4月1日付 特報!「アンタロ」に匹敵する業界名物男を業界団体が公募
丸谷才一のエッセー集「月とメロン」(文芸春秋)に「人名の姓と名の一字づつを取つて、略称それとも愛称ないし綽名のやうにして呼ぶのはよくあることで、これは特にンがはいつてゐるときに好んで口にされる。俳優ではバンツマ=坂東妻三郎 エノケン=榎本健一 清水金一が好例だが…」とある。
確かにわれわれは人を愛称で呼ぶのが好きだ。俳優・タレントではこのほかアラカン=嵐寛壽郎、マツケン=松平健、キムタク=木村拓哉など数え切れないほどあるはずで、プロ野球ではマエケン=前田健太が筆頭格で、競馬ではアンカツ=安藤勝己、指揮者ではコバケン=小林研一郎、小説家ではマルケン=丸山健二、政治家ではミヤケン=宮本顕治、シミタツ=清水達雄、実業界ではナベツネ=渡邉恒雄などが有名だ。
このほか、アベサダ=阿部定(これは本名)、ロン・ヤス=中曽根康弘首相とレーガン米大統領、オグシオ=バドミントンの小椋久美子と潮田玲子ペア、キンツマ=金曜日の妻も流行した。ジャイアンツファンはハラタツ=原辰徳の時期もあったのではないか。あっ、出戻りのムネリン=川崎宗則を忘れていた。
こうしてみるとやはり「ン」がつくものが多い。これは人名ではないが、わが業界にはシミケン=清水建設もあるし、エドケン=そのものずばりエドケン(かつての建売住宅業者)もあった。
ところが、これほどたくさんの愛称、あだ名がつけられている人や会社が多いのに、わが住宅・不動産業界は極めて少ないというか、記者の知る限りアンタロ=安藤太郎(江戸英雄とともにわが国のデベロッパーの顔として世間に知られた住友不動産の会長・社長。2010年、100歳で死去)しかいない。(以上、敬称略)
これでは情けない。それで暇に飽かしてアンタロをしのぐ業界人候補はいないかと考えた。
真っ先に浮かんだのは大京の創業者・横山修二氏だ。愛称は「オヤジ」。これは身内だけしか使われなかったが、マンション業界に君臨した人にふさわしい呼び名だ。1925年生まれだから今年92歳。馬主としても知られており、記者は横山氏所有の馬でウマタン=馬単などなかったころ5万円の万馬券(100円の掛け金で配当が5万円)を取ったこともある。
他はどうか。これがなかなか見つからない。そもそも現役の社長で姓や名に「ン」が付く人物が少ない。なんとか調べたり同業の記者に聞いたりしたら、オノケン=小野寺研一氏(住友不動産副会長)、カメサン=中井加明三氏(野村不動産ホールディングス会長)、ヤナケン=谷中健太郎氏(日本RSP協会理事)、カトケン=加藤憲一郎氏(住宅評論家)が見つかった。
ほかではゴロがよく、わが業界を代表する人物にふさわしい人としてヤノリュウ=矢野龍氏(住友林業会長)、アベテツ=安倍徹夫氏(アンビシャス社長)はどうか。
矢野氏は昨年、木住協の会長を退くスピーチで「time flies like an arrow 光陰矢野如し」とおやじギャグを放ち、「わたしは76歳。立派な後期高齢者になりました。安田善次郎は『50、60は洟垂れ小僧、70は働き盛り、80、90は男盛り』と言った。その伝で言えばわたしは青春を謳歌する年齢。80、90で男盛りになれるかどうかは嫁さんとよく話し合う」と爆笑を誘った。
安倍氏はアベシン=安倍晋三氏とは縁もゆかりもないが、「オヤジ」が采配を振るった大京時代の7人の侍の一人で、唯一今もなお現役社長として旗を振る。字は右でも左でも書け、首都圏全沿線の各駅をそらんじて見せる技の持ち主でもある。
まだある。クマケン=隈研吾氏(建築家)、タネマキ=種橋牧夫氏(東京建物会長)、ハタボウ=畑中誠氏(東京建物相談役)、キヨチャン=金指潔氏(東急不動産ホールディングス会長)、ヒラコウ=平田恒一郎氏(ナイス社長)はどうか。
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ゼンタク=全国宅地建物取引業協会連合会、フドウキョウ=不動産協会など数えれば20は下らない、まとまりがありそうで足並みがそろわないわが業界団体は4月1日、記者の記事に呼応したのか、混迷の度を深める時局の収拾を図ろうとする政府の考えを忖度したのか、はたまた不透明感が増す環境を一変させ、沈滞ムードを一掃する起死回生の策を打ち出した。
「アンタロ」に匹敵する業界人の愛称(愛妾ではない)を自薦他薦問わず広く公募し、その名を顕彰する制度を新設することを決めた模様だ。
(RBA 4月1日発)
シングルマザーの年収215万円 家賃7万円 ローン返済厳しい67% アットホーム調査
アットホームは3月31日、全国の20歳~59歳のシングルマザー618名を対象に「シングルマザーの住まいの実態調査」結果をまとめ発表した。
シングルマザーになった理由は離婚が85.1%、死別が5.3%、未婚が8.3%。職業は会社員が44.2%、パート・アルバイトが31.4%。年収は平均214.9万円で、内訳は公務員・経営者・会社員が315.5万円、パート・アルバイトが139.9万円、専業主婦が76.3万円、その他180.5万円。居住形態は持ち家が45.0%(うち一戸建てが35.9%)、貸家が55.0%(賃貸一戸建て8.9%、賃貸マンション13.6%、賃貸アパート19.1%、公営・公団住宅12.9%)。
実家暮らしは24.3%(賃貸12.7%、持ち家87.3%)、実家暮しではないが75.7%(賃貸68.6%、持ち家31.4%)。
月額家賃平均は5.2万円(首都圏エリア7.0万円)で、自分と子どもが住む人は83.2%。「家賃を払うのは厳しい」が78.3%。
持ち家のうち「自分で購入」が約半数で、住宅ローンの支払いは「自分」が約4割、ローン返済月額平均は6.9万円。「ローンを払うのは正直厳しい」が67.2%。
賃貸の広さは平均54.0㎡、持ち家は84.4㎡。最寄り駅までの距離は、賃貸が平均22.3分、持ち家が20.7分。
エリア選びで重視したことは、トップが「子供の通学のしやすさ」で、以下、「家賃や価格の相場の安さ」、「自分の通勤のしやすさ」、「実家からの近さ」など。
住まい探しに「苦労した」人は33.6%で、とくに賃貸では4割近くに上っている。その理由は「家賃・価格と広さがちょうどいい物件が見つからない」「年収が入居条件に満たない」「連帯保証人がいない」「公営住宅の抽選から漏れる」など。
シングルマザーであることを理由に入居を断られた人は10.1%。
経済的に余裕があればほしい施設は、「日当たり」「収納量」「お風呂の広さや設備」「広さ」「部屋数」「キッチンの広さや設備」「新しさ」「駅近」「セキュリティ」など。
親との同居は30.3%。同居の第一の理由は「家計が安定するから」で63.6%。別居をしたいと思っている人は35.3%。親と同居しない理由は「迷惑を掛けたくない」が41.9%。自宅の居心地の良さを100点満点とした場合、親と同居している人は平均70.0点、同居していない人は69.2点。
母子家庭向けの住宅手当があるかどうか「知らない」人が74.4%。
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同社は毎回面白いアンケートを行うが、今回はシングルマザーの厳しい生活実態と居住形態を浮き彫りにした。言われていることではあるが、少なからずショックを受けた。
一番驚いたのは収入の低さだ。214.9万円では少なくとも首都圏で住宅を取得するのは絶望的だろうし、賃貸でも収入に占める居住費の割合は光熱費などを含めると半分くらいに達するのではないか。収入は養育費や様々な公的扶助を含めてのものだろうから、実態は生活保護世帯と同じではないか。それでどうして子どもが育てられるのか。子どもの貧困率が高いのもよくわかる。
離婚により前夫から養育費を受け取っている人は33.7%しかないというのにもショックを受けた。子どもを育てる義務は前夫と同じはずだ。
それだけ生活が苦しいのに離婚を後悔している人はほとんど皆無で、再婚したいと思う人は25.2%にとどまっている。何をかいわんや。男は犬猫同等のレベルまで退化したということか。
それでもいまの住居の居心地について聞かれると100点満点のうち70点もあるとは-何と健気な女性なのか。ばかばかしい森友問題に大騒ぎしている国会と、それをドラマのように見ているわたしはいったい何者か。
公共団体の建築工事を円滑に進めるための懇談会 国交省
国土交通省は3月30日、地方公共団体の建築事業が円滑に進められるよう課題の検証や対応策の検討を行う「地方公共団体における建築事業の円滑な実施に向けた懇談会」(座長:大森文彦 弁護士・東洋大学法学部教授)を設置し、第1回目の会合を行った。
同省から最近の官庁営繕部の取り組みが紹介されたほか、ゲストプレゼンターとして全国中小建設業協会副会長・土志田領司氏、日本建築家協会会長補佐・森暢郎氏、日本建築士事務所協会連合会副会長・佐々木宏幸氏、日本建築士会連合会会長・三井所清典氏がそれぞれ資料を提出し意見を述べた。
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会議の冒頭、大森座長は「極めて重要なテーマ」と話したように、記者は専門外ではあるが、最近の国、地方を問わず建築をめぐる問題が社会問題化している背景には、様々な問題が横たわっているのではないかと思い傍聴した。
会場は同省11階の特別会議室。たくさんの関係者が詰めかけていたが、マスコミの傍聴者は記者を含めてわずか5人(一般紙は1名)だった。
記者の傍聴が少ないのは今回に限ったことではないが、これはどういうことか。最近の例でいえば横浜傾斜マンションの施工不良、新国立競技場、豊洲、森友問題など事件が起きるとわっと群がって取材するのに、すぐ他の取材に追われ、その根っこにあるものを探ろうとしない記者の姿勢にも問題がないとは言えない。
土地の鑑定や費用積算の根拠、建築士・不動産鑑定士の役割、国や自治体の情報公開などに普段から関心を持っていれば、核心をつく記事が書けるはずだ。利益団体が背景にいる業界紙・専門紙はともかく、どこの利益団体からも独立している一般紙の記者がチェック機能を果たせなくてどうする。歓心を引くために追われて書く記事と、自らがテーマを決めて追う記事とでは格段の差がある。記者は追われて書く記事はこれまでもほとんど書かなかった。すぐに追いつかれるからだし、記者間の競争などに巻き込まれたくないからだ。
話が横道にそれてしまった。元に戻す。今回の会合でもゲストプレゼンターはそれぞれ重要なことを話したはずだ。残念ながら、記者はほとんど聞き取れずメモもできなかった(隣の2~3人の方は会話をすべてノートパソコンに記録していた)。
なので、各団体の提出資料を紹介するほかない。
全国中小建設業協会は、実績のない業者は受注機会に恵まれない、単価・価格の設定は実勢を反映していない、価格設定をどのように行ったかの情報開示、仮設・現場管理・一般管理費は土木工事より低く見積もられる、自治体から〝やってくれ〟と言われればやらざるを得ない不平等の立場がある、市町村の末端まで国の方針が徹底されていないなどの問題を提起した。
日本建築家協会からは、設計施工分離発注の原則、複数事例の工事費の㎡単価平均値による予算化の回避、計画変更に対する追加予算化の対応、プロポーザル方式の採用促進、基本設計時に精度の高い概算工事費算出が求められるなどの意見が寄せられた。
日本建築士事務所連合会は、設計委託要件が軽視されており、設計与条件の不十分な検討が施工時点での問題につながる、価格によらない設計委託が行われており、行われた場合でもその選考方法が不透明、価格による選定方法では、極度に低い価格での入札が行われることになり、結果として受託する設計の密度が低くなる、発注者側の条件設定が未熟、設計事務所のコスト管理能力不足が問題などと指摘している。
日本建築士会連合会は、公共建築物としての品質を確保し将来にわたってその機能を発揮するためには、発注者、設計者、施工業者及び住民が良い関係(信頼関係)を構築することが不可欠とし、地方公共団体内に建築技術者がいない場合は、発注者支援の活用には適切な報酬が必要、基本設計、実施設計、工事監理が分離して発注される場合は、それぞれについて責任の範囲を明確化するとともに適正な業務報酬が措置されることが重要などとしている。審査過程をオープンにしたために新庁舎の設計に48者が応募し、公開によるプレゼンテーションとヒアリングを経て建設された町田市庁舎(資料では事例1)の事例を紹介した。
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記者が考えるに、民間工事も同じだがとくに公共工事は発注者-設計者-監理者-施工者がみんなバラバラに分断され、責任の所在が分からないようになっているような気がしてならない。それを防ぐためのコンストラクション・マネジメント(CM)、プロジェクト・マネジメント(PM)、ファシリティ・マネジメント(FM)、アセット・マネジメント(AM)やらがうまく機能していないのではないか。
「とても満足」「満足」が85% プレハブ建築協会 お客様アンケート
プレハブ建築協会は3月28日、恒例のお客様アンケート調査結果をまとめ発表した。総合評価では「とても満足」「満足」が85%に上った。
23回目となる今回は、アンケート内容を見直し、調査項目を充実、営業担当者の対応について細かく調査するとともに評価尺度も細かくし、設計・工事・アフターサービス担当者等への評価についても調査項目に加えた。調査対象は会員のメーカー10社が新築し2015年に入居した1,300名で、回答は669名(有効回収率51.5%)。
メーカー選定理由は、前回と同様「安心できる会社だった」「品質・性能が優れていた」「営業担当者の説明に納得できた」ことが多く、プレハブ住宅を選定する上で「安心」「品質」「納得」が重要であることがうかがえる。営業担当者に対しては、「人柄・営業態度」の評価がもっとも高く、「説明やアドバイス」「住まいづくりに関する知識」の評価がそれに続いている。
契約段階以後(設計~工事~入居後)の対応については、段階が進むにつれて評価が徐々に低下する傾向が見られることから、今後、契約以降の営業担当者の対応についても満足度を高めるような取り組みが必要としている。
また、アフターサービス分野も水準を高める余地があるとしている。
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毎回思うのだが、お客様の住宅に対する満足度は回答率の高さに表れている。50%を超えているのだから総じて評価が高いと言えそうだ。欲を言えば、回答しない人はなぜなのか、その理由が知りたい。追跡調査をしてはどうか。
アンケート項目については考慮してほしいことがある。メーカー選定理由の設問は「安心できる会社だった」「品質・性能が優れていた」「営業担当の説明に納得できた」「希望を反映した提案が良かった」「アフターサービスが良いから」「外観・デザインが気に入ったから」「知人に薦められたから」などとなっている。
この「安心」「品質・性能」などは漠としてよくわからない。何が「安心」なのか具体的に問うべきだろうし、「品質・性能」についても、耐震性、遮音・断熱性、耐久性、広さなどのほかに天井高、収納率、ユニバーサルデザイン、設備仕様など細かな点について聞いてほしい。ユニバーサルデザインは気がつきにくいかもしれないが、極めて重要だと思う。
そうすれば、選定理由では13%しかない「外観・デザインが気に入ったから」の評価は相対的に高まるのではないかと思う。品質の高さは間違いなく「外観・デザイン」に表れるはずだ。そのデザインについてもどのようなデザインが気に入ったのか聞けば面白い結果が出るのではないか。
視点を変えれば高齢社会は無限の可能性あり ホスピタルデザイン研究会がフォーラム
「ヘルスケアデザイン産業の最前線」(京王プラザホテルで)
ホスピタルデザイン研究会(代表:戸倉蓉子氏)は3月27日、日本医師会、公益資本主義推進協議会、東京都健康長寿医療センター、日本居住福祉学会などが後援する「ヘルスケアデザイン産業の最前線」と題するフォーラムを開いた。
キックオフ講演会では、経済産業省ヘルスケア産業課課長・江崎禎英氏が「生涯現役社会の構築に向けて」と、医療法人社団慶成会会長・大塚宣夫氏が「高齢者よ大志を抱け!」と題する講演をそれぞれ行った。
医療・介護、建設、住宅・リフォーム、建築士、ホテルなど幅広い分野から約120名が参加した。
戸倉氏
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江崎氏の話は、厚労省などの悲観的で絶望的なデータを経産省の立場から分析すればまったく別の展望が開けるという意味でとても面白かった。要は予防医療に力を注ぎ、高齢者が自ら誇りが持てるように遇し、どんどん社会進出を促す取り組みをすべきということだ。江崎氏が「介護ろし」などと現行の制度を皮肉ったのにはびっくりしたが、当意即妙その通りだと思った。
大塚氏の話も面白かった。大塚氏は、高齢者の増加、家族による介護力の低下、社会保障制度の前提の崩壊などを述べた後、老後を豊かに過ごすための基礎知識を次の通り紹介した。
1)生物の歴史から見た晩年
親を見るDNAは引き継がれていない
2)75歳で心身とも変わる
臓器の耐用年数は70年。自己修復力の低下。認知症の不安など
3)自分を元気に保つ術
自分で老け込むな。依存心を捨てよ。体の言うことを聞くな。リタイアしても朝外出して夕方まで帰るな、それのほうが奥さんも喜ぶ。年を取ったら独立自存
4)老後の沙汰(も金次第とは言わなかったが)
感謝の気持ち。現金主義を貫き不都合、不便を回避せよ
5)終わり良ければすべて良し
つらい思いを家族にさせない。介護はプロに任す
6)高齢者施設の活用
「終身介護」は要注意、8割は後悔する。最期に入る場所を決めておく。それまでは入らないよう頑張る
また、大塚氏は超高齢社会への提言として、高齢者の定義は少なくとも75歳以上にすべきとし、寝たきりが少ないヨーロッパ人の人生の終わり方を紹介し、緩和ケアを充実させ、「自分で嚥下できなくなったら寿命」と悟るべきで、大往生の人生をよしとする社会的コンセンサスが必要と話した。
大塚氏は医療付き老人ホームの「青梅慶友病院」(700床)と高齢者ホスピス「よみうりランド慶友病院」(240床)の会長を務めており、その概要を紹介した。平均年齢は「青梅」が89歳、「よみうり」が87歳。年間死亡は「青梅」が276名、「よみうり」が163名。入院期間は「青梅」が2年半、「よみうり」が1年半。
江崎氏(左)と大塚氏
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フォーラムを企画した埼玉県住まいづくり協議会副会長、日本居住福祉学会関東支部長などを務めるリブラン会長・鈴木靜雄氏が「戸倉さんは平成のナイチンゲール」と持ち上げ、「経産省、日本医師会、日本商工会議所の3者が手を携えるという過去にはありえないトライアングルが実現した。健康経営の取り組みもオーソライズされ、あらゆる産業が健康になることが求められる時代になった。住や医療が連携して次のステップに進まなければならない」と語った。
その言葉は理解できても、なかなか実感できない記者は、これから住宅・不動産業はどうしたら健康長寿社会の実現に貢献できるのか、なにが求められているのかずっと考えた。
真っ先に浮かんだのは富裕層ビジネスだ。これはすでにデベロッパーやハウスメーカーが取り組んでいるが、これに元気な高齢者向けのビジネスも絡んでくる。新しいビジネスモデルも生まれるかもしれない。そんな期待感を抱かせるフォーラムだった。それほど参加者の業種は多種多彩だった。
鈴木氏
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最近話題になっているビジネスとして、第1回「日本サービス大賞」の内閣総理大臣賞を受賞したJR九州の「ななつ星in九州」がある。
JR九州によると、「ななつ星in九州」のスタートは2013年10月で、利用者は昨年11月22日の9期までで約7,700名に達する。利用者の平均年齢は64.4歳で、60歳代を中心に50歳代から70歳代、居住地は関東が多いという。最近の企画では2人利用で200万円~300万円だが、申込受付の電話はつながらない状態だ。
クルーズ人口はどうか。国土交通省の調査では2000年の21.6万人をピークにその後減り続け20万人を割っていたが、2012年に21.7万人へ回復し、2013年には23.8万人と過去最高を記録している。
視点を変えれば、金融資産が数百兆円になるはずの高齢者・富裕層向けのビジネスは無限に広がる。
◇ ◆ ◇
記者も相当酒が入っているころだった。ゆったりした作務衣か甚平か茶羽織かを羽織った下駄ばきのおじさんが登壇した。会場の沸き具合からして相当の人であることが分かった。日本BE研究所所長・行徳哲男氏(84歳)だった。会場からは「先生はマグロと一緒。泳ぎ続けなければならない。100歳に向かって頑張って」などの声援が飛んだ。
その先生が、いま話題の安倍昭恵夫人にエールを送る書を披露した。明治天皇御製による「あらし吹く 世にも動くな 人ごころ いはほに根ざす 松のごとくに」という和歌だそうだ。
なるほど。いかに政情、人心が混乱していようと泰然自若として構えなさいということのようだ。
安部昭恵夫人にエールの明治天皇御製の和歌
行徳氏
相羽建設会長・相羽正氏「うちにはなぜか大正天皇に献上した潜水艦の100分の1の模型があるんだよ。社長は65歳のとき、娘婿に譲った。今は何もしていない」
絆コーポレーション所長・吉村健司氏(RBA関係者にはお馴染み)
野村不動産アーバン 大宮と立川に仲介店舗 「野村の仲介+」75部店舗に
野村不動産アーバンネットは3月27日、売買仲介店舗「大宮センター」(さいたま市大宮区)と「立川センター」(立川市)を4月2日に開設すると発表した。
今回の店舗開設により「野村の仲介+」の部店数は首都圏69部店・関西圏6部店の計75部店となる。
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先日、東急リバブルが店舗開設を発表したとき、全国のリバブルネットワークは176カ所となり、この5年間で39店舗、28.5%増やしたと書いた。
同じように野村不動産アーバンネットも調べた。5年前の2011年は42店舗だったので、同社も33店舗、78.6%増やしたことになる。
一方、不動産流通業の〝2強〟三井不動産リアルティと住友不動産販売は店舗集約、移転、改装などは頻繁に行っているが、店舗数そのものはそれほど増えていない。
後続にとっては店舗増=売上増につながると読み、2強はシェアを奪われないよう質の向上を図る図式が見えてくる。
RBA「こだわり記事」は継続します 「住宅サーチ」終了に当たって
すでに告知されていますが、日経新聞のWeb「住宅サーチ」の不動産検索サービスが2017年3月31日をもって終了となり、「住宅最前線 こだわリポート」も同時に終了となります。
2011年4月から6年間、記者の独断と偏見に満ちた記事を事前検閲などまったくせず転載していただいた「住宅サーチ」関係者に心からお礼申し上げます。
そして何よりも辛抱強く読んでいただいた読者の皆さんにお礼申し上げます。ありがとうございました。
振り返ってみれば、読者の皆さんが期待されるセカンド・オピニオン、ネガティブ情報については期待に沿えなかったのではないかと考えています。
しかし、これは当初「住宅サーチ読者の方々へ」でもお断りしましたように、「最優先するのは業界の利益」であって、個別マンションの欠点・難点をあげつらうような記事は書くまいと自らを戒めてきました。中には見立て違いがあったかもしれませんが、意図的にそのような記事を書いたことはありません。これからも書くつもりは全くありません。
むしろ、そのような情報が飛び交っている電子掲示板がよい方向に向かうことを期待しています。
「住宅サーチ」への転載は終了しますが、「RBAタイムズWeb版」はこれまで通りです。〝記事はラブレター〟をモットーに、体力・気力が続く限り情報を発信していきます。「お気に入り」にでも入れていただければ幸いです。
重ねてこれまで拙い記事に付きあってくださった皆さんに感謝しお礼申し上げます。
三井不リアルティ 仲介店舗 「三井のリハウス 六本松センター」開設 全国279店舗に
三井不動産リアルティ九州は3月24日、仲介店舗 「三井のリハウス 六本松センター」を4月1日(土)に開設すると発表した。
これで三井不動産リアルティグループの仲介店舗数は全国で279店舗となる。
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東急リバブルがこの5年間で店舗数を39店舗、28.5%も増やし176店舗にしたので、業界トップの三井不動産リアルティはどうなのか聞いた。
約100店舗多いことが分かったのだが、同社は「5年前の2012年4月、直営リハウス5社を吸収合併し、ユニット制の導入、全国の店舗リニューアル工事、リハウスブランドロゴのリニューアル、360°サポートの導入など、ここ5年間余り、不動産仲介事業におけるサービス品質の向上に向けた施策を中心に取り組んできた」(広報)としている。
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住友不動産は3月17日、住友不動産販売の普通株式を公開買付けにより取得し、完全子会社化すると発表した。
事業環境の変化に迅速に対応するためには経営資源の集約及び市場情報の一元管理の必要性が益々高まってくることから下した決断だ。これによって、一時は三井不動産リアルティ、住友不動産販売、東急リバブル、東京建物不動産販売の4社が東証市場に上場していたのが、すべて消えることになる。
寂しい限りだがこれもやむを得ない。時代の流れだ。一般のユーザーからすれば親も子も一緒。総合力がいよいよ問われる時代に突入したということだ。
マンション管理協 管理員の待遇改善を重要課題に 呼称も変えてほしい
先月、別掲の「掃除は科学 床は朝日、窓は読売〟 マンション管理員のスゴ技を1日体験」という見出しの記事を書いた。
マンション管理の仕事がどのようなものか全く知らないのに〝マンションは管理を買え〟などと記事を書くのは管理員や購入検討者に失礼だと思い、取材させてもらったのだが、取材してデベロッパーや管理会社は管理員の待遇改善に一層力を注ぐべきだと強く感じた。
そこで、先日3月16日に行われたマンション管理業協会(管理協)恒例の記者懇親会でこの問題について質問した。
山根弘美・理事長は所用で欠席だったが、栗原清・副理事長(大京アステージ会長)は「ご指摘の通り。フロント、管理員の待遇改善は来期の重要課題の一つ。業務委託契約にサービスの内容を明確にし、報酬に反映させたい」と語った。
また、岡本潮・副理事長(東急コミュニティー会長)も「契約内容がクリアでないのは伝統的になっている。仕事(仕様)の範囲などを明確にし、対価についてもクリアにするよう研究会を開いて取り組んでいる。一歩踏み出した」と答えた。大島宏志・専務理事も「業務委託契約書の見直しについては国交省にも要望している。業界をあげて取り組んでいく」と話した。
◇ ◆ ◇
管理員の待遇の悪さに管理協の役員も心を痛めていることがよくわかった。全力で取り組んでいただくようお願いしたい。
個人的には「管理員」「管理人」という呼称も変更したほうがいいと思う。この業界には宅地建物取引士(宅建士)、不動産鑑定士、マンション管理士、建築士、測量士などの「士」がたくさんあり、管理業務主任者という国家資格もある。
一方の「管理員」はどうか。掃除を科学の域にまで高め、マンションの資産価値の維持・向上のために粉骨砕身している技能者であるにも関わらず、「士」とは大きな差がある。職業に貴賎なし-とはよく言われるが、名は体を現すという言葉もある。待遇改善と同時に呼称を格上げすれば、人材不足は一挙に解消されるはずだ。
「看護婦」は「看護師」に、「保母」は「保育士」に、「宅建主任者」は「宅建士」にそれぞれ格上げされた。「農夫」「炭鉱夫」「工夫」「八百屋」「芸人」「外人」など「-人」「-夫」なども軒並み放送禁止用語として自主規制しているではないか。法律用語ですら「日雇い」は「自由労働者」(これは本当だろうか)に、「按摩(あんま)」は「あんま師」と言い換えているではないか。そのうちに「家政婦」「美人」「主婦」も消えるかもしれない。(NHKに聞いたら「ケースバイケースで「特に決めているわけではない」とのことだ)
ここまで自粛すると益々日本語が貧しくなり、却って格差社会を覆い隠すイチジクの葉っぱにならないか不安も感じるのだが、ここまでくれば一蓮托生だ。「管理人」もせめて「宅建士」クラスに格上げしてしかるべきだ。
ついでだが「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」はやめていただきたい。これこそ差別用語だ。こんな差別用語を使っているから「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)なる意味不明の言葉も生まれる。特別に擁護されなければならない老人とは何か、「有料」があるのなら「無料」はあるのか、高齢者はサービスがない(このサービスもものすごく曖昧)施設を利用する選択肢もあるということか。
創建 ECCと提携 語学教室が無料のシェアハウス 大阪・吹田市に開設
「シェアハウス千里古江台」
創建は4月1日、ECCと提携し、暮らしながら英語が習得できる「シェアハウス千里古江台」を大阪・吹田市のパナホーム社宅跡地でオープンする。
同社の賃貸リノベーション事業の一貫として行うもので、ECCと提携し平日17:00から21:00までシェアハウス内で入居者を対象とした語学教室が無料で開かれる。近くにある大型銭湯「健康温泉 万博おゆば」と提携し500円で入湯も可能。
物件は、大阪モノレール山田駅から徒歩11分、大阪府吹田市古江台5丁目に位置する4階建て全72室。収容人数は144名。居室面積は17㎡。賃料は個室が5万円/月、シェアハウスが3万円/月。共用施設はキッチン、トイレ、洗面室、シャワールーム、コインランドリー、多目的室、談話室、喫煙室など。