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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は6月10日、2025年4月の首都圏流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,841件(前年同月比35.0%増)で7か月連続の増加、坪単価は277万円(同10.2%増)で20年5月から61か月連続の上昇、成約価格は5,311万円(同9.9%%増)で7か月連続の上昇、専有面積は63.18㎡(同0.3%減)で6か月連続の縮小となった。

 中古戸建の成約件数は1,784件(前年同月比62.8%増)で7か月連続の増加、成約価格は3,880万円(同0.4%増)で3か月ぶりの上昇、土地面積は145.63㎡(同6.4%増)、建物面積は103.54㎡(同0.3%増)となった。


 

 

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 東京カンテイは6月2日、全国の億ション供給動向をまとめ発表した。2024年に全国で供給された億ションは5,531戸で、このうち首都圏は約75%の4,157戸(前年4,180戸)を占めている。都県別では、東京都がもっとも多く3,625戸で、次いで大阪府753戸、神奈川県329戸の順。宮崎県で初めて2戸供給されたため、累計の億ション空白県は山形、鳥取、香川、徳島、佐賀の5県となっている。

 2024年12月末時点の累計供給戸数は68,351戸で、分譲実績が確認されたのは42都道府県。圏域別では首都圏が54,569戸、近畿圏が8,899戸、中部圏が2,221 戸、地方圏が2,662戸。都道府県別では東京都の48,183戸が最多で、全国シェアは70.5%となっている。

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 面白いデータだ。全国で供給されるマンションは、投資向けやコンパクトを除けば約10万戸(首都圏は約5万戸)だろうから、そのうち約5%(首都圏は約10%)が億ションと捉えることができる。

 気になったのは、全体市場をどこまで捕捉しているかだ。不動産経済研究所の調査では、首都圏の2024年億ション供給戸数は3,648戸(前年4,174戸)となっている。不動研は着工戸数の半分も捕捉できていないので少ないのは分かるが、東京カンテイとの差はそれほどでもない。東京カンテイに非分譲住戸をカウントしているのかどうか聞いたが、同社はデータをカウントする際に総戸数をカウントしているが、クローズド販売など一般分譲されない億ション戸数は含めないとのことだ。例えば、「グラングリーン大阪」のように全484戸のうち236戸しか一般分譲されなたかった物件は、残りの戸数はカウントされていないということだ。

 だとすれば、実際の億ションの供給戸数は、同社発表戸数より数千戸多い可能性もあるということだ。「供給」の定義を考えないといけないかもしれない。

 もう一つ、同社はバブル期を1988年(昭和63年)から1992年(平成4年)の5年間としているが、これには異論をはさまざるを得ない。

 バブル発生はもう少し前の1886年(昭和61年)ころだと思う。この年、民活第一号マンションの「西戸山タワーホウムズ」が分譲されたが、モデルルーム来場者は5万人を突破し、申込者は、北は北海道から九州まで全国に及んだ。完全に〝バブル〟だと思った。業界関係者もそう見ているはずだ。

 バブルが崩壊したのは1990年(平成2年)9月だ。これも間違いない。同年8月、湾岸戦争が勃発したのを機に株価が暴落し、9月のマンション月間契約率は確か50%を割ったはずだ。その後、マンションの値引き・解約が相次いだ。

 ただ、マンションは土地の仕入れから着工・分譲までかなりずれがあるから、単純に供給が多かった1988年(昭和63年)から1992年(平成4年)の5年間をバブル期としたのも分からないわけではない。そのように断ればよかった。

 同社は今後、億ション市場についてレポートするとしている。期待したい。かつて同社は詳細な億ション市場動向をまとめ発表している。用途地域別では、住居系エリアが大多数を占め、商業・工業系は数えるほどしかなかったのを覚えている。いまはその逆で、商業系が過半を占めているのではないか。消費者のニーズが居住環境より利便性を重視するように変化したのか、デベロッパーがそのように誘導したのかは分からない。

 

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「グラン レ・ジェイド三宿通り」 

日本エスコンは62日、最上位ブランド〝グラン〟を冠した「グラン レ・ジェイド三宿通り」が販売開始からほぼ1か月、531日に完売したと発表した。

物件は、東急田園都市線池尻大橋駅から徒歩14分・三軒茶屋駅から徒歩14分、世田谷区池尻一丁目に位置する6階建て全10戸(会員優先分住戸5戸含む)。一般分譲5戸の価格は20,990万~25,490万円。平均坪単価は820万円。入居予定は20263月。

外観は、カーテンのように波打つデザインにより外壁が光と影のコンストラストを演出し、平均専有面積100㎡超で、ルーフバルコニーや専用ガレージ付き住戸など多彩なプランを用意。一般エントリーを41日に開始し、これまでのエントリー数は約520件。販売開始は421日から。

全戸にホワイエ(屋内廊下)土地の価値を最大限引き出す日本エスコン「渋谷富ヶ谷」(2017/4/24

ライトコート付きのプラン秀 日本エスコン 首都圏初の〝グラン〟「若松町」(2016/11/4

 

 

 

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 マンション管理業協会は515日に行われた恒例の記者懇親会で、同協会と不動産情報サービスのアットホームが連携し、横浜市立大学の「マンション管理適正評価制度の情報開示が市場価格に与える影響」に関する研究を支援すると報告した。

アットホームは、同協会から提供を受けたマンション管理適正評価の登録情報を「不動産情報サイト アットホーム」に202211月から掲載している。今回の研究は、中古マンションの購入者側の情報の不足、情報の非対称性が著しい現状に着目し、同制度の情報が価格に与える影響を可視化するというのが目的。

同様の調査・研究は昨年4月、横浜市立大学(国際教養学部・齊藤広子教授)と同大(データサイエンス学部・鈴木雅智准教授)が行っている。オール満点の★5つのうち3以上のマンションは評価を取得していない物件と比べ価格は高く、11%の価格プレミアムが生じていると報告している。今回の調査・研究はその第2弾。

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 同制度は20224月にスター。良好なマンション管理が市場で適正に評価されるよう★の数(満点は★5つ)で〝見える化〟するのが目的だ。3月末の登録件数は8,250件となっている。

 この日の同協会の報告を受け、記者はてっきりアットホームの物件情報サイトに掲載されている★が付いているマンションは、近傍同種の物件と比較して価格が高いのか低いのかすぐ分かるものだと思った。

 ところがそうではなかった。調査・研究の結果報告は1年くらい先で、個別物件の価格がどのような評価を受けたかは公表されない可能性が高い。

 これにはがっかりした。学者・先生が★の多寡を数値的に処理し研究するのはいいことだが、調査期間が1年だとすれば、調査に要する時間とエネルギーをお金に換算したら多額に上るし、しかも、その結果報告はマンション購入検討者には届かない。

 いま必要なのは、★が付いたマンションを増やすことで、★の数が多いマンションほど市場で高い評価(価格)を受けていることを伝えることだ。

 学者・先生の研究を待たなくても、中古市場に精通した不動産流通会社の担当者なら★がついているマンションの属性、質がどのようなものかすぐ分かるはずで、近傍同種の物件との価格差も瞬時にはじき出せるはずだ。

 その担当者がはじき出した査定価格が適正かどうかの根拠となっているものの一つにレインズデータがある。レインズ情報は登録している不動産会社しか利用できず、消費者など一般の人がどのようなテータが搭載されているか知ることはできない。記者がある不動産会社でちらっと見た限りでは、成約価格の履歴もわかる。まさに〝打ち出の小槌〟だ。

 今回の同大学の調査・研究も、このレインズデータを利用できればいいのだが、もレインズデータの扱いは厳しく、以下のような規制がある。

 (1)会員(不動産会社)は、レインズ情報を、購入や売却等を検討する顧客への物件紹介、また取引価格を設定する根拠として明示すること等の不動産取引を成立させるため以外の目的で利用することはできません。レインズ情報を用いたデータベースや不動産検索サービス等を第三者に提供する行為や、レインズ情報を直接顧客に検索・閲覧等させるようなサービスを提供する行為は目的外利用に該当します。

(2)会員は、レインズ情報を、媒介行為その他の宅地建物取引業の用に供する目的以外の目的で利用し、利潤を得ることはできません。また、利潤を得ていない場合も、上記(1)の目的以外の目的で同情報を外部に提供・開示すること自体が、レインズ利用規程第14条第3項及びレインズ利用ガイドラインに違反します。

このように、レインズ情報は不動産会社が独占的、排他的に利用できるものだ。情報の非対称性がこれほどはっきり明示されている事例はほかにあるのか。同大学もレインズ情報にはアクセスできないはずだ。

だが、しかし、先にも書いたように仲介会社は、レインズデータに頼らなくても、独自のデータから★付きマンションの価値(価格)判断は瞬時にできるはずだ。登録件数が少ない今だからこそやるべきだと思う。同制度が世の中に浸透し、みんな★5つか★4つになったら、情報の希薄化が進み、価値判断の材料にならなくなる。

マンション管理適正評価 ★5つは11%のプレミアム 横浜市立大・齊藤教授らが報告(2024/4/2

 

 

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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は5月12日、首都圏の2025年4月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,950件(前年同月比21.5%増)となり、6か月連続で増加。新規登録件数は15,885件(同6.0%減)で24年3月から14か月連続で減少。在庫件数は44,008件(同4.4%減)で12か月連続で減少した。

 成約㎡単価(坪単価)は前年同月比3.9%増の81.11万円(坪267.7万円)となり、20年5月から60か月連続で上昇し、90年11月の80.14万円(坪264.5万円)を上回った。前月比も2.7%の上昇。新規登録㎡単価は前年同月比25.7%増の92.61万円(305.6万円)となり、12か月連続で上昇した。前月比も。

 成約価格は、5,047万円で前年同月比0.6%増と、ほぼ横ばいながら6か月連続で上昇。専有面積は62.22㎡で、前年同月比3.2%減となった。

 中古戸建て成約件数は1,777件で前年同月比45.3%増となり、6か月連続で増加。平均価格は3,804万円で前年同月比5.7%減と2か月連続で下落。

 土地面積は151.06㎡(前年同月比1.1%増)、建物面積は102.09㎡(同2.0%減)となった。

 

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 三菱地所は5月12日、2025年3月期決算を発表、売上高1兆5,798億円(前期比5.0%増)、営業利益3,092億円(同11.0%増)、経常利益2,629億円(同9.0%増)、純利益1,893億円(同12.4%増)となり、売上高、営業利益、純利益は過去最高を記録。ROEは7.6%となり、通期予想7.2%から大幅に向上。

 セグメント別では、コマーシャル不動産事業は売上高5,388億円(前期比396億円増)、営業利益1,246億円(同99億円増)。オフィスビルは、堅調なリーシング等により増収となり、商業施設及びアウトレットモールは、店舗売上の増加等により、ホテルは、稼働率の上昇等により増収となった。

 丸の内事業は、売上高3,945億円(前期比135億円増)、営業利益961億円(同9億円減)。丸の内オフィスの2025年3月末の空室率は1.73%。

 住宅事業は、売上高4,219億円(前期比230億円増)、営業利益480億円(同91億円増)。マンション計上戸数は1,787戸(前期2,271戸)。完成在庫は67戸(前期53戸)。

 海外事業は、売上高襟上げ打間営業収益は13,583百万円減収の1,601億円(前期比135置く円減)、営業利益458億円(同56億円減)。米国、英国の前期の物件売却の反動等により減収となった。

 投資マネジメント事業は売上高409億円(前期比100億円増)、設計監理・不動産サービス事業は売上高821億円(同89億円増)。

 次期業績予想は、売上高1兆8,500億円(前期比17.1%増)、営業利益3,250億円(同5.1%増)、経常利益2,700億円(同2.7%増)、純利益1,950億円(同3.0%増)を見込む。ROEは8%程度を予定。年間配当は46円(前期43円)の増配の予定。

◇      ◆     ◇

 記者が驚いたのは国内分譲マンションの数値だ。売上高は1,596億円(前期比0.2%増)、計上戸数は1,787戸(同21.3%減)、粗利益率は28.6%(同2.7ポイント増)、完成在庫は67戸(同14戸増)となった。次期予想は売上高2,020億円(同26.6%増)、計上戸数は1,700戸(同4.9%減)、粗利益率は35.0%(同6.4ポイント増)になると公表した。

 売上高、計上戸数はそれほど驚くに値しない。今期予想の売上高を計上予定戸数で割った1戸当たり平均価格は1億1,882万円(前期は8,932万円)となり、三井不動産の1億4,286万円(前期は1億225万円)に次ぐ数値だが、驚いたのは粗利益率だ。

 35.0%という数値はいかに高いか。バブル期の数値は思い出せないのだが、バブル崩壊後の37年間でこれほど高い数値を記録したのは同社にとって初めてのはずだ。かつてリーマン・ショック時には10%を割り込んだ年もあった。20%台に乗ったのもここ数年だ。

 記者は、バブル崩壊後で粗利益率が30%を超えたデベロッパーは東京建物しか知らない。同社は2017年12月期で33.3%(計上戸数971戸)、2022年12月期で33.3%(同1,435戸)、2023年3月期で33.4%(同1,058戸)を記録している。三菱地所は東京建物の記録を抜く。

 この他、住友不動産も高い数値を示している。2024年3月期の販売事業の粗利益率は27.8%だ。同社の2025年3月期決算発表は本日5月13日だ。30%超となるかもしれないが、35%には届かないと見た。

 もう一社、三井不動産も直近は30%を超えている可能性がある。同社の2025年3月期の国内分譲住宅の売上高は4,135億円で、営業利益は964億円、営業利益率は23.3%となっているが、同社は粗利益率は公表していない。

 いずれにしろ、粗利益率が35%というのはバブル崩壊後では業界初の可能性が高い。

三井不動産今期マンション計上予定2,800戸平均価格は14,286万円に(2025/5/10)

カテゴリ: 2025年度

三井不動産 分譲マンション売上高・計上戸数・平均価格・完成在庫の推移

年度

売上高

(億円)

計上

戸数

平均価格

(万円)

完成在庫

(戸)

2000 2,210 4,831 4,575 140
2001 2,409 5,333 4,518 175
2002 2,286 5,118 4,467 485
2003 2,542 5,566 4,567 455
2004 2,974 5,130 5,798 490
2005 1,809 4,341 4,167 236
2006 2,024 4,487 4,510 267
2007 2,346 5,240 4,477 453
2008 2,749 5,206 5,281 826
2009 2,565 4,651 5,515 872
2010 2,660 5,455 4,877 638
2011 2,138 4,512 4,739 380
2012 2,362 4,956 4,765 223
2013 2,955 6,557 4,506 170
2014 2,495 4,858 5,136 83
2015 2,534 4,391 5,772 88
2016 2,772 5,200 5,330 321
2017 2,470 3,707 6,663 108
2018 2,522 3,283 7,683 141
2019 2,360 3,194 7,390 128
2020 2,903 3,775 7,689 150
2021 2,067 3,208 6,442 82
2022 2,356 3,196 7,373 55
2023 2,806 3,280 8,554 24
2024 3,776 3,693 10,225 32
2025 4,000 2,800 14,286  

 ※2025年度は同社の業績予想

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 既報の通り、三井不動産は5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高は13期連続、営業利益、経常利益、純利益は3期連続で過去最高を更新した。また、記者は決算発表の2日前の5月7日付で「三井不動産2025年3月期決算 絶好調マンション 計上3,650戸 平均価格1億円超へ」と題する予想記事を書いた。計上戸数は予想より43戸多い3,693戸となったが、平均価格は予想通り10,225万円となった。今期の計上戸数は大幅に減少する見込みだが、1戸当たり平均価格はさらに上昇して14,286万円になる模様だ。

 別表・グラフを見ていただきたい。2016年度は計上戸数5,200戸で、1戸当たり平均価格は5,330万円、完成在庫は321戸だ。その後、計上戸数は減少しているものの平均価格はほぼ上昇の一途で、2024年度の平均価格はついに1億円を突破した。この9年間で2倍近くに上昇したことになる。

 注目すべきなのは、今期の業績予想だ。営業収益は前期比224億円増の4,000億円で、計上予定戸数は前期比893戸減の2,800戸だ。この通りだと、1戸当たり平均価格は4割近くアップの14,286万円になる。

 平均価格が大幅に上昇するのは、同社が幹事会社となっている「HARUMI FLAG SKY DUO」1,455戸(事業比率は未公表)、「パークコート ザ・三番町ハウス」193戸、「パークシティ高田馬場」325戸などの大規模・高額マンションが計上されるからだ。期初の計上予定戸数に対する契約進捗率は88.5%に達しているので、計画通り引き渡しが完了するのは間違いない。

 今期だけでなく、価格上昇は来期以降も続く。 「パークコート青山高樹町 ザ タワー」85戸、「パークシティ中野」807戸、「パークシティ小岩 ザ タワー」731戸、「パークタワー向ヶ丘遊園」241戸などか続々竣工する。

 三井不動産レジデンシャルの販売用不動産は用地取得関係費の期末残高は2.5兆円に上っている。同社だけでなく、大手デベロッパーは軒並み都心部の高額・再開発にシフトしている。野村不動産も総額23,560億円相当分(戸数換算19,760戸)の分譲用地のストックを確保していると公表した。競争は激化するが、よほどの景気変動がない限り、都心部の高額マンション坪単価は3,000万円以上、20坪で10億円以上になると記者は見ている。

 完成在庫について。記者は5月7日付の記事で、「完成在庫数は3Q末の9戸を上回るか下回るかは不明だ。販売戦略上『三田』は未分譲住戸が数十戸ある模様で、そうだとすると〝完成在庫〟としてカウントされる可能性もある」と書いた。期末の完成在庫数は32戸だ。同社はこの32戸に「三田」が含まれているかどうかはコメントしなかった。

 そこで提案だ。完成在庫の定義を変更してはどうか。野村不動産ホールディングスは数年前から完成在庫を「販売中」と「未販売」に分けて公表している(今期末は「販売中」が248戸で、「未販売」は279戸)。同社に倣って「販売中在庫」と「未販売在庫」にわけてはどうか。

三井不動産2025年3月期決算増収増益売上高、営業利益、純利益は過去最高更新(2025/5/10)

三井不動産 2025年3月期決算絶好調マンション計上3,650戸平均価格1億円超へ(2025/5/7)

「HARUMI FLAG」タワー棟第1期573戸平均15.3倍で即日完売坪単価421万円(2023/7/18)

 

 

カテゴリ: 2025年度

三井不動産 分譲マンション売上高・計上戸数・平均価格・完成在庫の推移

年度

売上高

(億円)

計上

戸数

平均価格

(万円)

完成在庫

(戸)

2000 2,210 4,831 4,575 140
2001 2,409 5,333 4,518 175
2002 2,286 5,118 4,467 485
2003 2,542 5,566 4,567 455
2004 2,974 5,130 5,798 490
2005 1,809 4,341 4,167 236
2006 2,024 4,487 4,510 267
2007 2,346 5,240 4,477 453
2008 2,749 5,206 5,281 826
2009 2,565 4,651 5,515 872
2010 2,660 5,455 4,877 638
2011 2,138 4,512 4,739 380
2012 2,362 4,956 4,765 223
2013 2,955 6,557 4,506 170
2014 2,495 4,858 5,136 83
2015 2,534 4,391 5,772 88
2016 2,772 5,200 5,330 321
2017 2,470 3,707 6,663 108
2018 2,522 3,283 7,683 141
2019 2,360 3,194 7,390 128
2020 2,903 3,775 7,689 150
2021 2,067 3,208 6,442 82
2022 2,356 3,196 7,373 55
2023 2,806 3,280 8,554 24
2024        

 

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 三井不動産の2025年3月期決算が5月9日に発表される。同社が2024年5月発表した期末業績予想では、賃貸・分譲・マネジメント・施設営業セグメントで事業利益は過去最高となる見通しだ。記者が注目しているのは国内分譲マンションだ。今後、上場デベロッパーの期末決算が発表されるが、同社の数値が飛びぬけて高くなりそうだ。

 同社の2025年3月期3Q決算では、国内分譲マンションは売上高2,008億円、計上戸数2,150戸、1戸当たり平均価格9,340万円、完成在庫9戸(戸建ては25戸)となっている。期末では三菱地所レジデンスとのJV「三田ガーデンヒルズ」1,001戸(事業比率は非公表)が計上されることになり、同社予想では売上高3,800億円、計上戸数3,650戸となっている。戸建てを含む国内分譲事業の売上高は4,200億円(戸建て400億円)、計上戸数は4,100戸(戸建て450戸)、営業利益は960億円、営業利益率は22.9%を予定している。

 この通りだと、マンションの売上高は前期比35.4%増となり、2000年度以降で最高だった2004年の2,974億円を1,000億円近く上回ることになる。1戸当たり平均価格は、2000年以降で最高だった2023年度の8,554万円を上回り1億円を突破することになりそうだ。平均価格が1億円を突破するのは業界初となる。

 完成在庫数は3Q末の9戸を上回るか下回るかは不明だ。販売戦略上「三田」は未分譲住戸が数十戸ある模様で、そうだとすると〝完成在庫〟としてカウントされる可能性もある。いずれにしろ、予定していた計上戸数3,650戸をクリアし、平均価格が1億円を突破しても〝売れ残り〟を出さない-こんなことはかつてなかった。

 過去の数値を見てみると、リーマン・ショックの影響を受けた2009年度は計上戸4,651戸に対して完成在庫は872戸で、在庫率は18.7%に達していた。戸建てを含む住宅事業の営業利益率は3.8%だった。

 

カテゴリ: 2025年度

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先に紹介したように、令和6年度の住宅着工戸数がまとまった。首都圏マンションは53,599戸(前年度比11.2%増)で、都県別は東京都29,630戸(同22.0%増)、神奈川県13,524戸(同5.5%増)、埼玉県4,902戸(同25.1%減)、千葉県5,543戸(同21.8%増)となった。

一方、不動産経済研究所(不動研)は先に令和6年度の首都圏新築分譲マンション市場動向をまとめ発表。これによると、発売戸数は22,239戸(前期比17.0%減)で、過去最少だった1975年度の25,723戸を下回り、1973年の調査開始以来最少となり、販売在庫数は前期比455戸増の6,116戸となった。メディア各社もこれをコピペして〝市場縮小〟を印象付ける記事を書いた。

しかし、これを鵜呑みにするのは危険だ。別表・グラフで示したように、不動研のデータは首都圏市場全体の41.5%しか捕捉(カバー)していない。東京、神奈川は30%台であるのに対し、埼玉、千葉は70%前後だ。実勢を全然反映していない。捕捉率(カバー率)かこれほど低いのは、ここ数年、大規模再開発や建て替えマンション比率が高まり、寡占化が進む大手デベロッパーの情報収集力・資金力にものを言わせた戦略が劇的に市場を変えている。インナー(クローズド)が激増している。

いくつか事例を示そう。まず、再開発・大規模マンションの販売動向について。例えば積水ハウス他「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE(ザ ノースレジデンス)」。メディアは最高価格が25億円(305㎡、坪単価2,687万円)に注目したが、記者は「全然驚かなかった」。それより全484戸のうち実に半数以上の248戸が一般分譲されなかったことに驚いた。

いま人気になっている野村不動産他「URAWA THE TOWER」も全525戸のうち非分譲は45%の234戸に達している。同社は先日、都心エリアでの分譲マンションの供給数を拡大すると発表したが、そのリリースの中で「都心エリアでの高額分譲マンションとして 202410月に『プラウド神宮前』が竣工いたしました。本物件は、明治神宮の緑を望む立地に所在し、隈研吾氏監修の商品企画による外観デザイン・空間設計…順調に販売が進捗いたしました」とあるのだが、記者は全然知らなかった。全76戸がインナー販売された模様だ。

このように一般には公開・販売されないマンションは年間数千戸に達している可能性がある。

次に、建て替えマンションについて。以下は、記者が取材した主な建て替えマンションの戸数と非分譲住戸の戸数を示したものだ。

・「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」248戸(非分譲104戸)
  ・「プロミライズ青葉台」761戸(地権者住戸205戸)
  ・「パークホームズ初台 ザ レジデンス」115戸(一般販売対象住戸65戸)
  ・「クレヴィア渋谷富ヶ谷」35戸(事業協力者住戸13戸)
  ・「プレミストタワー白金高輪」280戸(非分譲住戸127)
  ・「アトラス四谷本塩町」51戸(非分譲23戸)
  ・「ザ・パークハウス早稲田」115戸(事業協力者住戸36戸)
  ・「プラウドシティ阿佐ヶ谷」575戸(権利者住戸188戸)
  ・「ONE AVENUE(ワンアベニュー)一番町文人通り」32戸(事業協力者住戸10戸)
  ・「桜上水ガーデンズ」878戸(非分譲364戸)

以上、10物件の全戸数は3,088戸で、分譲されたのは63.5%、1,960戸となっている。また、旭化成不動産レジデンス「マンション建替え 調査報告書」によると、2024 3月末時点の同社の建て替え事例48物件の区分所有者の再取得率は60%となっている。

これらの結果から、建て替えマンションの約4割は非分譲になっているものと思われる。首都圏で年間どれくらいの建て替えマンションが分譲されているかわからないが、相当数に上っているはずだ。

さらにまた、不動研の調査対象外となっている専有面積が30㎡未満の物件も、このところの投資需要の高まりで年間数千戸が供給されている。これも不動研のカバー率を低くしている要因の一つだ。

完成在庫についても指摘したい。不動研の完成在庫を新規供給数で割ると在庫率は27.5%だ。常識的に考えれば、新規供給量の27.5%が在庫になったら利益は吹っ飛ぶ。危機的ラインだ。しかし、上場デベロッパーのマンション事業は軒並み好調だ。例えば三井不動産。同社の20253月期3Qのマンション販売戸数は2,150戸だが、完成在庫はわずか9戸しかない。同社は公表していないが、粗利益率は30%を超えるはずだ。

ただし、不動研の完成在庫数を着工戸数で割ると11.4%になる。これはまずの数字ではないか。価格先高観が強まっている現状を考えれば、よほど商品企画が劣っていない限り、値引き販売、赤字販売は避けられるはずだ。

以上見たように、着工戸数と不動研の調査データの乖離を関係者も一般の方もきちんと認識することが必要だ。でないと市場を見誤ることになる。

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「UNUS.白金長者丸」

 大成有楽不動産は4月23日、富裕層向け高級賃貸マンションの新ブランド「UNUS.」(ウヌス)の第一弾「UNUS.白金長者丸」のメディア向け見学会を行った。目黒駅から徒歩5分の邸宅街として知られる1低層に位置する、2台駐車可能な専用ガレージ付き163㎡など全16戸。車を運転しない記者は唖然、茫然するほかなかったが、価格25億円の「グラングリーン大阪」の事例もあるので、お金持ちには支持されるのだろうと思った。

 物件は、JR・東急目黒線・東京メトロ南北線目黒駅から徒歩5分、品川区上大崎二丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150)に位置する敷地面積約1,053㎡、地下1階地上3階建て全16戸。専用面積は58.68~166.66㎡。坪賃料は2万円台~。竣工は2025年5月。設計・監理は陣設計。施工は北野建設。

 「UNUS」はラテン語で、「ひとつの」「唯一の」意味。「UNUS.」には「日常(USUAL)」と「非日常(UNUSUAL)」の狭間にある唯一無二の特別な空間を提供する想いが込められている。

 現地は、閑静な邸宅街の一角。道路を挟んだ敷地南側は大田区の「みどり大賞」受賞している賃貸マンション、北側は大建ドムスとともに高額マンション〝ペアシティ〟として知られた東高ハウスが売主で、施工が竹中工務店の1993年竣工の「ミュゼ白金長者丸」23戸。

 専用面積163㎡の住戸のプライベートガレージは広さ約47㎡。床は石張り、電動シャッター、空調機、スロップシンク、電気自動車充電器付き。居室の中から車がみえるようにしている。このほか120㎡台のメゾネット4戸など100㎡超は10戸。

 主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2620ミリ、ZEH-M Oriented、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、食器棚、親子ドア、ナグリ調ドア仕上げ、タンクレストイレ、幅800ミリトイレドア、天カセなど。

 同社投資開発本部投資開発事業部 事業室(第一)係長・野澤徹氏は「2014年に賃貸マンション事業を開始してからこれまで約30棟の実績を積み上げてきましたが、新シリーズはピン立地の唯一無二の立地にふさわしい富裕層向けとしました。大型ガレージ付きの賃貸は希少性が高く、内覧の予約が約10件入っています」と話した。

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プライベートガレージ(完成予想図)

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プライベートガレージ付き住戸のエントランス

◇        ◆     ◇

 現地に着いたとき、40年近く昔のバブル発生の頃の出来事が蘇った。現地の少し先に1987年竣工の5階建て「ヴェラハイツ目黒ガーデン」79戸があるが、公庫融資対象外だったため、ほとんどの住戸を不動産業者が買い占めたのを取材したことがある。坪単価は1,000万円を超えていたはずだ。

 今回の物件は、目黒駅から徒歩5分の1低層だ。分譲マンションが取材フィールドの記者は土地を見るとマンション価格に置き換えるのが習い性になっている。すぐ単価を予想した。最低で坪1,500万円と評価したのだが、ガレージ付きは希少価値を考慮して坪1,800万円、グロスで8.9億円とはじいた(もっと高いか。坪2,500万円もありうる)。不動産鑑定士(後で知ったのだが)の野澤氏は笑うだけで何も話さなかったが、瞬時に頭の中でそろばんをはじいていたはずだ…〝狂乱地価〟は始まったばかりだ。少なくともこれからの数年間、不動産鑑定士のそろばんは役に立たない時代がやってくると記者は考えている。アッ、肝心のガレージ付きの賃料を聞き忘れた。〝8.9億円で購入したい〟人が現れたらどうするのだろう。破格の値で売るのか、低い賃料で貸すのか、難しい選択だ。

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エントランス(正面は世界最高級のスウェーデン産の黒御影石のモニュメント)

女子大近接する高台一等地大成有楽不学生賃貸「文京護国寺」満室稼働へ(2025/2/27)

〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない「グラングリーン大阪」タワマンに絶句(2023/10/23)

 


 

 

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