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 帝国データバンクは12月15日、黒川紀章建築都市設計事務所が12月15日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けたと報じた。負債額は12億円。

 同データバンクによると、2007年10月に黒川氏が死去してからは、長引く不況の影響などによる受注が減少、設計料の回収不能が重なったことなどから財務が悪化し、法的手続きにより再建を図ることとなった模様。

 同社は1962年(昭和37年)4月、国際的な建築家として知られる故黒川紀章氏が創業。黒川氏は京大を卒業後、東大大学院工学研究科建築学専攻修士課程へ進学。丹下健三研究室に所属し指導を受ける。東大在学中に同社を設立した。

 1986年、フランス建築アカデミーゴールドメダル、1989年、世界建築ビエンナーレ・グランプリ・ゴールドメダル、1992年、日本芸術院賞(奈良市写真美術館)など受賞。国内外の著名な建築物を数多く手がけた。

 1983年に女優の若尾文子氏と結婚。2007年の東京都知事選、同年の参院選に出馬したが落選。バラエティ番組へ数多く出演するなど話題を呼んだ。

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 住宅の設計では、1972年の中銀カプセルタワーがよく知られており、ダイア建設の新潟のマンションも手がけた。遺作となったマンションは東京建物「Brillia鎌倉御成町」とクレアスライフ(現在は住友不動産)「コンシュリア西新宿」。

黒川紀章氏&マーク伊東氏 東京建物が鎌倉で億ション(2007/10/12)

故・黒川紀章氏の〝遺作〟の一つ クレアスライフ「コンシェリア西新宿TOWER'S WEST」(2008/2/26)

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スウェーデンから来日した左からアンダッシュ氏、パトリック氏、ミカエル氏

 スウェーデンハウスは12月15日、本場スウェーデンハウスから技能者3名を招へいし、10月8日から12月21日まで工事現場の指導・確認に当たらせ、交流も行ったと発表した。

 木造住宅分野では、外国から高度な技術者を招くのは前例がないため難航したが、法務省の理解を得ることで実現したという。

 会見で挨拶した同社取締役執行役員営業本部長・鈴木雅徳氏は、「今年グッドデザイン賞を受賞した当社独自の『木製サッシ3層ガラス網なし防火窓』が断熱性でも快適性でも評価されたが、わが国の省エネ・快適性の基準は世界から立ち遅れている。今回、スウェーデンから技術者を呼んだのは、現場での施工精度を高めることで、もう一度原点に立ち返り、わが国の気候・風土にかなった住宅の開発につなげていく」とその狙いについて話した。

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鈴木氏

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 3カ月の期間限定で同社社員として来日したのはそれぞれ大工経験があるアンダッシュ・オスミール氏(49)、パトリック・モンフェルト氏(44)、ミカエル・アルム氏(26)。

 3人に日本の住宅のデザインなどについて聞いた。通訳を介して返ってきたのは、①四角い住宅が多い(経済設計が多いということか)②屋内が寒い③グレーの色の住宅が多い。色を付けてほしい(これは国民性もある。スウェーデンハウスは派手すぎないか)④家具が置きにくい間取り⑤木造が少ない(鉄やコンクリート住宅が多いということ)-などだった。

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 記者は3人の中でもっとも茶目っ気のある独身のミカエル氏の登場に驚いた。全世界で大ヒットしたスウェーデン作家のスティーグ・ラーソンの推理小説「ミレニアム」がまたまた蘇ったのだ。

 最初に驚いたのは2012年の1月(別掲の記事参照)。何と「ミレニアム」の主人公・ミカエル・ブルムクヴィストと同姓同名のイケアのPresident &CEOが登場したからだ。

 そして今回。小説のミカエルは40歳代だから、年齢はずっと若いが同じ名の「ミカエル」だ。ミカエル氏は「渋谷で食べた神戸牛がおいしかったが、日本の料理は和食だけでなくすべてレベルが高い」と話した。

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左からミカエル氏、アンダッシュ氏、パトリック氏

スウェーデンハウス「SAKITATE interior desingned by イケア」(2012/1/16)

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「住生活総合サービスの需要の明確化に関する研究」研究報告会(TKP八重洲カンファレンスセンターで)

 マンション管理業協会(管理協)は12月14日、「『住生活総合サービスの需要の明確化に関する研究』研究報告会」を行った。同研究はA4判150ページにのぼるもので、筑波大学教授・花里俊廣氏を代表とする研究グループが管理協から受託されて、マンションの管理組合のコミュニティとしてのあり方や管理会社が行う問題解決などについて役割や意義、有用性を明確にしてまとめたもの。昨年発刊された「『マンション管理における顧客需要の明確化』に関する研究」(A4判130ページ)に次ぐもの。会員会社、マンション管理組合、一般等から約60名が参加した。

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花里氏

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 管理協は別掲のように11月26日にも有識者への研究委託を進めている「マンション管理業の将来展望に関する研究」(代表研究者・大橋弘東京大学大学院教授)のうち、平成25年度に実施した「マンション管理業の実態調査 結果報告書No.2」(A4判、94ページ)が刊行したのに伴う調査結果報告会を行っている。

 原稿量はA4で464ページ、400字原稿用紙にして約1,630枚。長編小説数冊分だ。研究に関わった大学の先生は7名。2年間でこれほどの量で、しかも、マンション管理の現場担当者や購入者へのアンケート・聞き取りを行い過不足なくまとめたものはおそらく過去にないはずだ。マンション管理の〝バイブル〟として今後研究者や管理の現場で読まれると確信する。

 記者もすべて読んでいるわけではないので、ここで一つ一つ紹介できないが、興味のある方は管理協・電話03-3500-2721へ問い合わせていただきたい。無料というわけにはいかないだろうが、実費で購入できるはずだ。

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 今回の報告会でとくに記者が注目したのが、日本工業大学建築学科准教授・佐々木誠氏が担当した「コミュニティサービス:コミュニティの価値とサービスのニーズ」に関する論文だ。33ページにのぼりコミュニティの定義から視点、価値、支援サービスの可能性まで踏み込んでいる。ここまでマンションのコミュニティに踏み込んだ論文はまず過去にないはずだ。

 コミュニティの価値と評価については、多様なニーズがあることから例えば数値的に示すのは難しく、「中古の不動産情報へのコミュニティ情報の新設」提案は「断念」せざるを得なかったと佐々木氏は語ったが、新たなコミュニティサービスの提案はマンション管理組合-居住者-居住者複合体-マンション自治会が何らかのきっかけで複合的に結合し、単なる単棟のマンションだけではなく地域を巻き込んだより高次の地縁コミュニティの社会的意識化が可能となるとしている。

 花里氏は、様々な分析手法を用い、耐震改修を行った江戸川区のマンションは70㎡平均で139万円/戸(坪6.5万円)高く取引され、耐震改修に200万円/戸かかるとすると、公的補助が3分の1くらい出るので。元が取れると報告した。

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佐々木氏

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 花里教授をはじめ研究に携わった方々の講義をいちいちごもっともだとうかがった。花里氏の報告については中古市場がいま一つよく分からないのでコメントは保留する。新築市場は、その時々の市場が判断するので、質の高い・単価が高いマンションが売れるわけではない。

 一つだけ記者のくりごとを聞いていただきたい。管理会社だけではないマンション業界全体の「問題解決に取り組む姿勢」の問題についてだ。わが業界は「問題解決」に対していつも後ろ向きで、それが販売促進につながるかどうかという視点でしか考えてこなかったのではないかと思うからだ。

 そのいい例がマンションマナーだ。現在、「ペット飼育可」は常識になっているが、各社が「ペット飼育不可」から「可能」にしたのはせいぜいこの10数年前のことだ。バブルが崩壊しマンションの売れ行きが悪化していたときに、販促の手段として各社が採用したのがはじまりだ。記者はそれ以前に、「ペット飼育を認めるべき」と大手の管理会社に取材というより直談判したが、ほとんど門前払いだった。

 「ペット不可」から「ペット可能」へ180度の転換を図ったのと真逆の転換を図ろうしているのが、人権を無視するような禁煙ルールの規約化だ。

 ここ数年、デベロッパーは専用使用権があるバルコニーを含めてマンションの共用部分での禁煙条項を原始規約に盛り込むようになった。

 平成14年に施行された健康増進法が法的な根拠になっており、医学的根拠が希薄でもあるにも関わらず、タバコを吸わない人より吸う人のほうがガンの発生率が高いなどとする疫学的な理由でもって、そしてそれだけでは説得力がないとみると「受動喫煙」を持ち出して吸わない人の恐怖心をあおり、さらには「タバコのポイ捨て」などという理由にもならない理由を持ち出して、有無を言わさず禁煙に乗り出した。記者はこれが怖い。タバコも酒も嫌ったヒトラー的発想ではないか。

 ペットを飼う人も飼わない人も、タバコを吸う人も吸わない人もそれぞれの権利を認めあい共存するのが民主主義であり、集合住宅でのルールであるはずだ。一方の側の権利のみを振りかざすのでは絶対に快適なマンションライフは保障されない。

 マンション管理会社は、親会社のマンションデベロッパーのこの暴挙に何ら反抗しない。そのような業界団体が、本気で「コミュニティサービス」を実践するかどうか注視したい。

 もう一つは、マンションの「コミュニティ」についてだ。

 今でこそデベロッパーは「コミュニティ」の大切さをアピールし、支援の取り組みを活発化させているが、以前はそうでもなかったし、最近は〝販促の手段〟としての意図が見え隠れする。本気度が試される。コミュニティ支援活動が正当に評価され、フィーとして報われるのが理想だと思う。佐々木氏が研究論文に記載することを断念した「中古の不動産情報へのコミュニティ情報の新設」はどこか実施に踏み切ってほしい。

 さらに、マンションの「自治」「管理組合」について。

 かつて戦前の自治会・町内会は戦争推進の役割を担わされた歴史がある。今でも地方自治や大学自治をめぐっては国などの干渉、支配が問題になるケースが少なくない。だから「自治」に対して政治的な匂いをかぎ、嫌悪する人もいるのではないか。記者は英語嫌いだが、英語ではself‐government、あるいはマンションなどの集合住宅の自治会などはresidents' associationと訳されるのだろうが、自らが治める-なかなかいい和訳だ。

 「管理組合」もまたしっくりこない言葉ではないか。「組合」という語彙はわが国にはなかったのではないか。「結」とか「講」に戻せとは言わないが、すんなり受け入れられる気が利いた言葉はないのか。

マンション管理協が「管理業の実態調査」 将来展望に明かり灯る(2014/11/27)

強まるバルコニーでの禁煙 「共同の利益」に反しないのか(2014/9/27)

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”「プラウドシーズン府中天神町」

 野村不動産は12月12日、同社の次世代環境ビジョンを見据えたプラウドスマートデザイン「SMART&GROWING」を進化させた“スーパーパッシブ住宅”「プラウドシーズン府中天神町」の記者見学会を行った。「センターボイド」「インナーテラス」の二つの提案を行っているのが特徴。

 物件は、京王線府中駅から徒歩18 分、または武蔵小金井駅行きバス約5 分徒歩3 分、府中市天神町1丁目に位置する全6棟。敷地面積は114.26~114.27㎡、建物面積は101.40~116.79㎡、価格は未定だが、6,000万円台の後半が中心の予定。構造規模は木造(2×4)2 階建て。設計・施工は西武建設。入居予定は平成27年3月下旬。

 新しい提案は「センターボイド」「インナーテラス」の二つ。センターボイドは、階段室を家の中央に配置し、2方向に天窓を設けることで風と光の通り道となる機能を持たせたもの。

 インナーテラスは、住宅の南側に約2.5畳大の空間を設け、蓄熱・蓄冷効果のある床材・壁材を使用することで、冬場は日中の太陽光の熱を蓄え、夏場は遮熱した風を各居室に送る。YKK APの新商品である日射遮蔽引き戸ルーバーを南側窓に設置する。

 それぞれの提案をより効果的に発揮させるために採用しているのがLIXILの「通風建具」。すべての居室ドアと引き戸に採用。ルーバーは手動で簡単に開閉する。

 基本設計は、パッシブデザインの第一人者である首都大学東京大学院・小泉雅生教授と小泉アトリエ。2014 年5 月から実際の建物の中で通風・採光・温湿度環境の調査、暮らし方によるエネルギー使用量変化の調査を行ない、効果が高いとして今回採用する。引渡し後も居住者とともにパッシブの効果測定や座談会、住み心地アンケートなどを実施し、そのデータや声を今後の商品企画に生かす。

 モデルハウス案内会は12 月13 日(土)から開始し、2015 年1 月に販売する予定。

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インナーテラスを設置した住宅

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日射遮蔽ルーバー(左)と2階から見たインナーテラス

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 パッシブデザインの提案は各社が行っており、高窓やインナーテラスの提案もそれほど珍しいものではない。間違いなく室内温度を外気温度より1~3℃くらいは上げたり下げたりすることができるはずだ。

 いったい通風建具のルーバーを誰が開けたり閉じたりするのかという問題もあるが、環境問題に関心のあるユーザーは嬉々として実証実験に取り組むはずだ。

 ひとつだけ言わせていただければ、外付けの日射遮蔽ルーバーのデザインがいま一つだ。防犯効果も期待できそうだが、いかにも侵入を防ぐ装置だぞと見せつけるような印象を受けた。サッシにはLow-E複層ガラスを採用しているのだから、そこまでやる必要があるのかどうかとも思った。

 同社は日射遮蔽ルーバーの代わりに「すだれ」でも実験したそうで、それだと同じくらいの効果はあるのだが、部屋が暗くなり住宅のデザイン・街の景観も変わるのでやめたという。

 なかなか難しい問題だ。デザイン・景観を優先させるなら何もないほうがいい。

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ルーバーつきドア

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高窓

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「土屋さん お別れの会」(京王プラザホテルで)

 旭化成ホームズと旭化成建材は12月12日、去る9月15日に亡くなられた元旭化成ホームズ社長・会長の土屋友二氏(享年78歳)の「土屋さんお別れの会」を行った。旭化成ホームズ・池田英輔社長、旭化成建材・前田富弘社長、喪主・土屋雍子さん、旭化成・浅野敏雄社長、旭化成・平居正仁副社長(前旭化成ホームズ社長)ら関係者約400人が別れを惜しんだ。

 池田、前田両社長連名の「ご挨拶」には、「日頃の行動は常に飄々として軽快であり、いつもふらっと職場に現れては、『おい、最近どうや』と気軽に社員に声を掛け、議論の中では『それは、ごもっとも、ごもっとも』などと会話のはずむ軽妙洒脱で気さくな方でした。

 大の阪神ファンで職場の中の『猛虎会』の重鎮であり、また、無類のお酒好きでもあり、公私さまざまな場面において皆様から愛され、慕われる存在でありました」などと土屋氏の人柄が紹介されていた。

 土屋氏は和歌山県出身で昭和34年、東大卒。同年、旭化成入社。旭化成ホームズ社長・会長、旭化成建材副社長、、旭化成副社長などを務め、旭化成グループの多角化に貢献された。

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 記者は次の取材が控えており、献花の後すぐ帰らざるを得なかったのだが、会に参加されていたお二人の方に話を聞いた。紹介する。

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堀井氏

 元旭化成ホームズ執行役員・堀井慶一氏(62) 土屋さんには私が野球部の監督のとき10年間くらい部の名誉顧問になっていただいた。当時、会社の売上目標を5,000億円に置いていたこともあり、ユニフォームの背番号は『チャレンジ5000』でした。初優勝した平成9年にはヒルトンホテルで行った祝勝会にも出席していただいた。今年の夏にはOB戦を石神井公園でやることになっていて、土屋さんも楽しみにされていた。当日は悪天候のため中止になったのが心残り。土屋さんは和歌山出身ですから大の阪神ファンでした

 (堀井氏は同社野球部の初代監督。最初は強豪に歯が立たなかったが、平成9年に初優勝すると翌年も優勝。しかし、11年は優勝を逸したことから馘首された。営業マン時代は、3期連続全国優勝、年間成約件数37件、5年10カ月で100棟成約などを達成し〝伝説の男〟と呼ばれた。この記録は昨年破られるまで30年間くらい保持し続けた。若いときは、朝方まで飲んで山手線の始発から3周(1周は約1時間)して会社に出社したのもしばしばだったという)

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大串氏

 元旭化成陸上部監督&アジア大会金メダリスト・大串啓二氏(80 土屋君とは同期。彼は東大だったが、僕は筑波大(当時は東京教育大)。大学を卒業して教師をやっていたが、旭化成が静岡県富士に工場を建設し、陸上と野球部も創部するから来ないかと誘われて入社した。土屋君とは一緒に仕事をしたことはないが、富士、延岡、本社勤務など73歳まで51年間勤めた。野球部は静岡は強豪ばかりでなかなか勝てなかったが、陸上は強かった。しかし、最近は弱くなっちゃった。いいコーチがいなくなった。長距離は宗兄弟がいい見本。しっかり鍛えれば強くなるんだが…

 (大串氏の名刺には日本陸上競技連盟顧問、日本マスターズ陸上競技連合名誉副会長、筑波大学陸上競技0B OG会会長などの肩書がついていた。現役のころは400mハードルの日本代表でメルボルン、東京、ローマのオリンピック3大会に旭化成の社員として出場。1962年のアジア大会では金メダル。国体では10年連続優勝。最高記録は51秒2だそうだ。大串氏は「いまのような全天候型じゃないよ。昔は土。記録は2秒くらい違うはず」と話した。同競技の日本記録は為末大氏の47秒89」)

RBA常勝軍団生みの親 旭化成ホームズ元会長・土屋友二氏が死去(2014/9/19)

 大京が12月11日、会社設立50周年を迎えたのを機に、大京グループ各社の情報をメディア向けに発信するニュースレターを定期的に発行するとし、その第1号(全5ページ)を発信した。

 1面トップは山口陽社長の「設立50周年を迎え、今後の展望を語る」と題したメッセージ。マンション事業は経済環境の影響が大きいため、フロー(開発)、ストック(管理・流通)の両輪経営を掲げ、業界最大の51万戸超の受託管理戸数を活用した大規模修繕分野に積極参入すると語っている。

 2面では、マンションの供給量か8,262棟に達し、居住者は109万人、管理戸数は51万戸など同社の実績を掲載。モデルルームを使用した販売は1976年の「ライオンズマンション大森」が業界初で、「宅配ボックス」「オートロックシステム」を採用したのも同社が最初としている。また、ライオンズマンションの象徴でもある「ライオン像」は地域によってデザインが異なり、沖縄では「シーサー」に変わることも紹介している。

 3~4面は同社グループの最近のトピックで、5面は50年の歴史の年表。4面にはグループ経営企画部の女性課長(40歳)の〝奮戦記〟が紹介されている。

 これが面白い。「家でも『ソファーに座ってゆっくりする時間は週に5分もない』という忙しさ」「同性に理解されないことは度々…」「普段はあまり男社会を意識することはないですが、改善案など聞き入れてもらいやすいのは女性の強みかもしれません」「社内でもワーキングマザーのロールモデルとしても期待されているが、『両立の秘訣や苦労? 私、実はあまり苦労したと思っていなくて…』」などと率直に語っている。

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 広報は会社の顔だ。このような情報発信はどんどんやるべきだ。今回のような内容なら一般の人向けでも読まれるのではないか。「ライオン像」が地域によってデザインが異なり、モデルルームによる販売手法を採用したのは同社が初めてというのも記者は知らなかった。

 第2号が楽しみだ。

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「(仮称)大手町一丁目地区計画」完成予想図

 三井物産と三井不動産は12月11日、三井物産本社の建て替えと三井物産・三井不動産が共同で建築する大規模複合開発「(仮称)大手町一丁目地区計画」の整備方針を発表した。

 計画地は、三菱地所などが整備を進めている「(仮称)大手町1-1地区」(22階建て・29階建て、延べ床面積約25万5,000㎡)に隣接し、大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアでは最大級の敷地面積2万平方メートルを超える開発事業。ビジネス機能のほか賑わいの創出と国際交流機能の強化を図り、皇居に面した立地ならではの緑豊かな環境を更に魅力づける空間の形成、エリアの業務継続(BCP)機能と防災対応力の向上を目指す。

 大手町エリア最大規模となる緑地空間を含む約6,000㎡の広場を整備し、約1,500㎡の多目的ホール・ホワイエを設けることでビジネス交流・国際交流機能を強化し、ラグジュアリーホテルも誘致する。また、地下鉄コンコースから皇居・竹橋方面をつなぐバリアフリーの歩行者ネットワークや地域冷暖房供給施設の更新、防災対応力の向上を図る。

 東京圏の国家戦略特別区域の特定事業の認定を受けるよう手続きを進める。

 建物は41階建てと30階建て2棟で延べ床面積は約36万1,000㎡。竣工予定は2019年度。

三菱地所、「大手町1―1計画B棟」着工 サービスアパートメント併設(2014/4/16)

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「レフィール参宮橋ヒルズ」完成予想図

 安田不動産が12月13日に抽選分譲する「レフィール参宮橋ヒルズ」を見学した。最近はほとんど供給事例がない参宮橋駅圏でヒルトップの一等地、坪単価も超割安の415万円。設備仕様レベルも高い。第1期26戸は即日完売必至と見た。

 物件は、小田急線参宮橋駅から徒歩3分、渋谷区代々木4丁目の第2種低層住居専用地域に位置する5階建て(建基法では地上4階地下1階建て)全51戸。第1期の専有面積は43.65~111.65㎡、価格は5,080万~15,980万円(最多価格帯5,080万円・5,380万円・6,580万円・7,780万円)、坪単価は415万円。施工は飛島建設。販売代理は東急リバブル。12月6日から登録申し込みが始まっており、締め切りは12月13日17:00。

 現地は旧興銀の社宅跡地。エントランス部分からもっとも高いところまで約6mの高さがある傾斜地に位置しており、建物は内廊下方式で住戸は南向きと北向き。

 外構や外観デザイン、設備仕様レベルが極めて高いのが特徴。道路に面した敷地南側の擁壁は石貼り。建物外観の基壇部は御影石、柱のタイルは縦張りとし、バルコニーの室外機を隠すために横ルーバーを配し、バルコニー天井は木目調のシート仕上げ。

 住戸内の設備仕様は極力オプション仕様を少なくしているのが特徴。玄関・廊下床、巾木は大理石、キッチン・洗面カウンタートップ・トイレ手洗いカウンターは御影石かフィオレストーンの選択制。キッチンはユーティリティシンクを採用。三面鏡下のモザイクタイルも標準。浴室のカウンターにも御影石を採用。ドア把手は本革巻き仕上げ。

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エントランスホール

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 マンション単価が信じられないくらいどんどん上昇している。このマンションも高値追求するのかと思ったが、そうではなかった。その逆だ。さすが旧安田財閥といいたい。浮利を追わないデベロッパーがあっていい。

 実は、この物件の存在は先週、別の取材で参宮橋駅に降りて初めて知った。一等地であるのはすぐわかった。もともとこの街が好きで、ひょっとしたら単価は500万円くらいするのではないかと思った。

 モデルルームで同社の開発事業本部開発第四部第一課課長代理・渡辺淳氏に単価を聞いてその安さにびっくりした。確かに北向きの住戸の3階部分あたりまでは日照や眺望が期待できず単価は400万円以下というのは納得できるが、南向き住戸は、立地の希少性、設備仕様レベルの高さからいって坪500万円の価値は十分ある。

 第1期26戸にはほとんど登録が入っており、抽選になる住戸もあるという。即日完売すると見た。

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車寄せ

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 正直に言うと、記者はもともと芙蓉グループが好きだ。マンション、ビルも(RBA野球も)トップグループから離されているが、欲を出さずマイペース。たまにドジも踏むが時としてとんでもないヒットも飛ばす。そんなところが憎めず好きなのだ。

 同社もマンションの供給は多くないが、「ワテラス」では老舗の存在感を示した。今回の「参宮橋」は、新しいマンションブランド「レフィール」にしてから11棟目の物件で、ロゴ・デザインも一新したそうだ。どこかの一流ホテルに似ており、しっかり造りこみを行っているのにもその意気込みが伝わってくる。「参宮橋」のランドマークになるのは間違いない。

 参考までに。芙蓉を含むみずほグループのデベロッパーの直近の売上高は同社が350億円、東京建物が2,300億円、ヒューリックが1,084億円、大成有楽不動産が1,037億円、日本土地建物が732億円。トータルで約5,500億円。野村不動産ホールディングスと同じくらいだ。

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モデルルーム リビング

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山根理事長

 マンション管理業協会(管理協)は12月10日、マンションライフを豊かにしていく居住者や管理組合の様々な工夫や活動を応援するマンションライフ総合支援キャンペーンを27年1月14日から開始すると発表した。

 より良い管理やコミュニティ活動などを紹介するサイト「マンションのWa」を立ち上げる。

 マンション生活で遭遇した感動的な体験や管理・コミュニティの重要性を考えさせる体験「マンションいい話」を管理組合や居住者から募集し、顕彰するコンテストを実施する予定。

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 管理協は10日、恒例の年末記者懇親会を行ったが、「マンションのWa」を立ち上げた狙いは、冒頭に挨拶した山根弘美理事長の言葉にすべて込められていた。

 山根理事長は「先日の大橋先生のお話にあったように〝管理業が分かりづらい〟実態が明らかになった。これは我々の責任。管理業をよく知っている居住者の方々は満足度が高く、より高次の管理を求めている。管理業を分かっていただける、プレゼンスを高める努力をしないといけないし、世間に対してもプレゼンスを高める活動を来年は行っていく」と挨拶した。

 「大橋先生のお話」は別掲の記事を参照していただきたい。

将来展望に明かり灯る「マンション管理業の実態調査」報告 マンション管理協(2014/11/27)

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「オーベルコート葛飾金町(右の背後が「オーベル金町レジデンス」)

 大成有楽不動産販売が今週末、第3期8戸の最終分譲を行う分譲戸建て「オーベルコート葛飾金町」を見学した。第1期(13戸)、第2期(11戸)とも即日完売しており、今回も即完しそうで全32戸が早期完売となる。

 物件は、JR常磐線金町駅から徒歩12分、葛飾区新宿六丁目地区大規模複合(大学・住宅・公園)開発エリア内に位置する全32区画。第3期の土地面積は100.05~131.65㎡、建物面積は94.76~98.95㎡、価格は4,240万~5,180万円。構造は2×4工法2階建て。施工は三菱地所ホーム。完成予定は2015年月4末(3期)。

 11月2日に抽選分譲した第1期が即日完売し、引き続いて分譲した第2期も即完している。第3期の抽選は12月13日12:00。

 総面積約33.3haの大規模開発「新宿六丁目地区地区計画」の一角にあり、大成有楽不動産が分譲して人気になったマンション「オーベル金町レジデンス」(117戸)に隣接。すぐ近くには東京理科大の葛飾キャンパスがあり、約7.1haの「葛飾にいじゅくみらい公園」もある。

 電線類を地下化し電柱をなくした街並みと、建物の外観は赤レンガの陶器瓦や白壁に石のような重厚感がある大判タイルを張った「スパニッシュスタイル」が特徴。

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 現地を見て人気になるのも当然だと思った。住環境が抜群だ。「葛飾にいじゅくみらい公園」はところどころにサクラなどが植えられているが、ほぼ全面が芝張り。市民も利用できる東京理科大の図書館も徒歩1~2分圏内だ。

 価格も割安感がある。隣接の「オーベル金町レジデンス」とそれほど変わらないのではないか。「オーベル金町レジデンス」は6月に取材しているが、7月から分譲が開始され、現在、キャンセル住戸1戸を残すのみだ。こちらのマンションも割安感があった。

 どうして今回の戸建ても大成有楽不が事業主にならなかったのか不思議だが、大成有楽不動産はここ数年戸建ての分譲は行っておらず、大成有楽不動産販売は20数年継続して戸建ての分譲を行っていることにも起因するようだ。

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「葛飾にいじゅくみらい公園から「オーベル金町レジデンス」を望む(右側の建物が東京理科大の図書館)

大成有楽不動産 「金町」エリアで2物件224戸 単価は割安感あり(2014/6/24)

 

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