ポラス訓練校など6プロジェクト 国交省 サステナブル建築物等先導事業に採択

ポラスグループの「建築技術訓練校」
国土交通省は9月4日、平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)の6つのプロジェクトを決定した。
この事業は、木造・木質化による先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物のリーディングプロジェクトを公募の中から採択し、整備費などの一部を補助するもの。
今回採択されたのは、埼玉県越谷市のポラスグループの「(仮称)ポラスグループ建築技術訓練校」事務所、大阪市豊中市の学校法人・森友学園の小学校校舎と体育館、江東区の太陽工業のスポーツ練習場、宮城県石巻市の中心市街地再生町家スタイル推進プロジェクトなど6件。
「(仮称)ポラスグループ建築技術訓練校」は3階建ての事務所棟と平屋の実習棟で、延べ床面積1,371㎡。一般流通集成材を集束して形成する「合せ柱・合せ梁・重ね梁」を用い木造の準耐火建築物(60分耐火)として建築。実習棟内部に合板パネルを意匠的に配置するなど、内装を積極的に木質化したのが評価された。完成予定は来年3月。
森友学園の校舎・体育館は3階建て延べ床面積は5,678㎡。防火地域で鉄骨造ではあるが、建物の内外部、また教室の床材に不燃化した杉材などの木質材料を使用しているのが特徴。
太陽工業のスポーツ施設は延べ床面積1,745㎡。トップパラリンピア育成支援の拠点として計画するとともに、ランニングをテーマに地域コミュニティを形成する機能を持つ施設。工場加工によりユニット化した6角形架構を現場で組み上げ、アーチ形状の屋根を形成。接合部が簡易で、仮設建築にも応用可能。ユニークな外観も特徴。
石巻市のプロジェクトは、5階建ての店舗・共同住宅・宿泊施設からなる延べ床面積は1,733㎡。1階をRC造、2~5階を木造軸組とし、特殊な技術によらない在来工法による耐火建築を実現した。
このほか採択されたのは、新潟市の木造2階建て丸太組構法の「(仮称)セルフ片山・新潟屋団地店」と、三重県菰野町の縦ログ構法を採用した2階建て特別養護老人ホーム「(仮称)真菰の里」。
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今回採択された6つのプロジェクトに対する補助金総額は約3.6億円。多いのか少ないのかの判断材料はないが、木造が好きで、わが国の森林・林業の再生を願う記者はものすごくいい制度だと思う。残念なのは応募したのは7件しかなかったことだ。補助金を増やせば応募が増えるのであれば、もっと増やしてもいい。国費は使うべきところに注いでほしい。

森友学園の校舎と体育館

太陽工業のスポーツ施設

石巻市の中心市街地再生町家スタイル推進プロジェクト
大和ハウス 天井高最大3m 「xevo Σ Grande」発売

「xevo Σ Grande(ジーヴォシグマグランデ)」
大和ハウス工業は9月5日、戸建住宅最上位商品である「xevo Σ(ジーヴォシグマ)」に、更なる開放感を実現する空間提案や進化した省エネ仕様、高級感のある内外装アイテムを追加設定した「xevo Σ Grande(ジーヴォシグマグランデ)」仕様の販売を開始した。
2014年1月に発売した「xevo Σ」は、繰り返しの巨大地震を受けても初期性能を維持できるエネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」や、天井高2m72cm・開口幅最大7m10cmの大空間・大開口が好評で、累計販売棟数が約3,000棟となった。
また、2015年7月には月間販売棟数が当初目標の100棟を大きく上回る300棟以上の販売を達成、8月からは生産体制を強化し月産350棟体制とした。
今回新規設定した仕様は、「xevo Σ」で好評だった大空間をさらに拡大。高い耐震性能は変えず、天井高2m72cmの床の高さに変化をつけることで最大3m8cmの天井高を可能にした空間提案「グランリビングモア」を開発した。
なぜ伸びない品確法性能表示&長期優良住宅 どうなる中古住宅評価
日本木造住宅産業協会は先に「平成26年度自主統計および着工統計の分析」報告会を行なったが、記者は品確法による性能評価住宅と長期優良住宅認定戸数が増えてこないことに注目した。
品確法は、「住宅性能表示制度」「瑕疵担保責任の10年間の義務付け」「住宅に関する紛争処理体制の三つの柱からなる消費者を保護する法律で、平成12年に施行された。
長期優良住宅は、平成21年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」により住宅を長持ちさせ、環境への負荷を減らす認定制度のことをいう。
詳細は省くが、双方とも似たような制度で、耐震性、劣化対策、維持・管理、省エネ性などの評価項目など半分くらいは重なっている。長期優良は居住環境も評価項目に入っており、税制面でも品確法よりやや優遇されているのが異なる点だ。
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考えなければならないのは、品確法も長期優良も〝ビンキリ〟で、最下級にランクされるものは建築基準法に定める「最低基準」とたいして変わらないにも関わらず、戸数が増えないことだ。どちらの制度も受けていない6割以上の戸建ては中古市場でどう評価されていくのかということだ。
品確法が施行されてからしばらくは順調に戸数を伸ばした。「設計評価」と「建設評価」の合計戸数は平成12年度が約1.1万戸だったのが、19年度には約42.2万戸まで増加した。ところが、「長期優良住宅」制度が始まった21年度以降は頭打ちとなり、消費増税前の駆け込みがあった24年度は約41.3万戸になったものの、26年度は約36.8万戸に落ち込んだ。
一方、「長期優良」は21年度が一戸建てと共同住宅をあわせた戸数が約5.6万戸で、その後戸数を伸ばし、25年度は約11.8万戸、26年度も10.1万戸と10万戸台を維持している。
戸数だけでなく、品確法も長期優良も全体の住宅着工戸数に占める割合がここ数年一向に増えないことも問題だ。全国の戸建て住宅に占める品確法の設計評価住宅シェアは22年度の18.2%から26年度は17.1%へ1.1ポイント減少しており、建設評価住宅のシェアも22年度の14.7%から26年度の14.7%へと横ばいとなっている。木住協の会員によるシェアは全国平均と比べやや高く、26年度の設計評価住宅シェアは25.3%、建設評価住宅シェアは15.9%となっている。
長期優良はどうか。全国の戸建て戸数に占める割合は22年度の19.9%から26年度は18.9%へ1.0ポイント減少している。長期優良に占める木住協シェアは高く、26年度は29.5%になっており、長期優良の3戸に1戸が木住協会員によるものだ。
数字からは、品確法から長期優良へ切り替えるメーカーが増えているのではないかということがうかがわれるが、関係者によると長期優良のほうが申請の手間などを考えると使い勝手がいいとのことだ。
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いま、国交省は中古戸建て住宅の流通時の評価方法について検討を進めている。築後20~25年で建物価値をゼロとみなす慣行を改め、基本性能などの客観的な指標を用い、また、リフォームやリノベーションによる使用価値の向上を評価して、建物についても適正に価格として評価しようというものだ。建物を評価する際のインスペクションに関するガイドラインも作成した。
ここで問題となるのは、インスペクションを行なう際、先に書いた品確法の性能評価住宅や長期優良住宅はともかくとして、評価指標が少ない圧倒的多数の一般の住宅はどのように評価されるかだ。
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ついでながら、もう一つ問題を指摘したい。国土交通省は今年7月、不動産鑑定士が既存戸建住宅の評価を行うに際の「既存戸建住宅の評価に関する留意点」を策定し、発表した。建物の性能、維持管理の実態調査、リフォームの価格への反映などを盛り込んでいる。
これに異存はない。しかし、不動産鑑定士がどうして既存戸建ての性能や維持管理に関する履歴、リフォームなどの価値を判断ができるのか。新たに建築士の資格を取得するのであればともかく、これは絶対に無理だろう。中古流通への不動産鑑定士業の参入は、問題をより複雑化するのではないかという不安もある。
ポラス 東武東上線(朝霞)に初のモデルハウス2棟オープン

「和美庵」(左)と「アルジール・フロンティアン」
ポラスグループの注文住宅を手がけるポラテックは8月30日、東武東上線では初のモデルハウス2棟を新座・朝霞ハウジングステージにオープン。9月3日、報道陣に公開した。
2棟のうちの1棟「アルジール・フロンティアン」は、これまでの同社の主力商品「アルジール」「和美庵」に加え、新たにアッパーミドル・富裕層向けをターゲットにした3階建て新商品。「家系を繋ぐために集まり(聚い)住む家」がテーマ。チーク、石灰石系の自然素材を多用し、親世帯、子世帯共通のLDKを持ち、空間や時間を共有できる提案となっているのが特徴。
もう一つの「和美庵」は、これまでの商品群をさらに充実させたもので、50代後半から60代の夫婦を想定した2階建て。視覚や聴覚、臭覚、触覚などで、付かず離れずの距離感を気配(けわい)で演出しているのが特徴。赤松や竹の無垢材、障子や格子などを多用し「和」の提案も行なっている。
双方とも、同社独自の技術により斜め壁の構造計算が可能になり、大きな間口の無柱空間を実現している。建坪はそれぞれ15~18坪程度だが、「お客様目線でリアル展示場として提案した」ためという。
「アルジール・フロンティアン」は、モデルハウス仕様で坪88万円。年間販売目標は13棟。「和美庵」は、坪91万円。年間販売目標は12棟。
発表会に臨んだ同社取締役木造住宅事業部長・森田昭廣氏は、「東武東上線は当社の重要な事業エリア。昨年、成増にマインドスクェア事業部東京西事業所を開設したが、今回はその第二弾。POHAUSのターゲット顧客は固定概念を払拭し発想の転換ができる方で、これが差別化につながるはず。今年度の目標25棟というのは控えめな数字」と説明した。
「アルジール・フロンティアン」 リビング
「和美庵」 リビング
「アルジール・フロンティアン」
「三菱地所を、見にいこう。」ナイター 女優の桜庭さんが見事な始球式

桜庭さんによる始球式(これが限界。記者のカメラは数万円。プロは100万円もするレンズ付きのカメラを持っていた)
三菱地所は9月2日、TVCM「三菱地所を、見にいこう。」シリーズ新CMお披露目会と始球式を東京ドームで行われたプロ野球日本ハムVS千葉ロッテ戦で行い、女優の桜庭ななみさんが見事な始球式を演じた。試合開始前のほぼ30分間、日ハム大谷投手が登板する試合で「三菱地所を見にいこう」が球場を支配した。
桜庭さんは、2010年から同社のTVCMに出演しており、今回は新しいCM「日本全国」と「物流施設」篇の2本。
始球式では、桜庭さんは最少のエネルギーでもっとも遠くまで飛ばせる物理の法則を応用したのか、ピッチャーズマウンドから元日ハム・多田野投手も真っ青なきれいな45度角の放物線を描くボールを投げた。球は、ロッテ荻野の内角をえぐり、ワンバウンドで日ハム市川捕手のミットに吸い込まれた。西武・森なら真剣勝負でも絶対に空振りする絶妙なコントロールだった。
この投球に心を奪われたか動揺したのか、この日先発した日ハム大谷投手はいきなり四球を与え、次打者・角中に2ランを浴びた。試合は結局、ロッテが4-2で勝利。大谷は6回3失点でマウンドを降り、4度目の敗戦投手。
観衆は、大谷効果か桜庭効果か、はたまた三菱地所の底力か分からないが、前日より1万人近く多い約3.1万人だった。
イベントでは、同社が招待した子どもたち約100名によるベースランニング、「三菱地所の車」から登場した桜庭さんによる新CM発表会、両監督への花束贈呈式などが行われた。

「三菱地所の車」から登場した桜庭さん

子どもたちのイベント(日ハムやヤクルトファンはいたが西武ファンはいなかった)

関係者らで記念写真

桜庭さん(プロでなくたってこれくらいの写真が撮れる。被写体がいいからですが)

三菱地所 杉山社長「広島が気になる? ダメ、ダメ、今日は日ハムの応援なんだから」
東京都 「女性が輝くまち・東京シンポジウム」に250名参加

「女性が輝くまち・東京シンポジウム」(都庁で)
東京都は8月31日、「女性が輝くまち・東京シンポジウム」を開催した。国が主催する「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」と連携して行うもので、世界的に活躍するデボラ・ギリス氏(カタリスト プレジデント兼CEO)の基調講演や、パネルディスカッションを通じて、都の今後の目指すべき方向性をさし示した。約250名が参加した。
冒頭あいさつした舛添要一都知事は、「知事に就任した時から『女性活躍』は重要な政策の一つと考えていた。5年後には東京オリンピックが開催され、内外から多くの方が集まるが、人種や性別を超えて多様性の象徴となるようレガシーとして残したい。女性活躍の機運は高まってはいるが、まだまだ不十分。いま都の女性職員比率は3人に1人で、管理職比率は15%。国や民間レベルと比べ高いほうだが、管理職比率は近い将来20%に高めたい。地域ニーズを取り込んだ保育施設も都庁内に設置することを決めた。今回の成果は東京都女性白書にも反映させる」などと語った。
デボラ・ギリス氏は、女性活躍をめぐる世界の趨勢とわが国の現状や課題について語り、「世界に先駆けて女性活躍を国の重要課題として掲げた」ことや「男性が家事労働に参加し、育児休業を取得するロールモデルも出てきている」などと、高い教育を受けているわが国の女性が活躍できる機運が高まっていることを評価し、期待した。
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デボラ・ギリス氏はわが国の諸外国と比べて遅れている女性活躍の現状と問題点をあげつらうのではなく、外交辞令的ではあったが過不足なく語ったと思った。残念なのは、同時通訳はされたのだが、20分の間にかなり早口で話されたので、内容をよく理解することはができなかったことだ。
都は近くホームページでシンポジウムの模様を伝えるとのことなので、そちらを是非見ていただきたい。

左からデボラ・ギリス氏、舛添氏、ワドゥワ駐日インド大使
三菱地所 東京駅前に高さ390mなど4棟68万㎡の再開発に着手

「常盤橋街区再開発プロジェクト」
三菱地所は8月31日、東京駅日本橋口前に位置する常盤橋街区で計画を進めている「常盤橋街区再開発プロジェクト」の都市計画手続きを開始したと発表した。
同事業は、東京圏の国家戦略特別区域計画の特定事業として進めているもので、東京駅周辺で最大となる敷地面積3.1ha に及ぶ大規模複合再開発。大手町連鎖型再開発プロジェクト第4 次事業として、街区内の下水ポンプ場や変電所など都心の重要インフラの機能を維持しながら10 年超の事業期間をかけて段階的に4 棟のビル開発を進める。
東京の新たなランドマークとなる高さ390mの超高層タワーや東京駅前の新たな顔となる約7,000 ㎡の大規模広場などを整備する。総延べ床面積は約680,000㎡。全体竣工は2027年度の予定。
「類まれな」レベルの高さ 野村不・三井レジ「桜上水ガーデンズ」完成

D棟屋上部分からクラブハウス、B、C棟を望む
野村不動産は8月27日、このほど建物が完成した三井不動産レジデンシャルとの共同建て替えマンション「桜上水ガーデンズ」を報道陣向けに公開した。敷地約4.7haの建て替えは23区内最大級のマンションで、全9棟が免震、既存樹を多数残したランドスケープデザイン、駐車場の地下・屋内化とその屋上緑化、〝3~5戸1〟エレベータ、天井高約2.6mの居住空間など総合的な評価では京王線のナンバー1マンションが完成したといえそうだ。
物件は、京王線桜上水駅から徒歩3分、昭和40年完成の「桜上水団地」(17棟404戸)を9棟878戸に建て替えたもので、敷地規模約4.7haの建て替えプロジェクトとしては23区最大級。6階建て14階建て全9棟を全棟免震構造にしたのも都内では例がないと思われる。事業主は同社(事業比率50%)と三井不動産レジデンシャル(同)で、野村不動産が幹事会社。事業コンサルは日建設計。設計は日建ハウジングシステム、施工は大林組・清水建設。建物の絶対高さ制限は31mだが、地区計画によって45mに緩和されている。
従前の豊かな緑を継承しているのも特徴の一つで、法定容積率200%を160%に抑えることで緑化率・空地率を高め、世田谷区の保存樹に指定されたケヤキの大木など既存高木を180本残したランドスケープデザインとしている。駐車場(476台)を地下・屋内化しその屋上を緑化している。
住戸プランでは、従前の〝2戸1〟階段を継承するため〝3~5戸1〟エレベータを設置して両面バルコニータイプを多くし、天井高約2.6mを確保した。
見学会に臨んだ同社住宅事業本部マンション建替推進部部長・岩田晋氏は、「団地の将来を考える会が発足したのは平成元年。当社と三井さんが事業協力者として参画したのが平成14年。この間、合意形成に向け、組合員の人数だけあった様々な意見を考えられないような長い時間をかけ、苦労してまとめられた地権者の方々の努力がすべて。180本というびっくりするほどの既存樹を残し、免震、地下駐車場、両面バルコニーなど、四半世紀を経て類まれなマンションに生まれ変わった。当社は完成済みも含めて16件の建て替え事業に参画しているが、老朽化マンションの再生は社会的使命」と語った。物件は竣工を待たずに完売している。
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地権者の〝持ち出し〟がない建て替えマンションとしては都心部の条件に恵まれているところはともかく、準都心・郊外ではこれが最後かもしれない。タワーマンション以外では、全棟免震の記録では、ナイスの「ヨコハマオールパークス」12棟1,424戸の例があるが、都内ではこのマンションが初めてかもしれない。
既存樹180本のうち区の保存樹木は14本。2013年に竣工した大成有楽不動産「芦花公園」の保存樹木は10数本。残念ながら正確には何本だったかは当時取材できなかったのだが、「数本」というのは普通は5~6本だろうが、3~4本をいう場合もある。果たして多いのは今回の「桜上水」か「芦花公園」か。規模が小さいので、密度としては「芦花公園」に軍配はあがるがどうだろう。保存樹木に指定されると、剪定など維持管理に補助が出るはずだ。

「桜上水ガーデンズ」エントランス部分

クラブハウス前から

クラブハウス屋上のテラス・ガーデン(手前はヨーロッパから取り寄せたという日本に1台しかない卓球台)
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岩田氏が「類まれな」と形容したが、これは〝誇大広告〟でも大げさな表現ではない。記者も心底からそう思った。と同時に、想像をはるかに超えるレベルの高さに、記者のイマジネーションの貧しさに頭をどやされたような、穴があったら入りたいくらいの恥ずかしさを覚えた。
このマンションについては、分譲開始前に記者発表会が行われており記事にした。
その記事を読んでいただきたいのだが、記者も当時の記事を読み返した。特徴は過不足なく、つまりニュースリリースに盛り込まれていることは紹介できていると思う。
しかし、当時、記者は坪単価330万円というのはかなり高いと考えた。そこで、「単価設定について『高くないか』と質問した。当時の同社広報部長・北井大介氏は『マンションの価値は単価だけではない。二度と出ない立地で、免震や緑化も図った。最上級のマンションで、価格は妥当と考える。お客さまにも評価されるはず』と答えた」と書いている。北井氏の仰る通りだが、それでもずっと今日の見学会まで「高い」と思っていた。
そして今日、完成した建物をみた。最初にエントランス部分の差し渡し1mくらいありそうな世田谷区の保存樹に指定されているケヤキの大木が目に飛び込んできた。舗道は本物の石が採用されていた。これには度肝を抜かされた。
記者は京王線に長く住んでおり、主だったマンションはそれなりに見てきているから言えるのだが、総合的な評価は、このマンションが間違いなく京王線ナンバー1と確信を持って言える。(井の頭線には三井不動産レジデンシャル「パークシティ浜田山」があるが)
問題は、分譲開始前の記者発表会でどうして「最上級のマンションになる」という確信が持てなかったのかということだ。過ちを犯した最大の原因は、「高い」という先入観が先走り、物件を総合的に評価しなかったことだ。駐車場地下化、3~5戸1エレベータ、日建設計、既存樹180本などの価値を過小評価したことだ。
もう一つ、これは言い訳になるのだが、記者は年間100件くらいのマンションの取材を行っている。その多くは分譲開始前や分譲中で、せいぜいモデルルームを見たりニュースリリースを読んだりして商品企画の良否などを判断する。その判断はそれほど間違っていないと思う。
ところが、完成後のマンションを見学するのは年間で20件あるかどうかだ。デベロッパーが竣工見学会をあまりやらないからだ。売れるか売れないか、高いか安いかの判断はできても、実際にどのような建物になるか分からない-これが記者の決定的な欠点、弱点、泣きどころだ。
さらに言わせていただければ、これはデベロッパーにもその責任の一端がある。販売時に見学会を行っても完成後の見学会はあまりやらない。ここに問題がある。記者を育てる意味でも各社はどんどん竣工見学会をやるべきだ。実際のものをみないとその良否はわからない。最近見学会を行ったコスモスイニシア「武蔵新城」、大京「港北ニュータウン」も素晴らしかった。

駐車場の屋上を緑化した「スクエアガーデン」

既存の大谷石や銘板を配した「ビンテージガーデン」
「スムストックの認知度と販売士がカギ」 優良ストック住宅協議会・和田会長

和田会長
ハウスメーカー10社とその流通グループで構成される「優良ストック住宅協議会」が8月26日、記者会見を開き、同協議会会長・和田勇氏(積水ハウス会長兼CEO)は、建物と土地の総額表示で、築20年を経過すると建物の価値がほとんどゼロになる現在の中古住宅の査定方法を改め、土地と建物価格を分離評価して、良質なものが適正に評価される仕組みを構築しなければならないと語った。
現在、国は諸外国と比較して大きく立ち遅れている中古住宅・リフォーム市場規模を2010年時点の10兆円から2020年には20兆円に倍増させる目標を掲げており、木造戸建ては築後20~25年で住宅の市場価値がゼロとなるような取り扱いを改め、住宅の使用価値を適切に評価する方法と評価の根拠となるデータを整理する必要があるとし、その他インスペクション、リフォーム一体型ローンのあり方などを検討している。
同協議会は7年も前から土地と建物を分離評価するなど独自の価格査定方法を採用し、実績を積み上げてきた。今回の会見は、国の動きを加速させ、ハウスメーカーの戸建ては築年数が経過しても市場で適正に評価されていることをアピールする狙いがある。
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「優良ストック住宅推進協議会」が発足したのは7年前の2008年。任意団体が「優良ストック」として認定するのはいかがなものかと記者は思ったが、趣旨には大賛成だった。しかし、いかんせん10社の流通部門が束になってかかっても大手流通会社1社の営業網にかなわないし、発足当時の各社の足並みはそろっていなかった。
その後、どうなるのだろうと静観していたが、このところ中古住宅流通の市場拡大・活性化が大きなテーマになり、中古査定の見直し機運が高まるにつれ、「スムストック」が俄然注目を浴びるようになってきた。
築20年で建物の価格がゼロになり、建物と土地の価格をひっくるめて総額表示する従来の査定方法でなく、建物と土地を分け、しかも建物は構造躯体のスケルトン(S)の耐用年数を50年、設備仕様のインフィル(I)を15年として分離査定し、価格査定により透明性を持たせたのは業界に大きなインパクトを与えた。
協議会のデータによると、一般的な木造住宅の査定価格は築20年以降ではゼロになるのに対し、スムストックは築31年以降でも273万円で成約しており、21年以降の平均建物価格は517万円となっている。
いいものが評価される時代の流れと、協議会がスムストックの普及に力を入れてきた結果、価格を査定し営業も行う「スムストック住宅販売士」は2013年の1,986名から2014年には3,023名へと52%も増加した。
成約件数も飛躍的に伸びている。10社の戸建てストックは約353万棟あり、このうち年間約1.4万棟が流通しており、10社の流通捕捉率は前年の5.4%から2014年は9.3%の1,297棟に増加すると見込まれている。
「いつまでにスムストックを10社で1万棟(捕捉率9.3%から71.4%)に引き上げるのか」という記者団の質問に、和田会長は「そりゃ3年以内にやらなきゃいかんでしょ。10社のトップが集まって決意を約束したんだから」と語った。
1万棟に伸ばすためには倍々のスピードでないと達成できず、和田氏も強調したように「スムストック」の認知度を高め、販売士を増やすことができるかどうかがカギとなる。
和田氏の強気発言の裏には、スムストックが中古市場で適正に評価されれば新築やリフォームの受注増につながり、ハウスメーカーとその流通グループの市場での評価を高めたいという狙いがありそうだ。本気度が伝わる会見だった。
同協議会は今年7月、組織をより活性化させるため独立事務所を設置した。
「女性活躍」は待ったなし コスモスイニシア執行役員・岡村さゆり氏に聞く

岡村氏
コスモスイニシアの執行役員 内部統制室長、経営管理本部 経営企画室長・岡村さゆり氏(51)が今年4月1日付で執行役員 経営管理本部副本部長に就任した。同社の女性の役員は2012年に走内悦子氏が就任しており、現在全10名中2人が女性の執行役員になった。社外取締役・監査等委員の坂東規子氏を含めると16名の取締役・監査役・執行役員のうち3名が女性だ。
わが国の上場企業の女性役員比率は1.2%と極めて低いことはよく知られているが、不動産業界も例外ではない。大手デベロッパーには女性役員は過去も現在も一人もいない。不動産上場会社で女性役員がいるのは、役員6人のうち2人が女性のフージャースホールディングス、社外取締役に女性が一人いるヒューリック、上席執行役員に2名の女性がいるサンケイビルくらいだ。ゴールドクレストにも女性役員が1名いたが、2年前に退社している。この役員の退社の新聞辞令は発動されたが、有価証券報告書にはその情報が開示されることはなかった。これでは「男女共同参画」が泣いている。情けない限りだ。
同社は分母が小さいこともあるが、役員比率が20.0%、監査役などを含めた比率でも18.8%と極めて高い。
さて、コスモスイニシアに話を戻すと、記者は同社の40年のマンション事業を取材してきた。「女性活躍」とわざわざ男性と対比して書かなければならないほど、女性差別的な雇用を行ってきていない会社だとずっと思ってきた。自由闊達な社風があるからこそ男女差別がないからこそ、優れた商品企画が生まれるのだと思っている。今回、岡村氏にインタビューするのも、この仮説が正しいことを証明しようという試みもある。
では、同社のマンションの商品企画とはどのようなものか。創業時代にさかのぼって概観してみる。
同社の創業は1974年。当時の日本リクルートセンター(現リクルート)が環境開発として不動産業をスタートさせた。当時、リクルートは創業社長の故・江副浩正氏が強烈なカリスマ性を発揮しており、時代の寵児としてマスコミに度々登場していたこともあり、業界にも衝撃が走った。しかし、その一方で、〝素人集団に何ができる〟と冷ややかに異端児のように見るデベロッパーは少なくなかった。
しかし、記者は〝この会社はマンション業界に新風を吹き込む〟と確信していた。当時、江副氏が「三井(不動産)さんの頭脳と大京(観光)さんの足腰を見習いたい」と語ったのを鮮明に覚えている。ずいぶん欲張りな会社だなと思ったものだ。
並みのデベロッパーではないことはすぐ発揮された。〝異端ぶり〟がいかんなく発揮されたのが、「コスモ蕨」だった。1985年竣工の12階建て全150戸で、60㎡台の3LDKが中心だった。記者はその間取りに驚嘆した。マンションが分譲された昭和57年、58年当時は〝不況下の大量供給〟が続いており、マンションはさっぱり売れなかった。供給したその月内に半分も売れればよいほうだった。京浜東北線も例外ではなかった。〝死屍累々〟という言葉がぴったりのように、大量の売れ残りマンションがあった。
同社は、そのマンション不況に大胆というか不敵というか、挑戦状をたたきつけた。「蕨」は間口が約8m、奥行きも8m、つまり8×8=64㎡のほぼ正方形のプランが中心だった。当時、ルービック・キュービックが流行っていたからだろうか、同社はこのプランを〝キュービックプラン〟と呼んだ。
プランを正方形にすることで、南側にLDKと居室2室、つまり南面3室を確保するという離れ業を演じたのだ。今でもそうだが、60㎡台の3LDKといえば、間口はせいぜい6m前後で、まるで羊羹を切ったような形状の住戸が一般的だ。それが経済設計だった。その業界の常識破りのキュービックプランがユーザーに支持されたのは言うまでもない。
◇ ◆ ◇
あれから約40年。同社は昨年、創業40周年記念マンションとして「イニシア武蔵新城」を分譲した。まさに〝キュービック〟プランを髣髴させるものだった。40年を経過してなお同社の創業時のDNAがしっかりと継承されていることに記者はまた衝撃を受けた。このマンションについては、記者は昨年の「ベスト3」マンションの一つに選んでおり、記事にもしているので詳細はそちらを参照していただきたい。
ご存じのように、同社は業界の異端児、独立系であるがゆえに好不況の波に翻弄されても来た。
その後、リクルートコスモスに社名を変更し、株式を店頭公開し、マンション供給量で王者・大京観光(現大京)を脅かす存在となり、バブルの追い風もあり億ション市場でナンバー1の存在になった。しかし、1988年のリクルート事件あたりから雲行きが怪しくなり、バブル崩壊後は一転して事業縮小、人員整理の氷河時代へ突き落されることになる。この間、リクルートの実質的なダイエーグループ入りと離脱-外資の出資とMBOスキームを活用したリクルートグループからの独立-リーマン・ショックによる事業再生ADR手続-大和ハウスグループ入りへと波乱の歴史をたどる。2009年には社員の約半数360人の希望退職も募っている。
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岡村氏は開口一番、「わたしは1982年(昭和62年)入社。それまで環境開発の社員はリクルート採用だったのですが、独自採用するようになって2年目でした。現在もそうですが、当社には〝一生うちで頑張ります〟というような社員はあまり入社しない。元々のリクルートの社風が残っています。ですから30歳くらいから起業する人が多い。
これは社内用語なのですが、当社では、退職時に『退社』ではなく、『卒業』と表現することがあります。わたしの同期入社は200人いたのですが、現在、残っているのは8人だけです。定年退職者はまだ一人もいません。社員は貴重な人材でコストもかかっていますので、残ってほしいのですが…」と語った。
社歴40年で新卒採用者での定年退職者が一人もいない。こんな会社はほかにあるだろうか。もちろん同社は前述したように、2009年には大量の希望退職者を募集している。やむなく退社せざるを得なかった社員もたくさんいるのだろうが、同社はキャリアを踏み台にステップアップしようという野心家集団とも受け取れる雰囲気が社員にある。
話は横道にそれるが、リクルート同様、コスモスイニシアは人材養成会社でもある。不動産会社にも同社出身者がたくさんいる。フージャースホールディングスの廣岡哲也社長は岡村氏と同期のコスモスイニシア出身だし、ゴールドクレストもSOHOの草分け的な存在のスペースデザインもリクルート出身者が創業した。カフェ・カンパニーの楠本修二郎社長は、リクルートコスモスの広報担当者として在籍していた。
岡村氏の話に戻る。岡村氏は「男女差別? 全くないですね。今年の新卒採用は32人ですが、男女比は17:15。昨年も半々でした。意図的に半々にしているのではなく、男女の垣根を取っ払い、公平に採用したらこういう結果になったということです。同じ年代の学生を平等に評価すると、女性のほうがしっかりしていると採用担当者が考えた結果でしょうか」と笑った。
男女差別がない証拠に、同社にはユニークな就業形態がたくさんある。「当社はずいぶん前からフレックス制を採用しています。コアタイムもありません。朝は何時に出勤してもいいが、夜8時以降は働くのを止めようという動きが強まっていますし、『週3回は子どもを保育園に送りに行く』という男性社員もいます。水曜・木曜が定休の社員は半期に一度、その前後の日を特別休暇としたり、メモリアル休暇も取得するよう促進したりするため1万円の手当を出しています。介護や看護のための時短勤務制度もあります。また、ステップアップのための特別休暇制度はリクルート時代からの流れです」-岡村氏は次々とこれらの制度が〝当たり前〟であるかのように話した。ただし、制度だけではなく、子育て中の働き方など、まだまだ取り組み課題はあるとのこと。
こうしたワークライフバランスの取り組みは、高木嘉幸氏が平成21年に社長に就任してから加速しているようだ。「高木はオーストラリア勤務が20年くらいありまして、男女の雇用差別などないのを長く経験しているからでしょうか、差別がないのは当たり前であり、女性があらゆる仕事にコミットすべきと考えている」と、岡村氏はトップの姿勢にも言及した。
こうした取り組みは銀行にも評価された。同社は今年5月、三井住友銀行の「SMBCなでしこ融資」が実施された。これは、同行が融資実行に際し企業の女性活躍推進の取り組み状況を独自の基準で"見える化"するもので、「女性活躍が期待できるグロース企業」として認定された。同社は経営幹部の多様な人材登用、在宅勤務制度、時短勤務、フレックス勤務、有期雇用から無期雇用へ選択できる「プロ社員」制度などが評価された。これまで10社以上が「SMBCなでしこ融資」会社に選ばれている。
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岡村氏は26歳で結婚。子どもはいないが、30代で女性ばかり20人もいる部署でその職長としてマネジメントを学んでいる。「女性が20人もいると、結婚を間近に控えたり、子育ての人もいたりしますから、とにかく話をよく聞きました」-岡村さんが26歳で結婚したのはバブル崩壊の年だ。バブルの発生と終焉、その後の敗戦処理-再生に取り組んできた岡村氏には定年まで勤められて(役員定年はいくつなのだろうか)、後に続く女性(男性も含めてだが)を育ててほしい。
冒頭に書いた「商品企画が優れているのは男女差がないから」という仮説はやや我田引水だが、「武蔵新城」の例で証明されたと記者は考えている。マンションの販売現場でも女性責任者の活躍をたくさん見てきた。もう一つ、同社は新しいブランド「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)」を立ち上げた。先日行われた記者見学会の記事も参照していただきたい。

同社のホームページの採用ページトップ写真(一升瓶をぶらさげたり、ゴルフクラブを握ったりしている女性が前面に登場している)
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