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左から渡部氏、堀江氏、清水建設土木東京都支店 千葉土木営業所外環京葉Gランプ作業所公務主任・石﨑裕大氏、大垣氏、セーフィー企画本部IoTソリューション部プロダクトグループ・中田恵吾氏

クラウド録画サービスシェアNo.1のセーフィーは130日、記者発表会を開き、電源のみですぐに利用でき、屋外設置可能なLTE搭載クラウド録画型カメラ「Safie GO 360(セーフィー ゴー サンビャクロクジュウ)」を202421日から提供開始すると発表した。発表会では、顧客のアイダ設計建設本部部長・堀江久幸氏、清水建設建築総本部生産技術本部 生産技術開発センター デジタルマネジメントグループ主査・大垣博氏らが同社営業本部第2ビジネスユニット部長・渡部郁巴氏とトークセッションを行った。発表会には約40名のメディアが参加した。

Safie GO 360」は現場の全景を俯瞰して撮影できることに加え、狭小地の撮影でも、焦点距離が近い対象物を歪みがなく明瞭に映し出すことが可能。過去の映像を振り返った時にも360°の上下・左右自由に動かせる画角により映像の隅々まで取り逃しがないことも特徴。また、現場監督や作業員自身が簡単に設置でき、都度の取り外しの手間やコストの削減にも繋がり、工程の進捗確認、順序の遵守有無などを遠隔から確認でき、現場訪問時間を大幅に削減できる。重さは約3.95㎏(金具含む)。

セーフィーは2014年設立のベンチャー企業。2017年にLTE搭載クラウド録画型カメラ「Safie GO」第一号を提供開始しており、テクノ・システム・リサーチ社の「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2022)」によると、この種のカメラ登録台数ベースシェアは56.4%のトップとなっている。

会見で渡部氏は「『Safie GO』は建設業界向けに数万台提供しており、スタンダードになっている。今年は2024年問題がスタートする。6月からは建設業などの時間外労働時間制限80時間/月が施行される。また、法令1万件のアナログ規制一掃に向けたデジタル化の取り組みも加速しており、マーケットは当社にとって追い風になっている。今回の商品はAIとの連携を視野に入れたデジタル化の入り口になるプロダクト」と語った。

堀江氏は、「導入時に7社製品と比較したが、クラウドで見ることができるのが決め手となった。現在では120拠点で採用している。戸建て現場は工期34か月で現場を訪問する機会は3045回くらいある。電話でのやり取りが多くその無駄を省くことができ、全体分析もできるので効率化も図れる。職人さんなどは〝見られている〟という意識はあるだろうが、いたずらなどの抑止力にもなる」と話した。

大垣氏は、「『Safie GO 360』により従来製品では困難だった上下・左右の全方向映像を収めることができ、遠隔での現場確認をより効率的に進めることが可能になった。仕上げ工事中の天井や床下などの施工状況を1台のカメラで遠隔確認ができ、生産性向上に繋がることが期待できる」と語った。

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Safie GO 360(セーフィー ゴー サンビャクロクジュウ)」
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ドローンにも対応できる機器

        ◆     ◇

 アナログ人間そのものの記者は話を聞きながら、この人間味など全くない不気味な魚の眼が省力化・省人化・生産性向上につながるのはよく分かった。法令1万件のアナログ規制撤廃は待ったなしだ。

同社は提供目標については非公表としているが、マーケットは年間12万台のようだ。

課題の一つは重さではないか。大垣氏は、現場担当者のヘルメットに装着すると話したが、重さ4キロ前後のカメラを頭に付けたら記者など1時間ももたない。慣れれば平気なのだろうか。

もう一つは、大垣氏も指摘したが、膨大な量の画像データを人が分析したら担当者の時短にはつながらないのではないか。AIとの連携が必至だ。そうすればほとんど瞬時に知りたい情報を得られのではないか。

社員・職人を監視することの懸念について質問したメディアの方もいたが、やろうと思えばできるだろうが、本末転倒だ。労使でそうならないようにしっかり契約すべきだろうし、そもそも社員・職人を信用できないような社長や上司は鼎の軽重が問われる。AIには経営陣の指示が適切かどうかを判定する権限を付与すべきだと思う。

記者は、法令違反・施工不良を防止することにつながるかどうか質問したが、大垣氏は「データは残るので、品質向上にはつながる」と答えた。

この意味はみんな考えないといけない。カメラは「事実」を正確に伝える。それを「是」とするのか「非」と判断するのか、問われるのはわれわれ人間の「視力」だ。

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清水建設活用イメージ 

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清水建設活用イメージ

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アイタ設計活用イメージ

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アイダ設計活用イメージ

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アイダ設計活用イメージ

カテゴリ: 2023年度

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日本エスコン代表取締役社長・伊藤貴俊氏(左)とヤマガタデザイングループ代表取締役・山中大介氏

 日本エスコンは1月29日、山形県鶴岡市のヤマガタデザインの子会社ヤマガタデザインリゾート(YDR)、東京都小金井市の有機米デザイン(YMD)とともに、「農」をコンセプトとするホテル「(仮称)SUIDEN RESORT」を全国で開発すると発表した。

 YDRは2018年、「田園風景」をテーマにした宿泊施設「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」を開業。朝食バイキングの食材の地産地消率を80%以上とし、年間6万人の宿泊客を呼び込んでいる。

 YMDは、水田の除草作業を省力化するロボ開発や有機米の流通、未利用資源の有用資源化、有機農業の実践などを通じて、全国の農業従事者の生産性向上、収益改善に貢献している。

 日本エスコンは2024年2月、完全人工光型植物工場の建設・運営を行う会社を設立し、食や農業分野の課題解決に向けた事業に取り組んでおり、今回の連携により、「(仮称)SUIDEN RESORT」 を日本全国に展開していく。業務提携契約を締結し、YMDへ2億円を出資し、同社社員1名がYMDの社外取締役に就任予定。

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「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」

 

 

カテゴリ: 2023年度

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女性用更衣室・パウダールーム

 東京建物と東京建物リゾートは1月29日、新たな都市型スパブランド「TOTOPA」を立ち上げ、2024年3月下旬に東京都初のPark-PFI事業「都立明治公園」内に第一号店を開業すると発表した。

 「TOTOPA」は、東京建物グループのスーパー銭湯「おふろの王様」の運営で培ってきたノウハウを生かしたもので、都心部を中心にコンパクトかつユニークなリラクゼーション体験ができる施設として開発・運営するもの。ブランド名は「ととのえる」+「SPA」から「TOTOPA」としたもの。

 第一号店「TOTOPA 都立明治公園店」は「都立明治公園」のA棟2階、3階に設置。女性用フロア(2階)では、薬草スチームに包まれながら、乾燥による肌や髪へのダメージを抑制し、デトックスができる蒸し湯体験を提供するほか、蒸し湯、サウナ、水風呂、お風呂も完備。男性用フロア(3階)は、3つのユニークなサウナ空間に加え、水深約160cmの水風呂を含む2種類の水風呂、外気浴を中心とした3つの休憩スペースを完備し、18通りの「ととのい」体験を実現する。

 「おふろの王様」は1999年に第一号として「光が丘店」をオープンしてから、2024年1月現在、10店舗を運営している。

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男性用浴室

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男性用水深約160cmの水風呂

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 風呂は大嫌いだが、「おふろの王様 多摩百草店」を仲間と一緒に宴会目的で一度利用したことがある。あまりにも大きく、様々な施設があるのに驚いた。都市公園内の「風呂」はPark –PFIによる三菱地所など「海の中道海浜公園」で見学したことがある。「脱衣室及び浴室は、屋外から見通せない構造とすること」とする市の条項に抵触することから、海に面した風呂場はシートで覆われていた。

過去の記憶蘇る 東京都初のPark-PFI活用した「都立明治公園」完成(2023/11/4)

公園が旅の目的になる わが国初のPFI事業 三菱地所他「光と風の広場」開業(2022/3/11)

 

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 大和ハウス工業は1月27日、主催:高齢者住宅財団・高齢者住宅協会の共催として「団地再生シンポジウム」を奈良県にある同社グルーフみらい価値共創センター「コトクリエ」で開催した。住宅団地の現状と課題を明確にし、住民、有識者、企業人による対話を通じて、持続可能な住宅団地の実現を目指した解決の糸口を探るのが目的。オンライン視聴者310人を含む約630人が参加した。記者はオンラインで視聴した。

 講演会の冒頭、国土交通省近畿地方整備局長・見坂茂範氏がわが国の住宅団地は約3,000団地あり、全人口の15%が居住しており、多くが50年を経過し建物と居住者の高齢化が進み、空き家も発生していることから、行政、有識者、産業界が連携して団地再生に取り組むことが重要と挨拶した。

 この後、国土交通省大臣官房審議官(住宅局担当)・宿本尚吾氏と、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授・大月敏雄氏、大和ハウス工業リブネスタウン事業推進部東日本統括グループ長・作田千佳氏がそれぞれ講演。

 宿本氏は、「大和は奈良県だからと思っていましたが、そうではなかった。ネオポリス幼稚園もあった」などと、自ら奈良市学園大和町生まれであることを紹介。住宅団地の現状については、少子高齢化の影響が顕著に表れており、用途規制が厳しいことなどの課題があると話した。住宅市場の現状と課題、方向性については、住宅団地はインフラが整っているところが多く、二地域居住、テレワークなど新しい住まい方、多様な働き方、新技術、DX、リフォーム、・リノベーションなどを触媒として化学変化を起こすことに期待したいと述べた。地域再生法により資金面の応援も行っていくと語った。

 大月氏は、住宅生産振興財団主催の「住まいのまちなみコンクール」の審査委員を第4回から務めており(第16回から現在の19回まで審査委員長)、表彰を100回、その数倍のインタビューをこなしてきた経歴を示し、具体的事例として2017年から関わっている八王子市めじろ台の再生を紹介。団地憲章からマスタープラン作成、多世代交流拠点、コミュニティカフェなどの居場所の開設などを支援してきたことを話した。今後は企業にも働きかけていく予定だという。

 作田氏は、同社が過去に開発した60か所の大規模住宅団地「ネオポリス」の団地再耕に向けた「リブネスタウンプロジェクト」を2014年から8団地で行っていることを紹介した。

 講演会の後では、同社代表取締役社長・芳井敬一氏も参加して「ネオポリスサミット2024~ネオポリスの再耕に向けて~」が開かれ、翌日28日には「コトクリエ」見学会も行われた。

◇        ◆     ◇

 八王子市めじろ台は何度か取材したことがある。京王不動産が中心となって開発した100ha以上の京王線めじろ台駅周辺に広がるニュータウンだ。市内では昭和40年代から60年代前半にかけて大規模住宅開発がたくさん行われていたが、駅から徒歩圏の住宅地はここしかなかったことから人気を呼んだ。バブル期には価格は1億円を超えたのではなかったか。現在は、65歳以上の高齢者の人口比率は4割を超え、他の団地と同様の様々な課題を抱えているようだ。大月氏の講演は団地再生に関わる関係者にとても参考になったのではないか。

 作田氏の講演では、「最初は(話を持ち込んでも)戸惑いを見せる方も多く、何度も足を運び、現地に泊まったり住むようにしたりするうちに心を開いてくれるようになった」旨の話をしたのが気になった。

 なぜか。居住者に戸惑いを覚えさせる理由がある。デベロッパーの〝顧客優先〟は空念仏で、〝事業離れ〟という言葉が業界にあったように、どれだけ多くの戸数をどれだけ短期間に販売するかが問われた時代だった。居住者にしてみれば、手助けをしてほしいときには何もしてくれず、もう先が短い年寄りを相手にまた一儲けを企んでいるのかと疑心暗鬼に陥るのは当然だ。

 もう一つ、喫緊の課題であるはずの団地再生が進まないのは、支援体制が整っていないからだ。国土交通省の報告によると、「住宅団地」は、管理組合のようなまち全体の様々な課題を考える主体がなく、再生に向け動き出すきっかけづくりが難しいことなどから、何らかの再生の取り組みを実施している100ha以上の大規模住宅団地(全国496件)は約2割(95団地)しかないことが報告されている。業界内では平成10年あたりから再生の取り組みが必要と言われていた。

 だが、リブネスタウンプロジェクトは始まったばかりだ。苦労は伴うだろうが、粘り強く訴えれば、いつかは心を開いてくれるはずだ。全国の団地再生モデルになるよう頑張ってほしい。

 それにしても他のデベロッパーはどうしているのだろう。約3,000か所の住宅団地の事業主体はUR都市機構(旧日本住宅公団)や都道府県住宅供給公社などの公的機関が約半数、残り半数は民間だ。記者は同社以外に団地再生に名乗りを上げている企業を寡聞にして知らない。SDGsの目標12の「つくる責任 つかう責任」はどこにいったのか。等閑視などしていられないはずだが…。

 再生モデルはある。記者が「奇跡の街」と呼ぶ山万の「ユーカリが丘」だ。京成上野駅から約1時間、開発面積約250ha(予定含む)、世帯数約8,100世帯、人口約19,000人の街だ。1971年に開発を着手してから53年を迎えたが、まだまだ発展途上。人口は増え続けている。〝千年優都〟をテーマに掲げ、この先50年を見据えた新たな約100万坪の「ミリオンシティ構想」を打ち出している。

 同社は、大阪発祥の総合繊維卸売業だが、昭和39年に本社を東京に移転したときから退路を断ち、開発業に専念している。他のエリアでマンションなどを分譲することもあるが、年商102億円(令和4年)はほとんど「ユーカリが丘」のはずだ。社員122人(同)の相当数が「ユーカリが丘」に住んでいるとも聞いた。

 大月氏は「来年も…」などと話した。どうやら毎年「コトクリエ」で団地再生サミットを同社は開催するようだ。今回は真冬なので取材を断念した。開催時期は爛漫の春か、万葉集に詠まれている秋の七草などが花咲く秋にしていただければ参加するのだが…。

〝夜明け〟はやってくるのか〝再耕〟は可能か 大和ハウス 団地再生勉強会(2021/8/31)

10年の活動を綴った「さくら茶屋物語」発刊 団地再生目指す全ての人に薦めたい(2021/2/8)

大和ハウス芳井社長「これほど心がこもった祝詞聞いたことがない」祝詞全文紹介(2019/11/2)

郊外住宅団地の再生モデルへ 大和ハウス「上郷ネオポリス」コミュニティ施設完成(2019/10/30)

〝奇跡の街〟ユーカリが丘で昭和30年代の住宅分譲(2007/4/16)

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 積水ハウス住生活研究所は1月25日、全国の20~60代の男女500人を対象にした「入浴に関する調査(2023)」をまとめ発表した。

 調査の結果、冬に心身の不調を感じた人は「肌が乾燥する」44.5%、「身体が冷える」37.2%、「身体がだるい」33.2%、「眠気がとれない」31.0%、「下痢・便秘」31.0%などと続き、冬に心身の不調を感じる「冬バテ」という言葉を認知している人は23.4%しかいないことが分かった。

 冬の体調管理で行っていることでは、「うがい・手洗いを徹底する」57.4%、、「マスクを着用する」51.6%などに続き、「入浴をする(湯船につかる)」が5位にランクされた。効果実感率は「入浴をする(湯船につかる)」が73.5%ともっとも高い結果になった。

 季節を問わず風呂時間が好きな人は68.0%で、この層の人が毎回湯船に浸かる割合は冬場が49.2%、夏場が27.0%。

 季節に関わらず風呂時間が「嫌い」の人は10.8%で、「どちらかというと嫌い」の人も含めたの理由は、「風呂に入るまでが面倒」「体や髪を洗うのが面倒」「風呂後のドライヤーが面倒」「浴室内が寒い」「脱衣場が寒い」など。

 風呂時間を快適にするための工夫を男性は約5割、女性は約7割が行っていると回答。「入浴剤・バスボムを使う」49.8%、「好きなシャンプー・トリートメントなどをそろえておく」33.7%、「シャワーヘッドにこだわる」16.8%をはじめ、音楽や動画などの設備が目立った。

 快適に過ごすために洗面室や脱衣所に工夫しているかの問いでは、半数以上が特に何もしていないと回答。工夫をしていることでもっとも多かったのは「こまめに掃除する」43.5%、「換気扇をつける」27.6%、「ものを減らす」27.2%、「収納を整理する」25.1%など。洗面室で4人家族のものを並べてみると約3畳分もあることが分かったと。

 これらの結果から、同研究所は「調光・調色のできる照明を取り入れる」「バスルームに置ける観葉植物やバスライトを持ち込む」などの提案を行っており、同社フェローR&D本部・河﨑由美子氏は「私は、お湯にどっぷりと入浴すると疲れてしまうことが多く、冬でもシャワー派です。椅子に座って、少し熱めのお湯を2~3分ゆっくり浴びると、シャワーの音や刺激も心地良く、心身の疲れが解けていくのを感じます」とメッセージを寄せている。

◇        ◆     ◇

 記者は、季節に関わらず風呂時間が「(大)嫌い」の10.8%に該当する一人だ。なぜ嫌いなのか。第一の理由は「重労働」だ。昔の民家はどこもトイレも浴室も別棟。毎日のように、井戸から10メートル近く離れた風呂場までバケツで水を運ばされた。五右衛門の浴槽を満たすのは相当の時間がかかった。風呂焚きもやらされた。薪炭の時代だ。火吹竹を吹くと煙が襲ってくる。むせ返り涙があふれる。家父長制は徹底されており、風呂に入る順番も決まっており、よく言えばルノワールの描く農婦、悪く言えば縄文の土偶のような母親と一緒に入ることはほとんどなかった。母親は風呂から上がってもタオルなどで身を隠すことなどしなかった。桃色に染まった全身から湯気が昇った。今でも忘れない。

 結婚してからは、風呂場担当になったが、掃除が大変、いつも水浸しになった。いまのように自動ではなかったから水の量、温度に神経を使った。沸騰させたこともしばしばあった。

 今も風呂嫌いは同じだ。かみさんに任せっぱなしなので掃除からは解放されたが、掃除の大変さが分かるから、寒くても「湯を張ってくれ」とはなかなか言えない。風呂好きな人は湯船に浸かり舟歌だか鼻歌を歌うのだろうが、記者は歌も大嫌いだし、たまに湯船に入ると寝込むのが常で〝死んじゃうわよ〟の罵声が飛んでくる。そのたびに、知人の子どもが湯船に転落して溺死した悲劇が思い出される。

 なので、冬場でもシャワーで済ませる。浴室に入る前にシャワーを全開にし〝ぬるめの燗〟より高めの40度に設定するのだが、「糖尿の体に良くないわよ」と、またかみさんに怒られる。

 時間も〝烏の行水〟だ。ほんの数分しか入らない。だから温まらない。出るとき、ドアを細目に開けて素早くバスタオルを取り込むのだが、洗面・脱衣場の寒気が一挙になだれ込む。あったまった分だけ寒くなる。

 ここまで書けば小生がどうして風呂が嫌いか分かってもらえるはずだ。冬場でも飲むのはビールと焼酎。体は氷のように冷たくなるが、「肌が荒れる」症状は全くないのは幸いだ。

 馬鹿馬鹿しいことを書いたが、同社に一つ提案だ。同社は戸建てもマンションもほとんどZEH仕様た。冬季でも洗面・脱衣場の温度は15~17度あるのではないか。アンケートはZEH仕様とそうでない住宅に分けて行ったら、ZEH住宅に住む人は冬季でも入浴が苦にならない人が絶対的多数を占めるのではないか。

 洗面・脱衣室が必ずしも居心地のいい場所になっていないのは、供給サイドにも問題がある。注文住宅は分からないが、分譲住宅は総じて狭い。コストカットの対象にもなっている。タオルウォーマーを標準装備しろなどとは言わない。せめて浴室ドアにはタオル掛けを2つ付けてほしい。

 

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ナイス「新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)

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杉田氏

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 ナイスは1月17日、グランドプリンスホテル新高輪に約1,100人の聴衆を集め「新春経済講演会」を開催し、第三部では物流、弁護士、シンクタンク、木材、建設、住宅設備メーカーによるトークセッション「どうなる!?2024」を行った。

 冒頭、コーディネーターを務めたナイス代表取締役社長・杉田理之氏は「昨今は不確実、不透明、非連続性の時代と言われ、見通しを立てるのが難しくなっている。そんな中で本日は3つのテーマで論議を進めていただきたい。一つ目(Ⅰ)は2024年の経済・景気の動向について、二つ目(Ⅱ)は法改正への対応とその課題について、三つ目(Ⅲ)はカーボンニュートラルの取り組みについてで、皆さんのご意見を伺いたい」と挨拶した。以下、社名・団体名五十音順に意見を紹介する。

ドル・円相場は130円 ゼロ金利政策は持続

シンクタンク 安藤範親近氏(農林中金総合研究所主任研究員)

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安藤氏

Ⅰ 中国経済は不動産を中心に景気は減速する見込み。米国は労働市場とサプライの人不足、経済活動の正常化とインフレの鈍化が同時進行している。労働市場では直近の求人倍率が1.3倍になっており、景気は緩やかな回復傾向をたどるのではないか。欧州は景気減速が予想される。東南アジアは、中国や世界的な経済状況に左右されるが、2025年に向け緩やかに回復する。日本はコロナ後のサービス、インバウンド需要は一段落し、緩やかな成長率の中、為替は米国の利下げと日銀の利上げ要因からドル・円相場は円高に向かい130円くらいになると予測する。ゼロ金利政策は賃金・物価動向からして持続するのではないか。

 世界の景気変動、紛争、気候変動、環境規制などで需給がひっ迫し、ウッドショックはありうる。

悲観することない着工減 住宅の資産価値向上に取り組む

住宅設備メーカー 山田昌司氏(パナソニック ハウジングソリューションズ代表取締役 社長執行役員)

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山田氏

 2023年の住宅着工は約83万戸で、前年比3.9%減。2024年もほぼ同じ水準ではないか。棟数は減少しているが、住宅投資額は17兆円レベルをキープしており、それほど悲観する必要はない。住宅の省エネ化、カーボンニュートラルへの取り組みなど住宅の資産の維持・向上への政策に向き合うことが必要。業界構造変化では、いわゆるパワービルダーへ需要がシフトし、地域の注文住宅を中心とするビルダーは苦しくなる。一方で、大手メーカーによる地域工務店への支援によって新しいビジネスモデルが生まれる。リフォーム、リニューアルは堅調に推移し、非住宅は改修期を迎えているものが多く、市場は拡大する。

Ⅱ 物流に関しては、必要な時に届けてもらえなくなってきている。運んでもらえないことも発生しており、深刻な問題。サプライチェーンはこれからの課題で、資材を運ぶことが住宅建設工程の計画の一部であるという考え方に転換しないと物流問題は解決しない。

 パナソニックグループは2050年までに現在の世界のCO2総排出量の「約1%(3億トン)」の削減を目指しており、「Panasonic GREEN IMPACT」と称する3つ取り組みを行っている。一つは、自社工場など28の拠点でCO2排出量をゼロにする「OWN IMPACT」で、これはすでに達成済み。二つ目は、既存の水素、省エネ、再エネ技術、廃材利用などの「CONTRIBUTION IMPACT」、3つ目は新しい技術で進める「FUTURE IMPACT」。着実に進めていく。

2024年問題は織り込み済み 工期延長にはならない

建設 熊野聡氏(長谷工コーポレーション取締役専務執行役員)

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熊野氏

 東京のマンション価格が1億円を突破したなどとショッキングな報道がなされたが、これは一部を切り取った情報。都心部で高級マンションが供給されたためで、23区の平均価格は8,424万円と前年比で30%上昇した。それ以外の平均は5,300万円で、そんなに大幅に上昇したという印象は持っていない。近畿圏の市場はほぼ横ばい。超高級マンションは経営者など富裕層、スタートアップなどの需要が旺盛で、実需も伴っておりバブルではない。今年は金利先高観による買い急ぎはあるかもしれないが、底堅い市場に支えられ、それほどぶれないと予想している。

 2024年問題は工期に大きな影響はない。ゼネコンでは4週8休は取り込み済み。運送コスト上昇による価格上昇への影響はある。現場技術者の残業を減らすDX、IT、職人の働きやすい環境をつくる、ロス少なくするなど生産性を高める取り組みを進めていく。

Ⅲ 当社も木造推進委員会を設けて研究している。すでに23件の共用部分の木質化を行っており、賃貸マンションの上層階の木造化も行っている。分譲でも生かせないか考えている。

残業規制は労働者の人権 脱法行為はありえない

法律 秋野卓生氏(弁護士 匠総合法律事務所 代表社員)

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秋津氏

Ⅱ 最近は、人不足により残業時間制限720時間の上限を超えてしまうという相談が増えている。このような質問には、立法趣旨を説明する。月80時間以上残業すれば過労死する危険性があり、残業規制は労働者の人権を守ることで、法律を守らないということはありえないと。一方で、労基法は1日8時間、100%の力で働くことを経営者は労働者の要請していい法律。これを実践しているか、残業代が生活費の一部になっていないか、これをチェックする必要があると提案している。

 DXで働き方改革が実現できるのであれば、建設業法、労働安全衛生法などの法律を改正すべき。デジタル臨調でもそのような論議がなされた。2027年度の全国展開を目指す国土交通省のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)確認申請にも注目している。現場三次元の取り組みも加速させる必要がある。

長距離輸送に理解を 再配達は有料に

物流 馬渡雅敏氏(全日本トラック協会副会長)

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馬渡氏

 残業制限は建設業などは720時間となっているが、トラック業界は960時間。われわれの業界の長距離輸送は3~4割占める。法令を守れないから撤退する、あるいは長距離を受けないというところも出てきている。また、厚労省の法律も今年4月からより厳しくなる。住宅関連では、持ち帰り、転送などが多々ある。再配達でも1回分の配達料金しかいただけない。再配達は有料にするなど改善しないといけない。国土交通省の商習慣の見直しのガイドラインでもそのような方向性が示されるはずだ。

 国内のCO2排出量の2割が運輸部門。その中でわれわれのみどりナンバーの営業用はその2割、全体の4%がトラック業界。2030年までに2005年比で3割削減を目標に掲げているが、大型トラックはEVもハイブリッドもわが国では開発されていない。再配達とか物理的な無駄をなくしていくほかない。軽くて頑丈な国産材のパレットを開発していただきたい。プラパレばっかり。

用材自給率80%へ 熱を逃がす窓、ドアの木造化急げ

木材 鈴木信哉氏(ノースジャパン素材流通協同組合理事長)

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鈴木氏

 いま木材自給率は50%を超えつつある。今後は山の中から丸太をどのように下すのが最大のポイントとなるが、林道の整備が進んでいない。おろすまで3時間も4時間もかかる。林道整備とともに、中間ストックヤードを設けることも必要。納入するのに20台、30台も並ばなければならないようなことをなくさないと、残業時間を減らすことができない。受け入れ時間を長くし、かつての日本通運のような大型の事業体が出現することに期待したい。川下、川中、川上が連携して安定的な発注システムを構築しなければならない。

 10年後の用材自給率は80%まで伸びるのではないか。問題は梁桁。レッドウッド、ベイマツの集成材からどうやって奪い取るか。国産集成材に頑張ってもらう必要がある。木造のきれいな公共建築物を見ると、唯一木が見えないのがサッシとかドアの開口部。アルミと木材の熱伝導率は3600倍違う。寒いところで熱を逃すために造っているようなもの。これは10年間で木に変えないといけない。バス、トイレ、キッチンにどうやって木を使っていくか。クオーター契約の導入も必要。

「超競争時代リーダーは人間らしくあれ」元ソニー社長・平井一夫氏ナイス講演会(2024/1/23)

カテゴリ: 2023年度

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平井氏(グランドプリンスホテル新高輪で)

 1月17日に行われたナイス「新春経済講演会」で、元ソニー社長でソニーグループシニアアドバイザー、一般社団法人プロジェクト希望代表理事・平井一夫氏(63)が「変革のためのモチベーショナルリーダーシップ」と題する講演を質疑応答の30分間を含めて90分にわたって行った。

 今更ソニーグループについて説明するまでもないが、売上高12兆4,000億円、営業利益1兆1,700億円、純利益8,800億円(2024年3月期決算予想)の、わが国上場企業売上高ランキング9位(日経新聞)のビッグカンパニーで、トヨタ、日産、パナソニックなどとともに世界に知られるグローバル企業だ。

 記者は家電・電気機器業界のことはよく分からないのだが、上場企業は東証プライム市場だけで約130社にのぼる(Ullet)。業種別売上高ではトップの卸売業の約126.1兆円に次ぐ85.5兆円で、第3位の総合商社の66.2兆円を上回る。

 主な企業は同社を筆頭にパナソニックホールディングス、日立製作所、リコー、東京エレクトン、三菱電機、キャノン、富士通、東芝、日本電気、シャープ、東京エレクトロン、リコー…わが国経済をけん引してきたメーカーが名を連ねる。

 平井氏は講演会の冒頭、数分間費やしソニーの挑戦の歴史、変革の歴史について説明したが、平井氏より一世代上の記者は〝ガラパゴス〟そのもので、知っているのは「明るいナショナル ラジオ テレビ なんでもナショナル」であり「光る 光る 東芝」だ。ソニーといえば、カセットテープや商品名だけは知っている「ウォークマン」くらいだ。アップルのスマートフォンにソニーの技術が注がれているのも初めて聞いたし、ソニー・ホンダモビリティがどんなEV車を造ろうとしているのかも知らない。

 事程左様に無知ではあるが、ソニーも総合商社などと同様、業績は2000年以降に落ち込み、最悪期の2012年には株価は801円(11月30日)の最安値を記録した。2000年3月1日に付けた上場来最高値33,900円から実に98%マイナスとなった。〝倒産危機〟までささやかれた。(現在の株価は14,800円=1月22日)

 ところが、平井氏が社長に就任した2012年を底に業績はV字回復。競争が激しい家電事業からG&NS(ゲーム&ネットワークサービス)、音楽、映画のエンタテイメント3事業に事業をシフトしたのが奏功したといわれている。

 平井氏が社長に就任して社内外にアピールしたのは「ソニーは感動を提供する会社」だった。ソニーグループは平井氏が会長を退任した2019年1月、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というパーパス(Purpose)を発表した。

 平井氏は「感動を提供する」というパーパスがとても大事と強調したのち、本題である「モチベーショナルリーダーシップ」について、「現代は常に変革が求められる超競争時代であり、既存の相手と争うペースが上がっているだけでなく、予想もしなかった異業種、新規参入も相次いでおり、長い期間かけて築いたビジネスモデルは一昼夜で通用しなくなる」と語った。

 そして、このような超競争時代に求められるリーダーは、社員のモチベーションを120%引き出せる資質の持ち主でなければならないと説いた。上場企業が130社に達し、日進月歩の技術革新が進む今日、「超競争時代」というのもなるほどと納得した。

 その条件として「わたしのこれまでの経験からいって一丁目一番地」と語ったのは①正しい人間であることだ。しかし、平井氏は「正しい人間」とはどのような人間であるかについて一言も話さなかった。詭弁を弄する哲学者か金満宗教家のように、手あかまみれの陳腐な人生訓を垂れ、抹香臭い御託を並べていたら、聴衆はしらけ切ったはずだ。実学・実践に基づいた言葉だから心魂に徹する。

 「正しい人」について具体的言及を避けたが、聴衆にとって耳が痛いこともストレートに語った。エン・ジャパンが行った社員が上司に期待するアンケート調査で、「自分の意見や考えに耳を傾けてくれる」「公平・公正な評価」「明確な判断」「具体的なアドバイス」「気分に浮き沈みがない」「いつでも相談に乗ってくれる」「的確なゴール設定をしてくける」-などの項目を上げ、この真逆のことを上司・経営者は行っていると指摘し、「このようなことをしていたら、社員のモチベーションを120%引き上げられるわけがない」と苦言を呈した。

 ②は高いEQ(Emotional Intelligence Quotient)、③はパーパス・ミッション・ビジョン・バリューのPMVV(Purpose・Mission・Value・Vision)、④は戦略立案、⑤は現場訪問だった。

 ②のEQが高い人の周りにはIQ(Intelligence quotient)の高い人が自然と集まるものであり、③のPMVVは年頭の社長の訓示や名刺の裏だけでなく、社員一人ひとりに至るまで毎日の行動に落とし込むことが重要で、「社員は上司の一挙手一投足を見ている。言行一致を貫かなければならない」と語った。④については、①~③の土台がしっかりしていて初めて可能になると、自らの体験を交えながら話した。

 ⑤では、ソニー社長時代の6年間に70回、月に1回のペースで世界を駆けまわりミーティングを行ったと話し、「大事なのはハート、人間と人間の対話にしないといけない。人事や広報が事前に用意した想定質問や模範解答の原稿を棒読みするようなことをやってはならない」と述べた。

 30分間の質疑応答では「Q&Aのルールはないというのがわたしのルール。何を聞いていただいても結構」と約1,100人の聴衆に呼びかけ、一つひとつ丁寧に答えた。

 最後に「実は、私は話すのが苦手。インタラクションついてはそれなりに勉強した」と明かし、「一番いけないのは知ったかぶり。分からないことは『教えて欲しい』と、間違ったら『間違った』という勇気、決めたことは自らが責任を取る自信が必要。改革にはマイナスもつきもの。人事面では社員が不利益を被らないようしっかり対応することも重要。これらを実践するとネガティブなことはアドバンテージになる」と締めくくった。

 平井氏はこの種の講演会を月に多いときで7~8回、少ないときは4回くらいこなし、講演料は「あらゆる子どもに、きっかけになる、感動体験をつくる」をMISSIONに掲げる「プロジェクト希望」に寄付しているという。

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ナイス 新春経済講演会(グランドプリンスホテル新高輪で)

 ナイス 4年ぶりに「新春経済講演会」1,100人が参加(2024/1/19)

 

 

 

カテゴリ: 2023年度

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鉃谷氏(第一ホテル東京で)

 マンション管理業協会は1月16日、令和6年新年賀詞交換会を都内のホテルで開催した。冒頭、先の能登半島地震で亡くなられた方々へのご冥福を祈る黙とうを捧げたのち、新型コロナに感染したため欠席した同協会理事長・高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス会長)に代わって同協会副理事長・鉃谷守男氏(近鉄住宅管理社長)が挨拶した。会は、開始前に理事の方が体調を崩し倒れたため、約10分間遅れて開催された。参加者は約330人。

 鉃谷氏は、改めて能登半島地震で亡くなった方々へお悔やみと、被災者へのお見舞いの言葉を述べ、昨年1年間の国内外の動きなどについて語った後、「マンションを巡る状況を考えると、建物と人、いわゆる2つの高齢化は待ったなしの状況。築40年以上マンションストックは2022年末で126万戸、20年後には3.5倍の445万戸に急増すると推計されている。居住者の方々の高齢化も進んでおり、役員の担い手不足による組合運営の機能不全、必要な修繕積立金を確保できない建物の不具合の進行など課題は山積している。これらの課題に対して、マンション管理の現場に携わるものとして着実に対応するのが協会の使命であると考えている」と語った。

 主な協会事業として①マンション管理適正評価事業②管理業務主任者試験及びその他の資格試験③管理業務主任者に関する講習等事業④マンション管理費等の保証事業⑤マンション管理に関する調査・研究・広報・苦情相談事業⑥各方面への政策提言-の6つを上げ、適正評価制度については、「マンション管理の状況を毎年評価するもので、いわばわれわれの健康診断と同じ。そして、適正評価をもとに計画的な修繕積立金の引き上げや適時適切な大規模修繕工事を行っていくことを通じ、マンションの長寿命化と居住価値の維持向上にも寄与する。協会は制度の社会的な定着に向け、令和6年度末に1万件の登録を目標として会委員各社が管理組合に働きかけを進めている。今日現在、2,752件の登録があり、評価結果について協会のホームページで公表している。また、不動産ポータルサイトや流通事業者の7つのサイトで連携、情報を公開しており、さらに、評価結果を登録したマンションに対する支援策として、昨年は地方銀行4行にてリフォームや購入時の住宅ローンの優遇金利サービスが開始されている。本年はこのような制度の周知活動、活用促進に向けた政策要望活動を推し進めていく」と述べた。

 また、「学識経験者やシンクタンクとも連携し、良質なマンション管理と市場での高評価には正の相関関係があることを明らかにすることにより、適正評価によって管理の〝見える化〟がなされ、資産価値の維持向上につながっていくことを広く世に示していく」「関連税制としては、マンション長寿命化促進税制が昨年4月に施行された。長寿命化工事を実施した場合に、その翌年度の固定資産税が減額される制度協会がかねて要望してきた既存マンションに対する初めての税制特例措置で、大いに歓迎している。現在、同税制に関する事例調査を行っており、その実態を基に令和7年度の時限措置の延長、拡充に向けた活動を行っていく」と話した。

 昨年のマンション標準管理委託契約書改訂については、「DX対応、カスタマーハラスメント対応、担い手確保、働き方改革、居住者の高齢化などマンション管理業の事業変化への対応の手当がなされた。その内容は、マンション管理業の成長発展と社会的評価の向上、DX推進を目指す協会の方向性と合致する。この趣旨にのっとった基本政策を進めていく」と話した。

 国土交通省が設けている標準管理規約の見直しと外部専門家などのあり方に関するワーキンググループのとりまとめが3月末までに行われることに関しては、「協会としても管理現場の実態に即した意見具申、提案を行っていく」と語った。

 まとめとして、「本年12月に当協会は45周年の節目を迎える。今後もマンション管理業界の発展のため全力を尽くしていく」と締めくくった。

 来賓として登壇した国土交通省不動産・建設経済局長・塩見英之氏は、同協会のマンション管理適正評価制度などについて「力強くけん引している」と高く評価し、長寿命化促進税制や第三者管理者制度については「より使いやすいものにするなど着実に取り組んでいく」と挨拶した。

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塩見氏

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マンション管理業協会 令和6年新年賀詞交歓会(第一ホテル東京で)

 

 

 

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 神宮外苑地区まちづくり計画の肝は、東京都の「公園まちづくり制度」だ。おおむね50年以上経過した「未供用区域」の面積が2.0ha以上存在することが適用要件となっており、神宮外苑の計画地約28.4haには秩父宮ラグビー場を中心とするエリア約4.7haが都市計画法の「未供用」となってきた。実態として「共用」であろうと「未供用」であろうと問われない。法律とはそのようなものだ。

 この問題に関連するので、令和4年2月9日に開催された第236回東京都都市計画審議会(会長:原田保夫・東日本建設業保証社長)の神宮外苑地区地区計画(64.3ha)に関する議事録を紹介する。

 青山佾委員(東京都農業会議会長)は次のように語っている。

 「東京都の公園まちづくり制度という制度を今回活用して、特にラグビー場と野球場を入れ替えるという形で、特に観客の多い野球場を青山一丁目駅という地下鉄3線があるところに帰りやすいという形で変えたというような絶妙な配置計画だと、私はそう思います」「今はやはり東京都の公園まちづくり制度の趣旨にあるように、民間による都市開発の機会を捉えて公園を守っていく、あるいは充実していく、あるいは利活用できるようにしていくという考え方が私は大切なんだと思います」

 これに対して、原田あきら委員(東京都議会議員)は次のように反論している。

 「今、青山先生は、今は民間の力を使って公園を作る時代だとおっしゃいましたが、この計画は正に公園の環境を民間に切り売りするような、そういう計画になっているじゃないかと私は指摘をしたんです」「今回、公園まちづくり制度で。そこに公園の中から容積率が移転されて、公園を見下ろす超巨大ビルができると。悪魔の錬金術ですよ」

 (この日の都計審には専門家として青山氏のほかに横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院教授・松行美帆子氏が出席し、千葉大学大学院園芸学研究院教授・秋田典子氏、日本女子大学家政学部住居学科教授・定行まり子氏、ビジネス・ブレークスルー大学副学長・経営学部長教授・宇田左近氏は欠席。発言したのは青山氏のみ。審議会委員の果たしている役割についてはいずれ記事にしたい)

最多はカイヅカイブキ外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ神宮外苑の既存樹木(2024/1/9)

氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ 千葉商大(2023/12/19)

秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎 「広場」は都市公園ではない 神宮外苑再開発(2023/8/9)

秩父宮ラグビー場 保存12本 移植46本 伐採37本 合計95本

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 秩父宮ラグビー場に植わっている樹木は95本で、内訳は保存12本、移植46本、伐採37本。伐採される樹木の中で最多はカイヅカイブキの12本。樹高平均は保存が8.6m、移植が3.9m、伐採が7.1m。移植不可19本のうちヒマラヤシダー、サワラなど巨木が大半を占める。

 現在の秩父宮ラグビー場は日本スポーツ振興センターが土地所有者で、現在、明治神宮が土地所有者の第二球場を中心とするエリア約4.3haに移転する。新ラグビー場は、鹿島建設を代表幹事とする三井不動産、東京建物、東京ドームの4社が建設することが昨年決まった。7階建て延床面積約7.0haとなる。最終完成予定は2034年5月末。

 これに伴い、新しいラグビー場敷地は日本スポーツ振興センターが、現在の秩父宮ラグビー場敷地は明治神宮が所有(権利変換)することになる。

 現在の秩父宮ラグビー場には新しいホテル併設の14階建て野球場が建設される。

4列のイチョウ並木 保存128本 移植0本 伐採18本 合計146本

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  イチョウ並木.pdf  

 神宮外苑のシンボルである4列のイチョウ並木は全木146本が保存されることが決まっている。しかし、日本イコモスはイチョウ並木西側の10本は衰退が著しい・衰退の兆候かみられるとし、ほとんどを健全木と判定した全木調査は「重大な『虚偽の報告』」とし、再審を要求している。

 ラグビー場に通じる舗道に植わっているイチョウ18本については、移植が検討されているが、日本イコモスは「データシートにおける樹木医の診断の項は『移植不可』となっている」と指摘している。

 興味深いのは樹高で、施設に近接する西側は平均22.3mなのに対し、東側は22.9mと高くなっている。これは、東側のイチョウ並木はさらにその東側に植林帯があるためと思われる。

イチヨウ並木の東側 保存289本 移植2本 伐採38本 合計329本

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  Cエリアその他1.pdf

 このエリアは保存される樹木が圧倒的に多い。ほとんど再開発の影響を受けないようだ。

テニスコート北側 保存6本 移植35本 伐採105本 合計146本

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  テニスコート北.pdf

 保存されるのは樹高20mのメタセコイア、15、10mのクロマツなど6本のみ。伐採される67本のカイヅカイブキをはじめ105本はほとんどか移植不可と判定されている。しかし、秩父宮ラグビー場のカイヅカイブキ20本は移植可能として移植され、移植が難しい10本は伐採されるように、その基準は不明。写真はカイヅカイブキ

テニスコート場内 保存12本 移植8本 伐採52本 合計72本

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  テニスコート場内.pdf

 保存されるのは高木のイチョウ、マテバシイなど12本。伐採される52本のうち樹高15mのシイノキ3本を除いた樹木の樹高平均は3.8m。施設建設の支障木として伐採されるのもやむを得ないか。

野球場 保存134本 移植16本 伐採93本 合計247本

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  野球場一塁.pdf

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  野球場三塁.pdf

 野球場一塁側と三塁側は、一塁側は176本のうち保存は99本、移植は14本、伐採は63本。三塁側は67本のうち保存は35本、移植は2本、伐採は30本。ここでもカイヅカイブキが17本保存される一方で、41本が伐採される。「移植不可」と判定された樹木も多く保存されることになっているなど保存・移植・伐採の基準はまったく分からない。

 整備後は約1.5haの中央広場など新たな植林地となる。

第二球場 保存14本 移植46本 伐採60本 合計120本

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 整備後は新ラグビー場となる第二球場は、樹高が10m超のシイノキ8本など14本が保存されるほか、樹高16mのヒマラヤシダー5本、樹高10m以上のケヤキ12本など60本が伐採される。樹高が3mのモクセイは16本が移植され、移植が難しい5本は伐採される。写真は新ラグビー場完成予想図

建国記念文庫 保存58本 移植50本 伐採41本 合計149本

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  建国記念.pdf

 既存樹120本のうち保存は58本、移植は50本、伐採は41本。貴重樹とされるヒトツバダコ34本のうち5本は伐採される。このほかヤマザクラ12本全て、シイノキ21本のうち11本がそれぞれ伐採される。

軟式野球場 保存381本 移植81本 伐採260本 合計722本

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  軟式西側.pdf

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  軟式野球東側.pdf

 過去35年間に年間6回、少なくとも200回はRBA野球大会の取材で訪れている〝軟式野球の聖地〟が芝生広場やテニスコート場、駐車場に変わるのは何とも残念だが、これも時代の流れか。伐採樹木は260本に上る。

伊藤忠通り 保存0本 移植0本 伐採149本 合計149本

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  伊藤忠.pdf

 伊藤忠商事ビルのエリアは、149本すべてが伐採される。この中にはほとんど樹高10m以上のクスノキ24本も含まれる。その他の樹木の樹高平均は6.5m。

 ビルは地区計画変更により地区面積1.6ha、容積率1,150%、高さ190mのビルに建て替えられるが、都市計画公園外となる。

◇        ◆     ◇

 事業者のPDFによる全木調査データをエクセルに変換し、ようやく記事にまとめることができた。通算すると約2週間、時間にして50時間以上かけた。正確を期すため何度も集計のやり直しを行ったが、間違いもまだかなりあるような気がする。樹木にも読者の皆さんにも謝るほかない。

 樹木は生き物だし、向こう10年もかかるプロジェクトだ。全木調査はエクセルでも公表し、日本イコモスも要求しているように最新のデータを更新すべきだ。そうすれば素人でもいろいろな角度で分析することができる。

 評価したいこともある。事業者は、昨年7月から昨年末までQ&Aの形で375件の質問を受け付け(意見は92件)、一つひとつ答えてきた。月を経るごとに質問、意見は減少している。全て出尽くした感を受ける。

 そこで事業者に提案だ。記者は基本的には再開発に賛成だ。日本イコモスなどが「虚偽の報告」と批判している部分すべてに同意しているわけではない。みどり率を25%から30%へ、オープンスペースは21%から44%へ、樹木は既存の1904本から1998本に増加することを評価したい。

 事業者が公表している伐採予定の556本(全木調査には反映されていない)のうち、伊藤忠の149本、新しい球場やラグビー場建設のために〝支障木〟として伐採せざるを得ない樹木、さらにはみどり環境にそれほど影響を及ぼさない低中木を除けば、樹齢100年超の巨木は200本くらいではないか。

 その大半は軟式野球場に存在する。外周部の巨木はそのまま残し、駐車場とテニスコートを地下にしてはどうか。そうすれば雨が降ろうが雪が降ろうがヤリが降ろうが全天候型だ。グラウンド部分を芝生張りの広場にするのも結構だが、お金持ちが楽しそうにテニスをしているのを横目に眺めるしかない庶民の感情を考えて頂きたい。広いだけの広場は誰も利用しないという調査報告書を読んだことがある。

 施設の地下化の好例もある。三井不動産レジデンシャルの「パークシティ浜田山」も「HARUMI FLAG」も駐車場を地下化した。地上は緑で溢れている。「浜田山」や「HARUMI FLAG」のようになることを〝見える化〟〝見せる化〟の取り組みが必要だ。やろうと思えば容易なはずだ。

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絵画館のヒマラヤシダー

 

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「YASMO武蔵小杉」のFureaoスペース(約40㎡) 

 三井不動産は1月12日、都市部での孤独な子育て(孤育て)を支援する、民間初のママ・パパ用休憩室を併設した一時預かり保育施設の第一号「YASMO武蔵小杉」を1月15日(月)にオープンすると発表した。同社グループの事業提案制度「MAG!C」に採択されたもので、子育てしやすい街づくりを通じてわが国の少子化対策やD&Iの推進に寄与するのが目的。同日、施設のメディア向け内覧会を行った。 

 保育対象は、生後3か月から未就学児で、製作遊びやこだわりの遊具を通じて楽しい時間を提供するとともに、ママ・パパ用休憩室は「Nemuro(ねむろ)」「Komoro(こもろ)」「Hoguso(ほぐそ)」の3種類を用意。部屋数は12部屋。3年間で10店舗の開設が目標という。

 同社グループの事業提案制度「MAG!C」に採択されたもので、提案者は大阪出身の同社ビジネスイノベーション推進部事業グループ・吉田裕太氏(28)と、鹿児島出身の同社ビジネスイノベーション推進部事業グループ・増井友加里氏(38)の二人。

 吉田氏は施設のポイントについて、「都市部では核家族化の進行により、実家の支援を受けられない子育て世帯が増えており、『孤独な子育て(孤育て)』が日本の深刻化する少子化の課題の一つになっている。一方で、乳児を預けることや子供と離れることに抵抗を感じ、一時預かり保育を利用しない人も多い」ことに着目し、「一時預かり保育サービスと休息するための個室を同一店舗内で提供し、子どものすぐそばで安心して自分時間を過ごせること。私自身も子どもが二人おり、コロナの真っ最中には体調を崩したことがある」と語った。

 また、増井氏は「わたしも3人の子どもがおり、同じマンションに住む人たちも子育てと仕事の両立を希望する人が多いのが、事業提案するきっかけとなった」と話した。

 取材に訪れていた女性記者は「わたしも3人子どもを育てた。このようなサービスは理解できる。ありがたい施設」と納得していた。

 施設は、JR・東急線武蔵小杉駅から徒歩1分、川崎市中原区小杉町一丁目に位置。面積は約118㎡。営業時間は9時~17時(不定休)。料金は1,650円/30分。最短30分から最長4時間の利用が可能。公式LINEで予約を受け付け、空きがあれば予約なしでも利用可能。最多で18人の受け入れが可能。2021年に設立された同社が主要株主であるShareTomorrowとともに運営する。

 「MAG!C」は2018年に設けられた制度で、毎年50件くらいの応募があり、吉田氏と増井氏の共同提案は2023年に採択された4件のうちの1件。

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左から「Nemuro(ねむろ)」「Komoro(こもろ)」「Hoguso(ほぐそ)」

◇        ◆     ◇

 記者も二人の子どもがいて、共働きだったので保育園に預けた経験がある。また、女房を若いときに亡くしたので約10年間〝主夫〟をやった。食事は和食も中華もイタリアンもマスターしたが、子育ては失敗した。ハグすることができなかったのがその理由だと気がついたときは遅かった。

 施設を見学して驚いたのは利用料金だった。30分で1,650円、1時間だと3,300円。酒もたばこも不可という。この種のサービスの相場は1時間2,000~3,000円だそうだが、厚労省の最低賃金(東京都)の約3倍だし、蔦屋のシェアラウンジや、最近覚えた〝せんべろ〟の2倍だ。

 記者も自らの家事労働・育児時間を賃金に換算したら月額30万円とはじいたことがある。住宅価格の高騰はさておき、人の命を預かるのだから分からないわけではないが、もっと安価で利用できるよう自治体がサポートし、社会全体で子どもを育てる環境を整備することが必要だ。「孤育て」なる言葉を初めて聞いた。

 もう一つ気になったのは、この施設は「認可保育施設」ではなく、「認可外保育施設」であることだ。全国で約20万人が利用しているという。

 「認可(認定)」があるのだから「認可外」(無認可)もあるのは当然かもしれないが、「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」「後期高齢者」(記者は自ら〝光輝〟高齢者と呼ぶことにした)と同じだ。どうして法律用語は貧困なのか。無認可保育園よりはましかもしれないが、もっと気の利いた言葉はないのか。

 ともあれ、吉田氏と増井氏には無理しないで頑張っていただきたい。多様な保育ニーズに応えられるようにしないといけないことを学んだ。

 「MAG!C」も応援したい。同社の植田俊社長のモットーである「産業デベロッパー目指し、日々妄想」はとてつもないことをしでかすかもしれない。

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休憩室スペース

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休憩室

いまどきの30代夫 完璧に家事こなすのは3割 旭化成ホームズが調査(2014/7/12)
 

 

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