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平成30年「新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)

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平田代表

 ナイスパートナー会連合会とナイスは1月26日、恒例の平成30年「新春経済講演会」を行った。関係者ら約1,600名が参加した。

 冒頭、ナイスグループ・平田恒一郎代表がグループの概況と取り組みについて講演し、日本経済・業界動向について「職人・材料不足、資材高騰などの懸念材料があり、世界の様々な政治リスクがあり、何が起きるかわからない不安材料もあるが、イノベーションが成長を促す。今年はデフレからインフレに向かうのではないか」と述べ、「〝清く正しくまじめなナイス〟を掲げ、環境・耐震・健康の3つのキーワードで『素適革命』を加速させ、『素適開花』させるべく未来にワークする。当社には現場力と理念の武器がある。ナイス真・次元の年にしたい」などと語った。

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 以下、パネルディスカッションに参加したパネリスト各氏の今年の住宅着工戸数、株価予想、景気動向などコメントを紹介する。(50音順)

 SMB建材・角柄明彦社長 経済は緩やかに回復。人手不足、物流コストアップなど懸念材料はあるが、オリンピック・パラリンピックに向け消費マインドはプラスに働く。住宅着工は後半に消費税アップに伴う駆け込みもあり97万戸くらいとみている。株価は25,000~26,000円、為替は115~120円。〝自国主義〟が跋扈するのが怖い

 セイホク・井上篤博社長 エコロジーを推進するナイスさんはエコ贔屓する。株価はわが国への投資が増えそうで27,000円。住宅着工は92万戸と低めに見ている。輸入を減らし、国産材を採用した合板をフル生産し、森林・林業再生に貢献したい

 大建工業・億田正則社長 住宅着工は後半に伸び96~99万戸。日経平均は米国の株価の伸びなどから換算して27,840円もありうる。この業界に人が入ってこないので、働き方改革も進める

 TOTO・喜田村円社長 当社は昨年、創業100周年を迎えた。住宅着工は分譲が高くなりすぎなので95~96万戸ていど。株価は26,000~27,000円で落ち着く。中国経済は底堅いものがある。省エネは消費者に分かりやすいアプローチを考えている

 ニチハ・山中龍夫社長 経済は別だが政治状況がひどい。注意する必要がある。原油高、資材高、金利高も懸念材料で、目先の株価は27,000円もあるかもしれないが後半まで持つか。規制緩和の副作用も怖い。そうなると22,000円に戻る。住宅着工は94~95万戸が着地点。職人不足がこたえてきた。サイディングのプレカット? 実現すれば爆発的に広がる

 パナソニック エコソリューションズ・北野亮社長 悲観材料見えにくい。株価が下がるとは考えていない。3万円もあるかと考えたが、25,000円と予想しておく。住宅着工は前年並みの95万戸。スマートスピーカー? 当社は予定ない。今更(参入しても)勝ち目はない。景気はオリンピック後の2025年には崖があるのではないか

 吉野石膏・須藤永作社長 住宅着工は96.5~95万戸。マンションは価格が上昇し買い控えが進む。賃貸は過剰だが、後半に向け全体として回復する。株価は27,000~28,000円(別掲の石こうボードの値上げを示唆した記事参照

 LIXIL・大坪一彦副社長 グループ再編を進める。新生LIXILの年。価格制度を変更する。キッチン、バスルームなど水回りが好調。水晶7割、石3割のハイブリッド新商品も投入する。スマートエクステリアにも力を入れる。着工は強気も考えたが96万戸くらいにしておく。株価は経済成長率などから判断して25,000円くらい

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パネルディスカッション後の懇親会

カテゴリ: 2017年度

 先日、同じ団塊世代の先輩社員が「牧田さん、このコラムどうですか」と1月23日付「住宅新報」を読むよう促した。

 それは、「不動産屋の独り言 賃貸現場の喜怒哀楽」というタイトルがついた、〝元官僚の傲慢さにあきれる 更新通知の度に訪問命令〟という見出しのコラムだった。以下、概略を紹介する。

 このコラム氏が社長を務める会社の管理するマンションに元官僚が住んでいた。更新時になると「そちらから来なさいよ」と元官僚が言うのだという。

 そして、コラム氏は想像をたくましくし、「このような横柄な態度は役人時代の習慣によるのだろう」と解釈し、「勤めていた頃はいつもふんぞり返り」「接待攻勢も受けていたことだろう」と言い切る。「特権階級意識を退職後まで持ち続ける役人は大嫌いである」と私憤をぶちまける。

 さらにまた、保険会社の代理店社長の女性から「更新通知が届いたけれど、こちらは家賃を払っているのだからそちらから手続きをしに来なさいよ」と高圧的に言われたことがあり、その仕返しであるのか、敷金精算時に家主負担か入居者に請求すべきか迷うものはすべてその女性に請求したのだと恐ろしいことを平気で書く。

 その一方で、「上から目線でものを言わず、せめて対等に接してくれれば言われなくても様々な便宜を図る」と、言外にこのコラム氏は優しいとほのめかす。

◇       ◆     ◇

 賃貸には興味がない記者はこれを読んで特段の感想はなかった。「こういう人もいるんですかね」と返した。すると、先輩社員は「これは本末転倒ではないか。お客さんのところに出向くのが当たり前」と鋭い一発を放った。

 「…ン」-この一言にやや大げさだが、まるで稲妻に打たれたような衝撃を受けた。鈍麻した記者の頭を揺さぶった。いっぺんに目が覚めた。「そう、仰る通り。訳が分からぬ礼金、更新料は徴収すべきではないというのが30年も昔からの私の主張」と口走っていた。

◇       ◆     ◇

 コラム氏は自ら〝不動産屋〟とわざわざタイトルに付けるように、〝不動産屋〟には八百屋、床屋とはまた違った意味が込められていることを承知の上で書いているはずだ。ならばこれはもう威風堂々の増上慢、夜郎自大、うめぼれ屋だ。

 「礼金」「更新料」などの時代遅れの商習慣にすがりつき、死守しようとするコラム氏のような賃貸管理会社が幅を利かせる限り、賃貸を脱出して分譲住宅を購入する人が後を絶たないという流れは不変だ。

 空き家820万戸の半分以上、関東都市圏に限れば65%は賃貸という現実を業界関係者はどう考えるのか。

◇       ◆     ◇

 私事だが、10数年前、埼玉の賃貸アパートに住む友人から相談を受けた。それまでの個人の管理業者からは「このご時世ですからね」と1カ月分の更新料は据え置きだったのが、その方が亡くなり別の管理会社に交代した後の更新時期に50%近い更新料の値上げを要求されたのだという。

 直情径行が過ぎるのが欠点ではあるのだが、記者はその管理会社に赴き、「更新料の徴収は時代遅れの商習慣。やめるべきだし、値上げするしないは貸し主、借主双方が話し合って決めるべき。一方的な値上げ通告は納得できない」とねじ込んだ。

 業者は「あなたのような方は初めて」と最初は拒否の姿勢を示したが、結局、据え置きにした。そのあと、礼金や更新料は徴収しないことと定めた東京ルールが施行された。(埼玉県はどうなっているのか知らない)

◇       ◆     ◇

 賃貸借契約において「礼金(key money)」「更新料(renewal fee)」なる訳の分からない商習慣をやめよという記事はこれまでも書いてきた。中国や韓国には「礼金」「更新料」なる概念がそもそもない。「key money」やら「renewal fee」などと英語に訳したところで、通じるのか。そこで、賃貸管理に詳しい業界の方に聞いてみた。次のような返事が返ってきた。ほぼ全文を紹介する。

 「礼金は日本でも首都圏だけだと思います。大阪は敷引きでいまでも数カ月分取っていると思われます。東京(都心部)はマーケットの状況に左右されるのが実情です。ここ数年は7割以上で礼金1カ月は取れている貸し手市場です。礼金2カ月で募集しているところもあります。一方、外国人エキスパッツ向けなど超高額帯は募集時に礼金はないのが一般的です。逆に、借り手市場の時は礼金なしにするキャンペーンが盛んに行われます。
 よって、訳の分からない商習慣というのは言い過ぎだと思います。もともと住宅供給が少ない時代のお礼というのが由来です。今の『供給<需要』のマーケットは言ってみれば同じ状況です。そして結果的には市場で受け入れられているのが現実です。
 礼金がない世の中になれば、借り手は借りやすくなります。借りやすくなれば、転居が増え、経済活動が活発になりますね(仲介、引っ越し、家具等の業者も潤います)。なので、立場的には礼金なしは賛成です。貸主業での考え方は真逆です。取れるものは取りたいということです。
 次に更新料はなんとも言えないです。借り続けてもらえるのはどちらにもメリットありです。なのに借主側はなぜ更新料を払わなければならないのか…と思います。更新料を取るならその分で何かしらのリニューアルをするのが本来の筋だと思います。外国人はこの辺はしっかりしています。権利主張ですね。更新時の賃料増減やマーケット相場にも連動することがあるので、そもそも絶対ではないと思います。例えば更新料ナシになるなら更新しますと言う具合です」

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須藤氏

 吉野石膏・須藤永作社長は1月26日、石膏ボードの値上げを検討していることを明らかにした。「原材料はものによっては20%上昇している。それに人手不足は深刻で、(価格を抑制する)企業努力の限界を超えている。できれば値上げしたい」と、ナイスとナイスパートナー会連合会が合同で行った「平成30年新春経済講演会」のパネルディスカッションで語った。

 その理由として配送コストの上昇を指摘。「運転手を募集しても集まらないし、採用してもすぐやめる。(ビルなどの)非住宅は問題ないが、アパート、戸建ては4トン車で運転手1人が運び、荷下ろしを行う。現場には大工さんなどがいても手伝ってもらえない。建築主に荷下ろしについて応分の負担をお願いしたい」と理解を求めた。

  コーディネーターを務めたナイス・平田恒一郎社長に再度コメントを求められた須藤氏は「(エコ住宅に取り組んでいる)ナイスさんはエコひいきしたいが、(値上げの)話はさせていただく」と決意が高いことを示した。

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「平成30年新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)

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 いったい戸建てなどの住宅にどれくらいの量・重量の石こうボードが使用されているのか、全体のコストに占める割合がどれくらいなのか全く知らないが、記者などは持ち上げられる重量はせいぜい20キロまでで、運ぶとすれば10キロが限界だ。

 4トン車といえば、相撲取り(平均体重164キロ)にすれば約24人分だ。これだけの量と重さのある石こうボードを一人で荷下ろしするその労働が過酷なものであることは十分理解できる。

 マンションなどと比べ戸建ての建築費は比較的安定して推移しているが、約85%のシェアを占める同社が値上げに踏み切れば他社も追随するのは必至で、他の建設資材に波及することも十分ありうる。

 石こうボードは防火性に優れ、安価であることからあらゆる建築物に使用されている。

 

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「GEMS茅場町」(左)と「GEMS神宮前」

 野村不動産は1月24日、都市型商施設「GEMS(ジェムズ)」シリーズの6棟目となる「GEMS茅場町」を3月16日に、7棟目の「GEMS神宮前」を4月27日にそれぞれ開業すると発表した。

 今年は、今回の茅場町、神宮前を含め、三軒茶屋、新橋、新横浜で開業する予定で、関西エリアでも初の開業する予定。

 2012年にブランド第1号「GEMS渋谷」を開業して以来、開発案件は15棟、店舗数は136店舗となる。今後の開発予定の投資額は約200億円。

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第2回「住宅団地再生連絡会議」(すまい・るホールで)

 「住宅団地再生」に関する研究調査報告、意見交換を行う第2回「住宅団地再生連絡会議」が1月23日行われ、広島市、東京藝術大学准教授・藤村龍至氏、千葉大学准教授・鈴木雅之氏(NPO法人ちば地域再生リサーチ事務局長)、NPO法人さくら茶屋にししば、大分市、大阪府住宅供給公社、近鉄グループホールディングス、豊明市・UR都市機構・藤田保健衛生大学の8つの先進事例が報告された。参加者は約260名。

 広島市は「負のスパイラルに陥らないよう、空き家が発生する初期段階で効果的な対策を行う必要があることを強調した。

 藤村氏は、自治会活動の有無が再生の取り組みを左右する事例として「鳩山ニュータウン」「椿峰ニュータウン」「白岡ニュータウン」など大規模民間団地の事例を報告。マルシェ、住み開きが再生のカギを握ると強調した。

 鈴木氏は、千葉県・海浜ニュータウンの高洲・高浜エリアでの産官学の取り組みを紹介。「成功するのは3割。失敗することのほうが多いが、試行錯誤も必要」と話した。

 大分市は、公助、共助、自助の取り組みを通じて空き家を劇的に減らしたモデル団地「富士見が丘団地」の事例を紹介した。

 大阪府住宅供給公社は、堺市の補助事業や民間のDIY会社と連携して、2戸を1戸にリノベし、約90㎡の賃貸住宅にリノベして成功したことを報告した。

 近鉄ホールディングスは、奈良県生駒市と連携し、「暮らしと住まい」の両輪から問題解決に取り組んでいると紹介。仮想地域通貨の社会実験が予想以上の効果を上げていることも発表した。

 藤田保健衛生大学は、「生活現場で学ぶ」ことが教育の一環として、教職員(10名)、学生(50名)がURの賃貸に入居し、住民らと地域包括ケアを実践していることを報告した。

 国土交通省は昨年行った団地住宅の実態調査結果について、面積が5㏊以上の住宅団地は全国で2,886団地、約19.4万㏊存在し、そのうちの約6割の自治体が問題意識を持っているが、団地再生の取り組みを実施しているのは予定を含めて3割に過ぎないと報告した。 

◇       ◆     ◇

 8つの先進事例で一番面白かったのはNPO法人さくら茶屋にししば・岡本溢子氏(74)と阿部茂男氏(68)の報告だった。

 NPOは、横浜市金沢区西柴にある西武不動産が開発した全1,800戸の「西柴団地」の居住者らが組織するもので、「アンケートによると70歳代、80歳代が50%以上で、60歳代を加えると80%以上」「日本全体の数十年先を歩んでいる」(岡本氏)すさまじい超高齢化住宅地だ。

 市の補助事業に応募して当選して活動を始めたのが8年前。以来、日替わりランチや総菜販売、喫茶サービス、手作りパンなどを販売する「さくら茶屋」のほか固定収入となるレンタルボックス、朝塾や夜話会、趣味の教室、子どもの居場所、認知症カフェなど多彩な事業・イベントなどを継続して行っている。

 今ではボランティアは80名以上に達し、年間3,000円の金銭的支援をする賛助会員か170名にのぼっているという。

 岡本氏は「年齢? 始めたのは60歳代。今? 74歳。みんなの要求に応えること、無理をしないこと、できる範囲でやること、楽しくやること。これが継続してできるコツ。今朝? 雪でバスが運休したので駅まで20分歩いた。滑らなくてよかった」と破顔一笑した。阿部氏は「会員80人のうち男性は1割。男性会員を増やすのが課題」と話した。

 このような話を聞くと、日本の将来は明るいと思えてくる。この元気はどこから来るのか。600円の日替わりランチ(アナゴは900円だったか)はみんなプロ級の腕前だそうだ。必ず取材してレポートする。

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阿部氏(左)と岡本氏

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 この日報告された先進事例は昼の休憩時間を除き、午前と午後の部を合わせ8事例で都合5時間。1事例につき約30分で、プロジェクターに映し出された資料は約300ページ。1分に1枚の割合だ。呑み込みが悪い年寄りの記者にはこれはもう苦行だ。

 もう少し余裕をもって行っていただきたい。プレゼンを行う人も、あれやこれや盛り込もうとせず、3から4点くらいに絞れば理解されやすいのではないか。前後半合わせ10人強しか集まらなかった報道陣も残念。 

全国276団体が参加する「住宅団地再生連絡会議」設立 国土交通省(2017/1/31)

 

 

 

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平成29年度「財界賞」「経営者賞」贈呈式(パレスホテル東京で)

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村田主幹

 雑誌「財界」を発行する財界研究所(村田博文社長兼主幹)は1月19日、各界から約1,000名を集め、今回が62回目となる恒例の平成29年度「財界賞」「経営者賞」の贈呈式を行った。「財界賞」を受賞した榊原定征氏(経団連会長)、「財界特別賞」に選ばれた金丸恭文氏(フューチャー会長兼社長グループCEO)、「経営者賞」に選定された矢野龍氏(住友林業会長)、後藤高志氏(西武ホールディングス社長)、本庄八郎氏(伊藤園会長)、藤田晋氏(サイバーエージェント社長)、巌浩氏(EPSホールディングス会長)がそれぞれ登壇、喜びを語った。

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 贈呈式の招待状が届いた1カ月前からこの日を心待ちにしていた。その時点で受賞者の名前は決まっており、錚々たるメンバーのなかに住友林業の矢野龍会長の名前があったからだ。

 記者は矢野氏と大和ハウス工業会長兼CEO・樋口武男氏、積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏の3氏をハウスメーカーの〝雄弁御三家〟と呼ぶ。

 年齢が樋口氏が79歳、矢野氏が77歳、和田氏が76歳と近く、しかも樋口氏と和田氏は関西学院大の同窓で誕生日が同じ4月29日(矢野氏は九州大卒)。そして何より3人を御三家たらしめるのは、イリオモテヤマネコと同様、絶滅危惧種の関西弁(大阪弁なのか)を不倶戴天の東京で堂々としゃべるからだ。

 あの人を小ばかにした“毒”をたっぷり含んだ関西弁・大阪弁でまくしたてられると、気の弱い記者などはもう笑うしかなく腰抜け状態になる(記者も「首都圏」の意味がある「近畿」の三重県出身だが、伊勢の「な言葉」はすっかり忘れてしまった。なお「絶滅危惧種」「近畿」については国際日本文化研究センター教授・井上章一氏の著作を参考にしました。大阪弁を「絶滅危惧種」とわたしが言っているのではありません)。

 それでも、怖いもの見たさも手伝って3氏が出席する会見は必ず出席することにしている。今年も樋口氏と和田氏の関西弁を聞くことができたのだが、矢野氏には、2年前に木住協会長を退任されたとき以来お会いしていなかった。その矢野氏にお会いできる僥倖に歓喜した。

 2年前と同じ元気な姿で登壇した矢野氏は「このような賞は小学生のとき、運動会で一等賞を貰って以来。わたしのキャリアは中途半端でしかないが、当社の創業者・住友政友の『天下国家、社会、国民のためになる事業であるべき』という住友精神を愚直に守ってきた。人類がこれから1000年、1万年生きていくために地球上で唯一の再生可能エネルギーの森林・林業の伝道師として今後も頑張っていく」と語った。

 降壇した矢野氏に「木住協会長を退任したときの名演説『time flies like an arrow 光陰“矢野”如し』と同じように、今回の受賞を英語で語るとどうなるか」と聞いた。すかさず矢野氏は「Time and tide wait for no man 歳月人を待たず」と呵々大笑し、すらすらとサインした(英語を理解できない記者は「tide」を「tired」と勘違いし〝矢野さんも時とともに疲れるのか〟と訳した)。

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「2018年ミス・インターナショナル」日本代表・杉本雛乃さんから花束を受ける矢野氏

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矢野氏のサイン入り「Time and tide wait for no man 歳月人を待たず」

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 受賞者のコメントは必至でメモしたが、正確な受賞の喜びは2018年1月2日付「財界」新年特大号に詳しい。選考経過、選考所感も掲載されている。ここでは榊原氏と後藤氏に留める。

 榊原氏は、「村田主幹は19分話したのに私が与えられたコメントは1分だけ」と会場を笑わせた後、経団連会長としての3年5カ月を振り返り「2017年のGDPは540兆円を超え、この5年間で50兆円積みあがった。税収も増え、雇用の改善、企業収益の改善などもあり、経済は新たなステージに入った。デフレ脱却を宣言する年にしなければならない。そのために賃上げもしっかりやっていく」とコメントした。

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選考委員の堺屋太一氏(左)から賞状を、杉本さんから花束を受ける榊原氏

 村田主幹は冒頭、榊原氏を選考した理由を語り、「政治乱調、経済好調の表裏一体の緊張感がみなぎっているときに〝政治と経済は車の両輪〟を掲げ、デフレ脱却へ向けて頑張ってこられた」と讃え、他の受賞者に対してもたっぷり時間を取って話した。その時間を19分と数えていた榊原氏はただ者ではないし、村田主幹の話も参加者を飽きさせない迫力があった。

 後藤氏は、「今回の受賞はわたし個人ではなく、13年間一緒に働いてきたグループ職員、お客様、株主などすべてのステークホルダーに対してだと考えている」と語り、「これからは日本最強の生活応援企業として観光大国のトップランナーを目指す」と力を込めた。

 記者はもう60年来の西鉄・西武ファンだ。2004年に発覚した総会屋利益供与事件、証券取引法違反事件を受けて堤義明氏が退陣し、2005年に後藤氏が社長に就任したのだが、その後一連のリストラ、事業再編、上場廃止、訴訟、外資サーベラスの敵対的TOBなどを見聞して、ライオンズも身売り必至とみていた。

 しかし、後藤氏は見捨てなかった。昨年は久々に2位になり、観客数も過去最多の167万人を記録した。

 後藤社長は「今年の西武は優勝しかないですよね」の記者の挑発に「そう、優勝するぞ」と受けて立った。

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杉本さんから花束を受ける後藤氏

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 一通り取材を終えた宴もたけなわのころ、記者の好きなビバルディの「四季」の生演奏が始まったのだが、ビバルディ本人が聴いたら卒倒しそうな、まるで軍艦マーチのように編曲(変曲)されていた。

 近くにいた音楽に詳しそうなきれいな女性によると、「20年前くらい流行した女性グループのbondと同じ。クラシックをこのようにアレンジするのも素敵」とのことだった。もらった資料には「実力派DJと、美人すぎるプロの音楽家たちによる奇跡のユニット…サウンド東京」とあった。

 贈呈式には「2018年ミス・インターナショナル」日本代表の東京大学に在学知友の杉本雛乃さんが各受賞者に花束を贈った。杉本さんは今年11月9日に行われる世界大会に出場する。受賞者の巌氏は「11月9日は私の誕生日。なににも代えがたいプレゼント」と話した(受賞のことか、杉本さんに花束をもらったことに対してかは不明)。

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「サウンド東京」の演奏に魅入る参加者

「time flies like an arrow 光陰“矢野”如し」 木住協・矢野会長(住林会長)が退任(2016/5/30)

4月1日付 特報!「アンタロ」に匹敵する業界名物男を業界団体が公募(2017/4/1)

 

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 大和ハウス工業は1月19日、同社とグループ会社7社の既存住宅の売買仲介、買取再販、リノベーション・リフォームなどの住宅ストック事業を強化するため、グループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げたと発表した。

 同社グループの売買仲介拠点40カ所を2025年度までに新たに60カ所オーブンさせ、計100カ所を目指すとともに、地方の不動産業者約80社と提携して全国ネットで展開する。現在のグループ全体の売上高1,150億円、営業利益140億円を2025年度までに2,000億円、200億円にそれぞれ増やす目標。

 1月25日に各社が保有する不動産情報を閲覧できるWEBサイトを開設。ホームページに会員登録すると、先着1,000名に簡単なVRゴーグルを贈呈し、ゴーグルを装着するとマンション、戸建てなど最大500件の物件を内見できる「どこでもストア」がスマホ、タブレットを通じて利用できるようにする。また、テレビ電話によって直接営業スタッフと相談できるサービスも行う。

 国が掲げる「住宅生活基本計画」では、既存住宅流通の市場規模は2013年の4兆円から2025年には8兆円へ倍増させ、リフォーム市場規模を2013年の7兆円から2025年には12兆円に拡大させるとしている。

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 この日の発表会には芳井敬一社長が臨む予定だったが、インフルエンザで欠席。代わりに同社大友浩嗣・取締役常務執行役員が「仲介、買取再販、リノベ・リフォームを一気通貫で提案していく。業界ナンバー1を目指す」と抱負を語った。

 〝やる気〟を内外に示そうという意欲が伝わってきた。不動産流通のことはよくわからないのだが、ハウスメーカー各社の流通事業はデベロッパー系のそれと比べ圧倒的に弱い。

 この日配布された資料によるとグループの日本住宅流通の平成29年3月期売上高は239億円で、店舗は34カ所だ。業界トップの三井不動産リアルティの仲介・アセットマネジメントの売上高は879億円(29年3月期)で、店舗数は281店舗(29年10月)だ。また、業界4位の野村不動産アーバンネットの売上高は299億円(29年3月期)で、店舗数は78店舗(29年9月)だ。大都市圏に特化している野村にも後塵を拝す。

 同社がこれまで販売した戸建て約60万戸のうち流通段階で同社グループが仲介を担当し捕捉できているのは1割くらいだというから、これも圧倒的に少ない。

 他社に引けを取らないのは買取再販だ。グループのコスモスイニシアも積極化しており、日本住宅流通とあわせ500戸を超えるという。ベスト10に入る勢いにある。今後は構造10年、設備10年、地盤10年の保証・保険を付与するという。

 今回の「Livness(リブネス)」は劣勢を一挙に挽回する戦略とみたが、グループの新築マンションや分譲戸建ての顧客にも対応できるよう〝ワンストップ〟型の店舗展開を目指してはどうかと思う。

 「Livness(リブネス)」とは直接関係ないかもしれないが、このところのコスモスイニシアのマンション、分譲戸建て、リノベの商品企画は他を圧している。業界ナンバー1のカギはコスモスイニシアとどう連携するかだと思う。起爆剤になるはずだ。

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 「Livness(リブネス)」のデザインについて。中堅デベロッパーの「リブラン」によく似ているのはともかく、色が大和ハウス工業の素敵な「赤」ではなく「オレンジ」なのが理解できなかった。

 そこで、同社住宅ストック事業推進室 事業統括グループ長・矢田幸司氏に聞いたら「グループ各社の店舗カラーがオレンジなので」ということだった。

 なるほど。ならば、ブランドを浸透させ、〝ダイワレッド〟を〝ダイワオレンジ〟に変えるくらいの意気込みで取り組んでほしい。そういえば、うちのかみさんは〝リハウス〟と〝リバブル〟の区別がつかず〝リブハウス〟と呼ぶ。ここに〝リブネス〟が食い込むとどうなるのか。〝love less〟にはならないか。

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内見イメージ

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岡本理事長(第一ホテル東京で) 

 マンション管理業協会は1月18日、恒例の新年賀詞交換会を行った。例年とほぼ同じ約500名が参加した。

 冒頭、挨拶した岡本潮理事長(東急コミュニティー会長)は、「業界は3つの役割がある。一つ目はハードとしての建物を守る役割、2つ目は居住者の生命・安全を守る役割、3つ目は快適で豊かな生活とコミュニティ支援を通じて居住者の生活を守る役割だ。

 この社会的に重要な役割を社会に広く深く伝え、高い評価、厚い信頼を得るために2つの基本目標として2つのミッションを提示した。

 一つは業界の成長・発展、社会的評価の向上、もう一つは業界従業者の処遇改善、社会的評価の確立に向けて大きく踏み出した。また昨年の一番のトピックスである『マンション管理業務共通見積書式』を策定・公表した。今後、書式を明示し、専有サービス、高齢者ニーズ、民泊対応などの働きかけを行っていく」などと管理員などの処遇改善が業界の発展に欠かせないと強調した。

 また、「3月に公表予定の今後5年間の中期計画を策定中だが、基本方針としてマンション管理業の3つの役割をしっかり果たすことができる体制を確立すること、さらに従来の取り組みから一歩踏み出し、マンションの資産価値と居住価値の維持発展に寄与し、総合的なマネジメント手法の構築の検討、実施を検討している」と述べた。

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 以下、参加者のコメント。順不同

三井不動産レジデンシャルサービス・高松茂社長(同協会副理事長) (「ザ・タワー 横浜北仲」では管理者管理手法を採用されたが)住宅・設備など複雑な複合開発なので、自信をもって提案した。広報を通じていただければ、詳しい話ができるかもしれない。(処遇改善は)給与面では当社は高いほうだと思うが、年齢制限は現在68歳。今年度中に72歳くらいまで引き上げるよう検討を進めている

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高松氏

大京アステージ・栗原清会長(同協会副理事長) 処遇改善は一番重要な課題。当社は、管理組合の声があれば72歳でも73歳でも働ける環境整備を進めている。「共通見積書式」の徹底も重要。管理員に電話対応など業務以外の多大な負担がかかっているのが現状だ

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栗原氏

大和ライフネクスト・山根弘美会長(同協会前理事長) イスラエルでの事業展開を進めていく。(大和ハウス工業会長の)樋口からも「お前のミッションだ」と言われている。日本はゼロから1は作れない。リノベーションは改善なのに対して、イスラエルは破壊的な改革でゼロから1を造る。シリコンバレー化している。エルサレムが怖い? 全然(北朝鮮など)日本のほうがよほど怖い(ヘブライ語が話せて書ける業界人は少ないはず)

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山根氏

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山根氏の自筆サイン(上は左から ネマヤ アュシヨ、下はjoshua 山根)

黒住昌昭氏(同協会元理事長) 今? 合唱と50年以上続けている合気道、それにそろばん教室を開いた。こどもはいいですよ。わたしの経歴なんか全然関係ない。すぐ嫌だという。3人しかいないが、辞められないよう必死ですよ。合気道? 合気道は「気」、信じることだ(記者も「気合い」を入れてもらったが、全然効果がなかった。へそ曲がりには信じる力がないということか)

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黒住氏

カテゴリ: 2017年度

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「アセットシェアリング北千住駅前」

 インテリックスは1月15日、3月開業予定の新築ビジネスホテル「アセットシェアリング北千住駅前」の不動産小口化商品を一口100万円単位(5口以上)募集総額19億円(1,900口)で販売開始したと発表した。

 物件は、東京メトロ千代田線・東武スカイツリーライン・つくはエクスプレス北千住駅から徒歩4分、足立区千住4丁目に位置する敷地面積623.77㎡、6階建て延べ床面積1,902.01㎡の全103室。運用期間は30年間。予定利回りは5.1%。

カテゴリ: 2017年度

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平沼橋第2ホームギャラリー

 三菱地所ホームは1月13日、横浜市西区の平沼橋第2ホームギャラリー(tvk ハウジングプラザ横浜内)をリニューアルオープン。2階の子世帯部分を、デンマークの〝巣ごもり〟のような暮らしスタイル「Hygge(ヒュッゲ=居心地がいい時間や空間)」を取り入れた全館空調付きの企画型 「システム設計住宅」仕様にした。

 北欧スカンジナビアンモダンのインテリアは、シンプルながらも温かみと機能性の高い空間を表現。照明やキャンドルなどで癒しの空間を演出した。

 1階の親世帯は、日々の生活を優雅に彩るエレガントなライフスタイルを自由設計注文住宅「ONE ORDER(ワンオーダー)」として展示している。

 建物は、木造(2×NEXT 構法)2階建て(ロフト付)の延床面積276.89㎡(83.75坪)。

◇       ◆     ◇

 先週の金曜日、タカラレーベンが開設した銀座7丁目のコンパクトマンションサロン「SALON DE NEBEL」を見学したのだが、6か国のインテリア・カラーデザインが選択できるようになっており、一番人気は「Scandinavian」だった。

 小説の世界では、全世界で800万部以上を売り上げたスウェーデンの作家スティーグ・ラーソンの「ミレニアム1~3」の続編ダヴィッド・ラーゲンクランツ「ミレニアム4~5 」(早川書房)も発売された。

 平沼橋には「スウェーデンハウス」の素敵なモデルハウスもある。双方が「ミレニアム」にあやかって競えば、住宅もヒットするかもしれない。

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カテゴリ: 2017年度
 

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