「富久クロス」完成祝賀会に250名 笹野理事長ほか地権者に聞く

「富久クロス」竣工祝賀会(ホテル椿山荘で)
タウン名が「富久クロス」の西富久地区市街地再開発組合(理事長・笹野亨氏)は9月18日、都内のホテルに約250名を集め竣工祝賀会を行った。
冒頭あいさつに立った笹野理事長は、「バブルに翻弄され、街が崩壊の危機にさらされたが、再開発の勉強会を立ち上げたが、当初は行政も銀行も取り合ってくれなかった。それでもみんなコミュニティを大事にしようと頑張ってきたおかげでこの日を迎えることができた。1,000戸を超える世帯が住むことになるが、街のシンボルに誇りを持って新しい街づくりを行っていきたい」と述べた。
続いて登壇した野村不動産・宮嶋誠一社長は、「新しい街には3,000人の方が住まわれるが、先進の安心・安全の素晴らしい街づくりに参加できたことが嬉しい。企画に際しては、10万人に上る方々の声を1,000に集約して、そのアイデアをすべて反映させた。1,000戸近い販売戸数ではあったがわずか6カ月というに短い期間に完売できたのも街の価値を評価していただいた結果。建物の管理は私どもの管理会社で行わせていただくが、全国の再開発の見本となるよう今後も継続して街づくりにお手伝いさせていただく」と力を込めた。
さらに、設計・監理を担当した久米設計・山田幸夫社長は、「東京の宝となる新旧住民が一体となった街が完成した。その立役者はまちづくり研究所(代表)の増田(由子氏)さんであり、共用部分などには野村(不動産)さんの知見が完璧に近い形で反映されている。建物の強度も極めて高い」と語った。

左から笹野氏、宮嶋氏、山田氏
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このマンションについては、先の竣工見学会でも記事にしているのでそちらを読んでいただきたいが、なによりも再開発組合が竣工祝賀会への参加を呼び掛けてくれたのが嬉しい。このような祝賀会へのマスコミの取材はほとんどないはずだ。
何人かの地権者の方に話を聞いたので、話されたほとんどそのままを紹介する。
まず、笹野理事長(72)。「昭和45年、そば屋を開業した。5坪ですよ。いい大家さんでね、その6年後土地を分けてくれた。昭和60年に3階建てのコンクリに建て替えてね、その2年後に地上げか始まった。坪400万円でも売れたんですがね、街が好きだから売る気はなかった。地権者には(土地が)3坪足らずの人もいるし5坪以下は10軒以上ある。大変苦労しました。そば屋? 怪我をしましてね、先月で店じまいしましたよ」
次に80歳代の女性。「夫はね、シベリア抑留帰還者でね、頑固者でしゃべりたくないタイプでね、私は都会育ち、どこかって? 深川ですよ。夫? 夫はね、田舎育ち。東北の仙台かそこら。良かれと思って結婚しましたがね、育ちも考え方、価値観も全然違うから、わたしね、一度、子ども連れて逃げ出したんですよ。わたし? 幼稚園の先生をしていたので、アパートを借りて…自分の家が持ちたくて10坪の家を買ったんです。50年くらい前ですかね。新宿は安いものも高いものもたくさんある。住めば都ですよ。夫もね、カラオケなんかに行くようになってずいぶん変わりましたよ。いまはちょっと具合が悪いですけどね」
60歳代の女性。「生まれたときは10坪の長屋でした。当時はたくさん長屋があったんです。(その後、土地を取得されたのか)地上げ? 大変でしたよ。わたしの職場まで押しかけてきた。コリンズ。30歳代の後半でした。街が好きだから売る気はなかったですね。新居? 今日初めて内覧会がありまして、わたしたちが住むベントテラスを3回も見ましたが、畳が小さかったですね(畳は団地サイズだからやむを得ない)。タワー棟の共用施設が使えないのが残念(管理組合はタワー棟、地権者のベントハウス、賃貸棟などで別々)」
もう一人、47歳の航空会社に勤務する男性。「親が事業をやっておりまして、土地は60坪くらいでしたかね。バブルの時は学生でしたから、経験がないですね。所有しているのはタワー棟ですが、わたしはマンションに住んだことがないので、中野の一戸建てに引っ越しました。マンションは賃貸にします」
聞けば地権者それぞれのドラマになると思うが、記者は土地を売却し移転された方々がどのような生活をしているかも気になった。バブルは人も街もある意味では破壊した。「富久」の皆さんはよくぞ再建されたものだ。

「富久クロス」完成 四半世紀の波乱乗り切り街再生(2015/9/14)
ポラス 武蔵浦和に2x4・2x6のモデルハウスオープン

「Leche Metis」モデルハウス
ポラスグループで2x4・2x6工法の注文住宅を手がけるグローバルホームが9月19日からHaS casa(ハスカーサ)ブランドの新しいモデルハウス「Leche Metis(レチェ メイティス)~知性の家~Intelligence in the house」をさいたま市の住宅展示場プラザ浦和にオープンする。
「Leche Metis 」は、スペイン語でミルクの意味のLeche(レチェ)と、ギリシャ神話に登場する知性を司る女神Metis(メイティス)をあわせた造語で、テーマは〝知性〟で、円形吹き抜け空間とカフェと図書館をモチーフにした大胆なデザインが特徴。
モデルハウスは敷地が約109㎡、建物は3階建て延べ床面積約137㎡、坪単価は65万円。年間販売棟数は25棟。
HaS casaブランドのモデルハウスは草加、越谷、柏、加平(足立区)に次ぐ5カ所目。グローバルホームは年間約500棟(うち400棟は分譲)の受注がある。
円形吹き抜け空間(1階はLDK、2階は図書ホール
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モデルハウスはどこもそうだが、かなり思いきった提案がされている。
1階は、アーチ型の玄関を入ると、間口約6mのくつ脱ぎがあり、すぐ広さ約17.7畳大のLDKが眼前に展開する。その正面には幅2600ミリのシーザーストーンの天板つきキッチン。右サイドにはイギリスから取り寄せたという暖炉が設置されている。その奥には多目的に利用できる居室がある。床は無垢の栗材が敷き詰められている。
2階は円形の大きな吹き抜けに面して図書ホール(ビブリオ)が設置されている。ハードカバーで2,000冊、文庫本なども加えれば5,000冊が収納できそうなアール状の書架だ。その左右はスタディルームとDEN。
3階は主寝室と、この主寝室とデッキで結ばれた離れ感覚の多目的に利用できるスタディルーム、緑化を施したバルコニーが提案されている。
図書ホール
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住宅展示場の常識なのだろうが、不可思議を一つ発見した。モデルハウスでは火気が厳禁だそうで、立派な暖炉には火が入れられないということだった。
しかし、暖炉は部屋を暖める機能のほかに気持ちを和ませる〝ゆらぎ〟に価値がある。火が入れられず、その両方が体験できなければただのオブジェにもならない。
せめて同社は、この暖炉を入れれば年間でどれくらいの暖房費やCO2が削減できるか、〝ゆらぎ〟がどれほどの効果をもたらすか示すべきだろう。
1階部分のモデルハウス
小田急×コスモスイニシア 「東林間」で素晴らしいリノベーションマンション

「リノグラン東林間アリーナ」エントランス
小田急不動産とコスモスイニシアの初の共同リノベーションマンション「リノグラン東林間アリーナ/ブライト」が報道陣向けに公開された。小田急不動産がバブル期に企画して所有してきた築24年の賃貸マンション2棟をそれぞれリノベーションして分譲するもので、バブル仕様にコスモスイニシアのノウハウが融合した素晴らしいマンションに再生された。
物件は、小田急江ノ島線東林間駅から徒歩2分、相模原市南区上鶴間六丁目に位置する4階建てアリーナ棟20戸(販売14戸)とブライト棟19戸(完売)の39戸。アリーナ棟の専有面積は62.02~84.18㎡。9月18日に分譲する2期1次(1戸)の価格は3,398万円(84.18㎡)、全体の坪単価は150万円台の前半。既存建物は1991年3月に竣工。改修工事は2015年1月。施工は大和小田急建設。売主は小田急不動産・コスモスイニシア。
建物の診断・大規模修繕・共用部の改修・設備の一新・30年の長期修繕計画など一棟まるごとリノベーションを施し、設計変更にも対応する「オーナーズチョイス」を提案。クロス貼り、漆喰塗が体験できる「セルフリノベーション講座」が受けられ、スケルトンの段階で契約し、専門家のアドバイスのもと設計変更にともなう費用負担はローンに組み込めるようにしているのが特徴。
アリーナ棟の現在の販売対象14戸のうちすでに7戸は販売済み。分譲対象外の4戸は賃借人が住んでおり、賃貸借契約が解除になった段階で分譲に切り替えることになっている。

小上がり和室があるカリンのフローリングが施されたモデルルーム

「リトルテーマパーク、が楽しい家」モデルルーム

「リトルテーマパーク、が楽しい家」モデルルーム
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バブル仕様の社宅がリノベーションにより分譲されたのは結構見ているが、賃貸マンションは初めてだ。〝さすが小田急〟というか、信じられないプランと設備仕様だ。いかにバブル期とはいえ、よくぞ平均で75㎡(アリーナ棟)、81㎡(ブライト棟)の賃貸を企画したものだ。
外壁はもちろんバルコニー、階段はタイル張り。一部にはライトコート(吹き抜け)もある。住戸の天井高は2400ミリだが、2重床・2重天井で浴室の段差はほとんどない。当時分譲されていたら、坪単価は300万円台になっていたかもしれない。
そんなレベルの高い賃貸をコスモスイニシアが最高のものに仕上げた。従前は外部とオープンになっていた地階の駐車場に電動シャッターを設置し、洗車スペースも設けた。設置はされていたが使用されていなかった地階のエレベータを利用できるようにし、駐車場から直接住戸へのアプローチも可能にした。アリーナ棟の駐車場の屋上はテラスに改修した。エントランス部分には高さ5メートルのイロハモミジなどの高木を配した。
さらに、一部のモデルルームの床は無垢のカリン材のフローリングとし、キッチン天板はシーザーストーン、和室は小上がり仕上げ。食洗機も標準装備。
販売を担当しているコスモスイニシア マンション分譲二部一課チーフ・田中一如氏は、「二月以降の来場者は131組だが、コンスタントに集客できている。周辺に新築物件が全くなく、やや離れているところでも2,000万円台、3,000万円台がほとんど。当社の物件がプライスリーダーになっている」と話した。
記者は、いま新たに用地を取得して分譲マンションを建設するとしたら、坪単価は200万円を突破すると考えた。150万円という単価は極めて安い。ただ、こういったリノベーションマンションはそう供給されないはずだ。小田急とコスモスイニシアがコラボしたから実現した。

セルフリノベーション体験イベント

共有部のオープンスペース

駐車場
東京都港区 平成27年度 課税標準額1000万円以上 過去最多を更新
東京都港区の課税標準額1,000万円以上の納税者は平成27年4月1日現在で19,003人となり、過去最多だった前年度の17,830人より1,173人、6.6%増加していることが分かった。区全体の納税者に占める割合も前年度の14.0%から14.5%に増えた。
その半面、課税標準額が1,000万円以上の層の総所得額は前年度の1兆776億円から8,112億円へと約2,700億円も減少した。これは税法が改正され、平成25年12月31日までに株式などを売却した場合の税率が10%だったのが、26年1月以降には20%になるため、前年度は駆け込みで大量に株式などが売却されたためのようだ。
また、所得割額は区全体で628億円であるのに対し、課税標準額1,000万円以上の層は414億円となり、区全体に占める割合は前年度の67.3%から65.9%へと減少した。
こうした高額所得者の増加やその他の給与所得者の所得が増えたこと、さらには前年に所得が大幅に伸びた人への課税額が増えたことなどで、同区の平成26年度の特別区民税は730億円で前年度比18.6%増の高い伸びを示した。一般会計歳入額も1,605億円で前年度比37.6%増と激増している。
積水ハウス 一点の曇りもない好業績 同社に悩みはあるのか
積水ハウスは9月11日、平成28年1月期 第2四半期決算グループ経営計画説明会をおこなった。決算についてはマスコミ各社が報じている通り、一点の曇りもない秋晴れと形容していいくらい絶好調だ。
へそ曲がりの記者は、説明会で約1時間、決算内容説明と記者団の質問にてきぱきと答えた阿部俊則・代表取締役社長兼COOに「会社の課題や悩みはないのですか」と質問したら、阿部社長は「たくさんありますよ」と答えた。「一つでもいいですから教えてください」と突っ込んだが、「また、いずれ」と笑ってはぐらかされた。
そこで考えた。中長期的な事業環境は言うまでもなく住宅事業は縮小傾向に向かう。同社はその中でどうシェアを高めていくかだろうし、周辺の事業分野の深掘りをどう進めるかだ。
そのために社内の体制をどう整備するか。一つは人材の確保と育成だろうと見当をつけた。これはそれほど的を外していないと思う。
どんなに「スマートタウン」が優れていようが、ユニバーサルデザインの取り組みで他を圧していようと、「5本の樹計画」で抜きんでていようと、それを推進するのは人財だ。人を増やせばいいようなものだが、阿部社長が口癖のように言っている「どのように市場環境が変化しようが、筋肉質の収益基盤を構築」するためには闇雲に人を増やしたりはしないはずだ。
いかにグループの総合力を高め、人財を強化していくかが同社の最重要課題の一つとみた。
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そこで、我田引水だが最近取材を始めた「女性活躍」について。
女性の活用を積極的に行っている企業として経産省・東証が「なでしこ銘柄」として2012年度から毎年選定して発表している。同社は2013年度に続き2015年度も選定されている。2度も選定されているのはハウスメーカー初で、大和ハウス工業とNTT都市開発が2015年度に選ばれている。
記者は「なでしこ銘柄」を市場、つまり株式市場がどのように反応しているか非常に興味がある。ところが、経産省はなでしこ銘柄の選定後の株式の推移などについては追跡調査など行っていないようだ。東証には現在照会しており、近く回答があるはずだ。
記者の感触では、なでしこ銘柄に選定されたからと言って株式が敏感に反応した企業はほとんどないと見ている。「女性活躍」は喫緊の課題ではあるが、そのこと自体に株式が反応することはあり得ないからだ。
しかし、せっかくいい制度を設けたのだから、経産省や東証はきちんとデータを取り、情報を開示すべきだし、選定した企業には法人税を引き下げるとか、銀行の融資金利を引き下げるとか何らかのアドバンテージ、インセンティブ、を付与すべきだと思う。(三井住友銀行は今年から「SMBCなでしこ融資」制度を設けている)
阿部社長に「なでしこ銘柄制度はものすごくいいが、魂が入っていないのでは」と質問したら、「その通り」の答えが返ってきた。
参考までに。2015年度のなでしこ銘柄が発表されたのは3月18日だ。その前日の同社の株価は1,757円で、18日当日は1,758円。ほとんど反応していないというより、それ以降の株価は4月に入るまで下げ基調で推移している。反転したのは4月入ってから。4月1日の1,714円を底に6月3日の2,115円(これが現段階で今年の最高値)までほぼ一本調子で上昇し続けた。出来高も倍増した。しかし、これを「女性活躍」と結びつけるには無理がある。
それでもやはり、「女性活躍」が企業の価値を測る指標の一つとなるような社会を築かないといけない。そしてまた「女性活躍」と表裏一体をなす「男性の働き方」を改める必要性を痛感している。
◇ ◆ ◇
これはおまけだが、阿部社長は最近、「ザ・リッツ・カールトン京都」に泊まられたそうだ。このホテルの素晴らしさについては言うまでもない。記者もたくさん書いてきた。
1泊最低でも10万円するそうだが、リッツのホスピタリティは桁が違う。百聞は一見にしかず、目からうろこ、目から鼻だ。読者のみなさんにも是非一度利用されることを勧めたい。
もう一つ。日本初のマイクログリッドによる「東松島スマート防災エコタウン」について。
これは、同社と東松島市で推進している災害公営住宅と周辺の病院、公共施設などとマイクログリッドを構築し、地産地消で電力供給を行うものだ。これまたスマートシティ、コンパクトシティに最適なシステムだと思う。
発表会では、完成したエコタウンの一部がビデオで放映されたのだが、5本の樹計画らしきものはひとつもなかった。そこで担当者の執行役員・石田建一氏に質問したら「災害公営住宅では同社のアイデアを盛り込むような規定にはなっていない。わたしも残念に思う」ということだった。公営住宅のあり方を問う問題だ。
野村不動産他「富久クロス」完成 四半世紀の波乱乗り切り街再生

完成した、「富久クロス」
野村不動産は9月9日、「富久クロス」(全1,222戸)の竣工記者見学会を行った。このマンションについては既報の記事を読んでいただきたいが、坪単価328万円という分譲当時としては高かったにもかかわらず、1期1~3次、2期まで即日完売し、分譲992戸がわずか6カ月で完売して話題となった。
完成した建物を見て、人気になるのも頷けるのだが、バブル崩壊-リーマンショック-東日本大震災-建築費高騰などの〝失われた25年間〟の荒波を乗り越えてよくぞ見事な再開発を成し遂げたと感服するほかなかった。
見学会で挨拶した同社開発企画本部プロジェクト推進部長・渡辺弘道氏は、「バブルによる地上げで虫食い状態になっていたところをバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災などの度重なる(再開発計画の)存続の危機を地権者、地元、行政、大学などが連携して乗り越え、平成2年の勉強会から25年目にして竣工にいたった。当社は平成22年に特定業務代行として事業に参画してきた。商品企画にあたっては、実に10万人の意見を募り、その中から1000件に絞り込み、その声をすべて建物に反映した。わずか6カ月で完売できたのもそのような企画が評価されたからだと考えている。当社はいま約30地区で再開発計画を進めているが、これはデベロッパーのなかでもっとも多いのではないか」と胸を張った。
渡辺氏は、リーマンショック前の分譲単価は坪400万円くらいが想定されていたことも明らかにした。
また、総合プロデューサーとして19年にわたってこの計画に携わってきたまちづくり研究所代表取締役・増田由子氏は、「激しい地上げで247世帯が120世帯に半減した。何度もくじけそうになったが、2002年に都市再生緊急整備地区に指定されて流れが変わった。経済状況の悪いときに大変苦労したと」と、計画を振り返った。

地上げからの〝守り神〟になったお稲荷さんも再生された

ベントテラス
◇ ◆ ◇
記者は前職のとき、勤務先が近くだったこともあり、当時のすさまじい地上げの実態を取材している。いまの方は理解できないだろうが、この富久も地上げが始まった昭和60年代の初めの地価は坪500万円くらいだったのが、最終的には3,000万円に吊り上った。西新宿も同様に坪300万円がゼネコンに売却されたときは平均3,000万円だった。接道部分などは坪1億円で売買された。
富久も西新宿もそれこそ街が死んでいた。地上げ屋が怖くて歩くのも怖いくらいだった。
あれから25年。富久も西新宿も見事な街に生まれ変わった。関係者の努力には頭が下がるばかりだが、どれだけの犠牲を払ったかを考えると言葉が詰まる。
地上げが結局成功しなかったのは、当地にあったお稲荷さんの権利者が80人くらいおり、その所在が分からない人もかなりいたのがその理由だと聞いた。そのお稲荷さんに賽銭泥棒が入ったことは記者もよく知っている。
お稲荷さんは〝地域の守り神〟として敷地内に祀られている。

左側の壁は庵治石が張られ、正面は壁面緑化が施されたエントランスホール
◇ ◆ ◇
完成した建物をみて驚いたのは、まず共用施設の充実ぶりだった。エントランスホールの高さ5mくらいの壁には大きな庵治石が50枚は張られていたはずだ。ホール正面にやはり高さ5m、幅約5mの観葉植物の壁面緑化が施されていた。
3室あるゲストルームのうちの和室タイプの床は無垢のナグリ仕上げとなっており、フィットネスルーム、パーティラウンジ、キッズラウンジ、スカイラウンジ、図書コーナーなどの10のラウンジも充実している。各フロアの廊下には版画などのオブジェが200点くらい展示されている。
接地型の住宅に住みたいという地権者向けにペントテラス住戸17戸や地権者が所有する7階建て賃貸住棟(121戸)が併設されている。スーパーや認可保育所も設けられている。

ラウンジ

アール状になっている共用部分の配置
大成有楽不動産他「ユトリシア」完成 坪単価は115万円

「ユトリシア」
大成有楽不動産が同社など6社JVの習志野市郊外の大規模分譲マンション「ユトリシア」の最終街区が竣工いたのに伴い、報道関係者向けに完成お披露目会を行った。
「ユトリシア」は壱番街から五番街で構成される全1,453戸、総開発面積約66,000㎡の大規模分譲マンション。2009年2月に壱番街が竣工して以降、既に1,100世帯が居住。ガーデンや本格的体育館をはじめとする30もの共用施設が集まる「センタープロムナード」、様々な菜園がある中庭など広大な敷地を利用したランドスケープデザインが特徴。共用施設を活用したコミュニティ活動は2014年度の「グッドデザイン賞」を受賞している。
物件は、京成本線実籾駅から徒歩11分、習志野市東習志野2丁目に位置する14階建て全1,453戸。専有面積は71.34~123.26㎡。施工は長谷工・大成建設共同企業体。売主は同社のほか名鉄不動産、三交不動産、東レ建設、新日本建設、長谷工コーポレーション。
分譲開始は7年前。当初は坪単価130万円で分譲されていたが、市況の変化を受けて現在は115万円。最終街区の「五番街」272戸のうち約130戸が分譲済み。住戸プランはディスポーザー、食洗機が標準装備、バルコニー奥行きは約2m。

中庭

中庭に設けられている菜園(手前はオクラ、その奥にはダイコン、サツマイモ、シソなどが植えられていた。オクラの実はどうして下ではなく上を向いているのか。そう言えば、どうして朝顔のツルや記者の頭は左巻きで、巻貝はほとんどが右巻きなのか)
◇ ◆ ◇
現地を見学してランドスケープデザインが優れているのに目を奪われた。とくに敷地を南北に貫く「センタープロムナード」と、横軸に配した中庭がいい。提供公園には生け垣の迷路もあった。休日になると子どもたちで大賑わいになるそうだ。
坪単価115万円というのは、新築の単価では考えられない安さだ。都心へのアクセスはいいとは言えないが、30坪で3,000万円台という価格は魅力だ。竣工を受けて販売スピードは加速するのではないか。
ゲストルームなどを併設した体育館にも驚いた。2階建てで建坪は約100坪くらいではないか。公式のバスケットボールのコート(縦28m、横15m)も可能だという。同じようなものはこれまで「ガーデンアソシエ」(大船)と「コロンブスシティ」(千葉市)にも建設されたという。
われわれはマンションの価値を坪単価でしか評価しない測れない習性がある。中小規模マンションにはこれが当てはまるのだが、大規模物件では共用施設とか緑の量と質を適正に評価する指標を持たないといけないことをつくづく感じた見学会だった。

体育館

省CO2先導事業に三井不レジの渋谷区新庁舎・公会堂建替など 国土交通省
国土交通省は10月10日、省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトとなる住宅・建築プロジェクトを国が公募し、整備費等の一部を補助する「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」の平成27年度第1回採択プロジェクト9件を発表した。
不動産業界からは、建築物(非住宅)として三井不動産レジデンシャルの「渋谷区スマートウェルネス新庁舎プロジェクト」が採択された。
このプロジェクトは、渋谷区の新区庁舎・公会堂の建替計画で、庁舎に適した省CO2技術を結集するとともに、自然採光・自然換気・緑化ルーバーやゆらぎを生み出す空調システムなどによって、健康で快適な執務環境の実現を目指すもの。
共同住宅は福岡県住宅供給公社の「ふくおか小笹賃貸共同住宅における燃料電池を利用したエネルギー融通プロジェクト」、戸建て住宅はアロック・サンワの「福井発『子育て応援・住教育』プロジェクト」が選ばれた。
「2020年に向かう、新たな森づくりシンポジウム」10月6日開催
美しい森林づくり全国推進会議と林業復活・地域創生を推進する国民会議が10月6日(火)、「2020年に向かう、新たな森づくりシンポジウム~都市での木づかいから生まれる森と木の循環、そして地域創生へ~」と題するシンポジウムを全国都市会館「大ホール」(千代田区平河町)で開催する。
都市での木づかいが、地域における森づくりにや地域創生につながっていく新たな循環を作りあげていくことが必要であることから、産業界、建築業界、林業・木材産業界、行政等の幅広い関係者が集い、オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を一つの区切りとして、木づかい・森づくり・地域創生の方策を議論する。
涌井史郎氏(東京都市大学教授)、林野庁代表者、山本恵久氏(日経アーキテクチュア元編集長)、網野禎昭氏(法政大学教授)などが基調報告、概要報告、パネリストとして参加し、宮林茂幸氏(美しい森林づくり全国推進会議事務局長、東京農業大学教授)がパネルディスカッションのモデレーターを務める。
参加費は無料。定員約300名になり次第申込を締め切る。
「女性活躍」待ったなし 第三弾 大京アステージ課長代理・山岸真樹氏に聞く

山岸氏
不動産業界で先駆的な「女性活躍」の取り組みを行っているのが大京だ。オリックス専務執行役だった田代正明氏が社長・グループCEOに就任した2005年あたりから急激に変わった。
2006年、新しいシンボルマークを導入し、グループ全社員共通の「家族想い」を「Family First.」という言葉(ブランドタグライン)に込めた。2007年には「時短」「休日・休暇取得促進」「仕事と家庭の両立支援」を大幅に拡充し、2008年には大京、大京アステージ、大京リアルド(現大京穴吹不動産)が「仕事と子育ての両立支援に取り組む企業」として厚労省の認定マーク「くるみん」を不動産業界ではスターツに次いで2番目の早さで取得。現在、業界最多の3回目を取得している。
2009年には「大京グループ子ども参観日」を開催し、2010年には育児休暇取得者のスムーズな職場復帰を支援する先輩ママ社員との「情報交換昼食会」を行っている。
そして今年3月、グループのマンション管理会社・大京アステージが女性専門職による「お客さま係」を立ち上げ、2017年度までに全国24カ所の全支店に配置すると発表した。「お客さま係」は、従来の顧客対応では拾いきれなかった潜在的なマンション居住者の〝困りごと〟を女性ならではの気配りで掘り起し、大規模修繕や商品企画に反映させようというのが狙いだ。
「女性活躍」第3弾は、「お客さま係」の育成・マネジメントに携わる「大京アステージ ライフサービス事業部CA推進室CA推進課(CAはカスタマーアドバイザーの略、「お客さま係」の社内呼称)課長代理」の山岸真樹氏(44)にお願いした。
山岸氏にお会いするのは3年ぶりだ。初めて会ったのは、2011年に分譲された「ライオンズ志村坂上レジデンス」「ライオンズ多摩センター ステーションブライト」のモデルルームで、当時は「大京 商品企画部 リビングラボ課 課長代理」だった。エネルギッシュに東奔西走する行動力と説得力のある話し方、商品企画力の確かさなど、その活躍ぶりを目の当たりにして、彼女のバイタリティに惚れ込んだ思い出がある。
◇ ◆ ◇
山岸氏は開口一番、「わたしたちは御用聞きではありません」と切り出し、次のように続けた。
「わたしたちはマーケッターです。スタッフはアルバイトやパートではなく、いろいろな部署で働いてきた女性専門職ばかりです」
「お客さまの声は各部署にフィードバックできるようにしています。たとえば、かつてわたしが商品開発に携わった『L's KITCHEN(エルズ キッチン)』が企画意図通りに使われているかどうか検証することで、わたしもすごく参考になりました」
「マンションの排水管掃除などに立ち会って、入居者宅を訪問し、困りごとや設備の不具合をお聞きしていますが、作業する男性が部屋に入ってくるのを不安に感じていらっしゃる女性の方が多く、わたしたち女性がいることでその不安が解消されます」
「細かいことですが、上層階に住んでいる方から『どうして清掃はいつも1階からなの。うちも午前中の早い時間にやってほしい』という声があがりますが、『上の階からやると下の階の排水管が詰まることがあります』と説明すると、納得していただけます。このようにお客さまに近い距離にいるから対応も敏速に行えます」
同社は、「お客さま係」を立ち上げてからこれまで2,000戸以上の居宅訪問を行っているが、人員はまだまだ増やす考えのようだ。
山岸氏は「スタッフは総勢14名。近い将来50名くらいに増やしたい。男性中心の職場と違うところは、とにかく時間厳守。保育園の迎えの時間は決まっていますので、だらだらと会議などしていられません」と語った。

◇ ◆ ◇
大京の「L's KITCHEN(エルズ キッチン)」を知ったとき、記者はそのきめ細かな商品企画に驚嘆した。その後の業界全体の収納や水回りの設備仕様を劇的に変えたと思っている。
「L's KITCHEN」の誕生は2005年。女性だけのスタッフ8名で構成するデザインインテリアチームが、座談会やヒアリング、アンケートなどを通じてライオンズマンションに居住する女性、仕事と家事を両立させている女性、専業主婦、子育て中の女性などライフスタイルの異なる女性の声を商品企画に反映させ、女性のため、家族のための使い勝手のよいキッチンが誕生した。
2006年発売のライオンズマンションから採用され、その後、どんどん進化を遂げていった。例えば、2009年に見学した「ライオンズ石神井公園ステーションゲート」は次のような仕様になっていた。
調理台には「LILカウンター」と名付けた補助調理台が付いており、三面鏡の裏側には化粧用の拡大鏡が付いていた。カウンタートップには、化粧グッズがたくさん入るボックスもあった。天井のライトは「キレイライト」と呼ぶ自然光、夜用、昼用の3種の調光ライトが付いていた。浴室は音楽が聞け、浴槽をライティングできるようになっていた。玄関のシューズボックスは奥行きを3 センチ広げることで、収納力を通常の1.5倍に広げる工夫もされていた。
当時、水回り・収納で話題を集めた野村不動産の「Luxmore(ラクモア)」があるが、「ラクモア」の商品化は2008年。「リビングラボ」のほうが3年早い。
山岸氏は「リビングラボ課」のメンバーの一人。商品企画の意図を理解してもらうため、「もういい。分かった。耳にタコができる」と言われるまで、全国の各支店を東奔西走した。
その甲斐あって、「L's KITCHEN」は同社だけでなく業界に瞬く間に広まり、その後の商品企画競争に火をつけた。

お客さま係 イメージ図
大輪が咲くはず 大京アステージ 「お客さま係」新設 将来60名体制(2015/3/17)

