不動産鑑定士業界 「住宅」評価に注力 不動産価値にお墨付き
自民党の「中古住宅市場活性化に向けた提言-『中古市場に流通革命を』-」に日本不動産鑑定士協会連合会(JAREA)が開発した中古戸建て住宅の積算価格査定システム「JAREA HAS」と、重要事項説明書、建物診断(インスペクション)、シロアリ点検調査報告書をもとに中古住宅の適正価格を査定するワンストップサービス「住宅ファイル制度」が具体的に盛り込まれたことから、JAREAが中古住宅の評価に関与する動きが強まっている。
JAREAは平成23年6月、「不動産鑑定業将来ビジョン」を策定し、従来の鑑定評価「単一型ビジネスモデル」から「多様型ビジネスモデル」への転換を打ち出し、今後業務の拡大が期待される分野として「住宅」を掲げ、ビジネスモデルの研究・開発に取り組んできた。
そして平成25年11月に住宅ファイル制度を提言して以降、JAREAの活動は加速し、今秋から近畿を中心に不動産業界向けに活動を強化している。業界向けの説明会には1回当たり100名を超える参加者があるという。
活動を強化していることについて、JAREA住宅ファイル制度特別委員会副委員長・村木康弘氏は、「ポイントは民法の改正です。平成27年3月、民法改正要綱案が閣議決定され、次の国会で審議が始まると思いますが、現行では規範重視、つまり不動産慣行ルールが認められているのに対して、改正民法では欧米型の契約重視、契約内容や契約違反の有無を個々の契約文言によって判断するようになります。不動産売買では取引の対象となる住宅の仕様や維持管理の状態等についてきちんとした報告書を作成することがトラブルを防ぎ取引を円滑にすることにつながります」と話す。
戸建ての場合、建物の価値が築20年でゼロとなるような従来型の査定を改め、土地と建物をそれぞれ評価し、建築士(インスペクター)による建物診断、防蟻業者によるシロアリ点検保証と不動産鑑定士の住宅価格調査をセットにした住宅ファイルを添えて契約することをJAREAは提案している。
住宅ファイルが適切かどうかを買主がチェックし、相違がある場合は売主に対して修繕や減額を申込みことができるようにし、売主が応じない場合は契約を解除できる特約条項も盛り込むことを提言している。
「不動産の仲介の営業マンだって建物の評価はプロではありませんし、インスペクター、シロアリ業者などと私どもが一緒になって、どの場面でも使えるスキームにして将来価値を含めた不動産の価値のお墨付きを行おうというもの。JAREA HASの精度も高いと自負している」と村木氏はいう。
住宅ファイルはワンセットで約16万円を予定している。現段階では費用は売主が負担する形をとっている。
◇ ◆ ◇
不動産鑑定士とはどのような職種で、現状はどうなっているかを概観しよう。
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格で、不動産鑑定士試験に合格した者のみが一定の手続きを経て不動産の鑑定評価を行うことができる。法律に違反した場合は刑事罰の対象にもなる。
不動産鑑定士の試験範囲は多岐にわたり、40近くの法律法規と不動産の鑑定評価に関する理論の理解が求められる。試験は、マークシートの短答式(宅建は4肢択一だか鑑定士は5肢択一)のほか論文も課される。
難易度が高いためとバブル崩壊後のデフレ経済の進行により受験者は漸減しており、平成18年の約4,600人から27年度は約1,500人へと3分の1へ減少している。合格率は6%程度で推移しており、合格者の年齢はほとんどが30歳以上となっている。
国土交通省 土地・建設産業局の平成24年度「不動産鑑定士・不動産鑑定業の現状」によると、不動産鑑定業者のほとんど97.6%が都道府県知事登録で、業者数は10年前と比較して415業者(14.0%)増の3,375業者となっている。
不動産鑑定士は、10年前と比較して352名(7.5%)増の5,057名で、うち1,025名が大臣登録業者に所属している。
不動産鑑定業者の依頼先別報酬割合は民間法人が83.1%(平成12年は68.0%)、国・地方公共団体、公団などが15.7%((同9.6%)、個人は1.2%(同2.0%)。一方、知事登録業者は民間法人が53.3%(44.9%)国・地方公共団体・公団などが13.6%(同46.6%)となっている。
不動産鑑定業者1業者当たりの平均報酬額は、大臣登録業者は横ばい、知事登録業者は減少傾向にあり、知事登録業者の22年度報酬額は721万円(平成12年は1,053万円)。
不動産鑑定士1人当たり平均報酬額は、大臣登録業者は1,246万円(同1,342万円)、知事登録業者は589万円(同822万円)。
大臣登録業者の依頼目的は「売買」「担保」「資産評価」で約7割を占め、「証券化」が増える傾向にある。知事登録業者は「課税」が40.6%(24.8%)を占めている。
このように、何年も勉強し難しい試験に合格した割には厳しい罰則もあり、報酬は伸び悩んでいる-これが不動産鑑定士業界の現状だ。不動産鑑定士業界が、これまで携わってこなかった住宅分野に進出しようとしているのは、業界が掲げるスローガン「官から民へ」が象徴するように、住宅分野へ進出することによって停滞気味の現状を打破しようということのようだ。
一方、国は住宅のストックが量的に充足し、環境問題や資源・エネルギー問題が深刻化する中で、これまでの「住宅を作っては壊す」社会から「いいものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会へと移行することが重要であるとし、中古住宅流通・リフォーム市場規模を2010年の10兆円から2020年には20兆円へと倍増させようとしている。
そのための具体的な方策として、①消費者にとって必要な情報の整備・提供②不動産価格の透明性の向上③先進的な不動産流通ビジネスモデルの育成・支援④宅建業者と宅建士の資質の向上⑤住み替え支援とストックの流動化の促進-に取り組んでおり、不動産鑑定士業界もその流れに沿ってビジネスモデルの研究・開発に取り組んでいる。
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不動産鑑定士業界の不動産流通分野への進出が成功するかどうか。現状では不透明の部分もある。
報酬額もその一つだろう。建築士(インスペクター)による建物診断、防蟻業者によるシロアリ点検保証付きとはいえ、16万円という価格に消費者はどう反応するか。大手のハウスメーカー系やデベロッパー系は、似たようなサービスを無料で提供しているところもあるように、不動産鑑定士によるサービスは、全宅連系の「社会的信用力」を補完する役割にとどまることも予想される。
個人的な意見を言わせていただくなら、どうして中古住宅の売買で「宅建士」「建築士」「不動産鑑定士」の3つもの「士」が連携・協力しなければ「安心・安全」が担保されないのか、それだけ劣悪な戸建てがどんどんストックされ、今現在も再生産されているということなのだろうか。
新国立競技場 隈氏のA案か伊東氏のB案か 木造ファンの記者はもちろんA案
A案(技術提案書よりJSC提供)
B案(技術提案書よりJSC提供)
新国立競技場の技術提案書が日本スポーツ振興センター(JSC)から発表された。応募したのは2つのグループで、A案は隈研吾氏・大成建設・梓設計、B案は伊東豊雄氏・竹中工務店・清水建設・大林組・日本設計によるものと報道されている。
案が公表されてから、様々な形で報道されているので詳細は省くが、双方とも素晴らしい。わが国を代表する建築家とスーパーゼネコンの競演となるわけで、これ以上の舞台はない。
個人的には国産材のスギやカラマツがふんだんに用いられているA案に賛成だが、デザイン的には1辺が1.3~1.5mもある四角のカラマツの集成材72本を列柱として配したB案も捨てがたい。双方のいいと取りをしてほしいのだが、そのようにはならないのが残念だ。
さて、どちらが採用されるか。以下は木造ファンの記者の独断と偏見の予想記事だ。
われわれ素人は公表されたデザイン(完成予想図)で判断するが、JSCは①業務の実施方針(20点)②事業費の縮減(30点)③工期短縮(30点)④維持管理抑制(10点)⑤ユニバーサルデザインの計画(10点)⑥日本らしさに配慮した計画(10点)⑦環境計画(10点)⑧構造計画(10点)⑨建築計画(10点)-の9項目(満点は140点)に係数をかけて採点する。外観デザインや「日本らしさ」などは配点が少ないので、これがどう影響するか。そもそも「日本らしさ」とは何ぞやと問われて明快に答えられる人などいないはずだ。
とはいえAかBか、JSCは決着をつけなければならない。選ぶのは次の7名からなるJSCの技術提案等審査委員会だ。
審査委員
秋山哲一・東洋大学教授
工藤和美・建築家/東洋大学教授
久保哲夫・東京大学名誉教授
香山壽夫・建築家/東京大学名誉教授
深尾精一・首都大学東京名誉教授
村上周三・東京大学名誉教授(審査委員長)
涌井史郎・東京都市大学教授
(50音順)
この委員のうちA案を熱烈に支持するのは涌井氏だ。他の先生方は建築が専門であるのに対し、涌井氏の専門はランドスケープデザイン。森林・林業の荒廃を憂慮されており、国産材が多用されているA案に肩入れするのは間違いない。最近はテレビのコメンテーターとしても活躍されており、話術も巧みだ。正攻法でもからめ手でも相手を説き伏せる。
他の方はわからない。香山氏や工藤氏も木を用いた作品をたくさん造られているが、選択に迷うのではないか。涌井氏に丸め込まれるような人でもなさそうだ。
秋山氏は構造が、久保氏は耐震がそれぞれ専門だ。シンプルで施工がしやすいと思われるB案を選ぶかもしれない。総工費は双方とも1,500億円弱だが、A案の工期は36カ月で、B案は34カ月。B案のほうが2カ月短い。これは明らかにB案が勝る。A案支持者はこれをどう反駁するか。森林の効用を涌井氏はぶつはずだ。
深尾氏はニュートラルの立場を貫くのではないか。あの杭打ちデータ流用問題では、国交省・対策委員会委員長としてわずか2カ月で対応策をまとめ挙げたように、うまく収めようとするのではないか。
こうしてみると、A案もB案も甲乙つけがたく、がっぷり四つに組んだまま勝敗が決まらない場面も十分予想される。
となると、審査委員長を務める村上氏がキャスティングボートを握る。村上氏は現在、建築環境・省エネルギー機構の理事長を務めており、ことあるごとに省エネ、サステナブルを口にされる。やはり鉄やコンクリより木を愛されているはずで、Aに軍配を上げると見た。よって評決は4:3でA案の採用が決まる。
森喜朗会長のコメントに左右される委員ではないだろうが、少なくとも国民は逆にA案支持に回るはずだ。「森さんは(自分が嫌われるのを承知のうえ)A案に支持が集まるように発言したのでは」とうがった見方をする人もいるが…。
明日(18日)は、隈研吾氏がデザイン監修した三井不動産レジデンシャルの「パークコート 赤坂檜町ザ タワー」を見学する。素晴らしいマンションだろうから、きちんとレポートする。
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JSCから新国立競技場の技術提案書が公表された翌日12月15日夕、農林水産省は林業関係9団体の長らと意見交換を行った。農水省側からは森山農林水産大臣をはじめ伊東副大臣、齋藤副大臣、加藤政務官、農林水産事務次官、農林水産審議官、大臣官房長、総括審議官、林野庁長官、林野庁林政課長が出席した。会議は非公開で行われた。
記者はてっきり「和の大家」隈研吾氏らのA案が選ばれるための決起集会だと判断した。
この年末の忙しい時期に9団体の長と大臣や事務次官などが会合を持たなければならない緊急の事案はほかにないはずで、A案の採用を突破口に森林・林業の再生・活性化の動きを加速させようという狙いだろうと読んだ。
ところが、会議に同席した林野庁の担当者は、「たまたま時期が重なっただけ。会議の冒頭、大臣が『木の案が出されてよかった』というようなことをおっしゃったが、A案が採用されることを企図した会議では全くなかった」と否定した。
村野藤吾の代表作の一つ 目黒区総合庁舎を見学
目黒区総合庁舎
わが国の建築家村野藤吾(1891~1984)の代表作の一つ目黒区総合庁舎を見学する機会に恵まれた。1966年に竣工し、千代田生命保険の本社ビルとして使用開始され、総合庁舎としては改修が施されたのち2003年1月から「開かれた庁舎」として再生・利用されているものだ。
詳細は同区のホームページでも公開されているが、建物の内外に村野や職人、美術家のこだわりが垣間見られる。とにかく写真を見ていただきたい。
エントランスホール(ホールは中央を中心に非対称になっている。左側側は建物の外に柱があり、右側は水を張った床と柱があり、その外側に水盤・庭園がある。天井には明り取りがある。壁にポスターなどは一切張らず、時々コンサートなどが行われるそうだ)
3階部分から中庭、茶室を望む(縦の格子はアルミ製)
らせん階段(正確に丸くしているのではなく、フリーハンドで円を描いているのがわかる)
茶室(もちろん一般の人も利用できる)
会議室の床と巾木(カバ桜か、チェリー材か。遮音対策のために床と壁はゴムのようなもので遮断されている)
喫茶室の壁(デザインは当時のままで、腰壁も無垢材が使われていた)
本館と別館をつなぐ渡り廊下(以前は電車と同じような蛇腹が使用されていたという)
庇足元の「石」(これも意味があるそうだ。広場にはヘンリー・ムーアの作品もあるそうだが、見逃したか)
隣接する中目黒しぜんとなかよし公園から見た庁舎(この公園ももとは敷地の一部だった)
公園内に設置されている「平和の石」。昭和61年、広島市から寄贈されたもので、被爆した旧広島市庁舎の階段の一部
藝大×スウェーデンハウス クリスマス(ユール)染織専攻作品展12/25まで
橋本和子さんのろうけつ染め「ちやほや」
スウェーデンハウスと東京藝大は12月14日、同社の豊洲のモデルハウスで「東京藝術大学染織専攻作品-jul(ユール)」レセプションパーティを行った。
◇ ◆ ◇
記者は終了後の18:00過ぎに駆けつけたので、主催者の東京藝大染織研究室教授・菅野健一氏やスウェーデン大使館 広報文化担当官アダム・ベイエ氏、スウェーデンハウス取締役営業本部長・鈴木雅徳氏のあいさつやアーティスト・トークがどのようなものだったかわからないが、大急ぎで作品を見て回った。
作品は傑作ぞろいだ。展示は12月25日(金)まで行われるので、スウェーデンハウスの住宅を見るのもいいし、作品をもみるのもいい。豊洲のクリスマスの夜もいいかもしれない。
記者の一押しは、修士1年生の橋本和子さんのろうけつ染めの子ども用の襦袢「ちやほや」と、修士1年生の阿部蕗子さんのシルクスクリーンのカーテン「ユールの夜に」だ。
「ちやほや」の語源は「蝶よ花よ」だそうで、魔除けを施し、こどもの健やかな成長を願う気持ちを作品に込めたという。カラフルな染の技を見て、同じ東京藝大名誉教授の洋画家・絹谷幸二氏の一連の作品と重ね合わせた。
阿部さんの作品は木綿ビロード(ベルベット)でできており、冬寒くて暗いスウェーデンハウスの自然と、家の中を温かく過ごす家庭の対比を柄に入れ込んだそうだ。「蕗子」は、記者の好きな作家・水上勉の娘さんの名前と一緒だ。いい名前だ。
もう一つ挙げると、修士1年生の佐々夏実さんのシルクスクリーンのタペストリー「宵」だ。クリスマス(ユール)のでサンタの役割を担ったのは黒い服にヤギの顔を持つ「ユールボック」で、それをモチーフにしたという。これを見て、イギリス人作家トム・ロブ・スミスのスウェーデンを舞台にした最新作「偽りの楽園」(新潮文庫)を思い出した。家族の再生がテーマのミステリ小説で、保守的で暗い一面もあるスウェーデンハウスのコミュニティが描かれている。怖い妖精「トロール」も頻繁に登場する。
同社の催しは、住宅もさることながらいつもスウェーデンの自然や歴史、文化を想像させてくれる。だからいい。
阿部蕗子さんのシルクスクリーン「ユールの夜に」
佐々夏実さんのシルクスクリーン「宵」
菅野教授のタペストリー「ユールトムテゴートX.ユールトムテゴートY」
スウェーデンハウス 豊洲モデルハウスで藝大染織専攻学生の作品展(2015/12/1)
杭打ちデータ流用問題 結局は大山鳴動…早々に幕引きへ 国交省・対策委
既報の通り国土交通省は12月8日、「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」(第4回)を開催し、会合後、深尾精一・委員長(首都大学東京名誉教授)と小澤一雅・副委員長(東京大学大学院教授)が記者会見を行なった。
会見は、国交省記者クラブに所属する報道陣向けだったが、そろそろ何らかの方向性が出るだろうと、事前に記者クラブの幹事新聞社の了解を得て会見を取材した。了解していただいた幹事新聞社に感謝したい。
記者も質問したかったのだが、そこは遠慮することにし、席も最後方に座った。以下、委員長・副委員長と記者団の一問一答の要旨(質問内容は質問が要領を得ないのか、記者の耳が悪いのかよく聞き取れなかった)。
◇ ◆ ◇
-多重下請け構造が問題の背景にあるのでは
深尾委員長 専門でないわたしが意見をいうのは適切ではないかもしれないが、この問題は大きな根源的な問題。長期的にどうあるべきかしっかり腰をすえて(杭打ち問題と)分けて取り扱うべきではないか。
専門的な立場から言えば、杭打ちは元請でないところがしっかりと行うのは技術が進歩していくうえで必然、自然なこと。
小澤委員 杭の品質を管理することについては、(元請と下請けが)どういう役割分担をしているのか、契約がどうなっているのか、最終的に誰が責任を取るのか、その体制が曖昧になりがちになっており、契約がどうなっているかを分析して再発防止、対策を考えていきたい。
もう一つの問題は、建設業法、派遣法などで、そこに配置されている人がどういう立場で関わっているのかチェックする必要があるという意見があった。これについては法律的判断になるので、専門的な立場の方の判断を待って、どう対応するのかもう少し検討しなければならない。
-問題を起こした人は出向社員だったが
深尾委員長 出向だか派遣だか、いろいろな言葉が飛び交っているが、実態がどうだったのか、しっかり検証したい。
-杭打ちの実態について
深尾委員長 杭に関してはやはり慣れというか、管理されていない風潮があったと思う。データ確認が形式的になっていた。データはチェックするために出すものなのか、仕組みがあるから出すのか、データ確認を軽視する風潮があった。
-ヒューマンエラーについて
深尾委員長 機械も故障することがあるし、人もミスをすることがある。そうした場合、どういう措置をとるのかルール化されていない。これが一番問題。われわれ委員会もそう認識しているし、日建連さんも同様に考えていらっしゃる。データ管理の仕組みが不完全だった。ルール化がされていない。これは改善が簡単にできることかも知れないし、ぜひともやるべき。
-地盤調査などについて
深尾委員長 掘ってみないと分からない部分があるし、追加の工事が必要になる。それをきちんと対応すべきなのに、(責任が)不明確なまま元請がかぶらざるを得ないというのであれば適切な工事が進められないだろう。そういうところも見直すべき。
-横浜のマンションの元請責任は
深尾委員長 これは委員会が(責任の所在を明らかにする)責任を負っているわけではない。横浜から追加報告が出ていないのは、個人的には残念に思っている。横浜の契約関係がどうなっていたのか再発防止策に重要なので、報告を待って再発防止策を検討したい。
-横浜のマンション問題について
深尾委員長 われわれも(報告がでないので)困るところ。どういう状況で、どこに問題があるか。状況証拠的にはかなり複合的になっていると思うが、これを明らかにするのはわれわれの責任ではない。(報告が)出てきたら前に進みたい。(中間とのまとめは)年内にという要望ですので、分かった範囲内で取りまとめる。
-再発防止について
深尾委員長 現段階で公表できないが、日建連さんはかなりいろいろ検討されているという感触を得ている。具体的にどうするかは、業界全体でやるべきこと。われわれが言うより、工事を担う業界がやるほうが実効性があるし、十分に応えていただいていると思う。
小澤委員 事前にマニュアルを作成して人の配置とかチェックするシステムをつくっているところもある。これがヒントになるはず。日建連の指針もあわせいい方向性が出るのではないか。
-中間取りまとめについて
深尾委員長 中間取りまとめは、国民の不安を解消するということ、それと信頼を回復することが重要な目的。その部分に関しては、ある程度とりまとめができる。
繰り返しになるが、かなり業界団体も全体の改善策、再発防止策を検討していただいているので、今までと比べはるかに信頼が置ける工事が行われることにもなる。
もちろん、横浜の問題をどう解決するか、(事故が)起きないようにどうするかは少し別の次元かもしれないが、類型が起きない再発防止策は十分立てられると考えている。
今までの検討結果で、データ流用が直接施工不良に結びつくものでないことが判明して、われわれも嬉しいというかほっとしている結果となった。しかし、そういうことが分かったということは、逆にデータ確認を明らかに軽視している実態が明らかになったと委員全員がそう思っている。
◇ ◆ ◇
一問一答を読んでいただければ方向性は明確だ。「データ流用が判明した物件のほとんどが施工不良には結び付いていないので、データ流用と(横浜のマンションの)施工不良との関係性は低い」(深尾委員長)ことから、杭打ち工事の指針(国交省から告示として発表されそうだ)ははっきりした形で示されるはずだ。
深尾委員長や小澤委員のコメント「ルール化は簡単にできることかも知れない」「日建連の指針もあわせいい方向性が出る」「今までと比べはるかに信頼が置ける工事が行われる」「類型が起きない再発防止策は十分立てられる」から判断すれば、言葉は悪いが「大山鳴動…」だ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け繁忙期を迎える建設業界にとって、早々に幕引きし、問題の長期化を避けようという意向が働いたのだろう。
問題は、横浜のマンションを施工・監理した三井住友建設が「施工・監理に瑕疵はない」と会見で語ったことが事実そうであるならば、だれが責任を取るかだ。マスコミ報道では、この監理(「さらかん」という法的行為)と管理(「たけかん」と呼ぶ仕事の流れを管理する法的には罰則がない仕事)の区別がほとんどされていないのが極めて残念。
深尾委員長も話したが、罰則事項がないからデータ改ざんを行なった旭化成建材の技術者(どのような立場の人かは不明だが)に違法性を問うことはできない。被害者(横浜の例では入居者、三井不動産レジデンシャル、あるいは三井住友建設も入るのか)は誰にどのような理由で責任を追及すればいいのか。旭化成建材に損害賠償など責任を問えるならば、他の杭打ち業者もそうなる。
記者は杭打ち業者に責任を追及することはできないとしても、やはり施工・監理責任は問われるべきだろうと考える。
データ流用・施工不良に対する責任が施主や施工・監理会社に及ばず、その下請けのみに「責任転嫁」される仕組みを温存するならば、やはり多重下請け構造が不正を生む温床になるのではないか。対策委員会が魑魅魍魎のこの業界の宿痾にどのような処方箋を用意するか注目したい。
杭打ちデータ流用 再発防止にメド 多重下請け構造は継続課題 深尾・対策委員長が会見(2015/12/8)
今年度新設の「ウッドデザイン賞」に三井不、ナイス、LIXIL、積水ハが優秀賞
「ららぽーと海老名 キッズプレイエリア『ウッド キューブ』」
林野庁が後援し、ウッドデザイン賞事務局(活木活木森ネットワーク・国土緑化推進機構・ユニバーサルデザイン総合研究所)が主催する今年度に新設された 「ウッドデザイン賞2015(新・木づかい顕彰)」で、住宅。不動産業から三井不動産他「ららぽーと海老名 キッズプレイエリア『ウッド キューブ』」、ナイス「住まいの耐震博覧会」、LIXIL「連続開口設計サポート」、積水ハウス「積水ハウス シャーウッド~純国産プレミアムモデル~」が林野庁長官賞(優秀賞)を受賞した。また、ポラス「POLUS学生・建築デザイン コンペティション」、住友林業「木の内装と間接照明を組み合わせた寝室環境による睡眠の質改善効果と疲労軽減効果」が審査委員長賞(奨励賞)を受賞した。
農林水産大臣賞は、西粟倉・森の学校(岡山県西粟倉村)の「『みんなの材木屋』発 森と暮らしを創る六次産業化モデル」が受賞した。
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「グッドデザイン賞」の向こうを張るわけではないだろうが、「ウッドデザイン賞」とはなかなかいい名称を付けたものだ。
「ウッドデザイン賞」は、「木」に関するあらゆるモノ・コトを対象に、暮らしを豊かにする、人を健やかにする、社会を豊かにするという3つの視点から、デザイン性が優れた製品・取組等を表彰する今年度初めて創設されたアワード。
初年度となる今年は、建築家の隈研吾氏、プロダクトデザイナーの益田文和氏、アーティストの日比野克彦氏、慶應義塾大学大学院教授の伊香賀俊治氏ら各分野の第一線で活躍されている方々が審査委員を務めた。
初年度は応募があった882点から二次審査を通過して「ウッドデザイン賞」を受賞したのは397点。今回、農林水産大臣賞(1点)・林野庁長官賞(9点)・審査委員長賞(30点)として40作品が発表された。
「グッドデザイン賞」の今年の応募3658件にははるかに及ばないが、質では互角だと胸を張れるアワードになってほしい。
企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)の活動に〝目からうろこ〟
「第3 回ACEフォーラム・表彰式」(イイノホールで)
一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(略称:ACE = Accessibility Consortium of Enterprises、代表理事:橋本孝之・日本アイ・ビー・エム副会長)は12月8日、「第3 回ACEフォーラム・表彰式」を行った。
清水建設代表取締役社長・宮本洋一氏、日本アイ・ビー・エムフェロー・浅川智恵子氏、慶應義塾大学教授・中島隆信氏がそれぞれインクルーシブな社会づくりに向けた企業の取り組みや経済学的に見た障がい者雇用について講演。会員企業に在籍する障がいのある社員の中からロールモデルとなるべき人材が表彰された。
会員企業である積水ハウスからは総合住宅研究所・上野政一氏が準グランプリを受賞した。
ACEは、「障がいというダイバーシティを活かした新たな価値の創造と企業風土の変革、そしてインクルーシブな社会の実現を目指し、企業の成長に資する新たな障がい者雇用モデルの確立と、企業の求める人材の社会に対する発信を目的」とする法人で、設立は2013年8月。会員企業は26社。
冒頭のあいさつで橋本氏は「われわれの活動はコンプライアンスやCSRといった従来の枠を超えた活動。みんな手弁当で論議し、社会のあり方、雇用のあり方の知見を広め、情報を発信し、日本を変える原動力になろう」と語った。
準グランプリを受賞した積水ハウス・上野氏(左は橋本氏)
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積水ハウスからの誘いで、存在すら知らなかったACEの取材をする機会を得た。
宮本氏は自らの経験として、視覚障がい者の音に対する豊かな感性に触れ「目からうろこ」と話したが、浅川氏や中島氏の講演を聞いて、まさに「目からうろこ」だった。と同時に、障がい者に対して少しは理解があると思っていたが、余りにもの無知に恥じるばかりだった。
ぐさりと胸を衝かれたのは中島氏が語った「差別とは何か」だった。中島氏は偏見による「ベッカー型」の差別や統計的な差別(問題行動を起こす確率が高い)のほかに、間接的差別があると指摘した。例えばわれわれが当たり前と考えている長時間労働は、子育てファミリーや障がい者を間接的に差別しているというのだ。
また、改正された障害者雇用促進法は、福祉を「利用」する企業が出てくることや、施設化する恐れがある特例子会社の問題、効率的経営との矛盾などからいずれ大きな壁になり、立ち行かなくなる可能性を指摘。障がい者を配慮するコストが全然考慮されていないと批判した。
さらに中島氏は、「すべての人が何らかの障がいがある。障がいは社会を映す鏡である。国民一人ひとりが自らが負担すべき配慮の経済的コストを自覚するべき」と話した。
宮本氏と浅川氏は、双方が連携して点字ブロックのデメリットを解消する音声ナビケーションの開発・実用化に取り組んでいることを報告した。
たしかに点字ブロックはなくてはならないものだろうが、健常者にとっては転ぶ障がいになりかねないし、点字ブロックそのものもつながって意味があるのにそうなっていない。試しに目をつぶって新宿駅周辺を歩いてみたが、10mも歩けなかった。最新の情報通信技術による音声ブロックの開発は劇的にわれわれの生活を変えるかもしれない。
それにしても、ACEは障がい者の立場から自らの企業をしばるかもしれない障がい者雇用の問題を考えようとしている。大企業は経済合理性だけを考えるものだと思っていたが、考えを改める必要があると痛感した。
ACEの会員は、住宅・不動産業界からは積水ハウスのみで、関連では清水建設、LIXILが、その他ではアサヒビール、KDDI、セコム、TOTO、日産自動車、富士ゼロックス、堀場製作所、明治安田生命保険、ヤマトホールディングス、リクルートホールディングスなどが名を連ねている。
積水ハウスのサステナビリティレポート、ダイバーシティページは次の通り。
三井ホーム わが国初のツーバイフォー5階建て(1階はRC)特養が上棟
建築中の「花畑あすか苑」
三井ホームは12月9日、延べ床面積約9,800㎡という規模と5階建てという階数でわが国初の2×4工法による特別養護老人ホームが上棟したのに伴い、プレス向けに内覧会を実施した。建物は1階がRC造で2階から5階が2×4工法。平成26年度の国土交通省「木造建築技術先導事業」として採択されている。
施工にあたっては、地震時の横揺れに有効な新技術としてカナダで開発された木造中層向けの「ミッドプライウォールシステム」を初めて採用。さらに建物強度を確保するため独自金物を用いたタイダウンシステムを採用したほか、個室はユニット組立方式とした。
事業主の聖風会・近藤常博理事長は、「介護施設の報酬は3年ごとに見直され、その都度減額されている。建物の建築費は鉄骨などでは坪120万円というのがざらだが、これではイニシャルコストが回収できなくなってきている。その点、木造はそれより低くて減価償却も鉄骨の50年に対して17~20年で短いので、その分のメリットがある。
さらに、木造は入所者の感染症の発生が少ないとか、素足であるいてもやわらかくて暖かいとか、ぬくもりがあるとか、環境面でもやさしいなどの特徴がある。地域の方にも区の事業にも貢献しようと新しい試みにチャレンジした。私どもの理念である〝最高に価値あるものをすべての人に〟の実践です」と語った。
建物の所在地は足立区花畑4丁目で建築主は社会福祉法人聖風会。名称は「花畑あすか苑」。設計者はメドックス。構造設計は日本システム設計。施工は三井ホーム。敷地面積は約4,551㎡、延べ床面積約9,789㎡。特別養護老人ホーム140室と短期入所生活介護施設20室のほか、デイサービスセンター、居宅介護支援事業所、地域交流スペースが設置される。竣工予定は2016年6月。同社の落札価格は約27億円。
完成予想図
近藤氏
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この施設が「木造建築技術先導事業」として採択された段階から、どこが施工を担当するのかずっと注目していた。木造ファンの記者にとって約9,800㎡という規模と5階建て(1階はRCの混構造だか)の木造建築物ができるということはとてもうれしい。
毎度のことだが、残念なことが一つある。当然ではあるが、建物は青いシートで覆われていた。同社関係者も「コンクリートと同じではないか」と思わず口にしたように、木なのか鉄なのかコンクリートなのかさっぱり見分けがつかない。
内部はもちろん美しい。福島産のスギ材を一部使用するなど林野庁もよろこびそうな配慮をしている。ところが、このままの現わしで事業主に引き渡すわけではない。表面は耐火認定を取るためにボードなどで覆われることになる。
工事関係者にも聞いた。「ここに入所される方は木でできていることが見て分かりますか? 」と。その関係者は「無理でしょうね。我々プロでも一見して木造か鉄なのかの区別はつかない」と答えた。
いまさら木造の良さについて書かないが、今の耐火・防火基準は全て木の良さを覆い隠すイチジクの葉っぱだ。木が恥部のように扱われるのにものすごく腹か立つ。
この日から向こう3日間は、われわれ記者も含めて業界や行政関係者など1,000人くらいが見学に訪れるそうだ。せっかく美しい木の建物を造って、それを覆う愚かしさに気づいてほしい。耐火・防火基準はわが国の文化の否定だとも思う。
外観も少しは木造らしい仕上げをしており、完成するのが楽しみだが、わが国初の記念すべき木造建築物が鉄やコンクリと同じ姿なのを見せつけられるのだろうか。
「ミッドプライウォールシステム」を採用した壁
シートで覆われた建物
三井ホーム 国内初の2×4工法による大規模木造5階建て受注(2015/4/3)
杭打ちデータ流用 再発防止にメド 多重下請け構造は継続課題 深尾委員長が会見
会見に臨む深尾委員長(左から2人目)
国土交通省は12月8日、横浜傾斜マンション問題に端を発した「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」(第4回)を開催。会合のあとで深尾精一委員長(首都大学東京名誉教授)らが会見を行い、データ流用の再発防止策については要因分析、業界の取り組みなどから年内に防止案をまとめるめどが立ったことを明らかにした。建設業界の多重下請け構造が背景にあるのではという問題については、根源的な問題であり、今回の事件と直接的な因果関係が不明であるとし、腰を据えて継続的に検討していく必要があるとした。以下、深尾委員長の発言要旨。
旭化成建材によるデータ流用があった物件の中から先行調査した82件のうち調査確認中の10件を除き、傾斜、ひび割れなどの不具合はなく、72件は安全性が確認できた。データ流用が判明した物件のほとんどが施工不良には結び付いていないので、データ流用と(横浜のマンションの)施工不良との関係性は低いと判断した。
再発防止については、喫緊の課題であり、建設業界全体の構造的な課題を含めて広く意見交換した。かなり熱の入った論議ができた。個人的な考えだが、多重下請け構造問題は、長期的にどうあるべきかを考えるべきで、今回の問題とは分けて考えるべきだ。
論議は①「安心・安全」②業界の風潮・風土、個人の意識③責任体制④設計と施工⑤ハード(機器、装置など)の5つの論点を委員間で共有した。
ただ「安心・安全」については、国民の信頼を取り戻す必要があり、「安全・安心・信頼」というような捉え方で防止策を考えるべきとの意見があった。
具体的な再発防止については、日建連が指針の検討を精力的に進めておられるようで、それらの取り組みを踏まえて再発防止策を検討する。杭打ち工事は、地盤調査、設計、施工のそれぞれの段階で責任・役割の分担を明確にし、施工に支障が起きたときやデータ取れなかったときなどの対応策などを明確化すべきという意見がかなり出た。
深尾氏
三井不 「ららぽーと立川立飛」12/10オープン 客が客を呼ぶ店舗づくり
「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」
三井不動産は12月10日(木)、立川市に西東京エリア初のリージョナル型ショッピングセンター「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」を開業する。7日(月)、開業に先立ってプレス・関係者に公開された。
同施設は、JR中央線立川駅から多摩モノレール線で2駅の立飛(たちひ)駅と新設の連絡ブリッジで直結した西東京エリア最大級のショッピングセンター。敷地面積は約9.4ha、建物は鉄骨造3階建て延べ床面積約15.4ha。駐車台数は約3,100台。いつも訪れたくなる“居心地のよい空間“を目指す。
モールには高感度ショッピングからデイリーユースまで、幅広くカバーする250店舗が出店。「音楽」「文化」「子育て」の3つをキーワードに、新たなサービスの提供やショップ間のコラボレーションに取り組んでいく。
10日には、8時25分から清水庄平・立川市長も出席してオープニング テープカットセレモニーを行うほか、様々なイベントやキャンペーンが行われる。
公共交通機関の利用を促すこともあり、12月10日から来年の1月11日までの毎週土曜・日曜日は立飛駅やバスを利用して訪れた人には買物券500円がプレゼントされるほか、先着100名限定で宅配サービスやクロークサービスの半額チケットが当たる抽選もある。
初年度売り上げ目標は330億円。3,000人を超える雇用が生まれる。
「テラリウム」(直径10m、中にはシラカシが植わっていた)
武蔵野美大生によるスペースデザイン プロジェクト
スペースデザイン プロジェクト
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立川市に本社を構える「いなげや」の旗艦店「blooming bloomy by Inageya」が、これまでにない売り場や、地元直送野菜や多摩地産を集めた〝さんさん市〟を開くというのでどのようなものか見に行くことにした。
しかし、ここ10年以上、ほとんどスーパーで買い物をしたことがないので、〝これまでにない〟売り場とはどのようなものかさっぱり分からず、売られている生鮮食品が高いのか安いのかも全く分からず、とりあえず「紅化粧」という名の皮が赤い128円の大根を買い右往左往していたら、「どうですか? おいしいピザを一緒に食べませんか」と声を掛けられた。
一瞬躊躇した。ピザは好きではないからだ。しかし、断るのは失礼と思い、話を聞くことにした。頂いた名刺には「いなげや専務取締役 営業統括 木村博尚」とあった。しめた!(もちろん「ピザは嫌いでして」などとは口にしなかった)
木村氏は「わたしがここの責任者。このピザは桜島の溶岩窯で焼いたからおいしいですよ。フレッシュジュースもどうぞ。ここは〝くつろぎスペース〟と呼びまして、買っていただいたものを自由に食べていただくとか、パソコンの利用も可能にします。酒? もちろん結構です。デリカッセンやフレッシュジュース売り場なども新しい試みで、チラシも基本的にまきません。お客さまがお客さまを呼んでくれる店舗づくりをめざします」と話した。
スーパーがチラシをまかないでどうして集客するのか分からないが、いなげやも含めてこの「ららぽーと立川立飛」は〝今日は何があるかしら〟と行きたくなるような店舗づくりをしているのかもしれない。社に戻って女性に聞いたら、最近の大手スーパーはそのような店舗づくりをしているとのことだった。
「紅化粧」はあきる野産で、赤いのは皮だけで中身は普通の大根と同じ。皮ごと漬物やサラダにしたらカラフルなものになる。そのままおろしたら、辛くない〝紅葉おろし〟になるかも。普通の大根は1本158円だった。
いなげや専務取締役・木村氏(久々にピザを食べたが、ネギが入っており美味しかった。キウイのジュースもおいしかった。1杯200円で、ほかより100円は安いとか)
〝さんさん市〟(手前の赤いのが「紅化粧」。大きさは普通の大根の半分くらいか。その手前のネギは128円、その奥の白菜は250円)
三越伊勢丹「エムアイプラザ」(買い物かごを持って商品が買えるカジュアルな店ということだった)