三菱地所レジ「ザ・パークハウスグラン南青山」 平均9.65倍で即日完売

「ザ・パークハウスグラン南青山」完成予想図
三菱地所レジデンスは6月16日、三菱倉庫、東京建物とともに分譲した都心のフラッグシップ「ザ・パークハウスグラン」の第3弾「ザ・パークハウスグラン南青山」が6月14日に申し込みを締め切った結果、全20戸が即日完売したと発表した。
価格は1億5,000 万円~7 億7,000万円(最多価格帯1億5,000万円台・2億1,000万円台・2億4000万円台)、専有面積60.21~222.37㎡、坪単価は800万円弱。問い合わせ件数は約2,500件、登録件数は193件。競争倍率が10倍を超える住戸が6戸あり、最高価格の7.7億円も2倍の申し込みがあった。
登録者の属性は①年齢:40 歳代(約25%)、50 歳代(約25%)が中心②居住地:港区(約35%)、渋谷区(約15%)を中心に幅広いエリア③家族数:最多は2 人家族(約30%)
◇ ◆ ◇
分譲戸数が少ないので人気になるとは思っていたが、登録数が193件に上ったのは驚きだ。単純に計算しても平均倍率は9.65倍だ。同社もこれほど人気になるとは思っていなかったようで、驚いているとのことだった。
「ザ・パークハウスグラン」 第3弾「南青山」は坪800万円弱(2015/6/4)
ポラス 景観、コミュニティ重視の松戸「オレンジプロジェクト99」街開き

「グリーンビンゴ」 専門家に説明を受ける参加者
ポラスグループの中央住宅は6月13日(土)、千葉県松戸市の学校跡地で開発を進めている戸建て住宅「オレンジプロジェクト99」の街開きを行い、入居者ら27家族約100人が参加した。コミュニティを醸成し、住民自身が街の緑の維持・管理できるようにするのが目的で、「花の路を作ろう」「夏の庭仕事」など、NPOの専門家をアドバイザーにワークショップを開催した。
「オレンジプロジェクト99」は、松戸市の「新松戸地域学校跡地有効活用事業」として小学校跡地38戸、中学校跡地61戸の合計99戸を開発するもの。市の公募プロポーザルに同社の提案が選ばれた。多世代にわたって住みたくなる「安定型住宅」、美しい街並みを維持する「住民参加」の街づくり、住民のコミュニティを育む「ワークショップ」の開催、「子育て応援住宅」などが評価された。景観を維持するための協定も結ばれている。
物件は、JR武蔵野線・つくばエクスプレス南流山駅から徒歩13分、松戸市新松戸7丁目に位置する全99区画。土地面積は124.98~132.3㎡、建物面積は97.3~109.92㎡、現在分譲中の住戸は 4,350万円。構造は木造2階建(在来工法)。
今回イベントが行われたのは小学校跡地の38戸。4,200万円台~4,300万円台が中心で、分譲開始は昨年7月。入居開始は今年2月から始まっている。残りは5戸と好調。
中学校跡地61戸も好調で残りは7戸。

舗道は透水性のブロック、手押し井戸ポンプも設置されている
◇ ◆ ◇
同社の戸建て住宅の街開きやイベントなどを取材するのは数度目だが、今回は舗道やコモンスペース、敷地内に植えられた中高木・草木の名前を当てる「グリーンビンゴ」ゲームがメイン。全部で16種あり、あらかじめ用意された見本と照らし合わせながら4×4のマス目に名前を書き込んでいき、縦横、斜めの名前が正解ならビンゴとなり、鉢植えなどがプレゼントされる。
記者も入居者と一緒に挑戦してみた。名前は次の通り。ブルーベリー、ローズマリー、ベニバナ、オリーブ、ヒメリンゴ、ヤマボウシ、オレンジ、ジューンベリー、ハナモモ、ベニバナトチノキ、シマトネリコ、ガマズミ、ハナミズキ、コブシ、フェイジョア、カツラ。
これがなかなか難しい。記者は樹木の名前は知っているほうだと思うが、いつも見ているのは成木。今回植えられていたのはほとんどが幼木だったので、当てるのに悪戦苦闘。自信を持って名前が付けられたのは数本しかなかった。入居者の方々と教え合いながら全部名前を付けたが、ヒメリンゴ、ヤマボウシ、ガマズミ、カツラが不正解だった。イベントに参加した入居者の方もほとんど自力では名前を付けられなかったはずだ。
しかし、今回街開きを行った小学校跡地の38戸の規模で、これだけのたくさんの、しかも実がなる中高木(もちろんこのほかにもたくさん草木が植えられていた)が植えられているのがいい。
名前当てに精力を使い果たしてしまったので、肝心の戸建てのチェックが甘くなってしまったが、ニチハ「エコ外壁」、無垢のフローリング「WOODONE」、無垢の建具、コルク材など自然素材がふんだんに採用されているのがいい。外観は南欧スタイル。
よく売れているのも納得だ。販売に際しては、プロジェクトの意義、ワークショップを定期的に開くことなども丁寧に説明して納得の上で購入してもらう姿勢を取っているという。
く
草花の育て方について専門家から説明を受ける参加者

⑨はみんなよく知っているオリーブ

街並み
田都のマンションの歴史を変えるか 野村不「プラウドシティ宮崎台」

「プラウドシティ宮崎台」完成予想図
野村不動産が今夏に分譲開始する「プラウドシティ宮崎台」を見学した。田園都市線「宮崎台」駅から徒歩6分という地にありながら、沿線では珍しい全429戸の大型プロジェクトで、田都の歴史を変えるマンションになるかもしれない。
物件は、田園都市線宮崎台駅から徒歩6分、川崎市宮前区宮前平3丁目に位置するイーストコート204戸、ウエストコート225戸の合計429戸の規模。専有面積59.23~110.91㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円を切る模様。施工は三井住友建設。竣工予定は平成28年8月下旬~11月下旬。
現地は、ケヤキ並木、銀杏並木が美しい高台で、三菱重工の社宅跡地。2年前、メジャーセブンのうち1社のみが入札しなかっただけで、その他6社+ゼネコン1社が入札した、大手デベロッパー垂涎の的のマンション適地。
イギリスの社会学者エベネザー・ハワードが提唱した「田園都市構想」に基づいて整備された多摩田園都市の美しい街並み似ふさわしい外構・外観としているのが特徴で、随所に水盤を設け、電車の窓から見えることもあって印象的なマリオン、コーナーサッシを採用している。設計が日建ハウジングシステム社という点も、プロジェクトに対する同社の本気度を感じる。
住戸プランはファミリー向けが中心で、浄水器一体型グローエ水栓、エコナビ機能付き食器洗い乾燥機、LED照明付き浴室などが標準仕様。
プロジェクトの責任者、同社シニアチーフ三上一人氏は「大規模マンションの用地が出にくい田都沿線において、当社初の100戸超の旗艦事業。恥ずかしい住まいは造れない。相当気合いを入れた」と話す。

◇ ◆ ◇
駅に降りてすぐ思い出したのはリーマン・ショック後の2009年に同社が分譲して即日完売した「プラウド宮崎台」だ。詳細は添付した記事を読んでいただきたいが、このマンションが人気になったことで同社の快進撃が再び始まった。
そして、今回。田園都市線の駅近のマンションでは久々の大型だ。さらに大きいだけでは無く、周辺環境も申し分無い。これほど環境が整った大型はいつ以来かを考えた。
真っ先に浮かんだのは、2001年竣工の東急不動産「イディオスあざみ野」(321戸)だ。高台立地でグレード感もあり、近年の最高物件だと思っている。
それを超えるかどうかが最大の関心事だ。当時と事業環境も異なるのでなんともいえないが、田都のビンテージマンションになるのは間違いない。まさに沿線において比肩するものなしと言ったところだ。実際に商品企画においても同社の力の入れようがひしひしと伝わってくる。デザイン性に優れたエントランスや共用部を始め、専有部においても浄水器一体型グローエ水栓、エコナビ機能付き食器洗い乾燥機、LED照明付き浴室など、昨今の建築費上昇局面においても非常に水準が高いと言える。
価格はどうか。現地を見た時、坪単価は間違いなく300万円を超えるとみたのだが、戸数が多く、超えてもそんなに大幅には超えないのではと予想した。三上氏が言ったように「300万円を切る」というのが味噌、急所だ。
首都圏マンション単価はどんどん上昇している。準都心・郊外部でも立地条件のいいところは軒並み坪300万円を超えてきている。普通のサラリーマンの取得限界を超えている。
同社は極力単価を抑え、早期完売を企図しているはずだ。競合するかどうかはともかく、同じ川崎・横浜のマンションでは東急不動産と近鉄不動産がそれぞれ分譲する「みなとみらい」、三井不動産レジデンシャルの「武蔵小杉」がユーザーの関心を呼んでいる。「みなとみらい」は坪400万円前後かそれ以上、「武蔵小杉」も320万円くらいになるはずだ。
同社はそれより低めに設定して〝割安感〟をアピールしようという戦略だ。三上氏は「来場者は沿線居住者のほか、世田谷区が多い」と話したように、城西エリアからも需要を喚起できるかどうかがカギだろう。
田都のマンションの歴史を変える可能性を秘めたマンションだ。

野村不動産幹部が〝即完〟を確信した「プラウド宮崎台」(2009/4/20)
不動産公取協 「不動産広告の適正化の取り組みに支援を」植木会長
不動産公取協の総会後の懇親会(セルリアン東急ホテルで)
植木会長
首都圏不動産公正取引協議会(不動産公取協)は6月12日、定時総会を行い、総会後に懇親会を開いた。
植木正威会長(不動産協会顧問、東急不動産取締役相談役)は、「昭和38年に設立以来、現在まで不動産広告の適正化を推進し、不動産業界に対する一般消費者の信頼を向上させ、ひいては不動産の需要を喚起して、業界全体の利益を向上させてきた」などと語り、一層の支援を訴えた。
来賓として挨拶した消費者庁の菅久修一審議官は、「不動産広告の適正化の取り組みは、消費者の安心安全の環境を整備するとともに、事業者の創意工夫によって評価されるものであり、今後も支援していく」と述べ、国交省土地・建設産業局長の毛利信二氏は、「広告表示はいつの時代も重要。皆さんのおとり広告の防止策や『ポータルサイト適正化』の取り組みは時宜にかなったものであり、事業者全体の信頼につながっている。国交省としても今後、流通シェアの拡大、上物の評価、不動産総合データベースの整備、情報の非対称の解消などに取り組んでいく」と語った。
近鉄不・三井レジ 商・ホテル・住の複合「みなとみらい」 坪単価は400万円前後

「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」完成予想図
近鉄不動産と三井不動産レジデンシャルが6月9日、「みなとみらい地区」最後の住宅街区の一角で開発を進めている商業・ホテル・住の複合開発プロジェクトのマンション「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」記者発表会を行い、6月20日からモデルルームをプレオープンすると発表した。
物件は、横浜高速鉄道みなとみらい線新高島駅から徒歩8分、同みなとみらい駅から徒歩9分、JR横浜駅から徒歩16分、横浜市西区みなとみらい6丁目に位置する27階建て全355戸(販売戸数305戸)。価格は45.91~136.97㎡、価格は未定だが、坪単価は400万円前後になる模様。竣工予定は2017年2月中旬。設計は久米設計。施工は大成建設。
現地は、みなとみらい地区唯一のオーシャンフロント住宅街区の一角で、大型スーパー「(仮称)オーケーみなとみらい店」と「(仮称)ホテルビスタプレミオ横浜みなとみらい」や就業施設、保育施設が併設される。
建物は免震構造で、オーシャンフロント住戸比率が約59%。高層階はプレミアム仕様で、著名なデザイナーズモデルルームを提案。コミュニティ形成を図る「クラブサロン」、「そごう横浜」と提携したショッピングサポートも行う。
◇ ◆ ◇
これから神奈川県では三井不動産レジデンシャル「パークシティ武蔵小杉ザガーデンタワーズイースト」(592戸)と、野村不動産「プラウドシティ宮崎台」(429戸)のビッグプロジェクトが供給される。単価がそれぞれ異なり直接対決はないかもしれないが、東京都のユーザーにとっては悩ましい選択になるのではないか。
この点について、三井不動産レジデンシャル執行役員横浜支店長・徳川浩一氏は「3物件とも〝住みたい街〟の上位にランクされており、注目されているが、地縁性や交通便などもあるので競合するというよりそれぞれで盛り上げていきたい」と語った。
住戸プラン、設備仕様について。120㎡のプレミアムモデルルームには驚いた。「FENDI」などの高級ブランドの店舗を数多く手掛けるグエナエル・ニコラ氏を起用。2ミリ厚のタモの突板床、収納扉の裏側も含めた布クロス、和紙に金属箔を貼ったモダンな和室の天井、幾重にも折り重ねたような洋室の紙クロス、天然石のようなセラミックタイルなどをふんだんに用いている。
標準タイプのモデルルームを担当しているいま人気のデザイナー鈴木ふじゑ氏がかすんでしまうほどだ。
ただ、一つ二つ言わせていただければ、ニコラ氏の玄関・ホール間の引き戸はどうか。玄関そのものはそれほど広くなく、引き戸で仕切ってしまうのはどうか。和風住宅ではなくはないが、マンションではおそらく初の試みだろう。
もう一つ、惜しいと思ったのはホールや居室の床の隅に設けたLED照明だ。部屋を暗くして照明だけ灯すとかなり強い光が目に飛び込んでくる。
意図はよく分かる。昔のわが国の住宅は行燈、ろうそくなどのアッパーライトが基本だった。そこまで考えるのなら、光を直接目に入るようにするのでなく、床の壁に当てて優しい反射光を四方八方に拡散するようにしたら最高ではなかったか。残念。
◇ ◆ ◇
来年日本で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の開催地が三重県・賢島に決定した。同地では近鉄グループと三井不動産グループがそれぞれホテル・リゾート事業を行っており、わが故郷の久々の朗報なので絶好の機会だと思い質問した。
これに対して、近鉄不動産常務取締役首都圏事業本部長・田中孝昭氏は、「まことに結構なこと。近鉄グループとしても喜ばしい。三井さん(ねむの里・鳥羽国際)と仲良くやりたい」などと話した。
三重の野球ファンは近鉄でも阪神でもオリックスでもなく中日が圧倒的に多いが、近鉄と三交は三重県人にとっては足を支える存在だ。ここしばらくは賢島が全国区になる。

プラン・設備がいい、坪400万円は納得 「ブランズタワーみなとみらい」(2015/5/13)
大規模商・住のスマートシティ 大和ハウス他「高尾」はこんな街

「プレミスト高尾サクラシティ」完成予想図
大和ハウス工業(事業比率80%)とコスモスイニシア(同20%)が6月中旬に分譲開始するマンション「プレミスト高尾サクラシティ」を見学した。この5年間で2棟120戸しか供給されていない高尾駅圏の総戸数416戸の大規模開発で、隣接の敷地には複合商業施設・戸建て・保育園も建設される。坪単価は160万円台の半ばになる模様。大和ハウス関係者は「第1期は即日完売する」と手ごたえを感じていた。
物件は、JR中央本線・京王高尾線高尾駅から徒歩6分、八王子市東浅川町に位置する14階建て全416戸。専有面積は63.57~92.55㎡、予定価格は2LDKで2,500万円台~、3LDKで2,700万円台~、坪単価は160万円台の半ばになる模様。竣工予定は平成28年2月上旬~28年10月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は野村不動産アーバンネット。
現地は約16,000㎡の沖電気の敷地跡地。敷地に隣接して複合商業施設と戸建て街区が予定されている。保育所・小学校も隣接。「サクラシティ」は既存樹のサクラが市民にも開放され親しまれていたことから名づけられた。
建物はほとんどが南向きの4棟分節構成で、エネルギー管理システム(MEMS)、地域コミュニティエネルギー管理システム(CEMS)などを駆使してスマートシティを構築する。
住戸プランは70㎡台のファミリー向けが中心で、モデルルームは、オプションだが本物の木を壁や調度品に用いた提案がいい。
これまで来場者は500組超。大和ハウス東京本店マンション事業部事業部長・松岡康成氏は「第1期の戸数は未定だが、必ず即日完売する」と自信を見せた。
◇ ◆ ◇
バブル崩壊までは「高尾」はマンションや分譲戸建ての〝メッカ〟でもあった。都心に近い良好な住宅は1億円を突破していた。ここまで来ないと普通のサラリーマンは戸建ての取得などできなかった。高尾がどのような街であったかを少し紹介しよう。
記者が真っ先に思い出すのが、「グリーンタウン高尾」(30.7ha、分譲住宅283戸、宅地分譲314区画、合計597区画)、「ホーメストタウン八王子」(34.8ha、総戸数606戸)、「城山手」(29.0ha、総戸数490戸)の3団地だ。分譲時にその都度取材に出かけ記事にしているが、ここで当時の記事を子細に調べる余裕がない。間違っていたらごめんなさいというほかない。
「グリーンタウン高尾」の分譲開始は昭和60年。事業主は東京都住宅供給公社。高尾駅からバスで15分、土地面積は40~50坪台、建物は31坪以上、価格は3,000万円台の後半。公庫融資が1,000万円くらい付いており、頭金は2,000万円台の後半。公庫のローン金利は10年固定で5.25%、11年目以降は6.15%。施工はハウスメーカーの約10社。
当時、都公社の分譲事業は低迷を続けており、事業継続をかけたプロジェクトだったが、販売時期が幸いした。まさにバブルの発生時。第1期の分譲住宅は100戸を超えていたが、申し込み倍率は数倍に達した。都公社の担当課長が大喜びしたのを思い出す。
「ホーメストタウン」はどうか。宮脇檀がランドプランを担当しただけあって素晴らしい街に出来上がった。今でも風格がある。記者の記憶に残る団地の一つだ。
ただ、開発許可を得るのに難航したため、販売開始はバブル崩壊後の平成5年くらいだった。事業主の殖産住宅は「太平住宅」「日本電建」とともに戸建て分譲の老舗だが、経営難から平成14年、民事再生を申請して破たんした。
もう一つの「城山手」は相互住宅が事業主で、分譲開始は平成6年。こちらは前2者がバス便だったのに対して徒歩圏であることからまずまずの売れ行きをみせた。価格は6,000万円くらいではなかったか。こちらも街並みが素晴らしかった。

「グリーンタウン高尾」街並み

「ホーメストタウン八王子」街並み
◇ ◆ ◇
この3団地でトータル約1,700戸だ。当時の購入者はほとんど60歳以上になっているはずだ。世帯分離で子世帯が独立、転居するケースが増え、世帯の高齢化にともなう様々な問題を抱えていることは容易に想像がつく。
大和ハウスの今回のマンションがこれら3団地や周辺の戸建て団地から大量の買い替え・買い増し需要を吸収するのではないか。圏央道へも車で約5分という立地もユーザーの購買意欲を刺激するかもしれない。リニア停車駅の「橋本」にも車で約15分だ。もちろん高尾山も近い。
地元居住者だけでなく、広域からも集客できるかどうか、「高尾」の魅力を訴えきれるかどうかが販売のカギとなる。
昔の話をしてもしょうがないのだが、当時のローン金利が5%を超えていたのをいまのユーザーはどうとらえるか。
◇ ◆ ◇
「サクラシティ」の取材後、「グリーンタウン高尾」と「ホーメストタウン八王子」の街並みを見て回り、お茶でも飲もうと喫茶店に入った。店の名は「カフェ・ド・ラ・ネージュ」。「ラ・ネージュ」はフランス語で「雪」。こじんまりした古風な内装で椅子はカリモク製、床はレンガ張り。二重窓の中には鮮やかな赤のゼラニウムの鉢がたくさん置かれていた。カウンターには白い可憐なドクダミの一枝が、窓側にはユキノシタの花がさりげなく飾られていた。
ドクダミは記者の大好きな野草だ。誰からも嫌われるが、匂いはすさんだ心を癒してくれる鎮静剤だ。嬉しくなってオーナーのKさんに声を掛けた。
店の開業は昭和54年で、Kさんは二代目。戦中の昭和18年、神田の生まれ。「高尾も夏は暑いですが、朝晩は涼しい。空気もきれいだし離れられない」と話した。

「カフェ・ド・ラ・ネージュ」に活けられていたドクダミとユキノシタ
東急リバブル 香港に支店開設
東急リバブルは6月4日、香港に支店を開設したと発表した。香港の投資家に対してダイレクトで日本の不動産情報を紹介するのが狙い。
同社は2014 年10 月、香港に駐在員事務所を開設し、日本への不動産投資動向に関するマーケティング調査を進め、現地の金融機関や不動産会社などと関
係を構築。これまでの駐在員事務所を支店化した。
所在地は30/F, United Centre, 95 Queensway, Hong Kong、名称は東急リバブルソリューション事業本部香港支店。支店長は佐々木博士氏。
三菱地所レジ 「ザ・パークハウス グラン」 第4弾「南青山」は坪800万円弱

「ザ・パークハウス グラン南青山」完成予想図
三菱地所レジデンスは6月4日、同社の都心のフラッグシップマンションシリーズ「ザ・パークハウス グラン」の第4弾「ザ・パークハウス グラン南青山」のモデルルームを6月6日にオープンすると発表した。東京メトロ表参道駅から徒歩4分の全101戸の規模で、「南青山5丁目」アドレスでは初の大規模物件。坪単価は800万円弱。
物件は、東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線表参道駅から徒歩4分、港区南青山5丁目に位置する7階建て全101戸(事業協力者住戸81戸含む)。専有面積は60.21~222.37㎡、価格は未定だが、坪単価は800万円弱。最大面積住戸は7億7,000万円の予定。竣工予定は2016年8月。施工は東急建設。デザイン監修はアーキサイトメビウス。
現地は財務省の職員宿舎跡地。「世界が息をのむ青山の邸宅」をデザインコンセプトに、外観はランダムに配置したマリオンと御影石の重厚感、彫の深い陰影デザインが特徴。
天井高5mを超えるエントランスホールには、ライムストーンを基調に、外観に用いた御影石などを使用し建物としての一体感と上質感を演出。エントランスホール正面の壁面には、植物の屈光性をテーマに漆黒に浮かぶ無数の線を描いた2つのモダンアートを配置。コンシェルジュカウンターの上部には、美しく穏やかな水の流れを表現した名栗仕上げのメタルアート、背後には歌川広重が描いた夕立を思わせるガラスのエッチングアートを配置している。
ソフト面では、1階のエントランスと地下のサブエントランスにはドアマンが待機。ポーターサービスも行うほか、居住者専用ハイヤーを配備。近隣のコレッツィオーネビル1階のカフェ「アニバーサリー」との提携によるカフェサービスも導入する。
住戸プランは90㎡台~110㎡台が中心。ミーレ社製食洗機、ドンプラハ社製水栓、ジャクソン社製バスタブを標準装備。6~7階は仕様レベルを上げ、24時間全館空調システム「エアロテック」を採用。
発表会に臨んだ同社・小野真路社長は、「ザ・パークハウス グランシリーズは用地取得競争が激しく、当初考えていた年間2~3物件の供給は難しいが、このほかにも数物件の計画がある。建築費は高止まりの状態」などと話した。「ザ・パークハウス グラン」シリーズは「三番町」「南青山高樹町」「千鳥ヶ淵」に次いで4物件目。

モデルルーム
◇ ◆ ◇
まず単価について。現地を昨年見た段階では「坪単価は800万円を超える」と書いたが、「800万円弱」というのは個人的には納得した。同社の皇居を見下ろす「唯一無二」の「千鳥ヶ淵」の坪800万円を同社の物件で超えてほしくなかったからだ。
公開された220㎡と115㎡のモデルルームの出来はいい。220㎡の建具・面材は額縁付きのマホガニー、115㎡のそれはナラ材。ドアの把手はコロンボ。久々に本物の億ションをみた。
「エアロテック」の採用は6~7年振りだそうだが、これもいい。専有部に約1畳大の機器のスペースが必要で、居住面積が広くないと採用は難しいとのことだったが、今後積極的に採用していくようだ。
事業協力者住戸について同社は詳細を明らかにしなかった。まさか相場が上昇したら分譲されるようなことにはならないと思うがどうだろう。

エントランスホール
マンション「コミュニティ条項」削除に反対 首都圏など13の管理組合が意見書
首都圏などの同じ意見をもつ13のマンション管理組合(総戸数9,309戸)は5月28日、国土交通省などにマンション標準管理規約の「コミュニティ条項」を削除しないよう求める意見書を提出した。
意見書は、先に国交省「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」がコミュニティ条項の削除するよう求めた報告書は「問題点が看過できないほど重大」とし、「コミュニティ条項が削除されると、各マンションは指針を失い、かえって紛争を助長し、裁判費用などの出費も余儀なくされるかもしれず、そのような事態を招いた政府の責任も問われかねない」と、削除しないよう求めている。
また、①管理組合が行うことのできる業務(権能)にはコミュニティ形成(活動)が含まれること、この業務に関する支出は区分所有法に違反しないことを明記する②管理組合と自治会の目的・業務には一部共通点があること、そのため、一定の条件下においては、管理組合が自治会費の徴収・支払いに事実上関与したとしても区分所有法に違反しないことを明記する③区分所有法に違反しないコミュニティ形成(活動)、支出、費用徴収のあり方に関する設例やベストプラクティスや、区分所有法に違反しない管理組合の自治会費の徴収・支払いへの関与の仕方などを明記する-ことを求めている。
意見書を作成したのは「アーバンドックパークシティ豊洲管理組合」(東京都江東区、1487戸)と「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー管理組合」(川崎市、797戸)で、このほか都内や神奈川県、千葉県、茨城県、大阪府の11の管理組合が賛同者として名を連ねている。
意見書はこちら
◇ ◆ ◇
記者はこれまで「検討会」に対してかなり批判的な記事を書いてきた。検討会を主導した委員は、まともな論議などせず他の意見も聞こうとせず、最初から「削除」することを強行しようと考えていたのではないかといわざるを得ない。現場のことなどまったく分かっていないと思った。検討会は海外視察も行なったようだが、わが国のマンションはどれくらい見学したのか聞きたい。
今回、戸数にして1万戸に近い管理組合の総意としてこのような意見書が提出されたのは大きな意味を持つ。
6月2日に行われたマンション管理業協会の総会後の懇親会でも、山根弘美理事長は検討会が組合の役員についても厳しい要件を設けたのについて触れ、「経済原理も大事だが、所有と利用が分離されている海外に対して、わが国は8~9割が実需。マンションコミュニティは文化。よりよく進化させるため活動していきたい」と、検討会を批判した。
来賓として挨拶した井上義久・公明党幹事長も「コミュニティ、高齢化対応など総合的な見直しが必要で、強い関心を持っている。時代の変化に対応できるものにしないといけない」と、管理のあり方に関心を示した。
〝ケロ、ケロ、ケロ〟カエルも歓迎 三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー
「空と土プロジェクト酒米づくりツアー」お田植え編
「タウエよりアウェーですが…」三菱ではないM銀行からの参加者も
〝ケロ、ケロ、ケロ〟-絶好の田植え日和の5月下旬、無農薬の田んぼで色とりどりの服を着て、へっぴり腰で酒米を植える、いかにも都会育ちと思える集団をやや嘲笑気味に「初めてにしてはよくぞやった。歓迎の意を表す」とばかりカエルが鳴いた。参加者約30人は、さすがに疲れたのか、作業後は声が出なかったが、みんな満足の表情を浮かべた。
三菱地所グループがNPOえがおつなげて(曽根原久司代表)と連携して山梨県北杜市増富地区で取り組んでいる耕作放棄地・荒廃森林の再生を目指す「空と土プロジェクト酒米づくりツアー」お田植え編に同行取材した。
◇ ◆ ◇
5月23日(土)、9時30分。武田信玄像があるJR甲府駅前にツアー参加者が集まった。早速バスに乗り込み、高齢化率62%、耕作放棄地44%という壮絶な限界集落、北杜市増富地区に向かった。老若男女、その数は約30人。
現地までは途中休憩を挟みバスで約1時間半。早速、車中で自己紹介が始まった。口火を切ったのはCSR活動も担当する同社常務執行役員・吉田淳一氏。初めて田植えを体験するのは8割くらいであることを確認した上、緊張をほぐすためか「田植えはたいしたことない。人海戦術でやれば大丈夫。空気も水もきれいだし、泥に入っても温かい。心身ともリフレッシュしていただきたい」などと話した。
三重県伊勢市の近くの農村で育った、田植えがいかに重労働であるか分かっている記者の番に回ったので、吉田氏に反撃を加えた。「吉田さんは簡単なように仰るが、ヒルやアブ、マムシがいるし、肥溜めもある。私は落ちたことがある。女の人は〝くノ一〟じゃなくて、への字に腰が曲がる」と脅した。(後で聞いたら、吉田常務は山口県下関出身で、肥溜めに落ちたことがあるそうだ)
肥溜めが何たるかをしらない人ばかりなのだろう。笑いは誘ったが、「いい酒米をつくりたい」「キノコは酒のつまみにしたい」などと、記者の脅しなど馬耳東風。いかにも楽しそうな様子で参加者は決意を語った。
オーストラリア人ならぬ豪の者もいた。丸の内のM銀行(三菱じゃない)に勤める若い女性2人組だ。「酒が好きで、ツアーの案内のチラシが入ってきたので参加しました。何だかタウエじゃなくてアウェー状態ですが、よろしくお願いします」と爆笑を買った。
しいたけの収穫と植菌体験
やや不ぞろいだが、地元の協力者は「初めてにしてはよくやった」
◇ ◆ ◇
一行は現地でしいたけ植菌体験・採取体験をしたあと、昼食をはさみ田植えへ。曽根原氏やそのスタッフ、地域の協力者などに植え方などを教わり、一斉に田んぼの中に入った。
その光景は、母親や祖母が菅かさに木綿の野良着(テレビなどで放映される早乙女姿などはなかった)を着て田んぼに這いつくばる姿とは月とすっぽんほどの差があった。
写真①を見ていただきたい。右の女性はともかく、左の女性はスイマーのように全身ピッタリ黒(何と呼べばいいのか)ずくめに、パンツ(これも何と呼べばいいのか)姿。唖然とする記者に「一応、海に入ってもいい姿なんです」と話した。写真②もその女性。脚が長いのはいいのだろうが、腰が高い!
参加者は、ベテランなら一人で4時間くらいかかる田んぼ2枚を約1時間で植え終えた。地元の協力者は「素人にしてはよくやった」と太鼓判を押し、カエルも「ケロ、ケロ、ケロ」と、あざ笑ったのかも知らないが、歓迎の賛意を示したと記者は受け取った。サワガニは踏み潰されてはたまらんとあぜに駆け上がっていた。
最後は曽根原氏の掛け声「お田植えモリモリ」を三唱して締めた。
今回の田植えの翌週5月30日の、三菱地所レジデンスの友の会組織「ザ・パークハウスクラブ」会員を対象にした田植えツアーには定員40人に対し10倍の応募があった。
写真①②
この二人はなかなか様になっていた(アウェー状態のM銀行からの参加者ではなかったか)
〝ええーいぃ めんどうだ、座っちゃえ〟
〝1本、2本、…〟(苗束から5本を植えるように言われ、悪戦苦闘する参加者。熟練者は片手で瞬時に選ぶそうだ)
◇ ◆ ◇
収穫された米は、山梨の老舗蔵元・萬屋醸造店によって純米酒「丸の内」として製造される。この日、当主中込元一郎氏も田植えに参加。
「皆さんが植えられたお米は、これまでの等級チェックではすべて1等米。いい米でないといいお酒は造れない。水もきれい、栽培中は農薬・化学肥料を使わない。何よりも皆さんの気持ちが込められたお酒なのでおいしい」と話した。
「丸の内」は昨年は天候不順が続き、3,400本しか製造できなかったそうだが、今年は4,000本が目標とか。丸の内の酒屋でも販売されるが、瞬く間に売り切れとなる〝幻の酒〟のようだ。記者も飲んだことがある。文句なしに美味しい。
中込氏(左)と労をねぎらう曽根原氏
三菱地所グループ「空と土プロジェクト」体験ツアーに同行取材(2012/1/10/19)

