないし、南西向きの住戸も敷地からセットパックして建てられており、緑地・歩道を合わせると幅は10mくらい確保されている。
基本性能・設備仕様も水準以上だ。モデルルームに当てられている75㎡の角住戸プランは横入り玄関で、他の住戸も単純な田の字型ではないし、ディスポーザーも標準仕様としているのもいい。共用施設として、パーティルームとの併用だが、公園が一望できる8階の角住戸をシャワー室付きのゲストルームにしているのにびっくりした。この規模でゲストルームを設けているマンションは少ないはずだ。
問題は、価格はいくらになるかだ。立川駅圏は坪400万円をはるかに突破しているので価格的には優位にあるが、昭島駅圏では坪280~290万円の大和ハウス「プレミスト昭島」があり、価格下げ圧力もかかっている。同社は「坪単価は300万円を目指す」としているが、記者も300万円前後だろうと予想する。
駅周辺ではURの賃貸マンションの建て替えなど約55.9haの東中神駅周辺地区住宅市街地整備計画もあり、整備されれば街並みは一変するが、現段階で詳細は未定なので、強気な価格設定は難しいと見た。
シンボルツリーのヤシノキ(車のスピードを緩める効果もある)
現地(緑地帯・歩道の広さが分かる)
東中神駅舎(左)と南口の再開発エリア
「プレミスト昭島」第2弾の第1期1次は143戸全戸の半数以上大和ハウス(2023/11/15)
平均75㎡レベル高いマリモ「昭和記念公園」 4カ月で半分以上の90戸超成約済み(20211/13)
トヨタホーム・ミサワ築地駅直結の「アネシア築地」は坪500万円突破か(2017/11/13)
中古マンション、中古戸建てとも成約件数が大幅増加 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、2025年3月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,991件(前年同月比31.0%増)、坪単価は260.7万円(同4.1%増)、価格は4,945万円(同2.6%増)、専有面積は62.58㎡(同1.5%減)。成約件数は5か月連続で前年同月を上回った。坪単価は59か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建ての成約件数は2,195件(同62.8%増)、価格は4,030万円(同2.6%減)、土地面積は144.91㎡(同0.2%減)、建物面積は103.85㎡(同1.2%減)。成約件数は5か月連続で前年同月を上回った。
時は春、すべて〝外〟は音もなし 全戸防音ルーム付き タカラレーベン「南千住」
「ラグゼナプラス(LUXENA+)OTO 南千住」
MIRARTHホールディンググループのタカラレーベンの賃貸マンション新シリーズ「LUXENA+」第1号物件「ラグゼナプラス(LUXENA+)OTO 南千住」を見学した。全戸に防音ルームを設置し、多様化する賃貸ニーズに対応したもので、相場より高めの賃料設定にも拘わらず、全26戸のうち10戸が成約するなど順調なスタートを切った。
物件は、JR常磐線・つくばエクスプレス・東京メトロ南千住駅から徒歩6~7分、荒川区南千住五丁目に位置する14階建て全26戸。専用面積51.83・53.81㎡、賃料は24.3万~26.6万円/月、坪賃料は1.6万円弱。竣工は2025年2月28日。
案件は、同社グループのタカラレーベン投資開発事業本部が手掛ける開発事業の一環で、管理はグループのレーベントラストが担当している。同部署ではこれまで43件のプロジェクトを手掛けている。
現地は、西側の水戸街道など三方に接道。建物は1フロア2戸。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、食洗機、Aタイプ6700ミリ、Bタイプ6350ミリのワイドスパン、二重サッシ(防音室のみ)、タオル掛けなど。
防音ルームは、24時間演奏可能なD-70以上(外部に音はほとんど伝わらない)とし、200V電源システムを完備。グランドピアノなどの楽器のほか多目的用途にも対応している。
昨年11月からリーシングを開始しており、賃料設定は相場より2~3割高だが、これまで10室が成約済み。うち8割は楽器演奏希望者。
防音ルーム
検知
◇ ◆ ◇
防音ルールの仕様・レベルがどのようなものかチェックするのが取材の主な目的だった。住戸全体の仕様レベルは同社の分譲マンションに近いとみた。防音ルームの性能については、同社広報担当のWさんにモデルルームに備えられているグランドピアノを弾いてもらい、居室の外で音が聞こえるかどうか試した。
結果はほぼ完ぺき。かすかにピアノらしい音は聞こえたが、ベートーヴェンのピアノソナタかショパンのノクターンか、あるいは〝ドキドキ ドキドキ1年生 ピアノが弾けるかな〟のド・レ・ミ・ファ…か、全くわからなかった。分譲マンションへの展開も可能と見た。
そこで一句。時は春、すべて〝外〟は音もなし。
防音ルームでピアノを弾くWさん
ドアの外はほとんど聞こえないレベル
阪急阪神不 アイランドタワーにマンション総合ギャラリー 新宿では7社目の拠点
「ジオ ゲストサロン新宿」
阪急阪神不動産は4月4日、新築分譲マンション総合ギャラリー「ジオ ゲストサロン新宿」を4月5日に新宿区の「新宿アイランドタワー」に開設すると発表した。
常設の総合マンションギャラリーは、首都圏では初の開設でマンションブランド〈ジオ〉35周年の節目に当たる。従来の販売・接客拠点としての機能に加えて、阪急阪神東宝グループと同社の歴史や住まいづくりへのこだわり、SDGsへの取組などを紹介する映像を提供する。
同社は、2001年から首都圏でのマンション分譲を展開しており、これまでに計89棟、5,400戸以上を供給してきた。首都圏での事業拡大を目指している。
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記者の知る限り、新宿にマンションの常設ギャラリーを開設するのは住友不動産、三井不動産レジデンシャル、伊藤忠都市開発、野村不動産、積水ハウス、大京に続いて7社目だ。4月16日にはメディア向け内覧会が行われるので、取材してレポートしたい。
小田急不・電鉄 全900戸の海老名「ViNA GARDENS」最終章304戸 分譲開始
「リーフィアタワー海老名クロノスコート」
小田急不動産は4月3日、「リーフィアタワー海老名クロノスコート」のメディア向け見学会を行った。10年前から開発を進めている海老名駅西口の3.5haの複合開発「ViNA GARDENS」エリアの最終分譲となる3棟目のタワーマンションで、販売開始は6月から。これ野での免震工法に加え、ZEH-M Oriented×低炭素建築物認定を取得しているのが特徴。人気を呼ぶのは必至だ。
物件は、小田急線海老名駅から徒歩4分、海老名市めぐみ町の商業地域に位置する31階建て304戸。専有面積は46.56~121.04㎡、価格は未定。竣工予定は2026年10月下旬。売主は同社のほか小田急電鉄。設計・施工は三井住友建設。基本設計はアール・アイ・エー。
昨年11月から受付を開始した問い合わせ件数は1,300件、4月5日から開始する案内会は300件の予約が入っており満席となっている。
現地は、小田急海老名駅とJR相模線海老名駅間の3.5haの大規模複合開発「ViNA GARDENS」エリアの一角に位置し、2018年分譲の「リーフィアタワー海老名アクロスコート」(304戸)、2019年分譲の「リーフィアタワー海老名ブリスコート」(302戸)に続く3棟目のタワーマンション。今回がエリア内最後のマンションとなる。
三井住友建設が独自開発したマンション工法システム「Sulatto Rotary Tower」を採用することで居室内の大梁を大幅に削減しているのが特徴で、ZEH-M Oriented×低炭素建築物認定を取得。
住戸計画は、2~16階の低層階(約46~92㎡)、17~30階の高層階(約62~100㎡)、31階のプレミアム階(約100~121㎡)の3層構成で全33タイプ。主な基本性能・設備仕様は免震工法、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(最上階は2800ミリ)、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、ティスポーザー、浴室タオル掛け2か所など。共用施設は2層吹抜のグランラウンジ、ゲストルーム2室、スカイラウンジ、メンテクラフトルーム、ランドリールームなど。
同社住宅事業本部開発企画部部長・松井みどり氏は「海老名エリアはこの25年間で大きく進化している。2015年に計画を発表した駅東口と繋ぐ西口の『ViNA GARDENS』の開発規模は3.5ha。賑わい創出と暮らしエリアから構成されており、街全体に統一デザインコードを採用し、アートなどもふんだんに盛り込んでいる。多くの方から価値が向上したという声を頂いている」と語った。
また、小田急電鉄まちづくり事業本部エリア事業創造部課長・政光賢士氏は、海老名エリアの開発の歴史を紹介。田んぼしかなかったエリアは1960年代以降の開発で変化し、2002年完成した駅東口のビナウォークに街並みが一変し、ViNA GARDENSの開発に合わせて特急ロマンスカーの停車駅になったことから利便性は飛躍的に向上、相鉄、JR合計の駅利用者は26万人にのぼり、多くの企業も集積していることから人口転入増が続いているエリアであることを強調した。
2層ラウンジ
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政光氏が語ったように、海老名エリアは田んぼしかなかった昭和50年代の後半から同社や相鉄の住宅地開発を取材してきたので感慨深いものがある。新宿までのアクセスも似ていることから、どうしてもわが多摩センターと比較してします。多摩センターはバブル崩壊を機に地盤沈下する一方なのに、海老名はその逆だ。完全に追い抜かれた。
価格について同社は明らかにしなかったが、記者は坪単価は最低で320万円、高値挑戦するなら坪350万円とはじいた。的は外していないと思う。モデルルームは70㎡の3LDKだが、スパンは約8mあり、廊下面積を少なくすることでゆったりしたプランになっている。オプション仕様のハーフモデルや最上階100㎡超7戸のプレミアム仕様もいい。プレミアム住戸は深型食洗機、ツーボウル洗面化粧台、陶器ボウル、浴室天然石カウンターなどを採用している。
問題は、既分譲のタワーマンションの日影の影響を受けるはずで、それをどう評価するかだ。
いま一つよくわからなかったのは、施工を担当している三井住友建設の登録商標「SuKKiT/Sulatto」だ。コストを抑えたままフレームを従来の〝井桁〟から〝風車〟にすることで居室内の大梁を半減させたもので、2015年にグッドデザイン賞を受賞している。柱の数は変わらないのにどうして梁を半分に減らすことができるのか全然わからない。
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こんなことは書きたくないのだが、書かざるを得ない。見学会をぶち壊した記者がいた。この方は質疑応答の冒頭、市内の市街化調整区域が市街化区域へ変更になったことを話した。
小生は全然知らなかった。後で確認した。その通りだった。令和6年3月、海老名市役所周辺地区約39.4haが市街化区域に編入されている。40年くらい前、田んぼばかりの風景を眺めながら市役所に訪れたのを思い出した。
これはこれでいいのだが、あとがいけない。この方はその後も質問を繰り返した。質疑応答に当てられていた30分の大半を独り占めした。何を質問されているのかさっぱりわからなかった。多分、他の記者の方も同じだったと思う。
1か月前のフジテレビの会見と同じだ。視聴者から批判されたのは、のらりくらりのテレビ局幹部もさることながら、傲岸不遜のメディア関係者だ。この方がどのような記事を書くかわからないが、多分、読者(消費者)を満足させるものにはならないはずだ。記者は、自らの不勉強で知らないことやどのような答えが返ってくるかわからないことを聞いてはならない。これが基本だ。読者に知らせないといけないこと、例えばマンションでいえは価格の妥当性、商品企画、住環境、設備仕様レベルなどはきちんと取材しないといけない。「価格は未定」と主催者が話しても、記者は予想して坪単価を書くことにしている。
現地
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