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「クレヴィア大船」完成予想図

 伊藤忠都市開発が先にニュースリリースした、新しいバルコニー空間「アウタールーム」を導入している第一弾マンション「クレヴィア大船」を見学した。すでに1組のお客さんが購入希望とか。親子隣居のニーズはあるはずで、他のマンションでも採用できそうだ。

 物件は、JR京浜東北線・根岸線本郷台駅から徒歩11分、横浜市栄区笠間五丁目に位置する5階建て全59戸。専有面積は64.05~74.86㎡、価格は未定だが坪単価は200万円強になる模様。竣工予定は平成28年2月下旬。施工は石黒建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 「アウタールーム」とは、一般的なマンションのバルコニーは奥行き約1.8~2.0mで、隣の住戸との間には隔て板を設けているのに対し、図のように隣り合う住戸のバルコニーの隔て板を設置せず、双方の住戸をバルコニー空間でつなぐというもの。これにより、親子世代の「つかず、離れず」の関係が保たれるという。

 今回採用するのは、最上階タイプの6戸3組。モデルルームにも採用しており、バルコニー面積は幅約2.7m×奥行き約3.25m。双方を繋ぐと約17.55㎡(5.3畳大)の空間になる。

 設備仕様は、食洗機、ミストサウナ、床暖房が標準装備。

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◇       ◆     ◇

 この種の隣居型提案は真新しいものではない。記者がよく覚えているのが、東急不動産がバブルのころに分譲した「プレステージ磯子」だ。1戸1億円以上した。分譲開始後バブルがはじけ、販売には苦労したはずだ。

 もう一つは、20年くらい前に洋伸不動産が分譲した「フォルスコート武蔵小杉」がそうだったと記憶している。全20戸と規模が小さかったが、隣り合う大小の2戸をワンセットで分譲したはずだ。

 今回の物件は、隣り合う住戸が同じ広さで、反転タイプとなっている。親子世帯が住むと仮定すると、一方はもっと狭くてもいいのではないかと考えるがどうだろう。

 単価的には割安感があるのではないか。大船駅前の再開発では東急不動産が約250戸のマンションを建設するが、坪単価は300万円くらいになるのではないか。それと比べれば、バス便だが相当安い。来場者も「安い」と感じているようだ。

 東京都は昨年、住宅政策審議会にマンション部会を立ち上げ、8月から今年1月にかけ7回の会合を開いている。部会長は齊藤広子・明海大教授で、部会長代理は篠原みち子・弁護士。このほか委員が8名、それと不動産協会、マンション管理業協会、首都圏マンション管理士会などの専門委員8名から構成されている。

 部会は非公開だが、その都度、議事録が要約の形で公表されている。国交省には失礼だが、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」とは中身が雲泥の差。変なことをしゃべれば、齊藤氏か篠原氏に一喝されるだろうから、男性委員も慎重にならざるを得なかったのではないか。議事録の一部を紹介する。

<管理状況の把握について>

◎マンションの実態がわからないと、講じるべき支援策など対応しづらい。任意のアンケートで把握しきれないとなると、例えば条例で、都の調査権限を位置づけた上で、豊島区のように届出義務を設け、情報を把握する必要があるのではないか。

<管理不全マンションへの対応について>

◎管理状況が悪いマンションは周辺の市街地環境に大きな影響を与えかねないが、その中には、建替えや解消により問題が解決するものもあれば、その道すら開かれず、管理を相当一生懸命行うしかないマンションもあるので、議論の対象となるマンションをもう少し絞った方がいいのではないか。

◎管理状況が悪いマンションがどの程度あるのか把握することは難しい。管理不全に陥る前、例えば管理規約も見直さず、修繕もきちんとしていない、修繕の仕方もわからないなどといった状況のマンションに、高齢化の波が押し寄せ、役員のなり手がいないなど、様々な問題が一度に発生しており、現場は大変である。

◎管理不全に既に陥っているマンション、管理不全に陥りそうな予備軍のマンション、もう少し後押しすればうまく再生・耐震補強・建替えが可能なマンションなど様々な段階があることを意識して議論すべき。

◎修繕もきちんとされており、修繕積立金もしっかり積み立てられているマンションは、日常的な管理組合の体制がきちんとできており、管理に対する意識も相当高い。一方で管理が全くされておらず管理不全に陥っているマンションがあることも事実である。そこに陥らないための東京独自の施策に取り組むべき必要があると感じている。

 ◎外部不経済を起こさないためには適切な修繕等が重要となるが、そのためには日常の管理組合の体制が機能していることが重要である。

 ◎管理不全に陥っているマンションに対し、どのような支援メニューを用意しても、支援を受ける側にそれを活用しようという意識がないと支援は難しい。管理組合の中には、行政が支援すると言えば、自分たちは何もしなくても支援が完結するようなイメージを持つ傾向があるが、決してそうではないことを啓発する必要がある。

◎どんな支援が必要かという議論よりも、管理不全状態に陥らせないようにするにはどうしたらいいかという議論の方が先である。これには、きちんと管理すれば市場で評価され、自分たちの資産価値を上げていくという仕組みが成り立っていることが前提となる。これをしたら必ず評価されるということがわかっていれば、区分所有者はそれを行うはずである。立地や間取りだけでなく、管理そのものがマンションの価値を決めていくという仕組みが確立しないと、管理を放置し続けるマンションが出てくるだろう。

<管理不全マンションへの対応について>

◎管理不全マンションの明確な基準がない。まずは判定基準について議論すべきではないか。

◎判定基準が重要事項説明書に追加されれば、売買時の障害となるのを避けるため、管理組合は改善に向けて動くのではないか。

◎約9割のマンションが管理会社に管理委託していることから、よほど劣悪な管理会社でなければ、管理不全マンションに陥ることは考えにくいのではないか。むしろ、自主管理や一部委託を行っているマンションの実態を把握すべきではないか。

◎マンションは戸建住宅に比べて固定資産税を3割程度多く負担していると言われている。道路や下水道等の整備費は戸当たりで見れば、戸建住宅の方が多くかかるほか、小規模宅地の固定資産税については、1/6まで軽減される効果もあり、受益負担率はマンションが戸建に対し2倍多いという試算がある。税制の改正は国の政策であり難しいが、戸建てではなくマンションに対して行政が支援することには税制面からも合理的な理由がある。

◎万一マンションが管理不全に陥った場合、周辺に与える影響が高いため、対象そのものは幅広く取っておいて様々な支援メニューを用意しておく必要がある。管 理不全を防ぐためには、再生に向けた普及啓発だけではなく、条例等で自治体への情報提供や計画修繕の実施などを義務付けし、管理組合の意識を高めるといっ た方法もあるのではないか。

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 都は、平成25年度に行ったマンション実態調査で回答のなかったマンションの中から、管理組合活動が不活発なマンションを5件選定し、マンション管理士を派遣して組合活動の活性化に向けた取組を支援するモデル事業を平成25年度に実施した。

 管理組合の組織体制の見直しや管理規約の策定など、各マンションにおいて一定の成果を得ることができたが、一方で、5件の支援マンション選定にあたり、管理不活性の兆候があるマンションを訪問したが、「必要ない」「居住者間の繋がりが無く不可能」などの理由により拒否されるケースが多かったとしている。

 これに対して都のマンション部会は、「管理組合が機能していないなど、調査への協力が得られにくいマンションについては、実態把握が極めて困難となっており、こうしたマンションがどこに存在し、どのような問題を抱えているのか、網羅的かつ継続的に把握することができない。仮に、何らかの方法で管理不全に陥っているマンションを把握できたとしても、現在は、行政が管理組合の活動に関与できる法的根拠はなく、管理組合に拒否されれば支援・指導することができないのが実情である」としている。

 この問題については、豊島区が2013年7月に施行した「マンション管理推進条例」の届け出の状況などがゴールデンウィーク明けには取材できそうなので、機会を改めて報告したい。

 皆さんはマンション管理組合がマンション管理会社に恒常的に支払う管理委託料はいったいいくらかご存知か。マンション居住者(組合員)の方でも知らない方のほうが圧倒的に多いのではないか。かくいうマンションにずっと住んでいる記者もそうだ。理事の経験があるので、「管理費から管理委託料を差し引くとゆとりがなくなる」のは分かっているが、管理委託料が高いのかやすいのかさっぱり分からない。

 記者やマンション居住者が知らないのは問題だが、国交省や東京都のマンションに関する総合的な調査でも、管理費の額や管理委託の有無などについてのデータはあるのに、管理委託料に関しては全くない。

 もちろん、管理会社は自社が管理を受託しているマンションの受託料がいくらなのかはわかっているが、外に出すことは固く禁じられているはずだ。

 つまり当事者でないと分からないということだ。なぜこういうことを書くのか。記者は、国交省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(以下、検討会)が打ちだした「第三者管理方式」が浸透するかどうかの記事を書くために、その前提となるマンション管理士などに支払う報酬をねん出する余力があるのかどうかを探るために、管理委託料の額を調べることにした。

 ところがこれを誰も把握していない。検討会でも報酬額がいくらになるか、機能不全に陥った組合が専門家にフィーを支払う余力があるのかどうかなど踏み込んだ論議はされなかった。

 誰も知らない――ここに根本的な問題が潜んでいる。毎月支払っている管理費はマンション管理会社に支払われることはおおよそわかってはいるがその額は分からない。その額が適正かどうか判断する知識もない。あっても妥当かどうか判断はできない-これが実態だ。

 そんなわけで、以下に書く記事は記者の推測によるものであることを断っておく。

 組合の収入を予測するのは簡単だ。1棟50~60戸を想定した場合、約1.5万円だ。つまり50戸で月額75万円だ。これに対して管理会社に支払われる委託料は40~60万円くらいではないかと考えた。幅があるのはそれぞれマンションの特性や管理内容にかなり差があると考えたからだ。

 差引15~35万円が残る。これから共用部分の電気・ガス・水道代、保険料、インターネット利用料、修繕費(日常発生する小さな修繕)などを支払うとまずほとんど残らない。足りないから駐車場収入を修繕積立金に充当しないで一般管理費として計上している組合も少なくないはずだ。

 機能不全に陥っているマンションは、管理費の滞納もあるかもしれないので、それだけ余力は少なくなる。

 さて、ではマンション管理士など専門家はいくらで組合業務を引き受けるか。これも難しい。リスクを伴うからだ。どこからクレームの矢が飛んでくるか分からない。〝歩く音がうるさい〟〝窓を開けると隣の音がする〟〝タバコの匂いがする〟がクレームになる時代だ。月額10万円なら請け負う人が現れるか。

 このように考えると、まず自力で専門家に報酬を支払う能力のあるマンションは皆無に近くなる。では、自治体が補助する可能性はあるのかどうか。これも難しい。特定のマンション管理組合に手を差し伸べる合理的な理由をどう見つけるか。放置すれば倒壊するとかの理由で代執行する場合を除き、他の住民やマンション管理組合の理解を得るのは難しいのではないか。

 可能性として否定できないのは、専門家と管理会社が話し合って、専門家に支払う報酬額に該当する分だけ管理委託料を値引くという方法だ。これは理にかなっているように見えるが、しかし、それまでは組合(居住者)-管理会社だけの問題だったのが組合(居住者)-専門家-管理会社の三つ巴の争いという新たな問題が発生しないとも限らない。

 「検討会」は、想定される様々な問題に対応するため、外部管理者の選定・解任、欠格要因、外部チェック、利益相反の排除、財産毀損の防止など事細かに定めている。

 記者は、このような対策を講じて事故を防ぐのは結構だとは思うが、ひとつひとつだれがチェックするのか、第三者管理をまた管理する機関も必要になってくるのではないかと思う。このコストもばかにならないと思う。

 そんなこんなで、第三者管理は富裕層向けや投資向け、高齢者向けなどには有効かもしれないが、なんとも難しい問題を抱えてしまったものだ。

 この問題について、マンションコミュニティ研究会代表・廣田信子氏(元マンション管理センター総合研究所主席研究員)がブログで次のように述べている。

 「役員報酬の問題は、マンションの風土づくりにも影響する大きな問題だと思います。やはり、役員は、基本は無報酬、自分のできる範囲で自分のコミュニティに貢献するという気持ちで務める。でも、役員になったが故の出費は考慮し、それ相応の報酬は支払い、余分な心配なく役員を務めてもらえるようにする。ではないかな~と思いますが、皆さんはどう考えられますか。」

 廣田氏はやさしい語り口でマンション管理に関するブログを発信されているのでお勧めだ。

廣田氏のブログは  ↓
http://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12012467557.html

 

 野村不動産ホールディングスは4月15日、平成27年3月期(平成26年4月1日~平成27年3月31日)の業績予想と配当予想を上方修正した。

 住宅事業の収益性が向上したことや仲介・CRE事業の手数料が増加したことに加え、経費の削減や支払利息の減少などにより、期初に予想した売上高を5,670億円(70億円増)、営業利益を718億円(68億円増)、経常利益を636億円(86億円増)に、当期純利益については法人税率の引き下げによる繰延税金資産及び負債の取崩しがあったことなどにより384億円(94億円増)にそれぞれ修正。売上高、当期純利益については過去最高水準となる見通し。

 配当も期末配当予想の20円から5円増配、年間配当金は45円となる予定。

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片寄せ洗面ボウル+ボウルに合わせた鏡割り

 三菱地所レジデンスが「洗面室のモンダイ」を解決する新商品「洗面室シリーズ」3商品を開発した。

 同社の会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」(約21万世帯)、購入検討会員組織「ザ・パークハウスクラブ」(約18万件)や、お客さんとの相互交流が可能なWEBサイト「スマイラボ」などを通じてアンケートやグループインタビューを実施。とくに多かった5つの「洗面室のモンダイ」を、試作品での検証を経て開発したもの。

 「5つのモンダイ」は、①洗濯カゴを置くスペースがあったほうがいい②バスタオルをきちんと収納したい③入浴後の着替えを置くスペースがあればいい④ぬれたバスタオルは乾かしてから洗濯機に入れたい⑤洗面化粧台は2人並んでつかえたほうがいい-で、これらを3つの商品に具現化した。

 3商品は、4月以降に分譲する「ザ・パークハウス」マンションに原則導入していく。

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ドライエリアにも使えるオープンスペース

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 記者はマンション取材の際、洗面室・浴室・トイレ・キッチンの水回りは必ずチェックする。洗面室は全体の広さと収納の大きさを見る。

 お客さんから指摘された「5つのモンダイ」のうち②が各社のマンションで一番欠けているのではないかと思う。家族数にもよるが、バスタオルはかなりかさばるし枚数も多い。①と③もよく分かる。その通りだろう⑤はあればいいが、スペースを確保するのが難しい。同社は今回、狭いながらも2人で利用できるよう工夫している。

 個人的な意見だが、④はいかがなものかと思う。乾かしてから2度3度また使うほうが洗濯の手間が省けるし、きれいに洗った身体をふくのだからバスタオルはそんなに汚れないはずだ。同社はバスタオルハンガーを2本にするというが、これは2度3度使うのに丁度いい。

 ここでひとつ提案。家族どうして使い回しはしないだろうから、家族それぞれ専用のバスタオルであることが分かるように色分けしたほうがいいし、子ども用は小さくてもいい。高級なふかふかのものより、安物の薄っぺらいほうが耳の中もふけるのでいい。それとも端っこだけは耳の中がふけるように工夫してはどうだろう。浴室・浴槽の掃除がラクになるものも導入すべきだ。

 これまでの同社の商品では、浴室の2フック付きスライドバーがいい。他社はほとんど1つしかフックはついていない。

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幅30㎝×奥行き40㎝をミニマムサイズに設定(左)と2本のバスタオルハンガー

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「プラウドタワー大泉学園」

 野村不動産は4月13日、先に竣工した西武池袋線大泉学園駅直結の再開発マンション「プラウドタワー大泉学園」の記者見学会を行った。分譲開始からわずか3カ月で完売した人気物件で、再開発の協議会発足から約10年で竣工させた開発スピードと、地域の価値を最大限引き出した商品企画力は見事というほかない。

 物件は、西武池袋線大泉学園駅から徒歩1分、練馬区東大泉1丁目に位置する地下2階地上27階建て全168戸(非分譲3戸含む)。専有面積は55.04~103.42㎡、価格は4,560万~13,470万円、坪単価296万円。設計・監理はアール・アイ・エー、施工は清水・西武建設共同企業体。

 従前の現地は、駅前ロータリーが貧弱で、中小の雑居ビルなどが建ち並ぶ雑然とした雰囲気がしていた。それを解消するため北口地区まちづくり協議会が発足したのが平成17年。同社は同19年に事業参画。同23年に都市計画決定。同27年度に組合解散予定。施行面積は約0.8ha。

 駅と建物をペデストリアンデッキで結び、1階にはバス・タクシー乗り場、歩行者通路を整備し、1~3階は商業施設「Grand Emio(グランエミオ)大泉学園」、4階は練馬区の公益施設が入居する。東京都のマンション環境性能評価制度で同社としては3物件目の満点「星3つ」を獲得している(その後「立川」でも取得)。

 わずか10年で事業完了できたのは、地権者が個人5人、法人3人(同社と西武鉄道、JA東京あおば)と少なかったことも大きいが、公民の連携がスムーズに行われたのが最大の要因と思われる。ペデストリアンデッキには、同区がアニメーション発祥の地であることから手塚治虫などのアニメのモニュメントを区が整備した。

 建物は三角形の敷地形状を巧みに利用し、デッドスペースになりがちな部分にエスカレータと吹き抜けを設け、商業棟と住宅棟の1フロアの階高の差を利用した屋上庭園などを設置している。

 住宅棟では、24時間利用可能な「ライブラリー」4席(1席約1畳大)を設置し、エントランス部分には印象的な天然御影石の「ホワイトジー」のデザイン壁を設置している。3階の開放廊下側には、昼と夜とで表情が異なる鏡面仕上げのアルミのアートを設置するなど、細かな点にも工夫を凝らしている。

 購入者の約7割が地元練馬区居住者で、現金購入が33%、ほとんどが買い増しの持ち家層が46%。自己資金は平均1,960万円。これはすごい数字だ。

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エントランスホール

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 この物件については一昨年の夏ころだったか、見学を申し込んだのだが、すべて完売しておりモデルルームを閉鎖したあとだった。瞬く間に完売したのに驚いた。

 坪単価296万円も、今では安いのかもしれないが、西武池袋線で駅力№1と言われていた「ひばりヶ丘駅」でも西武不動産(当時)のタワーマンションは坪270万円もしなかったはずだ。当時はリーマン・ショックの後だったので環境は異なるが、今回は地元のアッパーミドル・富裕層が殺到したということだ。

 商品企画も芸が細かい。24時間利用可能のライブラリーは同社としては初めての試みだったが、他社も含めてそれほど例がないのではないか。エントランスホールに「ホワイトジー」と呼ばれる御影石が採用されているが、このように具体的な名前をお客さんに説明できる営業マンは他社にいるか。これが〝プラウド〟と他のブランドの違いだ。

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 もう一つ、これはマンションと全然関係ないのだが、今回の取材で大変うれしかったことがある。今年4月、野村不動産ホールディングスの広報IR部長に宇佐美直子氏が就任したと報告されたことだ。長い大手デベロッパーの取材の中で、女性の広報部長は初めてのはずだ。

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駅前の「OIZUMI ANIME GATE」

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 「ステーションツインタワーズ糀谷」完成予想図

 旭化成不動産レジデンスが先に第1期1・2次91戸が完売したと発表した、京急糀谷駅前の再開発マンション「ステーションツインタワーズ糀谷」を見学した。一般の方には「糀谷」(こうじや)はあまり馴染みがないかもしれないが、住みやすそうな街で、坪単価290万円強もリーズナブルなものだと思う。

 物件は、京急空港線糀谷駅から徒歩1・2 分、大田区西糀谷四丁目に位置する20階建て全268戸(非分譲132戸含む)の「フロント・ウエスト」棟と、18階建て全67戸(非分譲17戸含む)の「フロント・イースト」棟の2棟構成で、合計335戸(非分譲149戸)。専有面積は36.64~86.79㎡、第1期1・2次の価格は3,070 万~9,350 万円(最多価格帯6,400万円)、坪単価は290万円強。竣工予定は平成28年12月下旬。設計・監理は山下設計。施工は戸田建設。売主は同社のほか一般財団法人首都圏不燃建築公社。

 現地は京急線と環八に挟まれた地域。再開発計画は、15年くらい前から持ちあがり、平成20年に都市計画決定。事業面積は約1.3ha。事業費は約219億円。小規模木造老朽住宅と狭隘な通路の解消を図るとともに、駅前広場の整備や商業・福祉(高齢者支援、子育て支援)・住宅などからなる複合建築物。

 第1期1次(83戸)は3月21 日に抽選先分譲した結果、101件の登録申し込みがあり、第1期2次(9戸)は3月29日に抽選分譲し10件の登録があった。登録者の属性は30代・40代で50%、居住エリアは大田区が70%。品川へ7分、駅前の好アクセスが評価された。

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 この物件については、モデルルームが観られる段階になったら見学しようと思っていたが、早期完売のほうが先になった。坪単価は300万円を突破すると聞いていたので、290万円強というのは納得だ。京急蒲田駅前が320万円だから、糀谷で300万円を超えても不思議ではないが、これくらいがちょうどいい。

 糀谷は、昭和60年代に結構マンションの取材で訪れている。昔ながらの商店街があり、中小企業・町工場と住宅が混在していた。その後の不況でどんどん町工場は亡くなったが、それでも最先端技術が宇宙衛星に採用されたニュースが「糀谷」を全国区にした。

 糀谷か京急蒲田かの選択肢は悩ましい。品川から見れば京急蒲田が玄関だろうし、羽田から見れば糀谷が玄関口だ。住むのなら記者は糀谷のほうが住みやすいと思う。

 首都圏不燃建築公社(不燃公社)について。公的機関の不動産開発、住宅事業はバブルを境に環境が激変。各都道府県の住宅供給公社は一部を除きほとんど解散したか休眠状態に陥り、勤労者住宅協会、労栄協会なども破産・倒産した。

 しかし、不燃公社だけは再開発物件を中心にコンスタントにいい仕事を継続して行っている。

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 東急不動産は4月13日、同日付で代表取締役・三枝利行氏が退任し、新社長に代表取締役副社長・植村仁氏が就任したと発表した。

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 同社のニュースリリースにはこれ以外に何も発表されていないが、三枝氏個人の不動産売買に関する4月16日号の週刊紙「週刊新潮」の記事が発端になったのは明らかで、三枝氏が〝引責辞任〟した模様だ。

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 週刊誌の記事を読んだ限りでは辞任はやむを得ないと思う。やはり三枝氏のビヘイビアには問題がないとはいえない。

 同社は、渋谷を中心とする再開発事業案件が目白押しで、昨年、三枝氏が社長に就任したとき、年齢も55歳と若く身長が183センチもあり、大手デベロッパーでは最長身の社長就任だったので、同社と業界の未来像を重ね合わせ、エールを送る記事を書いただけに残念でならない。

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 しかし、「新潮」の下品愚劣な書き方には無性に腹が立つ。こんなことが許されていいのか。完全な名誉毀損に当たるのではないか。以下、「記事」を引用する。

 「30年ほど前、<亭主元気で留守がいい>なんてテレビCMのコピーが世に広まったが、イクメンなる言葉が浸透した当世では、亭主は育児に積極参加し炊事洗濯もこなす。

 3月半ばの夕刻、渋谷区内の高級マンション前。ベビーカーを押すスーツ姿の男性もご多分に漏れず、帰宅して家事を手伝うのだろう。なにげない日常のひとコマ、とやり過ごすところだ。彼が、『東急不動産』の三枝利行社長(56)でなかったら――。」

 「冒頭のコピーと同じころ、<私はコレで会社を辞めました>も流行った。イクメン社長もそんな事態に陥るのだろうか。」

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 どうだろう。このコピーは三枝氏にとどまらず、必死で働き子育てに励むサラリーマン世帯を愚弄するものだと記者は受け取った。

 記者はかつて週刊紙誌をよく読んだ。「新潮」も「文春」も「週刊朝日」も少なくとも毎週、見出しだけはチェックした。夕刊紙の「フジ」は毎日読んでいたし、「ゲンダイ」もやはり毎日のようにチェックしていた。その他の「週刊ポスト」「週刊サンケイ」なども電車内でおおびらにはしなかったが、こっそり読んだこともある。

 読まなくなったのはバブルが崩壊してからで、最近ではほとんど読まない。つまらないからだ。以前は著名な作家や評論家のエッセイが載っていたが、最近はだれが書いているか興味もない。

 それにしても、この「新潮」の記事は下品極まりない。新潮社のやることか。こんな下劣な週刊誌に原稿料をもらって小説やら評論やらを書けるものだと小説家や評論家、文化人にも八つ当たりしたくなる。小説が読まれなくなるのは当然だ。皆さんも同罪といったら失礼か。

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左から「下肢タイプ」「介護支援用」「単関節タイプ」「作業支援用」

 「うわぁ、私の力じゃない。後ろから引っ張られているみたい」-大和ハウス工業は4月13日、介護・福祉施設や建設現場の作業負荷軽減のためのロボット商品の販売開始・実証実験開始の記者発表会を行ったが、作業支援用のロボットを装着したテレビ局の若い女性が25キログラムのセメント袋を軽々と持ち上げ歓声を上げた。

 同社が5月1日からレンタル販売を開始すると発表したのは、CYBERDYNE(CEO:山海嘉之氏)が開発・製造する「ロボットスーツHAL自立支援用(下肢タイプ)」「同(単関節タイプ)」「同介護支援用(腰タイプ)」の3商品で、グループ内で実施用実験を開始すると発表したのは「同作業支援用(腰タイプ)」。

 全ての商品とも装着者の皮膚表面から生体電位信号を読み取り、装着者の思った通りに動作をアシストするのが特徴。「下肢タイプ」は、下肢に障がいかある人や脚力がよわくなった人向け。レンタル料金は188,000円/月、重さは約14㎏、動作時間は約60分。全国の介護・福祉施設が販売対象で、販売目標は年間20台。

 「単関節タイプ」は、膝や肘に装着するもので、重さは約1.3㎏と軽いのが特徴。レンタル料金は初期費用が400,000円、130,000円/月、動作時間は約120分。販売対象は「下肢タイプ」と同じ。

 「腰タイプ」は、介護者が介護を行う際の腰部への負担を軽減するもので、作業する労力の約40%が軽減される。重さは約2.9㎏、作動時間は約180分。レンタル料金は初期費用が100,000円、78,000円/月。販売対象は全国の介護・福祉施設。年間販売目標は30台。

 実証実験を開始する商品は、介護・福祉用とほとんど同じ機能を持っており、今後1年間をかけて同社グループの建設現場などに10台を導入して課題などを検証する。

 同社執行役員ヒューマン・ケア事業担当の田村哲哉氏は「ロボット事業を拡大し、医療・福祉、建設分野で社会の課題に取り組み、貢献していきたい」と語った。

 ロボット市場は現在の約1.6兆円から10年後には約5.3兆円へと飛躍的に伸びると予測されている。同社は2008年にロボット事業推進室を設け、これまで介護・福祉施設向けを中心にリース・レンタル事業を展開してきた。今回販売する商品は、これまで販売してきた商品の改良型。

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「作業支援用」のデモンストレーション

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 記者は話を聞きながら、これは体験しないと分からないと思い、体験を申し込んだが、テレビ局などの先約があり無理だと知らされた。そこで、テレビ局の若い女性が体験するのを見学することに決めた。

 重さ25㎏のセメント袋をわたしは持ち上げることがほとんどできなくなっているほど腕力も腰の力も衰えている。しかし、その女性は相当の力持ちだ。苦労しながらも25㎏のセメント袋を腰のあたりまで持ち上げた。それでも女性にとっては大変な負担がかかるのは容易に理解できた。

 驚いたのはロボットを装着して軽々と持ち上げ、冒頭の感嘆の声を上げたことだった。その女性は「重いものを持つ感覚はあるが、上に持ち上げるのは誰かが手伝ってくれているようで全然ラク。これなら建設業界に転職しても大丈夫」などと冗談も飛ばした。

 重さ約3キロのロボットを腰に装着して他の作業がラクにできるかどうかの疑問はあるが、重いものを持ち上げたり降ろしたりする作業には効果的なのは間違いないし、介護・福祉施設でも普及しそうだ。

 相撲も野球もゴルフも腰が肝心なのは聞いてはいたが、それを目の当たりにした。この補助ロボットを装着すれば、野球の打者は100発100中本塁打が打てるのか、ゴルフは軽々300ヤードを超えるのか。技術的には可能だろう。しかし、待てよ。投手が装着すれば、どういうことになるのか。これは好勝負だ。

 さらにまた、記者が書きたいように記事を書いてくれるロボットが出現するかもしれない。しかも作家の名前を入力すれば、好みの文体に変換してくれて、誤字・脱字の校正もしてくれる時代がやって来ないか。

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「介護支援用」(左)と「作業支援用」

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「オーベルグランディオ品川勝島」完成予想図

 大成有楽不動産の「オーベルグランディオ品川勝島」を見学した。「品川勝島」といわれてもほとんど一般の方は知らないかもしれないが、圧倒的な価格の安さと、明快な商品コンセプトで地元だけでなく都下、さらには神奈川、埼玉、千葉方面からの需要も取り込む可能性を秘めている。〝価格表示〟はいかにあるべきかを問う物件でもある。

 物件は、東京モノレール大井競馬場前駅から徒歩7分(京急本線立会川駅から徒歩11分他)、品川区勝島1丁目に位置する20階建て全452戸。専有面積は62.38~85.59㎡、予定価格は3,200万円台〜6,200万円台(最多価格帯4,300万円台)、坪単価は未定だが200万円台の前半に落ち着く模様だ。竣工予定は平成29年1月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は大成有楽不動産販売、長谷工アーベスト。

 現地は、用途地域が準工業地域であることから倉庫街で、敷地北側には高速道路が走っている。敷地東側には東急不動産が昨年から分譲している「ブランズシティ品川勝島」が近接している。また、南方向には15階建ての官舎476戸が2016年に完成する予定。

 建物はL字形で、住戸プランはファミリー向けが中心。共用施設としてはユニークなカフェラウンジ、ソフトサービスのほか、コミュニティ支援プログラムなどを用意している。

 今年1月から予定価格をホームページで公開しており、これまで問い合わせ・資料請求は約2,000件に達している。4月18日から予約制でモデルルームを公開するが、すでに約300件の見学予約があるそうだ。反響は地元中心だが、神奈川県、埼玉県、千葉県からが約4割にのぼっている。

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カフェテラス

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「ファミリー・ラボ」(ウォールドアが付いている)

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 書きたいことがたくさんあるマンションだ。まず、価格の安さと価格の公開時期について。

 安さについては言うまでもないだろう。東急不動産の物件より明らかに安い。問い合わせが広域にわたっているように、ユーザーが敏感に反応したのだろう。坪単価200万円では相当の郊外・遠隔地でないと供給されないことが浸透している証拠だ。

 それよりも、ホームページを公開して間をおかずに予定価格を公表したのが嬉しい。このことについては、同社の「吉祥寺Ⅱ」の物件でも書いているので読んでいただきたいが、早めに予定価格を公表するのがデベロッパーの務めだと思う。「じらす(teases)」戦法は不動産に限らずあらゆる商品の常とう手段だが、この業界は半年も平気で「価格未定」と謳う。これほど消費者を馬鹿にした売り方はない。

 もう一つ強調したいのは、販売事務所の設営、アピールの仕方が巧みであることについて。ここ数年、同社のマンションの商品企画が劇的に変わったことは何度も書いてきたが、この物件もそうとう力が入っていることがすぐ理解できる。

 その代表的なものがカフェラウンジだ。コーヒーやパンのサービスを行うのは他社と同じだが、ここはパスタも販売するという。これは珍しいのではないか。コーヒーメーカーは〝コーヒーメーカーのフェラーリ〟と呼ばれる「LA-CIMBALI(ラ・チンバリー)」製だという。

 記者は、フェラーリもポルシェもレクサスも車のメーカー・車種であることくらいしか分からないし、ラ・チンバリーなんて初めて聞く言葉だ。その価値がさっぱり分からないのだが、助け舟を出してくれた人がいた。一緒に見学した同業の記者が「フェラーリはここのマンションの2LDKと一緒くらいの値段。ラ・チンバリーは高級ホテルで使われているマシーン」と教えてくれたのだ。確かに頂いたコーヒーはエスプレッソに近い味がしておいしかった。コーヒーの味は分かる。ある著名な有料老人ホームの食事は最低だったが、リッツ・カールトンと同じ豆を使ったコーヒーは抜群に美味しかった。

 これで終わらないのが今回の取材の面白いところだ。取材を終えてからその同業の記者と一緒に帰ったとき、何と赤いフェラーリ(フェラーリレッドと呼ぶのだそうだ)が走っているのをその記者が教えてくれた。なるほど、昔、子どもに買ってあげたおもちゃと一緒だった。

 それだけではない。販売事務所では、来場者にカフェラウンジを体験してもらうために無料でこの〝フェラーリ〟コーヒーやパンなどを振る舞うのだそうだ。そのため接客フロアはサロン風の造りになっている。これもいい。

 プロモーションビデオがまた面白い。デザイン処理された〝新品〟の文字がスクリーン上で乱舞した。記者はすなおだから当然〝シンピン〟と読んだ。ところが、これは〝シンシナ〟と読ませるのだそうだ。つまり、この「勝島」エリアはここ数年で約1,400戸ものマンション(官舎含む)が建設され、羽田や品川、大井町、大森にも近い住宅地に変貌することを強調するために、このような面白いプロモーションビデオになったようだ。

 このほか、ゲストルームのベッドはウェスティンホテルで採用されているものと同じ。コミュニティ支援では、地元のNPOなど5社・団体のサポートが受けられるようにしている。

 住戸プランでは、奥行き2メートルのバルコニー、同社オリジナルの収納のほか、多目的に利用できる1畳大のファミリー・ラボ、女性が化粧しやすいように照明の位置や鏡の位置を工夫した「オレンジドレッサー」を提案。食洗機は標準装備。オプションだが、和室のガラリ付きの木調扉がいい。防音性や断熱性にも優れた2重サッシを全窓に採用している。

 全体的には、東急不動産の物件をかなり研究した跡がうかがわれる。この日の見学会に同業や関係者にも声を掛けていることからも、力の入れようが伝わってきた。管理会社と一体となった体制の効果もでている。

 ついでに、競馬場の影響について。記者はかつて競馬ファンであった。大井競馬もよく行った。駅に降りるとすぐ厩舎があり、あの馬糞の臭いがたまらなく発走前の馬のように興奮状態になったものだが、マンションの現地まではその匂いはほとんど届かないそうだし、上層階からも馬が疾駆する姿も見えないそうだ。

 

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販売事務所

坪単価は“旧価格” 「オーベルグランディオ吉祥寺II」(2015/1/27)

東急不動産の省CO2推進プロジェクト第1弾 「ブランズシティ品川勝島」(2014/3/9)

 

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