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「第30回全国削ろう会小田原大会」

 厚さ数ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)の鉋(カンナ)削りの技を競う「第30回全国削ろう会小田原大会」が11月8、9日、小田原市で開かれ、全国29都府県と米国から約550名の「削リスト」が高い技とわが国独自の鉋砥ぎ、道具づくりを披露した。大会は小田原の伝統工芸や岩国・錦帯橋の模型展示やイベントも行われ、見学者は初日が約1万人、2日目が約1.5万人に上った。

 鉋屑は大工仕事の中で捨てられるものだが、鉋から吐き出される屑は薄さが数ミクロンで、薄絹のように美しく、また材料、砥ぎの技術なども重要な要素であることから、日本の伝統的な木造建築、木工技術の向上と伝承を目的に平成9年に林野庁などが後援して第1回大会が行われた。これまで大会は平成9年に林野庁などが後援して第1回大会が行われ、これまで年1、2回全国大会が開催されてきた。

 競技部門は一般、学生、女性に分かれ、一般の部では愛知県から出場した細田保貴さんが優勝した。

 大会には神奈川県知事の黒岩祐治氏から「木工技術の向上及び技術の伝承が図られるとともに、木工製品や木造建築の魅力をより多くの方々に感じていただく機会となることを願っています」などとの歓迎の言葉も寄せられた。

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一般の部で優勝した細田保貴さん

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 「鑓鉋(やりかんな)は奥が深い。鉋は誰が削っても平らになるが、名栗(ナグリ)によって陰影を付けるのが美しいわが国伝統の技」と、鉋削りには目もくれず鑓鉋の技を披露していたのが、茨城県桜川市真壁町から参加した大工歴40年の山崎伸一さん(55)。

 作業の傍らには座右の銘とも言うべき「究極の鑓鉋仕上げは鎌倉時代です。鉄は鉄で磨き、石は石で、木は木で、人は人によって磨かれます。 大工 山崎伸一」の言葉が板に書かれていた。

 山崎さんの技はこれだけではない。猿回しならぬ烏回しを披露した。「毎日連れている」という相棒の烏の名は「マック」。カラスはイルカなどとともに動物・鳥類の中でもっとも〝頭がいい〟といわれるだけに、山崎さんとの掛け合い漫才の息はピッタリ。

 山崎さんが「こらっ!マック!頭が高い!この印篭が目に入らぬか!」と印籠に似せた木でできた将棋の駒型を見せると、「カカカッ!」とマックは恥ずかしそうに頭を下げた。反射神経も抜群。山崎さんが傾けた板に丸いえさをワンバウンドで投げると、ことごとくキャッチ。その様はテニスの錦織圭さんや卓球の福原愛ちゃんそのものだった。

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山崎さんから片時も離れないカラスの「マック」

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餌を見事にキャッチするマック

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「マック!頭が高い!これが目に入らぬか!」「カカッ!」

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〝しっかり記事にしろ〟と言ったか言わないかマック 

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 群馬県前橋市から参加した柏原俊之さん(41)はこの道20年。成績優秀者としてボードに張り出される8ミクロン以下を達成した。「われわれは穴掘り3年、鋸(ノコ)5年、墨付け8年、砥ぎ一生と言われてきた。台(削る板材)、鉋、技、砥ぎに、その日の湿度など条件が揃わないといい成績は出ない。今日は湿度があるから3ミクロンくらい出るかもしれない」と話した。

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柏原さん

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途中まで4~6ミクロンでトップだった御殿場市の勝又義仁さん(39)

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 大会スタッフの一人として見学者を楽しませたのが静岡県御殿場市の武藤勇さん(72)。「15歳のときからだからもう58年。勉強が大嫌いで大工になったが、師匠からは一生勉強だといわれた。へぼ大工ですよ」

 武藤さんには「いい経験だ。これを削ってみなさい」と、モチノキだったかカシノキだったか分からなかったが年季が入っていそうな鉋を渡され、削るよう勧められた。

 記者は「めっそうもない」と断ったのだが、「大丈夫」と強く言われた。師匠の言葉を無視したら失礼と思って削ってみた。

 鉋を削るのは中学生以来だったが、何とすらすらと削れたではないか。幅は約6㎝、長さは5mくらいあったはずだが、途切れることなく均等に削れた。厚さを計測してもらったら15~17ミクロンだった。これには記者も驚いた。砥ぎと鉋の調整が抜群だったのだろ。

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武藤さん

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 アキュラホームは「カンナ社長」こと宮沢俊哉社長をはじめ13人が参加した。最高成績者は9ミクロンで表彰台に乗ることはできなかった。宮沢社長も10ミクロンで涙を飲んだ。

 宮沢社長は「駄目でしたね。米ヒバを使ったが、砥ぎがまずかったか、湿り気が足りなかったか。成績上位者は特別な水を使っているんじゃないか」と悔しさをにじませた。

 薄く削るには湿気も大事だということを事前に知らされていたので、昨年の第27回大会で薄さ2ミクロンという記録を打ち立てた栃木県宇都宮市の出井博幸さん(37)に聞いてみた。「台は米ヒバですが、普通の水ですよ」と語った。ただ「今日は全然ダメ。5ミクロンだった」と表彰を逃した。

 宮沢社長には「出井さんも普通の水だそうですよ。来年はボルヴィックかなんとかイオン水にしたらどうですか」とご注進申し上げた。

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アキュラホームの皆さん

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宮沢社長

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出井さん

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 厚労省のデータによると、大工の人口は2005年の約54万人から2010年の約40万人へと5年間で26.4%減少。2020年には約21万人へと2010年の53%とほぼ半減するという予測もある。

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上が4ミクロンくらいと思われる出井さんの「削り華」、下が記者が武藤さんの言われるままに削ったもの

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「一尺鉋」削りの実演

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鉋にはすべて名前が付けられていた。絵画のように物故者の作品は100万円の値が付くとか

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わが故郷、三重の〝山林王〟諸戸林業の出店ブース

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錦帯橋の模型(技術の伝承のため20年に1回100年にわたって架けかえるそうだ)

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「ザ・パークハウス西新宿タワー60」完成予想図

 三菱地所レジデンス、相鉄不動産、丸紅の3社は11月6日、新宿区西新宿5丁目の再開発タワーマンション「ザ・パークハウス西新宿タワー60」のモデルルーム記者内覧会を行った。関係者は「分譲単価は未定」としているが、今年5月の起工式の段階で予想した「坪単価310~320万円」は大幅に上方修正する。340万円でも安いかもしれない。

 物件は、東京地下鉄丸ノ内線西新宿駅から徒歩9分、都営大江戸線都庁前駅から徒歩8分、新宿区西新宿5丁目に位置する60階建て全954戸(事業協力者住戸177戸含む)。専有面積は33.90~156.99㎡、価格は未定。竣工予定は平成29年7月下旬。施工はフジタ。販売代理は三菱地所レジデンス。販売開始は平成27年1月下旬予定。

 物件の特徴については、別掲の起工式に書いた記事を参照していただきたい。「西新宿5丁目」は老朽化した木造住宅や店舗・ビルなどが密集しており、東京都は「木密地域不燃化10年プロジェクト」の一環として、今回の「西新宿5丁目中央北地区第一種市街地再開発事業」(施行面積約1.5ha)と隣接する「西新宿5丁目北地区」(同1.5ha)、「西新宿5丁目中央南地区」(同0.8ha)を「不燃化推進特定整備地区」に指定し、災害に強い街づくりを進めている。今回分譲されるマンションはコアとなるものだ。

 「ザ・パークハウス西新宿タワー60」の特徴は、現段階でわが国最高階数の60階建て(現在の最高階数マンションは三井不動産レジデンシャル「パークシティ武蔵小杉ミッドタウン」の59階)もさることながら、新宿中央公園と連続する約1.900㎡の公開空地「結いの森」を整備し、居住者間のコミュニティ形成の施設として国産材をふんだんに用いた交流スペース「ENGAWA(エンガワ)」を設置、さらに自然、防災・減災、多様性の3つのコンセプトを軸にコミュニティ支援プログラム「CLASS 60」を実施するなど、森とコミュニティも大きなテーマとなっている。

 住戸は幅広いニーズに対応し、70㎡台を中心に33㎡台のワンルームから、最高3億5,000万円台(156㎡)の億ションまで供給する。建物は制震構法を採用している。

 内覧会の冒頭挨拶した三菱地所レジデンス社長・小野真路氏は、アベノミクスや為替相場などについて触れた後、「新宿は、世界的には赤坂、六本木に劣らないほど有名。これがインバウンドにつながる。いい場所にいい物件を供給することがアベノミクスにもつながる」などと話した。

 また、共用部分の「ENGAWA」を監修した東京おもちゃ美術館館長・多田千尋氏は「スギの学名はクリプトメリア ジャポニカ(Cryptomeria japonica)で日本語に訳すと『隠された日本の宝』。材と匠の技で巨大な縁側を演出する」と熱弁。「ENGAWA」には三菱地所とも縁のある山梨の杉をふんだんに用いた「木育ひろば」などを設ける。

 さらに、コミュニティ形成支援の取り組みを担当するHITOTOWA Inc.代表・荒昌史氏は、「入居前の2015年から入居後の2020年まで6年間にわたり『CLASS 60』を60回開催し、魅力ある街づくりを支援していく」と語った。

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「結いの森」

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 小野社長のあいさつは相当力が入っていた。外国人の購入も意識してか、台湾ドルやシンガポールドルとわが国の円相場に触れ「我が国は他のアジアと比較して3~4割はディスカウントされている」と述べた。

 多田氏や荒氏も小野社長のお株を奪うほどの熱の込めようだった。話した時間は小野社長を上回ったかもしれない。スギが「隠された日本の宝」とは全然知らなかった(「ヒマラヤスギ」は和訳するとどうなるのか)。

 記者の最大の関心事はいったいいくらで売るかだった。話を聞きながらずっと考えていた。起工式の時には「310~320万円」と予想したが、小野社長や多田氏、荒氏の力の入れようから、これはもっと高くしないといけないと考えた。

 最終的に決断した単価予想は「330~340万円」だ。この単価をはじき出した第一の根拠は3氏が語ったように街の将来性だ。現況は雑多な街だが、このマンションが完成し、さらに「北地区」の約1,000戸マンション計画(住友不動産が参加組合員となる予定)、「中央南地区」の約440戸のマンション計画(三井不動産レジデンシャルが参加組合員となる予定)を考慮すれば、素晴らしい街になると思うからだ。近くには「西新宿3丁目西地区」(8.5ha)の再開発計画もある。

 さらに、これまた関係者が話したように、このあたりのエリアはまだ下町の風情、コミュニティも残っており、歓楽街・新宿のイメージを変える可能性を秘めていることだ。新宿中央公園へ徒歩数分の緑の環境も担保される。この価値は大きい。

 もう一つ、日本最高階数の60階建てというのはそれほど訴求力がないと思っているが、よく考えると「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」と同様、〝唯一無二〟と考えられなくもない。最高価格が3億5,000万円台(坪740万円)というのにはびっくりしたが、これもまたリーマン・ショック前はみんなタワーマンションの最上階はこれくらいの値段がついていた。わが国最高峰だから、坪単価740万円でも顧客満足を満たすかもしれない。59階と60階は特別仕様で分譲戸数は14戸。

 そんなわけで単価予想を上方修正した。59階と60階の単価が全体の単価を押し上げるので、平均するともっと高くなる可能性もある。現段階でモデルルーム来場者は500件を超え、問い合わせは5,000件を突破しているという。

 それにしても、倉庫街や木密地域を再開発する先導役を三菱地所が務め、住友不動産、三井不動産がおいしいところを狙うカラス(これは失礼か)のように高みから見物する様は「中央区晴海」の構図と一緒だ。「地上にはもともと道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ」の魯迅の言葉をまた思い出した。地所は魯迅か。

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「木育空間」(モデルルーム)

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モデルルーム(100㎡)

西新宿の日本最高峰60階建て976戸三菱地所レジなど再開発起工式(2014/5/12)

三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」が即日完売(2013/9/17)

 

 三井不動産が11月6日、平成27年3月期第2四半期決算を発表。売上高7,480億円(前年同期比17.6%増)、営業利益921億円(同33.1%増)、経常利益777億円(同36.9%増)、四半期純利益470億円(36.9%増)と大幅増収増益。期初に公表した数字通り順調に推移している。

 大幅増収増益となったのは、マンションなどの分譲が好調で、売上高の増加、利益率の上昇、投資家向け物件の売却が進捗したこと。マンションの通期計上戸数5,000戸に対して当第2四半期末の契約進捗率は90&(前年同期86%)とリーマン・ショック前の2006年と同水準となった。

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 非の打ちどころのない決算数字だ。記者が驚いたのは、仲介件数の落ち込みだった。三井不動産リアルティの「三井のリハウス」を中心とする仲介・アセットマネジメントなどの収益は383億円(前年同期比46億円減)で、仲介件数は18,026件(同2,989件減)。

 この仲介件数について同社は「前年が大幅に増加しており、過去最高だった一昨年とほぼ同水準」と話したが、記者はこのまま推移すれば、仲介2位の住友不動産販売の数字次第では急接近するのではと第六感が働いた。

 取材を終えて確認したら、住友不販の平成26年3月期の仲介取扱件数は35,455件(前期比6.9%増)だ。今期は軒並み消費増税の駆け込みの反動減で数字を落としており、同社も第1四半期の取り扱い件数は8,859件(前年同期比3.6%減)と減らしている。

 このまま推移すれば三井は通期では約36,000件で、住友不販が前年並を確保すればほぼ横並びとなる。前年より下回ると三井がトップを維持する。

 これまでは三井不動産(三井不動産リアルティ)がトップを走り、住友不販が追い上げを見せるとその差は縮まり、縮まると再び三井が引き離す展開が続いてきた。住友不販の決算発表は7日。果たしてどうなるか。

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 一戸建ての〝覇権〟争いも激化している。大手デベロッパーの戸建て分譲はずっと三井不動産(三井不動産レジデンシャル)が独走してきたが、野村不動産がここのところ急追しており、今年度の三井不が売上計上戸数900戸に対して野村不は1,000戸と逆転する見込み。

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「グッドデザイン賞特別賞」を受賞した三交不動産社長・森口文生氏(写真右)

 三交不動産の木造軸組構造「MSストラクチャー」が「グッドデザイン賞2014」の特別賞「グッドデザイン・地域づくりデザイン賞」を受賞した。作品は宮川森林組合、エム・エス・ピーとの共同受賞。

 「MSストラクチャー」は、三重県の宮川流域に位置する大台町の木材を積極的に用いた同社の構造体で、山を育てる宮川森林組合から良質な木を確保し、大台町との第三セクターでプレカット工場を設立することで地元に雇用を生み出し、加工まで品質を確保する一連の取り組み。グッドデザイン賞ベスト100に選出された際に「地場の林産業、木材産業、木材加工業から伝統工法を用いる住宅提供までをひとつのサイクルにまとめた総合的な木造住宅供給モデルとして、高く評価できる」「派生する端材や下等級材の二次利用などを含めた大きな構想に期待感がある。」という審査委員のコメントが付されていた。

 「グッドデザイン・地域づくりデザイン賞」は、くらしや産業、社会をさらに推し進め、未来を示唆するデザインと認められるものに贈られる特別賞のひとつ。昨年度は熊本県が応募した「キャラクターを活用した地域プロモーション[くまモン]」が受賞している。

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 わが故郷のデベロッパーが初めてのチャレンジで、グッドデザイン賞特別賞に輝いた。とても嬉しい。テーマがいい。森林・林業の再生・活性化はアベノミクスの肝だと思っている。いいビジネスモデルになってほしいと願う。首都圏のデベロッパーもハウスメーカーもどんどん三重県産の木材を使ってほしい。

 今回の特別賞には、野村不動産・三井不動産レジデンシャル・積水ハウス・阪急不動産4社共同の「オープンディスカッションによる住宅企画Tokyoイゴコチ論争」も受賞した。これはわずか6カ月で全戸が完売するという圧倒的な人気を呼んだ「Tomihisa Cross」(992戸)の街づくりについて、企業や団体、個人の声を取り入れていく取り組みだ。たしかにこの取り組みには驚かされた。

 それにしても、大手デベロッパーと同じ特別賞を受賞し、しかも「くまモン」も受賞している「地域づくりデザイン賞」というから、ひょっとしたら「MSストラクチャー」が全国的にヒットするのではないか。

三交不「グッドデザイン・ベスト100」に選出特別賞候補にノミネート(2014/10/27)

新宿・富久町「Comfort Tower」第1期482戸が即日完売(2013/9/26)

 プレハブ建築協会は11月4日、同協会の住宅部会20社のうち部会内に設置された環境分科会参加の10社による環境行動計画「エコアクション2020」における2013年度の実績調査をまとめ発表した。

 10社の戸建て供給戸数70,437戸(前年比4.9%増)、低層集合住宅81,267戸(同22.4%増)が対象。

 これによると、新築戸建住宅の居住段階でのCO2削減量は、太陽光発電システムや燃料電池コージェネレーションシステムの普及などにより、2010年比17.6%減の1,924㎏-CO2/戸・年(前年比6.7%減)となった。

 低層集合住宅の居住段階のネットCO2排出量は2010年比14.8%減の1,551㎏-CO2/戸・年となり、順調に削減がすすんでいる。

 既存住宅の居住段階でのCO2削減が大きな課題になっているが、2013年の既存住宅の太陽光発電システム設置工事件数は21,116件(同17.0%減)で、再生可能エネルギー固定価格買取制度がスタートした前年の反動減と買取価格の引き下げの影響を受けた。

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 2020年までに数値目標を掲げ、低炭素社会の構築や循環型社会の実現を目指す「エコアクション2020」は、既存住宅を除いてはおおむね順調に推移しているようだ。

 ただ、記者の取材フィールドである分譲住宅の「地域の生態系の保全に配慮した住宅地の緑化率」については注文もある。数値の「見える化」を図り、ユーザーにも分かりやすいデータで公表すべきだと思う。

 2013年に会員各社が新規供給した建売住宅4,211戸(前年比443戸減)のうち、緑化面積率40%以上を確保した住宅は1,984戸(前年比49戸増)とのことだったが、この数値だけで「自然共生社会の構築」に貢献したのか、あるいは貢献していないのか分かる人はほとんどいないはずだ。

 緑化率を高めた住宅の価格はどうだったのか、ユーザーの反応はどうだったか、売れ行きはどうだったかなどはデータとして取り出せるはずだし、それらの住宅が地球温暖化防止や環境や人に対してどのような影響を及ぼすかも分かるはずだ。

 記者は環境や人に及ぼす緑の役割は極めて大きいと確信している。ぺんぺん草も生えないような建売住宅が淘汰されるよう、プレ協の会員会社は良好な住宅供給の先頭に立つべきだと思う。データもどんどん公開して啓蒙すべきだ。

 

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「ウェリス津田沼」完成予想図

 NTT都市開発が12月上旬に分譲する「ウェリス津田沼」のモデルルームを見学した。「家族をつなぐ多世代永住の住まいづくり」がテーマで、分譲マンションに隣接して開発するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の施設を利用でき、購入者とその親族がサ高住に優先的に入居できるという業界で初の試み。

 物件は、新京成線前原駅から徒歩8分、またはJR総武線津田沼駅から徒歩18分、船橋市前原西六丁目に位置する6階建て全58戸。専有面積は72.27〜83.87㎡、予定価格は2,900万円台~4,300万円台、坪単価は160万円台になる模様。入居予定は平成27年11月上旬。設計・監理は嘉環境建築設計。施工はナカノフドー建設。販売代理はフージャースコーポレーション。

 現地は、NTTの社宅(独身寮)跡地。敷地を分筆して、今回分譲するマンションと、隣接地に70戸程度のサ高住「ウェリスオリーブ津田沼」を建設する。サ高住はNTTグループのテルウェル東日本が介護サービスやデイサービスを提供。棟内に訪問介護事務所、デイサービス施設を設置する。

 マンション購入者はサ高住の見守りサービスや食堂が利用できるうえ、家族と親族が優先的にサ高住に入居できるのが最大の特徴。トイレと浴室には緊急コールボタンを設置し、調理台は高齢者にも配慮してIHクッキングヒーターを採用する。

 同社は平成22年、運営会社のベネッセスタイルケアとともに第一弾のサ高住「ウェリスオリーブ新小岩」(45戸)を開設しており、今後2~3年間に10棟を開発する予定。そのノウハウをマンション事業にも生かし、それぞれの事業リスクの軽減を図るとともに、多世代永住型の住まいを提供していく。

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 民間分譲マンションとサ高住を併設して、サ高住の施設を利用できるようにしたのはおそらく同社が初めてだろう。

 サ高住の適正規模は60~70戸と言われており、その一方で、郊外マンションの場合は大型化することの販売リスクもある。今回のプロジェクトは双方のリスクを軽減するとともに、新たな付加価値を付与するものだと思う。

 現段階でユーザーがどのような反応を見せるか不明だが、現地の後背地には戸建てエリアが広がっており、このエリアに住む高齢者にも関心を呼ぶのではないか。50歳以上の反響は通常マンションだと20%であるのに対し、今回は約30%という。

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 記者は、分譲マンションと隣接・近接する高齢者向けマンションの共用施設を双方の入居者が利用できないものかとずっと思っていた。最近見学した都の「コーシャハイム千歳烏山」は賃貸居住者も併設されているカフェやサ高住の食堂が利用できるようになっていた。

 都は今年度、「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業」としてサ高住に一般住宅を併設した場合に補助金を出す制度を実施しており、募集3事業者のうち東急不動産とナルド・コミュニティネットの2事業者が決まっている。

  設立から34年目にして「公益財団法人不動産流通近代化センター」の名称が変更される。11月4日、新名称募集を一般から募集するとホームページ上で発表した。募集期間は平成26年11月4日(火)~28日(金)まで。発表は平成27年4月。最優秀賞には3万円の商品券が贈られる。

 応募方法はWebまたはFAXで。詳細は不動産流通近代化センター TEL:03-5843-2070へ。

 同センターは昭和55年に設立された国土交通省が所管する特例民法法人で、不動産情報交換のためのコンピュータ・ネットワーク・オンラインシステム「レインズ(REINS)」の運営や不動産コンサルティング技能試験などを行っている。

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 ついに不動産流通センターの名称が変更される。結構なことだ。記者にとっても念願の名称変更だ。

 この呼称についてはもう30年も前から変更すべきという記事を書いてきたし、直接訪ねて呼称変更を〝お願い〟したことがある。

 なぜか。当時、記者はデベロッパーを取材していたのだが、不動産業界に「近代化」なる言葉が付けられた公益法人があるのに驚いた。「近代化」なる言葉は歴史の教科書に出てくる「戦前」のことだ。「もはや戦後ではない」と経済白書が謳ったのは昭和31年だ。どうして昭和の50年代にもなって「近代化」をわざわざつけなければならないのか不思議に思った。

 確かに「全国宅地建物取引業協会連合会」(全宅連)という会員数が約11万(当時約14万)を擁す、主に街の不動産会社などからなる業界団体があり、「前近代的」と思われる部分も少なくなかった。しかし、それでも大手デベロッパーや大手流通会社は良好な街づくりや住宅供給を行っており、他の業種を含めトップランナーだと記者は思っていた。「近代化」などと言われると、自分自身が時代遅れの俗物と言われているような気がした。

 そこで「近代化」が付された団体があるかどうか調べた。今でこそネットで検索できるが、当時は電話帳やらその他の刊行物を調べ、「近代化」が付いている団体は不動産流通近代化センターのほかには、昭和44年に設立された財団法人東京タクシー近代化センターしかないことを突き止めた。東京タクシー近代化センターは平成14年に「東京タクシーセンター」に呼称変更されているので、現在、「近代化」のついている団体は不動産流通近代化センターしかないはずだ。

 今回の呼称変更は、「より安全・安心な不動産取引を実現する不動産業の健全な発達に関する支援により、一般消費者の利益擁護を充実したい今、『近代化』の名称は、現在の事業内容に照らし、十分ふさわしいものと考えられません。私たちはもう一度、原点に立ち返り、皆様にとって、もっとわかりやすく、より身近で、信頼できる名称に変更したいと思います」(同センターホームページ)というのが理由のようだ。

 この業界にはもう一つ、取りようによっては不動産の「適正取引が行われていない」と誤認させるような「一般財団法人不動産適正取引推進機構」という宅建試験を行う団体もある。合併してもいいように消費者にも分かりやすい名称にしてほしいと願うのみだ。

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左からヨーロピアンオーク、ヨーロピアンアッシュ、ビーカン

 細田工務店は10月31日、構造材と床材に無垢材を採用した注文住宅「<木ここち杢>プレミアム」を発売した。

 既存ブランドの注文住宅「<木ここち杢>」をベースに、土台に純国産「乾燥無垢檜」を採用。さらに、これまでの3種類の無垢床材に加え、新たに3種類(ヨーロピアンオーク、ヨーロピアンアッシュ、ビーカン)を追加した。

 工法は標準仕様となっている高耐震+制震の2つの性能を併せ持つ「ハイブリッドキューブ」を採用。住宅性能表示の耐震等級で最高の「3」を取得可能。

 詳細は次のホームページまで。

http://www.hosoda.co.jp/build/moku/premium/

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「ミス・インターナショナル お披露目ショー&フォトセッション」(三越1階)

  「2014年ミス・インターナショナル世界大会」に出場する世界の美女ら78名が11月1日、日本橋に集結して街行く人々を楽しませた。イベントは、三井不動産などが協賛し「東京中央大通会」が主催するもの。11月11日に行なわれる 「2014年ミス・インターナショナル世界大会」出場者78名が3組に分かれ、「やかた船 船上ショー」「日本橋案内所」「三越本店寿司祭り」「高島屋」「日本橋西川」などのイベント「中央区日本橋世界文化交流プロジェクト」を行った。

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日本代表

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 きれいな女性は毎日のように見ているし、一番美しいのは伊勢神宮が奉っている天照大神と、その美しさを引き継ぐ「大和なでしこ」だと思っている記者にとって、ミス・インターナショナルなんて興味がない。水着姿も審査対象になっているイベントがフェミニストによって批判されるのも理解できる。

 それでも取材する気になったのは、世界の〝美女〟が日本橋川に架かっている高速道路をどう感じるかを聞くためだった。

 片っ端からインタビューしようと思ったが、外国語が話せないし取材の規制もあり、やむなく通訳を通じて聞くしかなかった。質問は「日本のど真ん中の川が高速道路によって覆われている、暗渠になっている景観、風景をあなたはどう思うか」だ。

 最初に聞いたスペイン語圏の女性は「大丈夫(No problem)」のひと言だった。日本語が通訳に通じていないのか、その彼女が何を勘違いしたのか分からないが、記者は唖然とした。ミス…などしょせんその程度のものか、知性は問われないのかと思った。

 しかし、これでは取材目的が達成できない。関係者にお願いして、パラグァイの代表に聞くことができた。彼女は「高速道路を外して、観光客が入りやすいようきれいにすべき」と、通訳を通じて話した。

 彼女は、すぐ「COREDO室町1」の地下「日本橋案内所」に備えられている「首都高速道路の撤去を求める」署名に記名した。ミス・インターナショナルの本大会は11月4日に行われるが、記者はパラグァイの女性に一票投じたい。

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「首都高速道路の撤去を求める」署名に記名するパラグァイ代表

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パラグァイ代表らの記念写真

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 「きやぁ、人形みたい」「おなじ人間と思えない」などのねたみやら感嘆の声が沿道から発せられた。メディアは金魚の糞のように美女軍団の後にくっついていく。記者はこの屈辱に耐えられなかった。

 列から離れようと思ったとき、三越店内でその一団を椅子に腰掛けて眺めている妙齢とはいいがたいが、若いときはミス彼女たちに負けないと確信させる凛とした女性を見つけた。総しぼりの羽織を着ていた。その女性は「みなさん、おきれいでいらっしゃる。でも、わたくし…よく見ていなかったわ」と話した。

 美女たちが帰ったあとで、もう一度、その女性に声をかけた。失礼だとは思ったが、「ずいぶん美しいお着物を召していらっしゃいますね」と話しかけたら「ありがとうございます。これ、結城ですのよ」と紬も見せてくれた。「ありがとうございます。お歳は70歳代でよろしいですか」「いえ、もう少し上でございます」

 やはり日本の女性は美しいと思いながら、三越本店の1階ホールで行なわれた「お披露目ショー&フォトセッション」を見ていた中年の女性にも声をかけた。「とてもきれい、目の保養になる。フェミニストの批判? 身体だけでないでしょ、総合的な美しさが評価の基準」と話した。彼女もさすがだ。

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「やかた船 船上ショー」

「日本橋架橋百年祭」に10万人来場 江戸の舟運が復活(2011/11/2)

これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街(2008/5/19)

 野村不動産アーバンネットは11月1日からタワーマンションを対象にした「ホームステージングサービス」を期間限定で実施する。

 「ホームステージング(Home Staging)」とは、売却不動産を家具や小物で演出することで、早期に好条件での売却を目指す販売手法。中古住宅流通量の多いアメリカでは、過去30年以上、不動産売却時に有効な手法として用いられている。単にインテリアコーディネートをするのではなく、その住宅の購入を検討する人が住まい心地を実感できるよう演出するもの。

 「野村の仲介+(プラス)」各店では2014年8月から「野村のステージング」サービスを開始しており、今回はそれをさらに発展させた。

 対象不動産は首都圏の20階以上のタワーマンションで、専有面積が60㎡以上。利用期間は2014年11月1日から2015年3月31日まで。売り出し価格が同社査定価格の125%以内であることなどが条件。

 空室の場合は、同社が無料でリビング・ダイニング・キッチンの家具、玄関からリビングの導線、水回りのコーディネートを行い、居住中の場合はコーディネートのほか室内荷物の一時預かりも行う。

 

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