三井不動産「東京ミッドタウン日比谷」開業 初日の入場者は10万人超
オープン前の行列
三井不動産は3月29日、「東京ミッドタウン日比谷」をオープンした。初日の20時時点の入場者数は10万人を超えた。初日の入場者数は31万人の六本木ヒルズや15万人の東京ミッドタウン六本木に及ばないが、昨年オープンした「GINZA SIX」の9万人を上回った。
オープニングセレモニーでは千代田区 副区長・山口正紀氏、TOHOシネマズ代表取締役社長・瀬田一彦氏と同社代表取締役社長・菰田正信氏らが登壇。スペシャルゲストの女優の宮﨑あおいさんが登場し、テープカットセレモニーが行われた。
宮﨑さんかは「CM撮影の3日間は、本当に楽しい撮影でした。大きな階段のある広場であったり、素敵なバーであったり、ここから色々なことが生まれていくんだなというワクワクを感じました」とコメントした。
テープカット
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記者は所用でオープンセレモニーは取材できなかったが、17:00ころに見学した。たくさんの人が行列をなしていた。男女の比率は3:7か4:6で女性のほうが多く、年齢的には中年以上の人が中心だったようだ。前回書いた予告通り3階の理容「ヒビヤ」で散髪をし、地下1階の「BOSTON OYSTER&CRAB」で生カキを食べた。
散髪代は8,100円。ちょっと高いが、日本国憲法第25条を実践する理髪店ということを考えれば〝安い〟と思う人もいるかもしれない。洗髪が抜群で、かなり強く洗ってもらったが、毛が抜ける気配はなく心地よかった。
禿の人は毛か生えてくるのではないかと思った。スタッフの方は笑って「どうですかね」と話したが、まんざらでもなかった。頭皮を刺激したら毛は生えないのか。毛がないのだから洗ってもらう必要もないか。ガハハハハ。
オイスターバーは目当ての的矢カキが入荷していなかったのが残念だが、他のカキは普段食べるカキより確かに美味しかった。
3階のコンセプトが最高 「東京ミッドタウン日比谷」 プレス内覧会に1,000人超(2018/3/22)
スウェーデンハウスの家を建てて絵を描こう 銀座で二人展
左から平尾さん、纐纈さん、ご主人
スウェーデンハウスの家を建てて絵を描こう-こんな見出しがぴったりの絵画展が開かれている。
茨城県竜ケ崎市に住む纐纈(こうけつ)恵子さん(75)と花さん(15)の「ばぁばと孫の二人展」だ。花さんは16年前にスウェーデンハウスの家を建て、さらに7年前にもアトリエとしてもう1軒を隣接地に建てた。そして齢60にして絵画を学び始め、孫の花さんが描いた絵と一緒に二人展を開くことになったもの。
二人展は銀座第7ビル(中央区銀座7-10-16)で3月24日(土)16:00まで。
纐纈恵子さんの作品
纐纈花さんの作品
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二人展の案内状が届いたのは、同社の元広報部長の平尾強さん(66)からだった。平尾さんの奥さんをいくらなんでも「ばぁば」と呼ぶのは失礼で、しかも姓が「纐纈」とあるではないか。ただ、孫の側からいえば平尾さんの奥さんを「ばぁば」と呼ぶのはありかとも思った。
記者は想像力をたくましくし、平尾さんは定年をきっかけに奥さんに捨てられたのだと結論付けたのだが、そうではなかった。纐纈さんが同社の家を建てた後も、平尾さんは纐纈さんのご主人ともども〝お友だち〟としての付き合いが続いており、記者にも案内状が届いた次第だ。
恵子さんは、「最初に家を建てるときは、モダンな家が欲しくて。スウェーデンハウスはデザインが…。しかし、場所が気に入ったので買ったのですが、(高気密高断熱の家は)ものすごく快適」と話した。
恵子さんの絵画は日本画だが、油絵の技法も取り入れた作風が特徴。茨城県の絵画展に入選した実績もある。自宅からの風景画もあった。
花さんは独学で絵を学んだそうで、色鉛筆で描いた金魚は細密画のようで、買い上げが決まった印が付いていた。
恵子さんの作品
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いま住宅・不動産業界のマンション、戸建ては北欧ブームだ。北欧をテーマにした商品を販売している会社を列挙すると三井ホーム、三菱地所ホーム、大和ハウス工業、タカラレーベン…と次々に浮かんでくる。
本家本元のスウェーデンハウスはもっと積極的にアピールしてもいい。
平尾さんとは、二人展の近くにある飲み屋で歓談した。かなり飲み何を話したのか思い出せないのだが、平尾さんは「秤好きのかみさんのお陰で糖尿の数値が劇的に好転し、腹八分目に抑えることが喜びに変わった」「冷酒と親の折檻は後から効いてくると祖母から教わった」「わたしは晩生で、若いとき女性の手など握ったこともなかったが、三重県の松坂に住んでいた先輩を訪ね、お寺に宿泊したが、わたしより2歳下のお嬢さんがいて、住職から翌日連絡があり、〝是非とも婿に迎え入れたい〟と懇願された。あのときイエスと言っていたら、私の人生も変わっていた。お坊さんの資格? 当時は簡単だったようですよ」などと話したことがメモに残されている。
平尾さんは業界紙にも「ちゃんと取材しなさい」などと注文を付けた。なので、業界紙のあり方について近く書く。
これは小生の油絵です
3階のコンセプトが最高 「東京ミッドタウン日比谷」 プレス内覧会に1,000人超
エントランスホール
「東京ミッドタウン日比谷」を3月29日にグランドオープンする三井不動産は、開業に先立つ22日、報道陣向けに施設内覧会を開催した。1,000人を超える報道陣が駆け付ける見込み。
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マンションの見学会にはこの10分の1も集まらないのに、どこからそんなに記者が湧いてくるのか不思議でしょうがない。商業ビルのことはよくわからない。ビルの美しさは竣工時の記者見学会でも紹介したので、そちらを参照していただきたい。
次の「東京ミッドタウン」はどこかについて探りを入れ、おおよその見当はついたが、「書かないで」という約束なので書かない。
6階エレベータホール(無垢材がふんだんに使用されている)
4~5階吹き抜け
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株式会社アルファのクリエイティブディレクター・南貴之氏がコーディネートした3階の7つの異なるショップで構成される「HIBIYA CENTRAL MARKET」のコンセプトが最高に素晴らしい。
そのうちの一つ、理容「ヒビヤ」の3代目の店主・藤井実氏(50)は、「昭和のレトロな店構えだけでなく、昭和の時代には普通にあった憲法25条の理念そのもの、国のありようの根幹をなす公衆衛生の向上・増進をここで実践する。昭和の安心・安全をリスペクトする」と話した。床屋で憲法が学べるなんて最高にうれしい。床屋が大嫌いで、髪が相当伸びている。29日まで待つか。床屋はここに決めた。
記者は憲法第25条に何が書かれているか知らなかった。いま紹介すると「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とある。
有隣堂の「AND COFFEE ROASTERS」がまたいい。237坪のフロアに書籍だけでなく、雑貨や日用品を販売する「Fresh Service」、居酒屋「一角」、イベントスペース「Tent gallery」もあり、全体が昭和のデザインで統一されている。京王線に住む記者が利用するのは沿線にたくさんある有隣堂だが、酒も飲めるのに仰天した。「ここで酒が飲めるんですか」と馬鹿な質問をしたら、同社専務取締役・松信健太郎氏は「死ぬほど飲める」(ただとは言わなかった)と語った。
藤井氏
理容「ヒビヤ」(昔は椅子の肘掛けの部分に灰皿が付いていた。さすがに禁煙とか)
有隣堂(看板はまさに昭和)
一角
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地下1階の「BOSTON OYSTER&CRAB」の前を通ったら、真正面に美味しそうなカキが並べられていた。カキが大好きな記者はまさにパブロフの犬、食べずにはいられない。メニューをみたらわが故郷三重が誇れる世界ブランドの的矢のカキがあるではないか。さっそく1個450円のカキを注文した。(本当は3個くらい注文したかったのだが、この日はタダだったので遠慮した)3個もついてきた。的矢のカキと豊前一粒カキ、兵庫の坂越カキだった。
みなさんは的矢のカキをご存じないかもしれないので少し説明すると、的矢のカキはそん所そこらのカキとはレベルが違う。一言で言えば芳紀まさに18歳、鬼も十八番茶も出花、垂れ乳(垂乳根ともいう)の乳母桜か。小粒で身がしまっておりとても甘い。この前、広島に取材に行って食べたカキとは値段は同じでも雲泥の差だ。ついでながら、他の2つも的矢と甲乙つけがたい味だった。みんな美味しいということだ。
1階の「LEXUS MEETS」には黒山の人だかりができていたが、車にうとい記者はまったく理解できず。赤い車は1,450万円ということだった。高いのか安いのか、カキと違い比較のしようがない。
※この点について、ある同業の記者から「(住宅と自動車は)経済波及効果はいい勝負なのに、どうして住宅ジャーナリストは数が少ないのか? これは我々の問題でもあり、ジャーナリズムを育んでこなかった住宅・不動産業界の問題でもありそうです」とメールを頂いた。近々、自己批判を含めて業界紙について書く予定。
「BOSTON OYSTER&CRAB」左から三重・桃こまち、三重・的矢、豊前一粒カキ、的矢、兵庫・坂越
「LEXUS MEETS」(赤い車は1,450万円とか)
日比谷の新しい顔 曲線美に震えた 三井不動産「東京ミッドタウン日比谷」竣工(2018/1/30)
「暮らしを変える『コミュニティ』の条件」とは アキュラホーム シンポに300名
「暮らしを変える『コミュニティ』の条件」(すまい・るホールで)
京大名誉教授・京都美術工芸大学教授の髙田光雄氏を代表とする「これからの住宅地を考える会」が3月16日、シンポジウム「暮らしを変える『コミュニティ』の条件」を開いた。満席の約300名が参加した。関心の高さがうかがえた。
パネリスト・登壇者は髙田氏のほか、アルセッド建築研究所所長・三井所清典氏、市浦ハウジング&プラニング社長・川崎直宏氏、アーバンセクション代表・二瓶正史氏、横浜市立大学教授・齊藤広子氏。総合司会はアキュラホーム住生活研究所所長・伊藤圭子氏。住宅金融支援機構、都市住宅学会、JAHBnet、アキュラグループが後援した。
「考える会」は、コミュニティ形成が図られ、美しい景観と優れた住環境を維持することができる住宅地開発を促進させるため、住宅地における中間領域(コモン)の整備や管理組合設立、コミュニティ支援の取り組みなどを基礎・事例・実証研究をおこなう目的で設置された有志の会。
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「コミュニティ」は、東日本大震災以後のマンションや戸建て開発、さらにはマンション管理の最大のテーマになっている。記者もこの種のシンポや国交省の会合、マンション・戸建ての記者発表・見学会などに数えきれないほど参加している。数十回に上るはずだ。
それでも飽きることなく参加しているのは、「コミュニティ」とは何かがいま一つ理解できず、大テーマであるはずなのに、企画意図通りに成功した事例に出会えた機会が少ないからだ。その成功事例を見つけるのが記者のいまの取材テーマの一つだ。
一つだけ、その成功事例を紹介する。大震災より7年前も前に〝家族の絆〟をテーマにした2004年分譲の三井不動産レジデンシャル他「パークシティ東京ベイ新浦安」がそれだ。全701戸の専有面積が平均120㎡という圧倒的な広さがあり、様々な提案を行ったのがヒットし、9,000組の来場者を集めわずか3カ月で完売した。
時代が異なると言ってしまえばそれまでだが、いまは強烈な心を揺り動かすような商品企画のマンションや戸建てが少ない。かなり後退していると言わざるを得ない。
なぜか。どうも「コミュニティ」の概念が不明確で、みんな上滑りしていると思えてならない。そもそも「コミュニティ」(コモン)などと英語でしか語られないのが理解できない。コミュニティは海外から持ち込まれた概念だろうが、わが国にも少なくともエネルギー革命が起きた昭和40年までは〝ムラ社会〟〝絆〟は健在だった。「寄合」「講」「無尽」「隣組」などの言葉がそうだ。昔に戻れと言っているのではない。新しい〝ムラ社会〟を分かりやすい言葉で語ってほしい。
今回のシンポでも「コミュニティとは何か」についてはあまり論じられなかった。
パネリストについても感想を率直に述べる。髙田氏、三井所氏、齊藤氏はそれぞれ少なくとも数回は講演などを聴いているので、どのような話をされたかはおおよそ理解できた。
二瓶氏は宮脇檀建築研究室に17年間勤務されており、「高幡鹿島台」「柏ビレジ」「プレステージ21」「シーサイドももち」「季美の森」などを担当されたと聞き、なつかしさがこみ上げてきた。アキュラホーム「若葉台」のランドスケープなどについてアドバイスされているそうだ。
全体的には、今回に限ったことではないが、パワーポイントによる図式などが次々と目まぐるしく展開されるとめまいを起こす。1時間30分にわたり5氏が入れ代わり立ち代わり講演されたので疲れた。どのような状態だったかを紹介する。
-赤くてかわいらしい金魚の口元から、まるでヒバリの愛のさえずりのような美声が発せられると、真綿で耳朶をくすぐられ三半規管に異常を来し、がらくたで満たされた左脳が攪拌され、何を話されたのかさっぱり意味が分からず、右から左へ、左から右へと子守歌のように素通りしていった-(筒井康隆「現代語裏辞典」によると「パネラー」とは「声を出すパネル」とある)
まあ、こんな具合だ。いかに優れた高説であっても、速射砲のように投げかけられると記者のような凡人は消化不良を起こすということだ。
ちあきなおみさんの「四つのおねがい」も多い。せいぜい三つ、できれば一つにしていただければ頭の中にストンと収まるはずだ。大学3年生の女性参加者も「難しすぎて…」と感想をもらしていた。
左から伊藤氏、三井所氏、二瓶氏
左から齊藤氏、川崎氏、髙田氏
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記者は、同社が近く分譲開始する、京王線若葉台の分譲戸建て「ヒルサイドテラス若葉台」のランドスケープデザインやコミュニティ支援の取り組みなどについても言及されることを期待していた。
プロジェクトは、京王相模原線若葉台駅から徒歩17分、稲城市若葉台4丁目に位置する全51区画。土地面積は174.33~247.75㎡、建物面積は90.26~120.27㎡。建物は4月下旬に一部が完成する。売主はアキュラホーム。建物は木造軸組工法2階建て。施工は同社のほか、イトーピアホーム、細田工務店、小田急ハウジング。街の中央に幅員6メートルの曲線道路を通しているのが特徴の一つだ。
シンポジウムの主催は「これからの住宅を考える会」で、構成メンバーが大学教授、建築家などだし、後援に住宅金融支援機構も加わっているので、民間のこれから分譲されるプロジェクトについて触れるのはためらわれるかもしれないが、参加者のうち約8割は一般の方だった。この日、各氏が話したことがどれだけ盛り込まれているのか、あるいはまた実現できなかったこと、課題は何かなどについて意見を交わすのは問題がないはずで、一般の方にも参考になるはずだ。
まあ、しかし、この「若葉台」はいずれ記者見学会も行われるはずだからしっかり取材したい。もう20年も前か、この「若葉台」に近接する戸建ての第1期分譲にはお客さんが殺到し、細田の施工物件は確か数十倍(100倍くらいだったか)の申し込み倍率がついたはずだ。
全701戸が平均120㎡ テーマは「家族の絆」来場者9000組 3カ月で完売「パークシティ東京ベイ新浦安」
〝宮脇檀さんにまた会えた〟 積水ハウス「コモアしおつ」(2013/9/14)
画竜点睛を欠く〝世界のトヨタ〟の豊田市営「樹木住宅」に樹木は3本のみ
「市営樹木住宅」
ナイスは3月19日、愛知県初のPPP(Public Private Partnership)方式による豊田市の「市営樹木住宅」が完成したのに伴う見学会を報道陣向けに行った。
物件は、名鉄豊田市駅から徒歩15分の高台に位置する敷地面積約8,032㎡、延床面積約2,826㎡の全11棟48戸。建物は木造軸組工法(パワービルド工法)で、専用面積40㎡の平屋建て3棟14戸、55㎡の2階建てメゾネット8棟34戸。4月1日から入居が始まる。
同社が提案した「市営樹木住宅」は、「森でつながる街~豊田市産材~スマートウェルネス住宅」がコンセプト。耐震等級3の耐震性を備えるなど基本性能を高め、市の中心部を流れる矢作川の流域材や愛知県産材のスギ約120立法メートルの木材を内装に使用し、地元の三州瓦を採用したプランが高く評価された。
また、コミュニティ形成を支援するため街の中心部に「樹木広場」を設置、多世代が交流できるような仕掛けも施している。
居室の壁に張られた愛知県産材のスギ
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片道約3時間、わざわざ取材した甲斐があった。画竜点睛を欠く-この言葉がぴったりの市営住宅だ。
素晴らしい出来だ。京都「建仁寺」の庭をほうふつとさせる簡素な佇まいが何とも言えない。美しい石庭そのものだ。敷地は建蔽率60%、容積率200%の地域だが、物件は建蔽率20%、容積率30%しか消化していない。敷地面積を単純に戸数で割ると1戸当たり50坪もある。家賃も2~3万円くらいだから、入居者にとってはありがたいはずだ。
ところが、敷地内に植えられている樹木は樹高にして1~2mくらいのシマトネリコの3本しかない。
敷地の法面などに芝生が植えられてはいるが、あとはコンクリート洗い出しと、防草シートが張られた砂利が敷地全体を覆っている。「樹木団地」に樹木がない、洒落にもならないではないか。仮に1戸100㎡として8,000㎡なら80戸の戸建てが建つ計算だ。ここに3本しか樹木が植えられていない-こんな住宅地は絶対ない。
この落差は何か。貧困な植栽計画はなぜか。工事を担当した同社の社員は「木と住まいを標榜する当社としては…下っ端のわたしには答えようがない」と言葉を濁した。
なので、この疑問をストレートに事業を管轄する同市都市整備部定住促進課課長・岡田茂克氏にぶつけた。岡田氏は次のように語った。
「この住宅は一団地認定を取得しており、その認定基準である緑化率3%を法面に芝生を張り巡らすことで6.2%まで高めている。(シンボルツリーが少なく、防草シートを埋め込んでいることについては)入居者の負担を軽くするために管理費を抑えるようにした」
完璧の答えが返ってきた。
いうまでもないことだが、豊田市は〝世界のトヨタ〟が本社を構える企業城下町だ。平成28年度の収入約1,954億円のうち約62%にあたる1,278億円が固定資産税、法人住民税、個人住民税などだ。もちろん財政力は愛知県トップで、全国でもトップクラスにある。市が作成したパンフレット「豊田で暮らそう」には、子育て・住民サービスなどが他と比べ充実していることが書かれている。
そんな全国の模範となるべき自治体の市営住宅の「樹木住宅」に樹木が3本しかないというのはどういうことか。隣接地には「樹木神社」があり、たくさんの巨木が植わっており、また、寺の竹林の借景が美しい。しかし、四囲に緑があるから、団地内はなくてもいいということにはならないはずだ。
専用の駐輪場がまた素晴らしい
隣接する「樹木神社」(奥に市営住宅が見える)と駐車場の奥の竹林の借景
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「市営樹木住宅」の狙いはもう一つある。岡田氏によると、同市は若年層の人口は流入するが、25~40歳の人口が流出傾向にあり、それを食い止めるため、市営住宅には10年間の定期借家制度を導入して「家族形成期支援住宅」20戸を盛り込んだ。家賃は年収条件にもよるが最低22,800円で、最高でも45,800円だ。
ところが、現段階で空きがある11戸のうち9戸がこの「家族形成期支援住宅」だ。岡田氏は「入居開始時に100%の入居率を目指したが、募集を開始したのが1月で、子育て世代には遅すぎたかもしれない。これから検証する」と話した。
〝世界のトヨタ〟がある豊田市でどうして25~40歳の人口が流出するのか。これまた不思議だ。地価が暴騰してトヨタの社員が住めなくなる-ということではないような気がする。
豊田市駅の線路沿いにある遊歩道の水路では、産卵のためか大きなおなかをした鯉が横になっていた。隣は雄の鯉か。老いらくの鯉は成就したのか
〝楽しかった そだねー〟 ポラス+大妻女子大ら「オランジェの春の運動会」に160名
「オランジェの春の運動会」
ポラスグループの中央住宅は3月17日、NPO法人越谷市住まい・まちづくりセンター、同集住グリーンネットワーク、大妻女子大学環境教育学研究室(甲野毅准教授ゼミ)と連携して松戸市新松戸で「オランジェの春の運動会」を開催。49世帯約160名が参加した。参加者は「楽しかった」と口々に感想を語った。
「オランジェ新松戸」は、松戸市の小学校、中学校跡地の有効活用事業として公募型プロポーザルで選定された街で、「小学校跡地」は若い世代を呼び込む街として38戸が、「中学校跡地」は永住をテーマにした街として61戸の合計99戸がそれぞれ2016年に分譲された。入居後も街のコミュニティを育むためにワークショップをそれぞれの分譲地で開催してきたが、NPOや同研究室の提案を受け、双方のコミュニティを醸成するのに運動会がもっともふさわしいとして実施するもの。
この日は、「中学校跡地」の松戸市民交流会館グラウンドに集まり、ラジオ体操から父母も参加するクイズや玉入れ、綱引き、お父さんリレーなどを行った。
「オランジェ新松戸」は分譲時に取材している。その記事を参照していただきたい。ランドスケープデザインが優れ、戸建てプランもよくできており、無垢材をふんだんに用いた内装が際立っていた。
あれから3年。東京でサクラの開花が宣言されたとはいえ、まだ肌寒いこの日に全99世帯のうち半数に達する49世帯が参加するなど信じられない多さだった。
関係者の努力に頭が下がるが、それぞれの居住者が自主的に運動会を選択したことに価値があると思う。秋にも景観木の剪定を兼ねたイベントを行う予定だという。
甲野ゼミは同社の蔵を生かした越谷市の街づくりに関わった縁から今回の企画に参画。甲野氏は「地域環境、社会環境を学び持続可能な社会を実現するための企て、問題提起をするのが目的」と話した。
参加したゼミ生は3年生の12名。「初めて経験したので最初は戸惑いもあったが、とても楽しかった」「私の住むマンションにはこのような活動はない」「こういう街なら住んでもいいかも」などと話した。
(皆さんは役者だ。進行役の方は「初めて」だったようだが、ラジオ体操では片手にマイクを握り、「あれ、次何だっけ」と間違って見せ、綱引きでは1歳の子どもを抱えた女性も加わるほどの盛り上がりを演出した。どこかで聞いたような声だと思ったら、あの北海道北見市のカーリング女子そのものだった。「みなさんは北見市出身」と聞いたら「多くは埼玉県」だそうで、図に乗って「そだねー」を連発していた。座学では絶対学べない多くのものを学んだのは間違いない)
同大学はてっきりわが多摩ニュータウンにあるものだと思っていたが、マンションの坪単価が700万円を突破する千代田区三番町の一等地に千代田キャンパスがあることをすっかり忘れていた。甲野ゼミも千代田キャンパスにある。
ラジオ体操
玉入れ
綱引き
甲野ゼミの皆さん(前列右端が甲野氏)
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記事の本旨は「オランジェ春の運動会」だが、以下の坂川放水路の土手に咲いていた雑草の名前もぜひ覚えていただきたい。
左は、書くのもはばかられる「オオイヌノフグリ」、右は記者も知らなかった「ハキダメギク」だそうだ。
オオイヌノフグリは、この時期、どの雑草より早く芽を出し春を告げ。花はマメ粒しかなく、花芯は白く外周に向かって淡いコバルトブルーの色に変わる。1日でしぼむ、実に可憐な花だ。
なのにどうしてこんな可哀そうな名前が付けられたのか。種子が犬の〇〇〇に似ているからだそうだが、まあ、言われてみるとそうかもしれない。
ハキダメギクは、最初見たときヨモギだと思った。わが多摩センターのヨモギとはやや姿かたちが異なっていたが、松戸の固有種だろうと勝手に解釈して、茎を摘んで参加者に教えてやった。「俺はこれでヨモギ餅を作ったんだ」と。
ところが、ポラスの広報マンが「これはヨモギじゃない。タンポポの種類だ」と異議を唱えた。
たまには正鵠を得る鋭い指摘をするこの広報マンの指摘に記者の自信が崩れた。噛んでみた。確かにあの独特の香味はなかった。そこで、いかにも田舎育ちと思える近くにいたおじさんに聞いた。「そう、これはヨモギと仲間のキク科。ハキダメギク。食べられる? 食べないほうがいい」「えっ」すぐ吐き出した。
それから数時間。いま、腹痛も神経マヒも起こっていないので、無害なのだろう。トリカブトの仲間でないのは間違いない。
ネットで調べた。「植物学者の牧野富太郎氏が、世田谷の経堂の掃きだめでこの花を見つけ、『掃きだめ菊』と名づけた。チッ素分の多いごみ捨て場や、空き地、道ばたなどに生える」とあった。チッ素と言えば水俣病だ。「食べないほうがいい」といったおじさんは造園が本職のNPO関係者だった。年齢は70歳。さすがだ。名前を聞いたが、教えてくれなかった。残念。
傍にいた美しい女性は奥さんで、「雑草には詳しくない」と言いながら「ルリカラクサのよう」とのたもうた。これもネットで調べた。奥さんが言ったのは「オオイヌノフグリ」の別名で、はしたない言葉を口にしたくなかったのだろう。「ルリ」は「瑠璃」に違いない。
松戸の子どもたちよ、街に出よう。野原には記者のような感性豊かな人間に育ててくれる自然がある。毎日新しい発見がある。
そして考えてほしい。どうしてあの可憐な花に「〇〇〇」などと汚らわしい名前を付けたのか、牧野富太郎ともあろうものがハキダメギクなどと可哀そうな名前を付けたのか-記者は「〇〇〇」を見るにつけ、人間の想像力、表現力の貧しさを思い知らされる。
よく見ると、ハキダメギクは確かに若葉にしては乙女のような恥じらいも溌溂さもない、くすんだ色をしている。これも考えてみれば、犬の〇〇〇と共生し、なおかつ牛馬に食いちぎられないようまずそうな色形になる自己防衛策かもしれない。
オオイヌノフグリ(左)とハキダメギク
住友不動産販売元会長・社長の岩井重人氏(享年87歳)の「お別れの会」
去る1月6日、肺炎のため死去した住友不動産販売元代表取締役会長・社長の岩井重人氏(享年87歳)の「お別れの会」が3月12日、都内のホテルで行われた。主催者の同社代表取締役社長・田中俊和氏をはじめ、多くの関係者が最後の別れを告げた。
田中社長は礼状で「仲介業務で後発だった弊社の業績を著しく伸長させ、直営仲介ナンバーワンのリーディングカンパニーへと押し上げると共に、平成10年に東証二部上場、12年には一部上場を果たし…『不動産流通経営協会』と『東日本不動産流通機構』の理事長として、様々な課題に積極的に取り組んでまいりました」と岩井氏のこれまでの功績を称え、「弊社はこれからも故人が実践しておりました『顧客第一』の精神をしっかりと心に刻み、今後も社業の伸展に努力していく所存でございます」と認めた。
東急ハンズ「7人の店主」始動 金指会長また絶妙トーク 東急不HDが記者懇親会
西氏(左)と藤田氏(ザ・キャピトル東急ホテルで)
東急ハンズ新宿店が3月からリニューアルを行い、新プロジェクト「Hi! Tenshu(ハイテンションで語る店主に会いに行こう)」をスタートさせた。
「モノ提案」「コト提案」を支える「ヒト」に注目し、シューケア、メンズコスメ、眠り、ホビーなど店内に6つのコーナーを新設し、それぞれ超個性的なスタッフ(店主)の知識と豊富な品ぞろえで、お客さまの相談・悩みに応え、新たな暮らし提案を行っていく。
3月9日に行われた東急不動産ホールディングスの恒例の第39回記者懇親会で、同社・木村成一社長は「7人の店主でスタートさせたが、9月には20人の店主に増やす」と話した。
左から木村社長、藤田氏、西氏
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何ごとが始まるのかと思ったら、〝おとこっぷり商店〟の店主・西智氏(57)と〝輝く足元商店〟の店主・藤田康雄氏(58)が登場し、会場内に設けられたミニ店舗でデモンストレーションを行った。
西氏は、写真の通り、記者がイメージする〝かっこいい男〟とはほど遠いごく普通のおじさんだった。ご本人に聞いた。「おとこっぷりとは、今以上に自信が持てる男。まず健康であること、元気でよく動くこと、色つやがよく、目がぱっちりであること」と話した。なるほど、記者とは真逆の男だ。
藤田氏は、10万円もするというピカピカの足元のブーツだけでなく、頭までもピカピカに輝いていた。「生まれたのは1960年、安保の年。この仕事は1980年からやっている。ブーツ? きちんと手入れすれば20年ははける」と自信たっぷりに指南した。記者はじっと自分の足元を見つめた。
ハンズはすごい。ある東急不動産の社員も「不動産はハンズの子会社かと思った」そうだ。
左から木村社長の靴(28センチ)、記者の靴(24センチ)、10万円の藤田氏のブーツ
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昨年の記者懇親会で、別掲の通り「このままでは生き残れない業界紙」などと衝撃的な中締めを行った同社代表取締役会長・金指潔氏の〝続編〟が聞けるかもしれないと、録音機(ボイスコーダーと呼ぶそうだ)を用意し、手ぐすねを引いて待っていたが、「(昨年のようなことは)話すなと言われているんだよ」と事前に打ち明けた通り業界紙のことについては触れずじまいで、何を話したのかさっぱりわからなかった。録音機も雑音と参加者の笑い声しか入っていなかった。
金指氏は昨年話したことは覚えていたが、記者がそのまま記事にしたことや、その後の展開がその通りになったことまで正確には把握されていなかった。
ここまで書いて、同業の記者が助け舟を出してくれた。金指氏は次のようなことを話したそうだ(この記者の方に感謝したい)。
「昨年は業界紙が倒産するみたいな話をしたら本当に…今年は○○〇か、それは冗談として、見渡すと未だに化石みたいな人たちがいる(誰のことを言っているのか。記者も視界に入っていたのか。金指氏は72歳。早大卒だから、吉永小百合さんと同窓の同年)。わがグループは若い人が頑張っている。応援してほしい。月曜日はいい記事が出ると期待している。お土産の靴磨きは5,000円。皆さん飲んで食ったでしょう。分かりましたか? 」(確かに「飲んで食ったでしょう」だけは覚えている。ワインは10杯くらい飲んだが、話すのに夢中で食べたのは3皿くらい。靴など磨いたことがない。月曜まで待っていられない。記者は早い者勝ち)
積水ハウスはこの日、代表取締役の70歳定年制を決めたと発表した。記者はこれに納得できない。年齢は全然関係ない。ピカソは90歳くらいまで精力的に創作活動を続けたし、土光敏夫氏は91歳で亡くなったが、89歳まで行革審の会長を務め、行政改革の先頭に立った。わが三重県出身のライフコーポレーション会長兼CEO・清水信次氏は91歳で、日本チェーンストア協会の会長を務めている。今年5月の総会で小浜裕正会長代行(カスミ会長)が会長に就任するそうだが、小浜氏も76歳だ。金指氏は、絶対に自ら辞めるとは言ってほしくない。ある会社は〇〇賞の授賞を考えているようだ。
肝心なことを書き忘れていた。これを書かないと来年は金指会長からレッドカードを突き付けられそうだ。東急不HD社長・大隈郁仁氏は、昨年5月にスタートさせた2020年度を最終年度とする中期経営計画は経営課題としているESG(環境・社会・ガバナンス)マネジメントをはじめ計画通り進捗していると話した。
金指氏
大隈社長
「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)
東急不動産・鹿島建設 九段会館建て替え 一部外観を保存
完成予想図
東急不動産と鹿島建設の両社が出資する合同会社ノーヴェグランデは3月9日、千代田区九段南一丁目の九段会館について、国との間で合意書を締結し、70年間の定期借地による一部保存・建替え事業に着手したと発表した。
九段会館は1934年(昭和9年)に完成。「帝冠様式」と呼ばれる外観的特徴を備え、昭和初期の時代性を表現している建築物として知られる。
建て替えでは、「帝冠様式」の特徴をよく表す建物北側と東側部分をL字状に保存して活用。保存部分は免震レトロフィット工法の採用、劣化したコンクリートの補修対策、外壁のスクラッチタイル落下防止対策などを施し創建時の姿を復原・保存する。
敷地面積は約8,765㎡、地下3階地上17階建て延べ床面積約69,024㎡の事務所、店舗ビルとなる。設計は鹿島・梓 設計・工事監理業務共同企業体。施工は鹿島建設。竣工は2022年7月の予定。
同会館は、東日本大震災でホールの天井板崩落で死傷者が出たことから営業を停止していた。
東日本大震災から7年 太平洋岸エリアの人口減続く 女川町は4割減
2011年3月11日の東日本大震災からちょうど7年となる。被災太平洋岸エリアの人口は減少傾向が続いており、震災前と比べ宮城県女川町は40%も減少し、南三陸町も約34%減となっている。岩手県では山田町、大槌町、陸前高田市が20%を超える減少率で、被災エリア全体では県全体の減少率5.7%を大きく上回る13.3%に達している。人口が増加しているのは仙台市、名取市、利府町、岩沼市、いわき市、相馬市の6市町にとどまっている。
別表は震災被害を受けた太平洋岸39市町村の人口動態を見たものだ。今年2月1日現在、人口は約252万人となり、昨年同月比で0.5%減少した。震災前と比べると2.8%減少している。
都県別では、岩手県の被災エリアの減少率が高く、震災前より13.3%も減っている。宮城県は仙台市や名取市などで増加していることなどから被災エリア全体では0.4%の減少にとどまっている。福島県の原発エリアの人口は住民基本台帳による人口で、実態は不明。