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久光氏 

 6月1日の誕生日で78歳となり、起業して19年を迎えたマンション業界の重鎮、トータルブレイン・久光龍彦氏に最近のマンション市場を取り巻く環境、今後の課題などについて話を聞いた。以下、その概略。

◇       ◆     ◇

①郊外は土地値も下がりマンション売値も下がる

 郊外マンションは値下がりする。坪220~230万円⇒坪170~180万円。大手は資金回収に走り、これによる周辺への影響あり。全体として値下げして売れるようになるから、供給は増える

  1)中小デベロッパーは売れにくくなる。値下げする・原資がない

  2)リノベ中古マンションが売れなくなる

  3)戸建ても価格差がなくなり売れなくなる

②建築費がさらに上がる⇒安い建設会社を探すことが、好立地物件を探すのと同じくらい重要

  1)職人のコストアップ(社会保険・土日休みによる日給アップ)

  2)資材が上がる

  3)ゼネコンは益々強気(仕事は当分の間いくらでもある)

  4)比較的マンション施工専業ゼネコンは安い

③消費税の影響が今年の秋から強く出てくる

 販売は消費税トーク一辺倒になる。

 売値の影響度 4500万円/戸として60万円前後 3500万円/戸として45万円前後

④田の字の商品企画は売れない

 商品企画の考えが変わる。今までのようにローコスト一辺倒(田の字プラン)から、コストアップしてもワイドスパンを中心に商品の質で勝負。

  1)好立地(5~8分以内)

  2)宅配ロッカーの採用

⑤今までの値付けソフトは通用しない。工夫が必要

  1)上下階格差

  2)方位の格差

  3)角部屋の付加価値とは

  4)ルーフバルコニーの付加価値とは

  5)売りにくいところから先に売っていく

⑥今年は販売手法が変る

  1)シングル在庫がなかなか売れない

  2)従来ユニットごとに付加価値と考えられたことが評価されなくなってきている

  3)モデルルームの設営にあたり専門家を入れて(経費をかけて)ディスプレイする

  4)プレミア住戸仕様と売り方の工夫

⑦今年も狙うべきターゲットは元気印

  1)パワーカップル

   共働き夫婦 年収1400万円以上25万世帯

  2)アッパーサラリーマン

  3)男女シングル

  4)アクティブシニア

  5)富裕層

⑧土地探しの絶対外せないポイント(沿線力・駅力・駅近・需給バランス)

  1)実需にも仮需にも共通する立地

  2)料理の切り口がたくさんある立地

  3)土地の値下がりが少ないと思われる立地

  4)建物比率が高いといずれ償却される、土地代が上がらないキャピタルロスが出る土地   はダメ

⑨プロジェクトと資金の融資が厳しくなる

  1)完成までに80%売れていないと次のプロジェクト資金が出ない

  2)掛け目がきつくなっている

  3)審査に時間がかかる

⑩住宅ローンの審査が厳しくなる

  1)銀行は商売としてもうからない

  2)アメリカ・欧州の金利アップに影響される

⑪JV事業は慎重に

 市場の先行きが不透明になってくると、JV事業は厳しい取り組みとなる。今後しばらくは自らの意思・方針で事業進出できる単独事業が一番

⑫働き方改革への対応課題

 特に販売訪問や開発部門にとって難解なテーマとなる

◇       ◆     ◇

 久光氏をご存じない業界の方は〝モグリ〟。ご存じない方がいらっしゃったら、記者の過去の記事を読んでいただきたい。

 記者は話されたすべてに賛意・同意を示すわけではない。とくに駅近などの好立地物件の取得に注力すべき点については、分からないではないが、そのような土地は競争も激しく、結果、高価格となり、資金力が潤沢な大手が独占することになる。記者は中小も応援したいから、多少立地が劣っても商品企画次第で売れると確信している。

 また、設備仕様はかなり落ちてきているのは事実だが、マンション価格もそれほど下がらないと思う。最低で坪180万円ではないか。これ以上下げたら間違いなく劣悪な物件になる。

 それでも、久光氏の指摘は鋭い。従来の値付けソフトが通用しなくなり、販売手法も変えないといけないという意見はその通りだと思う。ユーザーのニーズは多様化・個別化しており、それに応える商品企画にしないといけない。いまだに田の字プランを中心に据えているデベロッパーが理解できない。

健康の秘訣は趣味と同じ

9時には布団に〝モグリ〟込む

 久光氏の趣味はスキューバダイビング(平たく言えば〝モグリ〟)で、その経歴といえばマンションの仕入れから-商品企画-建設-販売-管理まで経営トップを務めた、それこそ川上から川下まで知悉しているという意味では、業界広しと言えども久光氏以外なく、さらにまた、あの12年前のスマトラ沖地震では普段は自分一人でプーケット沖にモグリに行くのに、その日だけはたまたま奥さんが同船したために津波に飲み込まれることなく、財布も含め全て海の藻屑になったにもかかわらず、安っぽいビーチサンダル履きで生還できたという数奇な経験の持ち主という意味で、久光氏を知らない業界人は〝モグリ〟とこれまで書いた。

 その久光氏に長生き、健康の秘訣を聞いたら、やっぱり〝モグリ〟だった。久光氏は次のように語った。

 「デベロッパーの事業をやらなかったのは正解だった。今頃はとっくに消えていた。健康の秘訣? 早寝早起きに限る。会食の開始時間は5時か5時半。7時から7時30分には終える。家に帰って寝るのは8時から8時半。

 起きるのは4時45分。それから新聞を読んで、会社に出るのは6時40分。これだと1日が2日分になる。30分が1時間に相当する」

 つまり、久光氏は8時30分から9時には布団に〝モグリ〟込むということだ。なるほど。

「お蔵入りしたコンバスが亡霊のようによみがえった」 トータルブレイン久光社長(2017/6/7)

「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長(2017/5/30)

 

 

 

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「シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート」完成予想図

 住友不動産は6月22日、先に販売開始した「シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート」(569戸)の記者見学会を行った。先行して販売している隣接地の「シティテラス八千代緑が丘ステーションコート」(437戸)と合わせ戸数は1,006戸。先行物件も残りわずかで、〝郊外不振〟を吹っ飛ばす勢いだ。

 物件は、東京メトロ東西線直通・東葉高速鉄道八千代緑が丘駅から徒歩3分、八千代市緑が丘西一丁目に位置するⅠ敷地15階建て359戸とⅡ敷地14階建て210戸。専有面積はⅠ敷地が68.06~89.62㎡、Ⅱ敷地が74.91~90.97㎡。第1期(31戸)の価格は2,900万円台~4,000万円台(最多価格帯3,600万円台、3,800万円台、3,900万円台)、坪単価180万円。竣工予定はI敷地が平成31年9月中旬、II敷地は未定。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 現地は、開発面積約140haの西八千代北部特定土地区画整理事業が進行中で、駅前にはイオンモール八千代緑が丘のほかマンション、都市公園プラザ、ホテルなどが建ち並び、街らしい雰囲気が整いつつある。

 建物は、2017年に竣工した隣接地の「シティテラス八千代緑が丘ステーションコート」(437戸)と一体となって建設されるもので、双方を合わせると敷地面積は約26,000㎡。「ブリーズコート」は6棟構成で、空地率は約64%。住棟は南西・南東向きが中心。住戸内の天井高は最大2,580ミリ。

 ニュース・リリースの資料によると、双方の契約者の現居住地は八千代市が37.0%、隣接市が26.8%、千葉県その他が17.3%、東京都が14.6%、居住形態は賃貸が73.3%、職業は会社員などが64.4%、勤務地は都内が54.6%、入居人数は2人が47.4%、3人が29.6%、年齢は20歳代が16.3%、30歳代が42.2%、40歳代が20.7%。

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◇       ◆     ◇

 その前の京王相模原線若葉台駅圏の戸建ての取材が終わってから1時間43分かけて駆け付けた。新幹線にすれば東京-名古屋と一緒だ。見学会は半分以上終わっていた。〝ずいぶん遠い。こんなところで1,000戸以上供給するなんて狂気の沙汰〟と口走りそうな記者の機先を制し、わが西武の抑えの不甲斐なさに助けられ一つ勝ちを拾っただけで大満足すべきDeNAファンの同業が記者の傷口に塩を擦り込み、揶揄するように「多摩センターだって新宿から42分。ここは大手町から38分」といけしゃあしゃあと先制攻撃を仕掛けてきた。

 わが多摩センターと八千代市をどして同列に扱うのかかと一喝しようとも思ったが、さすがに大人げない言動は慎むべきと自制し、都心の通勤便だけを言われたら返す言葉がないので黙るしかなかった。この際、どっちが勝ちか負けかは追究しないことに決めた。多摩センターの〝駅近〟だったら坪単価は250万円をくだらない。ここは180万円だ。

 驚いたのは、売れ行きだ。2015年秋から販売を開始した全437戸の「ステーションコート」は残り19戸だという。2年半で400戸以上という計算になる。この数字は驚異的だ。

 記者は2011年秋、三井不動産レジデンシャルが分譲した「パークタワー八千代緑が丘」(291戸)を取材したことがある。坪単価は160万円だった。当初は順調なスタートを切ったが、完売までは4年くらいかかったのではないか。

 住友の物件は戸数が多く、価格が高いにも関わらず、販売スピードは速い。喧伝される〝郊外不振〟を吹き飛ばす勢いに〝座布団3枚〟だ。なに? それでも足りない? ええっい、全部持ってけ!

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モデルルーム

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中庭(ステーションコート)

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中庭(ステーションコート)

三井不動産レジデンシャル「パークタワー八千代緑が丘」に注目(2011/10/31)

 

 

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「プラウドタワー東池袋」完成予想図

 野村不動産が分譲中の「プラウドタワー東池袋」のモデルルームを見学した。さすが〝プラウド〟。それまでの取材で疲れ果てていたが、疲れを吹き飛ばすほどのいい物件だ。販売担当のマンションギャラリーサブチーフ・芦田和輝氏(27)の完璧と思われる説明に舌を巻くしかなかった。

 物件は、東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩5分・丸ノ内線新大塚駅から徒歩9分、豊島区東池袋五丁目に位置する20階建て全132戸(非分譲22戸含む)。専有面積は60.00~83.48㎡、坪単価は420万円。竣工予定は2019年2月中旬。施工は前田建設工業。

 4月末から販売を開始し、これまで約7割を供給するほどの好調ぶりだ。

 現地は、都の「木密地域不燃化10年プロジェクト・不燃化特区制度先行実施地区」のコア事業の指定を受け、「東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業」として建設されるもの。

 約143haにも及ぶ池袋駅周辺エリアは、2015年5月に移転した豊島区新庁舎をはじめ、造幣局跡地利用計画、Hareza池袋、東池袋四丁目2番街区、西武鉄道本社ビル建て替え、池袋駅西口地区などの再開発が予定されており、しかも、他の新宿、渋谷、品川、東京、虎ノ門などの都心部の再開発は業務・商業が中心であるのに対し、住居系中心で進められることになっているのが特徴。

 建物は、区の再開発方針の11項目をクリアしたことから容積率と高さ規制の緩和を受けており、制振構造を採用。内廊下設計、ワイドスパン、階高3.3mのリビング天井高2.6m、角住戸比率85%などを実現。

 販売担当の芦田氏は、「池袋初の〝プラウド〟。アクセスがよく、2017年度の山手線内側の4LDKは供給ゼロという希少性の高い物件。敷地南側の文京区エリアは低層の住宅街が広がっており、眺望もいいことからファミリーに高く評価されている。天井高も2.6m確保した。敷地西側の都電荒川線も綺麗に整備される」などと話した。

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 坪単価は450万円くらいに高値追及するかと思ったが、420万円というのは街の将来性を考慮すれば割安だと感じた。70㎡台中心の住戸プランもいい。76㎡の東南向きのスパンは10m以上ある。バルコニーも都心型には珍しい奥行き2m確保している。

◇       ◆     ◇

 言うまでもなく物件のレベルが高いからだが、芦田氏の自信たっぷりの、かといって嘘は一つもない過不足ない説明に恐れ入った。歳を聞いたらまだ27歳だった。だいたいがマンションの販売担当者はパンフレットに記載されていること以上のことは話せない人が多いが、芦田氏は記者の聞きたいことを先読みして、ぺらぺらと話した。

 もともと同社の営業マンのレベルの高さは分かっているが、ひょっとしたら芦田氏はその歳にして堂々のエースか4番打者の位置を占めているのではないか。またどこかの販売現場で逢えるかもしれない。楽しみだ。

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都電荒川線も整備される(販売事務所 模型)

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「Brillia City 三鷹」完成予想図

 東京建物と住友商事のJVマンション「Brillia City 三鷹」のモデルルームを見学した。期間70年の定期借地権付きの全436戸の大規模物件で、坪単価は215万円。第1期3次まで100戸強が成約・申し込み済み。順調なスタートを切った。

 物件は、JR三鷹駅バス10分バス停下車徒歩2分、練馬区関町南四丁目に位置する10階建て全436戸。専有面積は62.88~92.14㎡(平均74㎡)、坪単価は215万円。竣工予定は2019年10月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 現地アドレスは、「練馬区」で、敷地の道路を挟んだ南側は武蔵野市。三鷹駅からだとバス便だが、道路はほぼ一直線。バスレーン、自転車専用レーンも整備されており、街路樹の桜並木が美しい。建物は南向きの4棟構成。大型商業施設が隣接し、保育所施設も併設される予定。販売担当の東京建物住宅営業第一部営業グループ課長・小保内剛氏は、「ハイブリッドマンション。環境・利便性は武蔵野市、価格は練馬区」と、物件特性を端的に表現した。

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「コミュニケーションスペース」

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 見学するまでは、三鷹駅が最寄り駅のNTT社宅跡地で、単価が215万円の定借マンションという予備知識しかなかったが、武蔵野市役所など公共施設が近くにあり、環境がよく、住むには「武蔵野市」の最高の立地だと思っていた。アドレスが「練馬区」だとは全然知らなかった。

 小保内氏の「ハイブリッドマンション。環境は武蔵野、価格は練馬」は言いえて妙。もう笑うしかなかった。

 そして、この物件特性を端的に表現したホームドラマ仕立ての読売広告社による約10分のシアターには舌を巻いた。

 「人が主役であるために…建物に物語を…」などと、出だしは手垢にまみれた耳にするだけで恥ずかしくなるようなコピーではあったが、「15年前、妻と喧嘩した…ささいなことだった…」にはドキリとさせられた。〝俺のことではないか〟と。この後は、都心のマンションは思惑とは真逆の仕事と家族の時間の両立が難しいという意想外の展開となり、最後はハッピーエンドとなった。

 この際、「目黒」「代々木」「一番町」とどう整合するのかという難しい問題には踏み込まない。率直に評価しよう。かつて総合地所は〝泣かせるシアター〟を放映したことがあるが、今回はそれに勝るとも劣らない出来栄えだった。「妻」を「恋人」に 「喧嘩」を「破綻」「死別」にそれぞれ置き換えれば、コンパクトにもそのまま流用できるかもしれない。

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モデルルーム

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 全体として環境・利便性は武蔵野市、価格は練馬区」の特徴がよく表現されている。販売事務所・モデルルームには本物の観葉植物が多用されていたのも正解だと思う。

 モデルルームはワイドスパンの92㎡と75㎡の標準的な2タイプ。75㎡の約2畳大の多目的に利用できるセレクトプランの「コミュニケーションスペース」の提案がいい。

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「ルピアコート浅草」完成予想図

 ポラスグループの中央住宅が分譲中のマンション「ルピアコート浅草」のモデルルームを見学した。販売開始1カ月で販売戸数の約半分が成約・成約見込みとなるなど好調。同社オリジナルのピアキッチンを全戸数の4分の3に採用し、コンパクトが多く、ファミリーが少ない周辺の市場性に着目した商品企画が的中した。

 物件は、東京スカイツリーライン浅草駅から徒歩15分、東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩17分、台東区東浅草1丁目に位置する13階建て全48戸((非分譲1戸含む)。第2期(9戸)の専有面積は54.35~70.27㎡、価格は3,700万円台~5,900万円台、坪単価246万円。入居予定は2019年3月中旬。施工は川口土木建築工業。販売代理は東京中央建物。

 5月20日から契約を開始し、これまでに第1期1次15戸を即日完売するなど19戸が成約・申し込み済み。今週末に第2期(9戸)の販売を開始する。

 周辺には新築が少なく、中古も1Lや2Lが多く、ファミリータイプが少ないことから、角住戸タイプの3LDKの比率を約50%にし、多様な使い方ができる同社オリジナルのピアキッチンの設置比率を4分の3(4スパンのうち3スパン)に高め、全戸に大容量キッチン収納を採用したことなどが評価された。1Lや2Lからの買換えが目立つことからも企画がヒットしたことをうかがわせる。

 販売担当の東京中央建物営業部部長・小林潔氏は「浅草のポラスさんの物件を販売するのは2件目。女性目線の企画がいいので、売りやすい」と語った。

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ピアキッチン

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 同社が都内のマンションではじめてピアキッチンを採用したのは2012年だった。記者はその時の記事で、「実用新案取得済みの同社オリジナルの対面キッチンのカウンターとダイニングテーブルの機能をあわせ持つ「ピアキッチン」を標準装備した都内初の物件」「なかなかのスグレモノ」と書いた。

 ピアキッチンのよさは単に機能的で美しいということだけではなく、大型のキッチン収納を標準装備(オプションなら約80万円)し、これは強調したいのだが、排水に工夫を凝らすことで天井高はリビングと同じ高さにできることだ。限られたスペースを有効に生かせるメリットもある。

 以来、10物件はピアキッチン付きマンションを見学したか。しかし、設置比率をここまで高めた物件はなかった。その理由は知らないが、狭いスパンでは採用しづらいこと、コストが嵩むこと、独立型キッチンを望むお客さんも少なくないことなどだろう。

 課題を指摘すれば、その良さをモデルルームでは訴求できているが、パンフレット、チラシなどでは動線のよさを含め訴えきれていないことだ。今回の物件でも、他にカラーページはあるが、ペラ1枚にまとめたモデルルーム22の特長のうちピアキッチンの扱いは他のアイテムとほぼ同じ扱いだ。

 もっと言えば、その22の特長のうち出窓付き、共用廊下側のアウトフレーム、「とどかない錠」、引き戸の開閉双方のソフトクローズ採用、マイギャラリー、巾木の角を丸める-などは他社にはあまりないもので、これらももっと強調すべきだ。

 他社物件でも標準装備しているアイテムとピアキッチンなどの「スグレモノ」を同列に扱ったら、モデルルーム見学者など知らない人はなにが優れているのか全然判断できないではないか。

 同社にはさらに厳しいことをいう。販売事務所・モデルルームのフェイクの観葉植物だ。「フェイクの観葉植物はやめよ」と記者はここ最近口を酸っぱくして書いているが、今回の物件はかなり本物を採用している。これはこれで結構なのだが、モデルルームの主寝室にはお寺の祭壇の飾り物じゃあるまいし、100円ショップで買ってきたような造花が置かれていた。

 ピアキッチンとセットの80万円もする大型収納を気前よく標準装備する同社がどうしてこのようなまがいものの花を、しかも主寝室に置くのか。これはインテリアコーディネーターの質だけの問題ではない。

 さらにもう一つ。住宅情報誌の企画による物件〝宣伝用〟のいわゆるパブリシティが接客テーブルの上に置かれていた。〝著名評論家〟の顔写真が掲載されていた。

 二流三流会社のパブリシティには効果があるかもしれないが、同社のような優れたマンション商品企画にはそぐわない(記者はこの種のパブリシティは読まないが、読むと嫌悪するのは間違いない)。

 同社には、やや薹が立ったかもしれないが、商品企画に熱心なマンションディビジョンのNさんや広報のKさんのようなかわいい(この「かわいい」という言葉は、記者がいうからセクハラにはならない。お二人は絶対不愉快な思いはしないはずだ。「薹が立った」というのも極めて正確な表現)女性がいるではないか。二人で対談させ、女性目線の商品企画を語らせたら、一幅の絵になり、タダで(は失礼か)消費者の心に響く効果てきめんのアピールができるはずだ。一考を。

 これはすべてのデベロッパーにいえることだ。〝評論家〟なるものがどのような人たちか消費者はみんな知っている。そんな人たちに頼るより、自前の女性を起用したほうが安上がり(これは言い過ぎ)で消費者の心をとらえる。全135戸を約半年で完売した東京建物「Brillia大山Park Front」を研究すべきだ。タカラレーベンのレディ・ガガは同社のイメージを一変させた。明和地所は女性建築担当が頑張っている。

 そんな素養が全くないからでもあるが、記者は死んでも〝評論家〟なんぞにならない。RBA野球記事とともにマンションの商品企画の記事を死ぬまでフリーの立場で書き続けるつもりだ。嘘は書かない。記事はタダ。一人でも多くのマンション商品企画・販売担当の方々に読んでいただきたい。

 蛇足。東建、東建不販、ポラス、タカラレーベン、明和に共通するのは野球が弱いこと(東建、ポラスは中の上だが)。情けない。それでも男か。会社が悪いのか。

ポラス中央住宅「ライフピア新宿中落合」初の都内で「ピアキッチン」搭載(2012/10/9)

ポラス 浅草のど真ん中の「浅草二丁目」で単価割安の「ライフピア浅草」(2011/5/24)

東京建物「Bloomoi(ブルーモワ)」が企画 機能的で美しい 公園隣接の「大山」(2017/9/25)

 

 

 

 

 

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「キラリスナ」の袖壁・庇・通風窓

 総合地所(事業比率60%)は6月12日、NIPPO(同20%)と名鉄不動産(同20%)とのJVマンション「TOKYOキラリスナPROJECT」の記者見学会を行った。アルコーブの代わりに袖壁・庇・通風窓を設けているのが特徴で、そのアイデアに唸ってしまった。販売事務所には両性具有の紅白のランの花が飾ってあったのにも驚愕した。

 物件は、東京メトロ東西線南砂町駅から徒歩13分、江東区東砂8丁目に位置する15階建て267戸。専有面積は65.04~80.00㎡、予定価格は3,900万円台~6,800万円台、坪単価は約250万円。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。第1期は6月下旬で約70戸を供給する。

 現地は準工エリアだが、マンション化が進み、嫌悪施設は見当たらなかった。敷地東側のスーパー堤防までは徒歩2~3分。小学校は徒歩2分、中学校は徒歩3分。建物内に認可保育園を併設する。

 建物は、荒川の花火大会が眺望できる(5層以上か)東向きと南向き中心の3棟構成。共用施設には大型ランドリーも設置する。専有部はディスポーザー、食洗機、2.1メートルハイサッシなど。

 記者発表会で同社分譲事業部営業二部営業課主事・石井大祐氏は「都心への利便性に加え、共用施設・専有部分の〝時短〟に結びつく商品企画にこだわった自信作」とアピールした。

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「TOKYOキラリスナPROJECT」完成予想図

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 坪単価250万円は相場か。高くもないが安くもない。グロス価格を抑えるため戸当たり面積を圧縮(69㎡の3LDKが中心)する一方で、間口を6メートル確保し、アルコーブの代わりに袖壁・庇・通風窓を設けているのが特徴。モデルルームも69㎡のタイプ。

 これには正直驚いた。この種のアイデアを見たことがない。庇付きというのはおそらく業界初だろう。袖壁の奥行きは約50センチ。これ以上奥行きをとると外廊下に影響するためか。お客さんの評価も高いという。

 記者は、そこまでやるなら室外機の上には花台を設けるとか、室外機に面する居室は腰窓にするなどしたほうがよかったと思った。

 玄関を入ってすぐにメニュープランの「グリーンパティオ」を提案しているのもいい。半畳ほどの広さだが、フェイクでなく本物の観葉植物を展示していた。ここにフェイクの観葉植物を置いたら、間違いなくお客さんからは総スカンを食らったはずだ。他の専有部にも本物の観葉植物が配されていた。記者の主張が少しは理解されたかと勝手な解釈をした。

 モデルルームを見学しながら競合物件のことを考えた。販売担当は「当社も売主になっている『ALOHA(アロハ)』と競合している。部署は隣りあわせ。お互いが相乗効果となり成功するように願っている」と話した。

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モデルルーム(観葉植物はほとんどが本物だった)

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ガーデニアラウンジ

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 どうでもいいことを一つ。販売事務所に入ってすぐ、立派な3鉢のランが目に飛び込んできた。記者の目を射たのはランの花そのものではない。そのうちの1つの鉢は3本立てだが、何と花は赤と白に分かれていたからだ。フェイクかと思って触ってみたが本物だった。訳知り顔が気になったが、受付の女性も「こんなの見たことない」と、驚きを隠さなかった。

 もう取材どころでなくなった。紅白に二分されたランの花などどこかで見たような気もするが、突然変異か新種か、ノーベル賞ものか、ずっと考えた。

 帰りしな、失礼だとは思ったが、スカートの裾をめくるように重なっている花の後ろ側と花弁の裏をのぞいた。瞬時に理解した。地は白。花弁の表がスプレーか何かで着色(今回は赤)されていたのは間違いない。

 これにはもう絶句。称賛もした。本物とフェイクを越えたと。しかし、すぐばれるような嘘はつかないほうがいい。記者は裏の裏をかくのが仕事だ。記者のような助平もいることを念頭に入れるべきだった。

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紅白に2分されたランの花

アロハ! 商業・価格・平置き 3点セット奏功 1期162戸即完 新日鉄興和「葛西」(2018/4/10)

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「ルピアグランデ浦和美園」完成予想図

 ポラスグループの中央住宅は6月1日、グループ最大級のマンション「ルピアグランデ浦和美園」の第1期分譲(50戸)を6月16日(土)から販売開始すると発表した。坪単価は150万円。同社オリジナルの「ピアキッチン」付きを約4割に高め、食洗機、ディスポーザー、バックカウンター・吊戸棚、98センチの廊下幅、複層ガラスなどを標準装備。この単価でこれほどの設備仕様を確保しているマンションはまずない。それをいかに訴えられるかがカギを握る。

 物件は、埼玉高速鉄道線浦和美園駅から徒歩8分、さいたま市岩槻区美園東一丁目に位置する15階建て全340戸。専有面積は65.41~83.39㎡、第1期(50戸)の予定価格は2,400万円台~4,500万円台、坪単価は150万円。竣工予定は2020年1月下旬。施工・設計は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地は、総開発面積約313ヘクタールの「みそのウイングシティ」の一角で、徒歩1分には約14,000㎡の浦和美園4丁目公園が完成し、竣工までに保育園や学童クラブ、クリニック、小学校などが開設される。

 建物は、ほぼ南東向きで、平置駐車場が238台、サイクルポートが340区画、近隣住民にも開放する「パームガーデン」、街とつながる「エントランスガーデン」などを整備する。敷地面積12,000㎡には約13,000本の樹木を植栽する。

 住戸プランは、「ピアキッチン」付きを132戸(全体の約38%)採用。廊下幅約98センチを確保し、ダウンライトを天井の中央ではなく一方の壁側に寄せることで〝ギャラリー〟空間を演出。ディスポーザーもシンクの端に寄せることで、シンク下の収納スペースが有効に使えるようにしている。このほか、食洗機、「かくれんBOX」などを標準装備、埼玉県初のセキュリティシステム「ワイレモ」を導入している。

 見学会に臨んだ同社取締役事業部長・金児正治氏は「12年前、イオンモールがオープンしたのと同時期に172棟の戸建てを分譲したエリア。ここで340戸の大規模マンションを分譲することになって感慨深い。街のランドマークになるよう隣接する戸建て街区との複合開発として位置づけた。2018年3月期のマンション事業の売上高は102億円となり、初めて100億円を突破した。近くシニア向け、コンパクト、つなぐをコンセプトにした新しいファミリー向けも投入し、果敢にチャレンジしていく」などと語った。

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「パームガーデン」

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 この日は、梅雨入りはまだなのに初夏のように暑かったのだが、金児氏と同社マインドスクェア事業部 マンションディビジョン部長・中島教介氏、販売代理の長谷工アーベストの担当者がそれぞれ熱く語ったのに圧倒された。

 中でも、中島氏がピアキッチンについて触れ、「これまで分譲したマンションのピアキッチン付きは人気が高く、早く売れてしまい、購入できなかったお客さん数十組から『次のピアキッチン付きを待つわ』と仰っていただいている」と語ったことに驚愕もし、さもありなんとも思った。

 ピアキッチンは同社が初採用したときから称賛し、折に触れ記事にもしてきた。ショートスパンでは採用が難しいからだろうが、これまでの供給物件では3割くらいしか設置されてこなかったのではないか。

 今回は一挙に4割近くに増やす。大正解だ。見出しにはあみんさんの「待つわ」を取った。ただ、いつまでも待たされたらそっぽを向かれるぞ!

 キッチンの天井高もしかり。一般的なマンションのキッチンの天井高は2200ミリくらいしかない。床下に通す排水管は勾配を持たせなければならないからだが、ピアキッチン付きはリビング天井高(今回は2500ミリ)と同じ高さで設置できるのが特徴だ。その他の商品企画レベルも高い。

 しかし、その一方で注文もある。記者は同社のマンションを8割くらいは見学している。最近では「新小岩」「西大宮」「妙典」などだが、きめの細かい商品企画は舌を巻くほどだ。

 一つだけ例を示す。引き戸がいいのは言うまでもなく、最近はどこもソフトクローズ機能付きにしている。これをいち早く採用したのが同社だし、開閉両方をソフトクローズ式にしたのは同社が初めてではなかったかと記憶している。今回の物件はそうではなかった。収納もこれまでの物件と比べ仕上げレベルは明らかに劣る。

 坪150万円だからと、他社と同じだからと納得してしまう部分もあるが、同社の戸建てと同様、マンションでも圧倒的な差別化を図り、今後参入する事業でも存在感を示そうとするのであれば、利益率を落としてでも仕様レベルを上げるべきだ。外観も、大規模マンションは分棟はともかく分節手法を用いたデザインにすべきというのが記者の持論だ。

 さらに言えば、商品企画レベルの高さをパンフレットやホームページでは訴え切れていないと思う。それしかないのならともかく、価格の優位性だけでは訴求力は弱い。

 ついでに、同業の記者にも一言。その商品が優れているか劣っているのか、判断するにはたくさん商品をみないと分からない。ハウスメーカーの記者はデベロッパーのマンションをほとんど見ないのではないか。

 見る目を養わないと、いつまでたってもニュース・リリースを引き写すことしかできない。リライターに成り下がっていいのか。

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ピアキッチン

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ディスポーザーの位置に注目

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 産休・育休から復帰したわが娘のようなマンションディビジョン部の西牟田奈津子氏に約1年ぶりにお会いし、二人の初々しい新入社員を紹介され舞い上がった。もう10年くらい前か、西牟田氏が商品企画開発に熱心だったので、当時、業界の最先端を走っていた大京に頼んで、あるマンションのモデルルームを一緒に見にいったことがある。いまは完全に立場が逆転した。教わるのは記者だ。

 もう一つ。帰りの電車でも同社のこれまた育休明けのかわいい神田氏と話すことができたのが何よりうれしかった。阿波踊りより一緒に酒を飲みたい。

 販売事務所の入口で、サッカーワールドカップ日本代表に選ばれた浦和レッズの槙野選手の等身大に近いボードに接することができたのは、フェイクの観葉植物を見たのと同程度の印象しか受けなかった。

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左端が新入社員の塚本雅美氏と、右端が川尻裕貴氏(左から2人目が槙野選手)

 

 

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「SHINTO CITY(シント シティ)」

 東京建物、住友不動産、野村不動産、近鉄不動産、住友商事、東急不動産は531日、さいたま市新都心エリアで埼玉県最大級の総戸数約1,400戸の分譲マンション「SHINTO CITY(シント シティ)」の開発に着手したと発表した。2018 年秋にモデルルームをオープンする予定。

埼玉県内で駅徒歩5 分以内かつ1,000 戸以上の物件は22 年ぶりの供給で、約2,880 ㎡の緑地空間やオープンスペースを確保し、居住者のコミュニティを支援する。開発に当たって、共用施設は1 万人以上の生活者を対象に実施した「幸せに関するアンケート」に基づく意見をもとに商品・ソフトサービスをHITOTOWAと提携して提案する。

物件は、JR京浜東北線・東北本線(宇都宮線)・高崎線さいたま新都心駅から徒歩5分の都市計画事業北袋町一丁目土地区画整理事業施工地区7 街区に位置する総開発面積26,000 ㎡超の15 階建て約1,400戸。第I・第II街区は約1,000戸で、専有面積は66.40 ㎡~92.15 ㎡。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は第I街区が202012月下旬、第II街区が202112月中旬。

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まだ先の話だが、果たして単価はいくらになるか。坪単価230万円くらいだったらよく売れると見たが、そこまでは安くないはずだ。坪250万円はないのではないか。

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「プラウドタワー川口」完成予想図

 さすがプラウド-野村不動産が先月から分譲を開始した「プラウドタワー川口」を見学した。川口駅西口の環境が整ったエリアの一角に位置し、川口市初の免震×長期優良で、第1期1次の100戸がほぼ完売し、引き続き第1期2次18戸が今週末に追加販売される。坪単価は市最高峰の290万円。

 物件は、JR京浜東北線川口駅から徒歩4分、川口市飯塚一丁目の商業地域に位置する21階建て全200戸。専有面積は57.48~81.55㎡。坪単価は290万円。竣工予定は2020年1月上旬。施工は三井住友建設。設計・監理はジーエー建築設計室。

 現地は、再開発によって街並みが整備された駅西口の商業地域のはずれ。川口総合文化センターと約3万㎡の川口西公園に隣接。再開発が進行中でデパートなど商業施設が集積する駅東口とはぺディストリアンデッキで結ばれている。現地の道路を挟んだ南側は準工地域だが、嫌悪施設はほとんどなく、50mの高さ規制(商業地は100m)も敷かれていることから、将来にわたって日照、眺望などが担保されている。

 川口駅圏のタワーマンションとしては16棟目(東口が10棟、西口が6棟)。免震マンションは川口駅圏で2棟目(もう1棟は東口の大成有楽不動産の物件)、長期優良住宅認定は、埼玉県で4棟目(他は同社の「大宮」「武蔵浦和」と三井不動産レジデンシャル「三郷中央」)。免震×長期優良は川口市初。

 建物はL字型で、南向きが約70%、東向きが約30%。1階部分に地域貢献施設(認可外保育施設)、コミュニティパークなどが整備される。住戸プラン・商品企画は、トータルで1万件を越えるセレクトシステムを採用しているのが特徴。例えば、使い勝手重視のシステムウォール吊戸棚、収納重視の4ドア吊戸棚、開放感重視の背面上部吊戸棚がセレクトでき、食洗機の代わりに収納を増やすことが可能。キッチン天板も天然御影石と人造大理石(天板+側面)が選べる。ディスポーザー、ミストサウナ、マルチストレージなどが標準装備。

 販売を担当するマンションギャラリーのチーフ・平野拓也氏は、「西口のタワーは10年ぶり。申込者の4割が市街で、うち23区が3割。広域から集客できており、一挙に100戸を供給するのは埼玉県では久々ではないか」と話している。

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エントランス

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 熟知とまではいかないが、川口市内のマンションは100件は見学しているはずだ。主だった物件は全て網羅している。

 今回のシアターを見てもう笑うしかなかった。これほど過不足なく物件特性を8分間の間に表現しきった物件はあまりないはずだ。〝二者択一は終わりにしよう〟-商品企画担当の皆さんはこんなコンセプトを打ち出せるか。

 ナレーションは他と同じ、手垢にまみれた歯が浮くような言葉に満ちていたが、立地・物件特性に嘘は一つもなかった。過去25年間で免震×長期優良は24件しかなく、しかも、そのほとんどは中央線より南側で、それより北はこの物件だけと強調するあたりはさすがというべきか。シアターを制作した読売広告社ともども称賛に値する。

 モデルルームもよく出来ている。引き戸を多用しているのもそうだが、携帯電話やスマートスピーカーなどの充電ができるカウンター付き収納が標準装備されていた。

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様々な機器の充電ができる収納

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 坪単価はひょっとしたら川口駅圏の過去最高値285万円を突破し、300万円台の大台に乗るのではないかかと思ったが、平野氏はあのジャパネットたかた高田明会長のような甲高い声ではないが、自信たっぷりに「290万円です」と答えた。もちろん市内の高値更新だ。(数年後には駅東口の同社の再開発マンションが300万円を突破かるのは間違いないが)

 平野氏はまた「社内では安すぎたのではないかという声が上がっています」とも話したが、高値追究しなかったのは正解だと思う。腹八分というではないか。残りの2分はお客さんが「安く買ってよかった」と満足するようにしたほうが後々の効果となって返ってくるはずだ。

 それにしても、あの坪単価265万円だった「プラウド赤羽」が中古で坪単価400万円に跳ね上がっているとは…。

 記者は都民で、荒川を越えて埼玉県や千葉県民になろうとは思わないが、川一つ隔てるだけでこんなに単価が違う。平野氏は「川口は〝埼玉の武蔵小杉〟と言われています」と言ったが、誰がそんなことを言いだしたのか。ここでどっちがいいかコメントしないが、タワーの数はいい勝負か川口が上か。単価は小杉が上で350万円が相場。

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川口駅西口(左の建物が川口総合文化センターで、その右にマンションが建つ)

赤羽の一等地 野村不動産「プラウドシティ赤羽」(2010/10/14)

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「武蔵小山駅前通り 地区第一種市街地再開発事業」完成予想図

 住友不動産は5月9日、同社が地権者と参加組合員として事業参画している「武蔵小山駅前通り 地区第一種市街地再開発事業」を4月23日に本格着工したと発表した。2021年竣工予定。総事業費は約300億円。

 事業地は、東急目黒線武蔵小山駅の南側徒歩1 分に位置。施行区域は0.7haで、地上41階建ての住宅を中心とした超高層タワー棟と商業店舗や公益施設などが入る中層棟、低層棟で構成される総延べ床面積約53,460 ㎡の大規模複合開発。

三井不レジ他 武蔵小山駅前の再開発タワーは坪単価470万円 第1期は204戸(2017/11/20)

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