新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気

「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
今年のマンション見学のおおとりはこの物件以外にない。三井不動産レジデンシャルの「パークコート赤坂檜町ザ タワー」だ。採用が決まった新国立競技場のA案を提案した建築家・隈研吾氏がデザイン監修した分譲全197戸が億ションで、しかもすさまじい勢いで売れた(未分譲は3戸のみ)、都心人気を象徴する今年の代表的物件だ。
物件は、都営地下鉄大江戸線六本木駅から徒歩7分、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩3分、港区赤坂9丁目に位置する44階建て全322戸(地権者住戸125戸含む、一般販売住戸163戸、事業協力者販売住戸34戸)。専有面積は57.61~203.96㎡、価格は1億4,920万~15億円。坪単価は1,000万円弱。入居予定は平成30年4月下旬。施工は大成建設。デザイン監修は隈研吾氏。
最終分譲3戸は平成28年1月下旬の予定。価格は1億5,220万(57.61㎡)~5憶8,000万円(136.83㎡)。
再開発手法による東京ミッドタウン・檜町公園に隣接した初のタワーマンションで、デザイン監修を隈研吾氏が担当しているのが最大の特徴。マンション南側からは眼下に公園が広がり、360度の都心の眺望が展開する。
ミッドタウンと地続きのデッキでマンション3階エントランスとつなぎ、赤坂通りとは1階サブエントランスとつながっている。
マンションを大きな1本の樹木に見立て、敷地内には竹林をはじめ四季折々の樹木、グリーンカスケードを配し、壁面緑化も図っている。エントランスは「土」がテーマ。挟土秀平氏のオブジェに水盤、土壁、天井和紙などで幽玄な世界を描いている。3階ラウンジにはいかにも隈氏らしい木調ルーバー天井に檜練り付け板とミラーの大和張り。
建物は免振と制振を組み合わせ、屋上にはAMD(制振装置)を設置。「地層」「石・水」「大地」から「枝」「幹」「道管」「洞」「雫」「樹皮」「樹冠」をイメージした装飾デザインが施されている。外観フィンにランダムに配した光のライティングは照明デザイナーの岡安泉氏が担当する。
モデルルームは、106㎡と157㎡の2つ。前者は同社の「千鳥ヶ淵」「麻布霞町」「千代田富士見」なども担当した鬼倉めぐみ氏が担当。天井高は2700ミリ、サッシ高は2400ミリ。自然石にガラス素材もふんだん用いている。R状のデザインをキッチンや織り上げ天井に採用しているのが特徴。
後者は、鬼倉氏と同じ「千代田富士見」を担当した押野見邦英氏。天井高は3150ミリ、サッシ高は2700ミリ。桧垣文様とヒッコリーと呼ばれる北米の堅い木が多用されている。壁は職人仕上げの塗り壁。リビングダイニングは約36.4畳大、キッチンは約9.3畳大、マスターベッドルームは約25.2畳大。浴室は10畳くらいか。
9月にモデルルームをオープンして以来これまで約1,100組の来場者を集め、11月から分譲開始。分譲163戸のうち160戸が分譲済みだ。
同社開発事業本部 都市開発第一部 営業室主査・大栗裕樹氏は、「来場者の方は、ミッドタウンの隣にタワーマンションが建つとは思っていなくて、みんな驚かれる。ミッドタウンとつながっているランドスケープデザイン、さらには赤坂・六本木はまだまだ伸びしろがあると評価されており、これと隈さんのデザインがマッチしたのが人気の要因」と話した。

屋上のグリーンキャノピー

外壁のヒノキフィン
◇ ◆ ◇
このマンションについては2年前、大和ハウスが東大に隈氏が設計した「ダイワユビキタス学術研究館」を寄贈したとき、隈氏から直接この「赤坂檜町」を担当することを聞いた。2年越しの恋が実ったような気分だ。このマンションを見学せずして年は越せないとも思っていた。
もう少し早く見学したかったのだが、取材を申し込んだときにはお客さんが殺到しており、今回になってしまった。残りはあと3戸のみ。1月末に抽選分譲されるが、倍率がつくかもしれない。
物件のすばらしさは言うまでもない。億ションは数え切れないほどたくさん見てきたが、これもまたいい。
隈氏がデザイン監修するのは首都圏では「原宿」「神楽坂」「東池袋」に次ぎ4物件目。タワーマンションではこれが初めてだ。外壁に木調フィンを張ったり、板を1枚おきに重ねて貼る大和張り、ランダムに貼るガラスや木調ルーバーはいかにも隈氏らしいデザインだ。
鬼倉氏が提案しているガラス製のアクセントウォールは黒か濃紺か得も言われぬ複雑な輝きがあった。照明類はバカラ、把手はスワロフスキー。
押野見が提案している桧垣文様がいい。ヒッコリーを張ったキッチンは300万円でも買えないだろう。10畳大もある浴室は海外のラグュアリーホテルでは当たり前だそうだが、どのように使うのだろうかと考えてしまった。IHはガゲナウ社製で、カウンターとまっ平らで、鍋を置く位置を示す丸い線が入っておらず、どこでも置けばいいとのことだった。
地権者住戸や事業協力者住戸を含め全322戸が1億円以上というのはわが国初だ。しかもわずか2カ月でほぼ完売というのもかつて例がない売れ行きだ。東京建物の「目黒」も霞んでしまうほど衝撃的なマンションだ。
同業や一般の方は、さぞや外国人の購入が多いのではと考えるだろうが、大栗氏による意外に少なく、1割もないという。

3階ラウンジ

1階ラウンジ
新国立競技場 隈氏のA案か伊東氏のB案か 木造ファンの記者はもちろんA案(2015/12/17)
屋上に里山とせせらぎ、格子デザインも美しい 豊島区新庁舎が完成(2015/3/26)
「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成 三井不動産レジデンシャルが見学会(2010/8/20)
驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 三井不動産・東電不動産「パークコート神宮前」(2008/11/19)
不動産鑑定士業界 「住宅」評価に注力 不動産価値にお墨付き
自民党の「中古住宅市場活性化に向けた提言-『中古市場に流通革命を』-」に日本不動産鑑定士協会連合会(JAREA)が開発した中古戸建て住宅の積算価格査定システム「JAREA HAS」と、重要事項説明書、建物診断(インスペクション)、シロアリ点検調査報告書をもとに中古住宅の適正価格を査定するワンストップサービス「住宅ファイル制度」が具体的に盛り込まれたことから、JAREAが中古住宅の評価に関与する動きが強まっている。
JAREAは平成23年6月、「不動産鑑定業将来ビジョン」を策定し、従来の鑑定評価「単一型ビジネスモデル」から「多様型ビジネスモデル」への転換を打ち出し、今後業務の拡大が期待される分野として「住宅」を掲げ、ビジネスモデルの研究・開発に取り組んできた。
そして平成25年11月に住宅ファイル制度を提言して以降、JAREAの活動は加速し、今秋から近畿を中心に不動産業界向けに活動を強化している。業界向けの説明会には1回当たり100名を超える参加者があるという。
活動を強化していることについて、JAREA住宅ファイル制度特別委員会副委員長・村木康弘氏は、「ポイントは民法の改正です。平成27年3月、民法改正要綱案が閣議決定され、次の国会で審議が始まると思いますが、現行では規範重視、つまり不動産慣行ルールが認められているのに対して、改正民法では欧米型の契約重視、契約内容や契約違反の有無を個々の契約文言によって判断するようになります。不動産売買では取引の対象となる住宅の仕様や維持管理の状態等についてきちんとした報告書を作成することがトラブルを防ぎ取引を円滑にすることにつながります」と話す。
戸建ての場合、建物の価値が築20年でゼロとなるような従来型の査定を改め、土地と建物をそれぞれ評価し、建築士(インスペクター)による建物診断、防蟻業者によるシロアリ点検保証と不動産鑑定士の住宅価格調査をセットにした住宅ファイルを添えて契約することをJAREAは提案している。
住宅ファイルが適切かどうかを買主がチェックし、相違がある場合は売主に対して修繕や減額を申込みことができるようにし、売主が応じない場合は契約を解除できる特約条項も盛り込むことを提言している。
「不動産の仲介の営業マンだって建物の評価はプロではありませんし、インスペクター、シロアリ業者などと私どもが一緒になって、どの場面でも使えるスキームにして将来価値を含めた不動産の価値のお墨付きを行おうというもの。JAREA HASの精度も高いと自負している」と村木氏はいう。
住宅ファイルはワンセットで約16万円を予定している。現段階では費用は売主が負担する形をとっている。
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不動産鑑定士とはどのような職種で、現状はどうなっているかを概観しよう。
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格で、不動産鑑定士試験に合格した者のみが一定の手続きを経て不動産の鑑定評価を行うことができる。法律に違反した場合は刑事罰の対象にもなる。
不動産鑑定士の試験範囲は多岐にわたり、40近くの法律法規と不動産の鑑定評価に関する理論の理解が求められる。試験は、マークシートの短答式(宅建は4肢択一だか鑑定士は5肢択一)のほか論文も課される。
難易度が高いためとバブル崩壊後のデフレ経済の進行により受験者は漸減しており、平成18年の約4,600人から27年度は約1,500人へと3分の1へ減少している。合格率は6%程度で推移しており、合格者の年齢はほとんどが30歳以上となっている。
国土交通省 土地・建設産業局の平成24年度「不動産鑑定士・不動産鑑定業の現状」によると、不動産鑑定業者のほとんど97.6%が都道府県知事登録で、業者数は10年前と比較して415業者(14.0%)増の3,375業者となっている。
不動産鑑定士は、10年前と比較して352名(7.5%)増の5,057名で、うち1,025名が大臣登録業者に所属している。
不動産鑑定業者の依頼先別報酬割合は民間法人が83.1%(平成12年は68.0%)、国・地方公共団体、公団などが15.7%((同9.6%)、個人は1.2%(同2.0%)。一方、知事登録業者は民間法人が53.3%(44.9%)国・地方公共団体・公団などが13.6%(同46.6%)となっている。
不動産鑑定業者1業者当たりの平均報酬額は、大臣登録業者は横ばい、知事登録業者は減少傾向にあり、知事登録業者の22年度報酬額は721万円(平成12年は1,053万円)。
不動産鑑定士1人当たり平均報酬額は、大臣登録業者は1,246万円(同1,342万円)、知事登録業者は589万円(同822万円)。
大臣登録業者の依頼目的は「売買」「担保」「資産評価」で約7割を占め、「証券化」が増える傾向にある。知事登録業者は「課税」が40.6%(24.8%)を占めている。
このように、何年も勉強し難しい試験に合格した割には厳しい罰則もあり、報酬は伸び悩んでいる-これが不動産鑑定士業界の現状だ。不動産鑑定士業界が、これまで携わってこなかった住宅分野に進出しようとしているのは、業界が掲げるスローガン「官から民へ」が象徴するように、住宅分野へ進出することによって停滞気味の現状を打破しようということのようだ。
一方、国は住宅のストックが量的に充足し、環境問題や資源・エネルギー問題が深刻化する中で、これまでの「住宅を作っては壊す」社会から「いいものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会へと移行することが重要であるとし、中古住宅流通・リフォーム市場規模を2010年の10兆円から2020年には20兆円へと倍増させようとしている。
そのための具体的な方策として、①消費者にとって必要な情報の整備・提供②不動産価格の透明性の向上③先進的な不動産流通ビジネスモデルの育成・支援④宅建業者と宅建士の資質の向上⑤住み替え支援とストックの流動化の促進-に取り組んでおり、不動産鑑定士業界もその流れに沿ってビジネスモデルの研究・開発に取り組んでいる。
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不動産鑑定士業界の不動産流通分野への進出が成功するかどうか。現状では不透明の部分もある。
報酬額もその一つだろう。建築士(インスペクター)による建物診断、防蟻業者によるシロアリ点検保証付きとはいえ、16万円という価格に消費者はどう反応するか。大手のハウスメーカー系やデベロッパー系は、似たようなサービスを無料で提供しているところもあるように、不動産鑑定士によるサービスは、全宅連系の「社会的信用力」を補完する役割にとどまることも予想される。
個人的な意見を言わせていただくなら、どうして中古住宅の売買で「宅建士」「建築士」「不動産鑑定士」の3つもの「士」が連携・協力しなければ「安心・安全」が担保されないのか、それだけ劣悪な戸建てがどんどんストックされ、今現在も再生産されているということなのだろうか。
細田工務店 「低炭素住宅」「環境共生」ダブル認定の「杉並成田西」

「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」
細田工務店は12月18日、「認定低炭素住宅」と「環境共生住宅(システム認証)」を取得した分譲戸建て「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」(全20区画) の記者見学会を行った。
「認定低炭素住宅」制度は、建築物の低炭素化を図ることで低炭素・循環型社会の構築を目指す制度で、2014年12月に施行された。一定の基準を満たせば住宅融資、税制面で優遇する措置が取られる。
創エネとしてエネファームを採用した「アクティブ・エコ」と、サッシ形状、雨水タンク、こもれびツリー、スルーウォールなどの「パッシブ・エコ」を組み合わせることで、省エネ法の省エネ基準に比べ一次エネルギー量が10%以上削減される。
配棟計画では、近くを流れる善福寺川の緑地からの風の流れを解析し、街全体のゾーニングや各住宅の窓形状と位置を検証してプランニングしているのも特徴。
物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩14分、杉並区成田西2丁目の建蔽率40%、容積率80%の地域に位置する全20棟。敷地面積は113.05~119.70㎡、建物面積は89.90~93.77㎡、価格は未定だが、6,000万円台から7,000万円台が中心になる模様。構造は軸組み工法で2階建て。竣工予定は平成27年12月から28年3月。販売開始は平成28年2月中旬。

玄関とは別の扉が付いた自転車置き場
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同社施工の他社分譲の戸建ては結構見学しているのだが、同社が分譲する戸建ては久々に見学した。なかなか意欲的な物件だ。
もちろん「認定低炭素住宅」「環境共生住宅」の認定を受けて、細かな点にも環境への配慮に取り組んでいることを強調したいのだが、一つ驚いた企画がある。
分譲戸建てを見学するたびに、自転車置き場がないことから敷地の外に置かれているのを見る。どうして自転車置き場を設けないのか不思議に思ってきた。
ところがどうだ。この物件には車庫スペースとは別に「自転車置き場」が設けられているではないか。畳3畳分くらいはあり、立派な門扉もついており、水道栓もセットになっている。
同社によると、お客さんの声を企画に反映させた結果で、全てではないが、敷地条件が整えば設置するようにしているという。
こうした細かな配慮がお客さんの感動を呼ぶ。もっとストレートにアピールすべきなのに、これも同社の社風なのか、同業他社と比べ控えめなのが正直に言えば歯がゆい。構造材などはほぼ100%国産材というのも他社にないアピールポイントだ。

植栽とスルーウォール(壁に穴が開いているのがわかる)
新国立競技場 隈氏のA案か伊東氏のB案か 木造ファンの記者はもちろんA案

A案(技術提案書よりJSC提供)

B案(技術提案書よりJSC提供)
新国立競技場の技術提案書が日本スポーツ振興センター(JSC)から発表された。応募したのは2つのグループで、A案は隈研吾氏・大成建設・梓設計、B案は伊東豊雄氏・竹中工務店・清水建設・大林組・日本設計によるものと報道されている。
案が公表されてから、様々な形で報道されているので詳細は省くが、双方とも素晴らしい。わが国を代表する建築家とスーパーゼネコンの競演となるわけで、これ以上の舞台はない。
個人的には国産材のスギやカラマツがふんだんに用いられているA案に賛成だが、デザイン的には1辺が1.3~1.5mもある四角のカラマツの集成材72本を列柱として配したB案も捨てがたい。双方のいいと取りをしてほしいのだが、そのようにはならないのが残念だ。
さて、どちらが採用されるか。以下は木造ファンの記者の独断と偏見の予想記事だ。
われわれ素人は公表されたデザイン(完成予想図)で判断するが、JSCは①業務の実施方針(20点)②事業費の縮減(30点)③工期短縮(30点)④維持管理抑制(10点)⑤ユニバーサルデザインの計画(10点)⑥日本らしさに配慮した計画(10点)⑦環境計画(10点)⑧構造計画(10点)⑨建築計画(10点)-の9項目(満点は140点)に係数をかけて採点する。外観デザインや「日本らしさ」などは配点が少ないので、これがどう影響するか。そもそも「日本らしさ」とは何ぞやと問われて明快に答えられる人などいないはずだ。
とはいえAかBか、JSCは決着をつけなければならない。選ぶのは次の7名からなるJSCの技術提案等審査委員会だ。
審査委員
秋山哲一・東洋大学教授
工藤和美・建築家/東洋大学教授
久保哲夫・東京大学名誉教授
香山壽夫・建築家/東京大学名誉教授
深尾精一・首都大学東京名誉教授
村上周三・東京大学名誉教授(審査委員長)
涌井史郎・東京都市大学教授
(50音順)
この委員のうちA案を熱烈に支持するのは涌井氏だ。他の先生方は建築が専門であるのに対し、涌井氏の専門はランドスケープデザイン。森林・林業の荒廃を憂慮されており、国産材が多用されているA案に肩入れするのは間違いない。最近はテレビのコメンテーターとしても活躍されており、話術も巧みだ。正攻法でもからめ手でも相手を説き伏せる。
他の方はわからない。香山氏や工藤氏も木を用いた作品をたくさん造られているが、選択に迷うのではないか。涌井氏に丸め込まれるような人でもなさそうだ。
秋山氏は構造が、久保氏は耐震がそれぞれ専門だ。シンプルで施工がしやすいと思われるB案を選ぶかもしれない。総工費は双方とも1,500億円弱だが、A案の工期は36カ月で、B案は34カ月。B案のほうが2カ月短い。これは明らかにB案が勝る。A案支持者はこれをどう反駁するか。森林の効用を涌井氏はぶつはずだ。
深尾氏はニュートラルの立場を貫くのではないか。あの杭打ちデータ流用問題では、国交省・対策委員会委員長としてわずか2カ月で対応策をまとめ挙げたように、うまく収めようとするのではないか。
こうしてみると、A案もB案も甲乙つけがたく、がっぷり四つに組んだまま勝敗が決まらない場面も十分予想される。
となると、審査委員長を務める村上氏がキャスティングボートを握る。村上氏は現在、建築環境・省エネルギー機構の理事長を務めており、ことあるごとに省エネ、サステナブルを口にされる。やはり鉄やコンクリより木を愛されているはずで、Aに軍配を上げると見た。よって評決は4:3でA案の採用が決まる。
森喜朗会長のコメントに左右される委員ではないだろうが、少なくとも国民は逆にA案支持に回るはずだ。「森さんは(自分が嫌われるのを承知のうえ)A案に支持が集まるように発言したのでは」とうがった見方をする人もいるが…。
明日(18日)は、隈研吾氏がデザイン監修した三井不動産レジデンシャルの「パークコート 赤坂檜町ザ タワー」を見学する。素晴らしいマンションだろうから、きちんとレポートする。
◇ ◆ ◇
JSCから新国立競技場の技術提案書が公表された翌日12月15日夕、農林水産省は林業関係9団体の長らと意見交換を行った。農水省側からは森山農林水産大臣をはじめ伊東副大臣、齋藤副大臣、加藤政務官、農林水産事務次官、農林水産審議官、大臣官房長、総括審議官、林野庁長官、林野庁林政課長が出席した。会議は非公開で行われた。
記者はてっきり「和の大家」隈研吾氏らのA案が選ばれるための決起集会だと判断した。
この年末の忙しい時期に9団体の長と大臣や事務次官などが会合を持たなければならない緊急の事案はほかにないはずで、A案の採用を突破口に森林・林業の再生・活性化の動きを加速させようという狙いだろうと読んだ。
ところが、会議に同席した林野庁の担当者は、「たまたま時期が重なっただけ。会議の冒頭、大臣が『木の案が出されてよかった』というようなことをおっしゃったが、A案が採用されることを企図した会議では全くなかった」と否定した。
設備仕様レベルはトップクラス 日土地「武蔵野富士見 ザ・レジデンス」

「武蔵野富士見 ザ・レジデンス」完成予想図
さてQuestion。「二重床・二重天井」「ディスポーザ」「食洗機」「バックカウンター・カップボード」「ミストサウナ」「平置き駐車場」-この6つの設備・機能をすべて満たしている首都圏マンションはいくつあるか?
Answer。数年前までさかのぼっても数えるほどしかないと記者は思うが、先日見学した日本土地建物「武蔵野富士見 ザ・レジデンス」がまさにそれだった。
物件は、西武鉄道拝島線・国分寺線小川駅から徒歩9分、または西武多摩湖線八坂駅から徒歩8分、東京都東村山市富士見町一丁目に位置する15階建て全223戸。専有面積は65.78~86.78㎡、12月14日に抽選分譲した第1期3次(5戸)の価格は3,148万~4,698万円。坪単価は170万円台の半ば。設計・施工はファーストコーポレーション。竣工予定は平成29年2月。販売代理は長谷工アーベスト。管理は東急コミュニティー。
現地は、富士見通りの街路樹など緑が豊富な近隣商業と第一種中高層地域の一角。建物は南向き中心の西向きとのL字型。
「二重床・二重天井」「ディスポーザ」「食洗機」「バックカウンター・カップボード」「ミストサウナ」「平置き駐車場」が標準。
地域住民や企業、団体などと連携して、「子育て」「食」「芸術」「ECO」「スポーツ」「健康」の6つの分野で地域共生を図り、入居後の多世代コミュニティを支援していくのが特徴だ。
11月上旬から分譲が始まっており、これまて85戸を供給している。
◇ ◆ ◇
このマンションについては、同社がプレス向け発表会を行っており、その記事も参照していただきたい。見学しようとずっと思っていたのだが、なかなか都合がつかず今になってしまった。
見学して本当によかった。プレス向け発表会では、コンセプトの説明が中心だったので、物件そのものの詳細はよくわからなかった。モデルルームを見て、発表会で見えなかったものがよく見えた。
冒頭にも書いた6つの設備仕様が標準装備になっているマンションは、この多摩エリアは言うまでもなく、首都圏でもほとんどないはずだ。ここに同社のマンション事業に対する姿勢・意欲が感じられる。大きな訴求ポイントになるはずだ。1カ月少しで85戸供給というのも売れ行き好調とみてよい。
残念なのは、これほど設備仕様が充実しているのに、それをアピールできていないと思った。設備仕様レベルがすべてではないが、ユーザーにもっとわかりやすく説明しないとその良さは伝わらない。
◇ ◆ ◇
同社は、これまでビルなどの都市開発や、「横浜白山」「横浜あずま野」「横浜戸塚台」「川崎百合ケ丘」など分譲戸建ての実績は豊富で、とくに戸建てはレベルの高いものをずっと継続して供給してきた。
マンション事業は、大手デベロッパーとの共同事業が中心で、同社がメインというのは少ない。
マンション市場は大手の寡占化が一段と進んでいる。その一角に後発が食い込むためには相当インパクトのある商品企画でないと難しい。その点で今回の物件は十分対抗できると思う。商品企画を前面に打ち出し、厳しい市場に挑戦してほしい。

収納(機能的で、白が基調のデザインもいい)
日土地 マンション事業本格参入 年間500戸から1,000戸体制へ(2015/10/6)
村野藤吾の代表作の一つ 目黒区総合庁舎を見学

目黒区総合庁舎
わが国の建築家村野藤吾(1891~1984)の代表作の一つ目黒区総合庁舎を見学する機会に恵まれた。1966年に竣工し、千代田生命保険の本社ビルとして使用開始され、総合庁舎としては改修が施されたのち2003年1月から「開かれた庁舎」として再生・利用されているものだ。
詳細は同区のホームページでも公開されているが、建物の内外に村野や職人、美術家のこだわりが垣間見られる。とにかく写真を見ていただきたい。

エントランスホール(ホールは中央を中心に非対称になっている。左側側は建物の外に柱があり、右側は水を張った床と柱があり、その外側に水盤・庭園がある。天井には明り取りがある。壁にポスターなどは一切張らず、時々コンサートなどが行われるそうだ)

3階部分から中庭、茶室を望む(縦の格子はアルミ製)

らせん階段(正確に丸くしているのではなく、フリーハンドで円を描いているのがわかる)

茶室(もちろん一般の人も利用できる)

会議室の床と巾木(カバ桜か、チェリー材か。遮音対策のために床と壁はゴムのようなもので遮断されている)

喫茶室の壁(デザインは当時のままで、腰壁も無垢材が使われていた)

本館と別館をつなぐ渡り廊下(以前は電車と同じような蛇腹が使用されていたという)

庇足元の「石」(これも意味があるそうだ。広場にはヘンリー・ムーアの作品もあるそうだが、見逃したか)

隣接する中目黒しぜんとなかよし公園から見た庁舎(この公園ももとは敷地の一部だった)

公園内に設置されている「平和の石」。昭和61年、広島市から寄贈されたもので、被爆した旧広島市庁舎の階段の一部
藝大×スウェーデンハウス クリスマス(ユール)染織専攻作品展12/25まで

橋本和子さんのろうけつ染め「ちやほや」
スウェーデンハウスと東京藝大は12月14日、同社の豊洲のモデルハウスで「東京藝術大学染織専攻作品-jul(ユール)」レセプションパーティを行った。
◇ ◆ ◇
記者は終了後の18:00過ぎに駆けつけたので、主催者の東京藝大染織研究室教授・菅野健一氏やスウェーデン大使館 広報文化担当官アダム・ベイエ氏、スウェーデンハウス取締役営業本部長・鈴木雅徳氏のあいさつやアーティスト・トークがどのようなものだったかわからないが、大急ぎで作品を見て回った。
作品は傑作ぞろいだ。展示は12月25日(金)まで行われるので、スウェーデンハウスの住宅を見るのもいいし、作品をもみるのもいい。豊洲のクリスマスの夜もいいかもしれない。
記者の一押しは、修士1年生の橋本和子さんのろうけつ染めの子ども用の襦袢「ちやほや」と、修士1年生の阿部蕗子さんのシルクスクリーンのカーテン「ユールの夜に」だ。
「ちやほや」の語源は「蝶よ花よ」だそうで、魔除けを施し、こどもの健やかな成長を願う気持ちを作品に込めたという。カラフルな染の技を見て、同じ東京藝大名誉教授の洋画家・絹谷幸二氏の一連の作品と重ね合わせた。
阿部さんの作品は木綿ビロード(ベルベット)でできており、冬寒くて暗いスウェーデンハウスの自然と、家の中を温かく過ごす家庭の対比を柄に入れ込んだそうだ。「蕗子」は、記者の好きな作家・水上勉の娘さんの名前と一緒だ。いい名前だ。
もう一つ挙げると、修士1年生の佐々夏実さんのシルクスクリーンのタペストリー「宵」だ。クリスマス(ユール)のでサンタの役割を担ったのは黒い服にヤギの顔を持つ「ユールボック」で、それをモチーフにしたという。これを見て、イギリス人作家トム・ロブ・スミスのスウェーデンを舞台にした最新作「偽りの楽園」(新潮文庫)を思い出した。家族の再生がテーマのミステリ小説で、保守的で暗い一面もあるスウェーデンハウスのコミュニティが描かれている。怖い妖精「トロール」も頻繁に登場する。
同社の催しは、住宅もさることながらいつもスウェーデンの自然や歴史、文化を想像させてくれる。だからいい。

阿部蕗子さんのシルクスクリーン「ユールの夜に」

佐々夏実さんのシルクスクリーン「宵」

菅野教授のタペストリー「ユールトムテゴートX.ユールトムテゴートY」
スウェーデンハウス 豊洲モデルハウスで藝大染織専攻学生の作品展(2015/12/1)
三井ホーム 平屋建ての新商品「WESTWOOD(ウエストウッド)」発売

「WESTWOOD(ウエストウッド)」予想図
三井ホームは12月18日(金)から平屋建てのフリー設計商品「WESTWOOD(ウエストウッド)」を沖縄を除く全国で発売する。
少子高齢化社会の進展により、わが国の約8割が3人以下の世帯で、コンパクトな住宅へのニーズが高まっており、フラットに暮らす平屋へのニーズも多くなっていることに対応するもの。
住宅着工に占める平屋建ての比率は増加傾向にあり、平成21年度が25,659戸で6.5%だったのが、25年度は37,248戸で7.4%に伸びている。
「WESTWOOD(ウエストウッド)」は、米国カリフォルニア州ロサンゼルスの街「WESTWOOD(ウエストウッド)」から命名したもの。アーリーアメリカンの外観と開放的で伸びやかなイメージが込められている。
街のランドマークとなるさわやかでインパクトのあるファサード、平屋でありながらのびやかに広がる大空間、こもり感のある+αの快適な屋根裏空間を実現。高い断熱性能や独自の「ダブルシールドパネル(DSP)」、「健康空調」なども随所に盛り込み、ZEHにも対応しているのが特徴。
同社常務執行役員 ・一色隆行氏は14日行われた発表会で、「世帯の少人数化、高齢化が進んでおり、平屋はマーケットメジャーになりつつある。当社は30年以上も前に大屋根の商品を発売しているが、今回、さらに付加価値の高い商品として快適で健康な住空間を提供できる。10月からプレセールを行っているが、すでに10棟を超える受注がある」と語った。
宮城県仙台市若林区に設置したモデルハウスのプロトタイプは建築面積99.81㎡、1階床面積90.12㎡、2階床面積42.31㎡、合計床面積132.43㎡。首都圏参考価格(消費税抜き)は3,447万円(坪単価682千円)。販売目標棟数は年間240棟。

大きな吹き抜け空間があるリビング
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注文住宅市場のことはよくわからないが、一戸建ては平屋がもっとも住みやすく、ぜいたくな暮らしができるのは言うまでもないことだ。大都市では土地の制約がありなかなか建てられないが、70~80坪あれば十分建てられる。同社が平屋を重視するのはよく理解できる。
平屋建ての分譲戸建てもなくはないが、事例は少ない。記者が見た限りでは、いかにも熟年向けの商品企画で、外観が貧相なものが多かった。
埼玉県の最高単価マンション 地所レジ・大栄不「浦和タワー」好調スタート

「ザ・パークハウス 浦和タワー」完成予想図
先日は木場駅圏の最高峰マンションである野村不動産「プラウドタワー木場公園」について書いた。今回は、浦和駅圏だけでなく埼玉県の最高峰マンションともいえる三菱地所レジデンス・大栄不動産「ザ・パークハウス 浦和タワー」を紹介する。「最高峰」とは野村不動産の物件同様、建物の高さではなく値段がもっとも高いという意味だ。
物件は、JR浦和駅西口から徒歩4分(北口から徒歩3分)、さいたま市浦和区仲町1丁目に位置する20階建て全146戸(事業協力者住戸4戸含む)。敷地は大栄不動産のビルの跡地。専有面積は57.55~111.88㎡、坪単価は330万円台の半ば。竣工予定は平成29年3月下旬。設計・施工・監理はフジタ。デザイン監修は建築家の渡辺純氏。
現地は、駅西口からは徒歩4分だが、利用時間が7:00~24:15で、ICカード専用の北口からだと徒歩3分の立地。商業地域の一角。建物はV字型の免震構造。住戸は東南向き・南向き、南西向き。
11月に供給した第1期1次106戸と追加供給した第1期2次18戸の合計124戸に対して141件の登録が入った。
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まず価格から。バブル前はともかく、バブル崩壊後の埼玉県のマンションでもっとも坪価格が高いのは、今年に入って浦和駅から徒歩5分で住友不動産が分譲した「シティハウス浦和高砂」(95戸)で約290万円だ。
それを三菱地所レジデンスは軽々と超えた。埼玉県で平均坪単価が300万円を突破したのは少なくともバブル崩壊後では初めてだ。浦和駅の南口では再開発計画があるが相当先になるはずで、今回の物件が埼玉県の最高単価マンションとなる。この記録は当分破られないはずだ。
売れ行きもいい。供給124戸に対して141件の登録があった。V字型の突端に位置する90㎡超の住戸を含む12戸は億ションで、これまた埼玉県の最多億住戸マンションになる。
売れ行きがいいのは、それだけユーザーに評価されているということだ。商業エリアであるにも関わらず、嫌悪施設とは何かというもんだいもあるが、記者が見た限りではほとんどない。昔ながらの街並みも残っている。設備仕様も総じて高い。これも評価されたはずだ。
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三菱地所レジデンスは浦和駅圏でもう1物件「ザ・パークハウス浦和東仲町」(51戸)を分譲しており、こちらも第1期30戸に対して38件の登録が入り即日完売した。こちらは駅東口から徒歩6分の14階建て。専有面積は65.28~84.06㎡。坪単価は270万円弱。
杭打ちデータ流用問題 「信頼回復」のカギは監理機能の厳格運用
先日、三井不動産の「ららぽーと立川立飛」のプレス内覧会が行なわれた日、「いなげや」の旗艦店「blooming bloomy by Inageya」で「紅化粧」という名の皮が赤い128円の大根を買ったことは書いた。かみさんは、それをいちょう切りにして酢漬けにしてくれた。これがおいしい。カブより歯ごたえがあって、なにより白と赤のコントラストが美しい。
「紅化粧」はあきる野市の農家の産であることがラベルに記されていた。生鮮食品に産地や生産者の名前が表示されるのは常識になった。産地直送も消費者の間で定着した。
消費者は生産者の〝顔〟が見えることに「安心・安全」が担保されているから多少値段が高くても買う。
食の分野にとどまらずあらゆる企業にとって「CAT」、つまり「Compliance」(法令順守)「Accountability」(説明責任)「Traceability」(追跡可能性)がもっとも重要で、これと企業の理念「Vision」あるいは「Philosophy」を加えた「CATV」「CATP」がしっかりしていないと立ち行かなくなる。
さて、杭打ちデータ流用問題。昨日も書いたように、問題が発覚してから2カ月で収束する見込みだ。記者も大事に至らなくて安堵している。国交省、対策委員会、業界団体、施主の迅速な対応は評価されるべきだろうし、この点では「CAT」はきちんと機能したと思う。
しかし、消費者の信頼を回復する道のりは平坦ではない。深尾・対策委員長も語ったように、「安心・安全」に「信頼」を加えるのは正解だろう。
杭打ちデータ流用は業界の多重下請け構造とは直接的に関係ないとはいえ、建築物の「安全・安心」は大きく揺らぎ、危うい橋を渡るような覚悟がいることを消費者に印象付けた。先の「CAT」と照らし合わせても、この業界は極めてずさんであることを露呈した。「雨に濡れた」「噴出した」「ボタンを押し忘れた」-このような理由で大事なデータを集められないという事態がそんな頻発するものなのか。
農家は128円のダイコンにさえ1本1本自分の名前を書いたシールを貼る。建設業だって、設計図はミリ単位の精度が求められ、それをきちんと監理する制度があるにもかかわらず、形式が整っていればよしとする風潮があるというのはどういうことか。全く理解できない。「監理」がその程度のものならその程度のものであることを世間に公開するか、そうでないのなら厳格に運用すべきだし、監理者になれる要件や罰則を強化すべきだ。
考えてみれば、マンションの広告・宣伝は、建設に関わる施工・監理・設備機器にかんする情報は実にそっけない。われわれはデベロッパー、施工会社、監理会社、使用されている機器のメーカーの名を聞けばその物件のレベルがある程度分かる。しかし、一般の消費者は物件概要やパンフレットに盛り込まれているこれらの情報を読んでその品質レベルまで理解することはできないだろう。
物件概要に監理会社を表示しなくても、広告表示に関する業界の自主規制違反にはならないのだが、記者はもっともこの「監理」が重要だと考えている。オーケストラで言えば指揮者、コンダクターだ。指揮者が音楽に命を吹き込むように、マンション監理者もまた消費者の「信頼」を得る生命線だ。
記者は今回の問題が起きたのは、この「監理機能」が働いていないことが根本原因ではないかと思っている。
杭打ちデータ流用問題 結局は大山鳴動…早々に幕引きへ 国交省・対策委(2015/12/12)

