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「ホームステージャー1級」合格者と日本ホームステージング協会関係者

 一般社団法人日本ホームステージング協会(代表理事:杉之原冨士子氏)は8月26日、同協会の資格認定制度「ホームステージャー1級」の第一期合格証授与式を行った。

 「ホームステージング」は、売却予定の自宅の資産価値を高め、より早くより高く売却するために専門のコーディネーターが家具や小物を含めたトータルコーディネートでインテリアを演出し、不動産売買のお手伝いするサービスのこと。わが国では馴染みはないが、米国では30年以上前から当たり前のように行われ、ホームステージャーという職業として活躍しているという。

 同協会は、わが国でも中古住宅流通が増え、ホームステージングなしには売却できない時代が到来すると予測し、日本独自のホームステージングの普及とホームステージャー育成を目的に2013年8月設立。

 「ホームステージャー」は、1日の受講と認定試験に合格した「2級」と、より専門的な知識と実践的な提案力を養う2日間の講座と認定試験に合格した「1級」があり、今回の授与式は1級合格者6名が対象。合格者3名(欠席3名)に同協会から合格証が授与された。

 合格証を授与した同協会理事・野口幸恵氏は、「ホームステージングはわが国にはまだ浸透していないが、ホームステージングの活動が必要な時代は必ずやってくる。合格された第一期生の皆さんは、インテリアに特化したコーディネーターとは異なる総合プロデューサーとして活躍していただきたい」と挨拶した。

 合格した小沼景氏(decora社長)は「18年前からリフォーム会社を経営しており、この資格を生かしてよりスピーディに不動産の取引ができるようにしたい」と話し、舘岡伸博氏(TSUNAGU不動産)は「新しい資格で営業マンとして売りになるものとして差別化を図っていきたい」と語った。もう一人の合格者の前田大樹氏(ポラスグループ中央住宅マインドスクェア事業部主任)は「欲しかった資格で、身が引き締まる思い。今後、不動産の価値をあげられるよう現場力、提案力を高めていきたい」と抱負を語った。

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左からそれぞれ合格した前田氏、小沼氏、舘岡氏(写真右は野口氏)

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 「ホームステージング」なる言葉があることすら知らなかった。似たような資格ではいずれも民間の資格制度「インテリアコーディネーター」と「インテリアプランナー」があり、前者は全国に約5.5万人、後者は約8.6千人いる。

 これらの資格と「ホームステージング」が異なるのは、片付けや掃除、引っ越し・保管なども含めたトータルな「家の演出」によって売却予定の住宅の価値を高めようという点にあるようだ。

 同協会の代表理事を務める杉之原氏は、引っ越しや梱包が主な業務の「サマンサネット」を経営しており、「引っ越しの際にお客さんの自宅にうかがうと、とにかく荷物が多い、遺品などの処理にも困っていらっしゃる。売却のネックにもなっている。片づけを勧めるのだが、『片付け』からのアプローチではなかなかビジネスにつなげられない。しかし、米国ではホームステージングが当たり前になっている。ここにヒントを得て、協会を立ち上げた。これから空き家が激増する。遺品整理もビジネスになる時代がやってくる。これまでとはまったく異なった視点で住環境の提案ができる人材を育てていきたい」と話した。

 取材をしながら、盲点を突いたビジネスだと思った。新築だろうと中古だろうと売買の際にもっとも悩む問題の一つに収納がある。マンションの場合、ほとんどのユーザーは「収納が足りない」という不満を抱えている。

 記者は、〝マンションの坪単価は200万円も300万円もするのだから、不要なものは捨てろ〟というのが持論だが、いざ自分のこととなると例えば本が捨てられない。片づけも掃除も苦手だ。

 このようにどう判断していいか分からない人に、プロとして的確なアドバイスができる人というのはありがたい存在だろう。いまは遺産、遺跡、古民家、骨董・古美術、リサイクル、リユース、レトロなどが流行り言葉になっている。ホームステージングがこれらの業種と連携すれば新たなビジネスも発生するかもしれない。

野村アーバン タワーマンション売りやすくする「ホームステージングサービス」(2014/10/31)

 東急リバブルは8月25日、リノベーションマンション「L’GENTE LIBER(ルジェンテ・リベル)」で、タブレット端末を利用してカラーセレクトプランの組み合わせをシミュレーションできるアプリケーション「たてものみらいchanger」を試行導入したと発表した。

 アプリケーションは、セールスビジョンが東急ホームズ監修のもと、主に中古物件を取り扱う不動産仲介会社向けに開発したもの。カメラで撮影した物件の写真をもとに、タブレット端末で、アプリ内に格納された建物の部材・建材・色調などを自由に組み合わせ、リノベーション後のイメージを手軽にシミュレーションできるツール。

 同社は、現在販売中の「ルジェンテ・リベル向ヶ丘遊園」のカラーセレクトプラン用にカスタマイズし、業界に先駆けて導入した。この物件では、床と建具の色調を「ウォルナット」「ナチュラル」「ホワイト」の3種類から選べる。

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「イニシアクラウド二子玉川 イースト・ウエスト」完成予想図

 コスモスイニシアは8月25日、新しいマンションブランド「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)」の第一弾「イニシアクラウド二子玉川」のモデルルーム見学会を一般公開に先駆け報道陣向けに行った。第2種低層住居に位置する41戸の規模で、5つのコンセプトと3つのテーマが盛り込まれており、ありきたりのプランに飽き飽きしているユーザーの心を捕えそうなマンションだ。分譲は10~11月の予定。

 先行分譲する「イニシアクラウド二子玉川 イースト」は、東急田園都市線二子玉川駅から徒歩22分(バス7分徒歩6分)、世田谷区岡本二丁目の第2種低層住居専用地域(高さ制限12m)に位置する4階建て41戸(ウエストとあわせ2棟67戸)。専有面積は77.19~98.34㎡、価格は未定だが坪単価は約295万円の予定。竣工予定は平成28年1月下旬。施工はライト工業。

 現地は、丸子川が近くに流れ、その北側には国分寺崖線が走る住宅地の一角。敷地は元果樹園で、四方が道路に囲まれている。住戸プランは西南西向きと東北東向きで、ワイドスパンの77㎡の3LDKが中心。

 間取りはクランクインの玄関がほとんどで、ライフスタイルやライフステージによって間取りが変えられるのが大きな特徴。各居室はスライドウォール・引き戸を開閉することで1LDKから3LDKまで自在にレイアウトできる。

 また、テーマの一つでもある「タッチ」では、リビングドアはナグリ調仕上げにしたり、床は凹凸のある木目調フローリングにしたりして、素材感や自然の肌触りが味わえるように工夫を凝らしている。キッチン、洗面所、玄関収納のカウンタートップはシーザーストーン。引き戸はソフトクローズ機能付き。

 このほか、コンセプトを生かすようキッチンも含めた全居室に床暖房を設置し、ベランダのバルコニーは隔壁で仕切るのではなく独立性を確保しているのが珍しい。食洗機、リビングの物干しポールも標準装備。

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LDK モデルルーム

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 まず、単価。駅から距離がややあるので坪300万円はしないだろうが、280万円で果たして分譲するかと必死で頭を回転させていたが、坪295万円と聞いて落ち着くところに落ち着いたと納得した。

 坪単価を300万円以下に抑える一方で、居住面積を3LDKではやや広めの77㎡を確保しているのがミソだ。グロスで7,000万円を切るような価格設定だと思う。

 「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)」のコンセプトはしっかり伝えられていると思う。間取りを自由自在に変更できるのも、木のぬくもり・優しさを感じさせる素材の採用も、ここ数年の時代の流れだ。ありきたりのプランでは満足しない層にターゲットを当てたのは正解だろう。全居室が冷暖房付きで、独立型バルコニー付きというマンションなどそうないはずだ。

 ひとつだけ、主寝室くらいは独立型で遮音性に配慮してもいいのではないかと考えたが、販売担当者によると、「2枚引き戸を壁にするには30~40万円くらいの費用で済むが、逆に壁を引き戸に変更する場合はその3倍の費用がかかる」とのことだった。なるほど、よく考えたものだ。

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手前の主寝室とその奥の居室は2枚引き戸で開閉できるようになっている

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手前のリビングと隣接の居室は3枚引き戸で開閉できる

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玄関・ホール(クランクイン型となっている)

コスモスイニシア 「‘柔らかさ’のある住まい」テーマの新ブランド「INITIA CLOUD」(2015/6/30)

 

 

 

 国土交通省は8月24日、「第7回 新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」を開き、人口減少・少子高齢化社会におけるオープンスペースの再編と利活用のあり方、まちの活力と個性を支える多様な都市公園の運営あり方などについて検討してきたこれまでの内容をもとに、新たな時代の都市をつくる緑とオープンスペースの基本的考え方を中間とりまとめとして整理・公表した。

 中間とりまとめでは、少子高齢化と人口減少、環境問題、都市基盤ストックの形成、財政制約の深刻化、市民意識の変化・企業の社会貢献など都市を取り巻く社会状況を踏まえ、新たな時代の都市を支える緑とオープンスペースのポテンシャルを最大限に発揮することが重要とし、①ストックの効果をより高める②民間との連携を加速させる③都市公園を一層柔軟に使いこなす観点が必要としている。

 これらの観点から、新たな時代の都市づくりにグリーンインフラとして緑とオープンスペースが寄与していくためには①新たな時代の都市を支える緑とオープンスペースの戦略的な確保・活用②まちの活力と個性を支える多様な都市公園の弾力的な運営③幅広い主体と協働により質を向上させていく仕組みの構築などの具体的な施策を推進することが必要としている。

 今後、広場空間の実態調査、実例と分析と課題抽出、多様な都市公園の運営のあり方の整理などを行い、来年1月ころに最終とりまとめを検討することになっている。

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 何度かこの「検討会」を傍聴した。進士五十八座長(東京農大名誉教授・元学長)を筆頭に各委員が遠慮せず自由に発言していたので、ものすごく面白かった。

 もっとも注目したのは、「都市公園」のあり方だけでなく、「オープンスペース」「緑」「都市空間」などを含めた都市全体のあり方に各委員が言及し、都市公園法などを硬直的に解釈・管理するのではなく、柔軟な運用・運営によって多様な対応が可能だと各委員が指摘したことだ。

 いま、都市公園の中に保育所などの子育て支援施設、老人デイサービスなどの高齢者福祉施設、観光関連施設、にぎわい・地域活性化施設の設置の是非が論議されているが、検討会はどのような方向性を打ち出すか。都市公園はもともとそのような機能を備えており、弾力的な公園運営を進めるべきとしている。

 都市公園内の施設建設につい関連することだが、今から6年前、東京都の民設公園制度を活用して東京建物・西武鉄道のマンション「Brillia L-Sio 萩山」(全184戸)が建設された。

 この制度によって、敷地の底地権はマンションの管理組合が所有し、マンションの維持管理費とは別に月額25万円(1戸当たり平均約1400円)を公園の維持管理費用に当てる。公園を一般に公開することを条件に、公園にかかる固定資産税、都市計画税は減免され、実質的に無料となる。

 東京建物と西武鉄道は公園部分に地上権を設定。管理組合の委託を受けて向こう35年間、公園の維持管理を行う。長期の管理基金として1億500万円を拠出している。東大和市は、公園内に設置されたトイレのみを管理する。

 マンション居住者は広い公園を所有し、維持管理にも貢献しているという満足感を味わえるし、行政は維持管理に関する費用負担を抑えられるという「Win Win」の関係が保たれていると思うのだが、その後、まったく供給されていない。なぜだろう。

なぜ農学、環境、家政学者の会合はおおらかなのか 国交省検討会(2015/3/17)

都の民設公園第1号「萩山 四季の森公園」開園祭り(2009/10/5)

 

 

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「武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業」完成予想図

 野村不動産は8月21日、「武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業」の市街地再開発組合の設立認可を受け、参加組合員として事業参画すると発表した。

 同事業は、小金井市の総合拠点である武蔵小金井駅前に相応しい土地利用のため1970年頃から第1地区も含めたまちづくり組織活動が行われており、2012年3月に事業が完了した第1地区と連続した一体的なまちづくりを目指すもの。2012年4月に市街地再開発準備組合を設立し、2014年8月の都市計画決定を経て、今回、再開発組合の設立が東京都より認可された。

 同事業地はJR中央線武蔵小金井駅から徒歩3分、地域に開かれた公共空地・空間を整備し、地区全体の回遊性やにぎわいの創出、住環境や地域の防災性の向上を図る。

 建物は地上22階・地上27階建て延床面積約110,000㎡の高層ツインタワーマンションで、戸数は約690戸。2018年春に分譲開始予定。2020年に全体完成予定。施工は清水建設。

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ポラスグループの「泰斗連」

 ドドンドドンカンカンカン踊る阿呆に見る阿呆同じ阿呆なら踊らにゃ損そん-本場徳島県出身のポラスグループ創業社長の故・中内俊三氏の呼びかけで昭和60年に始まった埼玉県越谷市の第31回「南越谷阿波踊り」が8月22日、開幕した。

 今年の参加連は舞踊集団菊の会や徳島や高円寺の招待連も含め77連、踊り子は約6,000人。22日と23日の2日間で約70万人の人出が見込まれている。

 第1回から会社をあげて活動を支援しているポラスグループは16万枚の団扇を配布し、2000名を越えるグループ社員の多くは15~16の連の踊り子・鳴り物や、施設の設営、運営などの裏方として参加した。同社グループの代表的な連「PO連」は、昨年新設された地元連の中から優れた連を表彰する「徳島市長賞」を受賞している。

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昨年、「徳島市長賞」を受賞したポラスグループの「PO連」

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 ハウスメーカーの広報担当者で組織する住宅広報連絡会も例年臨時会として南越谷阿波踊りの視察・参加を行なっており、22日は報道関係者を含め約40名が参加。駅近くの飲食店で腹ごしらえと景気づけの酒をひっかけ、舞台踊りの見学とにわか連の踊りに飛び入り参加した。

 記者は10数年間、この恒例のイベントに皆勤賞で参加しているが、ほとんどはへべれけに酔っ払い、招待連の芸術的な舞台踊りが佳境に入る頃には熟睡している。

みんなからすっかり馬鹿にされているので、今年は一念発起。酒は控えめにして約3時間、じっくりと沿道から流し踊りを見学、堪能した。

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住宅広報連絡会 臨時会

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記者のためにわざわざ会場に駆けつけてくれたポラス広報の華 神田さん

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阿波踊りの美しさは衣装や編み笠にもあるが、記者がたまらなく好きなのは、浴衣の赤やピンクの裏地からのぞく白いたびとすねのコントラストだ。「九米の仙人の、物洗ふ女の脛の白きを見て、通を失ひけんは、まことに、手足・はだへなどのきよらに、肥え、あぶらづきたらんは、外の色ならねば、さもあらんかし」(徒然草)もよく分かる

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新TVCFの一こま

 三井不動産リアルティは8 月21 日(金)から不動産仲介サービスブランド「三井のリハウス」の新TVCF の放送を開始した。

 新TVCF は、「もっと、人を幸せにできる。」をキャッチコピーに、不動産売買における仲介サービスの品質向上を通じてお客様に高い安心感と満足を提供し、幸せのお手伝いをしたいという企業姿勢を表現したという。楽曲はグラミー賞受賞の実力派ポップシンガー、ブルーノ・マーズの代表曲「ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・アー」を採用している。

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「ライオンズ港北ニュータウン ローレルコート」

 大京は8月20日、パッシブとスマートを融合した次世代環境共生住宅「ライオンズ港北ニュータウン ローレルコート」が完成したのに伴い竣工お披露目会を行った。同社はもともと環境共生に積極的に取り組んできたデベロッパーだが、〝ここまでやるか〟とうなってしまった。素晴らしいマンションだ。

 このマンションについては、分譲前の記者発表会の記事を書いているのでそちらも参照していただきたい。横浜市営地下鉄グリーンライン北山田駅から徒歩12分の7階建て全221戸ですべて完売している。

 港北ニュータウンのまちづくり方針に沿って総延長約15㎞の緑豊かな幹線〝グリーン・マトリックス〟の風景を敷地内に再現したのが特徴で、総延長100mのせせらぎの道・ビオトープを設置、緑地率は約30%確保し、約3,700本の在来種の植栽を施している。

 屋上に設置した25kwのソーラーパネルで発電した電力は44kwの蓄電池に蓄え、その電力を利用して深さ約90mの井戸水のポンプを稼働させ、せせらぎ・ビオトープ、草花の自動灌水、エントランスや中庭のウォーターカーテンへの利用、防災井戸に利用している。

 緑をたくさん確保することで、風の流れを促しクールスポットを醸成し、さらにまた専有部の高機能吸気口、通気ルーバー、換気機能付き玄関ドアを装備することで、一般的なマンションの約4倍の換気量を確保し、真夏の室温を4.9℃引き下げる効果をもたらした。

 光りと水、緑、スマートを融合させたことで年間約180万円の管理費の節約となり、1㎡当たり約149円という管理費を設定することができた。

 同社はまた、「としまエコミューゼタウン」を設計した「ランドスケープ・+」と協力して自然環境・生物多様性保全に対する取り組みも行い、向こう3年間の持続可能な生態系配慮型植栽管理のスケジューリングを済ませている。

 こうした取り組みは、集合住宅では初の「いきもの共生事業所認証」を取得した。

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ビオトープ

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ビオトープ

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せせらぎの道

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〝ホワイトカーテン〟

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 環境共生住宅(マンション)についてはかなり取材してきた。いま思い出すのは、その走りともいうべき埼玉県住宅供給公社の「グローブコート大宮南中野」や、同社の物件で言えば「グリーンティアラ星が丘」、「フォレストレイクひばりが丘」(381戸)などだが、今回の物件は10年前の「ひばりヶ丘」と比べ規模がそれほど大きくないにも関わらず、環境共生に取り組む姿勢、意気込みは勝るとも劣らない。

 まず、目に飛び込んできたのが、エントランス部分の植栽と〝ホワイトカーテン〟と呼ぶ井戸水を利用した水のカーテンだった。高さは約3m、幅は20mはあっただろうか、それこそ滝のように勢いよく水が水盤に落ち、水音を立てていた。ホテルならいざ知らず、このような演出がされているマンションを初めてみた。水音はガラス越しにカフェテラス・ライブラリーコーナーまで聞こえた。同じような水のカーテンはエントランスホールの奥の中庭にも設置されていた。毎日、26トン(夏場、冬場は7トン)の井戸水をソーラーパネルの電力によって汲み上げているからこそできる演出だ。ある高額マンションでは、せっかくのカスケードは管理費がかさむことから止められていたのを見ている。

 せせらぎの道とそれに続くビオトープも立派なものだ。水源となる場所にはオブジェが設けられており、冷たい水が湧き出ていた。井戸水は鉄分が多く飲用水としては利用できないとのことだったが、あの懐かしい井戸水の匂いがした。メダカやヤゴが棲めるのだから人体に害はないと思う。

 在来種ばかりの植栽、高さ3m幅5mのエントランス周りの壁面緑化、駐車場の壁面緑化、駐輪場屋根の緑化、近隣にも開放する藤棚付きの広場の提案もいい。丸いコンクリ製のテーブルは防災かまどにも早変わりするとのことだった。

 この日は、同社グループの社員約200人も見学に訪れたそうで、同社の環境共生の取り組みをしっかり共有できたのではないか。社員は胸を張っていい。

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カフェテラス・ライブラリーコーナー

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井戸水が湧き出るオブジェ

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住民にも公開する公園 

大京・近鉄不動産 環境共生に力入れた「港北」(2013/11/23)

 国土交通省は8月19日、昨年6月から行われていた「日本らしく美しい景観づくりに関する懇談会」(委員長:卯月盛夫早大教授)の報告書をまとめ発表した。同懇談会は平成16年の景観法制定から10年が経過したことを契機に、景観行政に関する幅広い点検・検証を行うため7回にわたり開催されていたもの。

 報告書は、景観行政を取り巻く状況や景観法の活用実態といったわが国の実情を踏まえた上で、良好な景観が地域に暮らす人々の誇りとなり、地域全体の価値の向上につながることを示すとともに、国内外の人々が日本的で美しいと感じる景観の「創出」と「保全」のために必要な方策のあり方についてまとめたもの。

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 記者もこの懇親会を2回くらい傍聴した。「日本らしく美しい景観」という文言に惹かれたからだ。「日本らしく」かつ「美しい」景観とはどのような景観なのだろうと考え、懇談会の委員の方々から「日本らしく美しい景観」の概念が示されるのではないかと思っていた。

 ところが、報告書の中には「日本らしく美しい景観」の文言は何カ所か登場するが、その具体的な内容についてはまったく書かれてはいない。今回の懇談会の目的は、そのような概念について論じるのではなく、良好な景観形成を進めるうえでの基本的な考えや、景観マネジメントについて論じる場だったからだ。

 それでも、専門家から「日本らしく美しい景観」について語ってほしかった。「日本らしく」というのは四季折々に変化する自然的景観、白砂青松のことだろうと思うし、また、歴史を感じさせる神社仏閣や古民家、あるいはまた水墨画のようないかにも日本人が好むモノトーンの世界なのか。さらにはまた、端正なシンメトリックな景観のことをいうのだろうか。それともまた、機能的なものが美しいのか、美しいものが機能的なのか…考えれば考えるほど「美」とは何かという疑問に行きつく。小林秀雄は言った。「美しい『花』がある、『花』の美しさといふ様なものはない」と。

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 懇談会はわれわれが景観の価値を認識するうえで示唆的な提言も行っている。例えば、「良好な景観は、地域を再生・活性化させる可能性を有する貴重な資産として捉えるべきであり、その保全・創出は地域の経済的価値を向上させる大きな要因となり得ることから、計画政策は経済政策の面からも重要である」「住宅地の生け垣や樹木が管理されず荒廃することで、周囲の景観の悪化をもたらされるなど、地域資源の劣化(外部不経済)を抑制することも重要となる」「その際、例えば、一定の地域の住宅所有者が全員加入し、賦課金により共有地の維持管理や建築行政のコントロールなどを行うアメリカのHOA(Homeowners Association:住宅所有者協会)のように、罰則まで設けて劣化資産を排除し、地域の不動産価値を維持する手法も参考になる」としている。

 懇親会はまた、景観協議の進め方にも言及しており、「景観計画区域における建築物の形態意匠、高さの制限等に関する基準である景観形成基準には大きさ、色彩など定量的なものと、『周辺と調和を図る』など定性的なものがある。建築物の建築等の行為は、定量的な景観形成基準だけに適合すればよいものではなく、周辺の既存の景観とのバランスも踏まえつつ、周辺も含めた景域全体の質的向上に資するよう、定性的な基準を個別の協議において的確に解釈し、良好な景観形成のための創造的な景観協議を積極的に進めるべきである」としている。

 この伝でいえば、いま各自治体が進めている建築物の絶対的高さを例えば20mというような半端な数値で規制することが都市景観にどのような影響を及ぼし、また居住性向上という視点からして、定量的な規制はどのような地域資源の劣化をもたらしているのかいないのか論議してほしいものだ。

 

【大和ハウス工業】「グローバルゲート」完成予想図.jpg
「グローバルゲート」完成予想図

 豊田通商・大和ハウス工業・日本土地建物・オリックス・名鉄不動産の5社は8月20日、名古屋市中村区の「ささしまライブ24地区」で開発を進めている「グローバルゲート」のウエストタワー上層31階から36階にプリンスホテルがホテル・レストランを開業し、2階から4階にコンファレンスセンターを設置すると発表した。同ホテルとしては名古屋初進出。

 「グローバルゲート」は、あおなみ線ささしまライブ駅に直結(名鉄・近鉄名古屋駅から徒歩10分)の36階建てウエストタワー、17階建てイーストタワーの2棟で構成され、延べ床面積は約15.7万㎡。竣工予定は2017年3月、ホテル部分は同年秋開業予定。事業は5社が組成する「ささしまライブ24特定目的会社」が担う。

 「ささしまライブ24」地区は、名古屋駅の南に位置する旧国鉄笹島貨物駅跡地の約12.4ヘクタールと中川運河船だまり周辺を含む大規模再開発エリア。

 

 

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