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東京都が晴海オリンピック選手村用地を民間事業者に約130億円で売却したのは「適正価格」約1,653億円(従来主張は約1,611億円)からして異常であり、妥当額との差額1,480億円(同約1,200億円)を支払うよう不動産会社11社に請求せよと原告の住民らが被告・小池百合子都知事を訴えた住民訴訟の第7回口頭弁論が913日、東京地裁で行われた。

原告側は、新たに判明した事実・数値などを論拠に、提出済みの桝本鑑定士による適正売却評価額を従来主張の約1,611億円から1,653億円と〝上方修正〟し、都が民間業者に売却した約130億円との差額も従来価格から約280億円上乗せした約1,480億円を民間業者に請求することを求めた。〝異常〟な安値で売却したのは、官民が「シナリオに基づく、綿密な事前協議のもとに実現しており、行為の違法性は明らか」と主張した。

これに対し、被告側弁護人は、桝本鑑定士による鑑定評価は鑑定士が遵守すべき鑑定手法に基づいて行ったものではなく不当であるとし、不当な鑑定手法に基づき、具体的証拠を示さず「官製談合」などと主張するのは「重大な名誉棄損」であり、「極めて恣意的かつ悪意を持った」言いがかりと反論。次回は、「網羅的かつ具体的に反論を行う」とし、次回をもって「速やかに弁論を終結のうえ、早期解決にご尽力いただきたい」と裁判長に訴えた。

次回は来年1月17日(金)15:00から、419号法廷で。

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 この裁判を傍聴するのは3回目だ。前2回と異なり、今回は最前列のやや被告側席に座り、裁判長、原告側弁護士、被告側弁護士のそれぞれの一挙手一投足を野球のスコアを付けるのと同じように克明にメモした。

女性裁判長は年代にして40代か。肩までありそうな黒髪を後ろで束ね、イヤリングは点けず、化粧などもほとんどしていないように見えた(記者は近眼&老眼)。女性らしいと言えば、黒の法衣と白いうなじから覗く小さなやや赤みがかったスカーフ(あるいはボウタイと呼ぶのか)だけだった。

原告、被告の口頭弁論が行われた約20分間、ほとんど身じろぎせず、デスクトップ(何が置かれているのか不明)を凝視し続けた。発した言葉は、双方の手続き上に関することのみで、場を和ませるジョークや私語は一つもなし。

被告側弁護士は総勢8名。うち7名は職業病と思われる老眼ではない近眼メガネ。最後尾に座った30代と思われる3名はややくたびれた、しわだらけのボタンダウンのシャツ姿だったほかは、責任者と思われる弁護士をはじめダークスーツにネクタイ。

責任者と思われる弁護士は、原告側の主張を聞きながら、余裕なのか苛立ちなのか腕を組んだり、額に手を当てたり、祈りのポーズを取ったり、指をかんだりしていた。

原告側席は前回と同じように20名以上はいた。その多くは記者と同年配か。普段着の人も多かった。責任者と思われる淵脇弁護士は黄色のシャツに黒のスーツ。もう一人の弁護士はシマウマ模様のスーツ姿。

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 どうでもいいことを書いたが、少しはこの種の民事訴訟の法廷の雰囲気を伝えられたはずだ。記者が好きなジョン・グリシャムの法廷小説のような激しいやり取りは皆無で、観客(傍聴人)を沸かすシーンもなし。時間も30分足らず。拍子抜けをするのは間違いない。

 双方の意見陳述書が配布されたので、機会を改め、できれば全文を紹介しようと思うが、以下は大まじめの記者の感想。

 双方の主張はよく分かる。このままどこまで行っても平行線だろう。決着、黒白をつける意味はあるのか。もうノーサイド、引き分けにしてはどうか-これが率直な意見だ。

 白黒をつけた場合、記者がもっとも危惧するのは不動産鑑定士の立場だ。これまでも機会あるごとに書いてきたが、不動産鑑定士の試験はものすごく難しいのに、難関を突破してもそれなりの地位・所得が保証されない。法律に違反すれば罰せられる。仕事上で得た情報は守秘義務の壁が立ちはだかる。意味不明のクライアント・プレッシャーも感じているようだ。

 今回の裁判でどちらかが勝訴(敗訴)しても、不動産鑑定は何なのかが問われる。何しろ鑑定評価額は110だ。決着をつけるより、不動産鑑定はそんなものとグレー、アンタッチャブルゾーンにしたままでいいのではないか。(被告側は桝本鑑定士を徹底して批判したが、これは公平ではない。汚点となるか名誉となるか知らないが、ならは被告側の鑑定士も名を名乗れ)

もう一つ。もう論議は尽くされた。これ以上やっても時間とカネと労力を浪費するだけだ。「官製談合」だの「名誉棄損」だの「人権侵害」だのと、たいした根拠もありそうもないのに、大口を叩く弁護士にはうんざり。

 裁判長、ここは是非とも和解勧告をしていただきたい。〝わたしがルールブック〟-従わなければ法廷侮辱罪で退場させればいい。(わが国にはそんな罪はないのか)

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川畑社長

 旭化成ホームズは9月10日、The Climate Groupが運営する国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟し、「へーベル電気」による買取電力で2038年度までに事業活動電力の100%再エネ調達を目指すと発表した。

 同社は、これまで戸建住宅「ヘーベルハウス」や賃貸住宅「ヘーベルメゾン」への太陽光発電や蓄電池の設置を積極的に推進しており、これまでに搭載した太陽光発電設備の総量は約360MW以上、年間発電量は約360GWhに達している。一方、同社が2018年度に事業活動で消費した電力は約33GWh。

 今後は、昨年サービスを開始した電力供給サービス「ヘーベル電気」によって、今年11月から発生が予想される固定価格買取期間を終えた「卒FIT」の余剰電力を買取り、同社の事務所や工場、展示場の電力として活用する予定。

 会見に臨んだ同社・川畑文俊社長は、「卒FITのお客さまの2割と契約できれば、2038年度の100%最エネ調達は可能。SDGsにもつなげたい」と語った。

 買取価格は全国一律10円/kwh。12円/kwhの蓄電池を設置するオーナー向けの応援プレミア価格も用意する。現在、「へーベル電気」の加入は約1万件で、今年度は新たに400件の加入が目標。

 「RE100」は「Renewable Energy 100%」の頭文字。The Climate Groupが運営する国際的イニシアチブで、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げている。

 現在、加盟企業はウォルマート(米国)、ゴールドマン・サックス(米国)、BMWグループ(ドイツ)、GM(米国)、スターバックス(米国)、マクロソフト(米国)、アップル(米国)、グーグル(米国)、フェイスブック(米国)など世界で190社を超え、日本ではソニー、リコー、富士通、イオンなど22社が加盟しており、同社が23社目。ハウスメーカー・デベロッパーでは大和ハウス工業、積水ハウスに次いで3社目。

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 会見に臨んだ川畑社長はじめ同社関係者の多くがSDGsバッジを胸に付けていた。まだつけ始めたばかりで100個くらいとか。社章がほとんど目立たなくなっていいのかという疑問は残るが、他社に負けないよう頑張ってほしい。

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石田氏

 積水ハウスの〝環境大臣〟常務執行役員 環境推進担当・石田建一氏が9月6日行われた同社の経営計画説明会で「環境セミナー」と題して同社の環境戦略について熱っぽく語った。

 冒頭、「当社は何を売っているか」「家を売っているのではない。夢を売っている」「人の心を豊かにするというミッションを掲げるスタバと一緒、幸せ人生を提供し、住宅を健康・快適・安全・安心の世界で一番幸せな場所にするのが我々のミッション」-などと「夢」「豊かな心」「幸せ」などのフレーズを惜しげもなく口にした。

 次いで、自らの名前「建一」は大工だった父親が「日本一の大工」になることを願い名付けたこと、「勉強などするな」と言われながら大学院にまで進むと、父親から「家を出ていけ」と言われたことなどと生い立ちに触れ、日本一の大工にはなれなかったが、自社の環境の取り組みは「誰一人取り残さない」SDGsの理念に合致するもので、同社のZEH住宅の実績棟数は世界一であることを誇らしげに語った。

 そのあとは石田氏の独演会。圧倒的な実績を誇るZEH住宅は、CO2削減のために頑張らなくとも自由に暮らせる心地よい住宅であることを強調。脱炭素は世界の潮流であり、マーケットはいやおうなくZEHに向かうとし、同社の産業界に先駆けたRE100宣言、TCFD賛同や生物多様性保全の「5本の樹」計画などの取り組みは戸建て1棟単価3,875万円(2007年は3,105万円)、ZHH比率は85%(2019年4月~7月実績)、売上高営業利益率8.8%(2007年は6.9%)、顧客満足度42.3%(2007年は32.6~28.6)など業績向上につながっており、確実に成果を上げていると話した。

 カーボンプライジング(CP)導入については、CP1万円/t-CO2の場合、同社のCP価格は172億円で、売上比率で約1%と大きな影響を受けないと語った。 

 また、エネルギー政策については私論としながら、「再生可能エネルギー100%が理想。これから原発の新規稼働は難しいのでは。政府が明確な目標を定めるべき」と踏み込んだ発言をし、「当社の環境の取り組みはCSRではない。ビジネスだ」と締めくくった。

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 石田氏を〝環境大臣〟と呼んだのは仲井嘉浩社長だ。ぴったりだと思う。その石田氏をはじめ経営計画説明会、セミナーに参加していた同社関係者の多くがSDGsバッジを胸に着けていた。

 広報によると、バッジは3時間の研修などを受けた社員に配布しており、職責以上の約2,600人が付けているという。

 石田氏は「バッジそのものに意味はない。付けている本人がSDGsの何に貢献するかだ」と話した。(記者はレベルの高い住宅を供給し、SDGsの取り組みに熱心な企業を応援する記事を書いているので多少は貢献していると思うが、バッジをすすんで付けようとは思わない。これ見よがしの意思表示はしたくないし、バッジは大きすぎる。積水も住林も社章の2倍くらいあるのではないか。タイピン、カフスボタン、イヤリングはどうか)

 驚いたことに、同社は環境省「プラスチック・スマート」にも参加しており、事業者などへ強いメッセージを示すため、社内の自動販売機からペットボトル容器入りの飲料をなくし、会議でのペットボトル配布も禁止したという。

 

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左が新築棟、右が既存行政棟

 横浜市は9月4日、現市庁舎街区活用事業について3件の応募があり、もっとも優れた提案を行った三井不動産を代表とする8社グループを事業予定者に決定したと発表した。

 事業予定者は、三井不動産のほか鹿島建設、京浜急行電鉄、第一生命保険、竹中工務店、ディー・エヌ・エー、東急、関内ホテルマネジメント(星野リゾートの全額出資子会社)。

 事業地の敷地面積は約16,522㎡、建物は地下1階、地上30階建て延べ床面積約117,017㎡。既存の8階建て行政棟を保存活用するのが特徴で、1~2階は商業施設、3~8回は星野リゾートのレガシーホテル(約17,000㎡)が入居する。

 高層新築棟は、1~3階がライブビューイングアリーナ(3,000㎡)、新産業創造拠点、商業施設、4~5階がエデュテイメント施設(6,800㎡)、6~7階がウェルネスセンター(4,700㎡)、10階がオフィスロビーなど、11~14階が大学(12,800㎡)、15~30階がオフィス(51,900㎡)。定期借地権付き方式で開業前と事業終了工事期間を含め78年間を想定。令和3年に既存建物の改修・解体、新築工事に着手。令和6年度末に開業する。

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行政棟を保存活用し、星野リゾートが入居・運営する「レガシーホテル」

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 4日は仙台に取材に行っており、夜、三井不動産などがコンペに当選したことを知った。記者の知りたいのは周知の事実ではなく、三井不などに敗れた2者グループがどこかということだ。

 コンペを審査した審査委員会は8月27付で林文子市長あてに答申を行っており、100点満点でトップの三井不などは80.47点、次位は71.88点、3位は50.32点と発表。三井不などの提案は「国際的な産学連携」提案が評価されたほか、「観光・集客」提案は「国内最大のビジョンを設置したライブビューイングアリーナや、行政棟を保存活用するまちに開かれたレガシーホテル、エデュテインメント施設、ライブ書店などを設置し、『若さ』をキーワードとして賑わいを創出し、周辺地域を活性化させる多様な機能が提案されていることが高く評価された」とし、「賃貸床の約75%で賃借予定者を確保する」マネジメントなども評価された。次位も3位も応募者の名前は非公表。

 敗れたところに〝敗者の弁〟を聞こうと心当たりのあるデベロッパーに電話したが、〝うちは負け戦はしない〟〝さて、知らない〟という返事だった。

 1社だけ〝ネットに出てるわよ〟と話したので、これをヒントに調べた。さすがN紙だ。ちゃんと残りの2者グループの名前を出して記事にしていた。なるほど。

 それにしても、三井不動産は強い。最近では渋谷区庁舎、横浜北中再開発、春日・後楽園駅前地区再開発、オリンピック選手村(HARUMI FLAG)などピッグプロジェクトで連戦連勝ではないか。RBA野球でも日曜ブロックの本命は三井不動産レジデンシャルリースだし、三井不動産も穴候補に浮上した。三井の独走・独占を許す他社は情けない。

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 コスモスイニシアとコスモスホテルマネジメントは9月4日、日本の新しい滞在体験を考えるコンペティション「MIMARUツーリズムコンペティション2019」を実施すると発表した。

 増え続ける外国人旅行者にとって、現在の日本の都市は本当に価値ある滞在体験を提供できているのか、日本が真の観光立国として成長するために、都市でどのような滞在体験を提供できる可能性があるかなどを問うもの。

 募集するのはビジュアル部門とアイデア部門。ビジュアル部門は、ホテル内に展示する絵画・イラスト・書道・生け花・テキスタイルなどのアート作品及びインスタレーション、客室や共用部の家具及び空間デザインについて、アイデア部門は、IoTや新たなテクノロジーを活用した観光・ホテルサービス、ビジネスモデルなどの提案をそれぞれ求める。

 最優秀賞(各部門1点)に20万円、MIMARU賞(ビジュアル部門1点)に10万円、優秀賞(各部門5点)に5万円が贈られる。応募締め切りは2019年12月20日まで。審査発表は2020年1月中。コンペティションサイトはhttps://mtc.mimaruhotels.com/ 問い合わせはコスモスホテルマネジメントMIMARU TOURISM COMPETITION 2019事務局(mail : このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。)へ。

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 小田急不動産は9月3日、分譲住宅「LEAFIA(リーフィア)」の新商品・サービス開発の取り組みとして、お客さまの住まいへの想い(期待)をカタチ(商品化)にするプロジェクト「想いカタチ.ファクトリー」を発足し、第一弾として東京ガス都市生活研究所と協働し、共働き子育てファミリーのための20項目の新発想空間「IDEA(アイデア)20」を盛り込んだ住宅を今冬に供給すると発表した。

 

 

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秋元氏(左)出雲氏

 〝食品ロス減を実現する〟〝多様な栄養素を持つユーグレナ配合〟〝SDGsに貢献〟-この〝一石三鳥〟の特徴を持つ長期保存が可能な「みどりの救缶鳥+(プラス)」が本格販売される。

 商品を開発したパン・アキモト代表取締役 秋元義彦氏とユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏が8月30日、東京建物が応援するサスティナビリティ特化型ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」主催のオープンイベントに出席し、世界規模での事業展開が可能であることをアピールした。

 「みどりの救缶鳥+(プラス)」は24缶/ケース。1缶100グラム、295キロカロリー。賞味期限は5年。

 オープンイベントではこのほか、ARUN,LLC.代表 功能聡子氏、自然電力海外事業部長 古賀大幹氏、アラムポート取締役 西森聡一郎氏、ボーダレス・ジャパン代表取締役副社長 鈴木雅剛氏がそれぞれ「ベンチャー×グローバルによるSDGsの世界展望」について報告・ディスカッションした。

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 秋元氏は、栃木県那須塩原市に本拠を置くパン・アキモトの二代目社長。1995年1月の阪神・淡路大震災時に2千個のパンをトラックに積んで被災現場に運んだところ、時間がかかったため、約6割を廃棄せざるを得なかったことに心を痛め、被災から1年後、3年間保存できる世界初の「パンの缶詰」を開発した。

 そして2004年、新潟中越地震のとき秋元氏が「パンの缶詰」を被災地に持ち込んだのが報道され、注文が殺到した。しかし、納入先の自治体から「賞味期限が切れた缶詰を処分してほしい」という新たな難問が発生した。

 ピンチはチャンスだ。そこで思いついたのは、賞味期限が切れる半年前に回収し、飢えなどに苦しむ海外へ義援物資として送るアイデアだった。「救缶鳥プロジェクト」はそうして2009年9月スタートした。

 その後、2016年9月、ニッポン新事業創出大賞グローバル賞、2017年12月、第5回グッドライフアワード環境大臣最優秀賞、2019年7月、社会貢献者表彰などを受賞している。

 秋元氏は「阪神淡路大震災が起きた1月17日はわたしの誕生日でして、誕生日のお祝いを中止し、現地にパンを運んだが日持ちのしないパンを廃棄せざるを得なかったのが救缶鳥プロジェクトのきっかけ」と切り出し、「小さなパン職人と大きなユーグレナの研究者が一緒になってビジネスモデルとして世界に広げたい」と語った。

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 ユーグレナは、2005年8月、東大発のベンチャー上場企業として出雲氏らが設立。「人と地球を健康にする」という想いが創業の原点にある。

 創業の翌年、世界で初めて微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)の食用大量培養に成功。2012年12月、マサーズ上場、2014年12月、東証一部上場。2018年9月期の売上高は151億円。

 太陽光と水と二酸化炭素だけで大量培養・供給できるユーグレナを核に食品利用のほか肥料・飼料への応用、バイオ燃料化、医薬品への応用など多角的な事業展開に取り組んでいる。

 出雲氏は、「子どもたちはビタミンAと鉄分が致命的に不足していた。結果、失明や慢性的な貧血症に陥っていた。その時の体験が創業の原点」と、21年前にバングラディッシュを訪問した際の食糧事情の悪さについて触れ、現在では「一袋230キロカロリーのユーグレナクッキーを1日一万食届けることができるようになり、85万人といわれるロヒンギャ難民の子どもたち2万人に食と仕事と栄養を届ける事業をスタートさせた」と語った。

 また、大学ベンチャーについても、「2005年以降、2778社の大学発ベンチャーが設立されたが、うまくいっていない。約2,000社ある上場企業のうち大学発ベンチャーは一社もない。2023年までに20社のユニコーンを創出するという政府目標に向かって、当社も2匹目、3匹目が生まれるよう協力していく」と述べた。

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 「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」主催のオープンイベントは先月も取材し記事にもしているので合わせて読んで頂きたい。約2時間ぶっ通しで行われるので疲れるが、話はものすごく面白い。登壇者や参加者がみんな若いのもいい。

 今回は、会場に入ったとたん「みどりの救缶鳥+(プラス)」(写真参照)が目に飛び込んできた。ネーミングがいい。いつもは、九官鳥そっくりの〝休肝日、休肝日〟の声にをだんまりを決め込むのだが、これには敏感に反応した。ネーミングを含めデザインを担当したのはクオーターバック代表取締役・中島セイジ氏だ。

 もう一つ、記者の目をくぎ付けにしたのは、アマガエルや公衆電話機より鮮やかなやや黄みを帯びた緑のネクタイだった。すぐ誰かは分かった。記者も同系統のものを何本か持っているが、スーツにあうよう濃緑のものばかりだ。

 その、目も彩というより目を疑う緑色のネクタイを締める勇気にあっけにとられたので聞いた。「社長、そのネクタイは社員もつけるんですか」「いえ、わたしだけ」「特注品ですか」「いえ、楽天で買える。980円」…社長、テレビCMに「ユーグレナ」の社名、商品はたくさん出てきますが、あの通販の名物会長の向こうを張って社長直々に出演されたほうが効果的ではないですか。堀江貴文氏よりはるかに話は面白い。「人と地球を健康にする」理念が最高に素晴らしい。

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 参加者にプレゼントされた「みどりの救缶鳥+(プラス)」を持って帰った。「あら、これ栃木のアキモトさんという有名なパン屋さんの非常食。何度も買って、賞味期限切れのパンを食べさせたじゃない。〝美味しい〟って食べたじゃない」「? …」

 缶詰に、日常的に出来立てが食べられることを強調したコピーを追加したら売れ方は全然違うのではないか。〝非常〟を連想させる〝常備〟は適当でない。

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イベント後、参加者に振舞われた「みどりの救缶鳥+(プラス)」

〝世界に発信〟 企業×自治体 先進的SDGs取り組み事例紹介「City Lab Ventures」(2019/7/25)

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 ナイスは8月20日、工務店のエンドユーザーに対するリフォーム提案をサポートする「リフォームパッケージサービス」を、「ナイスサポートシステム」の新メニ ューとしてラインアップに加え、会員である木材・建材販売店や工務店へ9月1日から提供を開始すると発表した。

 「リフォームパッケージサービス」は、住まいながら工事が可能な断熱リフォーム商材をパッケージした「断熱リフォームパッケージ」のほか、消費増税に伴う住宅需要喚起策として、2020年3月末まで一定の性能を持つ住宅の新築やリフォームを支援する「次世代住宅ポイント制度」に対応した「次世代住宅ポイント対象リフォームパッケー ジ」も提供する。

 エンドユーザーに対するリフォーム提案は、リフォーム箇所を検討・提案し、それに応じた商材を各建材・設備メーカーのカタログを使用して提案するというのが一般的で、リフォームの全体像をイメージしづらいとの声が工務店から聞かれていたため、端的に分かりやすく、総合的なリフォーム提案ができるサービスとしているのが特徴。

 「ナイスサポートシステム」は、1998年の開始以来、20年以上の歴史を持ち、加盟社数は約2,000社に上っている。

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 同社の最近のニュース・リリースは有価証券報告書の虚偽記載に関するものばかりだったので、心配していた。この種の一般のお客さん向けのニュースをどんどん発信してほしい。取材もしたい。

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 三菱地所は8月28日、恒例の三菱地所グループ「記者懇親会」を、今年竣工した東京會舘・三菱地所・東京商工会議所による3者共同プロジェクト「丸の内二重橋ビルディング」内の「東京會舘」で行った。

 今期決算も増収増益が予定され、主要事業のほかCLTを採用したみやこ下地島空港ターミナルの竣工、ベンチャー出資、ロボット活用、ラグビー協賛などホットな話題も多く、笑いが止まらないのだろう。配布された資料には吉田淳一社長、杉山博孝会長をはじめ28名の各社社長・役員の顔写真はほとんど笑顔で、広報担当の9名の集合写真もみんな笑っている。

 些細なことだが、これは大事なことだ。「記者懇親会」用の配布資料にも笑顔を届ける姿勢は見習いたい。

 小生の出席・取材の目的は、ただでワインを戴くこともあるが、同社が住宅・不動産業界で唯一ラグビーワールドカップ2019の「オフィシャルスポンサー」になっているので、果たして強豪チームは同社のどこの「ロイヤルパークホテル」に泊まるのかを探るただ一点にあった。

 それというのも、三井不動産が世界最強の二―ジーランド・オールブラックスの宿泊施設として「三井ガーデンホテル柏の葉」を提供するからだ。三菱地所だって威信にかけて強豪チームを誘致すると読んだ。

 そこで、吉田社長、杉山会長、ラグビーに関する広報活動などを取り仕切っているY氏に質問をぶつけた。「三井さんの『柏の葉』にニュージーランドチームが泊まるなら、『ロイヤルパーク』だってどこかが泊まるのでしょう」と。以下、3氏の返答。

吉田社長 関心持っていない。(ホテルを誘致する)そこがメインじゃない

杉山会長 知らない。うちはオールブラックスを応援しているんじゃなかったか

Y氏 ヒント? 決まっていません、決まっていないというのがヒント(チケット代20万円を払って娘さんと決勝戦を観に行くのだそうだ)

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 3氏ともに見事にはぐらかされた。しかし、全20カ国・チームの宿泊先を同社が把握していないはずはない。トップシークレットなのだろう。

 仕方がないので、勝手に予想を立てた。しかし、マンションの坪単価予想というわけにはいかない。何を基準にホテルを選ぶかが全く分からないからだ。豪華さだけでなく、セキュリティや食事は大事だろうし、練習場に近いこと、競技場へのアクセス、一般客を遮断できること…を考えると、以下の予想は全て外れかもしれない。が、しかし、どこかの強豪チームが「ロイヤルパーク」か同社の関連ホテルに宿泊するような気がする。それは次の通りだ。東京會舘はないと見た。

◎ロイヤルパークホテル(水天宮)

〇横浜ロイヤルパークホテル

▲パレスホテル東京(パレスビル)

△仙台ロイヤルパークホテル

 ◎水天宮の「ロイヤルパーク」は記者がもっとも好きなホテルの一つで、5層吹き抜けの空間が素晴らしい。空港にも高速にも近い。確か四方道路なのでセキュリティ面でも問題ない。

 〇「横浜」は決勝戦が横浜国際総合競技場で行われるので、アクセスがいい。これ以上のホテルはない。問題は複合ビルなのでセキュリティがどうかという点と、身をかがめるのが習性になっているはずの選手にとって高層ホテルは平衡感覚をなくさないかという点だ。

 ▲「パレスホテル」は、外国人に人気上位のホテルなのも納得できる。素晴らしいホテルに生まれ変わった。記者は建て替え前しか泊ったことがないが、ナシゴレンがとても美味しかったのを思い出す。

 △「仙台」は泊ったことはないが、2度ほどワインを飲んだ。いいホテルなのは間違いない。ゆったりした敷地の環境は水天宮、横浜以上かもしれない。日本で開催されたサッカーワールドカップでイタリアチームが借り切って宿泊したという実績もある。セキュリティが極めてよかったらしい。難点は東京、横浜に遠いことだ。

 全20チームの宿泊ホテルをどこか書かないか。

 

 

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将来の日本橋のイメージ図

 日本橋再生の第3ステージは〝共感・共創・共発〟-三井不動産は8月29日、菰田正信社長が記者会見し、今春の「日本橋室町三井タワー」の竣工をもって日本橋再生計画は第3ステージに進んだとし、新たなステージでは〝共感・共創・共発〟をスローガンに掲げ、「豊かな水辺の再生」「新たな産業の創造」「世界とつながる国際イベントの開催」の3つの街づくりを、旧日本橋区に相当する「GREATER日本橋」を舞台に展開すると発表した。100名超の報道陣が集まった。

 菰田社長は、「残しながら、蘇らせながら、創っていく」を開発コンセプトに、バブル崩壊を受けて取り組んできた「日本橋再生計画」は大きな成果を上げたと総括し、その結果、老若男女を問わず集う賑わいを創出し、街のグローバル化が図れたと振り返った。

 第3ステージは、「日本橋再生計画第2ステージ」で掲げた「産業創造」「界隈創生」「地域共生」「水都再生」の4つのキーワードを踏襲しながら、「未来に続く街道の起点、日本橋」にすると語り、「(水辺の再生などは)ハードルが高く、時間もかかるかもしれないが、世界から人・もの・ことが集まる街づくりを必ずやり遂げる決意」と力を込めた。

 同社日本橋街づくり推進部長・ 七尾克久氏は「場所と機会の提供だけではなく、共に同じ輪に入っていくようにする」と、地域との〝共感・共創・共発〟の街づくりを進めると強調した。

 会見後は、一般社団法人SPACETIDE共同設立者・理事・COOの佐藤将史氏をモデレータに、ANAホールディングスデジタル・デザイン・ラボ チーフ・ディレクター兼グループ経営戦略室アバター準備室室長・津田佳明氏、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 新事業促進部事業開発グループJ-SPARCプロデューサー/Space Food X副代表・菊池優太氏、七尾氏による「宇宙ビジネスと日本橋の街づくり」をテーマとしたトークセッションを行った。

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フォトセッション(左から佐藤氏、七尾氏、菰田氏、菊池氏、津田氏)

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川沿いパース

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川沿いパース

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 第3ステージでもっとも注目したいのは「豊かな水辺の再生」だ。2008年だった。記者は三井不動産のイベントで初めて日本橋川下りを体験した。あまりにもひどい光景に怒りを込めて「これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街」の見出しを付けて記事にした。

 当時、岩沙弘道社長は「わたしが生きている間に高速道路を取っ払い、日本橋にきれいな水が流れるようにしたい」と語ったのも印象に残っている。

 あれから10年が経過した。この日、菰田社長は「ハードルは高く、時間がかかりそうだが必ず(豊かな水辺の再生)を実現する」と力を込めた。

 竹橋~江戸橋(日本橋区間)の2.9kmの高速道路については2028年までに1,412億円をかけて改修することになっているが、あと10年だ。高速の地下化は本当に実現するのか。記者は生きているだろうか。

 「宇宙ビジネス」はちんぷんかんぷん。世界に負けないよう頑張ってほしいとしかいいようがない。

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日本橋と東京駅をつなぐウォーカブルネットワーク(長さ約1.200m、川幅約100mの親水空間となる)

日本橋架橋百年祭」に10万人来場江戸の舟運が復活(2011/11/2)

これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街(2008/5/19)

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