明和地所「クリオ両国」は坪単価250万円 上々のスタート
「クリオ両国」完成予想図
明和地所が分譲中の「クリオ両国」を見学した。先週末から第1期20戸の分譲を開始しており、10戸が契約・申込済みでまずまずのスタートを切った。
物件は、都営大江戸線両国駅から徒歩8分、JR総武線両国駅から徒歩13分、墨田区緑3丁目に位置する15階建て全59戸、現在分譲中の住戸は専有面積58.56~72.57㎡、価格4,324万~5,867万円(最多価格帯4,400万円台・4,800万円台)、坪単価250万円。施工は南海辰村建設。
現地は京葉道路に面しているが、敷地の南側は高さ制限28mのエリアで、10階以上の住戸は南面が開けている。
モデルルームは約9.9mのワイドスパンで、キッチン・バックカウンター天板は御影石。食洗機が標準装備。
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両国駅圏のマンションは2~3年前までは坪単価240~260万円で分譲されていたが、建築費の上昇から最低でも250万円、高い物件では270万円を超えてきている。先日、同社の「聖蹟桜ヶ丘」を見学したとき、この「両国」を250万円で分譲すると聞いたので見学した。
現地の販売担当者によると、購入者は地元の人で立地と価格の安さを評価しているという。交通量の激しい京葉道路には面しているが、この立地でこの単価、設備仕様レベルは割安感があると思う。
大和ハウス他「ひばりが丘フィールズ1番街」144戸が即日完売
「ひばりが丘フィールズ1番街」完成予想図
大和ハウス工業・コスモスイニシア・オリックス3社JVマンション「ひばりが丘フィールズ1番街」の全144戸が最高4倍、平均1.13倍で即日完売した。UR都市機構が民間企業を事業パートナーとする初のPPP手法を用いて街区設計やコミュニティ支援などのノウハウ、技術を生かした都市再生事業の一環。
物件は、西武池袋線ひばりヶ丘駅から徒歩18分(バス6分、徒歩2分)の東久留米市ひばりが丘団地に位置する11階建て全144戸。専有面積は68.57~89.71㎡、価格は2,990万~5,090万円(最多価格帯3,400万円台?3,500万円台)。坪単価は167万円。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2015年2月下旬。
人気を受けて3社は、引き続き「ひばりが丘フィールズ2番街」(156戸)の案内会を9月上旬から開始する予定。
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このマンションの即日完売は6月下旬に取材したときに予測していたことで、即日完売そのものについては驚かないが、やはり坪単価はかなり割安感があると思う。バス便だが、地元の人にとっては旧ひばりが丘団地の立地・環境はよく知っているはずで抵抗感はなかったのだろう。
昭和30年代に建設された団地だけで、住棟配置がゆったりしていて、ケヤキを中心とする街路樹も見事だ。とにかく景観が美しい。
欲を言えばもう少し設備機器その他の仕様レベルを上げてほしかった。
野村不動産「プラウドタワー立川」第1期230戸が即日完売
野村不動産は7月23日、立川駅直結の再開発マンション「プラウドタワー立川」(全319戸、うち販売戸数292戸)の第1期分譲230戸の登録を7月20日に締め切った結果、最高5倍、平均1.22倍の競争倍率で即日完売したと発表した。
申込者の属性は、①年齢は平均52.0歳(30歳代21%、40歳代21%、50歳代23%、60歳以上32%)②家族数は平均2.6人③職業は会社員23%、役員・オーナー35%、医師17%)④居住地は立川市32%、都下82%、23区9%)⑤現居住形態は持ち家70%、借家・社宅など29%。
社内外で評価された三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」
昨年、圧倒的な人気で即日完売した三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」が2つの顕彰制度で受賞した。
ひとつは、このほど新設した各年度でもっともブランド認知やブランドイメージ向上に貢献したマンションを選ぶ社内制度「ザ・パークハウス オブ ザ イヤー」で、2013年度は同物件が選ばれた。
同物件は、立地を最大限生かした配棟計画・建物デザインなどが評価され、リーマンショック後の最高坪単価800万円だったにもかかわらず、22戸が最高13倍、平均5.1倍で即日完売し、業界内外で話題となった。
もう一つは、次世代に残る優れた分譲マンションプロジェクトを表彰する週刊住宅新聞社の「2013年度首都圏優秀マンション表彰」の最優秀賞に選ばれたもの。
審査委員となった住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏は「すべての部分で日本のマンションの最高水準…(昨年分譲でなかったら)この値段で買うことはできなかっただろう」と語り、不動産ジャーナリストの目黒孝一氏とマンション評価ナビ主宰の大久保恭子氏も「仕様や設備、管理など久々にすべてで最高級だった」と絶賛した。
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「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」が社内外で評価されるのは当然だ。記者も毎年「ベスト3」マンションを選んでおり、この物件を3物件のうちの一つに選んだ。
ただ、評価は何を重視するかによって異なるので一つ選ぶとすればこの物件を選んだかどうかはわからない。記者は隈研吾氏がデザイン監修した東京建物他「BrilliaTower池袋」、驚異的な売れ行きを見せた野村不動産・三井不動産レジデンシャル・積水ハウス・阪急不動産の4社JV「Tomihisa Cross」と三井不動産レジデンシャル・東京建物・三菱地所レジデンス・東急不動産・住友不動産・野村不動産の大手デベロッパー6社JV「東京ワンダフルプロジェクトSKYZ TOWER&GARDEN」も捨てがたいと思う。
「千鳥ヶ淵」は何よりも皇居が見下ろせる「唯一無二」の立地にほれ込んだ。単価800万円はズバリ的中した。近接する三井不動産レジデンシャルの「パークマンション千鳥ヶ淵」の坪単価778万円を超えられなかったら選外にしていたはずだ。正直に言えば、商品企画、設備・仕様は三井不動産レジデンシャルのほうが勝っていると思う。
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週刊住宅新聞社はこのほか都心・郊外、大規模・中規模・小規模など8部門で21物件を選んでいる。記者は全く知らなかった物件がいくつかあり、選ばれた理由がよく分からなかった物件も少ながらずあった。これも視点の違いだ。
一つ注文を付けるとすれば、評点は郊外より都心が、駅から遠い物件より近い物件がそれぞれ高くなるように設定されているので、郊外物件でしかも駅から遠い物件は不利に働く。
しかし、立地条件にハンディを抱えている物件をいかに商品企画でカバーするかもデベロッパーの腕の見せどころではないか。その意味ではグローバル・エルシードの「イデオ」が評価委員特別賞を受賞したのは嬉しい。この物件は見学しようと記者も思っていたが、見学する前に売れてしまい見る機会を失ってしまった。
明和地所「クリオ聖蹟桜ヶ丘サクラテラス」 人気の立地 敷地南側は1低
「クリオ聖蹟桜ヶ丘サクラテラス」完成予想図
明和地所が8月上旬に分譲する「クリオ聖蹟桜ヶ丘サクラテラス」を見学した。立地、設備仕様レベルが高く、記者の予想した単価だったら間違いなく売れるマンションだ。
物件は、京王線聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩7分、多摩市一ノ宮4丁目に位置する10階建て45戸の規模。専有面積は65.02~85.85㎡、価格は未定。入居予定は平成27年6月下旬。設計はAUS総合研究所。施工は大勝。
現地は、川崎街道に面したマンションなどが立ち並ぶ一角に位置し、用途地域は商業地域だが、建物の南側は第一種低層住居専用地域。同駅圏では以前から人気になっていたマンション適地だ。
設備仕様レベルが高いのも特徴のひとつ。45戸の中規模だがディスポーザが標準装備。食洗機も付き、キッチン、洗面室の天板は御影石、床はブラックチェリーの突板仕様、収納扉はソフトクローズ、二重床二重天井。最上階の85㎡台の3住戸はワイドスパンで天井高約3m。
同駅圏では3年ぶりの新規供給。3年前の物件よりはかなり単価は高くなるが、最近の建築費の上昇、立地条件、設備仕様などをどこまでアピールできるか。
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記者がモデルルームを見学しているとき、同社・原田英明社長が見学に訪れバッタリ鉢合わせした。社長は驚いたようだが、絶好の機会だと思い、「社長、キッチンも洗面も御影ですよ。食洗機も標準で、床は突板。収納はソフトクローズ。この駅圏ではレベルが高い。山の上の富裕層の買い増しも期待できるかもしれない」と、同社の営業マンになったつもりで〝説明〟した。
その上で、「問題は価格。○○万円でどうですか」と畳み込んだ。原田社長はにやりとし「知ってんじゃないの。ダメ、書かないで。まだ決めていないんだから。それより、最上階の住戸を買いませんか」と返された。
原田社長との約束だから、ここでは単価は書かない。まず予想通りか、それより若干高い価格に収まりそうだ。
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記者は、同社の設立の経緯を知っており、当初からずっと取材してきてきた。創業者の故・原田利勝氏からは「取材は受けない」と拒否され続けたが、創業時の〝右腕〟だった高杉仁氏からマンションのイロハを教わった。
「国立」マンション問題でつまずいたが、それまでは意欲的な商品企画で業界をずっとリードしてきた。100㎡マンションの走りでもある〝レミントンハウス〟で分譲マンションとしてはわが国初のディスポーザ付きを標準装備した。それまでディスポーザは、外国人向け賃貸や一部の高級マンションなどでは採用されてはいたが、都の基準では認められておらず、全て非公式だった。
同社はその後、リーマンショックの影響もあり長期低迷が続いてきたが、財務改善も進んでいるようだ。商品企画で再び輝きを取り戻してほしいと願っている。
ポラス 照明メーカー3社とコラボ「ボゥ ヴィラージュ越谷レイクタウン」
KOIZUMIが照明計画を担当した「3号棟」
ポラスグループの2×4戸建て分譲事業を展開している中央住宅は7月11日、南仏の街並みをモチーフにした〝ボゥ ヴィラージュ〟シリーズ第12弾「ボゥ ヴィラージュ越谷レイクタウン」の現地見学会を行い、7月19日から販売開始すると発表した。照明メーカー3社とコラボしたモデルハウス3棟を公開し、一般の来場者も含めたコンテストを実施する。先日行われた決算発表でも、7月からポラスの得意とする中・大型物件の供給を開始するとあり、その第一弾である。
物件は、JR武蔵野線越谷レイクタウン駅から徒歩8分、越谷レイクタウンの区画整理事業地内に位置する全62区画。土地面積は150.02~159.67㎡、建物面積95.75~100.50㎡、価格は未定だが、3,000万円台の後半から5,000万円台の前半(最多価格帯は4,000万円台の半ば)。第1期分譲は20棟。
現地は、これまでイオンモールや民間マンション・一戸建てなど先行して開発が進められてきた駅北口とは反対の南側の戸建て街区の一角で、敷地面積が150㎡以上、壁面の位置が1m以上離すなどの規制がある住宅地。
建物はベージュを基調とした外観デザインで、エントランス部分には自然石を敷き詰め、ウッド、タイル、ストーンの3種のサインウォールを設置。シンボリックな尖塔付きタイプも用意している。1階の天井高約2.7m、サッシ高約2.2m、親子リビングドアなどはこれまでの戸建てと同じ。
見学会に臨んだ同社取締役兼マインドスクェア事業部部長・金児正治氏は、「駅南側は開発がやや遅れており、街のシンボルともなるよう緑豊かで潤いのある街づくりを促進させるためにも意欲的な取り組みを行なった。工期を90日に短縮し、照明メーカー3社と建物の商品企画段階からコラボしたのもそのひとつで、素晴らしいものができたと思っている。来場者の方に商品としても評価してもらうようコンテストも行う」と語った。
「3号棟」
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見学会に参加した記者にも3棟のなかで一番好きなのを選ぶよう求められたので、記者はためらいなくKOIZUMIが照明計画を担当した「3号棟」を選んだ。プレゼンが明快であったためだが、玄関・ホール・階段室の空間演出と、1階の南側に配したダイニング-リビング-畳コーナーの長さ約9mもある下がり天井のライティングが見事だったのを評価した。ダイニングに自然採光を取り入れたのもいいし、洗面室や主寝室の演出もユーザーに支持されるはずだと思った。
照明はパナソニックが担当した「2号棟」は、外構・デザイン、吹き抜けのあるリビングなどプランはよかったが、照明はその意図が分かるだけに物足りなさを感じた。アプローチライト、スポットライトはいいのだが、玄関框とニッチのライティングのスイッチは手動ではなく人感センサー付きにすべきと思った。手動にするのであれば、点滅に家族のメッセージを込める、例えば点滅しているときは「パパ、お帰り」「ママ、ありがとう」「今晩はOK」など、消灯は「また無断で飲んできた」などだったら記者は投票したかもしれない。
DAIKOが照明を担当した「4号棟」はせっかくリビングに吹き抜け空間を設けたのに、それが中途半端だったのが不満だった。リビング・ダイニングは17帖大あるのだが、中央の吹き抜け部分は1.3m×2.7m、2畳大しかないのがどうかと思った。吹き抜け部分を南面に寄せ、全面ガラス張りにしたら素晴らしい空間演出ができたのではないか。「温調」「楽調」などはリモコンなどでもっと簡単に調光できるようにしてほしかった。吹き抜けを利用した2階ロフトの提案はいい。
「2号棟」
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なかなかいい見学会だ。20年くらい前だったか、三井不動産レジデンシャルがYAMAGIWAとコラボして建売住宅を建てたのを思い出した。外灯の位置、足元灯、化粧がしやすい洗面室、自然光を採り入れた浴室などがユーザーの圧倒的な人気を呼んだ。ハウスメーカーでは旭化成ホームズが4年前に記者見学会を行なっている。
今回の照明計画も順光よりもダウンライト、間接照明、アッパーライトを重視しているのは納得できた。しかし、ユーザーの視点に立った場合、金児氏がいみじくも言ったように「楽しい照明計画」になっているのかどうかについて同社も照明メーカーはもっと考えるべきだと思った。
実はこの日、見学会の時間は1時間少ししかなかった。見学の最後の頃、ゲリラ豪雨が襲ったため、3棟全てを十分見学できなかった。記者は同社の車で駅前まで送ってもらったのだが、企画意図をしっかり理解するため同社の駅前のカフェ「バナーノ」で資料をじっくり読んだ。それでもよく分からなかったので、同社広報に連絡してもう一度戻った。結局、14:00から18:00過ぎまで取材した。
それでも正直にいってまだよく分からない。コストはもちろんだが、「2号棟」でも書いたようにユーザーは手動で朝昼晩、用途によって光の調整などしているのだろうかという疑問がわくし、そもそも夜は暗いものだし、必要以上に室内を明るくする必要があるのかとも思う。
もっと外光を取り込む工夫や闇を逆手に取ることも考えていいはずだ。光と風、光と音の演出がこれからは必須だろう。
個人的なことをいえば、真っ暗な蚊帳の中に蛍を放ったり、障子の影絵を楽しんだり、雨戸の節穴から朝日が差し込み逆さ絵を描いた昔の住宅が懐かしい。至れり尽くせりよりもユーザーに考えさせる照明計画が一番いいのかもしれない。今回の試みがそのヒントになってほしい。
「4号棟」
いまどきの30代夫 完璧に家事こなすのは3割 旭化成ホームズが調査
「マルチアイランドキッチン」
旭化成ホームズは7月11日、今年25周年を迎える同社の「共働き家族研究所」が調査・研究した報告書「いまどき30代夫の家事参加の実態と意識~25年間の調査を踏まえて~」(A4判86ページ)をまとめ発表した。
調査の結果、①夫の家事参加が大幅に進み、5割の夫は洗濯ものを干す②夫の7割近くが、出産後も妻に仕事を続けてほしいと思っている③家事を完璧にこなせる夫は3割で、意欲はあっても上手にできない「チョイカジパパ」が多い-ことなどがわかった。
また、今回の調査結果を踏まえ、同研究所と永大産業が共同して、夫の家事参加を促す「マルチアイランドキッチン」「ランドリーサンルーム」「デイリークローゼット」を開発、住宅展示場や「街かどヘーベルハウス」などで提案していく。
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記者はこの種の発表会でいつも思うのだが、社会、経済環境は昔と比べ大きく変化している。「専業主婦」「配偶者・扶養控除」「寡婦(夫)控除」「共働き」などの呼称・文言について考え直すべきだと思っている。
記者は約10年間、妻が死亡したためだが2人の子どもを育て仕事もこなしてきた。同社が夫の家事・育児関与度を21項目に分類した評価では21項目、つまり調理も洗濯も掃除も育児も程度の差はあれ全て行なった。特に食材では白、黒、赤、緑、黄を盛り込むことは忘れなかった。鰹節やトリガラで出汁を取ったこともあるし、砂糖を用いなくても甘みを出すことも覚えた。アップルパイは毎週のようにつくった。
同社はまた、妻のしっかり家事度を13項目に分類して評価したもの、例えば「雑巾がけ」「水拭きする」などは全然行なわなかったので、2~3項目しかやらなかった。それでも家事・育児労働は1日3~4時間くらいはやったはずだ。
家事・育児労働を金額にも換算したことがある。自己評価では月額30万円くらいになった。しかし、それでも記者は専業主婦(夫)でも兼業主婦(夫)でもなく、「孤閨」を守ったわけではないし、うじがわく「男やもめで」もなかったが、税法上は「寡夫」だ。そんな経験から、先にあげた言葉がしっくり受け入れられないのだ。
例えば専業主婦。ウィキペディアによると、専業主婦は「『働く女性(賃金労働者)』と『専業主婦』はもともと対立概念ではなく、様々な理由から多くの女性が『働く女性(賃金労働者)』と『専業主婦』というライフコースを行き来する。賃金労働に従事していない時期名である為、『無職』に分類される。…専業主婦は家庭という組織内部で貢献しつつ内部分配を受けることから、企業における製造・営業に対する『総務・経理的役割』と同等の『家庭内の役割』だと考えられている」とある。
これはこの通りだろう。しかし、必ずしも女性の労働環境は良好といえないから、働く女性と対立して考えざるを得ない現実がある。賃金労働者でないから「無職」とする一方で、企業における『総務・経理的役割』と同等」の役割を担っているとしていることに矛盾はないか。「家事労働」という言葉もあるくらいだから、「専業主婦」の労働価値を正当に評価すべきだと思う。
また、「配偶者控除・手当て」もよく分からない制度だ。103万円だとか130万円の壁が論議されているが、女性の雇用促進を考えるのなら、働く女性が不利にならないように、また多様な生き方が選択できるような仕組みにすべきだ。「寡婦(夫)」もいやな言葉だし差別的だ。「未亡人」「やもめ」「孤閨」などと同じだ。税制面での支援策があるが、ならばどうしてシングルマザー、シングルファザーには支援がないのかもよく分からない。
ことほどさように生き方は様々だ。家父長制が貫徹されていた昔と異なる。このあたりの制度なり意識改革を抜本的に行なわない限り、女性の社会進出促進や男女共同参画社会は実現しないのではないか。「男女参画社会」もまたよく分からない概念で、どうして「男女平等社会」でいけないのか。
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調査結果は予想していた通りだし、「マルチアイランドキッチン」「ランドリーサンルーム」「デイリークローゼット」の提案もなかなかいい。アイランドキッチンは他社も採用しておりかなり増えてきたが、2帖ほどのランドリーサンルームとそれに隣接した「タタミコーナー」「デイリークローゼット」がいい。記者も洗濯には難儀した。ティッシュを取り忘れたときなどはパニックになった。室内にコンパクトに洗濯作業場があると助かる。
ついでだが、いかに「寡夫」にとって家事・育児労働が大変であるかを紹介しよう。
だいたい自分の時間が持てるのは夜10時過ぎだ。それから酒のつまみをつくり1時、2時まで飲む。もちろん原稿も書く。遠足用の弁当つくりもこの時間まで掛かる。
困るのは子どもに持たせるこまごました道具類だ。あるとき「ナプキン」を持たせるようにと学級便りにあった。これには頭にきた。記者は妻がいないことを先生は承知しているのにどうして生理用品を持ってこいというのか、怒鳴りつけようかと思ったが、義妹に相談した。「よく読みなさいよ。そんなもの持ってこいというはずない」と電話口で言われたので、よく見たら「ナフキン」だった。それまで「布巾」は知っていたが、「ナフキン」など知らなかった。「トイレ」を持ってこいというのもあった。これにも呻吟した。先生を呪った。しかし、これもよく見たら「トレイ」だった。
読者の方々は笑うかもしれないが、忙しいときはゆっくり学級便りなど読んでいる暇は全然ない。やってみれば分かる。
野村不動産「プラウドタワー立川」は坪単価342万円 早期完売必至
「プラウドタワー立川」完成予想図
「誰が想像しただろうか」「想像を超える未来」-シアターの画面にナレーションのこの言葉が出たとき、他の人は分からないが、少なくとも記者は「想像すらできなかった」と認めざるを得なかった。完敗だ。
シアターとはこの日7月10日、野村不動産の立川駅前の再開発タワーマンション「プラウドタワー立川」の記者発表会で映し出された画面であり、露ほども想像できなかったのは坪単価342万円の高さであり、想像力を働かすことができなかった自分の甘さを痛いほど思い知らされた。
それもこれも、わが街多摩センターと比較したことが最大のつまずきだった。確かに駅前に伊勢丹と高島屋のデパートができ、多摩モノレールの駅も南と北に二つもできたあたりから立川は劇的に変わったのはよく理解している。多摩エリアの中核都市でもある。
しかし、その一方で、このマンションの従前敷地は「デパート」には程遠い古い汚い線路際の建物のイメージしかなく、馬券売り場や競輪場などの施設は決して立川のポテンシャルを上げる役割を果たしていないだろうと考えていた。
これが甘かった。再開発によって古いビルは立川のランドマークとしてふさわしいマンションになるのは間違いない。地域のアッパーミドル、富裕層のニーズをものの見事にとらえたマンションだ。改めて立川のポテンシャルの高さと、同社「プラウド」の商品企画の高さを思い知らされた。多摩センターとは比較にならない、おそらく10年たっても20年たっても多摩センターが立川を上回る魅力ある街にはならないだろうと諦観した。
ラウンジ
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「プラウドタワー立川」は、中央線・南武線・青梅線立川駅から徒歩2分、立川市曙町二丁目に位置する32階建て全319戸(非分譲住戸27戸含む)。専有面積は55.01~108.00㎡、1期(230戸)の価格は5,248万~1億6,598万円(最多価格帯7,300万円台)、坪単価は342.5万円。登録受付は7月12日~7月20日。竣工予定は平成28年7月下旬。施工は清水建設。監理は松田平田設計。
敷地は「第一デパート」の跡地で、平成7年から再開発の勉強会が始まり、紆余曲折の結果、平成22年に同社が事業に参画することが決まった。約50人地権者の全員同意で再開発が決議された。住宅は9階以上で、それ以下には公共施設、商業施設が併設され、駅北側と南側を結ぶ自由通路も開設され、建物のすぐ近くには駅の改札も新設される。
建物は駅とペディストリアンデッキで結ばれ、敷地が東西に長いことを利用して55㎡台の住戸も含め間口は最低でも7.9mという高い居住性を確保しているのが特徴。階高は約3.3m、リビングの天井高は約2.6m。SIを採用することによってオーダーメイドのほか、間取りが無償で変更できる「ライフスタイルセレクト」を採用。カフェコーナー、小上がり、ホームシアターなど趣味に合わせた間取りも可能だ。
キッチン、洗面、トイレのカウンタートップは御影石が標準。全体として設備仕様レベルは高い。
「プラウドタワー立川」完成予想図
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正直に書くと、昨年の段階ではこのマンションの坪単価は300万円くらいだと思っていた。建築費は上昇傾向にはあったがそれほど顕在化しておらず、相続税・贈与税の税率変更による富裕層の動きもさほど大きくなかったころだ。
ところが、2020年のオリンピック開催が決定されたあたりから一挙に先高観が広がり、アッパーミドルや富裕層向けマンション需要に火がついた。その流れは強まるばかりだ。
今回の坪単価は最近の高額マンションの動向などを考えると、342万円には記者は驚いたが、来場者は2,500件に達しており、1期230戸の早期完売に担当者が自信を見せていることが何よりもユーザーが支持していることを雄弁に語っている。
スカイライブラリー
三井ホーム ゼロエネルギー目指す実験住宅「ミディアス」リニューアル
「ミディアス(MIDEAS)」
三井ホームは7月7日、三井不動産グループの次世代型都市「柏の葉スマートシティ」の街びらきに合わせゼロエネルギーを目指す実証実験住宅「ミディアス(MIDEAS)」をリニューアルオープンした。
過去2年間の実証実験の結果、外気温の変動に対してトータル空調により安定した室温が保たれ、想定した太陽光発電や蓄電容量により自給自足を可能とするゼロエネルギー住宅(ZEH)を十分上回る能力を備わっているとし、新たな技術を盛り込んで開発を進めていく。
新たに盛り込んだ技術は①ナチュラルユーザーインターフェイスVer.2②タッチユーザーインターフェイス③スマート家電④EVワイヤレス給電⑤電気配線が不要の振動発電スイッチ-など。
ナチュラルユーザーインターフェイスでは、これまで手振りで窓やブラインドの開閉、お湯張りなどを操作する技術に音声対応が加わった。その結果、「開けゴマ」で窓が開き、「風呂を沸かせ」でお湯張りが可能となる。
タッチユーザーインターフェイスは、太陽光発電や使用電力の「見せる化」を意識した技術で、楽しみながら居住環境をコントロール仕組み。スマート家電では、外出先から冷蔵庫の中身の確認や室温の調節ができる。
ナチュラルユーザーインターフェイスVer.2
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「ミディアス(MIDEAS)」は一昨年に報道陣に公開されているので、今回見学するのは2度目だ。高気密・高断熱の住宅ではあるが、パッシブ技術を最大限取り入れているのが特徴だ。全てがすぐ実現するものでもないようだが、実験住宅は約50坪で8,000万円だとか。坪単価は160万円だ。実用化されるのはそう遠くないと見た。
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よくわからなかったのがナチュラルユーザーインターフェイス。身振り手振りで窓を開閉したりりテレビのチャンネルを変えたりするのはそれはそれで結構だし、さらに音声によってコンピュータが人に変わって家事労働をやってくれるのは便利だと思う。実用化は近いのだろう。
しかし、夫婦、あるいは親子関係はそう単純ではない。同じ言葉でもそのときの感情によって微妙に意味が異なってくるし、第一、誰の声にコンピュータは反応するのか。「暑いな」「私は寒いのよ」「早く寝ろ」「いやだ」「西武戦が見たい」「パパ、ドラえもんだよ」「暗くして」「明るいほうがいい」…コンピュータはパニックになるはずだ。
ならば、声が大きいほうに反応したり、特定の人間のみに言うことを聞くようになったら、これはこれで問題も多い。夫婦が怒鳴りあうようになり、全ての実権を握った夫あるいは妻が家族全てをコントロールすることにならないか。単身者なら問題はないというが、そんなことはない。ロボットとしか会話を交せなくなったら人は生きる価値を何に見いだすのか。
タッチユーザーインターフェイス
三井不動産「柏の葉スマートシティ」 中核施設の「ゲートスクエア」8日オープン
「ゲートスクエア」全体外観
三井不動産は7月7日、同社のスマートシティ戦略のフラグシップ・プロジェクトとして開発を進める「柏の葉スマートシティ」の中核をなす駅前の「ゲートスクエア(GATE SQUARE)」を7月8日にオープンするのに先立ち記者会見と内覧会を行なった。これまで10年くらいかけて行なってきた第1ステージの街づくりが完成し、今後2030年までの「イノベーションキャンパスシティ構想」の実現を目指す第2ステージのスタートとして行ったもので、200人を超えるメディア関係者が集まった。
同社は、2005年つくばエクスプレス開業以降、柏の葉スマートシティの街づくりの第1 ステージとして、柏の葉キャンパス駅周辺の4つの街区を「先行モデルエリア」と位置づけ、公・民・学が連携して環境共生・健康長寿・新産業創造をテーマに街づくりを進めてきた。
「ゲートスクエア」のオープンによって、住宅、商業、オフィス、ホテル、ホールなどの都市機能が集積した複合開発型のスマートシティが本格稼動することになる。
第2ステージでは、ゲートスクエアを中心に具現化した最先端のスマートグリッドをはじめとするスマートシティの機能を、街全域(約300万㎡)へ広げていくとともに、公・民・学で連携しながら次世代ライフサイエンスの産業創造拠点の開発などを行い、「イノベーションキャンパス構想」の実現に向けた街づくりを進めていく。
2030年までに居住人口約26,000人(2014年7月現在、約5,000人)、就業人口約15,000人(同、約1,000人)、来街者約1,000万人/年(同、約700万人/年)を目指す。
記者会見に臨んだ同社・菰田正信社長は「これまで取り組んできた第1ステージの集大成でもあり、第2ステージのスタート。日常的にリノベーションが起きる街としてこの『柏の葉スマートシティ』のビジネスモデルを都心の日本橋や日比谷などの都心型のビジネスモデルと共に世界に展開していきたい」と語った。
ショップ&オフィス棟
三井ガーデンホテル柏の葉 ラウンジ
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記者はつくばEXが開業する前後からずっと取材を続けてきた。「柏の葉キャンパス駅」に降り立つのは10数回にのぼるはずだ。他の同沿線の開発がどちらかと言えば、すでに破たんした官・公主導の街づくりであるのに対し、ここは民主導の街づくりが行なわれてきたといっても言いすぎでないはずだ。同社は地元柏市の官や東大、千葉大などの学の力を最大限に引き出した。わずか10年でここまで街を完成させたスピードに驚かざるを得ない。
一つひとつの施設の詳細は省くが、公開された施設のいくつかを紹介する。「柏の葉スマートシティ」のポテンシャルの高さが一見して分かるのがホテル&レジデンス棟だ。まず1階のホテルラウンジ。エントランスを入るとすぐ正面に約65㎡の壁面緑化が飛び込んでくる・これには圧倒されるはずだ。記者はすぐサントリーミドリエの「パフカル」だと思ったが、その通りだった。室内壁面緑化としては同社製品としては最大規模だという。「環境共生」をテーマのひとつに掲げている街づくりを象徴するモニュメントでもある。これひとつとっても強い街づくりの意志を感じた。
それ以上に驚いたのが全114室の賃貸住宅「パークアクシス柏の葉」の賃料だ。記者は「坪7,000円くらいですか」と尋ねたら、「いえ、地域の相場は7,000円くらいですが、ここは9,000円です」という答えが返ってきた。それほど募集活動を行なっているわけではないが、それでも46戸の入居が決まっているという。入居者は40歳前後の東京勤務のサラリーマン夫婦が中心。
居室そのものは、バルコニーに同社の北海道社有林の間伐材を利用したウッドデッキが敷き詰められているの以外は普通の賃貸住宅だ。にもかかわらず、相場より3割も賃料でも約4割の入居率に上っているのは、街全体の価値が評価されているということだし、それだけの価値があると記者は判断した。
せいぜい坪単価が180万円くらいだった川崎の街を300万円くらいに一挙に引き上げたのと同じだ。単なるビルやマンションだけではなく街全体を創造し、価値を高める展開力はさすがというべきか。
しかし、ひとつ注文もつけたい。賃貸住宅は「礼金」として1カ月分を「イニシャルコストに対するフィーの一部」として徴収していることだ。記者は絶句した。返す言葉がなかった。そのような説明で外国人は「礼金」を納得するのだろうか。「世界に通用するビジネスモデル」のひとつとして「礼金」が通用するとは記者は全然思わない。
「国際交流を促進するシェア型賃貸住宅」は面白い試みだ。全41室のうち27室が先行入居済みだという。26人が10カ国の国籍を持つ外国人で日本人は1人。日本人の少なさに驚いたが、これは一般向け入居募集に先行して東大や千葉大を通じて入居者を募ってきたためで、今後は日本人の入居募集活動を行なうということだった。居室の広さは約18~22㎡で、賃料は7万円台から8万円台。共用LDKやランドリー室、シャワー室付き。
「三井ガーデンホテル柏の葉」は、三井ガーデンホテル初の天然温泉大浴場付きというのが最大の特徴で、地産地消がテーマのひとつにもなっているレストラン「コメ・スタ」もある。記者は宴会もできるシティホテルを期待していたので、やや物足りなさを感じた。菰田社長は「ここから将来上場するベンチャー企業が2桁くらい生まれることを期待したい」と語ったが、そのようなベンチャー企業の経営者や関係者はどこで宴会や飲食を行なうのだろう。つくばEXには宴会ができるホテルはひとつもない。日本橋の「マンダリン」やミッドタウンの「リッツ」は遠い。
「パークアクシス柏の葉」共用ラウンジ
三井ガーデンホテル柏の葉 ガーデンスパ
三井ガーデンホテル柏の葉 レストラン