RBA OFFICIAL
 

IMG_3697.jpg
「マンションの豊かな未来への提言」(日比谷コンベンションホールで)

 マンションコミュニティ研究会(廣田信子代表)が11月14日、設立5周年記念のフォーラム「マンションの豊かな未来への提言」を開いた。

 同研究会は、「人の生死に関わる場面、大きな災害時に機能するコミュニティのセーフティネットをマンションに築いていくための活動をする」のが目的で、今回は千葉大学大学院教授で日本マンション学会前会長の小林秀樹氏、全国マンション管理組合連合会(全管連)会長・山本育三氏、弁護士・篠原みち子氏、有明マンション連合自治会会長でブリリアマーレ有明理事長・星川大輔氏らがそれぞれの立場からマンションの未来について提言をおこなった。

 小林氏は、マンション管理を①テリトリアリティ②ガバナンス③軽い相互扶助-の3つの観点から持続的管理とは何かを解き明かした。

 山本氏は、全管連が提唱する「マンション再生法(仮称)」の概要を紹介。マンション建替え円滑化法では欠けている長寿命化の視点から持続可能な社会の構築を目指そうと訴えた。

 篠原氏は、これまでのマンションの歴史と課題について触れ、マンション管理会社が管理組合のよきパートナーとして提案力を持つ重要性を説いた。

 星川氏は、ほとんど住民のいなかった有明地区で初代の管理組合理事長を務めながら近隣のマンション管理組合と連携しながら地域の自治会を設立。〝日本一住みたいマンション〟にするべく活動していることを報告した。

◇       ◆     ◇

 ここでは各氏の講話を一つひとつ紹介しないが、いずれも興味深い話ばかりだった。この4氏とコーディネーターとしてパネルディスカッションに参加した廣田氏の話題は当然マンション標準管理規約の改正にも及んだ。それぞれパネリストの声を紹介する。

小林氏 管理組合と自治会の混同を避けるべきというのは当然。役割のちがいをよく認識して客観的に説明できることが肝要。基本的には管理に必要なコミュニティ活動はやっていい。問題が生じたら篠原さんのところに駆け込めばいい(爆笑)

山本氏 あれ(改正案)をそのまま論議なしにコミュニティ条項を削除するところはないのではないか。改正案は経済合理性だけを念頭に置いており、広く合意形成を図るための十分条件ではない。区分所有法の改正も考えていい。再生法をおおいに広めていただきたい

篠原氏 改正されても今まで通りでいい。〝共有は紛争の母〟という言葉があるが、きちんと問題を整理してコミュニティも淡々とやればいい。マンションの価値は交換価値だけで計れない

星川氏 多くの管理組合はコミュニティ条項のことなど知らない。われわれはわれわれの方法でコミュニティ活動を行っていく。楽しくやろうということです(一連の活動でブリリアマーレ有明は中古市場で地域ナンバー1の評価だとか)

小林氏 千葉市は、自治会に加入したくない人を名簿から外して届け出れば管理組合を自治会として認めている

◇      ◆     ◇

 記者は、マンションコミュニティ研究会の趣旨に賛同してこれまで何回か勉強会にも参加してきた。研究会のホームページの紹介には次のような文章がある。

 「『村八分』という言葉があります。村の約束事を守らなかった家との付き合いをやめ孤立させるという、農村社会における濃いコミュニティの残酷な一面を表すものです。と同時に、どんなに仲間はずれの状況でも、二分は例外で助けるという決まりだったのです。その二分とは、お葬式と火事の時です。

 現在は、周りと共同しなくても生活できる便利な社会ですが、しかし、どんなにがんばっても人は一人では生きられないし、最後の後始末も自分ではできません。

 核家族が当たり前、単身者も増加し、高齢化、高齢独居も今後ますます増える状況で、マンションにも、二分のお付き合いは絶対に必要です。

 現代の二分は、『孤独死を防ぐ』『大災害時の助け合い』ではないでしょうか」

 誤解を恐れないで書く。「村八分」は権力者が住民を統治する手段として利用してきた側面が大きいのだろうが、住民もまたそれで自治(コミュニティ)を学んだ。地域それぞれの冠婚葬祭が独自の文化も育んできた。みんなが決めたことを守らなければ、その組織からはじき出されるのは当然だ。

 その地域の住民がよしとした社会規範は住民の自決権として認めるべきで、国が関与すべきでないと考える。

 マンション標準管理規約からコミュニティ条項の削除に対してどのようなパブリックコメントが寄せられるかものすごく興味がある。国交省はパブコメを「聞きおく(参考にさせていただく)」にとどめるのだろうか。

 

カテゴリ: 2015年度

 大和ハウス工業は12月21日(月)、創業60周年記念「Daiwa Sakura Aid コンサート」を東京新国立劇場 中劇場で行う。同社は社会貢献活動の一環として2008年から「吉野山の桜を保全する活動」を行っており、今回もその一つ。収益の一部は桜の保全活動に充てられる。詳細は次の通り。

  〈公演日〉2015年12月21日(月)18:00開場 18:30開演

  〈出 演〉KAN / K / ジュスカ・グランペール(opening act)

  〈ゲスト〉佐藤竹善

  〈会 場〉東京新国立劇場 中劇場

  〈入場料〉前売り5400円(全席指定、未就学児童入場不可)

  〈主 催〉大和ハウス工業株式会社

  〈後 援〉TOKYO FM / 奈良県吉野町

 

カテゴリ: 2015年度

IMG_3853.jpg
久光氏

 1日2~3社、月にして約45社の不動産会社の社長・役員クラスと情報交換している、業界の名物男でマンションコンサルタント会社トータルブレイン・久光龍彦社長に話を聞いた。

 まだ1年を振り返るには早いが、久光氏は「価格競争に走らないで、安価で良質な住宅供給に力を注いではどうか」とデベロッパーに注文し、その一方で、ユーザーには「3P(プレイス、プラン、プライス)のうち今日ほどプレイスが重視される時代はない。立地にこだわらなければもっと快適な暮らしができる」と選択の幅を広げてはとアドバイスした。

 業界で久光氏を知らないというのは〝もぐり〟だろうが、その経歴を少し紹介する。久光氏は現在75歳。17年前に同社を立ち上げたのだが、それまで長谷工コーポレーション専務-長谷工不動産社長-長谷工アーベスト社長-長谷工コミュニティ社長を歴任している。

 いかに業界広しといえども、マンションの川上から川下まで、しかも先頭に立って活躍してきた人というのは久光氏以外にいない。「業界の名物男」と書いたのはそのためだ。

 75歳になって月に45社も回るというのもこれまたすごい。このうち定期的に回るのは15社くらいで、あとは2~3カ月に1回、半年に1回くらいのローテーションで回るのだという。「そりゃ情報の十字路に立っているわけですから神経は使いますし、いい加減な話はしません」という。

 多忙を極める久光氏に業界とユーザーに一言アドバイスを求めた。

 「デベロッパーには、価格競争に明け暮れているのはいい加減にしたらどうかといいたい。金利は安いが、景気はよくないし土地も建築費も高止まり。安価で良質住宅を供給するのが業界の使命のはず」と、もっと商品企画に力を入れるべきと話した。

 ユーザーに対しては、「プレイス、プラン、プライスの3Pが重要なのはわかりますが、50年この仕事に携わってきて、いまほどみんな立地に走っている時代はない。立地にこだわるから価格も上昇する。視点を変えれば快適な住宅が手に入る」と語った。

IMG_3866.jpg

◇       ◆     ◇

 久光氏を知らない業界人は〝もぐり〟と書いたが、久光氏の趣味が〝もぐり〟というのを知っている人はそれほど多くないかもしれない。しかも、潜っていなければとっくに〝鬼籍〟に入っていたかもしれないという〝奇跡〟の人でもある(このような失礼な駄洒落が通用するのも、久光氏がいたって元気だからだ)。

 正確に言えば、〝もぐり〟はスキューバダイビングのことだ。空気を詰めたタンクを使って海の中にもぐるスポーツだ。「とにかく珊瑚も魚が美しい」と魅入られたのだそうだ。

 久光氏が九死に一生、奇跡の生還を遂げたのが2004年12月26日早朝、インドネシア・スマトラ島沖で起きたマグニチュード9.1の大地震だった。死者は約26万人に達した。

 この日、久光氏はタイの観光地プーケット沖で潜っていた。地震が起きたときも全く気が付かず、ホテルに戻って初めて大惨事を目の当たりにした。3階建てのホテルは2階まで壊滅状態で、1階に預けていた財布などもさらわれていた。

 奇跡は本人だけではない。「旅行は女房も一緒で、普段女房は部屋にいるかビーチに出て本でも読んでいるのですが、この日に限って大きなクルーザーだったので一緒に乗ることになった。女房が一緒でなかったらと思うとぞっとする」と当時を振り返る。

 着の身着のまま、ビーチサンダル履きで29日に帰国した際、真っ先に久光氏のインタビュー姿がNHKのテレビに映し出された。

 このニュースで久光氏が奇跡の生還を遂げたことを知った業界人は多いはずだ。「夜の7時のニュースで私のことが伝わると、『奥さんは大丈夫か』という連絡がたくさんありましたが、女房は(カメラクルーから)とっさに逃げましてね、映らなかったんです」

IMG_3861.jpg

◇       ◆     ◇

 この惨事で懲りたのかと思いいきや、そうではない。その後もずっと潜っている。

 「わたしは暖かいところしか潜りません。夏の沖縄とか台湾、パラオ、サイパン、インドネシア、プーケットなどです。この20年間で980本潜りました。1本とはボンベのことですが、ダイバーは潜るごとに記録につけるんです。それが今年で1,000本になるんです。リゾートばかりで1,000本という人はそういないはずです。時間と体力とカネが必要なスポーツですから。この三拍子はなかなか揃わない。

 1,000本記念のTシャツも用意してます。達成したら仲間にサインをもらうんです。寝室には300本達成以降の100本単位のTシャツを飾っているんです」

 「ゴルフはダイビングを始めるのと前後して止めましたね。ダイビングには女房も連れて行くから文句を言われない」

 -「住友不動産の安藤太郎さんは98歳までゴルフをやっていました。久光さんもそれくらい続けてほしい」と水を向けたら、安藤太郎さんの話になった。

 「安藤さんとは(長谷川工務店時代の)水上社長と(専務の)私とよくやりましてね、泉カントリーです。さすが安藤さんですね、平気で自分の都合のいいようにOBラインを変えるんです。しかも、ラウンドの前後一組を開けるんですよ。せっつかれることはまったくない」-こんな話も久光氏はデベロッパーの幹部の人と話しているのだろうかと考えると、楽しくなってくるではないか。

IMG_3856.jpg

カテゴリ: 2015年度

IMG_3954.jpg
「日本の木 ニッポンの家具」ブース(東京国際展示場で)

 日本家具産業振興会は11月25日(水)~27日(金)、東京国際展示場で行われた「IFFTインテリア ライフスタイル リビング」で、国産材生産者、メーカー、若手デザイナーを繋ぐ「日本の木 ニッポンの家具」を出展。国産材活用の場を広げようというのが目的で、多くの家具メーカーのほか全国から公募で選ばれた27組41名のデザイナーがそれぞれの地域材を用いて展示した。

◇       ◆     ◇

 国産材を家具にも採用しようという機運が高まっているのは結構なことだし、初めて生産者-メーカー-デザイナーが三位一体で国産材活用をアピールするというので取材することにした。

 できれば小野由記子氏(小野意匠計画代表)かトークショーに出席された初日に取材したかったのだが、都合がつかず、最終日の27日に取材した。それでも多くの収穫があった。

 配布された資料によると、わが国の家具メーカー(100社回答)は輸入材を使用する割合が7割以上という回答が67%に上っており、国産広葉樹は量が少ないうえ、家具に適したサイズ(36~50㎝)のものが少なく、安定的に確保することが困難だとしている。

 その一方で、材料が入手しやすく、安定的で価格が安ければ国産材を使う「可能性がある」と答えたのは85%に上っていることも分かった。

 さらに、国産材活用のために何らかの取り組みを行っているのは41社あり、国産材を家具に採用する機運が高まっているという。これまで強度不足から用いられてこなかったスギ材も加工技術を生かして活用しようという動きもあるという。

IMG_3938.jpg

◇       ◆     ◇

 若手デザイナーの作品をいくつか紹介する。まず、世界を舞台に活躍されているわが故郷・三重県鈴鹿市のHiroki Takada(高田浩樹)氏の作品。

 写真は北海道産のシナノキの古木を用いた作品で、箱根・彫刻の森美術館が購入を検討しており、今井敏・林野庁長官も腰かけられたそうだ。

 Takada氏の作品はニューヨークなどの美術館に多く展示されているそうだ。「ミラノサローネに出品したのがきっかけで、海外を中心に活動するようになった。わが国のようにコミュニティが濃密でないから、作品そのものが評価されるのがいい」とTakada氏が語っていたのはやや気になった。名刺も英語表記だった。

IMG_3943.jpg  IMG_3942.jpg
Takada氏の作品と作品に座るTakada氏

IMG_3940.jpg
ヒノキ(左)と秋田杉を桶風にデザインした酒井篤志氏の作品

IMG_3941.jpg
鳥取の智頭杉を用いた白岡崇氏の作品

IMG_3945.jpg
「東京杉」を用いた伊藤洋平氏の作品

IMG_3952.jpg
広島・松岡製作所のキッチンと吉野杉をコラボした特注のシステムキッチン(350万円とか)

IMG_3949.jpg
静岡・焼津市の神野克昭氏の作品

カテゴリ: 2015年度

「もみの樹・渋谷本町」外観.jpg
「もみの樹・渋谷本町」

 大和ハウス工業グループの大和ハウスライフサポートは12月1日、渋谷区本町に介護付有料老人ホーム「もみの樹・渋谷本町」をオープンする。

 「もみの樹・渋谷本町」は5階建て57室。専用面積は18.04~20.22㎡(全てワンルーム)。入居金は、一時金方式が1,015万~3,600万円(非課税)、月払い方式が590,600円(税込)。月額利用料は264,600円(税込)(管理費157,680円、特別サービス費58,320円、食費48,600円)。

 新宿副都心の夜景が眺められる最上階の5階には全面ガラス張りのメインダイニングや機能訓練室、理美容室を設置。屋上庭園も設けている。

 1階には、地域住民との交流ができるコミュニケーションスペースを設け、地域住民向けのセミナーやサークル活動なども開催する予定。また、初めての取り組みとして、大和ハウス工業が提案する5種類の介護支援用ロボットや機器を導入し、先進的なケアに取り組む。

 同社は現在、介護付有料老人ホーム「もみの樹」シリーズを3施設、自立型有料老人ホームと介護付有料老人ホームが併設された「ネオ・サミット」シリーズを2施設、計5施設を運営している。

「もみの樹・渋谷本町」1階エントランスホール.jpg
1階エントランスホール

カテゴリ: 2015年度

 旭化成建材は11月24日、過去10年間に同社が施工した杭打ち工事3,040件に追加調査した12件を加えた3,052件の調査結果をまとめ国土交通省に報告。データ流用は、前回報告(11月13日)の266件から、追加調査で判明した6件を含め94件増え360件となった。

 データ流用が多いのは東京都73件(前回51件)、北海道50件(同26件)、神奈川県35件(同30件)、埼玉県31件(同26件)、千葉県23件(同23件)、愛知県23件(同21件)など。前回は546件が継続調査中で、118件が調査不明となっていた。調査不明は今回も変わらず118件のまま。

 同社の報告を受け、石井国交相は同日、「今回の報告により、旭化成建材がくい工事を施工した物件に関して、13日に報告があったものを含め、360件のデータ流用が行われていたことは、極めて遺憾。既にデータ流用が判明した物件も含めて、早急に安全性の確認を行うよう指示している」とコメントした。

マンション杭打ちデータ流用問題 闇の多重下請け構造浮き彫りに(2015/11/16)

 

 

 

カテゴリ: 2015年度

IMG_3731.jpg
「竹本邸」

 青木茂建築工房は11月17日、同社が設計・監理し、このほど完成した多摩市一ノ宮の「竹本様邸リファイニング工事」完成見学会を行った。

 プロジェクトは、昭和44年に建てられた診療所併用住宅と、昭和50年に増築された建物を2世帯住宅へ用途変更・増築を行い、耐震補強をリファイニング手法で再生するもの。

 オーナーの意向を受け、既存2棟を一体化し、耐震・耐久性を確保したうえで、1階ピロティを室内化、2、3階のバルコニーの新設、内装外装の一新、床段差解消・エレベータ新設によるバリアフリー化、現行法令へ適合させるための各種工事などを行った。

 見学会で挨拶した青木茂・同社代表は、「オーナーご夫婦、オーナー長女ご夫妻とお子さん、そのご主人のお母さん、オーナーの次女の4家族が住む住宅で、建築費が上昇する中で予算が予定の約3割アップしているが、オーナーとの打ち合わせで予算を修正して再契約した。それからはほとんどオーバーすることなく完成してほっとしている。難しい法規制をクリアするようアクロバチックな手法をたくさん用いた」と話した。

 既存建物は検査済証が存在せず、建設時以降に施行された昭和50年の第二種高度地区指定による高度斜線制限、昭和52年の日影規制について既存不適格となっていたが、平成26年7月施行の「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に従い、建築基準法適合状況報告、12条5項報告、許可申請、建築確認申請などを約7.5カ月かけてクリアした。

pixlr_IMG_3736.jpg
青木氏

◇      ◆     ◇

 青木氏が「アクロバチック」と

割りいう言葉で表現したように、難しい法規制を魔術師のように突破したことがすごい。改めて青木リファイニング建築物の真髄の凄さをみた。

 一言で言えば、更地にして建て替えた場合、クリアできない既存不適格部分(建ぺい率・容積率、斜線制限など)をそのまま残し、建物は耐震性・耐久性を確保し、新築よりコストを大幅に削減したことにより、建物の価値を従前よりはるかに上昇させたということだ。

 見込み違いもあったようだ。当初、確認申請まで4カ月で済むという計算が狂い、7.5カ月も掛かったことだ。建築費がどんどん上昇しているときだったので、青木氏も心配したそうだが、「オーナーに事情を説明し納得していただいた。追加工事費は仕様レベルを上げたにも関わらず約30万円で済んだ」という。

 既存建物を一体化させた痕跡はほとんど見当たらない。唯一発見したのは階段だった。1階から2階へ、2階から3階への階段のステップは14段だったが、3階から4階は15段だった。これは、階高の差によるものだ。

 唯一の難点だと思ったのは廊下・階段幅が尺モジュールになっていたことか。青木氏は「幅は広げられなかった」と語った。

◇      ◆     ◇

 青木氏は見学会で、「住宅は赤字になるのでやりたくないが、頼まれると断れない。新しい本も出版したが、みんな研究費に消える。僕は原稿料ももらっていない。」とこぼし、見学者を笑わせた。注文が殺到し青木氏がお手上げ状態になれば、行政も動き、継承者もどんどん育つのではないか。

 もう一つ。青木氏は「(建築)主事によって解釈がみんな異なるが、肝心なのはすべて考えを聞いて、それに沿うことだ」と語った。杭打ちのデータ流用が社会問題となっているいま、ものすごく貴重な言葉だ。

◇      ◆     ◇

 日本建設業連合会の「第56回BCS賞」の授賞式が11月16日に行われた。青木茂建築工房がリファイニングした「北九州市立戸畑図書館」も受賞作の一つで、「あべのハルカス」「JPタワー」「資生堂銀座ビル」など14作品が表彰された。

IMG_3732.jpg
バリアフリーになっているエントランス

IMG_3733.jpg
2階キッチン

カテゴリ: 2015年度

IMG_3728.jpg
第3回「JEG DESIGN CONTEST 2015」(新宿・四谷区民ホールで)

 住宅エクステリアガーデン研究会(JEG)は11月16日、第3回「JEG DESIGN CONTEST 2015」プレゼンテーション大会を開き、関係者ら約450人が参加した。

 JEGとは、旭化成ホームズ//旭化成住宅建設、ウィズガーデン、住友林業緑化、東京セキスイハイム/東京セキスイファミエス、積水ハウス/積和建設東東京/積和建設神奈川、ナテックス/パナホーム、三井ホームと、今年から参加した大和ハウス工業の8社が共同運営・活動する機関で、それぞれ情報交換・意見交換などを通し、エクステリア ・ガーデンの共同テーマをもとに社員の教育プログラムや住宅営業担当への知識普及促進、商材や施行品質向上のための勉強会などを行っている。

 プレゼンション大会は、応募総数992点の中から二次審査を通過したエクステリア大型、エクステリアベーシック、ガーデン、街づくり・集合住宅の各部門4作品ずつ16作品の各担当者が作品のプレゼン能力を競い合うもの。

 16作品の中からもっともいい作品を選ぶグランプリは、積水ハウス・田原征幸氏の「四季の移ろいを感じる住処」だった。

◇      ◆     ◇

 記者は他の取材が入っていたので、ガーデン、街づくり・集合住宅部門のプレゼンしか取材できなかったが、なかなか面白い大会だ。

 作品としては住友林業緑化・藤崎太朗氏の「山桜咲く優遊の庭」、積水ハウス・飯沼宏貴氏と積和建設神奈川・前原尚一氏の「プライムヒルズ」もよかったが、記者がもっとも優れていると思ったのは、積和建設神奈川・佐藤勘才氏の「湘南の雑木の庭」だった。

 作品に対する施主の評価だけでなく、近所の人や街を歩く人の評価を補強材料にして、「エクステリアは生きた広告媒体」という特徴をよくアピールできていた。

 

カテゴリ: 2015年度

 野村不動産アーバンネットは11月11日、子育てワーキングママを支援する「ワーママ総研」を同社の情報サイト「ノムコムwith Kids」でスタートさせた。

 「ワーママ総研」は、アンケートやお宅訪問、コラムなどを通じて現在のワーママの事情を調査し、ワーママに役立つ情報を発信していく。

 ワーママが仕事と子育てを両立するためには、“夫”の理解と協力が欠かせないとし、「ワーママ総研」の立ち上げにあたり、夫の子育てや家事の分担に関する実態を調査。調査は、理想と現実のギャップを浮き彫りにしている。

◇       ◆     ◇

 育児や家事労働の理想と現実のギャップはいろいろなところが明らかにしているが、「ワーママ総研」も同様だ。調査は、25歳~44歳の子育てをする既婚女性600人からネットアンケートで聞いた。

 こどもの世話は夫と自分(妻)が半分ずつというのが理想と答えた人が43.5%であるのに対し、現実はほぼ自分がすると答えた人は58.1%で、子どもの食事の準備は25.7%の人が夫と半分ずつ分担するのが理想だが、現実はほぼ自分と答えた人は75.5%に達した。

 1日の家族団らん時間については、2時間以上の時間をとる家庭は平日が29.7%で、休日は81.2%となったが、7.2%の人は休日でも1時間未満しか団らんの時間をとっていないと答えた。

 世帯年収の割合は、57.5%の人がほぼ夫の年収と答え、「夫の収入のほうが多い」は30.8%だった。

 調査結果からみえてきた夫の家族とのかかわり方を、6つの動物の生態系にあてはめて紹介しているのが特徴で、「専業主夫」タイプはオオサンショウウオ、教育熱心な夫はビーバー、妻をサポートする万能「カジメシ」夫はハト、「イクメン」夫はコウテンペンギン、「子煩悩」夫はオオカミ、「無関心夫」はゴリラだそうだ。

「ワーママ」サイトはhttp://www.nomu.com/withkids/wm/index.html

 

カテゴリ: 2015年度

IMG_3368.jpg
匠の技について講話する宮沢社長(さいたま市立春里中学校で)

 「親方に弟子入りしたい」-国土交通省は10月31日(土)、子どもたちに建設業の社会的な役割やものづくりの素晴らしさを知ってもらおうとさいたま市教育委員会と連携、市内の小・中学校を対象としたキャラバン「建設産業ものづくり体験授業」を実施。「カンナ社長」ことアキュラホーム・宮沢俊哉社長のかんな掛けを目の当たりにした生徒は「親方(宮沢社長)に弟子入りしたい」「親方のようになるには何年かかりますか」「自分もなりたい」などと感動を語った。

 体験授業は、建設業界に対する世の中一般のネガティブなイメージを払しょくし、建設業の魅力を発信しようという取り組みの一環として行われたもので、今回は市立新和小学校と春里中学校を対象に行われた。この種の授業は工業高校では行われているが、小・中学校では初の試み。

 市内見沼区の春里中学校では、8時45分から開会式が行われ、1年生約270名が建設産業の紹介、かんな掛け、釘打ち、のこぎり挽き、壁塗り、作業ロボット体験のほか、地滑り、トンネル工事、液状化などについて正午まで学んだ。

 体験授業には土木学会や埼玉県左官業協会が、業界からはアキュラホーム・宮沢社長がかんな掛けを、大和ハウス工業が作業ロボットスーツの体験・実演をそれぞれ行った。

IMG_3359.jpg IMG_3360.jpg
かんな掛け(左)と釘打ち体験

IMG_3378.jpg
宮沢社長

IMG_3377.jpg
目を輝かせてかんな掛けを観る生徒

◇      ◆     ◇

 かんな掛けにはミクロン(1000分の1単位)の技を持つアキュラホームの宮澤俊哉社長が講師として参加。自ら大工として弟子入りしてから、トップレベルのかんな掛けができるようになった経緯をわかりやすく話し、実際に匠の技を生徒の前で披露した。

 しゅるしゅると薄絹のような「かんな華」がむき出され、鏡のようになった表面に生徒たちは歓声を上げた。質問コーナーでは、「何年で技は身につきますか」「親方に弟子入りしたい」「コツはありますか」「好きな木はなんですか」などと宮沢氏を質問攻めにした。

 生徒たちは「とても楽しかった。自分も大工になりたい」「ワクワクの連続」「ロボット体験がおもしろかった」などと異口同音に感動を語った。

IMG_3392.jpg
約24キロのペットボトルを楽々と持ち上げる生徒

IMG_3365.jpg IMG_3396.jpg
壁塗り(左)と地滑りの実験をする生徒

カテゴリ: 2015年度
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン