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 今週の業界紙「住宅新報」と「週刊住宅」は、4月1日付で「宅地建物取引主任者」が「宅地建物取引士」(宅建士)に呼称が変わったことを受けて特集記事を組んでいる。レイアウトは異なるが、紙面内容はほとんど同じだ。同じ業界紙の「日刊不動産経済通信」と専門紙3紙が共同で企画したそうで、広告ではなく記事として3紙が共同戦線を張るのは初めてではないか。

 また、不動産協会、不動産流通経営協会、全国住宅産業協会、全日本不動産協会、全国宅地建物取引業協会連合会の業界5団体の長が一堂に会して座談会を行うのも初めてではないかと思う。国交省土地・建設産業局の毛利信二局長も参加しており、司会役は同省OBの中川雅之・日大教授だ。

 晴れの日にケチなどつける気は毛頭ない。毛利氏が述べたように、宅建士が「名称変更にとどまらず、宅地建物取引士にふさわしい公正・誠実な業務遂行や信用失墜の禁止、宅地建物取引業者の従業員教育など…業界全体の一層の信頼性向上に向けた取り組みがさらに強化され、取引のプロである宅地建物取引士が不動産流通市場の活性化に向け、大きな役割を果たしてくれることを期待している」。

 しかし、主任者から宅建士への〝昇格〟の経緯、これまでの宅建試験制度を考えると、記者は手放しで喜ぶわけにはいかない。昇格はずいぶん前から一部の業界団体が主張してきたことで、中身についてはそれほど論議されてこなかった。

 大学入試ではない。不動産のプロを育成するためなら、試験制度は一定レベル以上の受験者は全て合格にすべきだし、少し足りない人は再チャレンジの機会を与えていいではないか。これまでそのようなことは全く考慮されてこなかった。一定の合格者を確保・抑制することが優先されてきたのではないか。合否の権限は全て実施機関に握られ、受験者はその都度、安全弁のような扱いを受けてきた。

 そのいい例が、大量42万人が受験したバブルの絶頂期の平成2年だ。合格者は近年では最多の約4.4万人に上ったのだが、一方で合格率は過去最低の12.9%にとどまり、合格点も過去最低の26点に抑えられた。試験問題は50問で4肢択一だ。約半分の正答率で合格とは何事だと、当時批判も浴びた。

 その後、合格者はほぼ3万人前後で推移しており、ここ数年は受験者のレベルが上がったのか下がったのか合格点は35~36点の年が多い。宅建士になっても難易度は変わらないようだが、受験者が安全弁のように扱われることのないようにしていただきたい。

 もう一つお願いしたいのは、「宅地建物取引士の名に恥じないよう、魂を入れることが必要」と竹井英久・不動産流通経営協会理事長が強調したように、消費者から信頼される宅建士の育成に力を入れることだ。

 業法の改正を先取りする形で全宅連は「不動産キャリアパーソン」制度を一昨年に立ち上げたという。記者は中身を知らないが、専門知識はもちろん社会常識・品性の教育も必要だと感じている。

 これに関連することだが、同じ号で住宅新報は不動産業者と取引したことがある消費者500人に対してアンケート調査した結果を報じている。「信頼度」の平均値は65.3%だったという。つまり約3分の2だ。これはいかにも少ない。先日、プレハブ建築協会の会合で発表されたハウスメーカーの顧客満足度は70.6%だった。他の業種でもほとんどが70%を超えているはずだ。

 物件そのものの質ではなく、「基本的マナーの不足」「専門知識の不足」など基本的な項目でも問題を指摘されている。これをどう受け止めるのか。

 そうした現状にタイムリーというべきか、この4月から呼称が変わる不動産流通近代化センターは見開き広告を業界紙2紙に出しており、不動産流通の新指標として、宅建士の個人の実務レベルを判定できる「不動産流通実務検定」を開始するという。

 これも結構なことだが、ずっと前から呼称を変更すべきと主張してきた記者にとっては、前述した住宅新報のアンケート結果をみると、複雑な思いもする。やはり不動産業は前近代的なところが残っており、それが信頼につながってこない要因ではないかということだ。

 ここにいたって「近代化」を残せとは言わないが、新しい呼称は「リノベ」「再生」「活性化」「人材」「グローバル」などの手あかにまみれた陳腐化したものではなくて、そしてまたいかにもお役所的な「センター」も取っ払って、不動産流通の「未来」が描けるようなものにしていただきたい。

宅建主任者を宅建取引士に昇格させる意味が全く分からない(2014/4/30)

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「変わる家族と住まい」シンポジウム(すまい・ホールで)

 住宅金融支援機構・JAHBnet・アキュラホームが後援している「住みごこち・住みごたえ・住みこなし推進研究会」(略称:3住研究会、委員長:高田光雄・京大大学院教授)は3月30日、「変わる家族と住まい」をテーマに第1回シンポジウムを行った。200人以上が参加した。

 3住研究会とは、住まい手が一方的に受けるサービス価値である「住みごこち」と、住まい手と住まいが双方向に働きかけることで得られる非手段的価値「住みごたえ」を継続的に作り出す住まい方「住みこなし」と呼ぶことから名づけられた。

 シンポジウムでは、高田氏が「変わる家族と住まい」について解説し、大久保恭子委員(風代表取締役)、園田眞理子委員(名大教授)、野間光輪子委員(日本暮らし代表取締役)がそれぞれ講演。

 大久保氏は、増加する単身世帯の増加で「これからのひとり住まい」はどうなるかを話し、園田氏は多摩地区の郊外戸建て団地を例示しながら「カタツムリ型からヤドカリ型への転換」を訴えた。野間氏は、なぜ京都の高齢者は美しいかについて京都弁で話した。

 「パネルディスカッションでは高田氏がモデレーターとなり、この3氏に檜谷美恵子委員(京都府立大教授)、山本理奈委員(東大大学院学術研究員)が加わりパネルディスカッションを行った。

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高田氏

◇       ◆     ◇

 感動的な講演を行ったのは日本暮らし代表取締役・野間光輪子氏だった。「京都の高齢者はなぜ美しいか」というテーマに偽りはなかった。

 言うまでもないことだが、野間氏が「美しい」と語ったのは容姿のことではない。自立した精神的な豊かさ、品性・品格のことだ。京都は夏暑く冬寒い気候的には必ずしも恵まれているわけではなく、京町屋の家屋はバリアだらけだが、祇園祭が行われる鉾町の人たちはいつも背筋をぴんと伸ばし、四季の移ろいを楽しむゆとりを持っているという。異なる意見・考え方に対しては〝それもおもしろいなあ〟と反発するのではなく、受け容れる心の広さを持っているという。

 なぜなのか。野間氏が語ったのは「京都には『ハレとケ』が生きているんです。『ハレ』とは「晴れ」、つまり非日常の年中行事であり、『ケ』(褻)は日常なんです。京都は祇園祭りという極晴れと四季折々の行事の晴れを中心に大人も子どももそれぞれの世代が自らの役割を認識し、刺激し合いながら生きていくという文化なのです。高齢者も社会的な役割を担っているという誇りを持っているんです。だから美しいんです。鉾町の人たちは『非行少年とぼけ老人はいない』のが誇りなんです」と話した。

 野間氏はまた、「わたしたち日本建築士会連合会の女性委員会が12年前、このような町文化、コンパクト社会が残っている祇園の街を学会で報告したんです。そうしたら、他の会員の方々から『あなたたちは京都を美化しすぎている』と批判を浴びました。『近くに病院がない、高齢者にやさしくない』と。これ、違うんですよね。病院が遠くても梅を眺める、路地を歩くことに喜びを感じる、風景を大事にする街なんです。これが美しいんです」と語った。

 「ハレとケ」は、日本人の伝統的な人生観を表す柳田國男の言葉だが、「メリハリ」も同義語だろう。この日常と非日常を使い分けることが美しく生きるヒントになることを教えられた。

 しかし、「ハレとケ」の文化は京都だけでなく、かつては日本全国に存在したと思う。冠婚葬祭だ。間違いなくわが国は冠婚葬祭がコミュニティを育んできた。いま、このコミュニティを排除する動きがある。マンションの標準管理規約からコミュニティ条項を削除する動きだ。コミュニティは危機に瀕している。

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野間氏

◇       ◆     ◇

 高田氏はシンポジウムの冒頭、「私以外の委員は全て女性。ものすごく極端なジェンダーバランス」と会場を笑わせたが、春爛漫にふさわしく大久保委員は和服姿で登壇、園田委員は見事な白髪で熱弁をふるった。

 大久保氏は普段も和服をよく着るそうで、園田氏は「白くなったのは最近、浦島太郎になっちゃった」と茶目っ気たっぷりに話した。

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左から大久保、園田、檜谷の各氏

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「ポラスシェアード」オフィス内

 ポラスグループのポラスが障がいのある人により多くの働く機会を提供するために「ポラスシェアード」を2月6日に設立し、3月16日から事業を開始した。どのような職場で、何を目指すのか興味があったので取材した。責任者のビジネスサポート課課長・加知方真美子氏は「助走段階を経て第一歩を踏み出せた。親(ポラス)から自立し、利益が出る会社にしたい」と語った。

 ポラスグループは、これまでも障がい者の雇用促進に努めてきたが、より多くの障がい者の能力が発揮できる環境や安心して働ける場を恒常的に提供するためには、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)に基づく特例子会社を設立することが最善と判断し、新会社を設立した。

 新会社は20名(うち17名が障がい者)でスタート。県内からの通勤者が約7割で、残りは東京都と千葉県など。

 当面はオフィスサポート業務を中心に、住宅メーカーならではの図面作成補助(色づけや製本など)や設計での通風計算などを考えているが、それぞれが補完し合い多種多様な仕事を確保していきたいとしている。

 障害者雇用促進法では、従業員50名以上の会社は、障がいがある従業員を従業員全体の2%以上雇用することが義務付けられているが、障害者のための特別な配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、その子会社に雇用されている障害者を親会社や企業グループ全体で雇用されているものとして算定できる特例が設けられている。

 平成26年5月末現在、特例子会社は全国で391社あり、住宅・不動産関連では三井不動産、長谷工コーポ、レオパレス、大和ハウスグループなどが設立している。埼玉県は21社で、同社が認可されれば越谷市で初となる。

◇       ◆     ◇

 記者もそうだが、ほとんどみんな障がいのある人が身近にいる。厚労省のデータによると、身体障害者は366.3万人(人口千人当たり29人)、知的障害者は54.7万人(同4人)、精神障害者は320.1万人(同25人)で、およそ国民の6%が何らかの障がいを有している。

 この数字は、法律や制度によるもので、「障害」の定義にも問題がないとは言えず、データに表れない人を含めるとその数倍はあるのではないか。例えばOECDのデータ。「過去6カ月間に健康問題や障害がある」と答えた稼働年齢(20~64歳)の障害者割合は20カ国平均で14%あり、もっとも高いスウェーデンは20.5%に達している。もっとも低いのは韓国で3.0%。わが国にはそんなテータはないが、「あなたは何らかの障害を抱えていますか」と聞かれたら、どれだけの人が「ノー」と答えられるか。そんな疑問を抱きつつ、これからのマンションやその他の取材にも生かそうとも考え、同社の取材に出かけた。大正解であった。

 加知方氏は、「代表(中内晃次郎氏)とは30回は話し合った。思いは一緒。障がいを持っている人がそれぞれの技術を生かし、カバーしあい、働き甲斐が持てる職場にしたい。現在、30業務を行っている。下請けではなくパートナーとして評価してもらえる会社に伸ばしたい」と語った。

 その加知方氏が「私のパソコンの師匠」という、同社が請負った注文住宅の顧客にプレゼントする図面作成の補助を担当している瀬谷裕太氏(22)は、「工業・情報系の高校を卒業しているので、CADの操作は学んでいたが、建築CADは初めてだった。最近は慣れてきたが、表紙も全て手作りなので1冊作るのに約8時間。将来はデザインの仕事にチャレンジしたい」と話した。昨年、住んでいた吉川市から草加市に移り一人暮らしを始めたそうだ。

 もう一人、車椅子利用の社員からも話を聞いた。その社員は、電車を利用する場合、エレベータのない駅もまだ多いこと、あっても遠回りをしないと利用できないなどの現状の改善を訴えた。

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瀬谷氏(左)と加知方氏

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 「障害」の漢字表記は差別的であることから「がい」とひらがな表記をするところが増えている。記事も双方を使い分けた。

 そこで、いろいろ調べてみた。昭和20年に施行された「障害者の雇用の促進等に関する法律」でも「障害者」が用いられているが、「害」が使用されたのは戦後からで、戦前は「障碍」が用いられていたようだ。

 「碍」は「さまたげる」という意味があり、1919年に設立された絶縁体メーカー「日本碍子」も「碍」が用いられた。「害子」では具合が悪いのだろう。商号は現在も「碍子」が用いられているが、1989年に社名表記は「日本ガイシ」に変更されている。ホームページでは「碍子」ではなく、ひらがなの「がいし」表記も多い。

 「障碍」と「障害」のどちらがいいか分からないが、「障害」と「者」をくっつけて「障害者」とするから問題が生じるようにも思う。「障害」は「持つ」のか「ある」のか「受ける」のか「抱える」のかで微妙に意味も異なってくる。言葉を乱暴に扱ったからこそその反動が表れてきているのではないか。「障害」を英訳すればすぐ浮かぶのは「barrier」だし、「障害者」よりまだ「handicapped person」のほうがすんなり受け入れやすい。中国語では「残疾人」と呼ぶそうだ。

 この呼称の問題も含め、健常者と障がい害が共存するインクルージョンの考え方が世の中に浸透するよう企業もわれわれサラリーマンも考えないといけない。同社には、障がい者の立場から戸建てやマンションの商品企画にユニバーサルデザイン(UD)提案がされることを期待したい。

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「イニシア大井町」エントランス(完成予想図)

 コスモスイニシアが4月上旬に分譲する「イニシア大井町」を見学した。JRの大井町駅と大森駅、京急立会川駅の3駅が利用可能で、AsMamaとコラボした「子育てシェア」、新しいデザイン提案「next40」、「ホームデコレーションサービス」など商品企画が秀逸だ。

 物件は、JR京浜東北線大井町駅から徒歩14分、同線大森駅から徒歩12分、京急本線立会川駅から徒歩8分、品川区南大井五丁目に位置する7階建て全47戸、専有面積は54.29~82.43㎡、価格は未定だが、坪単価は290万円になる模様。竣工予定は平成27年8月下旬。施工は淺沼組。

 まず、アクセス。大井町駅を利用するとやや距離はあるが、立会道路(緑道)を通っていけるので、車と出会うことは少ない。大森駅からでも線路沿いの舗道を通っていける。現地は準工エリアだが、嫌悪施設はほとんどない。

 商品企画の特徴は、第一に「子育てシェア」を利用できること。これは送迎・託児を顔見知り同士で頼り合うネット「子育てシェア」を運営するAsMamaの協力で、急な残業や電車の遅延など子どもの迎えができない場合、近所の顔見知りに1時間500~700円で代行してもらうサービス。登録料などは不要で、ママサポーターによるバックアップ、入居交流イベントによるサポート、専用コミュニティサイトによる情報交換もできる。

 第二の特徴は、アンティークとモダンを調和させた新しいデザインへの意欲的な試みがみられること。モデルルームではリビング床に無垢材を使用しているほか、建具・家具・壁材などは本物と見まがうような質感・手触りがあるものを採用。デザイン意匠も白を基調にしながら黒やその他の色をアクセントカラーとして巧みに処理している。

 もう一つは、玄関壁面・クロス、キッチンカウンター、リビングダイニング壁面、洋室壁面など5つのデザインサービスを無償(有償もあり)で選べることだ。

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モデルルーム(リビング・キッチン)

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リビングと一体利用できる洋室

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 このマンションを見学することになったのは、同社の投資用賃貸「向島5丁目」を見学した際、デザインを担当したアクシスの皆川雄一氏らと歓談し「大井町でも新しい試みをしているので見ていただきたい」と勧められたからだ。

 その収穫はあった。床材や壁面に本物の無垢材やタイル、レンガが用いられているのだが、クロスなども見た目には本物と見まがうものが使用されていた。ニューヨークのホテルACEのデザインを参考にしたというが、その本物志向のデザイン空間にほれ込んだ。

 「子育てシェア」も面白い試みだと思う。マンションでは初めて採用されるということだが、子どもの送迎を頼む人の素性がはっきりしており、保険にも入っているというから安心だ。今後、他社も採用すればもっと広がりを見せるのではないか。

 アクセスと価格について。記者は大井町駅から現地に向かった。立会緑道はこれまでもマンション見学で通ったことがある。写真はその際、道端に咲いていた草花をつまんで撮ったものだ。白い花はハナニラとユキヤナギ、黄色はタンポポとノゲシ、紫色はムスカリと写真には写っていないがオオイヌノフグリも採った。このマンションに住むと、春先には数十種の草花をめでることができる。

 価格はこのようなものだろう。大井町駅圏なら軽く坪300万円を突破すると思ったが、駅からの距離を考えると坪300万円は厳しいと読んだ。

 立て続けにコスモスイニシアのマンションを見たが、今回は47戸の小さな規模だが、しっかり造り込みを行っているのが嬉しかった。いま同社がもっとも輝いているデベロッパーではないか。

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記者が緑道で摘んだ草花。同社のプロジェクトマネージャー稲留めぐみさんがモデルルームで撮影(赤い花は名前を知らない)

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選手村 完成予想図

 東京都は3月27日、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会選手村及びレガシー検討に係る事業協力者」として三井不動産レジデンシャルを代表とする13社からなる「2020 晴海Smart City グループ」に決定したと発表した。今年1月に募集開始されたが、応募があったのはこのグループのみだった。

 構成会社は、三井不動産レジデンシャル、エヌ・ティ・ティ都市開発、新日鉄興和不動産、住友商事、住友不動産、大和ハウス工業、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井物産、三井不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス。

 今後は、知事をトップとする「東京オリンピック・パラリンピックレガシー委員会」や地元などの意見を踏まえ、検討を進め、平成27年度に事業計画を策定する。計画では約13.4haの敷地に5,950戸の特定建築者によるマンションが建設される予定。今回選ばれたグループは、特定建築者の選考において評価の対象となる。

◇     ◆   ◇

 記者は、都が事業票力者を募集した段階で、どこが応募し、選ばれるかを予想した。予想は◎三井不動産(積水ハウス)○三菱地所▲三井・三菱・住友(2社も含む)△住友不動産△その他-とした。

 結果は、大手デベロッパー6社と大和ハウス工業、エヌ・ティ・ティ都市開発、新日鉄興和不動産のマンション供給上位社、それと住友商事、三井物産の商社2社が加わっている。予想では「各社が単独で応募する可能性は小さく、コンソーシアムを組む」とし、「『SKYZ』『BAYZ』の再現もある」と書いたが、ほぼその通りとなった。意外なのは積水ハウスが漏れていることだ。

オリンピック選手村都が事業協力者募集どこが選ばれるか(2015/1/26)

 

 

 

 大和ハウス工業は3月27日、ワークライフバランス(WLB)支援のため65歳以降も勤務可能な「アクティブ・エイジング制度」と介護が必要な親を持つ社員の帰省旅費を補助する「親孝行支援制度」を4月1日付で導入すると発表した。

 「アクティブ・エイジング制度」は、年齢制限を設けていないため、労働意欲があり、一定の業績が認められるシニア社員については年齢の制約にしばられることなく、勤務を継続することが可能となる。雇用体系は嘱託雇用で毎年更新、給与は20万円/月、週4日勤務(週休3日)など。同社は現在、60歳~65歳のシニア層(394人)を正社員として継続雇用している。

 「親孝行支援制度」は、遠方に介護が必要な親をもつ社員の経済的負担の軽減を図るため、年4回を上限に、帰省距離に応じた補助金(1.5万~5.5万円/回)を支給するもの。同社は2012年4月から期限の上限がない介護休業制度を導入しているが、転勤などにより遠方に介護が必要な親をもつ社員は、親元に何度も帰省しなければならず、旅費負担が足かせとなっていたという。

 

 国土交通省は3月26日、東洋ゴム工業の免震材料の大臣認定不適合問題について、同社から「55棟全ての建築物について、震度5強程度の地震に対して十分な耐震性を有しており、倒壊するおそれはない」との報告があったと発表した。

 同省はこの結果を踏まえ、「震度5強程度の地震に対して十分な耐震性を有しており、倒壊するおそれはないことについて確認」したとし、「55棟以外にも大臣認定不適合の免震材料を用いた疑いがある建築物について、至急全容を解明し、事実関係を報告すること」などの指示を出した。

◇     ◆   ◇

 今回の発表により、震度5程度の地震に対しては問題がないとされたのは不幸中の幸いといえるかもしれないが、この調査結果は欺瞞だ。

 そもそも新耐震基準は震度6~7程度の地震では倒壊しないというものだ。その基準を満たしているのは当然だ。同社の報告で「うち17棟については、震度6強から7程度の地震での検証により震度5強程度での地震での検証を省略」というのは論外。残り38棟は旧耐震基準で検証を行なったということか。そうであるなら、これはあまりにも人を馬鹿にした検証だ。デベロッパーもユーザーも倒壊しないのはもちろん、揺れが軽減されるという安心・安全に高いお金を払っているのだ。

 検証すべきなのは、震度6~7程度の地震で免震装置としての機能が保たれるのかどうかということだ。徹底して行なわないと、免震マンションの信頼性は土台から揺らぐ。

 

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「AQレジデンス」

 アキュラホームは4月4日(土)から「AQレジデンス」を発売し、高級住宅市場に参入する。日本の伝統的な知恵と最先端の技術、大工、左官、庭師など各界を代表する匠の知恵を結集する。

 「AQレジデンス」プロジェクトには、庭師・比地黒義男氏、大工職人・杉本広近氏、左官職人・久住有生氏が参画している。

 価格は4800万円(205㎡)からで、市場価格より約3割安(同社調べ)で提供する。

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「AQレジデンス」瀬田展示場

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完成した豊島区庁舎と「Brilliaタワー池袋」

 建築家の隈研吾氏がデザイン監修した「Brilliaタワー池袋」と「豊島区庁舎」の一体開発「としまエコミューゼタウン」が完成し、公開されたので見学した。

 約810㎡もある里山というべき庁舎屋上の「豊島の森」や総延長約130mのせせらぎを設けた4・6・8階のグリーンテラス、見る角度によって表情が変わるルーバー、国際会議も可能な格子が美しい議場、日本最大規模のふくろうコレクション、回廊美術館など見どころ満載。豊島区が誇れる新名所になりそうだ。

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◇       ◆     ◇

 「Brilliaタワー池袋」を2013年の「ベスト3マンション」に選んだのは正解だった。坪単価が350万円の高値だったにもかかわらず圧倒的な人気を呼んだが、ユーザーの見る目は正しかった。今となっては坪450万円どころか500万円の価値はある。

 庁舎の壁面にランダムに貼り付けられているブラウンのルーバーはやや濃すぎるし、太陽光パネルが乱反射し雑多なものを映し出す外観は美しいとは思えないが、外周に植えられているケヤキ、シラカシ、サクラなどが成長すれば隈氏が企図した「樹木のような庁舎」になるのではないか。

 圧巻は「ランドスケープ・プラス」社がランドスケープデザインを担当した「豊島の森」と外周を流れるせせらぎだ。立派な屋上庭園はたくさんあるが、せせらぎを建物の外周に巡らすというものは記者の知っている限りでは今回が2例目だ。滝の音の演出もある。建物全体の管理維持費は5億円、このうち植栽関係だけで6,000万円を想定しているようだが、それだけ経費をかける価値は十分ある。

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「豊島の森」

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「グリーンテラス」(ベンチもあるので足水が可能なのか)

 アトリウム、吹き抜け、議場などあらゆるところに用いられている格子ルーバーもまた心憎いほどの工夫が凝らされている。吹き抜け空間「エコヴォイド」に用いられているルーバーは長さが異なる3種類のものを等間隔に張り付けてあり、正面から見ると縦のラインが規則正しく並ぶのだが、移動するごとに表情が変化していく。アトリウムの壁面はL型ルーバーの貼り付け方を変えることで陰影に変化をつけている。隈氏がよく好む工夫だ。

 アルミ手すりや壁面・ドアなどのカラーリングにも気を使っており、えも言われぬ色が用いられている。侘び寂びの世界だ。議場の壁面と区長執務室は布クロスが採用されていた。

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エコヴォイドのルーバー(左)とアトリウムのルーバー(長さが異なり貼り付け方が異なる)

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正面から見たルーバー(左)と斜めから見たルーバー

 故松浦千誉氏が所蔵し、区が平成22年に寄贈を受けた6,680点と区が所有する13,253点を展示する「ふくろうコレクション」も区民に親しまれそうだし、アトリエ村で知られる豊島区美術家協会会員100名の絵画なども廊下などに展示されている。

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ふくろうコレクション

 唯一と言っていいくらい見劣りしたのが男子用のトイレ。民間は最新のものを採用するところが増えているが、ここは極めてシンプルというか並み以下だった。女性用のトイレは見なかったが、女性用だけ豪華ということはありえない。

 しかし、新庁舎は「歌舞伎座と一緒、クマさんがデザインしたんでしょ。区民の誇りになる」と見学した区民が話したように、区の新名所になるのは間違いない。区のイメージを変えるかもしれない。

 新庁舎の専有面積は約26,000㎡。このうち約11,000㎡を市街地再開発建物の床として区が取得。不足分は再開発組合から購入。この購入資金を確保するため旧庁舎敷地と公会堂・分庁舎敷地を定期借地権で民間に貸し付ける。

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議場

記者が選んだ2013年ベスト3マンション(2013/12/26)

 

 

 

 近鉄不動産は4月2日、「法人営業センター東京」を開設する。投資用および事業用不動産の取扱いやリーシングも含めた首都圏の収益拡大を目指すもので、既存の「近鉄の仲介新宿営業所」(東京都新宿区)を増床し、新たに法人営業部門を設置する。

 「法人営業センター東京」は東京メトロ丸ノ内線・副都心線・都営新宿線新宿3丁目駅から徒歩2分。新宿2丁目5番10号 成信ビル9階(「近鉄の仲介新宿営業所」隣接)スタッフは担当部長2名、所長1名含む計8名。

 

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