子どもへの住宅資金贈与額564万円 マンション価格上昇の半分賄えるか
子どもの住宅購入時に資金贈与した親の平均贈与額は564万円-アットホームが子どもへ住宅購入資金を贈与した親300名、贈与していない親300名にそれぞれアンケートしたところこんな結果が出た。
親の平均年齢は64.6歳、子どもは平均2.2名で、平均贈与額564万円を男女別にみると、子どもが男性の場合は616万円、女性の場合は498万円と約100万円の差があった。贈与金額の分布では、「500~600万円未満」がもっとも多く22.9%で、「100~200万円未満」が19.8%、1,000~1,500万円未満」が13.0%、「300~400万円未満」が12.6%と続く。親子が同じ居住地に住んでいるほうが平均額より約100万円高い642万円となった。
贈与した理由は「より良い生活を送ってほしいから」が41.7%でもっとも多く、「贈与税の非課税制度があるから」は34.0%。「親の義務だと思っている」29.3%、「自分も親から贈与してもらったから」20.3%、「気兼ねなく、子どもの住宅に遊びに行けるから」9.3%などもあった。「老後の世話をしてもらえることを期待して」は5.0%だった。
親の貯金額は贈与している親は2,339万円、贈与していない親は1,128万円で、1,000万円以上の差があった。親の月収は贈与した親が35.3万円、贈与していない親が33.4万円。
「贈与しない理由」としては、「自分は自分、子どもは子ども」というのが43.0%、「自分の資金に余裕がなかった」は39.0%。
◇ ◆ ◇
親の属性が平均値でしか示されていないので、はっきりしたことが分からないが、おおむねこのようなものだろうと思う。贈与する親しない親、少額しか贈与できない親と多額の贈与が可能な親など、贈与にも格差社会が反映されていると思う。
不幸なのは子どもも同じだ。このところ建築費の上昇でマンションの分譲価格も上昇しており、東京23区内だと564万円の贈与額では20坪のマンション換算で上昇分の半分も賄えない。贈与がなければ普通のサラリーマンは23区で取得するのが絶望的になってきた。年収500~600万円の普通のサラリーマンが無理なく取得できる3,500万円以下のマンションは、千葉、埼玉、神奈川の郊外部でも姿を消しつつあるのが現状だ。
もう一つ、やや驚いたのが親の月収、生活費の低さだ。月収約35万円で、生活費は約26万円。この差額を預貯金に回し、老後の備えにしたり子どもへの贈与にしたりしているのだろうか。切ない話だ。これを平成の「貧乏物語」と呼んだら失礼か。
国分寺崖線に重なるランドスケープ秀逸 三菱地所レジデンス「二子玉川」
「ザ・パークハウス二子玉川ガーデン」完成予想図
三菱地所レジデンスが近く販売を開始する「ザ・パークハウス二子玉川ガーデン」を見学した。国道246号に面しているが、丘の上で敷地の一部と後背地は第一種低層住居専用地域。国分寺崖線にも重なっており、ランドスケープデザイン、設備仕様レベルも高い。人気必至と見た。
物件は、東急田園都市線・大井町線二子玉川駅から徒歩10分、東急田園都市線用賀駅から徒歩10分、世田谷区瀬田4丁目に位置する地上9階建(建築基準法上は地下1階地上8階建)全130戸。専有面積は59.35~97.33㎡、第1期(戸数未定)の価格は5200万円台~13900万円台(最多価格帯7,400万円台)。竣工予定は平成28年1月上旬。施工は東急建設。
現地は、会員制スポーツクラブと「瀬田温泉」の敷地約7,600㎡の跡地。二子玉川駅から比高差にして約14mのなだらかな坂を上った頂上にあり、9階建てのD棟と5階建てのA棟との差も約3m。A~C棟が南西向きでD棟が北西向き。A~D棟は約2層分のエントランスホール・ギャラリーと連なっている。全体として提供公園や植栽帯、隣接の低層住宅街に面して配棟されているのが大きな特徴だ。
ランドスケープデザインはパレスホテル東京・赤坂サカスなどを手掛けた「ソラ・アソシエイツ」が監修。周辺の低層住宅街と連なるように緑地帯を設置。樹高約23mのケヤキなど40本以上の既存樹も保存する。移植については、造園を担当する「石勝エクステリア」の「TPM工法」を採用している。屋上は緑化し、太陽光発電を実施する。
外観デザインはマリオンと外壁スリットをランダムに配して豊かな表情を演出するとともに、人の目線に触れる1・2階部分は「のこびき」細工の天然石を使用する。また、2階ギャラリーはガラス張りとし、「雪山銀狐」と呼ばれる御影石を壁面に配置。後方から光を当てることで夜間には幻想的な文様が浮かび上がる仕掛けになっている。
設備仕様レベルも高い。玄関床・キッチン・洗面化粧台・トイレ内カウンターのトップは全て御影石。バックカウンター・収納も標準装備。有償オプションだが輸入クロスもグレード感がある。
11月29日から第1期分譲を開始するが、戸数は80戸くらいになる模様だ。
外観
◇ ◆ ◇
現地を見た段階では坪単価は350万円くらいかとも考えたが、レジデンスギャラリーで説明を聞き、モデルルームを見学して坪380万円でもおかしくない単価だと確信した。
既存樹の巨木を残したランドスケープが秀逸。北西向きの住棟も敷地内の緑地帯や後背地の国分寺崖線の緑が展望されるはずだ。
唯一気になるのは国道246号に面していることだが、ものは考えようだ。これが国道から一歩入った閑静な住宅街だったら、坪単価は400万円をはるかに突破する。温泉付き会員制クラブ「Aqua sports&spa」も隣接地に建設される。
模型(左)と「雪山銀狐」
住宅地としては一等地 坪200万円は妥当 清水総合開発「多摩センター」
「ヴィークステージ多摩センター」完成予想図
清水総合開発が分譲中の「ヴィークステージ多摩センター」を見学した。坪単価は200万円。わが街多摩センターのポテンシャルを考えると極めて妥当な価格だと思う。
物件は、京王相模原線京王多摩センター駅・小田急多摩線小田急多摩センター駅から徒歩7分、多摩都市モノレール多摩センター駅から徒歩5分、多摩市鶴牧1丁目に位置する15階建て全165戸。専有面積は70.19~85.08㎡、坪単価は200万円。竣工予定は平成27年9月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は東京建物不動産販売。
現地は多摩センター駅南口の商業地域だが、賑やかな商業エリアから外れており、住宅地としては一等地。現在分譲中の駅から4分の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス多摩センター」を除けば、今後、これほど駅に近いマンションは南口ではまず供給されない。ペディストリアンデッキで結ばれており、車道を通らず駅まで行けるのが大きな特徴。
多摩中央公園、三越、丸善などが入居する「ココリア多摩センター」、パルテノン多摩、京王プラザホテル、多摩郵便局、多摩中央警察署、多摩南部地域病院、イトーヨーカ堂などの生活利便施設がほとんど徒歩数分圏。マンションには保育施設も予定されている。
建物・商品企画は二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機が標準。
◇ ◆ ◇
わが街だから当然だが、この10年間に多摩センター駅圏で分譲されたマンションは10件くらいあり、そのすべてを見学した。駅近物件では大京と三菱地所レジデンスの2物件があるが、この物件はそれに続く。
三菱地所レジデンスの物件は、南側と西側に駐車場ビルが建っており、パチンコ屋も近くにあるのは難点だが、多摩センター初の免震で、駅まで4分の近さを考えると、単価(210~220万円)も極めて割安感があると思う。すでに全175戸のうち85%を契約済みだ。
今回の物件も単価がどうなるか気になっていたが、坪200万円に挑戦したのは大歓迎。
立川で342万円、町田で300万円の時代だ。街の美しさから言ったらはるかに上回る多摩センターはいかにも割負けしている。根拠がない〝オールドタウン〟などとマスコミが酷評したからイメージダウンを招いたのだが、この数年間に駅周辺で2,000戸を上回るマンションが供給された。街の賑わいは復活しつつある。
坪単価200万円以下は、都内23区なら足立、江戸川、葛飾区などの城東エリアの相当駅から距離がある物件か、千葉、埼玉の郊外なら遠隔物件でないと供給されない。
その点、多摩センターはどこにも負けない都市施設が整っているし、絶滅危惧種の草花も季節になると花を咲かせる。これほど子育てに恵まれた地域はそうない。ここも学区の小学校まで車道を通らなくて済む。校庭は是非はともかく芝張りだ。
販売代理を担当する東京建物不動産販売は多摩センターと永山で1,000戸を超える販売実績があるから、しっかり多摩ニュータウンの魅力を伝えてくれるはずだ。
フージャースHD 創業20周年感謝祭 初日に1000人
「フージャースグループお客様感謝祭」エントランス
フージャースホールディングスは11月23日、創業20周年を記念して「フージャースグループお客様感謝祭」を行った。同社グループが分譲したマンションや一戸建ての入居者・契約者、株主など約400組1,000人が会場となった東京・JPタワーに詰め掛け、様々なイベントを楽しんだ。感謝祭は24日も同じ会場で行われる。
当日は、「ゆるキャラ大集合!」「フルート四重奏団コンサート」「烈車戦隊トッキュウジャショー&握手会」のほか、同社の収納やキッチンの商品企画紹介ナー、ボールプール、輪投げ、箸つくりコーナーなど親子が楽しめるブースが会場いっぱいに繰り広げられた。
途中挨拶に立ったフージャースコーポレーション・藤井幸雄社長は「創業以来20年間、『欲しかった暮しを、しよう』をテーマに住宅を約15,000戸供給し、管理戸数は10,000戸を突破した。最近は戸建て事業、地方展開、シニア向け事業などにも積極的に取り組んでおり、これまでもこれからも『欲しかった暮しを、しよう』を展開していく」と話した。
以下に会場で拾った声を紹介する。
イベント
・同社が3年前に設立した分譲一戸建て事業を展開するフージャースアベニュー社長・森俊哉氏(49) 新会社を設立するまでの当社の一戸建てはマンション事業から派生する補完するものとして位置づけられていたが、新しい会社では住む人が誇りに思えるよう用地仕入れから企画、販売までデベロッパーとしての街づくりを行なってきた。これからも差別化を徹底して行なっていきたい(同社の一戸建てについては別掲の記事を参照していただきたい。デザインが一新された)
・小売業の社長を引退した無職の市川に住むフージャースの株主(68) 株主として参加した。孫と一緒に来たが(ベビーカー)は腰が痛いから杖代わりだよ。(フージャース株は)2年前くらいに1万株買ったが、買値より半値以下。不動産株はフージャースだけだが、他? 秘密。そこそこ儲かった。不動産投資? 豊洲のテトラポット(スカイズ)みたいなのをセカンドハウスとして買ったよ。8,000万円くらい。アベノミクス? (記者は何も言わなかったが)君たちは間違っているよ。今まで(民主党政権のことか)はどうだった? 企業が利益を上げてこそ、その恩恵が徐々に広がっていくんだよ。そんなにすぐに効果は上がらない。タイムラグがあるんだよ。性急に答えを求めちゃいかん
・「グランセレッソ横濱戸塚」の4人家族の入居者(36) 入居者です。それまでは横浜の賃貸。同じ年代の、同じ幼稚園に通う子どもの入居者の方たちと友だちになれ、交流ができるのがとてもいい
・「グランセレッソ横濱戸塚」の4人家族の入居者(33) 子どもは5歳と1歳3カ月。(ある大手メーカーの)勤務先までは歩いても30分。駅前は最近栄えてきた
・同社が分譲したつくば市のマンションの入居者で株主(34) 公園が目の前で住み心地はいいですよ。勤務先も市内。株は買ってから半値くらいに下がっている
・同社に入社が内定した大学生 デベロッパーに興味があったが、大手より(フージャースのような)中堅のほうが土地の仕入れから企画、販売まで自分の裁量が生きると思う。宅建? 取得しました
・入社6年目の広告担当の女性社員 こんなにたくさん予想外の方がいらっしゃってとても嬉しい。イベント? もちろん初めての経験です
イベント
大手の商品企画に学ぶ フージャース「デュオアベニュー八王子」(2014/2/29)
フージャースコーポレーション「グランセレッソ横濱戸塚」(2012/1/23)
リノベーション必要な築20年以上の中古マンション314万戸 インテリックス
リノベーション事業を展開するインテリックスが、全国602万戸のマンションのうち半数近くの314万戸がリノベーションを必要とする築20年以上の物件などとする中古マンションストックの現状をレポートした。
レポートによると、わが国の総住宅数は6,063万戸に上り、総世帯数の5,246万戸を817万戸上回り、602万戸あるマンションストックのうち半数を超える314万戸が築20年以上の物件とし、築20年以上のストック数は2025年には577万戸へ1.8倍に増加すると予測している。
国は2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を20兆円に倍増させることを目標に様々な施策を打ち出している。
「理想の職場」ほとんどの項目でグローバル平均を下回る日本 リージャス調査
多様化する働き方を支援するワークプレイス・ソリューションプロバイダーの世界最大手企業、リージャスが世界100カ国、2万2,000人以上の経営者や経営幹部を対象にした「理想の職場」に関する調査結果をまとめ発表した。
各設問に対する日本の回答を紹介する。( )内がグローバル平均。
・「安全性が高い」40%(67%)
・「素敵な外観」29%(63%)
・「高機能で信頼性の高いIT環境」56%(82%)
・「プロフェッショナルな受付スタッフ」21%(55%)
・「金融街やメディアの集積地に近い」6%(20%)
・「一等地の立地にある」11%(19%)
・「同業種企業や同規模企業のオフィスに近い」4%(9%)
・「レストランやショッピング場所に近い」11%(18%)
・「駐車場がある」14%(48%)
・「ターミナル駅や複数路線乗入れ駅に近い」55%(49%)
・「将来有望な立地にある」5%(15%)
・「科学産業集積地域内かその近くの立地にある」3%(5%)
・「自宅に近い」15%(23%)
・「学校・保育園・託児所に近い」5%(6%)
◇ ◆ ◇
この結果について、リージャスの日本法人である日本リージャス代表取締役・西岡真吾氏は、「日本だけでなく諸外国においても、職場の立地を“一等地にある”ことよりも“自宅に近い”ことを求めていることが明らかになりました。当社のような多数の拠点を持つサービスオフィスを職場として活用することは、従業員それぞれの自宅に近い立地に職場を設けるひとつの助けとなります。その結果、従業員の通勤時間は短縮され、仕事の生産性やモチベーションの向上につながるでしょう」とコメントしている。
読者の皆さんは、この結果から何を読み取られるか。記者は「ターミナル駅や複数路線乗入れ駅に近い」を除く項目で日本がグローバル平均を下回っていることに不思議を感じた。
設問に対して複数回答が可能だったので、日本の回答者は複数回答をしなかったということがまず考えられる。もう一つは、「理想の職場」に対して多様な考え方をわが国の回答者が持っていることの反映ではないかということだ。あるいはまた、高望みしない身の丈に徹する、言い換えれば〝二兎を追う者は一兎をも得ず〟のことわざ通り、あれやこれや追い求めない日本人の精神性の表れとも受け取れる。さらに言えば、多くの項目ですでにわが国は理想に近い立地・環境にあるからだとも考えられそうだが、どうだろう。
旭化成ホームズ 勾配屋根ニーズ取り込む「ソフィット」発売
「HEBEL HAUS SOFIT(ヘーベルハウス ソフィット)」
旭化成ホームズは11月18日、先に発売した寄棟屋根タイプの戸建て新商品「HEBEL HAUS SOFIT(ヘーベルハウス ソフィット)」の記者説明・見学会を行なった。これまで、同社は陸屋根タイプの「キュービック」を中心に都市部で展開してきたが、勾配屋根に対する潜在ニーズが高いことに対応するもの。商品バリエーションを拡充することでブランドイメージの強化と受注の拡大を図るのが狙い。
外観は、敷地境界に近接した建物配置に対応するため軒が出ないシンプルな箱型デザインの「専用軒樋」を採用。2階バルコニーなどの日除け・雨除けとして軒樋下に収まる「専用システムキャノピー」を設置し、目隠しと外観アクセントとなる「専用ルーバースクリーン」を提案している。
勾配屋根を採用したことで、小屋裏空間全体を居室空間にしているのも大きな特徴で、最高天井高4.3mの吹き抜け空間「ロフティルーフ」を実現。小屋裏アルコーブには調光・調色機能付きの間接照明を提案することで天蓋のある浮遊感を演出。勾配屋根には電動トップライトを設置することで、自然の光を取り込む工夫も盛り込んでいる。
説明会に臨んだ同社常務執行役員マーケティング本部長・川畑文俊氏は、「この10月も上々のスタートが切れた。今回の新商品で勾配屋根を提案することで、顧客満足を高めていきたい」と挨拶。また、技術本部商品開発部長・加藤明氏は、「この1年間で躯体の強化と創空間力の強化をテーマに『ネクストヘーベルハウス』を展開してきたが、第1ステージが完了した。今回の新商品は第2ステージの第一弾。勾配屋根とフラット屋根の双方の〝いいとこどり〟の商品」と語った。
プロトタイプは延べ床面積125.05㎡。発売日は平成26年11月8日。年間販売目標は250棟。
「キュービック」(左)と「ソフィット」
◇ ◆ ◇
同社は昨年10月、今回と同じ静岡県富士市の同社住宅総合技術研究所で構造躯体の強化と住空間の豊かさを同時に追求した新商品「NEXT HEBEL HAUS(ネクスト ヘーベルハウス)」の記者発表会を行い、陸屋根タイプの「NEXT HEBEL HAUS CUBIC(キュービック)」と寄棟屋根タイプの「NEXT HEBEL HAUS 新大地」を公開した。
二つの新商品については、当時の記事を参照していただきたいが、「キュービック」については「一つだけ注文をつけるとすれば、外観だ。『キュービック』は…内部空間が素晴らしいだけに外観も魅せるものにしたほうがいいのでは」と書いた。「これが勾配屋根だったらどんなにいいだろう」とずっと考えた。
記者だけではなく、われわれ日本人はみんな「住宅」の外観イメージは勾配屋根が小さい頃から刷り込まれている。子どもだろうが大人だろうが「家の絵を描いて」と言えば、間違いなく寄棟か切妻屋根の家を描くはずだ。勾配屋根は極めて親和性が高い。
さて、今回の「ソフィット」はどうか。上段の写真を見比べていただきたい。左が陸屋根の「キュービック」、右が勾配屋根の「ソフィット」だ。内部空間を考慮しないで、外観だけで好き嫌いをユーザーに質問したら間違いなく「ソフィット」に軍配があがるのではないか。記者も「ソフィット」に一票を投じる。
価格差があれば選択に迷うだろうが、価格はほとんど同じだ。プロトタイプの価格は「キュービック」が2,930万(税抜き価格、35.8坪=坪単価約82万円)、「ソフィット」が3,290万円(同、37.82坪、坪単価約87万円)。
次に内部空間。これは甲乙つけがたい。ユーザーのライフスタイルによって評価は分かれるはずだ。「ソフィット」が提案している勾配屋根の特長を最大限生かした2階リビング・ロフティルーフがいい。密集市街地や狭小敷地の日照が十分確保できないエリアにぴったりだ。小屋裏アルコーブに設置した調光・調色機能付き間接照明や電動トップライトを採用すれば、天井高最高4.3mの浮遊感のある空間が演出できる。
同社のデータによると、2階リビングの受注割合は2011年に2階リビングを提案した「そらのま+」を発売した当時の10%弱から現在は19.5%に高まっている。「ソフィット」の投入によって2階リビングの訴求力が一段と高まるのは間違いない。
「ロフティルーフ」
旭化成ホームズ、坪単価で測れない価値あり「NEXT HEBEL HAUS」(2013/10/29)
進化するピアキッチン ポラス中央住宅「ルピアコート新小岩」
「ルピアコート新小岩」完成予想図
ポラスグループの中央住宅が近く販売を開始するマンション「ルピアコート新小岩」を見学した。リビング・ダイニングと水回りの動線をつなぎ、さらに家族とのコミュニケーションを大切にした〝ピアキッチン〟が最大の売りで、従来タイプを進化させている。
物件は、JR総武本線新小岩駅から徒歩14分、葛飾区東新小岩2丁目に位置する12階建て全50戸。専有面積は58.42~87.35㎡、第1期(18戸)の価格は2,980万~5,890万円。坪単価は200万円。竣工予定は平成27年8月下旬。設計・監理は複葉アーキテクツ。施工は川村工営。販売代理は東京中央建物。
現地は、蔵前通りに面した商業化、マンション化が進んでいる準工地域。徒歩1分にバス停があり、バス停から新小岩までは約5分。
住戸商品企画は、二重床・二重天井とし、全住戸の4割を実用新案取得済みのピアキッチン付きとし、出窓付き、ロフト付き、窓付きシューズインクロークタイプ、新和室の提案などを行っているのが特徴。食洗機、キッチンバックカウンター・収納も標準装備。
リビングダイニング
◇ ◆ ◇
駅から徒歩14分をどう評価するかはさておき、モデルルームの提案は差別化が徹底されており、ユーザーを惹きつける魅力が十分ある好物件だ。今回のピアキッチンの特徴は、キッチンの隣にあったトイレの位置を玄関の方に変更し、正面に子ども部屋を配することで、トイレの音のストレスを解消し、家事をしながら子どもの様子をうかがえるようにしていることだ。
細かな点では、バックカウンター・収納を標準装備とし、キッチン周りの壁にホーロー壁を提案しているほか、出窓付き、窓付きシューズインクローク、ソフトクローズ付き引き戸の多用などだ。
建築コストがどんどん上昇している中、デベロッパーは設備仕様レベルを落とす傾向にあるが、しっかり提案しているのは評価されるはずだ。坪単価は、周辺物件が軒並み坪200万円を突破してきている現状を考慮すれば、妥当な価格だろうと思う。
キッチン(正面に子ども部屋)
◇ ◆ ◇
同社が9月に記者見学会を行った「ルピアコート光が丘公園」の坪単価は245万円で、販売に苦労するのではないかと思っていたが、何と第1期25戸が完売したという。ピアキッチン付き、ライトコート付きが人気で、周辺に良好な物件がないのも評価されたという。
同社はこれまで東武伊勢崎線を中心に年間数棟しかマンションを供給しておらず、都内ではほとんど無名に近い。ピアキッチンやきめ細かな商品企画は間違いなくユーザーに評価される。あとはどうやって認知度を高めていくかだ。大手と同じように現地近くに販売センターを設置して、チラシを配布して、ネットで告知をする従来方式では限界があるように思うが、どうだろう。
ピアキッチン
ポラスの新ブランド「ルピアコート光が丘公園」 “新価格”でどう挑む(2014/9/4)
外観、ランドスケープに力 三菱地所レジデンス「二子玉川」
「ザ・パークハウス二子玉川」完成予想図
三菱地所レジデンスは11月13日、首都圏で初となる「ザ・パークハウス」と「THE SAZABY LEAGUE」がレジデンスギャラリーでコラボする「ザ・パークハウス二子玉川ガーデン」のモデルルームを11月15日にオープンすると発表した。
「THE SAZABY LEAGUE」は二子玉川エリアで9ブランドを展開しており、地域との親和性も高いため、今回のコラボとなった。
マンションのランドスケープデザインは、パレスホテル東京、赤坂サカスなどを手掛けた「ソラ・アソシエイツ」が監修。石勝エクステリアの大径木を重機で移植する「TPM工法」を用い、樹高約23mのケヤキをはじめ40本以上の既存樹を保存する。住戸プランは66タイプ。
9月27日に事前案内会を開始して以来、これまで約450件の来場がある。
物件は、東急田園都市線・大井町線二子玉川駅から徒歩10分、世田谷区瀬田4丁目に位置する8階建て130戸。専有面積は59.35~97.33㎡、予定価格は5,200万円台~13,900万円台(予定最多価格帯7,400万円台)。竣工予定は平成28年1月上旬。施工は東急建設株。
◇ ◆ ◇
ニュースリリースからも外観やランドスケープデザインに力をいれていることがうかがわれる。
「SAZABY」の喫茶とか「KIHACHI」くらいは知っているが、衣料ブランドは全く知らない。同社と「SAZABY」とのコラボマンションはこれまで結構あるのではないか。モデルルームを見学して詳報したい。
サブエントランス
積水ハウス 「空き家」の利活用サービス 三井住友トラスト不などと開始
積水ハウスは11月14日、「空き家」の利活用を促進するサービスを三井住友トラスト不動産、ALSOKと3社共同で開始すると発表した。中古住宅の流通促進やリフォーム受注、セキュリティ、見回りサービスなど総合的なコンサルティングを強化する狙い。
三井住友トラスト不動産が「空き家」所有者の相談窓口となり、ニーズに応じて同社や綜合警備保障(ALSOK)を紹介する形で提供していく。ALSOKは空き家管理、セキュリティ業務を担当し、同社グループは建て替え、リフォーム、賃貸・管理、売買の際の買い取りなどの開発を行っていく。
全国の空き家は住宅戸数の13%超の820万戸に達しており、2020年には20%にまで増加すると予測されている。高度成長期から80年代前後に建設されたニュータウンでは、世帯主の高齢化、世帯分離による子どもの独立や単世帯化が加速度的に進み、「空き家」の大量発生や地域コミュニティの崩壊なども懸念されている。