増大する不動産&不動産業向け融資 「今後気を付けて見ていく」日銀・植田総裁
日本銀行・植田和男総裁は7月28日、会見を行い、金融緩和策の柱である「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の運用を柔軟化し、これまで定めてきた長期金利の上限幅「0.5%程度」の基本を維持しつつ、「1.0%」まで容認すると発表した。
会見で、記者団の「一般物価もそうだが、都内23区のマンション価格が1億円を突破したように資産価格の上昇はバブルの様相を呈しているのではないか」という質問に対して、植田氏は「都心部のマンション価格はものすごく上昇しているが、かなりの部分は個別要因によるものだ。それにしても不動産投資、不動産業向け融資などのデータはかなり高い水準で推移しており、今後気を付けて見ていきたい」と述べた。
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YCCの柔軟な運用がわが国の経済、物価にどのような影響を及ぼすのか記者は分からないが、欧米などが利上げに踏み切ったことと無関係ではないはずだ。ここでは、植田氏が「今後気を付けて見ていきたい」と述べた不動産価格について考えた。
日本銀行のデータによると、金融機関の不動産業向け融資はこのところ増え続けており、2023年3月末の融資残高は98兆2,521億円(前年同期は92兆4,286億円)となっており、全融資残高に占める割合は17.0%に達している。個人による貸家業へも27兆7,242億円(前年同期は27兆7,278億円)と高い水準が続いている。双方を合わせると全融資残高の実に21.8%を占める。
国土交通省の「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」では、令和3年度の個人向け住宅ローンの新規貸出額は20兆7,948 億円となり、前年度から9,811億円、2.0%増加した。令和3年度末の貸出残高は191兆5,725億円で、令和2年度末より9兆9,224億円増加している。
不動産経済研究所の調査によると、2022年の首都圏マンション供給戸数は2 万9,569戸(前年比12.1%減)で、1戸当たり平均価格は6,288万円(同0.4%上昇)、坪単価は313.8万円(同1.6%上昇)となった。平均価格は4年連続、坪単価10年連続のアップで、平均価格、坪単価ともに最高値を更新した。
東日本レインズのデータによると、東京都の2022年度の中古マンション成約件数は15,590件(1992年度比316.6%)、坪単価は335.4万円(同131.1%)、価格は5,827万円(同136.0%)、専有面積は57.34㎡(同107.0%)となっている。
坪単価は、過去30年間でもっとも低かった2001年の140.2万円から約2.4倍、価格はもっとも低かった2000年の2,409万円の約2.4倍に上昇している。
これらの数値からすれば、1980年代後半の「土地神話」が生きていたバブル期に近づきつつあるといえなくもないが、当時と現在では大きな違いがある。当時は、金融緩和を背景にだぶつく資金は株と不動産投資に向かった。〝狂乱地価〟〝土地・マンション転がし〟という言葉に象徴されるように、投機が投機を呼ぶ異常な世の中になった。日経平均株価は1989年(平成元年)12月29日の大納会で史上最高値38,957円44銭を付けた。都内の一等地のマンション坪単価は2,000万円、3,000万円に上昇し、価格が10億円以上の〝ネオ億ション〟の造語も生まれた。「広尾ガーデンヒルズ」は瞬間的に坪3,000万円の値を付けた。
現在はどうかというと、海外からの投資マネーが流入し、国内の富裕層などが所得税や住民税、贈与税、相続税の節税対策として不動産を購入するケースも増えてはいるが、基本的には実需が市場を支えている。バブル期はほとんどなかった共働きが一般化した今では、低金利効果とともに高額物件の取得を可能にしている。さらに、単身者やDINKSなど新たな需要層が現在の市場を支えている。
さて、今後どうなるかだが、マクロデータだけで判断すると、首都圏マンションは新築も中古も一般的な世帯の取得限界を超えている。しかし、都心部の坪単価1,000万円超の物件の売れ行きは堅調であるように、富裕層向けはまだまだ伸びる余地はあると記者は見ている。近い将来、坪単価は2,000万円超ところが3,000万円を突破するのではないか。
いまタマゴ1パックの値段は306円で、2021年の217円から4割以上上昇しているそうだが、コンパクトマンションの坪単価はこの1~2年間で400万円は500万円へ、500万円は600へ上昇している。年率で2~3割というすさまじい上昇率だ。投資向けはそれよりさらに高い。
もう一つ、市場を左右する外資の動向だが、これはよく分からない。わが国への直接投資は増加しており、オフィス、ホテル、レジデンス、物流などは海外から見ても有望市場ではないか。
となると、植田氏が「今後気を付けて見ていきたい」というのは、不動産市場の何を見るのだろうという疑問もわいてくる。過熱すれば、かつて行った総量規制という蛇口を締めるような挙に出ることはないと信じたい。
ビッグモーター店舗前の街路樹が枯死!? ありえない 断じて許せない
自動車保険の不正請求が問題になっている中古車販売の最大手ビッグモーター(BM)だが、同社の店舗前の街路樹が枯死しているケースが多発していることをメディア各紙は一斉に報じている。そんな馬鹿なことはあるのか。人を殺すことは誰にも許されないように、街路樹を毒殺(除草剤か)する権利などどこにもないはずだ。故意で行ったとしたら断じて許せない。
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2023年7月27日12時00分付の東京新聞は次のように報じた。
「『1本だけ枯れることはあったと思うが、まとまって17本、そこだけ枯れていた』。群馬県の太田土木事務所の担当者は話す。
住民からの通報で、BM太田店前の国道沿いのトウカエデが枯れていることに気付いたのは昨年8月。土壌分析をしたところ、除草剤の成分が検出された。同事務所では除草剤を使用していないため、情報提供を求める看板を設置。太田署に被害届を出した。今年3月に伐採し、今後新たな樹木を植える予定という」
「25日の会見で兼重社長(退任)は『除草はするが、見栄えも悪いし、枯らすようなことは普通しない』などと語ったが、和泉伸二専務(現社長)は『環境整備で、出入り口は前後10メートルにわたり、雑草などを取り除こうと(指導しており)、除草剤をまいて街路樹に影響を与えてしまったことはあると思う』と認めた」
同様のBMの店舗前の街路樹の枯死は全国各市でも報告されており、各自死地位は調査に乗り出し、損害賠償請求も視野に入れているという。
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和泉氏がメディアに語ったことが事実であれば、完全な犯罪行為だ。過失ではない。刑法第261条には「他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」とある。
この問題で気になるのは、どうして今になって発覚したのかということだ。報じられている画像などからして相当以前に枯死していると思われる。当の自治体や近隣住民は不思議に思わなかったのか。我関せず-世の中に蔓延している一種の病気だ。
これをきっかけに、千代田区の神田警察通りの街路樹であるイチョウ並木の伐採についても、東京新聞と朝日新聞を除くメディアは関心を払ってほしい。育ち盛りの健全な樹木に「死刑」を宣告する権利はあるのかという問題だ。(「国家による殺人」である死刑の是非はこの際問わないが)
「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区(2023/7/7)
住民監査請求の行方 街路樹の価値の可視化必要 千代田区の「街路樹が泣いている」(2022/5/18)
生物多様性の純増と算出方法の標準化目指す 積水ハウス&シンク・ネイチャー提携
積水ハウスとシンク・ネイチャーは7月27日、2030年のネイチャー・ポジティブの実現に向けて、積水ハウスの「5本の樹」計画やシンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータ、A Iを活用して、「生物多様性の純増と算出方法の標準化(生物多様性ネットゲイン)」を目指し、共同で推進する連携協定を7月1日に締結したと発表した。
積水ハウスは2001年から生物多様性保全・再生を推進する「5 本の樹」計画に取り組んでおり、その効果を琉球大学理学部久保田研究室とシンク・ネイチャーと共同検証し世界初の都市の生物多様性の定量評価の仕組みを「ネイチャー・ポジティブ方法論」として2021年に公開した。
今回の連携提携によって、「生物多様性ネットゲイン」につながる住宅建設に関する新たな商品・サービス、ビジネスモデル、その他の実現アイデアの創出などを行い、「生物多様性ネットゲイン」を最大化できる植栽の樹種・本数のシミュレーション提案ツールの導入を2024年の春頃に考えているとしている。
「5本の樹」計画は2023年1月現在、年間植栽本数は88.6万本、累積植栽本数は1,900万本を達成。また、シンク・ネイチャーとの共同検証を行い、「5本の樹」計画開始前の2000年を基準として、緑地の劣化が著しい三大都市圏2070年までの変動をシミュレーションした結果、地域の生き物にとって活用可能性の高い在来樹種を植栽することで2030年には37.4%、2050年には40.9%、さらに2070年には41.9%まで生物多様性を回復できることが予測されたとしている。
要諦は「名前」を覚えること 「推しの木図鑑」と「5本の樹」計画に期待(2023/6/29)
「しわぶき」を「しわ(wrinkle)」と誤訳 高度な言語表現に適応できない ChatGPT
前回書いた記事「『ChatGPT』を初体験…」の続き。7月24日付朝日新聞デジタルで、今井むつみ慶応大学教授は、「(チャットGPTは)単語や文の『意味』を考えて文章を生成しているわけではない。チャットGPTは、最初に膨大な言語データを読み込み、高速で情報処理をして、言語データの統計的な規則性を抽出します。加えて、人がどんな文章を好むのかというデータと掛け合わせ、文章を生成していく。だから、単語一つ一つの意味は全然分かっていないし、人間の問いかけの意図も考えていません」と語っている。
今井氏の仰る通りだと思う。ChatGPTとの次のようなやり取りを経験したからだ。
記者は大和言葉の魔術師ともいうべき作家の丸山健二氏が大好きで、物事の本質を突く言葉に酔いしれることがしばしばある。
例えば、「聞こえよがしの年寄りのしわぶき一つ」。何の小説だったか、この通り書かれていたかどうか分からないのだが、年寄りを観察していると、そのような場面に出くわすことがよくある。〝バカなことをいうもんじゃない〟とたしなめる意味で、「咳」とか「咳払い」では具合が悪く、「しわぶき」が適切だ。
そこで、ChatGPTに、この言葉を英訳してもらった。回答は「A showy old person with not a single wrinkle of experience.」だった。説明文には「年老いているが経験や知識が全く感じられない人を指します。つまり、見た目や年齢は年配のように見えるが、実際には経験や知識が乏しく、若い人にも劣らないほど無知であることを意味します。
この英文は、そのような人を描写していて、『showy(見せびらかす)』という言葉が、その人が自分を重要視し、自分の見せたい面を強調している様子を示しています。しかし、その実態は『not a single wrinkle of experience(経験のしわひとつない)』と表現されており、その人が経験や知識がないことを強調しています」
ChatGPTは「しわぶき」を「咳(cough)」ではなく、「しわ(wrinkle)」と誤訳したのだ。「しわぶき」は小説の世界ではよく用いられるが、いまの日常会話ではほとんど使われなくなったのでやむを得ない部分はあるが、誤訳も甚だしい。「聞こえよがし」の日本語も理解していないようだ。高度な言語表現にChatGPTは適応できないことが明らかだ。課題も多い。
とはいえ、前回の記事でも紹介したが、質問によっては的確に答える能力を備えている。
記者は今、丸山先生の全4巻で10万円もする「ブラック・ハイビスカス」をある人から借りて読んでいるのだが、その第2巻の冒頭に「萎え萎んでゆく運命にある消化不良な愛」という文言が登場する。「愛」(記者のパソコンはしばしば「哀」に変換する)を経験した人すべてが味わう〝はかない〟愛を表現したものだ。この文章をGoogleで英訳してもらった。「Indigestible love destined to wither and wither」だった。「萎え萎んでゆく」を「枯れる(wither)」と訳した。つまり「愛が枯れる」と。
次に、この英文をChatGPTで日本語に訳してもらった。「枯れゆく運命の消化不良な愛」だった。
説明文には「『Indigestible love destined to wither and wither』 という英語のフレーズは、非常に詩的な表現で、以下のような意味を持ちます。"Indigestible"(消化不良の)という形容詞は、愛情が理解しにくい、受け入れられない、または受け止めがたいことを意味します。"Destined to wither and wither"(しぼんでしぼんで行く運命にある)という表現は、その愛情が次第に弱まり、しぼんでいく運命にあることを示しています。
つまり、このフレーズは、困難な状況下で成立しない、長続きしない、または成長できない愛情の存在を表現しています。愛がうまく育まれないか、受け入れられない状況下であることを示唆しています」とあった。
説明文は的外れではない。「非常に詩的な表現」とあるのは、記者が「詩的な日本語」と質問で用いた言葉に対応したものだろう。質問者に阿る性格を持つのもChatGPTの特徴でもあるようだ。饒舌すぎるのはやや鼻につくが…。
「ChatGPT」を初体験「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が支配する時代へ(2023/7/23)
「ChatGPT」を初体験「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が支配する時代へ
「ChatGPT」を初めて体験した。素晴らしい!美醜を分けるとか小説などものを創造することなど(記者の仕事もそうだと思うが)は現時点でできないようだが、質問が適正であれば、ほとんど瞬時に正確な優等生的な答えが返ってくることを確認することができた。「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が世の中を支配する時代へ突入したということだ。
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物は試しに、令和5年(2023年)4月18日付の横須賀市の横須賀市 デジタル・ガバメント推進担当部長名による、報道機関向けに発表した「自治体初!横須賀市役所でChatGPTの全庁的な活用実証を開始」のプレス・リリース全文を送り、「文章には文法上、または正確ではない文言が4か所くらいあります。それを指摘し、正しい文章にしてください」と質問した。
瞬時に返ってきた回答は、市のプレス・リリースと一字一句違わなかった。
そこで「この文章には誤りがないということですか」と質問したら、「申し訳ありませんが、前回の訂正後の文章にもいくつか誤りがありました。以下に修正後の文章を示します」とし、「①『横須賀市デジタル・ガバメント推進担当部長』の後に『様』を追加します。②タイトル部分で、「ChatGPT」と「全庁的な活用実証を開始」の間のスペースを削除します。③「一部の文の終わりに句読点を追加します」と返事が返ってきた。
「『担当部長』の後に『様』を追加します」と答えたのには驚いたが、記者の聞き方にも問題があったかもしれない。プレス・リリースや手紙などの基本的な体裁を知らせるべきだった。
これはさておき、記者は「市の文章には『質問に答えたり、文章を作ったり、言葉を翻訳したり、文章を要約することができます』とありますが、ChatGPTが質問することはあるのですか」と聞いたら、ほとんど瞬時に「ChatGPTは、自然言語処理技術を活用した言語モデルであり、人工知能が自然な会話を行うことができます。ただし、ChatGPT自体が質問する能力を持っているわけではありません。ChatGPTは与えられた入力に対して応答することが主な機能であり、ユーザーがChatGPTに対して質問をすることが一般的です。
例えば、ユーザーがChatGPTに『明日の天気はどうですか? 』と質問すれば、ChatGPTはその質問に対して天気予報などの情報を元に適切な応答を生成します。そのように、ChatGPTはユーザーが質問を投げかけた際に適切な応答を返すことができますが、ChatGPT自体が自ら質問をすることはありません。
言語モデルのChatGPTは、対話の一方向性である『質問と回答』の形式によって機能するものであり、ユーザーからの入力に対してより適切な応答を生成することを目的としています」と返ってきた。
完璧だ。そこで記者はまた「『質問に答えたり、文章を作成したり、言葉を翻訳したり、文章を要約することができます』の最後の部分は『要約したりすることができる』ではありませんか」と聞いたら、これまた瞬時に「申し訳ありません、おっしゃる通りです。最初の文章において…最後の部分は、『要約したりすることができる』が正しい表現です」と答えた。
やっぱりChatGPTはすごい。「~たり」の用法を理解しているということだ。
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もう一つ、この前のユニソンの「防災トークセッション」の記事の校正をお願いした。
記者が書いた「『東武動物公園』などの固有名詞などもそうだ」は「『東武動物公園』などの固有名詞もそうだ」と「など」を削除した。記者の文章「固有名詞など」も間違いではないが、省いたほうが分かりやすい。記者の記事のトートロージーを指摘したということだ。また、記事では「チャットGPT」と書いたが、「ChatGPT」に変更された。なるほど、その通りだ。
AIによる自動文字起こしは誤変換が多いことについて、「先ほどの文章で( )内はAIが自動文字起こしで誤変換したものです。普通、文脈からして『日本列島』を『二本列島』に、『地震』を『自信』に変換することはありえませんが、どうしてAIはそのようなミスを起こすのでしょうか」と聞いたら、ChatGPTは次のように答えた。
「AIが自動文字起こしで誤変換を起こす原因はいくつか考えられます。
①言語モデルの学習データの偏り:AIの自動文字起こしは、大量のテキストデータを元に学習されています。しかし、学習データには同音異義語の文脈が完璧にカバーされているわけではありません。したがって、文脈から判別する際に誤変換が発生することがあります
②ノイズや口調の影響:音声を文字に変換する場合、ノイズや話し方の個人差などが影響を及ぼすことがあります。特に、話し方が不明瞭な場合や音声の品質が低い場合、AIは適切に認識するのが難しくなり、誤変換が発生する可能性が高まります
③言語の多義性:日本語などの言語には同音異義語が多く存在します。これらの単語は同じ発音であっても意味が異なるため、文脈を考慮しない場合に誤変換が生じることがあります
④モデルの制約:現行のAIモデルは高度な言語理解能力を持っていても、完璧ではありません。文脈を理解して正確な変換を行うためには、さらなる改良や学習が必要となります
これらの問題に対処するために、AIの自動文字起こし技術は常に改善されています。より多くのデータと文脈を考慮した学習、ノイズ対策の強化、言語モデルの進化などが行われ、精度の向上が期待されています。しかし、完璧な文字起こしを行うには、さらなる研究や技術の進化が必要となるでしょう」
この回答も満足できるものだ。外国語もそうだろうが、わが国の言葉は同音異義語が多い。話す人の言葉が不明瞭であった場合も誤変換が起きる。自動文字起こしした文章をChatGPTに校正させたらどうなるのだろう。
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答えられないとは思ったが、「『HARUMI FLAG』の坪単価は適正だと思いますか? 」と質問した。
これに対して、「私はAIであり、情報をリアルタイムで取得することはできません。したがって、『HARUMI FLAG』の具体的な情報や坪単価についての最新のデータは持っていません。『HARUMI FLAG』の坪単価の適正性について判断するには、現地の不動産市場の状況や競合物件の価格など、様々な要素を考慮する必要があります。坪単価は地域や建物のタイプ、設備、築年数などによって大きく異なります。坪単価の適正性を判断する際には、不動産専門家や不動産業者に相談することをおすすめします。彼らは現地の市場動向や詳細な情報を持っているため、より適切なアドバイスを提供することができるでしょう」との回答だった。
これまた完璧。その通りだと思う。
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さらにもう一つ。「わたしは喫煙者です。喫煙は文化であり、個人の趣向であり、基本的人権だと思います。あなたはどう考えますか」という質問にChatGPTは次のように回答した。
「私は人工知能であり、感情や主観的な意見を持ちませんが、喫煙に対する一般的な考え方についてお話しします。
喫煙に関しては、個人の自由や権利と文化的な背景によって、様々な意見があります。一部の人々は喫煙を自由な選択として考え、個人の趣向として尊重するべきだと主張します。彼らにとっては、喫煙が彼らの生活において重要な部分であり、その権利を尊重すべきだという立場です。
一方で、喫煙は健康への悪影響が科学的に証明されており、受動喫煙による他人への健康被害も懸念されます。そのため、喫煙に対しては公共の場所や職場などで制限が課される場合もあります。
喫煙については個人の権利と他者の健康を考慮しながらバランスを取る必要があります。一部の国や地域では喫煙規制が厳格化されている一方、他の場所では個人の選択として尊重されることもあります。
重要なのは、喫煙者も非喫煙者もお互いを尊重し、相互理解を持つことです。喫煙者は喫煙をする際に他者に迷惑をかけないよう配慮し、非喫煙者も喫煙者の権利を尊重する姿勢を持つことが大切です。
社会は多様性に富んでおり、異なる価値観が共存しています。その中で、相互理解と共に健康や環境への配慮も重要な要素となるでしょう」
この回答は、どこかで聞いたような気もするが、大学の試験だったら間違いなく「優」の評価を得るだろう。だが、しかし、学者先生はこの文章はChatGPTが作成したことをこれまた瞬時に見破るだろう。完璧すぎるのだ。
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「対話の一方向性である『質問と回答』の形式によって機能する」ChatGPTの課題も見えた。インタラクティブな双方向の対話は現段階では苦手のようだ。だが、しかし、そのうちこの課題は解消されるような気がする。凄い世の中がやってきたものだ。「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が世の中を支配する時代に突入したということか。
自治体初 横須賀市のChatGPT作成リリースの粗探し 文法・用法の誤り発見(2023/4/21)
ユニソン「防災トークセッション」に170名/AIの文字起こしは凄いが課題も(2023/7/15)
歴史・文化の破壊に疑義を唱える声に耳を傾けるべき 神宮外苑再開発 地元説明会
4列のイチョウ並木(今年5月写す)
神宮外苑地区まちづくり計画の代表施行者・三井不動産は7月20日、計画地の近隣住民を対象にした事業説明会を7月17~19日の3日間にわたって行い、381名が参加、41名が質問(意見陳述)、86件の質疑応答が行われたと発表した。
説明会は、計画地の敷地境界から計画の最高建物高さ(約190m)を2倍した距離の範囲内の近隣(約13,000世帯/法人含む)を対象に開催したもので、改めて計画の意義や必要性を説明した。
プロジェクトサイトで説明動画と質問受付ページを公開し、回答は約3週間後を目安にプロジェクトサイトに回答を掲載する予定。
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「神宮外苑地区まちづくり計画概要とまちづくりに関するご説明動画」は全体で約30分。「5つのポイント」として①明治神宮外苑とまちづくりの意義②段階建て替えによる大規模スポーツ施設の更新③オープンスペースの拡充④4列のいちょう並木の保全⑤みどりの考え方-について説明された。
全部を視聴した。①~④は、説明も具体的で分かりやすかった。
一番聞きたかったのは⑤「みどりの考え方」だった。「最後に街づくりについてご説明いたします」と切り出し、「神宮外苑地区街づくりにおいては一本一本の樹木を大切に扱い、施設計画の工夫も行い、可能な限り多くの樹木を保存します。
保存できない樹木は、樹木の活力度などに応じてできる限り移植いたします。移植のための根回し作業ができないほど建物に近い樹木や、移植に耐えられないほど活力度が低い樹木など、やむを得ず伐採する樹木については利活用いたします。
新たに新植する樹木については、献木や苗木の育成も行います。緑の面積と本数を増やしながら、皆さんと一緒に神宮外苑の次の100年に向け誰もが緑を楽しめる空間づくりに努めてまいります」と締めくくった。約5分間だった。
これにはがっかりした。これまでの説明と変わらない。「一本一本の樹木を大切に扱う」のであれば、やむを得ず伐採する734本の樹木の位置と樹種、樹齢を公表すべきだし、そのあとに新植する樹種も公表すべきだと思う。樹木本数は現状の1,904本から1,998本に、みどりの面積は整備前の25%から整備後は30%に増加するのに、多くの疑義・質問が寄せられているのはなぜなのかを事業者は真摯に受け止めるべきだ。
記者は、住民の人たちは神宮球場やラグビー場、ビル・ホテルなどの建て替え・建設そのものに反対ではなく、樹齢100年を超す神宮外苑の森の歴史・文化が破壊されようとしていることに疑義を唱えているのだと思う。記者自身も30年近く〝草野球の聖地〟である軟式野球場に通った。数千試合を取材しているはずだ。敷地内に植えられている巨木には畏怖すら感じる。
もう20年以上前だ。当時のプロパストは大磯の徳川邸跡地にマンション「レゾンデパン大磯」を建設・分譲したが、敷地中央に植わっていた松の大木を避けるように配棟した。積水ハウス「グランドメゾン狛江」も、敷地内に植わっていた20m超のヒマラヤスギ、ケヤキ、イチョウなどの既存樹約100本を残し、約18,000本を植樹した。
「残しながら、蘇らせながら、創っていく」-三井不動産の街づくりのスローガンだ。
威風堂々〝聖地〟神宮外苑野球場の巨木 事業者VS.イコモス 鳥や虫の視点で考えて(2023/5/23)
里山を見るような見事な植栽 積水ハウス「グランドメゾン狛江」竣工(2013/9/12)
住宅セーフティネットを考える 「住宅確保要配慮者」は400万世帯でも少ない
厚生労働省、国土交通省、法務省による第1回「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(座長:大月敏雄・東京大学大学院工学系研究科教授)が行われたのをきっかけに、住宅セーフティネットについて改めて考えてみた。
まず、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(セーフティネット法)で定める「住宅確保要配慮者」とは何かについて整理する。
「住宅確保要配慮者」とは、①低額所得者(月収15.8万円以下)②被災者(発災後3年以内)③高齢者④障害者⑤子ども(高校生相当まで)を養育している者のほか⑥住宅の確保に特に配慮を要するものとして、外国人のほか中国残留邦人、児童虐待を受けた者、ハンセン病療養所入所者、DV被害者、拉致被害者、犯罪被害者、矯正施設退所者、生活困窮者、海外からの引揚者、新婚世帯、原子爆弾被爆者、戦傷病者、児童養護施設退所者、LGBT、UIJターンによる転入者なども該当するとされている。
国土交通省などの資料によると、①低額所得者(月収15.8万円以下)は約1,300万世帯②被災者(発災後3年以内)は約5,800世帯③高齢者は1,889万世帯④障がい者は約411万世帯⑤子ども(高校生相当まで)を養育している者は約1,147万世帯⑥障害者90万世帯、外国人240万人、生活保護受給世帯160万世帯。このほかセクシュアル・マイノリティ(LGBT)は人口の7~8%と言われている。
このマクロデータからは「住宅確保要配慮者」は見えてこない。低額所得者や高齢者であっても住宅に困っていない世帯は相当数にのぼっているからでもあるのだが、「高齢者」「外国人」「障がい者」を理由に入居を拒否しようとする大家、それを容認する仲介不動産会社には特権的な権限が付与されているわけでもないにも関わらず、全国のコンビニ約57,000店舗の2倍以上もある約13万の宅建業者に生活・住宅困窮者対策の一端を担わせようとする国と、賃貸料の滞納の心配がないセーフティネット住宅は大家・不動産会社にとっても大きなメリットがあり、その利害関係が複雑に絡み合っていることが実態を見えづらくしている。もう少し具体的にいろいろなテータを見てみよう。
令和2年の国勢調査によると、わが国の世帯数は5,583万世帯で、学校の寮・寄宿舎、病院・療養所などの入院者、社会施設の入所者などが居住する「施設などの世帯」を除く「一般世帯」を所有関係別にみると、「持ち家」が3,372万世帯(全体の61.4%)ともっとも多く、「民営借家」は1,633万世帯(29.7%)、「公営の借家」は190万世帯(3.5%)、「給与住宅」は155万世帯(2.8%)、「都市再生機構・公社の借家」は75万世帯(1.4%)となっている。
総務省の平成30年の住宅・土地統計調査によると、住生活基本計画に定める最低居住面積水準未満(単身25㎡、2人30㎡、3人40㎡、4人50㎡)以下の世帯は全世帯の6.6%、353万世帯で、所有関係別でみると持ち家は10.3%、民営借家は18.5%となっている。最低居住面積水準未満の80.0%を民営借家が占めている。
民営借家1,530万戸の世帯人数は2,641万人、1住宅当たりの延床面積は45.57㎡(持ち家は119.91㎡)。単純計算すると1戸当たり居住人数は0.73人となり、空き家が多いことをうかがわせる。空き家は845万戸(空き家率13.6%)で、「賃貸用の住宅」が433万戸(総住宅数に占める割合6.9%)、民営の空き家は360万戸、空室率は23.6%だ。
総務省の調査には面白いものもある。総数670万世帯の家計を支える者の通勤時間を所要関係別、延べ床面積別、建て方別に調べたもので、全体では1時間未満は86.9%(自宅・住み込みは0.9%、1時間以上は12.9%)となっている。
持ち家は、総数218万世帯のうち通勤時間1時間未満は81.2%で、自宅・住み込みは0.9%、1時間以上は18.6%。延べ床面積70~99㎡では、1時間未満は77.8%と低く、逆に1時間以上は21.9%を占めている。
民間借家はどうか。総数367万世帯のうち延べ床面積が29㎡以下の比率は25.4%(持ち家は6.6%)で、通勤時間1時間未満は89.5%、自宅・住み込みは0.6%、1時間以上は10.6%。延べ床面積70~99㎡では1時間以上が13.5%となっているように、面積が増えると通勤時間も増える傾向を示している。
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令和2年の国勢調査によると、「ひとり親と子供から成る世帯」は500万世帯(全体の9.0%)で、うち子どもが15歳未満は131万世帯だが、厚生労働省が令和3年11月に実施した「全国ひとり親世帯等調査」結果は母子世帯と父子世帯〝差〟が浮き彫りにされている。
世帯数は、母子世帯が119.5万世帯(母の平均年齢41.9歳)に対し、父子世帯は14.9万世帯(父の平均年齢46.6歳)。一桁異なる。ひとり親世帯になった理由は、母子世帯は離婚が79.8%、死別が5.3%、父子家庭は離婚が69.7%、死別が21.3%。
就業状況は、母子家庭が86.3%、父子家庭が88.1%とそれほど差はないが、うち正規職員・従業員では母子家庭が48.8%、父子家庭は88.1%、うちパート・アルバイトは母子家庭は38.8%、父子家庭は4.9%となっている。
世帯の平均年間収入(同居親族を含む世帯全員の収入)は母子家庭が373万円で、父子家庭が606万円。国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得を100として比較すると、母子家庭は45.9、父子家庭は74.5となっている。
養育費の取り決め状況は、「取り決めをしている」が母子世帯で46.7%、父子世帯で28.3%となっており、取り決めをしていない理由は、母子世帯では「相手と関わりたくない」がもっとも多く34.5%、次いで「相手に支払う意思がないと思った」が15.3%で、「相手に支払う能力がないと思った」が14.7%。
一方、父子世帯では「自分の収入等で経済的に問題がない」が22.3%ともっとも多く、「相手と関わりたくない」が19.8%、「相手に支払う能力がないと思った」が17.8%となっている。(この問題に深入りしないが、〝愛と憎しみは紙一重〟ととうことか。自由に別れられ、再婚できる環境を整備すべきだ)
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国土交通省の平成30年の「住生活総合調査」では、持ち家への住み替え意向を持つ子育て世帯の課題のトップは「資金・収入の不足」で、子どもの年齢にかかわらず64.4~71.3%(全世帯平均は63.6%)に達している。借家への住み替えを希望している子育て世帯もほぼ同様で、「資金・収入の不足」「希望エリアの物件が不足」を課題にあげている。
借家における住居費負担に対する評価を見ると、「ぜいたくはできないが、何とかやっていける」が52.1%ともっとも多く、次いで「ぜいたくを多少がまんしている」が23.1%、「家計にあまり影響がない」が16.7%、「生活必需品を切りつめるほど苦しい」が8.1%となっている。
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令和5年3月現在、住宅扶助を受けている世帯は被保護世帯全体約164万世帯の85.9%に当たる約141万世帯となっている。
支給に当たっては家賃限度額が定められており、東京23区(1級地)の単身は53,700円、2人世帯は64,000円だ。大半のセーフティネット登録住宅が郊外部であることからも分かるように、この額で借りられる23区の賃貸マンションは足立区などごく一部に限られるはずだ。つまり、生活保護世帯は居住地を自由に選べないという問題がある。
居住地が自由に選べないのは生活保護世帯に限ったことではない。23区の新築分譲マンション坪単価は300万円を突破しており、10坪(33㎡)で3,000万円以上、20坪(66㎡)で6,000万円以上だ。世帯年収500万円台の取得限界を超えている。安価で良質なマンションを購入できる層もまた限られている現実がある。
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以上、住宅セーフティネットを巡る現状について書いてきたが隔靴掻痒。いろいろなデータから平均値をはじき出しても実態に迫ることは容易ではない。
とはいえ、当初、国土交通省が令和3年3月末の目標としていたセーフティネット登録住宅数17.5万戸は圧倒的に少ないといわざるをえない。
民営借家1,633万世帯から最低居住水準未満の282万戸と、基本性能・設備仕様が劣り、老朽化や間取りの陳腐化などによって市場競争力を失った空き家360万戸(国が買い取り補修して貸し出すのも一法だとは思うが)を除いた約990万戸(世帯)を対象とし、住宅困窮者の実態に照らし合せれば、セーフティネット住宅の目標戸数は400万戸くらいに設定すべきではないか。
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今回の記事を書くにあたって、平山洋介・神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授(当時)の著書「マイホームのかなたに」(筑摩書房、2020年3月刊)と「『仮住まい』と戦後日本」(青土社、2020年刊)を参考にさせていただいた。
平山教授は「マイホームのかなたに」で次のように指摘している。
「留意すべきは、多彩な『カテゴリー』を『列挙』すればするほど、住宅セーフティネットの対象が『特殊』で、その構築が普遍性を持つ施策ではないことを示唆する効果が生まれる点である。住宅確保要配慮者の長大なリストの作成は、住宅困窮の範囲を拡大するのではなく、むしろ狭め、セーフティネット政策に『ピースミール・アプローチ』を当てはめる意味を持つ」(233ページ)
「住宅困窮を『カテゴリー』化する技術は、住宅政策のあり方についての論議を『階層化』『不平等』『再分配』などのコンセプトから遠ざけることで、〝脱社会化〟し、さらに〝脱社会化〟する(平山2017)。重視されるのは、貧困者、ホームレスの人たち、DV被害者などの住宅改善にどのように対応するのかというテクニカルな問いである。それは、住宅システムの市場化を『自然化』する力と表裏一体の関係をつくる。ここでの関心は、『階層化』社会における『不平等』と『再分配』ではなく、均質かつ広大な市場空間の『内』に参加できず、『外』に排除された『特殊』かつ多様な『カテゴリー』の人びとに対する『ピースミール・アプローチ』の工夫に向けられる。住宅問題の研究者と専門家、さらに運動家の一部は、障害者、母子家庭などの『カテゴリー』ごとに細切れになったグループの住宅状況とそれへの対策の技法に関する専門的な検討に専念し、住宅困窮の社会・政治力学に対する興味を失うように導かれる」(同書234~235ページ)
平山教授は「『仮住まい』と戦後日本」で次のように述べている。
「住宅セーフティネット法の2017年改正に向けて…『救済に値する』人たちの範囲をいわば極限にまで狭める方向が示された。事務局(国土交通省住宅局)の試算によると、住宅確保要配慮者は、約28万世帯であった…最低居住面積水準未満『または』高家賃負担の世帯数を計算すると、収入分位25%以下では277万、同25~50%では65万、計342万になる。『かつ』と『または』では、セーフティネットの対象の規模に12倍以上もの差がある」(同262~263ページ)とし、「最低居住面積水準未満『かつ』高家賃負担のグループは、『または』の場合に比べ、極めて小さくなる。このトレードオフを利用した住宅確保要配慮者の量の試算は、巧妙であった」(同263ページ)
平山教授の指摘は正鵠を射ていると思う。検討会では、セーフティネット住宅の5年間を総括し、その政策は正しかったのか、セーフティネット住宅の質について論議していただきたいし、登録住宅848,846戸をどう評価するのか、空室率2.3%の意味するものは何か、なぜ大東建託など一部の管理会社による登録が突出しているのか、「大家の安心」も大事だろうが、住宅困窮者の声も反映してほしい。
そもそも、人口が加速度的に減少し、グローバル化している社会にあって、1世紀も昔の賃貸住宅契約を墨守し、〝入居を拒んでも〟経営が成り立つ民間賃貸住宅市場は普通ではない。この問題にも踏み込んでほしい。
問題山積 要配慮者の居住支援 大家の安心、安否確認、支援法人などテーマ(2023/7/4)
ユニソン「防災トークセッション」に170名/AIの文字起こしは凄いが課題も
ユニソンは7月14日、リアル・オンラインによる「防災トークセッション」を開催した。リアル会場は同社「コミュニティスペース大阪『玄と素(くろとしろ)』で、ポラスタウン開発が開発・分譲している「ディスカバリープロジェクト東武動物公園コネクト・コミュニティ」の事例を取り上げ、企画段階から関わっている同社の広報企画部部長代理・鷲津智也氏、ポラスタウン開発企画設計リーダー・内田里絵氏、NPO法人日本防災環境事務局長/理事・加藤愛梨氏がそれぞれ力を入れた点、今後の展開などについて語り合った。記者はオンラインで視聴した。
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定員はリアルが20名、オンラインが150名。参加者はどのような方か分からなかったが、中身は、記者も取材したポラスの分譲戸建て「東武動物公園」でのハード・ソフトの取り組みの紹介が中心だったので、まずまず理解できた。
苦労話なども紹介されたが、モデルハウス来場者など一般のお客さんの反応はどうだったか、「防災」や「環境」をテーマにしたマンション、分譲戸建ては少なく(そもそもこれらを全面に押し出してもなかなか販売促進につながらない)、どうしたらいいかを聞きたかったのだが、突っ込んだ話し合いはなかったのはやや残念だった。
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オンラインでは、トークセッションの会話がその場で文字起こしされ、パソコン画面に表示された。この種の文字起こし同時画面表示は初めて経験することなので、正確に変換されるかどうかに注目した。
話し言葉が瞬時に文字に変換されるのにびっくりした。記者発表会場にパソコンを持ち込み、話す人の言葉をそのまま打ち込む記者の方が増えているが、AIもまた同等の、あるいはそれ以上の能力の持ち主であることが分かった。凄いというほかない。
しかし、一方で、信じられないような誤変換も目立った。以下に列挙する。( )内が誤変換。
日本(二本)、地震(自信)、NPO(NBO)、日本列島(二本列島)、スパン(スポンジ)、火の回り(日の周り)、複層ガラス(服装ガラス)、公助(控除、公道)、分譲(文章)、鷲津(和地図、和室)、駅前広場(一枚広場)、ポラスタウン開発(プラスタウン開発、プラス端開発)、全棟(前進)、外構計画(外交計画)、分譲地(分庁地)、自助(次女)、DINKS(リンクス)、相乗効果(症状効果)、ブロック塀(ブロック上)、テロ(ゼロ)、東武動物公園(トップ動物公園)、避難(非難)、太鼓判(太鼓盤)、ご尽力(ご人歴)、主導(手動)…。
書き出したらきりがないほど誤変換があった。なぜ、誤変換が起きるかを考えた。一つには、同音異義語が多いことだ。これらは課題ではあるが、やむを得ない。
例えば「全棟」。記者のパソコンも「ぜんとう」と打ち込むと「全島」「全党」「前頭」「全灯」などに変換されるので、「ぜんむね」と打ち込むようにしている。そうすると、きちんと「全棟」に変換される。
「東武動物公園」などの固有名詞もそうだ。「とうぶどうぶつこうえん」とAIが認知すれば誤変換は起こらないだろうが、「とうぶ」「どうぶつ」「こうえん」をそれぞれ別々に認知すれば、「とうぶ」は「東部」「頭部」に、「こうえん」は「公演」「講演」「後援」に変換されることはありうる。
もう一つは、話す人の言語が不明瞭であることだ。これはAIだけの責任ではない。先の「東武」を「トップ」とAIは認識したのだろうし、「テロ」は「ゼロ」と聞き違えたのだろう。
ただ、前後の文脈からしたら間違えようがないはずなのに、「日本列島」が「二本列島」に、「地震」が「自信」に、「公助」が「控除」に、「避難」が「非難」などに変換されたのはいささか驚いた。現行のAIの知識では文脈を考えて正確に変換する能力がないということだろう。
10年以上使役させているわがパソコンは学習能力が高いのか、小生にこびへつらっているのか、それとも嫌味なのか分からないのだが、「コロナ避ける」の「避」を「酒」に、「名前を知らない魚」の「魚」を「肴」に、「肝心なのは愛」の「愛」を「哀」に変換した。「ビールを飲んだ」あとに「ビル工事」と書いたら、「ビル」に文字チェックが入った。
感心したのは、「えー」「そのー」「あのー」などの無機能語は変換されないケースも多かったことだ。これは凄い。
全体的な評価は、先に書いたようにやはり凄いということだ。AIが打ち出された文章を編集したら、ほとんどミスのない原稿が仕上がるはずだ。メモを取る手間が省けるし、録音を何度も再生しながら記事を書くのと比べれば、その仕上がりスピードは数倍速い。文字起こしした文章をChatGPTに校正・編集させたら完璧な文章に仕上がる。
可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦 ポラス「東武動物公園」(2023/6/16)
ハウスメーカー初の水素住宅実証実験 2025年夏の実用化目指す 積水ハウス
積水ハウスは7月14日、株式会社は、住宅メーカー初の水素住宅の2025年夏の実用化を目指し、2023年6月から同社総合住宅研究所で実証実験を開始したと発表した。
太陽光発電による再生可能エネルギーの電力を用い、自宅で水素をつくり、住宅内の電力を自給自足するもので、①日中は自宅の屋根の太陽光発電パネルでエネルギーをつくり消費②太陽光発電の余剰電力で水を電気分解して水素をつくり、水素を水素吸蔵合金のタンクで貯蔵③雨の日などの日射不足時や夜間は貯蔵した水素を利用して燃料電池で発電する。
6月の成約件数3か月ぶりに増加 成約単価・価格の上昇続く 首都圏中古マンション
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月10日、首都圏の2023年6月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,111件(前年同月比3.6%増)となり、3か月ぶりに前年同月を上回ったほか、成約坪単価は238.5万円(同7.9%上昇)となり、20年5月から38か月連続、成約価格は4,610万円(同9.0%上昇)となり、20年6月から37か月連続で上昇。専有面積は63.79㎡(同1.0%増)となった。
中古戸建の成約件数は1,138件(同0.6%減)、成約価格は3,750万円(同1.9%下落)、土地面積は140.86㎡(同4.5%縮小)、建物面積は103.77㎡(同0.7%縮小)。