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オリンピック選手村裁判 原告側桝本鑑定士の意見書は証拠価値なし 被告側が意見陳述(2019/9/16)

和解、ノーサイドの道はないのか オリンピック選手村裁判 第7回口頭弁論(2019/9/13)

「官民癒着」と原告 「誹謗中傷」と被告応酬 第6回 選手村住民訴訟 口頭弁論(2019/5/18)

 9月13日行われた、いわゆるオリンピック選手村裁判で、東京都を訴えている原告側代理人弁護士・千葉恵子氏は次のような意見陳述を行った。

◇     ◆     ◇

1 原告らは、本日、準備書面6、準備書面7、準備書面8、調査委託申立に関する被告意見書に対する反論書を提出しました。

2 準備書面6では本件土地価格に関する主張を行いました。

 土地価格については、既に桝本鑑定士による鑑定評価(甲68)、意見書(甲77)を提出していますが、今回、修正意見書(甲92)を提出しました。これは、被告から日本不動産研究所作成の調査報告書が改めて提出され、以前黒塗りだった部分が一部明らかになったり、その後公表された資料などで明らかになった事実を踏まえて作成されたものです。この修正意見書に基づいき、いわゆる「選手村要因」を考慮した本件土地の評価に関する主張を行いました。

 修正意見書は、オリンピック要因を考慮し、調査報告書が用いた数値のうち、明らかになっていない数値や明らかになっていても適正とはいえない数値については桝本鑑定士による分析に基づく数値が用いられています。修正意見書は、調査報告書の内容の不備として土地譲渡価格の90%が後払いであることが考慮されていないこと、建築工事費が不相当に高く計算されていること等を指摘しています。修正意見書によれば、「選手村要因」を考慮しても、本件土地価格は1653億2100万円に上ります。

 被告が決定した本件土地処分価格は129億6000万円であり、上記金額の8%にも満たず、坪単価で比較すれば東京都西多摩郡檜原村の住宅地や商業地域と同程度の価格です。この事だけでも異常な安値であることは明らかです。さらに、修正意見書では、桝本鑑定士により、その知識と良心に従ってオリンピック要因をも考慮した適正価格が導かれているのであり、適正価格に比して処分価格は異常な安値であることは明らかです。

 被告は、これほどの財産価値を有する不動産を、わずか129億6000万円と鑑定による価格の92%も減額して処分する、すなわち東京都民の財産を約1480億円も失わせるのですから、かかる減額の根拠を明確に示すべきです。

 にもかかわらず、被告東京都は、価格算定の唯一の根拠である調査報告書に基づく具体的な主張はほとんどせず、調査会社の権威を根拠に適正な調査である旨の主張を行うのみです。このような態度は到底許されるものではありません。

3 準備書面7では原告らは、どのようにして処分価格がそのような異常な安値になったのか、その処分価格とする方策の検討がどのように行われたかについて、2013年9月にパシフィックコンサルタンツ株式会社が作成した「選手村開発方針検討支援業務報告書」(甲93)(以下「支援業務報告書」と言います)がその筋書きを作り、それに基づいて進められたと評価できると主張しました。

(中略)

 本件土地価格の不当な低廉さは、このように被告東京都と事業協力者の(支援業務報告書に記載されている)上記シナリオに基づく綿密な事前協議のもとに実現しており、行為の違法性は明白です。

 支援業務報告書も多くの部分が黒塗りのため明らかでない部分があります。原告らは黒塗りにした部分が時の経過とともに明らかにならないか、と期待し、東京都に対して開示を求めました。開示決定の時期が延期されて、その結果を待っているところです。(開示された模様)

4 原告らは、被告と事業協力者との協議記録に関して、被告に対して情報開示請求の方法をとりましたが、「既に全て廃棄して開示できない」という理由で開示されていませんでした。地方自治体は、本件のような公共的な事業に関しては、事業協力者との協議記録は公文書として保管して、住民に全て開示すべきです。それが開示されなかったために、やむなく調査嘱託の申立を行いました。調査嘱託の採用を求めます。

 そして、被告には再度、電子データで保管されていないか、など探索をし、保管されている場合には明らかにするように求めます。

 

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和解、ノーサイドの道はないのか オリンピック選手村裁判 第7回口頭弁論(2019/9/13)

オリンピック選手村裁判 安値売却は都と事業者の筋書き通り 原告側が意見陳述(2019/9/16

「官民癒着」と原告 「誹謗中傷」と被告応酬 第6回 選手村住民訴訟 口頭弁論(2019/5/18)

 9月13日行われた、いわゆるオリンピック選手村裁判で、被告(小池百合子都知事)側代理人弁護士・薮田広平氏は次のように述べた。

◇       ◆     ◇

 原告らの主張及び提出した書証に多くの問題があることは、既にこれまでにも述べたところですが、今回甲92号として提出された桝本鑑定士の修正意見書にも、明確な問題・矛盾が含まれています。

 第一に、甲92号証の修正意見は、価格時点を「平成28年5月25日」とした上で、本件土地の価格の算出を行っていますが、不動産鑑定士が遵守すべき国土交通省の定める不動産鑑定評価基準運営上の留意事項(乙28号証)によれば、算出に当たって参照すべき基礎資料も価格時点である「平成28年5月25日」に近い時点において入手可能であったものでなければなりません。しかしながら、桝本鑑定士は、甲92号証の修正意見書において「令和1年7月22日時点の晴海フラッグの販売価格表」に記載された販売価格に言及する等、価格時点近辺においておよそ入手し得なかった資料を価格算定の基礎資料として使用しているため、まさに論理が破綻している上に不動産鑑定評価基準違反による算定を行ったものと言わざるを得ません。これは、桝本鑑定士の意見、そしてひいてはこれに依拠する原告らの主張かぜ根拠のないものであることを如実に顕すものです。

 第二に、原告らが甲68号証として提出した桝本鑑定士の作成にかかる不動産鑑定評価書においては、最有効使用を前提とした正常価格として、本件土地の価格を1611億1800万円と算出している一方で、甲92号証の修正意見書では、本件土地の価格を1653億2100万円と算出しています。すなわち、桝本鑑定士の価格算出結果によれば、最有効使用を前提とした正常価格よりも選手村要因に基づく様々な負担を考慮した価格の方が高く算出されているという結果となっており、これも論理的な整合性を欠いたものであり、算定のいい加減さを顕すものと言わざるを得ません。

 第三に、甲92号証の修正意見書においては、実際には本件土地上に建築が予定されている建物には大規模(合計100台以上分)もの地下駐車場が設けられることになっているにもかかわらず、この点が価格算出の基礎とされていません。地下駐車場の設置は、土地の掘削等のために多くの工事費の発生を伴うものであり、共用部分とは言え、居住部分を繋ぐ共用廊下の施工に要する工事費と同列に扱うことは出来ません。(後略)

 第四に、仮に、原告らが適正価格であると主張する価格で東京都が特定建築者に本件土地を売却することを想定した場合には、特定建築者がその取得に要する費用がおよそ1500億円増額となるため、現在「晴海フラッグ」として販売が開始されている分譲マンションの土地代込みの開発費用は、その分増加することになります。現在の「晴海フラッグ」の分譲価格でさえ「高い」という専門家の意見があるのは周知の事実ですが、これが更に大幅に高額化し、本件開発事業が事業として非現実的なものになってしまうことからも、原告らの主張のいい加減さを顕すものと言わざるを得ません。

 「晴海フラッグ」は、いわゆるオリンピックレガシーの一部として後世に残すべきものであり、これは東京都が立候補ファイルにおいて公約している事項です。そして、このような趣旨に鑑みれば、適正な価格の範囲でできる限り多くの人に購入の機会が確保されるのが望ましいものです。仮に、原告らが適正価格であると主張する価格で特定建築者に売却した場合には、この趣旨の反するものと言わざるを得ない点も、被告弁護団として付け加えさせていただきます。

 第五に、原告らは、「土地譲渡価格の90%が後払いであることが考慮されていないこと」に言及した上で、日本不動産研究所の調査報告書の内容を批判してもいますが、そもそも、不動産鑑定士が遵守すべき国土交通省が定めた「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項(乙28号証)に拠れば、「マンション等の販売総額」と「建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用」は割り戻し計算の対象となりますが、土地価格はその計算の結果として算出される額であるため、土地の譲渡価格の支払条件を考慮して土地価格自体の割り戻し計算を行うことは許されません(略)。この点についても被告は追って詳細に主張いたしますが、桝本鑑定士の意見及びこれに依拠する原告らの主張はこの点を看過した不当なものと言わざるを得ません。

 (中略)

 そもそも、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会鑑定評価基準委員会が定めた「『価格等調査ガイドライン』の取扱いに関する実務指針」によれば、原告らが主張の根拠としている修正意見書は(中略)、「価格等調査ガイドライン」の適用を受けるものとなります。ところが、当該修正意見書には、価格等調査ガイドラインの定めた必須記載事項を未記載としている問題点があります。(中略)桝本鑑定士の意見書は不動産鑑定士が作成した書面としての証拠価値を認めるには足りないものに過ぎません。

 加えて、先ほど原告ら代理人はこのような、不動産鑑定士が遵守すべき義務に従うことなく作成された文書のみをもって、本件土地の譲渡価格を「不当に低廉」と強弁し、これを実行するため東京都と事業協力者が綿密な官製談合協議を行ったなどと、再び関係者に対する重大な名誉棄損行為を行いました。しかしこれまで再三に亘り、被告からその官製談合協議が行われたことを示す証拠を提出するよう原告らに対して求めていたにもかかわらず、結局今回、原告らが提出した証拠は、第三者が作成した文書一つのみであり、相当な証拠に基づかずに原告らがこれまで名誉棄損行為に及んできたことが明白になったといえます。このような極めて恣意的かつ悪意を持った原告らの官製談合などという言いがかりは、第1回期日で被告代理人が原告らに申し上げたところですが、重大な人権侵害であり、根拠づける証拠の提出を原告らが出来ないことも明らかになった以上、即刻取り下げて然るべきものです。

 冒頭に述べましたとおり、被告は、次回、ここで意見として述べた点を含め、今回原告らから提出された主張に対して網羅的かつ具体的に反論を行うとともに、その反論の基礎付けとなる書証を提出する予定です。

 なお、原告らは、原告らとして出すべき主張及び証拠はすべて今回までに提出するとの前提の下、およそ6か月もの準備期間を経て、今回準備書面及び書証を提出するに至っているものであり、既にすべての主張及び立証を尽くしているものと理解しております。このような状況を踏まえ、裁判所におかれましては、今後提出を予定している被告の反論及び書証の提出が済みましたら、速やかに弁論を終結の上、ご判断を賜り、早期解決にご尽力いただけますよう、切にお願い申し上げます。

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「KASHIWA RUGBY DAY 2019 in KASHIWA-NO-HA」オールブラックス選手入場

 ラグビーワールドカップ2019日本大会開幕まであと6日に迫った9月14日、世界最強のニュージーランド代表オールブラックスのオフィシャルスポンサーである三井不動産は千葉県柏市と共催し、オールブラックス応援イベントを柏市内で行った。

 会場となった千葉県立柏の葉公園総合競技場には7,000人を超える観客が集まり、子どもたちを中心とする市民がマオリ語のニュージーランド国歌を合唱してオールブラックス選手を迎え、選手と一緒にハカを披露し、ゲーム、サイン会、撮影会などを楽しんだ。

市民の歓迎に対し、オールブラックスを代表してブラッド・ウェバー選手は、「こんにちは、よろしくお願いします。素晴らしかった。こんなに熱い応援は一生忘れられません」と日本語交じりで応えた。

 会場ではこのほか、全国クラスの流通経済大学ラグビー部によるラグビー体験コーナー、出店・屋台なども出店され賑わった。

 イベントは、オールブラックスチームを誘致し、事前キャンプ(9月10日~14日)を行うことを記念して「KASHIWA RUGBY DAY 2019 in KASHIWA-NO-HA」と銘打って行われたもので、子どもたちの夢を育み、スポーツ振興や国際交流など、地域の活性化などを目的とした活動の一環。

 イベントに参加した、駅前のマンションに5年前に入居した40代の子ども連れは「小学1年の娘が通う学校に選手が来てくれた。もちろんニュージーランドを応援する」と語り、40代の男女二人のこどもを持つ市内の40代の夫婦は「5年生の息子がハカを披露し、小学3年の娘が国歌を歌う。わたし(ご主人)のおじいちゃんはラグビーの選手だった」と、子どもがイベントに参加できたことを喜んでいた。

 高校ラグビー全国大会でも活躍している流経大柏高校ラグビー部に所属する生徒の母親4人のグループは、「川越から車で1時間半」「わたしはもっと遠く寄居町(埼玉県)」「わたしは新座」「わたしが一番近いかしら。つくば市」などとそれぞれ話した。「よく食べるんでしょう」と聞いたら、「普通の人の5倍かしら。3合は食べる」そうだ。

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左からAnton Lienert-Brown、Richie Mo’unga、Patrick Tuipulotu、Ofa Tuungafasi、
Brad Weber各選手

◇       ◆     ◇

 取材を終え、オールブラックスの宿舎であり、選手が飲んだであろう美味しい酒を飲もうと三井ガーデンホテル柏の葉のレストランに入ろうとしたら、明日(15日)までチーム関係者の貸し切りだった。

 駅前のオーガニックレストランもすでにランチの時間は終わっており、仕方なく、ららぽーとの回転寿司屋に入った。注文は全てタブレット。スマホすら満足に扱えない記者は面食らった。ロボット相手に酒を飲み、寿司を食べる時代になったか。

 それにしても三井不動産はさすが。世界最強のニュージーランドを応援するとは。「柏の葉」は「多摩センター」に追いつき、瞬く間に抜き去った。回転寿司屋のトロはものすごいスピードで目の前を通り過ぎた。

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流通経済大学ラグビー部によるラグビー体験コーナー

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ニュージーランド国歌合唱

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ニュージーランド国歌合唱

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ハカの披露

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選手と生徒の記念撮影

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サイン会(左)と撮影会

カテゴリ: 2019年度

東京都が晴海オリンピック選手村用地を民間事業者に約130億円で売却したのは「適正価格」約1,653億円(従来主張は約1,611億円)からして異常であり、妥当額との差額1,480億円(同約1,200億円)を支払うよう不動産会社11社に請求せよと原告の住民らが被告・小池百合子都知事を訴えた住民訴訟の第7回口頭弁論が913日、東京地裁で行われた。

原告側は、新たに判明した事実・数値などを論拠に、提出済みの桝本鑑定士による適正売却評価額を従来主張の約1,611億円から1,653億円と〝上方修正〟し、都が民間業者に売却した約130億円との差額も従来価格から約280億円上乗せした約1,480億円を民間業者に請求することを求めた。〝異常〟な安値で売却したのは、官民が「シナリオに基づく、綿密な事前協議のもとに実現しており、行為の違法性は明らか」と主張した。

これに対し、被告側弁護人は、桝本鑑定士による鑑定評価は鑑定士が遵守すべき鑑定手法に基づいて行ったものではなく不当であるとし、不当な鑑定手法に基づき、具体的証拠を示さず「官製談合」などと主張するのは「重大な名誉棄損」であり、「極めて恣意的かつ悪意を持った」言いがかりと反論。次回は、「網羅的かつ具体的に反論を行う」とし、次回をもって「速やかに弁論を終結のうえ、早期解決にご尽力いただきたい」と裁判長に訴えた。

次回は来年1月17日(金)15:00から、419号法廷で。

       ◆     ◇

 この裁判を傍聴するのは3回目だ。前2回と異なり、今回は最前列のやや被告側席に座り、裁判長、原告側弁護士、被告側弁護士のそれぞれの一挙手一投足を野球のスコアを付けるのと同じように克明にメモした。

女性裁判長は年代にして40代か。肩までありそうな黒髪を後ろで束ね、イヤリングは点けず、化粧などもほとんどしていないように見えた(記者は近眼&老眼)。女性らしいと言えば、黒の法衣と白いうなじから覗く小さなやや赤みがかったスカーフ(あるいはボウタイと呼ぶのか)だけだった。

原告、被告の口頭弁論が行われた約20分間、ほとんど身じろぎせず、デスクトップ(何が置かれているのか不明)を凝視し続けた。発した言葉は、双方の手続き上に関することのみで、場を和ませるジョークや私語は一つもなし。

被告側弁護士は総勢8名。うち7名は職業病と思われる老眼ではない近眼メガネ。最後尾に座った30代と思われる3名はややくたびれた、しわだらけのボタンダウンのシャツ姿だったほかは、責任者と思われる弁護士をはじめダークスーツにネクタイ。

責任者と思われる弁護士は、原告側の主張を聞きながら、余裕なのか苛立ちなのか腕を組んだり、額に手を当てたり、祈りのポーズを取ったり、指をかんだりしていた。

原告側席は前回と同じように20名以上はいた。その多くは記者と同年配か。普段着の人も多かった。責任者と思われる淵脇弁護士は黄色のシャツに黒のスーツ。もう一人の弁護士はシマウマ模様のスーツ姿。

       ◆     ◇

 どうでもいいことを書いたが、少しはこの種の民事訴訟の法廷の雰囲気を伝えられたはずだ。記者が好きなジョン・グリシャムの法廷小説のような激しいやり取りは皆無で、観客(傍聴人)を沸かすシーンもなし。時間も30分足らず。拍子抜けをするのは間違いない。

 双方の意見陳述書が配布されたので、機会を改め、できれば全文を紹介しようと思うが、以下は大まじめの記者の感想。

 双方の主張はよく分かる。このままどこまで行っても平行線だろう。決着、黒白をつける意味はあるのか。もうノーサイド、引き分けにしてはどうか-これが率直な意見だ。

 白黒をつけた場合、記者がもっとも危惧するのは不動産鑑定士の立場だ。これまでも機会あるごとに書いてきたが、不動産鑑定士の試験はものすごく難しいのに、難関を突破してもそれなりの地位・所得が保証されない。法律に違反すれば罰せられる。仕事上で得た情報は守秘義務の壁が立ちはだかる。意味不明のクライアント・プレッシャーも感じているようだ。

 今回の裁判でどちらかが勝訴(敗訴)しても、不動産鑑定は何なのかが問われる。何しろ鑑定評価額は110だ。決着をつけるより、不動産鑑定はそんなものとグレー、アンタッチャブルゾーンにしたままでいいのではないか。(被告側は桝本鑑定士を徹底して批判したが、これは公平ではない。汚点となるか名誉となるか知らないが、ならは被告側の鑑定士も名を名乗れ)

もう一つ。もう論議は尽くされた。これ以上やっても時間とカネと労力を浪費するだけだ。「官製談合」だの「名誉棄損」だの「人権侵害」だのと、たいした根拠もありそうもないのに、大口を叩く弁護士にはうんざり。

 裁判長、ここは是非とも和解勧告をしていただきたい。〝わたしがルールブック〟-従わなければ法廷侮辱罪で退場させればいい。(わが国にはそんな罪はないのか)

HARUMI FLAG」 土地と建物の価格比率は調整区域並みの793 算定は妥当(2019/8/30

「官民癒着」と原告 「誹謗中傷」と被告応酬 第6回 選手村住民訴訟 口頭弁論(2019/5/28

オリンピック選手村住民訴訟も佳境に 原告、被告双方 相手を「著しく」非難(2019/2/20

 

 

 

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川畑社長

 旭化成ホームズは9月10日、The Climate Groupが運営する国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟し、「へーベル電気」による買取電力で2038年度までに事業活動電力の100%再エネ調達を目指すと発表した。

 同社は、これまで戸建住宅「ヘーベルハウス」や賃貸住宅「ヘーベルメゾン」への太陽光発電や蓄電池の設置を積極的に推進しており、これまでに搭載した太陽光発電設備の総量は約360MW以上、年間発電量は約360GWhに達している。一方、同社が2018年度に事業活動で消費した電力は約33GWh。

 今後は、昨年サービスを開始した電力供給サービス「ヘーベル電気」によって、今年11月から発生が予想される固定価格買取期間を終えた「卒FIT」の余剰電力を買取り、同社の事務所や工場、展示場の電力として活用する予定。

 会見に臨んだ同社・川畑文俊社長は、「卒FITのお客さまの2割と契約できれば、2038年度の100%最エネ調達は可能。SDGsにもつなげたい」と語った。

 買取価格は全国一律10円/kwh。12円/kwhの蓄電池を設置するオーナー向けの応援プレミア価格も用意する。現在、「へーベル電気」の加入は約1万件で、今年度は新たに400件の加入が目標。

 「RE100」は「Renewable Energy 100%」の頭文字。The Climate Groupが運営する国際的イニシアチブで、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げている。

 現在、加盟企業はウォルマート(米国)、ゴールドマン・サックス(米国)、BMWグループ(ドイツ)、GM(米国)、スターバックス(米国)、マクロソフト(米国)、アップル(米国)、グーグル(米国)、フェイスブック(米国)など世界で190社を超え、日本ではソニー、リコー、富士通、イオンなど22社が加盟しており、同社が23社目。ハウスメーカー・デベロッパーでは大和ハウス工業、積水ハウスに次いで3社目。

◇       ◆     ◇

 会見に臨んだ川畑社長はじめ同社関係者の多くがSDGsバッジを胸に付けていた。まだつけ始めたばかりで100個くらいとか。社章がほとんど目立たなくなっていいのかという疑問は残るが、他社に負けないよう頑張ってほしい。

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石田氏

 積水ハウスの〝環境大臣〟常務執行役員 環境推進担当・石田建一氏が9月6日行われた同社の経営計画説明会で「環境セミナー」と題して同社の環境戦略について熱っぽく語った。

 冒頭、「当社は何を売っているか」「家を売っているのではない。夢を売っている」「人の心を豊かにするというミッションを掲げるスタバと一緒、幸せ人生を提供し、住宅を健康・快適・安全・安心の世界で一番幸せな場所にするのが我々のミッション」-などと「夢」「豊かな心」「幸せ」などのフレーズを惜しげもなく口にした。

 次いで、自らの名前「建一」は大工だった父親が「日本一の大工」になることを願い名付けたこと、「勉強などするな」と言われながら大学院にまで進むと、父親から「家を出ていけ」と言われたことなどと生い立ちに触れ、日本一の大工にはなれなかったが、自社の環境の取り組みは「誰一人取り残さない」SDGsの理念に合致するもので、同社のZEH住宅の実績棟数は世界一であることを誇らしげに語った。

 そのあとは石田氏の独演会。圧倒的な実績を誇るZEH住宅は、CO2削減のために頑張らなくとも自由に暮らせる心地よい住宅であることを強調。脱炭素は世界の潮流であり、マーケットはいやおうなくZEHに向かうとし、同社の産業界に先駆けたRE100宣言、TCFD賛同や生物多様性保全の「5本の樹」計画などの取り組みは戸建て1棟単価3,875万円(2007年は3,105万円)、ZHH比率は85%(2019年4月~7月実績)、売上高営業利益率8.8%(2007年は6.9%)、顧客満足度42.3%(2007年は32.6~28.6)など業績向上につながっており、確実に成果を上げていると話した。

 カーボンプライジング(CP)導入については、CP1万円/t-CO2の場合、同社のCP価格は172億円で、売上比率で約1%と大きな影響を受けないと語った。 

 また、エネルギー政策については私論としながら、「再生可能エネルギー100%が理想。これから原発の新規稼働は難しいのでは。政府が明確な目標を定めるべき」と踏み込んだ発言をし、「当社の環境の取り組みはCSRではない。ビジネスだ」と締めくくった。

◇       ◆     ◇

 石田氏を〝環境大臣〟と呼んだのは仲井嘉浩社長だ。ぴったりだと思う。その石田氏をはじめ経営計画説明会、セミナーに参加していた同社関係者の多くがSDGsバッジを胸に着けていた。

 広報によると、バッジは3時間の研修などを受けた社員に配布しており、職責以上の約2,600人が付けているという。

 石田氏は「バッジそのものに意味はない。付けている本人がSDGsの何に貢献するかだ」と話した。(記者はレベルの高い住宅を供給し、SDGsの取り組みに熱心な企業を応援する記事を書いているので多少は貢献していると思うが、バッジをすすんで付けようとは思わない。これ見よがしの意思表示はしたくないし、バッジは大きすぎる。積水も住林も社章の2倍くらいあるのではないか。タイピン、カフスボタン、イヤリングはどうか)

 驚いたことに、同社は環境省「プラスチック・スマート」にも参加しており、事業者などへ強いメッセージを示すため、社内の自動販売機からペットボトル容器入りの飲料をなくし、会議でのペットボトル配布も禁止したという。

 

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左が新築棟、右が既存行政棟

 横浜市は9月4日、現市庁舎街区活用事業について3件の応募があり、もっとも優れた提案を行った三井不動産を代表とする8社グループを事業予定者に決定したと発表した。

 事業予定者は、三井不動産のほか鹿島建設、京浜急行電鉄、第一生命保険、竹中工務店、ディー・エヌ・エー、東急、関内ホテルマネジメント(星野リゾートの全額出資子会社)。

 事業地の敷地面積は約16,522㎡、建物は地下1階、地上30階建て延べ床面積約117,017㎡。既存の8階建て行政棟を保存活用するのが特徴で、1~2階は商業施設、3~8回は星野リゾートのレガシーホテル(約17,000㎡)が入居する。

 高層新築棟は、1~3階がライブビューイングアリーナ(3,000㎡)、新産業創造拠点、商業施設、4~5階がエデュテイメント施設(6,800㎡)、6~7階がウェルネスセンター(4,700㎡)、10階がオフィスロビーなど、11~14階が大学(12,800㎡)、15~30階がオフィス(51,900㎡)。定期借地権付き方式で開業前と事業終了工事期間を含め78年間を想定。令和3年に既存建物の改修・解体、新築工事に着手。令和6年度末に開業する。

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行政棟を保存活用し、星野リゾートが入居・運営する「レガシーホテル」

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 4日は仙台に取材に行っており、夜、三井不動産などがコンペに当選したことを知った。記者の知りたいのは周知の事実ではなく、三井不などに敗れた2者グループがどこかということだ。

 コンペを審査した審査委員会は8月27付で林文子市長あてに答申を行っており、100点満点でトップの三井不などは80.47点、次位は71.88点、3位は50.32点と発表。三井不などの提案は「国際的な産学連携」提案が評価されたほか、「観光・集客」提案は「国内最大のビジョンを設置したライブビューイングアリーナや、行政棟を保存活用するまちに開かれたレガシーホテル、エデュテインメント施設、ライブ書店などを設置し、『若さ』をキーワードとして賑わいを創出し、周辺地域を活性化させる多様な機能が提案されていることが高く評価された」とし、「賃貸床の約75%で賃借予定者を確保する」マネジメントなども評価された。次位も3位も応募者の名前は非公表。

 敗れたところに〝敗者の弁〟を聞こうと心当たりのあるデベロッパーに電話したが、〝うちは負け戦はしない〟〝さて、知らない〟という返事だった。

 1社だけ〝ネットに出てるわよ〟と話したので、これをヒントに調べた。さすがN紙だ。ちゃんと残りの2者グループの名前を出して記事にしていた。なるほど。

 それにしても、三井不動産は強い。最近では渋谷区庁舎、横浜北中再開発、春日・後楽園駅前地区再開発、オリンピック選手村(HARUMI FLAG)などピッグプロジェクトで連戦連勝ではないか。RBA野球でも日曜ブロックの本命は三井不動産レジデンシャルリースだし、三井不動産も穴候補に浮上した。三井の独走・独占を許す他社は情けない。

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 コスモスイニシアとコスモスホテルマネジメントは9月4日、日本の新しい滞在体験を考えるコンペティション「MIMARUツーリズムコンペティション2019」を実施すると発表した。

 増え続ける外国人旅行者にとって、現在の日本の都市は本当に価値ある滞在体験を提供できているのか、日本が真の観光立国として成長するために、都市でどのような滞在体験を提供できる可能性があるかなどを問うもの。

 募集するのはビジュアル部門とアイデア部門。ビジュアル部門は、ホテル内に展示する絵画・イラスト・書道・生け花・テキスタイルなどのアート作品及びインスタレーション、客室や共用部の家具及び空間デザインについて、アイデア部門は、IoTや新たなテクノロジーを活用した観光・ホテルサービス、ビジネスモデルなどの提案をそれぞれ求める。

 最優秀賞(各部門1点)に20万円、MIMARU賞(ビジュアル部門1点)に10万円、優秀賞(各部門5点)に5万円が贈られる。応募締め切りは2019年12月20日まで。審査発表は2020年1月中。コンペティションサイトはhttps://mtc.mimaruhotels.com/ 問い合わせはコスモスホテルマネジメントMIMARU TOURISM COMPETITION 2019事務局(mail : このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。)へ。

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 小田急不動産は9月3日、分譲住宅「LEAFIA(リーフィア)」の新商品・サービス開発の取り組みとして、お客さまの住まいへの想い(期待)をカタチ(商品化)にするプロジェクト「想いカタチ.ファクトリー」を発足し、第一弾として東京ガス都市生活研究所と協働し、共働き子育てファミリーのための20項目の新発想空間「IDEA(アイデア)20」を盛り込んだ住宅を今冬に供給すると発表した。

 

 

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秋元氏(左)出雲氏

 〝食品ロス減を実現する〟〝多様な栄養素を持つユーグレナ配合〟〝SDGsに貢献〟-この〝一石三鳥〟の特徴を持つ長期保存が可能な「みどりの救缶鳥+(プラス)」が本格販売される。

 商品を開発したパン・アキモト代表取締役 秋元義彦氏とユーグレナ 代表取締役社長 出雲充氏が8月30日、東京建物が応援するサスティナビリティ特化型ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」主催のオープンイベントに出席し、世界規模での事業展開が可能であることをアピールした。

 「みどりの救缶鳥+(プラス)」は24缶/ケース。1缶100グラム、295キロカロリー。賞味期限は5年。

 オープンイベントではこのほか、ARUN,LLC.代表 功能聡子氏、自然電力海外事業部長 古賀大幹氏、アラムポート取締役 西森聡一郎氏、ボーダレス・ジャパン代表取締役副社長 鈴木雅剛氏がそれぞれ「ベンチャー×グローバルによるSDGsの世界展望」について報告・ディスカッションした。

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 秋元氏は、栃木県那須塩原市に本拠を置くパン・アキモトの二代目社長。1995年1月の阪神・淡路大震災時に2千個のパンをトラックに積んで被災現場に運んだところ、時間がかかったため、約6割を廃棄せざるを得なかったことに心を痛め、被災から1年後、3年間保存できる世界初の「パンの缶詰」を開発した。

 そして2004年、新潟中越地震のとき秋元氏が「パンの缶詰」を被災地に持ち込んだのが報道され、注文が殺到した。しかし、納入先の自治体から「賞味期限が切れた缶詰を処分してほしい」という新たな難問が発生した。

 ピンチはチャンスだ。そこで思いついたのは、賞味期限が切れる半年前に回収し、飢えなどに苦しむ海外へ義援物資として送るアイデアだった。「救缶鳥プロジェクト」はそうして2009年9月スタートした。

 その後、2016年9月、ニッポン新事業創出大賞グローバル賞、2017年12月、第5回グッドライフアワード環境大臣最優秀賞、2019年7月、社会貢献者表彰などを受賞している。

 秋元氏は「阪神淡路大震災が起きた1月17日はわたしの誕生日でして、誕生日のお祝いを中止し、現地にパンを運んだが日持ちのしないパンを廃棄せざるを得なかったのが救缶鳥プロジェクトのきっかけ」と切り出し、「小さなパン職人と大きなユーグレナの研究者が一緒になってビジネスモデルとして世界に広げたい」と語った。

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 ユーグレナは、2005年8月、東大発のベンチャー上場企業として出雲氏らが設立。「人と地球を健康にする」という想いが創業の原点にある。

 創業の翌年、世界で初めて微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)の食用大量培養に成功。2012年12月、マサーズ上場、2014年12月、東証一部上場。2018年9月期の売上高は151億円。

 太陽光と水と二酸化炭素だけで大量培養・供給できるユーグレナを核に食品利用のほか肥料・飼料への応用、バイオ燃料化、医薬品への応用など多角的な事業展開に取り組んでいる。

 出雲氏は、「子どもたちはビタミンAと鉄分が致命的に不足していた。結果、失明や慢性的な貧血症に陥っていた。その時の体験が創業の原点」と、21年前にバングラディッシュを訪問した際の食糧事情の悪さについて触れ、現在では「一袋230キロカロリーのユーグレナクッキーを1日一万食届けることができるようになり、85万人といわれるロヒンギャ難民の子どもたち2万人に食と仕事と栄養を届ける事業をスタートさせた」と語った。

 また、大学ベンチャーについても、「2005年以降、2778社の大学発ベンチャーが設立されたが、うまくいっていない。約2,000社ある上場企業のうち大学発ベンチャーは一社もない。2023年までに20社のユニコーンを創出するという政府目標に向かって、当社も2匹目、3匹目が生まれるよう協力していく」と述べた。

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 「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」主催のオープンイベントは先月も取材し記事にもしているので合わせて読んで頂きたい。約2時間ぶっ通しで行われるので疲れるが、話はものすごく面白い。登壇者や参加者がみんな若いのもいい。

 今回は、会場に入ったとたん「みどりの救缶鳥+(プラス)」(写真参照)が目に飛び込んできた。ネーミングがいい。いつもは、九官鳥そっくりの〝休肝日、休肝日〟の声にをだんまりを決め込むのだが、これには敏感に反応した。ネーミングを含めデザインを担当したのはクオーターバック代表取締役・中島セイジ氏だ。

 もう一つ、記者の目をくぎ付けにしたのは、アマガエルや公衆電話機より鮮やかなやや黄みを帯びた緑のネクタイだった。すぐ誰かは分かった。記者も同系統のものを何本か持っているが、スーツにあうよう濃緑のものばかりだ。

 その、目も彩というより目を疑う緑色のネクタイを締める勇気にあっけにとられたので聞いた。「社長、そのネクタイは社員もつけるんですか」「いえ、わたしだけ」「特注品ですか」「いえ、楽天で買える。980円」…社長、テレビCMに「ユーグレナ」の社名、商品はたくさん出てきますが、あの通販の名物会長の向こうを張って社長直々に出演されたほうが効果的ではないですか。堀江貴文氏よりはるかに話は面白い。「人と地球を健康にする」理念が最高に素晴らしい。

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 参加者にプレゼントされた「みどりの救缶鳥+(プラス)」を持って帰った。「あら、これ栃木のアキモトさんという有名なパン屋さんの非常食。何度も買って、賞味期限切れのパンを食べさせたじゃない。〝美味しい〟って食べたじゃない」「? …」

 缶詰に、日常的に出来立てが食べられることを強調したコピーを追加したら売れ方は全然違うのではないか。〝非常〟を連想させる〝常備〟は適当でない。

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イベント後、参加者に振舞われた「みどりの救缶鳥+(プラス)」

〝世界に発信〟 企業×自治体 先進的SDGs取り組み事例紹介「City Lab Ventures」(2019/7/25)

カテゴリ: 2019年度
 

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