「彩」「祭」「才」と「愛」をつなぐ 三菱地所「SAAI(サイ)」新東京ビルに移転
1Fバー「変態」(提供:三菱地所)
三菱地所は11月16日、「新有楽町ビル」に2020年2月開業したワーキングコミュニティ「SAAI Wonder Working Community (サイ ワンダー ワーキング コミュニティ)」(SAAI)を、同ビルの閉館に伴い「新東京ビル」に移転、2023年11月20日にオープンすると発表した。16日、施設を報道陣に公開した。〝熱狂〟〝変態〟〝チーパパ&チーママ〟〝愛〟など魅惑的なフレーズが飛び交い、記者は圧倒された。
施設は、有楽町の街全体を舞台に、まだ価値の定まりきらない(=microな)人・アイディア・コト・モノをcultivate(交わり・耕し・育み・磨く)し、「次の時代を担うスターが生まれる"仕組み"を有楽町で作り上げる」ことをテーマに2019年12月に立ち上げた「Micro STARs Dev.」(MSD)の活動拠点。
「SAAI」は、彩(=集うヒトの多様性)、才(=異能・異才が集まる空間)、祭(=出会い、交わり、刺激されるイベント)、斎(=好きなことに集中・没頭できる空間)の意を込めた、「差(SA)」と「愛する(AI)」の言葉を組み合わせた造語。①多種多様な会員が集う「事業創造コミュニティ」、会員専用バーを併設し、人と人をつなぐコミュニティマネージャー「チーパパ&チーママ制度」を採用②事業創造を加速させる各種取り組み(VC招聘プログラム、ビジネスプランコンテスト、事業創造カンファレンスの開催など)が特徴。
内覧会で同社プロジェクト開発部マネージャー・牧亮平氏は「人と人の横のつながり、偶発的な出会いを大切にしており、レイアウトにも工夫を凝らした。宣伝など行っていないが、会員の8割は紹介。皆さんの熱気を強く感じる」と説明。
会員として紹介されたSaveExpats代表取締役・岩田竜馬氏は、「大切なのは理解⇒納得⇒共感⇒熱狂」だとし、海外赴任者の健康をサポートする事業は海外拠点を持つ約800社、23か国に広がっていることなどを熱っぽく語った。
また、ゼロワンブースター事業創造教育部スペシャリスト・ブランスクム 文葉氏は「この種の施設は多拠点化したとき、コミュニティマネージャーが不足しがち。欠けているのは〝愛〟だが、ここには〝愛の源泉〟がある」と話した。
施設は、東京駅直結、新東京ビル1階他。面積は約827㎡、企画は三菱地所、施設・管理はオープンエー、施工は船場、運営はゼロワンブースター。月額会費は個室会員264,000円~、固定席会員77,000円、フリーデスク会員33,000円、コミュニティ会員16,500円(1時間550円)。
会員は約300名。開設当時と比較し、資金調達額は16件25億円から30件89億円へ、大企業との連携は7件から15件へ、メディア掲載は53件から156件に増大・拡大している。
1F御座敷(提供:三菱地所)
1F_什器(提供:三菱地所)
APT Women参加者の様子(提供:三菱地所)
ディスカッションの様子(提供:三菱地所)
成果発表会の様子(提供:三菱地所)
◇ ◆ ◇
記者は住友不動産が10月24日に開催した「住友不動産ベンチャーサミット」を取材したのだが、会場となった「住友三角ビル」に2,000人超が参加したのに驚いた。熱気にあふれていた。
一方で、起業後の生存率は3年で50%、5年で40%(スタートアップはもっと低いデータもある)と低いことが気掛かりで、優勝企業に選ばれたLeaner Technologies代表取締役CEO・大平裕介氏にその質問をしたら、大平氏は「スタートアップの内側だけで展開する企業が多く、大企業が応援する体制にないのが課題」と語った。
今回の施設は、様々な起業家と大企業、投資家などとをつなげ、マッチング・資金調達。メンタリング面で応援する仕組みをしっかり構築していると感じたる。
施設面積は約827㎡(従前は約1,000㎡)しかなく、同社保有ビル延床面積約3,664千㎡の0.02%にしか過ぎない。売上高に換算したら3億円にも満たない。
しかし、面積の大小など問題ではない。同社は目先の利益など全然追っていない。いま蒔いた種が数年後、あるいは10年、20年後花が咲き、果実を収穫できることを考えているはずだ。かつて〝人の三井、組織の三菱〟と企業風土が語られたことがあるが、三菱地所は〝人への投資〟を少なくとも30年くらい前から強化してきた。今回の施設もその一つだ。無限の可能性を秘める取り組みだと思う。
とてもいいと思った施設の設えは、1階ではビール300円、ソフトドリンク100円のバー「変態」、ピッチイベントができるよう階段状の席を設けたスペース、人に背を向けるのではなく、人の気配が感じられる内向き(窓を背)のシートレイアウト。コンビニ、喫煙所が隣にある地階では、黒を基調とした無機質のデザインだが、低学年用の椅子や太陽光パネル、活版ゲラなどの廃材を活用したテーブル、リラックスして会議などができる和室コーナーなど。これらは、本社オフィスのリニューアルとも関連があるはずだ。
料金も安いはずだ。記者は丸ビルにも新設された「TSUTAYA」の飲み放題・食べ放題の「SHARE LOUNGE」が好きなのだが、飲むなら「TSUTAYA」、仕事するなら「SAAI」がお勧めだ。記者のモットーは〝人生は愛〟〝記事はラブレター〟だ。
左からブランスクム 氏、岩田市、牧氏
1F内観
バー「変態」
メタボ増えたが、あらゆるデータが向上三菱地所「本社オフィス体験・懇親会」(2023/11/12)
スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名 「住友不動産ベンチャーサミット」(2023/10/25)
三菱地所・丸ビルに「TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI」代官山超える214坪(2022/12/14)
持家は22か月連続の減少 9月の住宅着工戸数
国土交通省は10月31日、令和5年9月の新設住宅着工をまとめ発表。総戸数は68,941戸で、前年同月比6.8%減、4か月連続の減少となった。利用関係別では、持家は19,527戸(前年同月比12.3%減、22か月連続の減少)、貸家は29,735戸(同2.9%減、2か月連続の減少)、分譲住宅は19,266戸(同7.3%減、4か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション8,148戸(同2.8%減、3か月連続の減少)、一戸建住宅11,014戸(同10.4%減、11か月連続の減少)となった。
首都圏マンションは2,947戸(同25.6%)で、都県別は東京都1,414戸(同41.0%減)、神奈川県778戸(同35.7%減) 埼玉県476戸(同336.7%増)、千葉県279戸(同13.0%%増)。
首都圏一戸建ては4,627戸(同11.6%減)、都県別は東京都1,453戸(同3.0%減)、神奈川県1,091戸(同18.8%減)、埼玉県1,263戸(同4.2%減)、千葉県820戸(同23.6%減)。
戦争と同じ「見解の相違」で済ませていいのか 「神宮外苑地区まちづくり」を考える
神宮外苑軟式野球場(11月3日写す、以下同じ)
「神宮外苑地区まちづくり」の事業者は11月1日、プロジェクトサイトの質問受付ページに寄せられた27の質問(令和5年10月1日~10月15日受付分)に対する回答をプロジェクトサイトのQ&Aのページ(https://www.jingugaienmachidukuri.jp/faq/)に掲載した。意見などは14件だった。
◇ ◆ ◇
質問と回答はこれまでのものとほとんど同じだが、再確認・整理する意味で気がついたことを以下に述べる。あっちに振れたりこっちにぶれたりしてとまりを欠くが、これが正直な気持ちだ。
まず、「見解の相違」について。今年1月、日本イコモス国内委員会から58項目にわたって問題が指摘された。これに対して事業者は、29項目を「指摘自体が事実と異なる」とし、29項目を「考え方や解釈の違い」と回答し、審議会もこれを了承した。
代表的な例を紹介する。日本イコモス国内委員会は、既存樹木の変化の程度について評価書の「一定程度の改変(消失)は免れないが、計画地内で最も緑量が多い緑地(並木東側)を保全、(略)、著しい影響は与えない」という記載に対し、「樹木の53%に及ぶ、1018本が伐採(743本)・移植(275本)されるため、一定程度という記載は、虚偽の報告である」「建国記念文庫の森、絵画館の樹林地、明治記念館を結ぶ緑のネットワークが破壊される。虚偽の報告である」と指摘している。
事業者は、この指摘に対し「神宮外苑広場(建国記念文庫)等の緑地については、全てを改変するわけではなく、北側は保全エリアとして残す計画…将来にわたって緑地環境の保全を図る計画であるため、植物相及び植物群落の変化の内容及び程度は小さいと予測しており、虚偽ではございません」と回答している。
皆さんいかがか。「虚偽の報告」「破壊」「事実無根」など激烈な文言が飛び交うのは、「見解の相違」によるものだ。今回の問題に限ったことではない。「見解の相違」はあらゆる事象で見られる。端的な例が戦争だ。ロシアは〝ネオナチからの解放〟を理由にウクライナに侵攻した。ウクライナは国家主権・領土侵害だとして反撃した。イスラエルのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスはイスラエル側に攻め入り、イスラエルは反撃した。戦争は、均衡性(比例性)の原則など何の効果もないことを世に知らしめた。今回の問題は戦争ではないのだから、徹底した論議を交わしてほしい。
次に、みどりの量と質について。Q&Aのコーナーの「みどりの割合・本数が増えるとのことですが、体積はどのように変化するのでしょうか。何年で元に戻りますか」という質問について、事業者は「みどりの割合は約25%から約30%に、樹木の本数は1,904本から1,998本に増加させる」「みどりの体積に関しては、現況の346,284㎥が完成後331,466㎥となり、約14,818㎥減少します。具体的な回復期間の試算は行っておりません」と回答。体積の減少について環境影響評価書は「現況の346,284㎥ をやや下回る」「緑の量の変化の内容及び程度は小さいと予測する」と記載している。
記者は、みどりの量や体積も重要だろうが、みどりの質についてもっと論議すべきだと思っている。多くの専門家や都民の方が再開発計画に疑義を呈しているのは、神宮外苑の特別な歴史的・文化的価値が毀損されるのではないかという危惧と、樹齢にして100年超の畏怖を覚える巨木などが743本(既存樹木調査データ参照)も伐採されることに危機感を募らせているからだ。再開発計画を了とした東京都環境影響評価審議会の責任を問う声が上がるのも当然だと思う。この種の審議会・協議会は唯々諾々、行政機関の下請け機関化しているように思えてならない。
この点について、「神宮外苑再開発事業の施行認可の撤回及び環境影響評価の継続審査に関する要請書」を小池都知事や同審議会会長宛てに提出した専門家有志を代表して元日本大学教授・糸長浩司氏は3月8日の記者会見で「科学的でない杜撰な環境影響評価書をしっかり論議しないで認可したのは専門家の研究者生命にもかかわる」と、批判とも同情とも取れる発言をした(審議会委員で認可に異議を唱えた齋藤利晃・日本大学教授と池邊このみ・千葉大学教授は、今年5月に選任された22期の審議会委員には入っていない)。
もう一つ、記者がどうしてもわからないのは、記事にも書いたが、再開発計画地は「都市計画公園」ではあるが「都市公園」ではないことが再開発を可能にし、「公園街づくり制度」の適用条件である「未供用」が今回のような再開発を可能にすることを行政担当者や専門家は予知できていたはずで、そのときどうして問題にならなかったのかということだ。
紅葉しているのはフウか(これらは保存される模様)
スダジイ(これは残されるようだ)
ヒマラヤスギ(これは保存されそう)
絵画館前広場から写す
〝喬木は風に折らる〟誤解解く取り組みの見える化急げ「神宮外苑地区まちづくり(2023/10/21)
秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎「広場」は都市公園ではない神宮外苑再開発(2023/9/8)
過去の記憶蘇る 東京都初のPark-PFI活用した「都立明治公園」完成
「都立明治公園」イメージ図(プレス・リリースから)
Park-PFI(公募設置管理制度)を活用した東京都初の「都立明治公園」(約61,342㎡)を11月3日、見学した。公園は10月31日に供用開始されたばかりで、この日(3日)は、開園を祝う催しとして地域の団体や学校がブースを出展し、YOGA、Mugic、能などのステージイベントか行われ、様々なフードコーナーも設けられ、多くの人で賑わった。Park-PFIによって都市公園が商業施設化することに懸念する声もあるが、〝公園が街の中心〟になり〝賑わい〟が日常となるのは記者も大賛成だ。「萩山」「せせらぎ」「池袋」「公園の垣根」など過去の記憶が蘇った。来園者も〝いい公園〟と評価した。
Park-PFIは、平成29年(2017年)の都市公園法改正により制度化されたもの。公募により民間事業者を選定し、都市公園内に飲食店、売店などの利便施設を設置し、設置した施設から得られる収益を活用して、公園の維持管理、周辺の園路などの公園施設を一体的に行うのが目的。令和4年度末現在、全国131か所で共用されており、そのほか132か所で活用が検討されている。
「都立明治公園」は、都営大江戸線国立競技場前駅・東京メトロ外苑前駅から徒歩9分、JR千駄ヶ谷駅から徒歩10分、新宿区霞ヶ丘町内他に位置する面積約61,342㎡。従来フリーマーケットの場として利用されていた「四季の庭」「霞岳広場」を2016年1月に廃止し、令和4年1月、Park-PFIにより東京建物を代表とする三井物産、日本工営都市空間、西武造園、読売広告社、日テレ アックスオンの6社コンソーシアム「Tokyo Legacy Parks」(TLP」)を決定。契約期間は20年。
敷地北側は2階部分に設けられたペディストリアンデッキで国立競技場とつながっており、西側は外苑西通り、南側はマンションやビル、西側は再開発「神宮外苑」エリア。事業コンセプトは「世界に誇れる、東京という都市の“レガシー”となる公園を創り、次世代へ継承する」で、園内には約1,000㎡の芝生広場「希望の広場」や渋谷川をモチーフにした水景を取り入れた「みち広場」、多様性をテーマにした「インクルーシブ広場」の3つの広場と、約7,500㎡の樹林地「誇りの杜」が整備された。
事業地内には、木造2階建て3棟延床面積330㎡、RC2~3階建て2棟780㎡、合計5棟延床面積1,110㎡のカフェ・レストランなどの店舗が完成する。また、スマートポールを導入し、従来は手作業でしか測定できなかった来園者数の測定などをAIが行い、今後の円滑な公園運営に活用する。
正面が国立競技場
◇ ◆ ◇
偶然の一致か。今回のプロジェクトは都立公園のPark-PFIの第一号だが、東京建物は東京都の民設公園制度を活用した最初にして最後のマンション「Brillia L-Sio 萩山」(全184戸)の売主だ。施工は西武ホールディングスが身売りした西武建設だったが、明治公園の6社コンソーシアムに加わっている西武HDグループの西武造園もランドスケープ・植栽を担当していたはずだ。記憶が間違っていなければ、同社は西武不動産の大規模マンションに雨水を貯留し、メダカを泳がせるせせらぎを設けた。
同社はその後、建物外周にせせらぎが設けられている東建「Brillia Tower 池袋」も、Park-PFIの「MIYASHITA PARK」にも事業参画している。
「渋谷川水系をオマージュした水景」のステップガーデンも同社によるものだろう。公園を見学して一番いい、優れていると思ったのはこの水景だ。ステップや地表などは透水性の舗装仕上げで、斜面にはケヤキ、サクラなどの樹木や草花がたくさん植えられていた。3~4歳と思われる子どもが、お父さんに「ほら、ヘビイチゴ」と歓声の声をあげた。確かにそうだった。記者も小さいころ、実を摘んでは食べたものだ。
しかし、それだけに失望も大きかった。どこにでもある水景と大差なかった。「渋谷川水系をオマージュした水景」を見て、かつてここに渋谷川が流れていたことを連想できる人はほとんどいないはずだ。水路は思い切ってコストをかけて、例えばペディストリアンデッキの高低差を利用して滝を演出するとか、子どもが水遊びし、小鳥が飛来し、様々な動植物が育つ空間にしてほしかった。(敷地規模が小さすぎるか)
「みち広場」
「渋谷川水系をオマージュした水景」
舗道と植栽帯のこの突起部分が気になった(躓かないか)
環境に配慮した歩道
ベンチなどは本物の木が採用されている
工事中の店舗の外観
◇ ◆ ◇
大きいといえば、とても大きな発見もあった。隣接する三井不動産レジデンシャル・野村不動産「THE COURT 神宮外苑」(409戸)と「日本オリンピックミュージアム」との境界標はあるのだが、それぞれの敷地は出入りが可能で、遮るものは全くない。第2回グリーンインフラ大賞「生活空間部門」優秀賞を受賞したフージャースコーポレーション「デュオヒルズつくばセンチュリー」や、小田急バス・ブルースタジオ賃貸住宅「hocco(ホッコ)」と同じだった。この場所を通った夫婦と思われる二人連れが「公園とマンションを一体化しているのがいいわね」と話していた。
都市公園の課題の一つは、地域と住民を遮断する垣根の撤廃だと思っているが、今回の公園にはそれがない。誰もが気づかない、小さな取り組みかもしれないが、とても大きな英断だと思う。全国に広がることに期待したい。
「THE COURT 神宮外苑」の敷地(左)と公園とマンションの境界
マンション(左)との境界標
「THE COURT 神宮外苑」
◇ ◆ ◇
来園者にも話を聞いた。以下に紹介する。( )内は記者。
・すぐ近くの築約20年のマンションに住む40代の男性5,000人規模のイベントを行うという話を聞いたが、今日のような500人くらいの規模がいい。都市と人が成長できるようになってほしい
・渋谷区に住む50代の夫婦 WEBで知ったので下見に来た。店舗が完成すればもっとよくなる
・三鷹市民で、近くの高校の教師を務めている30代の男性 生徒が部活の一環として出店しているので見にきました。とてもいい公園。神宮外苑問題? ノーコメント
・杉並区に住む30代の夫婦 ゴロゴロできるのがいい。神宮外苑は政治的な匂いがする
・30代の出展者&50~60代の地元渋谷区に住む男性二人 若い人を呼び込む空間にしたい。フリーマーケットのときからここはよく知っている
・この出展者や渋谷区居住者と仲間という30代の大阪市民 おばあちゃんが近くに住んでいます。(東京建物はいい会社ですよ)あなた(記者)は東京建物の味方? わたしはあまり好きではない。閥族とズブズブのイメージが強い。神宮外苑も同じ。もっとも東京らしいものを壊そうとしている
・3日連休を利用して新潟から訪れた40代のファミリー 芝生がいい。空も大きい(新潟は人工芝? 空はもっと広いのでは? )アハハハハ。スカイツリーに行こうと考えていますが、どこかいいところないですか(人がいないところがいいと思いますが…)
イベント
「希望の広場」
「インクルーシブ広場」
「誇りの杜」付近
過度な公園商業施設化に懸念全国一のPark-PFI実績誇る大和リース業界動向勉強会(2023/10/30)
不審者、立入・火気禁止、強剪定…荒んだ世情の表れ桶川駅の街路樹は泣いている(2023/10/28)
〝喬木は風に折らる〟誤解解く取り組みの見える化急げ「神宮外苑地区まちづくり(2023/10/17)
究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)
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出来すぎだ!焼杉! 見どころ多い小田急バス×ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」(2021/10/7)
都の民設公園第1号「萩山 四季の森公園」開園祭り(2009/10/5)
過度な公園商業施設化に懸念 全国一のPark-PFI実績誇る大和リース 業界動向勉強会
大和ハウス工業は10月26日、住宅・建設・不動産業界メディアの取材の参考になるための「業界動向勉強会_公園事業・パークマネジメント篇(大和リース)」を開催し、大和リース代表取締役社長・北哲弥氏と、Park-PFIにより同社が運営管理する大阪市の鶴見緑地パークセンター長・池田昂志郎氏が質疑応答を含め約1時間にわたって熱っぽく語った。記者はオンラインで視聴した。
北氏は、「リース会社といえば、親会社の商品をファイナンスリースするのがほとんどだが、当社は親会社にリースするのではなく、自社工場で商品をつくり、外販している。技術者が多いのも特徴で、一級建築士と一級施工管理技士で574名(全従業員の約24%)を数える。2023年3月期の売上高は2,413億円。建設会社の売上高ランキングは大和ハウス工業が2位、フジタが9位だが、当社も21位。グループ内の売り上げは3%くらいで、全てグループ連結の売上に貢献している。
事業は規格建築事業、流通建築リース事業、リーシング ソリューション事業、環境緑化事業の4本柱で複合展開しているのが強み。公園事業は官民の連携、両輪、両立を目指しており、現在稼働中の公園事業は全国27か所。向こう10年間で100か所に増やす目標を掲げている」などと話した。
池田氏は、2017年に改正されたPark-PFI(公募設置管理制度)によって、収益施設の設置管理許可年数が10年から20年に延長され、建ぺい率は2%から12%へ緩和され、公園施設を整備する際の設置管理許可期間は10年から30年へ、保育所、学童クラブ、老人デイサービスセンター、障害者支援施設なども設置可能になったことなどを説明。
Park-PFIは、現在全国131か所で活用されており、企業別実績では、同社は102件のうち12件を占めるなど、3件以下の2位を大きく引き離して全国一であることを報告した。
一方で、都市公園は急速な人口減少と高齢化、税収減、維持管理費の負担増など多くの課題を抱えており、2003年に導入された指定管理者制度による民間管理公園は全国13,319か所に上っているにも関わらず、現状の維持管理を委託しているに過ぎないなどと指摘。Park-PFIで公園が利益追求する空間となり、公園の価値が低下することに懸念を示した。
同社の公園事業の基本は①Official②Common③Openであり、公園整備のマニュアルとして①緑地面積を減らさない②寂れさせない工夫③空間化との創出を掲げ、「『公園』は社会的共通資本であることを理解し、『公の精神』をもって臨むこと」などの5カ条の心得を公表した。
◇ ◆ ◇
記者はこれまで、街路樹だけでなく都市公園についてもその都度、記事にしてきた。親は〝公園は危ないから遊んではダメ〟と言い、子どもは習いごとに忙しく遊ぶ暇もないのだが、それに追い打ちをかけるようにキャッチボール、サッカー、ゲートボール、ゴルフ、大声、楽器演奏、ごみ捨て、花火、犬の散歩、喫煙、飲酒、果実の収穫…を禁止する自治体がほとんどで、中には砂場はネコの侵入を防ぐための防護ネットを張り、利用時間は平日の9時から午後4時まで、土・日曜日は閉園するところまである。
全く利用されず雑草が生い茂っていても苦情は出ないのか、放置されている公園も多い…地価にしたら1種数十万円、数百万円もする都市公園の惨状に心を痛め、それを解消するPark-PFIに期待もしてきた。
同社の話を聞いて、頭をどやされたような気がした。同社のことを全く知らなかったのだ。どこかで建設機器など調達し、高い利率でリースする会社だと思っていた。不明を恥じるばかりだ。
記者団からの売上高についての質問に、北氏は公園事業の売上高はほぼ30億円としながら、「単年度で考えているわけではない。20年の長いスパンで考えている」と語り、「認知度を高める必要性」については「看板を掲げているわけではない」と受け流した。
小生は、情報発信力を高めるべきだと思うが、売上高の多寡は問題ではないと思う。グループ全体の売上高4.4兆円(2023年3月期)からしたら公園事業は0.07%にしか過ぎない。「公の精神」はお金に換算できない価値がある。その精神はやがて花を咲かせるはずだ。
池田氏が公園の過度な商業施設化に懸念を示したことにもドキリとさせられた。つい先日見学した桶川市の公園入り口に設置されているブロンズ像の台座には①真実かどうか②みんなに公平か③行為と友情を深めるか④みんなのためになるかどうか-の4つのテストが彫り込まれていた-これにイエスと答えられる人はどれほどいるか。
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「多摩中央公園改修」の疑問氷解 樹木5000本 うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)
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〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない 「グラングリーン大阪」タワマンに絶句(2023/10/12)
長野市の公園問題 制度疲労の法、希薄な人間関係、報道姿勢…社会課題を露呈(2022/12/23)
公園が旅の目的になる わが国初のPFI事業 三菱地所他「光と風の広場」開業(2022/3/11)
木質化空間の〝匂い〟は心身にどのような影響をもたらすか 三井不×東大が共同研究
「木と人体」取り組み概要ムービー:https://youtu.be/qfsXp9Z8pn4
東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部と三井不動産、三井ホームは10月25日、産学協創「三井不動産東大ラボ」の共同研究の一環として、木の空間が身体にどのような良い影響を与えるかを科学的に証明する実証研究を開始したと発表した。
木を使った空間に身を置くと、木の持つ温もりを五感で感じ、リラックス感を得ることができ、“人は自然や動植物などの生命との結びつきを求める”という「バイオフィリア仮説」の側面から木材を利用した建築物への注目が高まり研究もされているが、未知の部分も多いとされている。
今回は、①木質・木造空間の“匂い”と“光環境調整効果”が睡眠に及ぼす影響②木質建材の発する“匂い”が認知症予防に与える影響――について、東京大学大学院理学系研究科を主担当として、東京大学農学部との連携のもと研究を行う。
①の研究を担当する東京大学大学院 農学生命科学系研究科 生物材料科学専攻・恒次祐子教授は「木の空間が人の心身に及ぼす影響について、まだまだ研究を通じて明らかにしなければならないことはたくさんあります。例えば、使用する材の量や木目の影響、樹種による効果の違いや、長い時間をその空間で過ごした時の影響など、検証を重ねることが必要」とコメントしている。
②の研究について、東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻・竹内春樹教授は「人の嗅覚に関する遺伝子数は視覚よりも多く、今回の研究では、適度な木の匂いから得られる刺激を自然に受けられる環境をつくり、その匂い効果が脳に与える影響を神経生理学的・行動学的に検証する」とコメントしている。
◇ ◆ ◇
温度を含めた木質空間が人の心身に好ましい結果をもたらす研究はたくさん行われているようだ。住宅業界関連では、慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治研究室がナイスの「スマートウェルネス体感パビリオン」を用いて、住宅内の木質化がストレス解消、知的生産性向上に効果があることを実証した。恒次教授は、林野庁補助事業「木材利用に取り組む民間 企業ネットワークの構築事業」に関する詳細なレポートをまとめている。
今回のテーマは〝匂い〟(嗅覚)のようだ。記者は、あらゆる事象を知覚し、嫌悪・好悪の感情を抱くのは、五感のうち視覚がもっとも大きな役割を果たしており、本能的・生理的より「学習」による後天的影響が大きいと考えてきた。
例えばニンニク、クサヤ。記者の田舎ではニンニクはほとんど使用しなかった。ニンニクの臭いを発散する人は嫌悪された。匂い・味覚は社会的偏見に太刀打ちできなかった。強烈なアンモニア臭を発するクサヤは食べてみると美味しいので好きになった。嗅覚より味覚が勝利した。
ところが、竹内教授は「人の嗅覚に関する遺伝子数は視覚よりも多い」という。これは驚きだ。樹種による違いも研究されるようなので、どのような結果になるか期待したい。記者などはスギ、クスノキ、イチョウ、マツなどは分かるかもしれないが、ヒノキ、ヒバ、カシ、ケヤキ、キリ、サクラ…などを匂いでかぎ分ける自信はない。効用もさっぱりわからない。この前、三菱地所ホームの取材で「KAMOSHIKA Drinks(カモシカ飲料)」を頂いた。カラマツ、アカマツ、アブラチャン、ヒノキ、タイムなどのエキスを凝縮したものだった。混ぜ合わせたらどうなるのか。
もう一つ、リリースには「適度」とあるが、少量、あるいは過度の木材が与える影響や、無臭のはずのフェイクグリーンが世の中を席巻しているように、経済効果を優先してケミカル製品で木を覆い隠しても効果に変わりはないのかも解明していただきたい。視覚より嗅覚が勝るとすれば、小生には無用だが、小説の世界にたくさん登場する媚薬・催淫剤の開発にもつなげていただきたい。リリースだけでなく、メディア参加型の発表会も行ってほしい。
木質化PJ「KIGOCOCHI(キゴコチ)」マンションリフォーム提案 三菱地所ホーム(2023/10/14)
東京大学&積水ハウス 庭の生物多様性とメンタルヘルスに関する共同研究(2023/12/2)
わが意を得たり 人工植物は販売促進に逆効果 三井デザインテック調査研究(2017/9/25)
不審者、立入・火気禁止、強剪定…荒んだ世情の表れ 桶川駅の街路樹は泣いている
桶川駅西口ロータリーの街路樹(樹脂は不明)と駅近のマロニエ
桶川にはゴルフ場があり、何度か降り立ったことがある。今は昔だが、若くてかわいい女性社員の出身地でもあり、いいイメージしかない。ポラス「yoridokoro(拠りどころ)上尾」の取材を終え、埼玉県日高市が発祥という桶川駅東口直結の「日高屋」(ハイデイ日高)で昼食をとった。ビール2本とイワシフライで税込み950円。1,000円でお釣りが出た。いい店だ。
タバコが吸いたくて、東口には喫煙所がなさそうなので駅西口に向かった。だしぬけに異様な光景が目に飛び込んできた。駅前の街路樹がことごとく電信柱のように強剪定されていた。街路樹も〝殺されてなるものか〟と、必死でひこばえ、胴吹きで防戦していた。墓碑のような伐採木の株もそのまま残されているなど、ガザの戦場と五十歩百歩の人間界と自然界のすさまじい戦いが展開されていた。タバコを吸う余裕は吹っ飛んだ。その代わりムラムラと怒りが込み上げてきた。一部始終を見てやるぞと、約1時間半、西口周辺を歩いた。
言葉に詰まった。論より証拠だ。写真を撮りまくった。一つひとつ紹介する。
見事な非対称のケヤキの街路樹
駅前の商業施設の樹木(樹種は不明)
駅前のケヤキの街路樹だ。右側だけが強剪定されている。左側も樹形が乱れている。予算の関係か、交互に強剪定しているのだろう。街路樹は左右がシンメトリーだからこそ美しい。〝生かさず殺さず〟-ここのケヤキは過去も未来もない。半殺しのままだ。
「桶川駅西口公園」
「桶川駅西口公園」
駅西口から徒歩2分に桶川市シルバー人材センターが維持管理している「桶川駅西口公園」がある。立派な樹木がたくさん植わっており、モニュメントや子ども向けだけでなく、大人向けの健康遊具もあり、素敵な公園だ、しかし、駅前にも拘わらず、人影はまばら。1時間は滞在したが、出会った人は10人もいなかった。何だか変。「禁煙」の看板はないのは、何かの陥穽ではないかといぶかった。
「健康遊具ひろば」
「この器具は大人の健康増進のためです。(16歳以下の方は使わないでください)」「この器具を使うときは『使い方』に示す方法を守ってください」とある。記者も使ってみようと思ったが、肝心の「使い方」の文字は消えていた。
意味不明の注意書き。「砂場や遊具には近づかない。あそびおわったら手を洗いましょう」-いったい誰に注意喚起しているのか。
「公園内では、花火・たき火などの火気は使用禁止です」-これも分からないではないが、これではPark-PFIは導入できない。「禁煙」の看板はひとつもなかったが、たばこのライターは火気なのだろうか。
公園の入り口には地元のローターリークラブが寄贈したと思われるブロンズ像があり、台座には次の「四つのテスト」が記されている。①真実かどうか②みんなに公平か③行為と友情を深めるか④みんなのためになるかどうか-誰のためのテストなのだろうか。
伐採木サークルがモニュメントになっていた団地エントランス(これもありか)
「当団地は犬立入禁止」-犬は文字を読めないはずだから、野良犬には効き目がないと思うが、リード付きも不可なのか。時代遅れの「ペット不可」の団地か。
ごもっとも。ビラ配りのため無断でどこかの官舎に立ち入った人が逮捕されたこともあった。記者は団地内の様子を見ようと思ったが、「不審者を見たり聞いたら一一〇番」もあるので、誰何されそうだからやめた。
◇ ◆ ◇
街路樹が悲惨な目に遭っていたが、とにかくこの街は看板が多すぎる。市民の方々には大変失礼だが、すさんだ心、世情の表れではないか。やんぬるかな。累卵の危機にあるのではないか。わが街多摩センター駅前にも「受動喫煙からあなたを守ります」と大書きされた横断幕はあるが、公園内の注意書きは目立たないし、強剪定される街路樹はそれほど多くない。そんなことをしたら市民は黙っていない。
食・農・緑…地域共生テーマに専門家とコラボポラス全70戸の「上尾」
健全な街路樹を「枯損木」として処分 問われる住民自治 千代田区の住民訴訟(2022/11/12)
埼玉県 緑被率最低0.04の蕨市とワースト4の0.18の戸田市で異なる街路樹の量と質(2021/6/20)
スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名 「住友不動産ベンチャーサミット」
「住友不動産ベンチャーサミット」
住友不動産は10月24日、スタートアップ企業と同社テナントや取引先の大企業をマッチングさせるイベント「住友不動産ベンチャーサミット」を「新宿住友ビル」三角広場で開催。約2,100名が参加するなど大賑わいとなった。メディアにも一部公開された。
イベントは、事前に応募があった130社以上から厳選した15社のスタートアップ企業の代表が登壇し、一人6分のプレゼンテーションを行い、9人の審査員が優秀企業を選定するもの。コンテストでは優勝、準優勝、特別賞(5社)が決定・表彰された。
また、会場内には115社の企業展示ブースや商談ブースも設けられ、スタートアップ企業との出会いの場が設けられ、イベント後は懇親会も行われた。
優勝企業に選ばれたLeaner Technologies代表取締役CEO・大平裕介氏は「これほど多くの大企業、事業会社が参加するこの種のイベントはなく、優勝することができ、素直に嬉しく思っています。我々は調達DXというテーマではございますが、その中でも『日本の可能性』をスタートアップ企業がお見せできた一日になったのではないかと思います。また、登壇者としては人生で一番大きな会場でのピッチイベントに参加させていただき、熱量をどう伝えるかに心を配り、楽しくピッチすることが出来ました」とコメントした。わが国のスタートアップ企業の3年生存率、5年生存率が極端に低いことについて「スタートアップの内側だけで展開する企業が多く、大企業が応援する体制にないのが課題」などと語った。
審査員を代表して湯浅エレム秀和氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー)は「イベントのテーマは、大企業とスタートアップを連携させることで、これが新たな日本型のイノベーションになる。プレゼン15社は様々な分野でトラクションになりうることをアピールできていた」と総評した。
主催者の住友不動産ビル事業本部グロースサポート事業部部長・藤島正織氏は「目先の商売(利益)など追っていない。政府もスタートアップ育成5か年計画で、投資額を現在の5倍の10兆円に拡大することを打ち出した。長いスパンで考えていく」と語った。
企業ブース
左から大平氏、湯浅氏、藤島氏
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記者は途中からの参加だったので、肝心のPITCHは最後の2人しか聞けなかったのだが、審査員が「ワクワクする」「コンタクトしたい」「熱量に圧倒された」「世界観がいい」「多種多様、領域が広い」などと絶賛したように、同じ印象を受けた。
懇親会への参加も許されたので、会場に入った。参加者は1,000人を超えていたはずだ。話を聞こうにも、住宅・不動産のこと以外はまったくの素人。誰に何を聞いていいやらさっぱりわからないので、参加者の年代、服装などをチェックし、会場の様子を隈なく見て回った。
年代は30~40代の方が多く、女性の比率も3割くらいだと思った。男性でネクタイを締めているのは10人くらいしかいなかった。スタートアップ企業ブースには話を聞こうとする人が列をなした。「30人と名刺交換できた」と話したわが国を代表する企業参加者もいた。最高に素晴らしい取材ができた。それにしてもメディア参加者は数えるほどとは…。
同社広報担当から「いくら飲んでもいい」とも言われたので、チリ産の「ヴァイントレイル シャルドネ」の白をしこたま飲んだ。量にしてボトル1本くらいか。家に帰ってすぐ記事を書こうと思ったが、少し酔い眠くなったので寝てしまった。アップするのが翌朝になったのはこのため。
優勝企業に選ばれたLeaner Technologies代表取締役CEO・大平裕介氏
カンリ―代表取締役Co-CEO秋山祐太朗氏(左)と同社事業開発室・渡部哲哉氏
カエカ(kaeka)代表取締役/スピーチライター・千葉佳織氏(左)
最大1億円出資交渉権SBI Investment賞と博報堂DYメディアパートナーズ賞TVCMテスト出稿&効果検証パッケージ100万円分を獲得したトランスファーデータ代表取締役・村田佑介氏
懇親会
ユニコーン企業を育てるインキュベーションオフィス 住友不「虎ノ門タワー」に開設(2023/10/2)
優勝は「Solafune」 サンフロ「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2023」(2023/9/22)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解 樹木5000本 うち伐採予定1125本の8割は実生木
多摩センター駅前のパルテノン大通り
「神宮外苑」や「日比谷公園」の「みどり」が話題になっているが、都市公園の再編は全国的に進んでいるようだ。東京都も令和5年6月、都の諮問を受け東京都公園審議会(髙梨雅明会長)は「新たな都立公園の整備と管理のあり方について」答申をまとめた。
答申は、社会状況の変化に対応し、①全ての公園の質を向上し、個性を生かした多様な公園の創出②周辺環境と調和を図り、新たな時代の都民ニーズを踏まえアップデート③共に創り、共に育てる――を基本方針とし、今後10年間に重点的に取り組むべき事項として①豊かな緑を育み、次世代へとつなぐ公園②東京の活力と魅力を高め、まちづくりの核になる公園③都民一人ひとりのウェルビーイングに貢献する公園――の3つを提案している。
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答申で謳っている「まちづくりの核になる公園」に大賛成だ。記者がいまもっとも注目しているのは、大阪駅前の「うめきた公園」(4.5ha)だが、駅に近くて「まちづくりの核」になりそうな点では「うめきた公園」によく似ており、規模は約2.5倍のわが街・多摩センターの「多摩中央公園」を紹介する。
「多摩中央公園」は、京王・小田急京王多摩センター駅から幅員約50m、長さ約400mのレンガ調タイル敷の歩道空間に、シンメトリーのクスノキの街路樹が60本以上植わっている「パルテノン大通り」を抜けたところに位置し、広さは約11.3ha。公園内には中央の大池を取り囲むようにコンサートホールが備わった多目的施設・パルテノン多摩、みどりに関する書籍が揃い質問も受けられ、水琴窟もあるグリーンライブセンター、新設されたばかりの市立中央図書館、大芝生広場、江戸時代の地主の家を移築した旧富澤家などがある。
植生も豊かで、どこに植わっているかは教えられないが、絶滅危惧種のキンラン、ギンランも季節になると可憐な花を咲かせる。
多摩市はいま、2015年2月に決定した「第五次多摩市総合計画・第2期基本計画」、2018年5月に策定した「多摩中央公園改修計画」、国土交通省が2018年10月に改訂した「公園施設長寿命化計画策定指針(案)」などに沿って改修工事を進めている。
前述した「市立中央図書館」もその一つで、今後、公募設置管理制度(Park-PFI)を活用し、物林を代表企業とする指定管理者TAMAセントラルパークJVによって「フラワー&ベーカリーハウス」、「ケヤキハウス」などが令和7年度までに整備される予定だ。
記者は、図書館はもちろん、民設民営方式によってこれらの施設を整備するのに異論はない。ただ、一つだけ心配なことがある。図書館建設のときもそうだったが、大量の樹木が伐採されるのではないかということだ。
心配する根拠はある。公園の西側に隣接する「レンガ坂」の改修工事だ。名称にあるように、レンガ調タイルが敷き詰められ、その両側には見事なユリノキが植えられていた歩道・自転車専用舗道だ。市内でもっとも美しい道路景観を形成していたと思う。
ユリノキは、2019年の台風15号により植えられていた102本(推定)のうち13本が倒木したのをきっかけに市は伐採方針を決めた。しかし、美しい景観を残してほしいという市民の声が寄せられたことから、市は計画を変更。地下には共同溝があり、残しても倒木の恐れがあるとする専門家の声を聞いて68本を伐採、21本を残した。同時に、レンガ坂の勾配がきつく、レンガ調タイルは滑りやすいという苦情を受けて、アスファルト舗装に変更した。
倒木の恐れがある、滑りやすいといわれれば反論などできないが、無残に強剪定(高さ7m)された樹齢50年はありそうなユリノキを眺めるのはつらい。記者と同じような疑問を抱く人もいるようだ。先日、強剪定されたユリノキを1歩1本眺め、胴吹きの葉っぱを調べている人がいたので声を掛けた。その方は「ひどいね、市はビッグモーターと同じことをやっているではないか」と話した。
公園内の樹木伐採も心配なので、市に問い合わせた。公園緑地課の担当者によると、公園内の樹木5,000本のうち1,125本を伐採する計画だという。2割以上だ。その多さに絶句したのだが、丁寧な説明を受けて納得もした。
伐採の理由は3つあり、一つは多摩地域に蔓延しているナラ枯れに対応するものだ。2つ目は公園東側の斜面地の土砂崩壊対策(斜面地の下には戸建て住宅がかなり建っている)。3つ目は施設整備に伴うもので、全体として伐採する1,125本のうち実生により繁茂している樹木が約8割(900本)だという。疑問は氷解した。
レンガ坂
多摩市立中央図書館
歩道と図書館へのスロープはいいのだが、手摺り周りは雑草だらけ
改修後のレンガ坂の舗装(左)と新築された図書館側の舗装
従前の3分の1の7mに強剪定されたユリノキ(桜美林台の敷地近く)
痛々しいレンガ坂のユリノキ
剪定されていない樹齢が若いユリノキ(比較していただきたい)
工事中の多摩中央公園
このケヤキの大木は残されそう
廃校が決まった恵泉女学園のグリーンボランティア活動で整備されているクスノキの植栽ます(左)と旧京王プラザホテル(「ここのホテルはとてもおいしかった。大学もなくなり、市の格が落ちるわね」来街者)
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取り留めなく書いてきたが、市にはどうしても言いたいことが一つある。喫煙についてだ。喫煙は人権だと思う。
平成31年3月に市が実施した「多摩中央公園改修基本方針(案)」に関するパブリックコメントには11人の質問が寄せられており、「喫煙所を設けて」という意見は2件ある。これに対して、市は「受動喫煙に対しては、多くの方に公園を利用していただけるよう、前向きに今後取り組んでいきたいと思います」と回答している。
文字通り読めば、喫煙所を設けるとも受け取れるが、〝健幸都市〟〝受動喫煙からあなたを守ります〟と駅前の横断幕に掲げ、まるで喫煙者は健康でなく犯罪者扱いする市が〝多くの方〟でない(11分の2だから18%もあるが)喫煙者の意見など聞かないとも解釈できる。よくある玉虫色、二枚舌だ。
市は条例により公共施設などでの喫煙を全面的に禁じており、屋外指定喫煙所は多摩センター、永山、聖蹟桜ヶ丘駅など数か所しかない。
どこもそうならあきらめるしかないのだが、そうではない。流石なのは〝日本一金持ち〟の東京都港区と23区の財政力が最低クラスの足立区だ。港区は「たばこを吸う人も吸わない人も、誰もが快適に過ごせるまちづくり」の一環として、屋外の公園を含めた指定喫煙場所を約40か所設けている(屋内は数えきれないほどある)。足立区は、歩行喫煙を禁止しているが、公園内の喫煙そのものは禁止していない。「喫煙禁止」の看板もないはずだ。
記者は、日本一美しい街は多摩センターだと思うが、この横断幕を目にするたびに、健康でも幸せでもない、生きるに値しない者であることを自覚させられ、気が滅入る。そんな記者を横目に〝口悪〟カラスは〝バカー〟と一鳴きして飛び去った。
〝喬木は風に折らる〟誤解解く取り組みの見える化急げ 「神宮外苑地区まちづくり」(2023/10/17)
コロナ禍でも億万長者は11.4%増の1,392人 令和5年度の港区 所得割額は2.4%減(2023/10/15)
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〝日本一美しい多摩〟目指せ 多摩市街路樹よくなるプラン改定版 住民説明会(2019/1/21)
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多摩グリーンボランティア森木会 10周年&「緑の都市賞」内閣総理大臣賞(2011/11/29)
〝喬木は風に折らる〟誤解解く取り組みの見える化急げ 「神宮外苑地区まちづくり」
イチョウ並木(昨年5月撮影)
「神宮外苑地区まちづくり(神宮外苑地区第一種市街地再開発事業)」の事業者代表を務める三井不動産は10月13日、プロジェクトサイトの質問受付ページに寄せられた質問に対する5回目の回答(令和5年8月28日~9月30日受付分)を掲載した。令和5年7月17日~7月26日に受け付けた質問に対する第1回目から合計質問は319件、意見は70件、合計389件に上っている。同社は、引き続きプロジェクトサイトで順次回答していくとしている。
全てではないが、記者はその都度質問と回答を読んでいる。今回の5回目の質問・意見件数は51件で、1回目の174件から3分の1以下に減少している。重複する質問も多く、ほぼ意見・質問は出尽くした観を受ける。
回答はプロジェクトサイトのQ&Aページ(https://www.jingugaienmachidukuri.jp/faq/)に掲載されている。
「神宮外苑地区まちづくり」ホームページから(保存樹木、移植樹木、伐採樹木、追加樹木などが記載されているが読みづらい)
◇ ◆ ◇
今回の問題の肝は、平成25年12月に創設された「公園まちづくり制度」に沿った事業であり、この実施要綱に適合するかどうかだと思う。同制度は、①センター・コア・エリア内にあるもの②当初都市計画決定からおおむね50年以上経過したもの③未供用区域の面積が2.0ヘクタール以上のもの――を対象に、再開発等促進区を定める地区計画を定め、都市計画公園・緑地を削除する面積の60%以上かつ1.0ha以上を緑地、広場その他の公共施設を確保するのが狙いだ。
肝心なのは③で、「神宮外苑街づくり」の計画地内には秩父宮ラグビー場を中心とする約4.7haの「未供用地」が存在していた。「共用」とは、都市計画決定区域において、開園が告示された都市計画公園施設のことを指す。「未供用」とは供用以外の状態をいう。
なぜ秩父宮ラグビー場が「未供用」むなのか疑問がわくが、8月9日付の記事でも書いたように、都によると、秩父宮ラグビー場は記録が残っている昭和50年当時は「未供用」扱いにされており、2022年4月に「都立明治公園」から削除されるまで「未供用」のままだったということだ。
その是非はともかく、秩父宮ラグビー場が今回の再開発を可能にした〝貢献者〟ということだ。
この問題について、日本イコモス日本委員会は「秩父宮ラグビー場の土地所有者は、民間企業ではなく日本スポーツ振興センターであり、かつスポーツの聖地として国民に愛されてきた施設である。共用の定義をほぼ満たしており、『公園街づくり制度』が適用される地域とは、基本的に異なっている」(令和3年12月28日付意見書)と主張している。
しかし、同制度は「未供用」の土地所有者は民間企業でなければならないとは定めていないし、実態として「共用」されているかどうかではなく、法律に基づき「告示」されているかどうかを要件としている。法治主義に照らし合せば、日本イコモスの主張は通らない。事業者も認可した都にも瑕疵、落ち度はないように思う。
三井不動産にも一言。故・坂本龍一氏や村上春樹氏など著名人が再開発に反対の声をあげたのは予想外だったのだろうが、「神宮外苑」の歴史・文化などの特殊要因を軽視したのではないか。計画地の土地の権利関係はともかく、ほとんどの人は「都市公園」と理解していたのではないか。そのことを最初からきちんと説明すべきだった。これまで多くの街づくりで成功を収めてきた驕りがあるのではないか。喬木は風に折らる。
公表されている既存樹木調査データは85ページにわたり、伐採樹木743本も含めて樹木はエリアごとに分けられ、1本1本連番、樹木番号、樹種名、樹高、幹周、葉張りなどの規格や樹形、樹勢、大枝幹の欠損・傷などの活力度、保存の必要性(高・中・低)、移植(可・難・不可)、備考(例えば、ぶつ切り剪定が、多数あり。樹木番号N02-033ヒマラヤシーダーからの、被圧あり。建物に、近接している)などか小さな字で記載されている。画面を拡大しスクロールすれば読めないことはないが、読みづらい。
分かりやすくするために、現場を公開し、樹木にはデータが読み込めるようバーコードを付け、樹木医などの専門家が説明してはどうか。
同社は、面積比におけるみどりの割合は25%から30%に、樹木数は既存の1,904本から1,998本にそれぞれ増加するとしているが、それを〝見える化〟する取り組みが必要だ。記者は、同社のマンションや分譲戸建てを中心に多くの街づくりを取材してきた。植栽計画はどこにも負けない。これまでの街づくりを紹介し、神宮外苑の現況と未来像が比較できるよう大きな模型図などを展示・公開すべきだと思う。
さらに、質問・回答も文書ではなく、事業を認可した東京都、再開発に反対している日本イコモス日本委員会を含め、賛成派、反対派を一堂に集めて大討論会でも開催したら、同社に対する誤解は解けるのではないか。
秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎 「広場」は都市公園ではない 神宮外苑再開発(2023/8/9)