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「レーベン板橋大山ART BLANGE」

 タカラレーベンが分譲中の「レーベン板橋大山ART BLANGE」のモデルルームを見学した。東武東上線大山駅圏は大規模再開発タワー・定借マンションが相次いで供給されており大激戦だが、この物件は普通借地権で相対的に価格が安く、単身者・DINKSをターゲットにした商品企画が奏功。販売は順調に進んでいる。

 物件は、東武東上線大山駅・中板橋駅から徒歩8分、板橋区仲町の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率254.52%)に位置する6階建て全32戸。専有面積は57.27~71.72㎡、5月半ばに分譲予定の第1期3次(戸数未定)の予定価格は5,600万円台~7,900万円台(最多価格帯6,500万円台)、坪単価は約330~340万円。竣工予定は2024年8月下旬。施工は丸運建設。デザイン監修はウイ・アンド・エフ ヴィジョン石倉雅俊氏。

 4月下旬に販売開始した第1期10戸は完売。これまでの来場者数は150組。

 現地は、ハッピーロード大山商店街を中心に再開発進んでいるエリアから一歩入ったところ。物件は2075年1月末まで期間52年の普通借地権付きで、底地権者は乗蓮寺。建物は内廊下方式を採用、敷地南側は同じレベルの建物が隣接していることから、住戸は東向きと西向きが中心。角住戸比率は65%。北側斜線制限を利用したルーフバルコニー付き6戸や専用庭付き4戸など20プランを用意。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、床暖房、浴室タオル掛けなど。

 同社マンション事業本部首都圏・中部支社 営業推進部 第4営業部次長・橋本勝成氏は「販売は極めて順調に推移しています。底地権者の乗蓮寺さんは、当社の本社があった中板橋のときからお付き合いがあるお寺。よほどのことがない限り契約を更新して住み続けられること、相対的に価格が安いこと、逆に規模が大きくないこと、池袋に6分と近いことなどか単身者やDINKSに評価されています」と話した。

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モデルルーム

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 橋本氏と初めてお会いしたが、旧知の仲であるように打ち解けた会話を交わすことができた。身長186センチの長身で年齢は41歳。自ら「原チルドレン」と紹介し、広報担当者は「トップマネージャー」と補足した。

 「原」とは、同社取締役兼常務執行役員マンション事業本部 東日本支社長の原忠行氏のことで、記者は20~30年前、島田和一社長(当時は常務か)に「うちのトップ営業マン」と紹介されたのを覚えている。その「原チルドレン」というくらいだから、人の心をたちどころにつかむのは天性のものか、原氏の後釜を狙っているのか。橋本氏は、「大山」の次に分譲する「与野」の物件も担当しており、話を聞いているので1週後には紹介したい。

 モデルルームは、同社の〝十八番〟でもある派手なものだった。しかし、以前と比べて角が取れており、見学者は最初は驚くだろうが、そのうちに受け入れられるはずだ。この種の〝非日常〟の演出はどんどんやったほうがいい。

 橋本氏には、この〝タカラモデル〟を開発したのは、〝レディー・ガガ〟こと同社取締役兼執行役員事業開発推進室 室長・高荒美香氏であることを話したのが、橋本氏は入社したてのころか知らなかった。第一弾の「巣鴨」をはじめ、これまで〝レディー・ガガ〟を5~6回紹介した。アクセス数はトータルして3万件に達している。「大山」や「与野」よりはるかに多いはずだ。一つだけ記事を添付する。〝業界のレディー・ガガ〟を知らないのは〝もぐり〟だ。高荒氏は新しいビジネス開発を担当しているそうだ。いつ発表されるのか。楽しみだ。

 外観デザインはモノトーンが基調で、南側は壁のように屹立し、北側は斜線制限を生かした段状としている。その対比が面白い。これは石倉氏によるものだろう。

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模型(北側)

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模型(左が東側、右が南側) 

「女性には体内マーケがある」〝業界のレディ・ガガ〟タカラレーベン高荒氏(2019/2/22)

お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地定借「大山」好調首都圏事業強化へ阪急阪神不(2024/3/21)

タカラレーベン 旧本社跡地でマンション 「中板橋ヴィーナスタワー」(2009/8/19)

 

 MIRARTHホールディングス(ミラースHD)は513日、20243月期決算を発表。売上高1,851億円(前期比20.7%増)、営業利益154億円(同119.9%増)、経常利益129億円(同158.0%増)、純利益81億円(同78.4増)と増収増益。

セグメント別では、不動産事業は新築分譲マンション、流動化、新築戸建分譲、リニューアル再販、不動産賃貸、不動産管理などにより売上高は1,628億円(前期比17.0%増)となった。

エネルギー事業は、稼働済み発電施設の売却収入、発電施設の売電収入により売上高138億円(同53.1%増)となった。

アセットマネジメント事業は、前年度にタカラレーベン・インフラ投資法人を連結子会社化したことに伴い、発電施設の取得報酬が減少したため、売上高は734百万円(同33.0%減)となった。

 20253月期は売上高2,057億円(前期比11.1%増)、営業利益170億円(同10.0%増)、経常利益160億円(同23.2%増)、純利益107億円(同30.8%増)を見込む。年間配当は30円(前期は24円)の増配を予定。

 ケイアイスター不動産は5月13日、2024年3月期決算を発表。売上高2,830億円(前期比17.0%増)、営業利益113億円(同40.8%減)、経常利益101億円(同45.1%減)、純利益68億円(同42.1%減)となった。売上原価が上昇した一方、コロナ禍で高く推移した分譲戸建て需要が正常化したことが響いた。売上高営業利益率は4.0%(同3.9ポイント減)と低下した。

 セグメント別では、分譲住宅事業は、新規エリアへの進出やM&Aなどにより販売棟数は前期比1,075棟増加の7,842棟(土地販売含む)を計上。売上高は2,730億円(前期比407億円増)となったが、セグメント利益は売上原価が増加したこと、新型コロナウイルス感染症の影響により高く推移していた不動産需要が正常化したことなどで144億円(前期比71億円減)となった。

 注文住宅事業は、販売棟数は360(前期比50棟減)、売上高は54億円(同13億円減)となったが、規格型平屋注文住宅の売上高が順調に推移したことなどからセグメント利益は79億円(同5億円増)と増益となった。

 2025年3月期予想は売上高3,200億円(前期比13.0%増)、営業利益145億円(同27.6%増)、経常利益120億円(18.5%増)、純利益73億円(同6.5%増)を見込む。年間配当は130円(前期は180円)の減配予想。


 

 

 三菱地所は5月10日、2024年3月期決算を発表。売上高1兆5,046億円(前期比9.2%増)、営業利益2,786億円(同6.1%減)、経常利益2,411億円(同11.3%減)、純利益1,684億円(同1.9%増)となり、売上高、純利益は過去最高となった。

 セグメント別では、コマーシャル不動産事業は売上高8,497億円(前期比723億円増)、営業利益は2,117億円(同229億円増)。2024年3月末の空室率は3.45%(前期末3.30%)。

 住宅事業は、売上高3,988億円(前期比524億円増)、営業利益は388億円(同38億円増)。売上戸数は2,271戸(同675戸増)。次期売上戸数1,750戸に対する2024年3月末の契約進捗は84.2%。

 海外事業は、売上高1,737億円(前期比236億円減)、営業利益は514億円(同379億円減)。米国は物件の売却収入の増加等により、アジアは複合開発事業収入の増加等により増収となりましたが、英国は前連結会計年度に計上したオフィスビルの売却収入の反動により減収となった。

 投資マネジメント事業は、売上高309億円(前期比49億円減)、営業損失16億円(前期比96億円減)。米国で同社グループがアセットマネジメントを行うファンドが保有する資産の時価評価額の増加に伴い前期に計上した一過性のフィーが剥落したため。

 設計監理・不動産サービス事業は、売上高732億円(前期比124億円増)、営業利益90億円(同48億円増)。三菱地所設計の設計監理業務や不動産仲介取扱件数増が増収に寄与した。

 2025年3月期業績予想は、売上高1兆5,960億円(前期比6.1%増)、営業利益3,000億円(同7.7%増)、経常利益2,520億円(同4.5%像)、純利益1,730億円(同2.7%増)を見込む。

 年間配当は43円(前期40円)に増配する予定で、毎期原則3円増配(2030年度まで継続)の累進配当を導入する。2030年度は60円以上を見込む。

 決算説明会で同社執行役専務・梅田直樹氏は2025年3月期のマンション計上予定戸数が1,750戸(2020年3月期3,214戸)、新規発売戸数が1,550戸(同2,924戸)に減少することについて「当社だけではないが土地が買えていないのが原因。当社は無理をしていないということ」と話し、「HARUMI FLAG」の事業比率については「幹事会社の三井不動産さんに聞いてほしい」と答えた。

 三井不動産は5月10日、2024年3月期決算を発表。売上高2兆3,832億円(前期比5.0%増)、営業利益3,396億円(同11.2%増)、経常利益2,678億円(同1.0%増)、純利益2,246億円(同14.0%増)となり、いずれも業績予想を上回り、売上高は12期連続、各利益は2期連続して過去最高を更新した。年間配当は84円(前期62円)に増配。

 セグメント別では、賃貸事業は売上高8,150億円(前期比597億円増)、営業利益1,678億円(同180億円増)。前期に竣工した「50 Hudson Yards(米国・オフィス)」の収益・利益の拡大に加え、既存商業施設の売上伸長や「ららぽーと門真・三井アウトレットパーク 大阪門真」の新規開業が寄与した。2024年3月末の単体首都圏オフィス空室率は2.2%(前期末3.8%)。

 分譲事業は、売上高6,276億円(前期比140億円減)、営業利益1,319億円(同138億円減)。国内分譲住宅は増収増益となったが、投資家向け・海外住宅分譲などが前期の物件売却の反動や、米国物件における利上げに伴うキャップレートの上昇などによる評価損の発生により減収減益となった。国内分譲マンション計上戸数は「HARUMI FLAG」(事業比率は非公開)など3,280戸(前期比84戸増)、1戸当たり価格は8,554万円(同1,181万円増)、戸建ては420戸(同増減なし)、1戸当たり価格は8,057万円(同251万円減)。完成在庫は中高層が24戸(前期末は55戸)、戸建てが22戸(同7戸)の合計46戸(同89戸)。国内マンションの次期計上予定の3,650戸に対する契約進捗は84.4%で、過去最高スタート。

 マネジメント事業は、売上高4,628億円(前期比169億円増)、営業利益662億円(同29億円増)。リパークが増収増益となり業績に寄与した。三井不動産リアルティは取扱高1兆9,345億円(前期1兆9,184億円)、取扱件数38,680件(同39,106件)。

 施設営業は、売上高1,945億円(前期比499億円増)、営業利益263億円(同300億円増)。ホテル・リゾートのADRが大幅に上昇したほか、東京ドームの稼働日数・来場者数の増加などが業績を押し上げた。

 次期予想は、売上高2兆6,000億円(前期比9.1%増)、営業利益3,400億円(同0.1%増)、経常利益2,600億円(同2.9%減)、純利益2,350億円(同4.6%像)を見込む。年間配当は30円(前期末84円、同社は2024年4月1日付で1株につき3株の株式分割を行っており、実質的に90円)に増配する予定。

 決算説明会で同社は「HARUMI FLAG」の事業比率は非開示で、都の契約についても回答できないと答えた。

 小池都知事は2019年7月26日、「(HARUMI FLAGの)最終的な住宅分譲販売収入が当初の想定を1%以上上回った場合、増収分の半額を特定建築者が東京都に追納することで合意した」と語っている。

 

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Asu-haus(アスハウス)」モデルハウス

旭化成グループの20243月決算は、売上高2兆7,849億円(前期比2.1%増)、営業利益1,407億円(同10.2%増)となり、セグメント別では「住宅」(旭化成ホームズグループ+旭化成建材)の売上高は9,544億円(同6.2%増)、営業利益は830億円(同10.0%増)となり、旭化成全体の売上高の3分の134%)、営業利益の2分の1超(59%)を占めた。「住宅」の2024年度売上高予想は1兆円、営業利益900億円を見込む。

旭化成ホームズグループは、売上高9,129億円(前期比6.2%増)、営業利益795億円(同7.6%増)で、双方とも3年連続過去最高を更新。セグメント別では建築請負部門は減収減益となったが、不動産部門、リフォーム部門、海外事業部門が増収増益となった。20253月期は売上高9,600億円(前期比5.2%増)、営業利益860億円(同8.1%増)を予想。

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旭化成ホームズは510日、木造戸建て住宅の新ブランド「Asu-haus(アスハウス)」を立ち上げ、同日から販売を開始したと発表。61日には宿泊体験が可能なモデルハウスを東京都日野市にオープンする。

Asu-haus(アスハウス)」は、木造軸組工法(平屋~2階)の切妻屋根で、断熱等級7Ua0.26W/㎡・K以下)、耐震等級3、耐風等級2。坪単価は135万円から。家庭用エアコン1台稼働で快適性が保たれる全館空調を採用。販売棟数は2024年度16棟、2025年度25棟を上限とする限定販売。販売エリアは東京都城南・城西地区、都下の一部。展示場は東京都日野市多摩モノレール甲州街道駅圏(公式サイト:https://www.asahi-kasei.co.jp/asu/index.html/

同社・川畑文俊社長は「2年前から『ニセコミライ』を通じて木造建築のノウハウを学んできた。別部隊を立ち上げてトライアルする。(住宅の木質化は)時代の流れ。どのように評価されるか結果を待って本格参入するかどうかを決める」と語った。

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旭化成ホームズグループの20243月期決算は、戸建て・集合住宅の大型化・高付加価値化が奏功し、不動産部門やリフォーム、海外事業が伸びた。

戸建て・集合住宅の大型化・高付加価値化1000尺は、ここ数年の取り組みから予想できたことだ。2020年に発売された富裕層向けの「RAUMFREX(ラウムフレックス)」に驚愕したが、20234月発売の「RATIUS|GR(ラティウス ジーアール)」も順調に受注を伸ばしたようだ。分譲マンションも利益率が高い都心部へシフトしている。

 今回の木造注文住宅へのチャレンジ・トライアルも全然驚かない。2年間で41棟の受注目標は、1か月で1.7棟だ。戸建て住宅と「木造」は極めて親和性が高い。多分、大楽勝だろう。(モデルハウスをメディアに公開するというから、しっかり商品企画をチェックしたい)

同社は20224月に発表した中期経営計画「2030年のあるべきVision for 2030」で、新ビジネスの仕込みを打ち出した。当時の事業ポートフォリオは、売上高7,865億円(2024年度は9,600億円)のうち「建築請負部門」が51.3%(2024年度は43.5%)、「不動産部門」が23.2%(同23.3%)、リフォーム部門が6.7%(同6.3%)、「海外事業部門」が18.6%(同26.5%)だ。海外事業は大幅に伸びてはいるが、「その他」の部門はほとんどゼロに近い。

木造戸建て事業が「その他」になるかどうかはわからないが、参入障壁はゼロに近く、「へーベル」と「アトラス」のブランド力をもってすれば目標達成は容易なはずだ。

アーチ型天井と列柱の無柱空間に驚嘆 旭化成ホームズ 「新宿」に富裕層向けモデル(2020/6/16

 東急不動産ホールディングスは510日、2024年3月期決算を発表。売上高11,030億円(前期比9.7%増)、営業利益1,202億円(同8.9%増)、経常利益 1,103億円(同10.9%増)、純利益685億円(同42.1%増)となり、売上高、営業利益、経常利益、純利益は、ホールディングス体制への移行前も含めて過去最高を記録。中期経営計画の最終年度である20263月期の営業利益目標1,200億円、純利益目標650億円を2年前倒しで達成した。

セグメント別では、都市開発事業は売上高3,654億円(前期比5.6%増)、営業利益532億円(同9.3%減)。202311月に竣工した「Shibuya Sakura Stage」を除くオフィスビル・商業施設の空室率は1.1%。分譲マンションは「HARUMI FLAG」など1,280戸(前期は2,194戸)を計上し増収となったが減益。期末完成在庫は127戸(前期末200戸)と改善。マンションの次期売上予想996戸に対する契約済み割合は74%(同8ポイント減)。

戦略投資事業は売上高1,080億円(前期比37.1%増)、営業利益151億円(同0.8%減)。再生可能エネルギー事業、インドネシアの分譲マンションの計上戸数増などから増収となったが、北米における費用増加などからセグメント全体では増収減益となった。

管理運営事業は、売上高3,715億円(前期比10.2%増)、営業利益228億円(同85.8%増)と大幅増益。

不動産流通事業は、売上高2,856億円(前期比8.6%増)、営業利益385億円(同14.4%増)と大幅増収総益。不動産仲介取扱高は1,872億円(同230億円増)、仲介取扱件数は30,265件(前期は29,577件)。

20253月期予想は、売上高11,300億円(前期比2.4%増)、営業利益 1,300億円(同8.1%増)、経常利益1,175億円(同6.4%増)、純利益700億円(同2.1%増)。年間配当は32円(前期は31円)の増配を予想している。

 
 
 

 

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「種音(たね)」プロジェクト 

 ブルースタジオは5月11日、練馬区田柄3丁目の新築賃貸住宅「種音(たね)」のメディア・事業者向け上棟時現場見学会を行った。光が丘駅に近いことから宅地化が進み、緑被率が低下しているエリアの地域課題に向き合い、コミュニティ醸成にも配慮した店舗併用賃貸住宅を整備するプロジェクト。見学会では地域住民を対象としたお餅、お菓子まきも行われた。

 物件は、都営大江戸線光が丘駅から徒歩12分、練馬区田柄3丁目の第一種中高層専用地域・第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約1,200㎡、木造2階建てA棟4戸、B棟9戸の合計13戸。店舗兼用住宅/店舗併用住宅の専用面積はA棟が70.16~76.78㎡(店舗・アトリエスペース:23.27〜31.49㎡)、B棟が46.78~69.56㎡(同:10.09・17.64㎡)。建築主はGRAT。建築設計はブルースタジオ、設備設計はEOSplus。施工は大和工務店。竣工は2024年10月の予定。「HEAT20グレード3」の取得を予定している。

 約1,200㎡の敷地に残っている母屋、既存樹木・庭木、漬物石などをそのまま残し、あるいはデザインにと煮込み、原風景の屋敷林の歴史・文化を継承し、店舗併用賃貸住宅によって地域のコミュニティ向上に貢献する狙いもある。

 プロジェクトについて、ブルースタジオ専務取締役クリエイティブディレクター・大島芳彦氏は、「田柄地区は練馬大根の漬物の産地で、戦時中は戦地で重宝がられた軍需産業として栄えた。昭和の40年代ころまでは漬物屋を中心とする屋敷林が残っていた。その後は宅地化が進み、区内でもっとも緑被率の低下が著しい地域となっている。この地域の歴史・文化を継承し、かつ地域のコミュニティを重視する『なりわい賃貸』提案が、オーナーの上野さん(達也氏=42)の『自分たちの敷地の中で家族のように暮らしたい』という意向と一致した。HEAT20のグレード3は賃貸ではそうないはず」と話した。

 同様の店舗併用住宅の小田急バスとの「hocco(ホッコ)」の効果も大きいようで、大野氏は「大手ゼネコンやハウスメーカーとも相談していたが、『hocco』を見学してから計画が進んだ。敷地内に予定している店舗はかみさん主導ですが、私としては酒類も提供したいし、前職のアパレルの経験を生かした古着屋を考えている」と語った。

 見学会には小田急バス取締役不動産ソリューション部長・下村友明氏も私服で顔を見せており、「hocco」の第二弾「深大寺」を着工したことを明かした。

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計画図

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大島氏

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 「hocco」と似たプロジェクトだが、一低層に位置する「hocco」は店舗などの建築は禁止されているのに対し、今回の物件は道路に面した敷地は一中高なので店舗建設が可能になったのが異なる。将来、母屋をどうするかは決まっていないようだが、市の歴史・文化施設として保存するのもいいのではないか。(ポラスの「蔵」がそうだ)

 環境配慮にも力を入れているのもいい。大島氏は「HEAT20のグレード3は賃貸ではそうないはず」と語ったが、同社・水越俊宇氏は「区の指導で緑被率25%を確保するよう求められているが、新たに樹木を植えるので余裕でクリアできる」と語った。記者の希望は最低で30%、できれば40%を目指してほしい。

 賃料はいくらになるかわからないが、1,200㎡(363坪)をわが家の庭のように利用でき、かつて経験したことがない「「HEAT20 グレード3」の居住性を享受でき、地域と緩やかにつながる価値をお金に換算したらいくらになるのか。新築マンションだったら坪単価は300万円はする。賃料をはじいていただきたい。

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手前の漬物石とその奥の庭木も利活用される

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建物の南側のケヤキの大木(藤井氏の熱弁に拍手鳴りやまず 会場100人+オンライン180人 三鷹で講演会記事と一緒に読んでいただきたい)

裏山の借景活かし断熱等級6クリアブルースタジオ賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」(2023/12/26)

爛漫の春満喫「hocco(ホッコ)」イベントに1000名超小田急バス×ブルースタジオ(2022/4/2)

出来すぎだ!焼杉!見どころ多い小田急バス×ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」(2021/10/7)

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「身近な樹木にヒントがあった!【温暖化で熱い路面を20℃下げる方法】を街路樹の研究者に聞く」(三鷹市市民協働センター)

 ミライアクションみたかは5月11日(土)、千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏と特別ゲストに「コモンズの緑を守る全国ネット」共同代表のロッシェル・カップさんを招いた講演会「身近な樹木にヒントがあった!【温暖化で熱い路面を20℃下げる方法】を街路樹の研究者に聞く」を行った。会場となった三鷹市市民協働センターには定員の70人を大幅に超える100人超が参加。オンライン参加者約180人と合わせ約280人が視聴した。予想外の参加者の多さに、主催者は急きょ席を増やしたり配布資料を増刷したりするのに奔走していた。

 講演会は2部構成で、藤井氏は「強剪定はダメ」「枝先は残さないといけない」「(市職員は)素人集団になっちゃった」「左脳は言語論。ここにヒントがある」「地下支柱も問題」「三鷹の宝」「天文台は自然の宝庫」などとトータルで2時間近く熱弁をふるった。講演終了後も人気アーティストのコンサートのように拍手が鳴りやまなかった。

ミライアクションみたかは、三鷹市在住の仲間数人で地域の問題解決のため今年から立ち上げた任意団体。517日から52423時まで、今回の講演会の録画配信を次の通り行う。https://youtu.be/YKHRIwIs6zY

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藤井氏

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 三鷹市の街路樹について藤井氏は、「天文台もそうですし、井の頭もそうです。あれだけの緑地があって、間をつなぐ街路樹をしっかり整備すれば、素晴らしい都市になる。それをぜひ実現していただきたい。三鷹市のポテンシャルは極めて高い。そんなに経費は掛からない。街路樹の剪定の仕方を変えるだけで劇的に変わります。昨日見た隣の武蔵野市の剪定はよくできていた。三鷹市はその点を見直さないといけない。そうすれば仙台がそうなったようにまちは劇的に変わる」とエールを送った。

 最後に藤井氏は、「強剪定された街路樹をみて多くの人々は無意識でストレスを感じているんです。感じていながら気づいていない。これは不幸でしょ。無窓疎石は『山水に得失なし 得失は人の心にあり』と言ってるんです。山水は庭です。庭に良し悪しはないよ、良し悪しは人の心の中にあるんだよと。街路樹もそうです。強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです。だから、木とお互い様だよ、共認している生き物としての感覚でいえば、涼しくもなるし、心も豊かになる。そういう社会を目指そうじゃありませんか」と締めくくった。拍手が鳴りやまなかった。

 ロッシェル・カップさんは、神宮外苑の樹木伐採計画が発表されて以降、同時多発的に同様の問題が起きているとし、イギリス発祥のPark-PFIについて、「イギリスでは不人気なのに、日本は行政が音頭を取って推進している」と批判した。

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ロッシェル・カップさん

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 記者は、10年以上前から「街路樹が泣いている」をテーマに数十本の記事を書いており、藤井先生がどのような話をされるか興味があったので参加した。(講演会の前にもう一つ取材があり、また三鷹駅からの道に迷ったため、第一部の講演会はほとんど聴けなかった)

 会場に入って驚いたのは参加者の数だった。藤井氏とロッシェル・カップさんは〝全国区〟ではあるが、まさか街路樹をテーマにした講演会にこれほど多くの人が集まるとは全然予想しなかった。せいぜい20~30人くらいだろうと思っていた。

 参加者が多様だったのにも驚いた。この種の講演会はお年寄りの女性が圧倒的多数を占めるのだろうと思っていたが、そうではなかった。男女比はほぼ同じで、30代、40代、外国人と思われる人も多く参加していた。市内にある国立天文台敷地内に小学校を移転させる計画があり、敷地内の樹木が伐採されることに反対している住民も多く参加していた。質疑応答に多くの時間を割いていたのもよかった。講演会はこうあるべきだ。

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 藤井氏は無窓疎石の「夢中問答」(岩波文庫)を引用したが、疎石は最近読んだ中村元「慈悲」(講談社学術文庫)にもたびたび登場する。同著には「自己がすくわれるということは、他人をすくうというはたらきのうちにのみ存する」(248ページ)という疎石の考えを紹介している。生きとし生けるものに対する慈しみ=愛は無限であり、自他不二は真理だ。

 樹木の倒壊を防ぐ支柱の整備に関する藤井氏の指摘・問題提起は貴重だ。藤井氏は、支柱を設置していない街路樹のほうが、設置している街路樹よりはるかに成長度合いが大きい調査研究を発表。「樹木は揺れることで成長する」と話した。確か「手荒な環境では、手荒な人間しか育たない」旨の発言もした。

-なるほど。死刑囚などが長期にわたって刑事施設に収監されることによる身体的精神的拘禁反応が問題視されているし、特殊学級教育にも通じることだろう。

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 街路樹の剪定を改めるだけで、街は劇的に変わるという藤井氏の指摘は全国の市町村に当てはまることではないか。緑被率だけを見ると、武蔵野市は24.3%、三鷹市は32.5%だ。三鷹市のほうがはるかに高い。

 武蔵野市のほうが街のポテンシャルが高いのは街路樹整備と無関係ではないと記者は思う。〝街路樹が泣いている〟記事を書くことにしたきっかけは、すべての街のポテンシャルを引き上げてほしいと思ったからだ。いま〝街路樹が泣いている〟をネットで検索すると、かなりの団体がヒットするが、最初にこの見出しを付けたのは記者だと思う。少しは街路樹に対する関心が高まったことに寄与できたかと思うとうれしい。

 今回の講演会参加者が一人でも二人でも今回の藤井先生の話を拡散すれば、ねずみ算に増え、行政を変えることができる。藤井先生は「主役は住民」と語ったではないか。

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三鷹中央通りの街路樹(藤井氏も指摘したように、きわめて貧弱)

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街路樹を拘禁する三鷹中央通りの金属支柱(金具に樹皮が食い込んでいた。何年間も放置されているはずで、市民はともかく、市民代表の市議が問題にしないのは問題。「ケヤキは絶対強剪定してはダメ」と藤井氏が言った三鷹市牟礼の記事も添付する)

街路樹が泣いている ~街と街路樹を考える~丸坊主にされていた三鷹市牟礼のケヤキ⑤(2012/5/15)

氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ千葉商大(2023/12/19)

「まちづくりとはなんだ」専大生によるドキュメンタリー「変わりゆくまち神田」(2024/5/8)

「アレ」を「暗黒社会」「ファッショ」に置き換えた…千代田区の仮処分申立書(2023/12/2)

〝やめてくれよ区長さん千代に千代田のイチョウが泣いている(20230/12/1)

「約束を反故。許せない」住民怒る健全木のイチョウ新たに4本伐採千代田区(2023/2/7)

健全な街路樹を「枯損木」として処分問われる住民自治千代田区の住民訴訟(2022/11/12)

「苦汁」を飲まされたイチョウ「苦渋の決定」には瑕疵続「街路樹が泣いている」(2022/5/14)

民主主義は死滅した千代田区のイチョウ伐採続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)

千代田区の主張は根拠希薄イチョウの倒木・枯死は少ない「街路樹が泣いている」(2022/5/12)

ぶった斬らないで神田警察通りのイチョウの独白続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/11)

なぜだ千代田区の街路樹伐採強行またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10)
 

 

 「HARUMI  FLAG」の板状型計上戸数は2,690戸で東急不動産の持分は12%-これまで杳として知れなかった「HARUMI FLAG」の事業主10社の持分のうち、東急不動産は12%であることが分かった。5月10日行われた同社の2024年3月期決算説明会で担当者が明らかにした。幹事会社の三井不動産(レジデンシャル)は「非開示情報なのでコメントできない」としている。

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 この日(10日)、記者は午前中の旭化成ホームズ、午後は東急不動産ホールディングスの決算説明会を取材することになっていた。旭化成ホームズの決算説明会はこれまで何度も取材しているが、東急不動産HDは、国土交通省記者会で開催するので取材を申し込んだ。

 同省記者会を訪れるのは、耐震偽装にかかわる記者会見が行われたとき以来だから20年ぶりくらいだった。なつかしさかこみあげてきた。

 遅行指標の決算数字は予想されたことであるので、説明を聞いてそのまま帰ろうと思っていた。ところが、決算短信の「当期の分譲マンションは、『HARUMI FLAG』(東京都中央区)、『ブランズタワー大阪本町』(大阪府大阪市)を新規竣工引渡物件として計上した他、…」が目に留まった。

 そこで、ダメもとで次のように質問した。「『HARUMI FLAG』の計上戸数は何戸で、金額はいくらか、御社の持ち分比率は何%か。それと、都との契約では、利益が計画を1%でも上回った場合は協議を行い、利益は折半することになっているが、協議は行ったのかまだなのか」と。

 すると、同社担当者は「HARUMI FLAG」の板状型計上戸数は2,690戸で、持ち分は12%であると回答した。金額や都との協議については「担当者レベルではわかっているはずだが、ここではよくわからない」とのことだった。

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 これで十分。質問した甲斐があった。「HARUMI FLAG」の事業主は幹事会社の三井不動産レジデンシャルを筆頭に、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、東急不動産、東京建物、大和ハウス工業、住友商事、NTT都市開発、日鉄興和不動産の10社だ。

 東急不動産の持分が12%ということは、10社が均等割りでないことは容易にわかる。記者は同社と三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、東京建物は同じ比率、つまり12×5社=60%だろうと読んだ。三井不動産はこの4社を差別することなど絶対にないと断言できる。

 幹事会社の三井不動産レジデンシャルはその働き、貢献度からして最低で20%だと読み、30%はないだろうから約25%と踏んだ。切りのいいところで24%とすれば、残り16%を4社で割れば4%だ。これまた、三井不動産はこの4社を平等に扱うはずだ。同社のさすがなのはこういうところに表れる。

 この数値を板状型計上戸数2,690戸、1戸当たり平均価格7,500万円に当てはめれば、東急不動産は約323戸、242億円だ。同社の「住宅」セグメント売上高1,882億円(前期は1,463億円)の12.9%、「住宅その他」の計上戸数987戸(同508戸)の32.7%が「HARUMI FLAG」であると推測される。「HARUMI FLAG」は少なからず同社の売上げ、利益に貢献していることが分かった。

 これで取材の目的は達せられたのだが、この数字を補強するため、予定に入っていなかった三菱地所と三井不動産の決算説明会の取材を急きょ申し込んだ。

 快く(そうでなかったかもしれないが)受け入れていただいたので、東急不HDに対する質問と同じ質問をした。三菱地所は「確認します」「幹事会社の三井さんに聞いていただきたい」との回答で、三井不動産は「事業会社の持ち分比率は非開示」「都との契約についても非開示」とのことだった。もう1社にも電話で「公表できるのであれば教えていただきたい」と聞いたら「三井さんに聞いてほしい」とのことだった。

 都との協議に入るかどうかは、まだタワーマンションの引き渡しが済んでいないので決まるのは来年度以降になるのではないか。九分九厘、利益折半になると読んだ。

 

 

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